JP2007134043A - 相変化型光記録媒体の記録方法 - Google Patents

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裕司 三浦
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和典 伊藤
Michiharu Abe
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Abstract

【課題】相変化型光記録媒体において、より高い記録線速度で記録が可能で、かつ、低線速記録において、低線速対応相変化型光記録媒体とほぼ同じ記録パワーで記録可能な相変化型光記録媒体に対して、これら媒体に適した記録方法を提供すること。更に、CAV、CLV記録に対して、良好なオーバーライト特性を得るための記録方法を提供すること。
【解決手段】相変化型記録層を設けた相変化型光記録媒体に電磁波を照射してマークを記録する記録方法において、前記電磁波の照射波形が、ピークパワー、消去パワー、及びバイアスパワーによって照射パワーを規定し、前記ピークパワーの照射時間、及びバイアスパワーの照射時間によって照射時間を規定することで定められるパルス状波形であって、前記マークを記録するときの最後尾の前記ピークパワーによるパルスである後部加熱パルスでの電磁波の照射に続いて、前記消去パワーの電磁波を照射することを特徴とする光記録方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、相変化光ディスク、書き換え可能光ディスクに関し、大容量光ファイル、DVD+RWディスクに応用される。
大容量の画像データを扱うようになり、今後ますます、大容量の相変化型光記録媒体が要求されているのは言うまでもない。大容量のデータだけに、これらデータを高速に記録再生することも要求されている。相変化型記録媒体は、CD、DVDの書き換え型記録媒体に用いられており、大容量、高速記録が可能であること、また、ROMとの互換が高いことから普及してきた。CD−ROM、CD−Rの高速化が著しく、相変化型記録媒体もより高速化が要求されている。しかし、高線速に対応したディスクは、低線速ディスクに対応している低速ドライブでも記録できることが望ましい。CD−Rは、これが可能であり、広い線速をカバーできている。高い線速で記録するためには、より高い記録パワーが出せる高出力レーザーが必要になる。
しかし、低速ドライブに搭載されているレーザー光は高速対応ドライブより低いのが普通であり、高線速対応ディスクを低線速で、より低い記録パワーで記録することは相変化型記録媒体では難しい。相変化型記録媒体の場合、高線速記録が可能になるよう媒体構成を最適化するが、この場合、低い線速度で記録する場合も、高い線速度の場合と同様に最適な記録パワーはより高くなる。高い記録線速に対応した相変化型光記録媒体をより低パワーで記録するためには、感度を向上させる必要がある。そのためには、一つの方法として、媒体の反射率を下げる方法がある。しかし、DVDであれば、DVD−ROMとの互換を確保する必要があるために、反射率を必要以上に下げることはできない。書き換え可能型DVDにおいては、ここ数年間で商品化されている線速は、2.4倍速が最高である。
これより速い記録線速度で記録でき、しかも従来の低線速ドライブで記録できる下位互換可能な相変化型光記録媒体はない。これらの要求を満たすためには、低い記録パワーでしかも記録パワーのマージンが広い相変化型光記録媒体の記録層材料、媒体構成、最適記録方法を見出すことが必要である。
レーザー光のパルス状発光波形におけるパルス幅を制御して、2.4倍速で、CAV記録に対応した記載がある。(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
しかし、書き換え可能型DVDにおいて、2.4倍速より高い線速度で、感度、オーバーライト特性が良く、しかも現状と同じパワーで2.4倍速以下の記録線速度で記録可能な媒体及び最適な記録方法はない。
また、高線速で記録する場合に、一定の消去パワーを照射しないで、消去パワーを再生パワーの範囲で変調させる方法がある(例えば、特許文献3参照。)。しかし、この方法によると、充分な消去ができずに、消去パワーのレベルによっては却って非晶質相の形成が起きてしまう。
記録マークを形成する方法に、後端部冷却パルス時間を基本的になしにする方法がある(例えば、特許文献4参照。)。
しかし、この方法においては所定の長さのマークを記録することが難しい。
少なくとも、DVDの1倍速の線速3.49m/sに対し、その4倍である14m/s(13.96m/s)までの記録線速で記録ができ、しかも該相変化型光記録媒体で記録線速1倍速及び2.4倍速で、かつ最適な盤面記録パワーが1〜2.4倍速対応相変化型光記録媒体と同じ記録パワー以下で記録できる相変化型光記録媒体と記録方法が必要である。
これを可能にするためには、相変化型光記録媒体の記録層の結晶化速度を最適化することが第1条件である。特に高線速記録になるほど、オーバーライト特性が劣化する。まず、オーバーライト一回目の特性が悪い。記録層材料は、高い記録線速に対応するために、結晶化速度が速くなるように構成元素及びこれら元素の組成を最適化する。相変化型光記録媒体の場合、マーク(非晶質相)を形成するために短時間に融点付近まで加熱しその後急冷させる必要があるが、結晶化速度が速くなるほど時間に対する温度勾配を大きく、しかも再結晶化を抑制するために加熱しない時間、すなわち冷却時間を長くする必要があるが、加熱、冷却時間に制限があるため、線速が高いと、温度が短時間に上昇しにくくなる傾向になるため、記録パワーを高くすることが必要になる。低線速記録の場合でも記録材料の結晶化速度が速いため記録パワーは同様に高い。
したがって、高線速度で記録するための相変化型光記録媒体で、低線速側をより低い記録パワーで記録することは結晶化速度はあまり速くすることができない。このため、一定の消去パワーを高線速時に照射した場合、この消去パワーをあまり高くしないでも、非晶質相が形成され易くなる。線速が速くなればなるほど消去パワーはあまり高くできなくなる。したがって、結晶化速度は低い線速と、高い線速の中間線速で最適化すると良い。しかし、この場合高い線速側において、消去パワーの制限によりオーバーライト時のマークの消去率が悪くなってしまう。
特許第3124720号公報 特開2000−322740号公報 特許第2844996号公報 特許第2941703号公報
本発明の課題は、相変化型光記録媒体において、より高い記録線速度で記録が可能で、かつ、低線速記録において、低線速対応相変化型光記録媒体とほぼ同じ記録パワーで記録可能な相変化型光記録媒体に対して、これら媒体に適した記録方法を提供することである。更に、CAV、CLV記録に対して、良好なオーバーライト特性を得るための記録方法を提供することである。
上記課題は、本発明の(1)「相変化型記録層を設けた相変化型光記録媒体に電磁波を照射してマークを記録する記録方法において、前記電磁波の照射波形が、ピークパワー、消去パワー、及びバイアスパワーによって照射パワーを規定し、前記ピークパワーの照射時間、及びバイアスパワーの照射時間によって照射時間を規定することで定められるパルス状波形であって、前記マークを記録するときの最後尾の前記ピークパワーによるパルスである後部加熱パルスでの電磁波の照射に続いて、前記消去パワーの電磁波を照射することを特徴とする光記録方法」、(2)「前記後部加熱パルスでの電磁波の照射に続いて、前記バイアスパワーによるパルスである後部冷却パルスで極短い時間の電磁波の照射を行い、さらに続いて前記消去パワーの電磁波を照射することを特徴とする前記第(1)項に記載の光記録方法」、(3)「前記相変化型光記録媒体に記録可能な線速のうち、中間線速から最大線速での記録の際に前記第(1)項又は第(2)項に記載の光記録方法を用いることを特徴とする光記録方法」によって達成される。
本発明により、下位互換で記録特性が確保され、しかも高い記録線速で記録特性が優れた記録方法が提供できる。また、相変化型光記録媒体で記録可能な最小線速の範囲から最大線速の範囲の内、所定の記録線速範囲でCLV及びCAV記録が可能になる。また、記録特性のマージンが広がる。さらに、高線速でオーバーライト特性に優れた記録方法を提供できる。
本発明で用いる相変化型光記録媒体の構成は、図1に示す透明基板(1)上に、下部誘電体保護層(2)、非晶質相と結晶相の可逆的相変化をする相変化型記録層(3)、界面層(7)、上部誘電体保護層(4)、硫化防止層(5)、反射層(6)の順に積層することを基本とする。あるいは、界面層(7)がない場合も含まれる。
使用する基板としては、記録再生光の波長に対し透明であるポリカーボネート(PC)、ポリメタアクリル酸(PMMA)などのプラスチックやガラスが用いられる。
基板(1)と記録層(3)の間に用いる下部誘電体保護層(2)、記録層(3)と反射層(6)の間に用いる上部誘電体保護層(4)の材料としては、SiOx、ZnO、SnO、Al、TiO、In、MgO、ZrO、Ta等の金属酸化物、Si、AlN、TiN、BN、ZrN等の窒化物、ZnS、TaS等の硫化物、SiC、TaC、BC、WC、TiC、ZrC等の炭化物が挙げられる。
これらの材料は、単体あるいは混合物として用いることもできる。中でも、ZnSとSiOの混合物が、相変化型記録媒体では一般的に用いられており、その混合比は80:20(モル比)が良い。下部誘電体保護層は、熱伝導率が低く、比熱が小さく、オーバーライトにより結晶化せず、加熱と急冷の多数回の履歴によるクラックの発生、元素の拡散などがないことが良い。
ZnS−SiO(80:20)はこれら条件に対して適しており、上部誘電体保護層にも用いられている。ZrOは、Yを3mol%から6mol%を含む混合物は屈折率が、ZnS・SiOとほぼ同じか、それよりも大きく、熱伝導率も低い。
バルクにおける熱伝導率はレーザーフラッシュ法により測定したところ、ZrOを主成分とする系として、ZrO・Y(3mol%)、ZrO・SiO(5mol%)・Y(3mol%)、ZrO・TiO(50mol%)・Y(3mol%)、ZrO・TiO(40mol%)・SiO(20at%)・Y(3mol%)が、それぞれ5.1、3.5、1.73、2.6(W/m・K)、ZnS・SiO(20mol%)が8.4(W/m・K)であった。
屈折率(n)は、ZrO・SiO(5mol%)以外は、すべて2以上であった。また、Yの代わりに、MgOを用いても良い。いずれもスパッタ法による成膜のためのターゲットを作製する際に、ターゲットの割れを防止するために用いる材料である。
一方、これら材料を上部誘電体保護層に用いて、媒体を作製し、記録後に80℃、85%RHで記録マークの保存性を調べたところ、ZrOの含有量が50at%より多い系の場合は、マークが消滅するか、ジッター劣化が大きい。しかし、ZrO系の繰り返しオーバーライト特性は良く、1000回記録した後のジッター劣化はZnS・SiOより少なかった。高線速でオーバーライトするにはより効果がある。したがって、上部誘電体保護層は、ZnS・SiOが(80:20)が良い。
そこで、このオーバーライト特性を良くする効果を活かすために、ZrO系材料を記録層と上部誘電体保護層との間に界面層として設けることを検討した。その結果、膜厚は1nm以上5nmの範囲であれば、この効果を保ち、かつ保存信頼性の劣化もかなり抑制されることがわかった。
この界面層の効果は、この層が結晶状態にあって、記録層と界面層の格子定数が近く、結晶成長を助ける役割、界面層は結晶状態でないが、結晶成長を助けることで、消去比を高めオーバーライト特性が良くなったと考えられる。
また、濡れ性が悪いため記録層が溶融状態になったときに、流動性が抑制され記録層の局所的体積変化が抑制されるためにオーバーライト特性が良くなるということも併せもっている。
さらに、下部誘電体保護層の膜厚は、40乃至250nmの範囲であって、45nm乃至80nmが好ましい。40nmより薄くなると、耐環境性保護機能の低下、放熱効果の低下となり繰り返しオーバーライト特性の劣化が大きくなる。250nmより厚くなると、スパッタ法等による製膜過程において、膜温度の上昇により膜剥離やクラックが生じる場合が出てくる。
また、基板の厚さが0.6mmになると基板の変形が大きくなり、貼りあわせ後もその変形を矯正できないこともある。
上部誘電体保護層の膜厚は5nm乃至50nmの範囲とし、8nm至20nmが好ましい。5nmより薄いと、記録感度が低下する。50nmより厚くなると、温度上昇による変形、放熱性の低下により繰り返しオーバーライト特性が悪くなる。
反射層は、Al、Ag、Cu、Pd、Cr、Ta、Tiなどの金属材料があり、膜厚は、50nmから250nmが良い。膜厚が厚くなり過ぎると放熱性がより向上するが、薄膜を作製する間に媒体の温度上昇により、基板の変形が起きてしまう。薄すぎると、放熱性が悪くなり記録特性が劣化する。
反射層は、熱伝導率がより高いAgを用いることにより特性が向上するため、本発明において、AgまたはAg合金を用いる。線速が速くなると、冷却速度が大きくなるため、アモルファスマークは形成されやすいがマーク形成する際に、記録層を融点付近まで加熱させるために、発光パルスの加熱パルス時間を長くする必要があった。
一方、加熱時間を長くすると、冷却時間が短くなってしまい冷却時間の不足が起きるためマークが形成しにくくなる。これは、一つの加熱と冷却のパルス時間の和が基準クロックであり、この制約の中で変えているためである。
そこで媒体で冷却効率を上げるために、Agを用いるのが良い。しかし、ここで上部誘電体保護層がS(イオウ)を含み、反射層がAgの場合、高温高湿下ではAgSが形成されやすく、これが特性劣化、欠陥発生原因になり問題となる。
そこで、反射層と上部誘電体保護層の間に硫化反応防止層を設けることが必要になってくる。これまで、酸化物、窒化物、炭化物、金属について鋭意検討した結果、Si、SiCが好ましい。ZrO、MgO、TiOxも適している。好ましい。SiCは、AgとSの反応防止し、膜厚を3nmと薄くしてもその効果が高い。膜厚は2nm以上、上限は10nmである。これ以上厚いと反射層と距離が離れるため、放熱効率が下がってしまうことと、吸収係数が高いために反射率が低下してしまう傾向がある。
反射層をAgにすることで、特性は向上するが、Agそのものの腐食性、硫化防止層との密着性を考慮すると、Ag単体でも、薄膜作製時のスパッタリング条件(アルゴンガス圧)を最適化することにより、Agの結晶粒径を小さくし、粒成長を抑制することにより、Agの薄膜表面が平滑になる。粒径が大きくなると、表面が凹凸状になり密着性の弱いところから剥がれやすくなるためである。
さらに、密着性を、向上させるには、反射層の上に環境保護層として用いるアクリル系紫外線硬化型樹脂の硬化条件、厚さを最適化することで、Ag単体でも良い。しかし、最適条件で作製されていなかったり、記録膜のない基板を貼り合わせる前の保管条件や、基板自身の吸湿、紫外線硬化型樹脂の吸湿により、劣化する懸念がある。
そこで、Agを95at%以上の合金にすることにより信頼性が向上する。Agに対する添加量は、5at%を超えると、熱伝導率が著しく減少するため、好ましくは、2at%以下が良い。
添加元素としては、Cu、Niが熱伝導率をあまり下げることなく、粒径成長を抑制し、耐環境性を向上させる。Agの膜をスパッタ法により作製する場合に、Ag膜の結晶粒径を小さくするために基板とターゲット間にかけるパワーは、3W以下が良い。
相変化記録層はこれまでSb70Te30付近の共晶組成を基本とし、Ag、InさらGeを添加したAgInSbTe系、AgInSbTeGe系が高線速でしかも高密度記録に適した材料系であるため用いられてきた。SbはTeに対する比率が大きくなるほど、また、Sb量が80at%を超えると結晶化速度が高くなるが、保存性が極端に悪く、しかも非晶質相を形成しにくくなる。したがって、高線速記録に対応するための好ましい量は、65at%以上、80at%より少ない方が良い。
一方、Teは、15at%以上、25at%以下が良い。Geは遅いにかかわらず、記録したマークの高温環境下での保存性を向上させるのに、必須の元素である。GeとTeの結合エネルギーが大きく、しかもGe添加量が増加する程、結晶化温度を高くするため保存性が良いと考えられる。しかし、あまり多く入れると結晶化温度がさらに高くり、結晶化速度も遅くなるので5at%以下がよい。Agはマークを安定化させるが、結晶化温度はあまり増加させない。あまり多く入れると、結晶化の速度を下げてしまうため多く入れることができない。一方、結晶状態を安定化する役割も果たすので3at%以下が良い。
Inは、結晶化速度を上げるとともに、結晶化温度を上げるので保存性も向上させるが、多く入れると偏析しやすく、繰り返しオーバーライト特性の劣化と再生光パワーに対する劣化が起きるので5at%以下が良い。In以外に、結晶化速度を速くするものにGaがある。Gaは同量のInに比べ、結晶化速度をより速くするが、結晶化温度もより高くなる。Geが5at%で、Gaが5at%以上になると結晶化温度が200℃をはるかに超えて、250℃以上にもなる。そのため、記録層を非晶質状態から結晶化させるための初期化過程において、トラック一周の反射率分布が大きくなり、記録特性、データエラーの原因になるため、Gaは結晶化速度を速くさせるための補助的な元素として、3at%以下添加するのが良い。
AgInSbTeGe系は、より高線速な材料としては、限界があり、Ag、Inに代わる元素を検討した結果、結晶化速度を速くするが、結晶化温度を必要以上に上げない元素として、Mnが効果的であることがわかった。MnはInと同じく結晶化速度を上げる。多く入れても、オーバーライト特性を劣化させずに保存特性も良好である。結晶化温度も上げるが、量に対する増加量は小さく、再生光劣化も小さい。Mnは、本発明においては多くて5at%入れれば充分である。
このように、GeMnSbTe系も高線速に適した材料である。さらに、Gaを添加し結晶化速度と保存性を向上させる系も有効である。記録層の膜厚は、10nmから20nmがよく、10nm以下では、結晶と非晶質相の反射率差が小さくなり、これ以上厚いと記録感度、繰り返しオーバーライト特性が悪くなる。
本発明では、上記の記録層材料以外に、Ag−In−Sb−Te、Ge−Ga−Sb−Te、Ge−Sb−Te、Ge−Sn−Sb−Te、Ge−Sn−Sb、Ge−In−Sb−Te、Ga−Sn−Sb、Ge−Ag−Sn−Sb、Ga−Mn−Sb、Ga−Sn−Sb−Seを用いても良い。
以上の相変化型記録媒体は、記録波長が400〜780nmの範囲で記録再生が可能である。
DVDの場合、波長650nmから660nm後、対物レンズの開口率を0.60〜0.65とし、入射光のビーム径を1μm以下とする。そのため、基板の厚さは0.6mmとし、収差を小さくしている。
マークが書きこまれる溝部と溝部のピッチは、0.74μm、溝の深さは15nm〜45nm、溝幅は0.2〜0.3μmとする。
溝は、約820kHzの周期をもつ蛇行状溝となっている。アドレス部は、蛇行溝の周波数の位相を変調させ、この位相変化部分を検出し、2値化信号に変換しアドレス(番号)を読み取る。
この蛇行部の振幅は、5nmから20nmである。記録線密度は、0.267μm/bitで、(8−16)変調方法で記録する。最短マーク長は0.4μmになる。DVDの2倍速は、線速7m/s(6.98m/s)であり、基準クロック周波数は52.3MHz(T:19.1ナノ秒Tは、基準クロックである。)になる。4倍速では、線速14m/s(13.96m/s)になり基準クロック周波数は104.6MHz(T:9.56ナノ秒)である。
上記相変化型光記録媒体に一定大きさの消去パワーを連続的又は一定間隔で照射(k*T(Tはクロック、kは実数)という形で、パルス時間を制御するときに、実際は、k=n/16(nは整数)というある刻みで制御するから)しながら、線速を1倍速から4倍速まで変えていき、この時の反射信号強度を測定していくとある線速から反射強度が減少し始め、それ以上の速い線速になるとさらに反射強度が減少しやがて飽和していく。
波長659nm、NA0.65のピックアップを用いて盤面で測定した場合、12mWの消去パワーを照射したときに、反射率が下がり始める線速は9m/sから10.5m/sである。
4倍速に対応した媒体において、従来は、記録線速がそれより遅い線速で最適化した媒体より高い記録パワーが必要であった。1倍速から2.4倍速までに対応した相変化型光記録媒体と同じ記録パワーで記録可能とするためには、反射率が下がり始める線速が記録線速2.4倍速すなわち、8.4m/sとより0.5m/sから1m/s速いのが好ましい。
図2は、記録消去するために従来用いられてきた発光波形である。照射パワーとして、ピークパワー(Pp)、消去パワー(Pe)、バイアスパワー(Pb)があり、記録パワーを照射し、記録層を加熱するための先頭加熱パルス部OP1、中間部の加熱パルス部OPj(j=2〜m−1)、後部加熱パルス部OPmと、バイアスパワーを照射する冷却パルス部FP1、FPjがあり、さらに、中間部の加熱パルス部OPjと冷却パルス部FPjの時間の和がTになっている。
パルスの数はマーク長nTに対し、(n−1)または(n−2)個である。線速2.4倍速までは、Δ2=0、Δ1を最大0.5*T、Δ3を0〜0.5Tの範囲で調整しながら所定の長さのマークが記録でき、線速2.4倍速まで良好な記録特性が得られている。しかし、記録線速が速くなり、線速度が4倍速(14m/s)になってくると、この方法では特にオーバーライト特性において、充分な特性を得ることが難しくなってくる。
上記述べた相変化型光記録媒体の場合、4倍速の線速度においてより消去パワーを高くし、より後部冷却パルスFPmの時間を長くするほど、オーバーライト一回目のジッター特性が悪くなる。これは、前のマークの消去率が悪くなることを意味する。マーク後端部の非晶質相領域が広がり、マーク長が長くなるからである。さらに、消去パワーの最適範囲が狭くなるため、再結晶速度が遅くなる。すなわち、記録層が充分加熱され、溶融状態から結晶成長する速度が最も速いのに対し、それより低い温度で成長をさせるために速度が下がるということである。
そこで、本発明において、少なくとも最大記録線速度では、後部パルスの終了時間が、記録マーク後端部より(T−OPm)速く終了させることにより、オーバーライト特性を向上させることが可能になる。すなわち、後部冷却パルス幅をゼロにするか、もしくは極力短くすることが有効である。
この条件を、相変化型光記録媒体で記録可能な線速範囲のうち中間線速から、最大線速範囲に適用することも有効である。これは、図3のbの位置に対し、dTeraを、最大(T−OPm)の幅にすることである。
ここで、中間記録線速度は2.4倍速で、その場合は3.49×2.4m/s、最大記録線速度は4倍速で、その場合は3.49×4m/sである。
図3において、dTopは、先頭パルス部のピークパワー照射開始時間の図3のa(記録データの先頭部から1T遅れた位置)に対する可変時間である。位置aより速く開始する場合は正の符号(+)、遅く開始する場合は負の符号(−)となる。したがって、記録データの先頭部から0.5T〜1.25T遅れるということは、dTopは−0.25Tから+0.5Tが可変範囲となる。OPは加熱パルスの照射時間(ピークパワーPpの照射時間)を表わし、OP1は先頭パルス部の加熱パルス照射時間を表わし、OPj(j=2〜(m−1))は中間パルス部の加熱パルス照射時間を表わし、OPmは最終パルス部の加熱パルス照射時間を表わす。また、FPは冷却パルスの照射時間(バイアスパワーPbの照射時間)を表わし、FP1は先頭パルス部の冷却パルス照射時間を表わし、FPj(j=2〜(m−1))は中間パルス部の冷却パルス照射時間を表わし、FPmは最終パルス部の冷却パルス照射時間を表わす。また、dmpは中間パルス部の加熱パルス開始時間の可変時間を表わし、dlpは最終パルス部の加熱パルス開始時間の可変時間を表わし、dTeraは、最終パルス部のバイアスパワー照射終了時間の図3のbに対する可変時間を表わす。bより速く終了する場合を(+)符号、bより遅く終了する場合を(−)符号とする。dintは最終パルス部の冷却パルス部の終了位置から補償パルス開始までの時間を表わし、deraは第2の消去パワー(Pe2)の照射時間を表わす。
以上は、図3の、Pe2がPe1と同じ値であり、dint及びderaが0の場合である。
以下は、Pe2>Pe1で、かつ、Pe2が記録される線速度で連続照射した場合に照射前よりも反射率が減少しないパワーとした場合であって、さらに後端冷却パルスの終了時間から、消去パワーPe1を照射する時間dint及びPe2を照射する時間deraを最適な時間に設定した補償パルスを加える。このパルスは必要により一個以上にしても良い。
また、この補償パルスは、すべてのマーク長に対し、適用する以外に短いマーク長に適用しても良い。この場合は、好ましくは、3T、4T、5Tであって、これらすべてか、3Tのみか、3T、4Tの2つの場合である(3T、5Tとか、5Tのみの場合はない)。特に、最短マーク長、DVDにおいて3Tであるが、3T、4Tないし5Tのみに適用しても良い。これら補償パルスはオーバーライト時の消しのこりをなくすため、再結晶化を促進するために必要である。この補償パルスは、今回の目的以外に記録線速がより速くなるにつれ有効になる。記録線速がより速くなるほど消去パワーを照射してから記録層の温度が溶融状態なる温度まで上げるのに、線速が速いために時間が必要になる。
しかし、消去パワーPe1を高くして温度を短時間に上げようとすると、そのパワーを次のマークを記録するまで照射し続けるので再結晶化領域が広がるか、かえって線速が速いことにより急冷効果とあいまって非晶相領域を広げてしまうことになる。そこで、補償パルスを設けることで、マーク後端の制御がしやすくなる。dera及びdintの最適な時間は、各々0.2T≦dera<3T、0≦dint<1Tである。この結果、オーバーライト一回目以降の消去率が改善され、ジッター特性が向上する。各加熱パルス幅OPk(k=1,…m)は、0.2Tから0.8Tの範囲である。DVDの場合、1倍速から4倍速に適用した場合、1倍速から2.4倍速をCAVで記録する場合は、各線速に対応した基準クロックが連続的に変化するが、これに対し各加熱パルス幅を基準クロックTに比例する時間とクロックとは独立な一定の時間の和で調整することにより最適な記録が可能になる。
具体的には、(1/a)T*i+b*j(a、b、i、jは整数(ナノ秒)を表わす。)である。
4倍速を記録する場合は、a=16とし、制御時間の分解能を上げるためにパルス幅を(1/16)T*iとし、CLVの場合に主に用いる。1.7倍速から4倍速をCAVで制御するためには、a=16、b=1とし、(1/16)T*i+1*jを用いる。
先頭パルス部の加熱及び冷却時間、中間パルスの加熱部及び冷却時間、後端パルスの加熱部及び冷却時間の和は、基本的には1Tであるが、先頭及び後端部はこれに限らない。
0.3Tから1.5Tの範囲で調整することにより、所定の長さのマークが記録できる。
1倍速から2.4倍速のCAV記録において、パルス幅は、(1/6)T*i+2*jで調整される。
以下、本発明の具体的な方法について、実施例を用いて説明する。
(実施例1)
相変化型光記録媒体を以下の条件で作製した。溝にマークを記録するための溝ピッチを0.74μm、溝幅0.25μm、溝深さ25nm、厚さ0.6mmのポリカーボネート製基板を用い、この上にスパッタリング方式により各層を積層する。アドレス情報は818kHzの周期の蛇行した溝に、位相を180°反転させた部位を情報に応じて設けている。下部誘電体保護層は、ZnS:SiO=80:20(mol%)のターゲットを使用し、膜厚を69nmとした。次に、Ge:Ag:In:Sb:Te=3:0.8:3.5:72:20.7の相変化記録層を膜厚14nm作製した後に、界面層としてZrO:TiO:Y=49:45:6(mol%)の複合酸化物ターゲットを用いて、膜厚2nmとした。さらに、ZnS:SiO=80:20(mol%)のターゲットを使用し、膜厚11nmの上部誘電体保護層を作製した。そのうえに、膜厚4nmのSiC層と膜厚140nmのAgを作製後、耐環境性を向上させるために、大日本インキ製SD318紫外線硬化樹脂を5μmの厚さで塗布後、硬化し、耐環境保護膜とした。最後に、膜のないもう一枚の同一基板を厚さ40μmの紫外線硬化樹脂(アクリル製、日本化薬、DVD003)を用いて貼合わせ相変化型光記録媒体とした。これにより、80℃、85%RH、あるいは95%RHの湿度で25℃と40℃の温度サイクル試験を行なっても欠陥のない媒体ができる。その後、波長810nmの大口径LD(ビーム径;トラック方向1μm×半径方向75μm)を用い、線速9m/s、パワー900mW、ヘッドの送り速度18μm/回転で記録層を結晶化させた。
この媒体を上記記録ヘッドで、線速を変えながらDC光12mWを照射していったところ、線速9.5m/s付近から反射率が減少し始めた。記録再生は波長657nm、対物レンズNA0.65のピックアップヘッドを用いて、最高線速度14m/sで記録密度が0.267μm/bitとなるように記録した。記録データの変調方式は(8,16)変調。記録パワーは最大19mW、バイアスパワーは0.5mW、消去パワーは記録パワーの30%になるようにして記録した。各マーク長のパルスの数は(n−1)個(n=3〜14)である。
線速14m/s(4倍速)でCLVで記録する場合の記録条件及び1倍速から2.4倍速でCAVで記録する場合の条件を表1に示す。ここで、dTopをdTtopに、OP1をTtopに、OPj、OPmをTmpに、dTeをdTeraと表記する。また、表中のdmp、dlp、dint、deraは、すべてゼロとした。これらの条件は、図3の方法に基づいている。
なお、以下に示すdTtopは、図3のaからを基準にして、先頭パルスの開始が、それより速い場合は(+)、遅い場合は(−)符号とする。これは、マークの開始位置(aよりT速い時間)から見ると、aはdTtop=1Tと同じことである。−0.25Tは、マークの開始位置から1.25T、0.5Tはマークの開始位置から0.5Tを意味する。
Figure 2007134043
線速14m/sの場合の、オーバーライト1回後のジッターのdTtop依存性を図4に示す。記録パワーは、17mWの場合である。開始位置を遅らせることにより、ジッターのマージンが広がる。従来は、図4のdTtopが0以上であったが、オーバーライト1回後のジッターが9%を超えてしまう。また、9%以下の場合は、0から−0.25Tの範囲にあるが、マージンが狭いため、dTtopを基準クロックの16分の1程度に細かく制御する必要がある。
また、図5では、後端部の冷却パルス終了時間を速く終わらせる(−側)ほど特性が良いことが示されている。これら条件を反映させた表1の条件で記録した場合の、2.4倍速と4倍速の各記録線速で記録した場合のジッターのパワーマージンを図6と図7に示す。4倍速の記録パワーマージンが確保され、しかも2.4倍速は記録パワー15mW以下のマージンが広いことから、4倍速記録ができて下位の互換も可能である。
(実施例2)
相変化型光記録媒体として、実施例1と同じものを用いる。記録条件は表2に示すように、4倍速については、パルス幅の調整を基準クロックに比例した時間で行ない、dTeraは、(T−Tmp)としている。最大線速14m/s、最小線速を3.5m/sとしたときの中間線速に相当する8.4m/sと3.5m/sの線速範囲で、CAV記録した場合は、表2に示すようにパルス幅の調整を基準クロックに比例した時間と固定した時間で調整した。
この結果、線速14m/sについては、記録パワー17mW、消去パワー5.3mWで記録した。8.4m/s及び3.5m/sは、記録パワー15mW、消去パワー7.5mWで記録した。いずれも、オーバーライト1000回まで、ジッター9%以下となった。
Figure 2007134043
(実施例3)
相変化型光記録媒体として、実施例1、2と同じものを用いる。記録層材料をGe:Ag:In:Sb:Te=2:0.5:3.5:72.5:21.5とした。記録線速が最大線速14m/sの3分の1を超える6m/sと14m/sを基準クロックに比例する時間と固定する時間でパルス幅を調整するようにし、CAV記録を行なわせた。6m/s、8.4m/sは記録パワー15mWで、14m/sは記録パワー18mWでいずれもジッター9%となった。記録条件を表3に示す。
Figure 2007134043
(実施例4)
相変化型光記録媒体として、実施例1、2と同じものを用いる。記録線速14m/s、記録パワー17mWで記録を行った。記録条件は表4に示すとおりである。各パルス幅は、基準クロックに比例する時間で調整した。補償パルスを3Tから14Tマークの中で、3Tマークを記録する場合のみ適用した。消去パワーは、Pe1=5.3mW、Pe2=6.0mWである。補償パルス開始時間をdint=0T、補償パルス照射時間dera=0.5Tに設定した。この結果、オーバーライト1000回まで記録した結果、補償パルスのない場合が、オーバーライト1回目でジッター9%がある場合で、ジッター8%となり、オーバーライト1000回後は、ない場合がジッター8%に対し、ある場合がジッター7.5%であった。したがって、相変化型記録媒体で高密度、高線速で問題になるオーバーライト1回目を改善する効果が大きい。
Figure 2007134043
(比較例1)
相変化型光記録媒体として、実施例1で用いたものと同じものを用いた。記録条件において、dTtop以外は記録条件は同じである。
図8にオーバーライト1回目の各記録線速に対するジッターのdTtop依存を示す。
記録線速度14m/sについては、記録パワー19mW、消去パワー5.7mW、8.4m/s及び3.5m/sは、記録パワー16mW、消去パワー8mWで記録した。特に、線速14m/sは、従来のdTtopが0.5〜1.0Tの範囲では、ジッター9%を超えてしまう。また、dtopが0.5Tより小さいとすべての線速でジッター9%を超える。
(実施例5)
記録層材料以外においては、実施例1と媒体構成、記録方法は同じであった。
記録層材料に、Ge:Ga:Sb:Te=4:2:73:21を用いた。記録線速14m/sで記録パワー19mW、消去パワー5.6mWで記録し、オーバーライト1000回まで、ジッター9%以下となった。
(実施例6)
記録層材料以外においては、実施例1と媒体構成、記録方法は同じであった。
記録層材料に、Ge:Sn:Sb:Te=4.0:4.5:71.0:20.5を用いた。記録線速14m/sで記録パワー18mW、消去パワー5.4mWで記録し、オーバーライト1000回まで、ジッター9%以下となった。
本発明で用いる相変化型光記録媒体の層構成を示す図である。 従来、記録消去するために用いられる発光波形を示す図である。 本発明において、記録消去するために用いられる発光波形を示す図である。 線速14m/sの場合の、オーバーライト1回後のジッターのdTtop依存性を示す図である。 ジッターとdTeraの関係を示す図である。 ジッターとパワーマージンとの関係を示す図である。 ジッターとパワーマージンとの関係を示す他の図である。 オーバーライト1回目の各記録線速に対するジッターのdTtop依存性を示す図である。
符号の説明
1 基板
2 下部誘電体保護層
3 記録層
4 上部誘電体保護層
5 硫化防止層
6 反射層
7 界面層

Claims (3)

  1. 相変化型記録層を設けた相変化型光記録媒体に電磁波を照射してマークを記録する記録方法において、
    前記電磁波の照射波形が、ピークパワー、消去パワー、及びバイアスパワーによって照射パワーを規定し、前記ピークパワーの照射時間、及びバイアスパワーの照射時間によって照射時間を規定することで定められるパルス状波形であって、
    前記マークを記録するときの最後尾の前記ピークパワーによるパルスである後部加熱パルスでの電磁波の照射に続いて、前記消去パワーの電磁波を照射することを特徴とする光記録方法。
  2. 前記後部加熱パルスでの電磁波の照射に続いて、前記バイアスパワーによるパルスである後部冷却パルスで極短い時間の電磁波の照射を行い、さらに続いて前記消去パワーの電磁波を照射することを特徴とする請求項1に記載の光記録方法。
  3. 前記相変化型光記録媒体に記録可能な線速のうち、中間線速から最大線速での記録の際に請求項1または2に記載の光記録方法を用いることを特徴とする光記録方法。
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