JP2007132410A - ラジアルニードル軸受用保持器とその製造方法及びラジアルニードル軸受 - Google Patents

ラジアルニードル軸受用保持器とその製造方法及びラジアルニードル軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】良質の保持器を安定して得られるラジアルニードル軸受用保持器とその製造方法を実現する。
【解決手段】金属板に打ち抜き加工と曲げ加工とを施す事により、一方のリム部11aから素柱部25、25を突出させた保持器素子26を造る。この保持器素子26と、他方のリム部11bとを同心に配置し、上記各素柱部25、25の先端縁をこの他方のリム部11bの軸方向片側面外径寄り部分に突き合わせて溶接し、各柱部とする。面倒な加工を行なう事なく、上記各リム部11a、11bの真円度、これら各柱部の形状精度及び間隔の精度を良好にして、上記課題を解決する。
【選択図】図3

Description

この発明は、ラジアルニードル軸受用保持器とその製造方法の改良に関し、良質の保持器を安定して得られる保持器とその製造方法を実現するものである。
自動車用変速機や各種機械装置の回転支持部のうち、大きなラジアル荷重が加わる部分にラジアルニードル軸受が組み込まれている。例えば自動車の自動変速装置を構成する遊星歯車式変速機は、特許文献1等に記載されて周知の様に、遊星歯車をキャリアに対し、ラジアルニードル軸受により回転自在に支持している。図21は、この様なキャリアに対し遊星歯車を回転自在に支持する、遊星歯車の回転支持装置の1例を示している。この図21に示した構造の場合、キャリア1を構成する互いに平行な1対の支持板2a、2bの円周方向複数個所に、支持軸3の両端部を支持固定している。そして、この支持軸3の中間部周囲に遊星歯車4を、ラジアルニードル軸受5により、回転自在に支持している。
このラジアルニードル軸受5は、複数本のニードル6、6を、ラジアルニードル軸受用保持器である保持器7により転動自在に保持すると共に、上記支持軸3の中間部外周面を円筒面状の内輪軌道8とし、上記遊星歯車4の内周面を円筒面状の外輪軌道9として、上記各ニードル6、6の転動面を、これら内輪軌道8及び外輪軌道9に転がり接触させている。又、上記遊星歯車4の軸方向両端面と上記両支持板2a、2bの内側面との間に、それぞれフローティングワッシャ10a、10bを配置して、上記遊星歯車4の軸方向両端面と上記両支持板2a、2bの内側面との間に作用する摩擦力の低減を図っている。
上記ラジアルニードル軸受5を構成する上記保持器7は、例えば図22〜23に詳示する様に、軸方向(図22〜23の左右方向)に互いに間隔をあけて配置した、それぞれが円輪状である1対のリム部11、11と、複数本の柱部12、12とを備える。これら各柱部12、12は、円周方向に亙って間欠的に配置され、それぞれの両端部を上記両リム部11、11の互いに対向する内側面の外径寄り部分に連続させている。又、上記各柱部12、12は、軸方向中間部が径方向内方に向け台形状に折れ曲がった形状を有する。そして、円周方向に隣り合うこれら各柱部12、12の円周方向両側縁と上記両リム部11、11の互いに対向する内側面とにより囲まれる空間部分を、それぞれポケット13、13とし、これら各ポケット13、13に上記各ニードル6、6を、転動自在に保持している。
この様に構成する上記保持器7は、特許文献2等に記載されて従来から周知の様に、帯状の金属板(一般的には鋼板若しくはステンレス鋼板)を円筒状に丸めて成る。即ち、図示は省略するが、帯状の金属板にプレス加工を施す事により保持器として基本的な断面形状を有する第一段階の中間素材とした後、この第一段階の中間素材に剪断加工を施す事により、上記各ニードル6、6を転動自在に保持する為のポケット13、13を打ち抜き成形し、第二段階の中間素材とする。更に、この第二段階の中間素材を所定長さに切断し、図24に示す様な第三段階の中間素材14とする。
そして、この第三段階の中間素材14を円筒状に丸め、両端部を突き合わせ溶接して、図21〜22に示す様な保持器7とする。尚、図示の例の場合、上記保持器7の径方向位置を規制する為に、この保持器7の外周面を前記外輪軌道9(図21参照)に近接対向させている。そして、運転時には、この様に近接対向させた保持器7の外周面を上記外輪軌道9に案内(外輪案内)させる事で、この保持器7の径方向に関する位置決めを図り、振動や異音が発生する事を防止する様にしている。
又、上記保持器7は、上記各柱部12、12の両端部両側縁のうちの円周方向に関して互いに整合する位置に係止突部15、15を、これら各側面から円周方向に突出する状態で設けている。これら各係止突部15、15は、上記各ポケット13、13内に転動自在に保持する上記各ニードル6、6が、当該ポケット13、13から径方向外方に抜け出る事を防止する為のものである。即ち、上記各ニードル6、6を上記保持器7と共に、前記内輪軌道8及び外輪軌道9(図21参照)の間に組み付ける際に、これら各ニードル6、6を上記各ポケット13、13内に、径方向に抜け出るのを阻止した状態で保持する必要がある。
この為に、上記各ポケット13、13の開口部で上記各ニードル6、6のピッチ円よりも外径側部分に上記各係止突部15、15を、互いに対向する状態で設けると共に、これら各係止突部15、15の先端縁同士の間隔D15(図22参照)を、上記各ニードル6、6の外径D6 (図21参照)よりも小さくしている(D6 >D15)。又、これと共に、上記各柱部12、12の中間部で上記各ニードル6、6のピッチ円よりも内径側に位置する内径側係止部16、16の互いに対向する側縁同士の間隔D16(図22参照)も、上記各ニードル6、6の外径D6 よりも小さくしている(D6 >D16)。
上記各ニードル6、6を上記各ポケット13、13に保持するには、これら各ニードル6、6をこれら各ポケット13、13に、上記保持器7の内径側から押し込む。この際、上記各ニードル6、6により上記内径側係止部16、16の側縁同士の間隔D16を弾性的に広げて、これら各ニードル6、6をこれら側縁同士の間を通過させる。この様にしてこれら各ニードル6、6を上記各ポケット13、13に保持した状態で、これら各ニードル6、6は、上記各係止突部15、15により前記保持器7の径方向外方に、上記各柱部12、12の内径側係止部16、16の側縁により同じく径方向内方に、それぞれ抜け出る事を防止される。尚、図示は省略するが、各ニードルを各ポケットに、保持器の外径側から組み込む場合もある。又、上記各係止突部15、15や上記各内径側係止部16、16を持たない保持器もある。
従来から知られている上述の様な構造を有する金属板製のラジアルニードル軸受用保持器の場合、形状精度を良好にする事が難しく、必ずしも良好な性能を得る事が難しかった。この理由は、図24に示す様な中間素材14を円筒状に丸めて両端部同士を突き合わせ溶接する事により、図21〜23に示す様な保持器7としている為、次の(1) 〜(5) の様な理由で、形状が悪化する為である。
(1) 上記中間素材14を円筒状に丸めて両端部同士を突き合わせ溶接した部分の曲率と、他の中間部分の曲率とを一致させる事が難しく、1対のリム部11、11の真円度が悪化する。
(2) 上記中間素材14の長さ方向(図24の上下方向)中間部に関しても、柱部12、12との連続部の剛性と、これら各連続部同士の間部分の剛性とが異なる為、上記両リム部11、11を正しく円形にする事が難しい。具体的には、上記各連続部が直線状で上記各間部分が円弧状である、略多角形状になる。
(3) 上記中間素材14を丸めても上記各柱部12、12となる部分の円周方向(幅方向)の断面形状は直線状のままとなる。
(4) 円周方向に隣り合う柱部12、12同士の間隔が微妙に異なり易く、異なった場合には、ポケット13、13の幅寸法が不同になる。
(5) 保持器7の断面形状を、図21〜23に示す様な略M字形とする場合、上記中間素材14を丸める過程で、上記両リム部11、11の影響により、上記各柱部12、12の形状が微妙に歪み易い。
従来から知られているラジアルニードル軸受用保持器とその製造方法の場合には、上述の(1) 〜(5) の様な理由で形状が悪化する場合があり、その結果、上記各ポケット13、13内にニードル6、6を組み込みにくくなったり、逆に、組み込んだニードル6、6が不用意に脱落する可能性があった。勿論、図22に示す様に組み立てた保持器7に、形状を矯正する為の処理を施す事で、上述の様な不都合を防止できるが、その分、コストが嵩む為、好ましくない。又、上述の様な断面略M字形の保持器7を得る為、帯状金属板から図24に示す様な中間素材14を造る作業が面倒で、コストが嵩む原因となっている。
尚、特許文献3には、軸方向に2分割したラジアルニードル軸受用保持器に関する発明が記載されているが、2分割したまま接合しない構造であり、本願発明が対象としている構造とは基本的に異なる。
この様な事情に鑑みて本発明者等は先に、良質の保持器を安定して得られるラジアルニードル軸受用保持器とその製造方法に関する発明を行なった(特願2005−126768号)。この先発明に就いて、図25〜27により説明する。尚、先発明により得られるラジアルニードル軸受用保持器の完成状態での形状は、前述の図21〜23に示した従来構造とほぼ同様になる。完成状態での形状の相違は、中心軸に直交する仮想平面に関する、各柱部12、12(図21〜23参照)の断面形状のみとなる。先発明の特徴は、これら各柱部12、12を、それぞれ1対ずつの半柱部17、17の先端縁同士を突き合わせ、この突き合わせ部を溶接する事により構成した点にある。そして、この様な構成を採用する事により、1対のリム部11、11の真円度を初めとする、各部の形状精度並びに寸法精度を向上させると共に、上記仮想平面に関する上記各柱部12、12の断面形状を円弧形としている。
この為に先発明の場合には、金属板に曲げ加工及び打ち抜き加工を施す事により1対の保持器素子18、18を造る。この保持器素子18、18はそれぞれ、円環状のリム部11と、このリム部11にそれぞれの基端部を連続させた上記複数本の半柱部17、17とを備えている。先発明の場合には、図26又は図27の様にして、この様な保持器素子18を造る。尚、これら図26、27では、上記各半柱部17、17、並びに、これら各半柱部17、17を造る為の舌片22、22の円周方向に関するピッチを、実際よりも短く描いている。
このうちの図26に示した保持器素子18の製造方法では、始めに、原材料となる鋼板或いはステンレス鋼板等に打ち抜き加工を施す事により、図26の(A)に示す様な円形の素板19を得る。
次いで、この素板19の一部に打ち抜き加工を施す事により、図26の(B)に示す様な第一中間素材20を得る。即ち、上記素板19の中心部を円形に打ち抜くと共に、径方向中間部から外周縁部に達する部分を切り欠き状に打ち抜く。そして、中心部に上記リム部11となるべき円環部21を形成すると共に、この円環部21の外周縁の等間隔複数個所から径方向外方に延出する、上記各半柱部17、17となるべき舌片22、22を形成する。これら各舌片22、22には、上記各柱部12、12を組み立てた状態で係止突部15、15(図25参照)となる突部を形成している。
上記第一中間素材20には、次いで、図26の(C)に示す様な段付加工を施して、第二中間素材23とする。この第二中間素材23は、上記第一中間素材20の一部で上記各舌片22、22の中間部を、クランク型に曲げ形成したものである。この様な加工は、完成品となる保持器7の断面形状を、図21〜23に示す様な略M字形とする事に対応して行なうものである。この際、上記各舌片22、22にもプレス加工を施して、これら各舌片22、22の断面形状を円弧形とする。この円弧形の曲率半径は、これら各舌片22、22から上記各柱部12、12を組み立てた状態で、これら各柱部12、12が単一仮想円筒状空間内に存在する様に規制する。この様に、上記第一中間素材20から上記第二中間素材23を得る加工は、プレス加工機にセットした上下1対の金型同士の間で上記第一中間素材20を押圧する事により、容易に、且つ高精度に行なえる。
上記第二中間素材23には、次いで、図26の(D)に示す様な絞り・曲げ加工を施して、前記保持器素子18とする。この絞り・曲げ加工は、前記円環部21の外径寄り部分を上記各舌片22、22と共に、この円環部21の軸方向(図26の下段図面の上方)に、これら各舌片22、22同士が互いに平行になるまで、全周に亙り直角に折り曲げる事により行なう。この様な絞り・曲げ加工により、上記第二中間素材23が前記保持器素子18となり、上記各舌片22、22は、上記各半柱部17、17となる。
又、図27に示した製造方法の場合も、先ず図27の(A)に示す様な円形の素板19の一部に打ち抜き加工を施す事により、同じく(B)に示す様な第一中間素材20を造る。次いで、上記図27に示した製造方法の場合には、この第一中間素材20に絞り加工を施す事により、この第一中間素材20の径方向中間部内径寄り部分(円環部21の径方向外径寄り部分)を全周に亙り直角に曲げ形成して、図27の(C)に示す様な第二中間素材24とする。そして、この第二中間素材24に、各舌片22、22の中間部をクランク型に曲げ形成して半柱部17、17とする為のアンダカット成形を施し、図27の(D)に示す様な保持器素子18とする。
先発明に係る保持器を造るには、それぞれが上述の図26又は図27に示す様な工程で造られた1対の保持器素子18、18を、図25に示す様に互いのリム部11、11同士を同心に配置すると共に、互いの半柱部17、17同士の円周方向の位相を一致させた状態に配置する。この作業は、上記両保持器素子18、18を組立装置に設けた1対の把持部(フィンガ)で掴んだ状態で行なう。これら両保持器素子18、18を上述の様に配置したならば、これら両保持器素子18、18を互いに近づけ合って、上記各半柱部17、17の先端部同士を突き合わせ、この突き合わせ部を溶接して、上記両保持器素子18、18を接合固定する。互いの先端部同士を突き合わせ更に溶接した上記各半柱部17、17は、前記各柱部12、12となる。そして、円周方向に隣り合う各柱部12、12と上記両リム部11、11とにより囲まれた部分が、それぞれポケット13、13(図21〜23参照)となる。
上述の様に構成し造られる、先発明に係るラジアルニードル軸受用保持器の場合には、形状精度を良好にする事が容易で、この保持器を組み込んだラジアルニードル軸受の性能を良好にできる。この理由は、次の(1) 〜(5) の通りである。
(1) 両リム部11、11となるべき前記両保持器素子18、18の円環部21を、平板状の前記素板19を打ち抜く事により造るので、この円環部21から造られる上記両リム部11、11の真円度を良好にできる。
(2) 前記第二中間素材23から上記保持器素子18を造るべく、上記円環部21の径方向中間部外径寄り部分を全周に亙り直角に折り曲げる作業は、プレス加工機等を使用して大きな力で行なえる。この為、上記両リム部11、11を正しく円形にする事が容易で、得られた保持器素子18全体を、多角形状ではない、正確な円形にできる。
(3) 上記各柱部12、12となるべき上記各半柱部17、17の断面形状を予め湾曲させておけるので、これら各柱部12、12部分の幅方向に関する断面形状も円弧形にできる。
(4) 円周方向に隣り合う柱部12、12同士の間隔を厳密に一致させる事ができ、これら各柱部12、12同士の間に設けられるポケット13、13の幅寸法を正確に一致させる事ができる。
(5) 保持器7の断面形状を略M字形とする場合でも、上記各半柱部17、17の形状が、上記リム部11の加工時に歪む事がない為、これら各半柱部17、17により造られる上記各柱部12、12の形状が歪む事もない。
先発明の場合には、上述の(1) 〜(5) の様な理由で、優れた形状精度及び寸法精度を得られる為、低コストで造れるにも拘らず、上記各ポケット13、13内に上記各ニードル6、6を組み込みにくくなったり、逆に、組み込んだこれら各ニードル6、6が不用意に脱落する事を防止できる。
尚、前述の図26に示した製造方法と図27に示した製造方法とを比較した場合、図27に示した製造方法の方が、各柱部12、12の形状精度を確保する面からは有利である。この理由は、上記図26に示した製造方法の場合には、各舌片22、22の中間部をクランク型に折り曲げた後、これら各舌片22、22の基端部を円環部21に対し直角に折り曲げる為である。即ち、円環部に対する折り曲げ工程で、上記クランク型に折り曲げられた部分の形状が歪む可能性がある。これに対して、図27に示した製造方法の場合には、円環部21に対し直角に折り曲げた状態の各舌片22、22の中間部をクランク型に折り曲げて各半柱部17、17とした後、これら各半柱部17、17に曲げ加工を施す事がないので、上記クランク型の形状精度を確保できる可能性がある。
但し、従来から金属加工の分野で一般的に知られている製造方法及び製造装置を適用しただけでは、上記図27の(C)に示した第二中間素材24から同図の(D)に示した保持器素子18への加工を、大量生産が可能な工業的手法により、しかも、精度良く行なう事ができない。即ち、上記各舌片22、22から上記各半柱部17、17への加工を精度良く行なわせる為には、上記第二中間素材24の径方向に関して、上記各舌片22、22の内側に受型を配置し、押型により、これら各舌片22、22をこの受型の外周面に押し付ける必要がある。この際、この受型により、これら各舌片22、22の内周側面を、全面に亙って支持する事が、精度の良い加工を行なう為には重要である。ところが、従来から知られている構造を有する受型により、上記各舌片22、22の内周側面を、全面に亙って支持しつつ、これら各舌片22、22を上記各半柱部17、17に加工すると、加工後のこれら各半柱部17、17の内側から上記受型を抜き取る事ができない。この理由は、これら各半柱部17、17の先半部の内接円の直径が、基半部の内接円の直径よりも小さくなる為である。
又、前述した図26、図27の何れの方法により前記保持器素子18を造るにしても、前述の図25に示す様に、1対の保持器素子18、18を、互いのリム部11、11同士を同心に配置すると共に、互いの半柱部17、17同士の円周方向の位相を一致させた状態に配置する必要がある。この作業の為には、加工装置の位置決め調整を厳密に行なう必要があり、コスト低減をより一層図る面からは、改良の余地がある。又、上記両保持器素子18、18を構成する上記各半柱部17、17の先端縁同士の突き合わせ溶接部が、得られた柱部の長さ方中間部に位置する。この為、溶接に伴って生じる、余肉等の凸部がポケットの内側に突出しない様に、この突き合わせ部の溶接作業を注意して行なうか、溶接後に突き合わせ部を研磨する等の作業が必要になる。この様な作業も、コスト低減をより一層図る面からは、なくす事が好ましい。
特開2002−235841号公報 特開平8−270658号公報 特開2004−28134号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、良質の保持器を、低コストで安定して得られるラジアルニードル軸受用保持器とその製造方法を実現すべく発明したものである。更に、必要に応じて、大量生産が可能な工業的手法により、良質の保持器を安定して得られる、ラジアルニードル軸受用保持器の製造方法を実現すべく発明したものである。
本発明のラジアルニードル軸受用保持器とその製造方法及びラジアルニードル軸受のうち、請求項1に記載したラジアルニードル軸受用保持器は、金属板により造られ、軸方向両端部に互いに平行に設けられた、それぞれが円環状である1対のリム部と、これら両リム部同士の間に掛け渡される状態で設けられた複数の柱部とを備える。そして、円周方向に隣り合う柱部と上記両リム部とにより四周を囲まれる部分を、それぞれニードルを転動自在に保持する為のポケットとしている。
特に、請求項1に記載したラジアルニードル軸受用保持器に於いては、上記各柱部は、上記両リム部のうちの何れか一方のリム部にそれぞれの基端部を連続させた複数本の素柱部の先端部を、他方のリム部に接合する事により構成されたものである。
この様に、上記各素柱部の先端部を他方のリム部に接合する構造を得る為には、例えば請求項2に記載した様に、これら各素柱部の先端面を、他方のリム部の軸方向片側面の外径寄り部分に突き合わせた状態で、この他方のリム部に対し溶接乃至は接着する。
或いは、請求項3に記載した様に、上記各素柱部の先端部を他方のリム部の外周縁部に形成された切り欠きに嵌合させる。そして、これら各素柱部の先端部とこれら各切り欠きの内面との当接面のうちの少なくとも一部を、溶接乃至は接着する。
或いは、請求項4に記載した様に、上記各素柱部の先端部内周側面に、径方向外方に凹んだ段付凹部を形成する。又、これら各素柱部の先端部でこの段付凹部の周囲に位置する部分を、他方のリム部の外周縁部に形成された切り欠きに嵌合すると共に、上記段付凹部の端部に存在する段差面を、上記他方のリム部の軸方向片側面に突き合わせる。そして、上記各素柱部の先端部とこの他方のリム部との当接面のうちの少なくとも一部を、溶接乃至は接着する。
又、請求項5に記載したラジアルニードル軸受は、外周面に円筒形の内輪軌道を設けた内輪相当部材と、内周面に円筒形の外輪軌道を設けた外輪相当部材と、これら内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数本のニードルと、これら各ニードルを転動自在に保持する保持器とを備える。
特に、本発明のラジアルニードル軸受に於いては、上記保持器が、上述の請求項1〜4に記載した様なラジアルニードル軸受用保持器である。
更に、請求項6に記載したラジアルニードル軸受用保持器の製造方法の場合には、先ず、金属板に曲げ加工及び打ち抜き加工を施す事により、円環状のリム部と、このリム部にそれぞれの基端部を連続させた複数本の素柱部とを備えた保持器素子とする。その後、この保持器素子のリム部と、別途加工したリム部とを互いに同心に配置すると共に、上記各素柱部の先端部を、この別途加工したリム部に接合する。
上述の様な、本発明のラジアルニードル軸受用保持器の製造方法を実施する場合に、例えば請求項7に記載した様に、先ず、金属板に打ち抜き加工を施す事により、リム部となるべき円環部と、この円環部の外周縁から放射方向に延びる複数の舌片とを形成する。その後、これら各舌片をこの円環部に対し直角に折り曲げる事により、互いに平行な直線状の柱中間体とする。次いで、外周面に凸部と凹部とを、加工すべきこれら各柱中間体と同じピッチで交互に配置した内径側受型の先端部を、これら各柱中間体の内半部内側に、上記円環部の円周方向に関する上記各凸部の位相とこれら各柱中間体の位相とを一致させた状態で挿入してから、上記各柱中間体の外周面を押型の内周面により上記内径側受型の外周面に押し付ける。そして、これら各柱中間体を、上記円環部の径方向に関してこの円環部の外周縁と実質的に一致する部分に存在する基端部と、同じくこの基端部よりも内側寄り部分に存在する中間部乃至先端部とを、基端寄り折れ曲がり部により連続させた、各第二柱中間体とする。その後、上記内径側受型を、上記円環部の円周方向に関する上記各凹部の位相と上記各第二柱中間体の位相とが一致する迄、この円環部に対し相対回転させ、次いで、上記内径側受型の先端部を上記各第二柱中間体の内側から抜き出す。
又、上述の請求項7に記載したラジアルニードル軸受用保持器の製造方法を実施する場合に、更に好ましくは、請求項8に記載した様に、内径側受型の先端部を上記各第二柱中間体の内側から抜き出した後、外径側受型をこれら各第二柱中間体の周囲に、第二内径側受型を上記各第二柱中間体のうちで円環部寄りの長さ方向一端部内側に、それぞれ配置する。このうちの外径側受型は、内周面の軸方向中間部で上記各第二柱中間体の長さ方向中間部外周側面に対向する部分に凸部と凹部とを、これら各第二柱中間体と同じピッチで交互に配置したものである。又、上記第二内径側受型は、上記内径側受型の先端部と同様の構成を有するものである。この第二内径側受型と上記外径側受型とを、上述の様に所定位置に配置した状態で、上記各第二柱中間体の長さ方向他端部内側に第二押型を押し込み、上記各第二柱中間体を、この第二押型と上記外径側受型と上記第二内径側受型との間で挟持する。この作業により、上記各第二柱中間体の中間部と先端部との間に、基端寄り折れ曲がり部と逆方向に折れ曲がった先端寄り折れ曲がり部を形成して、上記各第二柱中間体を素柱部に加工する事により、保持器素子とする。その後、上記外径側受型内周面の各凹部とこれら素柱部の位相とを一致するまでこの外径側受型と上記保持器素子とを相対回転させて、この外径側受型をこの保持器素子の周囲から取り出す。又、上記第二内径側受型を、上記円環部の円周方向に関する各凹部の位相と上記各素柱部の位相とが一致する迄、この円環部に対し相対回転させ、次いで、上記第二内径側受型を上記保持器素子の内側から抜き出す。
上述の様に構成する本発明のラジアルニードル軸受用保持器とその製造方法及びラジアルニードル軸受によれば、前述した先発明の場合と同様に、矯正作業等、特に面倒な加工を要する事なく、1対のリム部及び各柱部の形状精度を正確に規制できる。そして、各ポケット内へのニードルの組み込みの容易化と、一度組み込んだニードルの脱落防止とを十分に図れる。
更に、本発明のラジアルニードル軸受用保持器とその製造方法及びラジアルニードル軸受によれば、製造コストのより一層の低減を図れる。
この理由の第一は、各素柱部の先端部と他方のリム部とを接合する際の位置決め作業を容易に行なえる為である。即ち、上記先発明の様に、細く、しかも(先端部同士を結合する以前の片持ち状態で)剛性が低い半柱部の先端同士を、正確に突き合わせる手間が不要になるので、上記位置決め作業を容易に行なえて、製造コストの低減に寄与できる。
又、上記理由の第二は、上記各素柱部の先端部と上記他方のリム部との接合部に存在する、溶接等に伴って生じる凸部と、各ポケット内に保持されるニードルの転動面との干渉防止をあまり考慮する必要がない為である。即ち、上記各接合部に対向する上記各ニードルの軸方向端部外周縁部には、外径が小さくなった面取り部が存在する。この為、上記各結合部に多少の(突出量が僅かである)凸部が形成されても、当該凸部と上記各ニードルとが干渉する事はない。従って、上記各接合部に凸部が形成される事を極端に避ける必要がなくなり、その分、これら各接合部の加工作業を容易にして、コスト低減を図れる。
又、請求項7〜8に記載したラジアルニードル軸受用保持器の製造方法によれば、各舌片の中間部をクランク型に折り曲げて各素柱部とする作業を、これら各舌片を円環部に対し直角に折り曲げた後に行なう。この為、これら各舌片の中間部をクランク型に折り曲げて各素柱部とした後、これら各素柱部に曲げ加工を施す事がない。即ち、前述の図26に示した先発明の第1例の場合とは異なり、上記クランク型の曲げ加工の後に別の曲げ加工を行なう事がない。しかも請求項7〜8に記載した発明の場合には、このクランク型の曲げ加工を、内径側受型の先端部外周面、第二内径側受型の外周面に形成した各凸部の外周面により上記各素柱部の内周側面を、或いは外径側受型の内周面に形成した凸部の内周面によりこれら各素柱部の外周側面を、それぞれ抑えた状態で行なう為、上記クランク型の形状精度を確保できる。更に、上記内径側受型の先端部及び第二内径側受型は、各凹部の位相と上記各素柱部の位相とが一致する迄保持器素子に対し相対回転させた状態で、この保持器素子の内側から抜き出す事ができる。又、上記外径側受型は、各凹部の位相と上記各素柱部の位相とが一致する迄上記保持器素子に対し相対回転させた状態で、この保持器素子の外側(周囲)から抜き出す事ができる。即ち、一般的なラジアルニードル軸受用保持器の場合、円周方向に関する柱部の幅よりも、円周方向に隣り合う柱部同士の間に存在するポケットの幅の方が広い。従って、上記各凸部により上記各素柱部を、全幅に亙り支持する様にしても、これら各凸部を、加工後の上記クランク型部分同士の間から抜き取れる。この為、大量生産が可能な工業的手法により、良質の保持器を安定して得る事ができる。
[実施の形態の第1例]
図1〜4は、請求項1、2、6に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例のラジアルニードル軸受用保持器の完成状態での形状は、前述の図21〜23に示した従来構造とほぼ同様になる。完成状態での形状の相違は、中心軸に直交する仮想平面に関する、各柱部12、12の断面形状のみとなる。本例の特徴は、これら各柱部12、12を、一方のリム部11aの外周縁部にそれぞれの基端部を連続させた各素柱部25、25の先端縁を、他方のリム部11bの軸方向片側面外径寄り部分に突き合わせ、この突き合わせ部を溶接する事により構成した点にある。そして、この様な構成を採用する事により、1対のリム部11a、11bの真円度を初めとする、各部の形状精度並びに寸法精度を向上させると共に、上記仮想平面に関する上記各柱部12、12の断面形状を円弧形としている。
この為に本例の場合には、金属板に曲げ加工及び打ち抜き加工を施す事により、上記一方のリム部11aと上記各素柱部25、25とから成る保持器素子26と、上記他方のリム部11bとを造る。このうちの保持器素子26は、円環状の上記一方のリム部11aと、このリム部11aにそれぞれの基端部を連続させた上記複数本の素柱部25、25とを備えている。本例の場合には、図4の様にして、この様な保持器素子26を造る。先ず、この保持器素子26の製造方法に就いて説明する。尚、上記図4では、上記各素柱部25、25、並びに、これら各素柱部25、25を造る為の舌片22a、22aの円周方向に関するピッチを、実際よりも短く描いている。
始めに、原材料となる鋼板或はステンレス鋼板等に打ち抜き加工を施す事により、図4の(A)に示す様な円形の素板19aを得る。
次いで、この素板19aの一部に打ち抜き加工を施す事により、図4の(B)に示す様な第一中間素材20aを得る。即ち、上記素板19aの中心部を円形に打ち抜くと共に、径方向中間部から外周縁部に達する部分を切り欠き状に打ち抜く事により、中心部に上記一方のリム部11aとなるべき円環部21aを形成すると共に、この円環部21aの外周縁の等間隔複数個所から径方向外方に延出する、上記各素柱部25、25となるべき舌片22a、22aを形成する。これら各舌片22a、22aには、上記各柱部12、12を構成した状態で係止突部15、15(図3、22、23参照)となるべき、突部を形成している。
上記第一中間素材20aには、次いで、図4の(C)に示す様な段付加工を施して、第二中間素材23aとする。この第二中間素材23aは、上記第一中間素材20aの一部で上記各舌片22a、22aの長さ方向中間部2個所位置を、それぞれクランク型に、互いに逆方向に曲げ形成したものである。この様な加工は、完成品となる保持器7の断面形状を、図1、21〜23に示す様な略M字形とする事に対応して行なうものである。この際、上記各舌片22a、22aにもプレス加工を施して、これら各舌片22a、22aの幅方向の断面形状を円弧形とする。この円弧形の曲率半径は、これら各舌片22a、22aから上記各柱部12、12を組み立てた状態で、これら各柱部12、12が単一仮想円筒状空間内に存在する様に規制する。この様に、上記第一中間素材20aから上記第二中間素材23aを得る加工は、プレス加工機にセットした上下1対の金型同士の間で上記第一中間素材20aを押圧する事により、容易に、且つ高精度に行なえる。
上記第二中間素材23aには、次いで、図4の(D)に示す様な絞り・曲げ加工を施して、前記保持器素子26とする。この絞り・曲げ加工は、前記円環部21aの外径寄り部分を上記各舌片22a、22aと共に、この円環部21aの軸方向(図4の下段図面の上方)に、これら各舌片22a、22a同士が互いに実質的に平行になるまで、全周に亙り直角に折り曲げる事により行なう。この様な絞り・曲げ加工により、上記第二中間素材23aが上記保持器素子26となり、上記各舌片22a、22aは、上記各素柱部25、25となる。
本例の保持器を造るには、それぞれが上述の様にして得られた保持器素子26と、別途金属板を打ち抜き成形する事により、図1〜3に示す様に円輪状に造られた他方のリム部11bとを、図3に示す様に、この他方のリム部11bと上記保持器素子26を構成する一方のリム部11aとを互いに同心に位置させた状態で配置する。次いで、上記保持器素子26を構成する、上記各素柱部25、25の先端縁を、図1、2に示す様に、上記他方のリム部11bの軸方向片側面外径寄り端部に突き合わせる。そして、この突き合わせ部を溶接して、この他方のリム部11bと上記保持器素子26とを接合固定する。それぞれの先端部をこの他方のリム部11bに突き合わせ更に溶接した上記各素柱部25、25は、前記各柱部12、12となる。そして、円周方向に隣り合う各柱部12、12と上記両リム部11a、11bとにより四周を囲まれた部分が、それぞれポケット13、13(図1、2、21〜23参照)となる。
上述の様に構成し造られる、本例のラジアルニードル軸受用保持器の場合には、前述した先発明の場合と同様に、次の(1) 〜(5) の理由により、形状精度を良好にする事が容易で、この保持器を組み込んだラジアルニードル軸受の性能を良好にできる。
(1) 上記他方のリム部11bだけでなく、一方のリム部11aとなるべき保持器素子26の円環部21aを、平板状の前記素板19aを打ち抜く事により造るので、上記他方のリム部11bは勿論、上記円環部21aから造られる上記一方のリム部11aの真円度も良好にできる。
(2) 前記第二中間素材23aから上記保持器素子26を造るべく、上記円環部21aの径方向中間部外径寄り部分を全周に亙り直角に折り曲げる作業は、プレス加工機等を使用して大きな力で行なえる。この為、上記円環部21aから造られる上記一方のリム部11aを正しく円形にする事が容易で、得られた保持器素子26全体を、多角形状ではない、正確な円形にできる。
(3) 上記各柱部12、12となるべき上記各素柱部25、25の断面形状を予め湾曲させておけるので、これら各柱部12、12部分の断面形状も円弧形にできる。
(4) 円周方向に隣り合う柱部12、12同士の間隔を厳密に一致させる事ができ、これら各柱部12、12同士の間に設けられるポケット13、13の幅寸法を正確に一致させる事ができる。
(5) 保持器7の断面形状を略M字形とする場合でも、上記各素柱部25、25の形状が、上記リム部11aの加工時に歪む事がない為、これら各素柱部25、25により造られる上記各柱部12、12の形状が歪む事もない。
更に、本例の場合には、前述した先発明の場合に比べて、次の様な理由により、製造コストのより一層の低減を図れる。
先ず第一に、上記他方のリム部11bと上記保持器素子26との組み合わせ時には、この他方のリム部11bの軸方向片側面外周寄り部分に上記各素柱部25、25の先端縁を突き当てるのみで良い。前述した先発明の様に、細く、しかも、互いの先端部同士を接合する以前の片持ち状態で剛性が低い半柱部17、17(図25参照)の先端同士を、正確に突き合わせる手間が不要になる。この為、上記位置決め作業を容易に行なえて、製造コストの低減に寄与できる。
又、上記各素柱部25、25の先端部と上記他方のリム部11bとの接合部に存在する、溶接等に伴って生じる凸部と、上記各ポケット13、13内に保持されるニードル6、6(図21参照)の転動面との干渉防止をあまり考慮する必要がない。即ち、上記各接合部に対向する上記各ニードル6、6の軸方向端部外周縁部には、外径が小さくなった面取り部が存在する。この為、上記各接合部に多少の(突出量が僅かである)凸部が形成されても、当該凸部と上記各ニードル6、6の表面とが干渉する事はない。従って、上記各接合部に凸部が形成される事を極端に避ける必要がなくなり、その分、これら各接合部の加工作業を容易にして、コスト低減を図れる。
[実施の形態の第2例]
図5〜10は、請求項1、2、6、7、8に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。尚、本例の特徴は、図5及び図6の(A)に示す様な第二中間素材24aを、図8、10に示す様な保持器素子26に加工する為のアンダカット成形を、精度良く行なえるラジアルニードル軸受用保持器の製造方法及び製造装置を実現する点にある。即ち、上記第二中間素材24aを構成する互いに平行な直線状の柱中間体28、28の長さ方向中間部をクランク型に曲げ形成して各素柱部25、25とするプレス加工を、上記各柱中間体28、28の内周側、外周側両面を受型により支えつつ行ない、しかも加工後にこの受型を上記保持器素子26から分離できる様にする点にある。その他の点に就いては、上述した本発明の実施の形態の第1例の場合と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
上記第二中間素材24aは、鋼板若しくはステンレス鋼板等の金属板により造られたもので、一方のリム部となるべき円環部21aと、この円環部21aの外周縁からこの円環部21aに対し直角に折れ曲がった、上記各柱中間体28、28とを有する。これら各柱中間体28、28の幅方向に関する断面形状は円弧形で、軸方向(長さ方向)に関する形状は、互いに平行な直線状である。この様な第二中間素材24aは、先ず、図6に示したプレス加工機29を構成する受台30の上面に載置(セット)する。このプレス加工機29は、この受台30に加えて、内径側受型31と押型32とを備える。そして、これら内径側受型31の外周面と押型32の内周面との間で、上記各柱中間体28、28を押圧する事により、これら各柱中間体28、28の長さ方向中間部を折り曲げて、上記第二中間素材24aを、図6の(B)〜(E)に示す様な第三中間素材33とする。即ち、上記各柱中間体28、28を、上記円環部21aの径方向に関してこの円環部21aの外周縁と実質的に一致する部分に存在する基端部34と、同じくこの基端部34よりも内側寄り部分に存在する中間部35乃至先端部36とを、折れ曲がり部37により連続させた、各第二柱中間体38とする為の加工を行なう。
上記受台30の上面には、上記円環部21aをがたつきなく外嵌できる位置決め凸部39を形成している。そして、この円環部21aをこの位置決め凸部39に外嵌すると共に、この円環部21aの軸方向片面を上記受台30の上面に当接させた状態で、上記第二中間素材24aが上記プレス加工機29に、正規の位置関係でセットされる。この様に、この第二中間素材24aをこのプレス加工機29にセットしたならば、図6の(A)に示す様に、この第二中間素材24aの内側に、上記内径側受型31の先端部を挿入する。尚、上記位置決め凸部39の高さ寸法は、上記円環部21aの厚さ寸法以下(好ましくは未満)としている。従って、上記位置決め凸部39にこの円環部21aを外嵌した状態で、この円環部21aの上面がこの位置決め凸部39の上面よりも下方に位置する事はない。
上記内径側受型31は、基部40と複数の凸部41、41とを備える。このうちの基部40は、円柱状で、上記各第二柱中間体38、38の中間部35乃至先端部36の内周面に実質的に合致する形状の外周面を有する。即ち、上記基部40の外周面は、上記各第二柱中間体38、38の加工時に発生するスプリングバックを考慮した上で、これら各第二柱中間体38、38の中間部35乃至先端部36の内周面の形状を加工できる寸法を有する、円筒面としている。具体的には、上記基部40の外径を、完成後の上記各第二柱中間体38、38の中間部35乃至先端部36の内接円の直径よりも僅かに(上記スプリングバック分だけ)小さくしている。
又、上記各凸部41、41は、上記基部40の先端部外周面に、円周方向に関して前記各柱中間体28、28及び上記各第二柱中間体38、38と同じピッチで固設(例えば一体成形)されている。又、上記各凸部41、41の外周面の形状は、上記各第二柱中間体38、38の基端部34及び折れ曲がり部37の内周面の形状に実質的に合致する。即ち、上記各凸部41、41の外周面の形状を、加工時に発生するスプリングバックを考慮した上で、上記各第二柱中間体38、38の基端部34及び折れ曲がり部37の内周面の形状を加工できる形状としている。具体的には、上記各凸部41、41の外周面の形状を、加工後の上記各第二柱中間体38、38の基端部34及び折れ曲がり部37の内周面の形状よりも僅かに(上記スプリングバック分だけ)小さくしている。又、上記各凸部41、41の円周方向に関する幅W41(図7参照)を、上記各第二柱中間体38、38の幅W38(図5参照)以上で、円周方向に隣接する各第二柱中間体38、38の間隔D38以下(W38≦W41≦D38)としている。この様な凸部41、41を形成した、上記内径側受型31の先端部は、上記第二中間素材24aの内側に、前記円環部21aの円周方向に関して、上記各凸部41、41の位相と前記各柱中間体28、28の位相とを一致させた状態で挿入する。
この様に、上記第二中間素材24aの内側に上記内径側受型31の先端部を挿入したならば、その後、図6の(B)に示す様に、上記各柱中間体28、28の外周面を、前記押型32の内周面により、上記内径側受型31の外周面に押し付ける。図示しない、プレス加工機のラムに固定されて昇降させられる、上記押型32の下端部は、上記第二中間素材24aの柱中間体28、28を上記各第二柱中間体38、38に加工する為の円筒部42としている。そして、この円筒部42の内周面の形状を、上記各第二柱中間体38、38の外周面と実質的に一致する形状としている。具体的には、上記円筒部42の内周面の形状を、加工後の上記各第二柱中間体38、38の基端部34及び折れ曲がり部37の外周面の形状よりも僅かに(上記スプリングバック分だけ)小さい、段付円筒面状としている。
尚、上記内径側受型31は上記押型32に対し、昇降を可能に、且つ、下方に向いた弾力を付与した状態で支持されている。即ち、上記押型32の上半部に形成した中心孔43に上記内径側受型31の基部40を、がたつきなく、且つ、昇降自在に嵌合している。又、これら中心孔43の内周面と基部40の外周面との間には、キー係合等の回転防止機構(図示省略)を設ける事で、上記押型32を所定角度回転させる事により、上記内径側受型31も同じ角度だけ回転させられる様に(或いは上記押型32に対しこの内径側受型31が回転しない様に)している。又、この内径側受型31の上端面にその下端部を結合固定したプッシュロッド44を、上記押型32の上端部に固定したガイドプレート45に、昇降自在に挿通している。更に、このガイドプレート45の上方に固定したばね受ハウジング46の奥端面(下面)と、上記プッシュロッド44の上端部に固設したばね受座47との間に、圧縮コイルばね等の押圧ばね48を設けて、上記内径側受型31に、下方に向いた弾力を付与している。
上記各柱中間体28、28の外周面を、上記押型32の内周面により、上記内径側受型31の外周面に押し付けるべく、この押型32を前記ラムにより下方に押圧した状態では、上記内径側受型31が、図6の(B)に示す様に、上記押圧ばね48を弾性的に圧縮しつつ、上記押型32に対し上昇する(実際には、内径側受型31がそのままの位置に止まり、この押型32のみが下降する)。従って、この内径側受型31の先端面(片面)は、前記位置決め凸部39に外嵌した前記円環部21aを、前記受台30の上面に向けてしっかりと抑え付け、この円環部21aを含む前記第二中間素材24aが、不用意に動く事を防止する。上記押型32の下半部に設けられた、前記円筒部42は、この様に上記第二中間素材24aを上記受台30の上面に抑え付けた状態で、上記図6の(B)に示す様に、この第二中間素材24aの周囲に向け下降する。
そして、上記円筒部42の内周面により、上記各柱中間体28、28を上記内径側受型31の外周面に押し付けて、これら各柱中間体28、28を前記各第二柱中間体38、38に加工し、上記第二中間素材24aを前記第三中間素材33とする。具体的には、これら各第二柱中間体38、38を、上記円環部21aの径方向に関してこの円環部21aの外周縁と実質的に一致する部分に存在する基端部34と、同じくこの基端部34よりも内側寄り部分に存在する中間部35乃至先端部36とを、折れ曲がり部37により連続させた断面クランク型として、上記第三中間素材33とする。この状態では、上記内径側受型31の先端部(下端部)外周面に形成した、前記各凸部41、41の位相が、上記各第二柱中間体38、38の位相と一致している。
次に、下降していたラムを上昇させて、このラムの下端部に固定した上記押型32を、図6の(C)に示す様に、途中まで上昇させる。具体的には、この押型32の下端縁が上記各第二柱中間体38、38の上端縁よりも上方に位置するが、前記ガイドプレート45の上面と前記ばね受座47の下面との間に未だ隙間が存在する程度にまで、上記押型32を上昇させて、一旦停止する。
この状態から、図6の(D)の矢印αで示す様に、上記内径側受型31を、鉛直方向に存在する自身の中心軸βを中心に所定角度だけ回転させる。尚、この内径側受型31だけを回転させる事は難しい為、本例の場合には、上記押型32を上記所定角度だけ回転させる事により、上記内径側受型31をこの所定角度だけ回転させる様にしている。この所定角度とは、上記各第二柱中間体38、38の1/2ピッチ分(=上記各凸部41、41の1/2ピッチ分)としている。従って、上記所定角度分の回転に基づき、それまで一致していた、前記円環部21aの円周方向に関する、上記各凸部41、41の位相と上記各第二柱中間体38、38の位相とが、上記1/2ピッチ分ずれる。言い換えれば、これら各凸部41、41同士の間に存在する凹部49、49の位相と、上記各第二柱中間体38、38の位相とが一致する。逆に言えば、上記各凸部41、41の位相と、これら各第二柱中間体38、38同士の間に存在する、ポケットとなるべき各隙間部分50の位相とが一致する。尚、この様に各部の位相を一致させる作業は、上記押型32を停止させた状態のまま、前記受台30を上記所定角度分回転させる事によっても行なえる。
尚、上述の様に上記内径側受型31を所定角度回転させる際に、前記第三中間素材33が連れ回りしない様な構造を設ける。この様な構造は任意であるが、例えば、この第三中間素材33の一部外周面と上記押型32の一部内周面とを凹凸係合させて、これら第三中間素材33と押型32との相対回転を阻止する構造が考えられる(例えば、押型32を回転させずに内径側受型31のみを回転させる場合)。或いは、上記第三中間素材33と上記受台30との間に凹凸係合部を設けると共に、上記内径側受型31の回転を阻止する構造も採用できる(例えば、内径側受型31を回転させずに、受台30を回転させる場合)。何れにしても、上記第三中間素材33の回転を規制した状態で、上記内径側受型31又は上記受台30を、シリンダ型或いはボールねじ式のアクチュエータとクランク腕を組み合わせた揺動機構等、適宜の揺動機構により、上記所定角度回転させる。
何れにしても、上述の様に、上記各凹部49、49の位相と上記各第二柱中間体38、38の位相とが(上記各凸部41、41の位相と隙間部分50の位相とが)一致したならば、図6の(E)に示す様に、上記内径側受型31の先端部を、プレス加工の結果得られた、前記第三中間素材33の内側から抜き出す。この抜き出し作業は、前記ラムを上昇させる事により行なう。前述した通り、上記円環部21aの円周方向に関する、上記各第二柱中間体38、38の幅寸法は、ポケットとなるべき、上記各隙間部分50の幅寸法よりも小さいので、上記抜き出し作業時に、上記各第二柱中間体38、38を傷める(変形させる)事はない。
上述の様にして、上記第三中間素材33を加工し、この第三中間素材33の内側及び周囲から上記内径側受型31及び上記押型32を抜き出したならば、続いて、図8に示す様にして、上記第三中間素材33を前記保持器素子26に加工する為の、第二段階のアンダカット成形を行なう。この第二段階のアンダカット成形では、上記内径側受型31の先端部を上記第三中間素材33の内側から、上記押型32をこの第三中間素材33の周囲から、それぞれ抜き出した後、外径側受型51をこの第三中間素材33の周囲に、第二内径側受型52をこの第三中間素材33のうちでリム部となるべき円環部21a寄りの軸方向一端部内側に、それぞれ配置する。尚、この様に第二段階のアンダカット成形の準備を行なう際、上記第三中間素材33を別の受台30に移し替えても良いし、受台30をそのままにして(別の受台30に移し替える事なく)、受台30の上方に設置する、加工用の各型を入れ換えても良い。又、上記第二内径側受型52を上記第三中間素材33の内径に配置する作業は、上記内径側受型31の抜き出し作業と逆の手順で行なう。
上記各型のうちの外径側受型51は、全体を円筒状に造られたもので、内周面の軸方向中間部で上記各第二柱中間体38、38の長さ方向中間部外周側面に対向する部分に凸部53と凹部54とを、これら各第二柱中間体38、38と同じピッチで交互に配置している。又、上記第二内径側受型52は、上記内径側受型31の先端部と同様の構成を有するものであり、第二押型55の下方に、この第二押型55と同心に、この第二押型55に対する昇降を可能に、下方に向いた弾力を付与した状態で、且つ、この第二押型55に対する相対回転を阻止した状態で支持している。又、上記外径側受型51も、この第二押型55の周囲に、この第二押型55に対する昇降を可能に、下方に向いた弾力を付与した状態で、且つ、この第二押型55に対する相対回転を阻止した状態で支持している。尚、この第二押型55と、上記第二内径側受型52及び上記外径側受型51との係合状態に関しては、基本的には、前記内径側受型31と前記押型32との係合状態と類似しており、図8から自明の構造であるから、詳しい説明は省略する。
上記第二段階のアンダカット成形を行なう場合には、上記第二内径側受型52と上記外径側受型51とを、図8に示す所定位置に配置した状態で、上記第三中間素材33を構成する上記各第二柱中間体38、38の長さ方向他端部内側に、上記第二押型55を押し込む。そして、これら各第二柱中間体38、38を、この第二押型55と、上記外径側受型51と、上記第二内径側受型52との間で挟持する。この作業により、上記各第二柱中間体38、38の中間部35と先端部36との間に、前記基端寄り折れ曲がり部37と逆方向に折れ曲がった、先端寄り折れ曲がり部56を形成する。この結果、上記各第二柱中間体38、38が各素柱部25、25に加工され、上記第三中間素材33が保持器素子26となる。
その後、前記受台30又は上記第二押型55を所定角度回転させて、上記外径側受型51の内周面に存在する前記各凹部54と、上記各素柱部25、25の位相とを一致させて、この外径側受型51を上記保持器素子26の周囲から取り出す。又、上記第二内径側受型52の外周面の前記各凹部の位相と上記各素柱部25、25の位相とを一致させて、この第二内径側受型52を上記保持器素子26の内側から抜き出す。この際も、この保持器素子26の連れ回りを、適宜の凹凸係合により阻止する。その後、この保持器素子26を上記受台30の上面から取り出して、図9に示した様な、別途造っておいた別のリム部11bと、図10に示す様に組み合わせ、溶接、ろう付け、接着、かしめ付け等の適宜手段により接合固定して、保持器7とする。
本例の場合には、前記各柱中間体28、28の中間部をクランク型に折り曲げて上記各素柱部25、25とする作業を、これら各柱中間体28、28を前記円環部21aに対し直角に折り曲げた後に行なう。この為、これら各柱中間体28、28の中間部をクランク型に折り曲げて各素柱部25、25とした後、これら各素柱部25、25に曲げ加工を施す事がない。即ち、前述の実施の形態の第1例の場合とは異なり、上記クランク型の曲げ加工の後に別の曲げ加工を行なう事がない。この為、この別の曲げ加工に伴い、上記各素柱部25、25の形状が歪む事がない。
しかも本例の場合には、前記基端寄り折れ曲がり部37の曲げ加工を、前記内径側受型31の一部外周面により、上記各柱中間体28、28の内周側面を抑えた状態で、前記先端寄り折れ曲がり部56の曲げ加工を、前記外径側受型51の一部内周面及び前記第二内径側受型52の一部外周面により前記各第二柱中間体38、38のうちで基端部乃至中間部の内外両周面を抑え付けた状態で、それぞれ行なう為、上記各折れ曲がり部37、56の形状精度を確保できる。更に、上記各受型31、51、52は、各型の周面に形成した凹部の位相と上記各第二柱中間体38、38或いは上記各素柱部25、25の位相とが一致する迄回転させる事により、曲げ加工を終了した状態の、前記第三中間素材33或いは上記保持器素子26の内側若しくは周囲から抜き出す事ができる。この為、大量生産が可能な工業的手法により、良質の保持器を安定して得る事ができる
[実施の形態の第3例]
図11〜14は、請求項1、3に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、各素柱部25a、25aの先端部を、他方のリム部11bの外周縁部に形成された切り欠き57、57に嵌合させている。この他方のリム部11bの径方向に関する、これら各切り欠き57、57の深さ寸法は、上記各素柱部25a、25aの厚さ寸法に一致させている。本例の場合には、これら各素柱部25a、25aの先端部両側縁を、上記他方のリム部11bの板厚分だけ切り欠いて、これら各素柱部25a、25aの先端部に、上記各切り欠き57、57に隙間なく嵌合する、幅狭部58、58を形成している。そして、これら各幅狭部58、58を上記各切り欠き57、57に嵌合した状態で、これら各幅狭部58、58若しくはこれら各幅狭部58、58の両側部分と、上記各切り欠き57、57の内面との当接面のうちの少なくとも一部を、溶接乃至は接着して、上記各素柱部25a、25aの先端部と上記他方のリム部11bとを接合している。
上述の様に構成する本例の構造の場合には、上記各素柱部25a、25aの先端部と上記他方のリム部11bの外周縁部との位置決め作業を、容易、且つ、確実に行なえる。即ち、上記各幅狭部58、58を上記各切り欠き57、57に嵌合した状態で、上記各素柱部25a、25aの先端部と上記他方のリム部11bの外周縁部との位置関係が、周方向、軸方向、径方向の何れの方向に就いても、一義的に定まる。この為、上記位置決め作業が容易になって、精度の良い保持器7を、確実に得られ、歩留向上によるコスト低減を図れる。尚、軸方向に関する位置決めを、別途組立ロボットにより規制できるのであれば、上記各素柱部25a、25aの先端部に上記各幅狭部58、58を形成する必要はない。この場合には、上記各切り欠き57、57の幅を、上記各素柱部25a、25aの先端部の幅に一致させる。
製造方法等、他の部分の構成及び作用に就いては、前述の第1例或いは第2例と同様のであるから、重複する説明は省略する。
[実施の形態の第4例]
図15〜20は、請求項1、4に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合も、各素柱部25b、25bの先端部を、他方のリム部11bの外周縁部に形成された切り欠き57a、57aに嵌合させている。特に、本例の場合には、上記各素柱部25b、25bの先端部内周側面に、これら各素柱部25b、25bの長さ方向の寸法が、上記他方のリム部11bの板厚分である段付凹部59、59を、径方向外方に凹んだ状態で形成している。又、この他方のリム部11bの外周縁部に形成した、上記各切り欠き57a、57aの、この他方のリム部11bの径方向に関する深さ寸法を、上記各素柱部25b、25bの先端部で上記段付凹部59、59を形成した部分の厚さ寸法に一致させている。そして、これら各素柱部25b、25bの先端部で上記段付凹部59、59を形成した部分を上記各切り欠き57a、57aに嵌合した状態で、上記各素柱部25b、25bの先端部とこれら各切り欠き57a、57aの内面との当接面のうちの少なくとも一部を、溶接乃至は接着して、上記各素柱部25b、25bの先端部と上記他方のリム部11bとを接合している。
上述の様に構成する本例の構造の場合も、上述した第3例の場合と同様に、上記各素柱部25b、25bの先端部と上記他方のリム部11bの外周縁部との位置決め作業を、容易、且つ、確実に行なえる。即ち、上記各素柱部25b、25bの先端部で上記段付凹部59、59を形成した部分を上記各切り欠き57a、57aに嵌合した状態で、上記各素柱部25b、25bの先端部と上記他方のリム部11bの外周縁部との位置関係が、周方向、軸方向、径方向の何れの方向に就いても、一義的に定まる。この為、上記位置決め作業が容易になって、精度の良い保持器7を、確実に得られ、歩留向上によるコスト低減を図れる。
製造方法等、他の部分の構成及び作用に就いては、前述の第1例或いは第2例と同様のであるから、重複する説明は省略する。
尚、本例の構造を得る為に、上記各素柱部25b、25bの先端部に上記段付凹部59、59を形成する方法は、特に問わない。これら各素柱部25b、25bの先端部に切削加工を施す事によっても、上記段付凹部59、59を形成する事はできる。但し、図19〜20に示す様なプレス加工によりこの段付凹部59、59を形成すれば、加工作業を容易に行なえて、低コスト化を図れる。即ち、一方のリム部と成る円環部に対し折り曲げて上記各素柱部25bとする以前の舌片22aの状態{前述した図4の(B)の状態}で、これら各舌片22aの先端部で上記各段付凹部59となるべき部分を、図19に示す様に押し潰す。次いで、図20に示す様に、この押し潰し作業に伴って面方向に拡がった部分を除去(トリミング)する。この作業により上記各素柱部25b、25bの先端部の形状を、図18に示す様な所望形状に整えられる。
本発明の実施の形態の1例を示す断面図。 図1の右方から見た図。 同じく保持器素子と他方のリム部とを接合する以前の状態で示す斜視図。 保持器素子の加工方法を工程順に示す平面図及び断面図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、第二中間素材の断面図。 この第二中間素材を第三中間素材に加工する状態を工程順に示す断面図。 内径側受型の先端部の形状を示す斜視図。 上記第三中間素材を保持器素子に加工する状態を示す断面図。 この保持器素子と組み合わされる他方のリム部の断面図。 これら保持器素子と他方のリム部とを組み合わせた状態を示す断面図。 本発明の実施の形態の第3例を示す断面図。 図11の右方から見た図。 保持器素子と他方のリム部とを組み合わせる直前の状態を示す部分断面図。 同じく部分斜視図。 本発明の実施の形態の第4例を示す断面図。 図15の右方から見た図。 保持器素子と他方のリム部とを組み合わせる直前の状態を示す部分断面図。 同じく部分斜視図。 舌片の先端部に段付凹部を形成する状態を示す、平面図及び断面図。 この段付凹部の形状及び寸法を修正する為のトリミング加工の状況を示す平面図及び断面図。 従来から知られている遊星歯車の回転支持装置の1例を示す部分断面図。 同じくラジアルニードル軸受用保持器の1例を示す斜視図。 図22のA−A断面図。 円筒状に形成する前の中間素材を、円筒状とした場合に外周面となる側から見た図。 先発明の構造及び製造方法を、1対の保持器素子を結合する以前の状態で示す斜視図。 先発明の製造方法の第1例を、工程順に示す平面図及び断面図。 同第2例を示す、図26と同様の図。
符号の説明
1 キャリア
2a、2b 支持板
3 支持軸
4 遊星歯車
5 ラジアルニードル軸受
6 ニードル
7 保持器
8 内輪軌道
9 外輪軌道
10a、10b フローティングワッシャ
11、11a、11b リム部
12 柱部
13 ポケット
14 中間素材
15 係止突部
16 内径側係止部
17 半柱部
18 保持器素子
19、19a 素板
20、20a 第一中間素材
21、21a 円環部
22、22a 舌片
23、23a 第二中間素材
24、24a 第二中間素材
25、25a、25b 素柱部
26 保持器素子
28 柱中間体
29 プレス加工機
30 受台
31 内径側受型
32 押型
33 第三中間素材
34 基端部
35 中間部
36 先端部
37 基端寄り折れ曲がり部
38 第二柱中間体
39 位置決め凸部
40 基部
41 凸部
42 円筒部
43 中心孔
44 プッシュロッド
45 ガイドプレート
46 ばね受ハウジング
47 ばね受座
48 押圧ばね
49 凹部
50 隙間部分
51 外径側受型
52 第二内径側受座
53 凸部
54 凹部
55 第二押型
56 先端寄り折れ曲がり部
57、57a 切り欠き
58 幅狭部
59 段付凹部

Claims (8)

  1. 金属板により造られ、軸方向両端部に互いに平行に設けられた、それぞれが円環状である1対のリム部と、これら両リム部同士の間に掛け渡される状態で設けられた複数の柱部とを備え、円周方向に隣り合う柱部と上記両リム部とにより四周を囲まれる部分を、それぞれニードルを転動自在に保持する為のポケットとしたラジアルニードル軸受用保持器に於いて、上記各柱部は、上記両リム部のうちの何れか一方のリム部にそれぞれの基端部を連続させた複数本の素柱部の先端部を、他方のリム部に接合する事により構成されたものである事を特徴とするラジアルニードル軸受用保持器。
  2. 各素柱部の先端面が、他方のリム部の軸方向片側面の外径寄り部分に突き合わされた状態で、この他方のリム部に対し溶接乃至は接着されている、請求項1に記載したラジアルニードル軸受用保持器。
  3. 各素柱部の先端部が、他方のリム部の外周縁部に形成された切り欠きに嵌合しており、これら各素柱部の先端部とこれら各切り欠きの内面との当接面のうちの少なくとも一部が、溶接乃至は接着されている、請求項1に記載したラジアルニードル軸受用保持器。
  4. 各素柱部の先端部内周側面に、径方向外方に凹んだ段付凹部が形成されており、これら各素柱部の先端部でこの段付凹部の周囲に位置する部分が、他方のリム部の外周縁部に形成された切り欠きに嵌合すると共に、上記段付凹部の端部に存在する段差面が、上記他方のリム部の軸方向片側面に突き合わされており、上記各素柱部の先端部とこの他方のリム部との当接面のうちの少なくとも一部が、溶接乃至は接着されている、請求項1に記載したラジアルニードル軸受用保持器。
  5. 外周面に円筒形の内輪軌道を設けた内輪相当部材と、内周面に円筒形の外輪軌道を設けた外輪相当部材と、これら内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数本のニードルと、これら各ニードルを転動自在に保持する保持器とを備えたラジアルニードル軸受に於いて、この保持器が、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したラジアルニードル軸受用保持器である事を特徴とするラジアルニードル軸受。
  6. 金属板に曲げ加工及び打ち抜き加工を施す事により、円環状のリム部と、このリム部にそれぞれの基端部を連続させた複数本の素柱部とを備えた保持器素子とした後、この保持器素子のリム部と、別途加工したリム部とを互いに同心に配置すると共に、上記各素柱部の先端部を、この別途加工したリム部に接合する、ラジアルニードル軸受用保持器の製造方法。
  7. 金属板に打ち抜き加工を施す事により、リム部となるべき円環部と、この円環部の外周縁から放射方向に延びる複数の舌片とを形成した後、これら各舌片をこの円環部に対し直角に折り曲げる事により、互いに平行な直線状の柱中間体とし、次いで、外周面に凸部と凹部とを、加工すべきこれら各柱中間体と同じピッチで交互に配置した内径側受型の先端部を、これら各柱中間体の内半部内側に、上記円環部の円周方向に関する上記各凸部の位相とこれら各柱中間体の位相とを一致させた状態で挿入してから、これら各柱中間体の外周面を押型の内周面により上記内径側受型の外周面に押し付けて、これら各柱中間体を、上記円環部の径方向に関してこの円環部の外周縁と実質的に一致する部分に存在する基端部と、同じくこの基端部よりも内側寄り部分に存在する中間部乃至先端部とを、基端寄り折れ曲がり部により連続させた、各第二柱中間体としてから、上記内径側受型を、上記円環部の円周方向に関する上記各凹部の位相とこれら各第二柱中間体の位相とが一致する迄、この円環部に対し相対回転させ、次いで、上記内径側受型の先端部を上記各第二柱中間体の内側から抜き出す、請求項6に記載したラジアルニードル軸受用保持器の製造方法。
  8. 内径側受型の先端部を各第二柱中間体の内側から抜き出した後、内周面の軸方向中間部でこれら各第二柱中間体の長さ方向中間部外周側面に対向する部分に凸部と凹部とを、これら各第二柱中間体と同じピッチで交互に配置した外径側受型をこれら各第二柱中間体の周囲に、上記内径側受型の先端部と同様の構成を有する第二内径側受型を、これら各第二柱中間体のうちで円環部寄りの長さ方向一端部内側に、それぞれ配置した状態で、これら各第二柱中間体の長さ方向他端部内側に第二押型を押し込み、これら各第二柱中間体を、この第二押型と上記外径側受型と上記第二内径側受型との間で挟持する事により、これら各第二柱中間体の中間部と先端部との間に、基端寄り折れ曲がり部と逆方向に折れ曲がった先端寄り折れ曲がり部を形成して素柱部に加工する事により保持器素子とした後、上記外径側受型内周面の各凹部とこれら素柱部の位相とを一致するまでこの外径側受型と上記保持器素子とを相対回転させて、この外径側受型をこの保持器素子の周囲から取り出すと共に、上記第二内径側受型を、この保持器素子の円環部の円周方向に関する各凹部の位相と上記各素柱部の位相とが一致する迄、この円環部に対し相対回転させ、次いで、上記第二内径側受型を上記保持器素子の内側から抜き出す、請求項7に記載したラジアルニードル軸受用保持器の製造方法。
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