JP2007135297A - アクチュエータ装置、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びにアクチュエータ装置の製造方法 - Google Patents
アクチュエータ装置、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びにアクチュエータ装置の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】圧電素子の破壊を長期間に亘って確実に防止することができるアクチュエータ装置、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びにアクチュエータ装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基板の一方面側に設けられる下電極60、圧電体層70及び上電極80からなる圧電素子300と、圧電素子300を覆うと共に無機絶縁材料からなる絶縁膜55とを具備し、絶縁膜55が複数層で構成され、絶縁膜55の圧電素子300側の最下層101が、圧電素子300への印加電圧以上の耐電圧を有する厚さで設けられている。
【選択図】図6
【解決手段】基板の一方面側に設けられる下電極60、圧電体層70及び上電極80からなる圧電素子300と、圧電素子300を覆うと共に無機絶縁材料からなる絶縁膜55とを具備し、絶縁膜55が複数層で構成され、絶縁膜55の圧電素子300側の最下層101が、圧電素子300への印加電圧以上の耐電圧を有する厚さで設けられている。
【選択図】図6
Description
本発明は、基板上に振動板を介して圧電素子が設けられ且つこの圧電素子が絶縁膜によって覆われた構造を有するアクチュエータ装置、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びにアクチュエータ装置の製造方法に関する。
電圧を印加することにより変位する圧電素子を具備するアクチュエータ装置は、例えば、液体を噴射する液体噴射ヘッド等に搭載される。このような液体噴射ヘッドとしては、例えば、ノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドが知られている。そして、インクジェット式記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータ装置を搭載したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータ装置を搭載したものの2種類が実用化されている。
ここで、インクジェット式記録ヘッド等に搭載される圧電素子は、例えば、湿気等の外部環境に起因して破壊され易いため、無機絶縁材料からなる2層の絶縁膜により圧電素子を覆ったヘッド構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなヘッドは、流路形成基板上に圧電素子を形成した後、圧電素子上にコンタクトホールを有する第1層を形成し、この第1層上に圧電素子からコンタクトホールを介してリード電極を引き出した後、その上から第2層を形成する等して製造される。すなわち、絶縁膜の第1層及び第2層を個別にパターニングして形成すると共に、第1層を形成した後で且つ第2層を形成する前にリード電極を形成している。
このようなヘッドの製造においては、第1層と第2層とを積層する過程で、絶縁膜の層間(第1層と第2層との界面)に、例えば、塵や埃等の異物が混入し、或いは第1層等のパターニング工程でレジスト等が第1層表面に残ってしまう場合があり、ヘッドの検査工程等において電圧の印加により圧電素子を駆動させる際に、絶縁膜の層間に残った異物やレジスト等がリークパスの起点となって圧電素子が破壊されてしまう虞がある。
なお、このような問題は、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドだけではなく、例えば、インク以外の液体を吐出する他の液体噴射ヘッドや、液体噴射ヘッドに搭載されるアクチュエータ装置、或いは、他の装置に搭載されるアクチュエータ装置においても、同様に存在する。
本発明は、このような事情に鑑み、圧電素子の破壊を長期間に亘って確実に防止することができるアクチュエータ装置、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びにアクチュエータ装置の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様は、基板の一方面側に設けられる下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子と、前記圧電素子を覆うと共に無機絶縁材料からなる絶縁膜とを具備し、前記絶縁膜が複数層で構成され、前記絶縁膜の前記圧電素子側の最下層が、前記圧電素子への印加電圧以上の耐電圧を有する厚さで設けられていることを特徴とするアクチュエータ装置にある。
かかる第1の態様では、絶縁膜の圧電素子側の最下層が圧電素子への印加電圧以上の耐電圧を有する厚さで設けられているので、圧電素子への印加電圧によって最下層に絶縁破壊が生じることを確実に防止することができる。これにより、絶縁膜の成膜時において、絶縁膜の層間に塵や埃等の異物が混入したとしても、このような異物を起点としたリークパスが生じることを確実に防止し、リークパスに起因した圧電素子の破壊を確実に防止することができる。また、圧電素子が2層構造の絶縁膜によって覆われているので、湿気等による圧電素子の破壊を防止することもできる。
かかる第1の態様では、絶縁膜の圧電素子側の最下層が圧電素子への印加電圧以上の耐電圧を有する厚さで設けられているので、圧電素子への印加電圧によって最下層に絶縁破壊が生じることを確実に防止することができる。これにより、絶縁膜の成膜時において、絶縁膜の層間に塵や埃等の異物が混入したとしても、このような異物を起点としたリークパスが生じることを確実に防止し、リークパスに起因した圧電素子の破壊を確実に防止することができる。また、圧電素子が2層構造の絶縁膜によって覆われているので、湿気等による圧電素子の破壊を防止することもできる。
本発明の第2の態様は、前記絶縁膜がアルミナからなることを特徴とする第1の態様記載のアクチュエータ装置にある。
かかる第2の態様では、湿気等による圧電素子の破壊をより確実に防止することができる。
かかる第2の態様では、湿気等による圧電素子の破壊をより確実に防止することができる。
本発明の第3の態様は、前記絶縁膜の前記最下層の厚さが50nm以上であり、前記絶縁膜の全体の膜厚が100nm以下であることを特徴とする第2の態様記載のアクチュエータ装置にある。
かかる第3の態様では、絶縁膜の最下層の厚さを50nm以上とすることにより、圧電素子に50V以上の電圧を印加しても、圧電素子の破壊を防止することができると共に、絶縁膜の全体の膜厚を100nm以下とすることにより、耐湿度性を十分に確保しつつ、圧電素子の駆動による振動板の変位量の低下を有効に防止することができる。
かかる第3の態様では、絶縁膜の最下層の厚さを50nm以上とすることにより、圧電素子に50V以上の電圧を印加しても、圧電素子の破壊を防止することができると共に、絶縁膜の全体の膜厚を100nm以下とすることにより、耐湿度性を十分に確保しつつ、圧電素子の駆動による振動板の変位量の低下を有効に防止することができる。
本発明の第4の態様は、前記絶縁膜の全体の膜厚が80nm以下であることを特徴とする第3の態様記載のアクチュエータ装置にある。
かかる第4の態様では、絶縁膜の全体の膜厚を80nm以下とすることにより、耐湿度性を十分に確保しつつ、圧電素子の駆動による振動板の変位量の低下をより効果的に防止することができる。
かかる第4の態様では、絶縁膜の全体の膜厚を80nm以下とすることにより、耐湿度性を十分に確保しつつ、圧電素子の駆動による振動板の変位量の低下をより効果的に防止することができる。
本発明の第5の態様は、前記絶縁膜の各層が個別に成膜及びパターニングすることにより形成されたものであることを特徴とする第1〜4の何れかの態様に記載のアクチュエータ装置にある。
かかる第5の態様では、絶縁膜を、レジストを用いたパターニングにより各層を積層して形成する際に、絶縁膜の最下層上にレジスト等が残っていても、圧電素子に所定の駆動電圧以上の電圧を印加した際に、このようなレジスト残りを起点としたリークパスが生じることを確実に防止することができる。
かかる第5の態様では、絶縁膜を、レジストを用いたパターニングにより各層を積層して形成する際に、絶縁膜の最下層上にレジスト等が残っていても、圧電素子に所定の駆動電圧以上の電圧を印加した際に、このようなレジスト残りを起点としたリークパスが生じることを確実に防止することができる。
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかの態様に記載のアクチュエータ装置を、前記基板に形成された圧力発生室に当該圧力発生室内の液体をノズル開口から噴射させるための圧力を発生させる圧力発生手段として具備することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第6の態様では、高品質で且つ高い信頼性を有する液体噴射ヘッドを実現することができる。
かかる第6の態様では、高品質で且つ高い信頼性を有する液体噴射ヘッドを実現することができる。
本発明の第7の態様は、第6の態様に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる第7の態様では、高品質で且つ高い信頼性を有する液体噴射装置を実現することができる。
かかる第7の態様では、高品質で且つ高い信頼性を有する液体噴射装置を実現することができる。
本発明の第8の態様は、基板の一方面側に下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子を形成した後、前記圧電素子上に無機絶縁材料からなる層を積層して複数層で構成される絶縁膜を形成する工程にて、前記絶縁膜の前記圧電素子側の最下層を前記圧電素子への印加電圧以上の耐電圧を有する厚さで形成することを特徴とするアクチュエータ装置の製造方法にある。
かかる第8の態様では、絶縁膜の圧電素子側の最下層を圧電素子への印加電圧以上の耐電圧を有する厚さで形成することにより、ヘッドの製造過程又は製造後において、圧電素子への印加電圧によって最下層に絶縁破壊が生じることを確実に防止することができる。これにより、絶縁膜の成膜時において、絶縁膜の層間に塵や埃等の異物が混入したとしても、このような異物を起点としたリークパスが生じることを確実に防止し、リークパスに起因した圧電素子の破壊を確実に防止することができる。したがって、歩留まりを向上することができる。また、圧電素子を複数層の絶縁膜によって覆っているので、製造過程又は製造後において、湿気等による圧電素子の破壊を防止することもできる。
かかる第8の態様では、絶縁膜の圧電素子側の最下層を圧電素子への印加電圧以上の耐電圧を有する厚さで形成することにより、ヘッドの製造過程又は製造後において、圧電素子への印加電圧によって最下層に絶縁破壊が生じることを確実に防止することができる。これにより、絶縁膜の成膜時において、絶縁膜の層間に塵や埃等の異物が混入したとしても、このような異物を起点としたリークパスが生じることを確実に防止し、リークパスに起因した圧電素子の破壊を確実に防止することができる。したがって、歩留まりを向上することができる。また、圧電素子を複数層の絶縁膜によって覆っているので、製造過程又は製造後において、湿気等による圧電素子の破壊を防止することもできる。
本発明の第9の態様では、前記絶縁膜を形成する工程では、前記絶縁膜を構成する各層を個別に成膜及びパターニングして形成することを特徴とする第8の態様記載のアクチュエータ装置の製造方法にある。
かかる第9の態様では、絶縁膜を、レジストを用いたパターニングにより各層を積層して形成する際に、絶縁膜の最下層上にレジスト等が残っていても、圧電素子への印加電圧によってレジスト残りを起点としたリークパスが生じることを確実に防止することができる。
かかる第9の態様では、絶縁膜を、レジストを用いたパターニングにより各層を積層して形成する際に、絶縁膜の最下層上にレジスト等が残っていても、圧電素子への印加電圧によってレジスト残りを起点としたリークパスが生じることを確実に防止することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びA−A′断面図である。また、図3及び図4は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの要部拡大断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14を介して連通されている。なお、連通部13は、後述する保護基板のリザーバ部と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバの一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びA−A′断面図である。また、図3及び図4は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの要部拡大断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14を介して連通されている。なお、連通部13は、後述する保護基板のリザーバ部と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバの一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
また、流路形成基板10の開口面側には、圧力発生室12を形成する際のマスクとして用いられたマスク膜52を介して、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又は不錆鋼などからなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、厚さが例えば約1.0μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、厚さが例えば、約0.4μmの絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1.0μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータ装置と称する。本実施形態では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用するが、勿論これに限定されず、弾性膜50、絶縁体膜55を設けずに、下電極膜60だけが振動板として作用するようにしてもよい。
例えば、本実施形態では、図2に示すように、下電極膜60は、圧力発生室12の長手方向では圧力発生室12に対向する領域内に形成され、複数の圧力発生室12に対応する領域に連続的に設けられている。また、下電極膜60は、圧力発生室12の列の外側、及び列設された圧電素子300の間から連通部13近傍まで延設され、それらの先端部は、後述する駆動IC120から延設された接続配線130が接続される接続部60aとなっている。圧電体層70及び上電極膜80は、基本的には圧力発生室12に対向する領域内に設けられているが、圧力発生室12の長手方向では、下電極膜60の端部よりも外側まで延設されており、下電極膜60の端面は圧電体層70によって覆われている。そして、圧力発生室12の長手方向端部近傍には、圧電体層70を有するが実質的に駆動されない圧電体非能動部が形成されている。
また、上電極膜80の一端部近傍にはリード電極90が接続されている。このリード電極90は、本実施形態では、圧力発生室12の外側の圧電体非能動部上から連通部13に対向する領域まで延設されており、その先端部は、下電極膜60と同様に、接続配線130が接続される接続部90aとなっている。この接続部90aには、後述するワイヤボンディングを良好に行うため、例えば、ボンディングワイヤと同じ材料からなるボンディングパッド(図示なし)が設けられる。そして、本実施形態では、圧電素子300を構成する各層及びリード電極90が、下電極膜60の接続部60a及びリード電極90の接続部90aに対向する領域を除いて、絶縁膜100によって覆われており、これにより水分(湿気)等による圧電素子300の破壊が防止されている。なお、このようなリード電極90は、圧電素子300のそれぞれに個別に設けられ、詳細は後述するが、金属層のパターニングにより形成される。
本発明の絶縁膜100は、複数層で構成され、本実施形態では、無機絶縁材料により形成された2層構造からなり、具体的には、圧電素子300側に設けられる最下層である第1層101と、第1層101上に設けられて表層となる第2層102とで構成される。そして、本発明では、詳細は後述するが、絶縁膜100の第1層101が圧電素子300への印加電圧以上の厚さで設けられている。これにより、圧電素子300の破壊を有効に防止することができる。
また、第1層101には、図2(b)及び図3に示すように、圧電素子300の一端部、本実施形態では圧電素子300のリザーバ110側の端部に対向する部分にコンタクトホール101aが設けられている。また、リード電極90は、この第1層101のコンタクトホール101aを介して圧電素子300の上電極膜80から第1層101上に延設されている。そして、このような第1層101と、リード電極90の接続部90aを除いた領域とは、第2層102によって覆われている。すなわち、圧電素子300は、第1層101と第2層102とからなる絶縁膜100により実質的に覆われている。このような絶縁膜100は、詳細は後述するが、第1層101及び第2層102の各層が、塗布等による成膜、及びレジストを用いたパターニングによりそれぞれ個別に形成される。
以下、絶縁膜100の圧電素子300側の最下層である第1層101について詳細に説明する。絶縁膜100の第1層101は、上述したように、圧電素子300への印加電圧以上の耐電圧を有する厚さで設けられている。ここで、「圧電素子300への印加電圧以上の耐電圧を有する厚さ」とは、例えば、本実施形態では、後述する検査工程において、圧電素子300に上電極膜80及び下電極膜60を介して所定の検査電圧を印加した際に圧電素子300を直接覆う第1層101に絶縁破壊が生じることがない厚さを意味する。
詳細には、ヘッド製造における検査工程では、例えば、圧電素子300(圧電体層70)内にボイドや異物等が存在しているか否かを判断するのに、圧電素子300に対してヘッドの駆動電圧以上、すなわち、インク吐出に必要な電圧以上の電圧を敢えて印加し、問題のある圧電素子300を持つセグメントを積極的に破壊するスクリーニング処理を行い、後工程に不良品を流さないようにしている。なお、インク吐出に必要な電圧が、例えば、約25〜30V等であるヘッドでは、検査工程で印加する電圧を約50Vとしている。これは、後工程に不良品を流さないようにするため、問題のあるセグメントを確実に破壊するためである。
一方、絶縁膜100の第1層101及び第2層102の層間(第1層101と第2層102との界面)には、例えば、第1層101のパターニング、第2層102のパターニング、及びリード電極90のパターニング等の各種パターニング工程において、塵や埃等の異物の混入やレジスト等が残っている場合がある。このような場合、上述した検査工程等において、インク吐出に必要な電圧、すなわち、駆動電圧以上の電圧(検査電圧)を印加すると、例えば、このような検査電圧を考慮せずに圧電素子を直接覆うように形成した第1層に絶縁破壊が生じ、その結果、異物やレジスト等を介してリークパスが発生し、ボイド等が存在しない良品の圧電素子が破壊されてしまう虞がある。
そこで、本実施形態では、絶縁膜100の第1層101の厚さを、圧電素子300への印加電圧以上の耐電圧を有する厚さ、すなわち、検査電圧以上の耐電圧を有する厚さで形成するようにしたので、検査工程において、圧電素子300への検査電圧によって第1層101に絶縁破壊が生じることがなく、第1層101と第2層102との界面にレジスト等が仮に残っていてもリークパスには至らず、良品の圧電素子300が破壊されることもない。その一方で、検査電圧を印加することにより、不良品の圧電素子300を確実に破壊し、後工程に不良品を流さないようにすることができる。
ここで、絶縁膜100を形成する無機絶縁材料としては、特に限定されないが、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)、五酸化タンタル(Ta2O5)及び二酸化ケイ素(SiO2)等の酸化物等が挙げられ、これらの中でも、酸化アルミニウム(アルミナ)を用いるのが好ましく、本実施形態では、絶縁膜100をアルミナで形成した。ここで、アルミナの耐電圧は、厚さが1nm当たり約1Vである。すなわち、駆動電圧を25〜30Vとする場合には、絶縁膜100の第1層101を25〜30nm以上の厚さで形成する。但し、上述したように、本実施形態では、検査工程を実施するので、このような検査時の印加電圧(検査電圧)を50Vとする場合には、絶縁膜100の第1層101を約50nm以上の厚さとなるように形成する。また、絶縁膜100は、圧電素子300を覆っており、全体の膜厚が厚過ぎると圧電素子300の駆動による振動板の変位量が低下してしまうため、アルミナで形成する場合には、約100nm以下の膜厚とするのが好ましく、好適には80nm以下とするのがよい。
すなわち、このように絶縁膜100をアルミナで形成する場合には、第1層101の厚さを50nm以上(第1層101の耐電圧を50V以上)とし、且つ絶縁膜100の膜厚を100nm以下、より好ましくは80nm以下とするのがよい。例えば、本実施形態では、図4に示すように、絶縁膜100の第1層101を第2層102よりも厚く形成した。具体的には、第1層101の厚さを約60nm(第1層101の耐電圧を60V)とし、第2層102の厚さを約40nmとし、絶縁膜100の全体の膜厚を約100nmとした。
なお、本実施形態では、絶縁膜100の材料としてアルミナを例示して説明したが、勿論これに限定されず、第1層及び第2層のそれぞれをアルミナ以外の酸化物、例えば、五酸化タンタルや二酸化ケイ素等で形成してもよい。また、第1層をアルミナで形成し、第2層をアルミナ以外の酸化物で形成してもよいし、その逆で、第1層をアルミナ以外の酸化物で形成し、第2層をアルミナで形成してもよい。このようにアルミナ以外の酸化物を用いる場合には、アルミナ以外の酸化物の耐電圧と厚さとの相対関係を考慮し、上述したアルミナと同様にして第1層の厚さを決定することができる。
また、本実施形態では、絶縁膜100を2層構造とすることで、第1層101及び第2層102のそれぞれにピンホール等が形成された場合でも、絶縁膜100の面方向で各層101、102のピンホールの位置が一致することはなく、水分等が絶縁膜100を透過するのをより確実に抑えることができる。なお、圧電素子300が破壊され易い部分、すなわち、圧電体層70及び上電極膜80の外周面を2層の絶縁膜100によって覆うことにより、圧電素子300の破壊を確実に防止することができるという効果もある。
そして、本発明は、特に、絶縁膜の第1層の厚さを、圧電素子への印加電圧以上の耐電圧となる厚さで規定することにより、圧電素子への印加電圧によって第1層の絶縁破壊が生じるのを防止しつつ、圧電素子の駆動による振動板の変位量を考慮して絶縁膜の膜厚を所定値以下と規定することにより、耐湿度性を十分に確保しつつ圧電素子の駆動による振動板の変位量の低下を有効に防止することができるという効果が得られるものである。
なお、流路形成基板10の圧電素子300側の面には、圧電素子300に対向する領域にその運動を阻害しない程度の空間を確保可能な圧電素子保持部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接着されている。圧電素子300は、この圧電素子保持部31内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。なお、圧電素子保持部31は密封されていてもよいし密封されていなくてもよい。
また、保護基板30には、流路形成基板10の連通部13に対応する領域にリザーバ部32が設けられている。このリザーバ部32は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の並設方向に沿って設けられており、上述したように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ110を構成している。
さらに、この保護基板30の圧電素子保持部31とリザーバ部32との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する接続孔33が設けられ、この接続孔33内に上述した下電極膜60の接続部60a及びリード電極90の接続部90aが露出されている。そして、これら下電極膜60の接続部60a及びリード電極90の接続部90aに、保護基板30上に実装された駆動IC120から延設される接続配線130の一端が接続されている。
保護基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることがより好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ110に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ110の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ110からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動IC120からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に所定の電圧(例えば、25〜30V程度)を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
ここで、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図5〜図7を参照して説明する。なお、図5〜図7は、圧力発生室12の長手方向の断面図である。まず、図5(a)に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ140を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、その表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン膜51を形成する。なお、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ140として、板厚が約625μmと比較的厚く剛性の高いシリコンウェハを用いている。次いで、図5(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜51)上に、ジルコニウム(Zr)層を形成後、例えば、500〜1200℃の拡散炉で熱酸化して酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる絶縁体膜55を形成する。次いで、図5(c)に示すように、例えば、白金とイリジウムとを絶縁体膜55上に積層することにより下電極膜60を形成後、この下電極膜60を所定形状にパターニングする。次に、図5(d)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば、イリジウムからなる上電極膜80とを流路形成基板用ウェハ140の全面に形成する。次いで、圧電体層70及び上電極膜80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。
次に、図6(a)に示すように、絶縁膜100の最下層である第1層101を形成する。具体的には、流路形成基板用ウェハ140上に、アルミナを塗布して第1アルミナ塗布層201を形成すると共にこの第1アルミナ塗布層201を所定形状にパターニングすることで第1層101を形成する。より詳細には、第1アルミナ塗布層201は、第1層101の厚さが圧電素子300への印加電圧以上の耐電圧を有する厚さとなるように形成する。例えば、本実施形態では、検査工程で印加する電圧を考慮して、第1アルミナ塗布層201を第1層の厚さが約60nmとなるように形成した。また、このような第1アルミナ塗布層201上にはレジストパターンが形成され、このレジストパターンを介して第1アルミナ塗布層201の余分な部分、圧電素子300の一端部に対向する領域の第1アルミナ塗布層201を除去し、最終的にレジストパターンを除去することにより、厚さが約60nmでコンタクトホール101aを有し且つ圧電素子300を直接覆った所定形状の第1層101が形成される。なお、第1アルミナ塗布層201の除去方法は、特に限定されないが、例えば、イオンミリング等のドライエッチングを用いることが好ましい。これにより、第1アルミナ塗布層を選択的に良好に除去することができる。
次に、図6(a)に示すように、絶縁膜100の最下層である第1層101を形成する。具体的には、流路形成基板用ウェハ140上に、アルミナを塗布して第1アルミナ塗布層201を形成すると共にこの第1アルミナ塗布層201を所定形状にパターニングすることで第1層101を形成する。より詳細には、第1アルミナ塗布層201は、第1層101の厚さが圧電素子300への印加電圧以上の耐電圧を有する厚さとなるように形成する。例えば、本実施形態では、検査工程で印加する電圧を考慮して、第1アルミナ塗布層201を第1層の厚さが約60nmとなるように形成した。また、このような第1アルミナ塗布層201上にはレジストパターンが形成され、このレジストパターンを介して第1アルミナ塗布層201の余分な部分、圧電素子300の一端部に対向する領域の第1アルミナ塗布層201を除去し、最終的にレジストパターンを除去することにより、厚さが約60nmでコンタクトホール101aを有し且つ圧電素子300を直接覆った所定形状の第1層101が形成される。なお、第1アルミナ塗布層201の除去方法は、特に限定されないが、例えば、イオンミリング等のドライエッチングを用いることが好ましい。これにより、第1アルミナ塗布層を選択的に良好に除去することができる。
次に、図6(b)に示すように、リード電極90を形成する。具体的には、流路形成基板用ウェハ140上に、所定の金属材料、例えば、本実施形態では、アルミニウム(Al)からなる金属層95を全面に形成する。そして、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を介して金属層95を各圧電素子300毎にパターニングすることによりリード電極90が形成される。なお、本実施形態では、リード電極90は、アルミニウムからなる金属層95のみからなるが、これに限定されず、例えば、チタンタングステン(TiW)からなる密着層を介して金属層95を設け、リード電極90がこの密着層と金属層95とで構成されるようにしてもよい。
次に、図6(c)に示すように、絶縁膜100の表層である第2層102を形成する。具体的には、流路形成基板用ウェハ140上に、アルミナを塗布して第2アルミナ塗布層202を形成すると共にこの第2アルミナ塗布層202を所定形状にパターニングすることで厚さ約40nmの第2層102を形成する。この第2層102も上述した第1層101を同様に、レジストを用いたパターニングにより形成した。これにより、第1層101及びリード電極90が第2層102で覆われ、その結果、圧電素子300が厚さ約100nmの絶縁膜100で覆われる。
次いで、図7(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ140の圧電素子300側に、シリコンウェハであり複数の保護基板30となる保護基板用ウェハ150を接合する。なお、この保護基板用ウェハ150は、例えば、400μm程度の厚さを有するため、流路形成基板用ウェハ140の剛性は、保護基板用ウェハ150を接合することによって著しく向上することになる。
次いで、図7(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ140をある程度の厚さとなるまで研磨した後、さらにフッ酸と硝酸の混合水溶液によってウェットエッチングすることにより流路形成基板用ウェハ140を所定の厚みにする。例えば、本実施形態では、約70μm厚になるように流路形成基板用ウェハ140をエッチング加工した。次いで、図7(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ140上に、例えば、窒化シリコン(SiNx)からなるマスク膜52を新たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、このマスク膜52を介して流路形成基板用ウェハ140を異方性エッチングすることにより、流路形成基板用ウェハ140に圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14等を形成する。
なお、その後は、流路形成基板用ウェハ140及び保護基板用ウェハ150の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ140の保護基板用ウェハ150とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウェハ150にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウェハ140等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとなる。
以上説明したように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの製造方法では、絶縁膜100の圧電素子300側の最下層である第1層101を圧電素子300への印加電圧以上の耐電圧を有する厚さで形成することにより、ヘッドの製造過程又は製造後において、圧電素子300への印加電圧によって第1層101に絶縁破壊が生じることを確実に防止することができる。これにより、絶縁膜100の成膜時において、絶縁膜100の層間に塵や埃等の異物が混入したり、あるいは第1層101上にレジスト等が残っていたり等しても、このような異物やレジスト等を起点としたリークパスが生じることを確実に防止し、リークパスに起因した圧電素子300の破壊を確実に防止することができる。したがって、歩留まりを向上することができる。また、圧電素子300を2層構造の絶縁膜によって覆っているので、製造過程又は製造後において、湿気等による圧電素子300の破壊を防止することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、第1層101の厚さを、検査工程での印加電圧(検査電圧)を考慮して規定したが、勿論これに限定されず、このような検査工程を実施しない場合には、圧電素子への駆動電圧、すなわち、インク吐出に必要な電圧を考慮して、圧電素子への駆動電圧以上の耐電圧を有する厚さで第1層を設けるようにしてもよい。この場合、圧電素子への駆動電圧で第1層に絶縁破壊が生じるのを有効に防止することができる。
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、第1層101の厚さを、検査工程での印加電圧(検査電圧)を考慮して規定したが、勿論これに限定されず、このような検査工程を実施しない場合には、圧電素子への駆動電圧、すなわち、インク吐出に必要な電圧を考慮して、圧電素子への駆動電圧以上の耐電圧を有する厚さで第1層を設けるようにしてもよい。この場合、圧電素子への駆動電圧で第1層に絶縁破壊が生じるのを有効に防止することができる。
また、上述した実施形態1では、第1層101及び第2層102の2層からなる絶縁膜100を設けたが、これに限定されず、例えば、3層以上からなる絶縁膜を設けるようにしてもよい。これにより、各層にピンホールが形成されたとしても、絶縁膜の面方向で各ピンホールが一致することをより効果的に防止できるため、圧電素子の耐湿度性を確保することができる。
さらに、上述した実施形態1では、圧電素子300を保護基板30の圧電素子保持部31内に形成したが、これに限定されず、圧電素子保持部を設けなくてもよい。この場合でも、圧電素子及びリード電極の表面は、第1層及び第2層を有する絶縁膜によって覆われているため、水分(湿気)に起因する圧電素子(圧電体層)の破壊を確実に防止できる。
また、上述した実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図8は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。図8に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上を搬送されるようになっている。
また、上述した実施形態においては、本発明の液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを説明したが、液体噴射ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。本発明は、広く液体噴射ヘッドの全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射するものにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。なお、本発明は、液体噴射ヘッド(インクジェット式記録ヘッド等)に搭載されるアクチュエータ装置だけでなく、あらゆる装置に搭載されるアクチュエータ装置に適用できることは言うまでもない。
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 圧電素子保持部、 32 リザーバ部、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 55 絶縁体膜、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 100 絶縁膜、 101 第1層、 102 第2層、110 リザーバ、 300 圧電素子
Claims (9)
- 基板の一方面側に設けられる下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子と、前記圧電素子を覆うと共に無機絶縁材料からなる絶縁膜とを具備し、前記絶縁膜が複数層で構成され、前記絶縁膜の前記圧電素子側の最下層が、前記圧電素子への印加電圧以上の耐電圧を有する厚さで設けられていることを特徴とするアクチュエータ装置。
- 前記絶縁膜がアルミナからなることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ装置。
- 前記絶縁膜の前記最下層の厚さが50nm以上であり、前記絶縁膜の全体の膜厚が100nm以下であることを特徴とする請求項2記載のアクチュエータ装置。
- 前記絶縁膜の全体の膜厚が80nm以下であることを特徴とする請求項3記載のアクチュエータ装置。
- 前記絶縁膜の各層が個別に成膜及びパターニングすることにより形成されたものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のアクチュエータ装置。
- 請求項1〜5の何れかに記載のアクチュエータ装置を、前記基板に形成された圧力発生室に当該圧力発生室内の液体をノズル開口から噴射させるための圧力を発生させる圧力発生手段として具備することを特徴とする液体噴射ヘッド。
- 請求項6に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
- 基板の一方面側に下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子を形成した後、前記圧電素子上に無機絶縁材料からなる層を積層して複数層で構成される絶縁膜を形成する工程にて、前記絶縁膜の前記圧電素子側の最下層を前記圧電素子への印加電圧以上の耐電圧を有する厚さで形成することを特徴とするアクチュエータ装置の製造方法。
- 前記絶縁膜を形成する工程では、前記絶縁膜を構成する各層を個別に成膜及びパターニングして形成することを特徴とする請求項8記載のアクチュエータ装置の製造方法。
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-
2005
- 2005-11-09 JP JP2005325310A patent/JP2007135297A/ja active Pending
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