JP2007129105A - 希土類合金系バインダレス磁石およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】寸法精度や形状自由度に優れ、かつ、ボンド磁石よりも耐熱性や磁気特性に優れた磁石を提供する。
【解決手段】本発明による希土類合金系バインダレス磁石の製造方法は、希土類系急冷合金磁石粉末を用意する工程(A)と、樹脂バインダを用いずに前記希土類系急冷合金磁石粉末を冷間にて圧縮して成形することにより、全体に占める前記希土類系急冷合金磁石粉末の体積比率が70%以上95%以下の圧縮成形体を形成する工程(B)と、工程(B)の後に350℃以上800℃以下の温度で前記圧縮成形体に対して熱処理を施し、磁石体を形成する工程(C)と、磁石体の表面に湿式金属めっき被膜を形成する工程(D)とを含む。
【選択図】図1
【解決手段】本発明による希土類合金系バインダレス磁石の製造方法は、希土類系急冷合金磁石粉末を用意する工程(A)と、樹脂バインダを用いずに前記希土類系急冷合金磁石粉末を冷間にて圧縮して成形することにより、全体に占める前記希土類系急冷合金磁石粉末の体積比率が70%以上95%以下の圧縮成形体を形成する工程(B)と、工程(B)の後に350℃以上800℃以下の温度で前記圧縮成形体に対して熱処理を施し、磁石体を形成する工程(C)と、磁石体の表面に湿式金属めっき被膜を形成する工程(D)とを含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、強度に優れた希土類合金系バインダレス磁石およびその製造方法に関し、希土類急冷合金磁石粉末を超高圧下で圧縮成形することによって作製され、表面に湿式めっき被膜が形成された磁石に関する。
希土類系急冷合金磁石の粉末に樹脂からなるバインダを加えたボンド磁石は、寸法精度および形状の自由度に優れ、電子機器や電装部品などの用途に広く使用されている。しかしながら、このようなボンド磁石の耐熱温度は、使用される磁石粉末の磁気的な耐熱温度に加えて、磁石粉末の結合に使用される樹脂バインダの耐熱温度に制約される。例えば熱硬化性エポキシ樹脂を使用する圧縮ボンド磁石の場合、熱硬化性エポキシ樹脂の耐熱温度が低いため、磁石の常用が可能となる上限温度は最高でも100℃程度と低い。また、希土類系急冷合金磁石粉末を用いたボンド磁石は、酸化しやすい鉄や希土類を含むため、何の表面処理も行わずそのまま用いた場合には、酸化腐食による磁気特性の劣化や錆の発生などにより、必要とされる特性を満たさないことがあるため、何らかの表面処理を施されることが好ましいが、通常のボンド磁石は絶縁性を有する樹脂バインダを含有するため、電気めっき処理や金属蒸着被膜処理などの表面処理を行うことも困難である。
更に、通常のボンド磁石では、樹脂バインダを含むため、磁石粉末の体積比率を83%超に高めることができない。樹脂バインダは、磁石特性の発現に寄与しないため、焼結磁石に比べてボンド磁石の磁気特性は低くならざるを得ない。
なお、磁石粉末の体積比率が比較的高い圧縮ボンド磁石では、磁石粉末の体積比率は83%程度であるが、それでも、その最大エネルギー積は96kJ/m3(12MGOe)程度が限界である。
近年、小型のスピンドルモータやステッピングモータや各種の小型センサには、例えば直径が10mm以下の超小型リング状磁石が用いられる。このような用途では、優れた成形性を有し、かつ磁気特性を向上させた永久磁石の実現が強く望まれているが、ボンド磁石の磁気特性では不充分になりつつある。
ボンド磁石に比べて磁石粉末の体積比率が高い磁石として、フルデンス磁石が知られている。特許文献1は、ナノコンポジット急冷合金から作製したフルデンス磁石を開示している。フルデンス磁石は、樹脂バインダを用いずに急冷合金磁石粉末を圧縮し、高密度化することにより製造される。
特許文献2は、ナノコンポジット磁石粉末に対して550℃以上720℃以下の温度で20MPa以上80MPa以下の圧力を印加し、圧縮成形することを開示している。こうして作製されたフルデンス磁石の密度は、磁石真密度の92%以上を達成する。
特許文献3は、包み材によって囲まれた磁粉純度99%のバインダレス磁石を開示し、特許文献4は、ナノ結晶磁性粉末から製造される圧粉磁心を開示している。
特開2004−14906号公報
特開2000−348919号公報
特開平10−270236号公報
特開2004−349585号公報
特許文献1に開示されているようなフルデンス磁石は、磁石粉末の体積比率が高いので、ボンド磁石より高特性が期待されるが、ホットプレス等の熱間プレス技術を用いるため、プレスサイクルが長く、量産性に劣る。その結果、磁石の製造コストが大きく上昇するため、実用化が難しい。
特許文献2に開示されている磁石は、放電プラズマ焼結法などにより、磁石粉末を高温に加熱しながら圧縮して作製される。この技術も、ホットプレスと同様にプレスサイクルが長く、量産性に劣る。
特許文献3は、具体的な製造方法を開示しておらず、どのようにして高い磁粉体積比率が実現されるか不明である。また、特許文献4に開示される圧粉磁心では、磁石粉末粒子同士がガラスによって結合されている。ガラスの体積比率は、従来のボンド磁石における樹脂バインダの体積比率と同程度であると考えられる。
このように樹脂バインダを用いることなく磁石粉末を成形する従来技術では、量産性が低いか、あるいはボンド磁石と同程度の磁粉体積比率しか実現できない。
一方、実質的に磁粉が隙間無く結合した焼結磁石を製造するためには、1000〜1200℃という高温の焼結工程が不可欠である。焼結過程では液相が形成され、希土類リッチ相を含む粒界相が生じる。粒界相は、保磁力発現のために重要な働きを行うが、グリーン状態の粉末成形体は、焼結工程で大きく収縮するため、プレス工程後における形状変化が大きく、寸法精度や形状形成の自由度の点でボンド磁石に大きく劣る。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、寸法精度や形状自由度に優れ、かつ、ボンド磁石よりも耐熱性や磁気特性に優れた磁石を提供することにある。
本発明の希土類合金系バインダレス磁石は、希土類系急冷合金磁石粉末の粒子が樹脂バインダを介さずに結合した磁石体と、前記磁石体の表面に設けられた湿式めっき被膜とを有する磁石であって、前記磁石体の全体に占める前記希土類系急冷合金磁石粉末の体積比率が70%以上95%以下である。
好ましい実施形態において、前記急冷合金磁石粉末の粒子は、前記急冷合金磁石粉末粒子からの析出物によって結合している。
好ましい実施形態において、前記急冷合金磁石粉末の粒子は、ホウ素を含有する鉄基希土類合金から形成されており、前記析出物は、鉄、希土類、およびホウ素からなる群から選択された少なくとも1種類の元素から構成されている。
好ましい実施形態において、前記急冷合金磁石粉末の粒子にはクラックが形成されており、前記析出部の少なくとも一部は前記クラック内に存在している。
好ましい実施形態において、少なくとも最表面にNiめっき層を有する。
好ましい実施形態において、前記Niめっき層の下層にNiより軟質の金属めっき被層を有する。
好ましい実施形態において、前記希土類系急冷合金磁石粉末の粒子は、1種以上の強磁性結晶相を含有し、その平均結晶粒径が10nm以上300nm以下の範囲にある。
好ましい実施形態において、前記希土類系急冷合金磁石粉末の粒子は、硬磁性相および軟磁性相を含有するナノコンポジット磁石組織を有している。
好ましい実施形態において、密度が5.5g/cm3〜7.0g/cm3である。
好ましい実施形態において、組成式T100-x-y-zQxRyMz(TはFe、または、CoおよびNiからなる群から選択された1種以上の元素とFeとを含む遷移金属元素、QはBおよびCからなる群から選択された少なくとも1種の元素、RはLaおよびCeを実質的に含まない少なくとも1種の希土類元素、Mは、Ti、Al、Si、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、Hf、Ta、W、Pt、Au、およびPbからなる群から選択された少なくとも1種の金属元素)で表現され、組成比率x、y、およびzが、それぞれ、10<x≦35原子%、2≦y≦10原子%、および0≦z≦10原子%を満足する組成を有している。
好ましい実施形態において、組成式T100-x-y-zQxRyMz(TはFe、または、CoおよびNiからなる群から選択された1種以上の元素とFeとを含む遷移金属元素、QはBおよびCからなる群から選択された少なくとも1種の元素、RはLaおよびCeを実質的に含まない少なくとも1種の希土類元素、Mは、Ti、Al、Si、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、Hf、Ta、W、Pt、Au、およびPbからなる群から選択された少なくとも1種の金属元素)で表現され、組成比率x、y、およびzが、それぞれ、4<x≦10原子%、6≦y<12原子%、および0≦z≦10原子%を満足する組成を有している。
本発明による希土類合金系バインダレス磁石の製造方法は、希土類系急冷合金磁石粉末を用意する工程(A)と、樹脂バインダを用いずに前記希土類系急冷合金磁石粉末を冷間にて圧縮して成形することにより、全体に占める前記希土類系急冷合金磁石粉末の体積比率が70%以上95%以下の圧縮成形体を形成する工程(B)と、前記工程(B)の後に350℃以上800℃以下の温度で前記圧縮成形体に対して熱処理を施し、磁石体を形成する工程(C)と、前記磁石体の表面に湿式めっき被膜を形成する工程(D)とを含む。
好ましい実施形態において、前記工程(B)では、500MPa以上2500MPa以下の圧力で前記希土類系急冷磁石用急冷合金磁石粉末を圧縮する。
好ましい実施形態において、前記工程(C)の熱処理は、圧力が1×10-2Pa以下の不活性ガス雰囲気中で実行する。
好ましい実施形態において、前記工程(C)の熱処理は、露点が−40℃以下の不活性ガス雰囲気中で実行する。
本発明によれば、樹脂バインダを用いないため、磁石の耐熱温度が樹脂バインダの耐熱温度に制限されず、優れた耐熱性を発揮することができる。また、磁石粉末を樹脂バインダと混合して混練する工程が不要となるため、製造コストを低減することも可能になる。
更に、本発明によれば、磁石粉末の体積比率がボンド磁石よりも高いため、ボンド磁石に比べて磁石特性が向上する。従って、ボンド磁石では充分な磁石特性を得ることが困難であった直径4mm以下の小型磁石でも、本発明によれば優れた磁石特性を発揮することができる。
また、本発明のバインダレス磁石は磁石体表面に湿式めっき被膜を有しているため、磁石の強度および耐食性が向上している。
本発明の希土類合金系バインダレス磁石は、希土類系急冷合金磁石粉末の粒子が樹脂バインダを介さずに結合した磁石であって、全体に占める希土類系急冷合金磁石粉末の体積比率が70%以上95%以下である。この希土類系急冷合金磁石粉末の粒子は、通常の高温焼結やホットプレスによってではなく、超高圧下での冷間プレス(冷間圧縮)によって結合している。なお、本発明における冷間プレスとは、プレス装置のダイやパンチに熱を加えない状態で圧縮成形を行うことを意味し、具体的には、熱間成形とはなり得ない温度(例えば500℃以下、典型的には100℃以下)で粉末を圧縮成形することを意味するものとする。
このように樹脂バインダを用いることなく希土類系急冷合金磁石粉末粒子を強固に結合し、バルク状に成形するためには、従来、前述したようにホットプレスなどの熱間成形や高温焼結が必要であると考えられてきた。特にNd−Fe−B系急冷磁石のように硬度が極めて高い粉末粒子を対象とする場合は、圧縮成形時に800℃を超える高温に加熱することにより、液相を形成する焼結過程を進行させながら成形することが不可欠であるとの技術常識が存在した。
しかしながら、本発明者らは、このような技術常識にとらわれることなく、希土類系急冷合金磁石粉末に対する冷間での圧縮成形を種々試みた結果、圧縮に用いる金型の材質を適切に選択した上で、加工精度を高めれば、硬度の高い希土類系急冷合金磁石粉末であっても、500〜2500MPaの超高圧下で冷間圧縮成形を行うことが可能であり、これにより、その後、350℃以上800℃以下の低温で焼結を進行させることができ、バインダレス磁石を形成できること、しかも形成したバインダレス磁石は優れた磁石特性を発揮することを見出して、本発明を完成した。この温度範囲は、従来のセラミックスなどの粉末成形体を固相焼結する場合に必要な温度(典型的には1000℃以上の高温)や、従来の希土類系焼結磁石を液相焼結する場合に必要な温度に比べて格段に低い。このような低温焼結を行うことにより、結晶粒の粗大化を抑制しつつ、バインダレス磁石を形成することができる。
本発明者らは、このように従来成しえなかった超高圧下の冷間圧縮成形により従来成しえなかった低温での焼結を進行させることができるようになった理由を調べたところ、バインダレス磁石を形成する急冷合金磁石粉末の個々の粒子間に、急冷合金磁石粉末に由来する成分が析出しており、この析出物により、各粒子が相互に結合していることを見出した。また、急冷合金磁石粉末の粒子内には超高圧下の冷間圧縮成形によってクラックが発生し、そのクラックも同様の析出物により再結合していることが観察された。
本発明では、急冷合金磁石粉末粒子の表面および内部が超高圧下の冷間圧縮により割れ、それによって急冷合金磁石粉末粒子の表面および内部に非常に活性な新生破面が現れる。そのままでは、機械的強度は不充分なものとなるが、本発明では、超高圧圧縮を行った後に比較的低い温度で熱処理を行うことにより、急冷合金磁石粉末に由来する成分を新生破面から析出させる。こうして形成された析出物が粒子間にあって結合に大きく寄与しているものと推定される。このような析出物の成分は、急冷合金磁石の組成によって異なると考えられるが、発明者らの実験結果によると、少なくともFe、硼素、希土類元素の少なくとも1種類を含んでいる。
このような超高圧圧縮および熱処理によって結合した粒子の間には、微小な空隙が残存しており、そのような空隙の体積比率は、成形された磁石全体の体積に対して5%以上30%以下の範囲にある。圧縮成形後に、このような空隙の一部が封孔などを目的として樹脂や低融点金属(例えば、亜鉛、スズ、Al−Mn)などによって埋められても良いが、そのような樹脂は、主たるバインダとしては機能せず、本願発明の磁石を形成する各々の急冷合金磁石粉末の粒子間の主たる結合は、上記析出物によってなされる。
高温焼結によって作製された従来の希土類焼結磁石では、主相として機能する結晶粒(グレイン)は、ハード磁性を有するNd−Fe−B系化合物から形成されている。一方、結晶粒の間には、非磁性材料からなる粒界相が存在しているため、希土類焼結磁石中に空隙はほとんど存在していない。この希土類焼結磁石では、主相結晶粒が粒界相によって仕切られた核発生型の磁気特性発現機構を有することにより、高い保磁力を発現する上で極めて重要であることが知られている。
これに対して、本発明の希土類合金系バインダレス磁石では、相互に結合した個々の粉末粒子の間には粒界相として機能する合金は存在していない。それでも高い保磁力を発現することができる理由は、バインダレス磁石に用いられる磁石粉末を構成する微細金属組織の平均結晶粒径が「単磁区結晶粒径」以下の大きさに調整されているからである。平均結晶粒径が単磁区結晶粒径以下であれば、各結晶粒は単磁区構造となりNd−Fe−B系希土類焼結磁石に見られるような多磁区構造を前提とする核発生型の固有保磁力発現ではなく、単磁区の各結晶粒が交換相互作用により結びつき固有保磁力を発現する微細結晶型の磁気特性発現機構を有することになり、従来の希土類焼結磁石のように液相焼結温度以上の高温で焼結工程を行わなくとも、液相焼結によって形成される粒界相が不要であるため、高い固有保磁力と優れた減磁曲線の角形性を実現することができる。
本発明では、平均結晶粒径がナノメートルオーダーであるナノコンポジット磁石の粉末や、結晶化熱処理によってナノメートルオーダーの微細結晶組織が形成される非晶質急冷合金磁石の粉末を好適に用いることができる。
MQI社から販売されている磁石粉末(いわゆるMQ粉)も本発明の磁石粉末として採用できるが、これらは希土類リッチ相を含有しているため、焼結時に希土類の酸化物が形成し、磁石粉末同士が結合しにくい可能性がある。このため、これらの磁石粉末を焼結する場合は、焼結工程を10-2Pa以下の真空中で実行することが望ましい。
これに対し、硬磁性相及び軟磁性相を含むナノコンポジット磁石であれば、希土類リッチ相が存在しないことから、冷間、超高圧下で圧縮成形した後、不活性雰囲気中でも希土類の酸化を進行させることなく熱処理工程を行うことができる。圧縮成形後の熱処理は不可欠ではないが、このような熱処理を行うことにより、冷間、超高圧下で圧縮成形された磁石体の機械的強度を更に高めることができる。このため、本発明の希土類バインダレス磁石には、希土類含有量の少ない軟磁性相に鉄基硼化物を含有するナノコンポジット磁石粉末を用いることが好ましい。
このようなナノコンポジット磁石粉末としては、組成式がT100-x-y-zQxRyMzで表現される希土類系ナノコンポジット磁石粉末を好適に用いることができる。ここで、TはFe、または、CoおよびNiからなる群から選択された1種以上の元素とFeとを含む遷移金属元素、QはBおよびCからなる群から選択された少なくとも1種の元素、RはLaおよびCeを実質的に含まない少なくとも1種の希土類元素、Mは、Ti、Al、Si、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、Hf、Ta、W、Pt、Au、およびPbからなる群から選択された少なくとも1種の金属元素である。組成比率x、y、およびzが、それぞれ、10<x≦35原子%、2≦y≦10原子%、および0≦z≦10原子%を満足する。
このような組成のナノコンポジット磁石粉末では、磁石を構成する硬磁性相がR2Fe14B型化合物の結晶粒から形成され、軟磁性相が鉄基硼化物またはα−Feの結晶粒から形成される。このコンポジット磁石粉末は、上記組成を有する合金の溶湯を液体急冷法によって急冷凝固させることによって作製される。
また本発明は、主たる軟磁性相としてα―Fe相を含有するナノコンポジット磁石や粒界に存在する希土類リッチ相が少ないR2Fe14B単相系磁石を用いることもできる。このようなナノコンポジット磁石としては、組成式がT100-x-y-zQxRyMzで表現される希土類系ナノコンポジット磁石粉末を好適に用いることができる。ここでTはFe、または、CoおよびNiからなる群から選択された1種以上の元素とFeとを含む遷移金属元素、QはBおよびCからなる群から選択された少なくとも1種の元素、RはLaおよびCeを実質的に含まない少なくとも1種の希土類元素、Mは、Ti、Al、Si、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、Hf、Ta、W、Pt、Au、およびPbからなる群から選択された少なくとも1種の金属元素で表現され、組成比率x、y、およびzが、それぞれ、4<x≦10原子%、6≦y<12原子%、および0≦z≦10原子%を満足する。
本発明によるバインダレス磁石では、磁石粉末の体積比率が全体の70%以上95%以下の範囲内にあるが、従来のボンド磁石よりも優れた永久磁石特性を発揮させるには、この体積比率の下限を75%以上に設定することが好ましい。磁石粉末の体積比率が上昇するほど磁石特性が向上するため、この体積比率の下限は85%以上に設定することが、より好ましい。しかし、成形体の強度や、金型の耐久性、量産性を考慮すれば磁石粉末の体積比率の上限は92%が好ましく、90%が更に好ましい。
R2Fe14B型化合物を主相として含有する磁石粉末を用いる場合、最終的に得られるバインダレス磁石の密度は5.5g/cm3以上7.0g/cm3以下の範囲にある。バインダレス磁石の密度の好ましい範囲は、6.3g/cm3以上6.7g/cm3以下であり、更に好ましい範囲は、6.5g/cm3以上6.7g/cm3以下である。従来の樹脂バインダを用いた圧縮ボンド磁石では、磁石体全体の密度は、5.5g/cm3〜6.2g/cm3程度の範囲にある。両者を比較するとわかるように、本発明のバインダレス磁石の方が相対的に高い密度が得られ、その結果、磁気特性も優れたものとなる。
本発明のバインダレス磁石では、使用される磁石粉末を構成する微細金属組織の平均結晶粒径が10nm以上300nm以下の範囲にあることが好ましい。平均結晶粒径が、この範囲の加減よりも小さいと、固有保磁力が低下し、この範囲の上限よりも大きいと、各結晶粒間に働く交換相互作用が低下する。ただし、上記の平均結晶粒径が単磁区結晶粒径を超えていても、平均結晶粒径が5μm以下であれば、特定の使用環境下(磁石の動作点が高い場合)で使用することが可能である。
本発明のバインダレス磁石は、表面に湿式めっき被膜を有する。めっき被膜を成膜する前の磁石体は、通常の使用であれば十分耐えうる強度を有しているが、従来の高温焼結磁石に比べると本質的に機械強度が弱く、割れや欠けを生じやすい。そのため、モータなどにめっき被膜を成膜していない磁石体をそのまま用いようとすると、モータ組み込み時に磁石体が破壊したり、モータ動作時に磁石体表面から脱落した粒子が磁石体を組み込んだ部品内に飛散しモータ動作に影響を与えるなど、種々の問題を引き起こす可能性がある。そのために、表面に金属被膜を有することによって、磁石体の機械的強度を補うことで、モータなどにも好適に使用できる。
(製造方法)
以下、本発明による希土類合金系バインダレス磁石の製造方法の好ましい実施形態を説明する。
以下、本発明による希土類合金系バインダレス磁石の製造方法の好ましい実施形態を説明する。
まず、本発明のバインダレス磁石の製造に使用する希土類系急冷合金磁石粉末を用意する。この粉末は、上述した組成を有する合金の溶湯をメルトスピニング法やストリップキャスト法などのロール急冷法によって急冷した後、粉砕工程を経て製造される。このようなロール急冷法を用いる代わりに、合金の溶湯をアトマイズ法によって急冷しても製造することができる。希土類系急冷合金磁石粉末の平均粒径は300μm以下であることが好ましい。粉末の平均粒径は30μm以上250μm以下の範囲にあることがより好ましく、50μm以上200μm以下の範囲にあることが更に好ましい。また、圧縮成型後における粒子間の隙間空間を減少させ、磁石体の密度を高めるという観点からは、粒度分布が2つのピークを有することが好ましい。
次に、こうして得られた希土類系急冷合金磁石粉末を冷間、超高圧で圧縮して成形する。本発明の好ましい実施形態では、500℃以下、典型的には100℃以下の温度環境で冷間圧縮成形を実行するため、圧縮成形中に粉末粒子の結晶化は進行しない。本発明では、圧縮成形前における粉末粒子は、全体がほぼ結晶化された状態にあってもよいし、また、非晶質部分を多く有していても良い。粉末粒子が非晶質相を多く含む場合は、超高圧成形の後に、結晶化のための熱処理を行うことが好ましいが、超高圧成形の後に行う焼結工程で、結晶化のための熱処理を兼ねてもよい。
超高圧下での冷間圧縮成形時における金型の損傷を低減するためには、希土類系急冷合金磁石粉末に対して成形前にステアリン酸カルシウムなどの滑材などを添加・混合しておくことが好ましい。
図1は、本発明の実施に好適に使用することができる超高圧粉末プレス装置の概略構成を示す断面図である。図1の装置は、キャビティ内に充填された粉末材料2を高い圧力で一軸プレスすることのできる装置であって、キャビティの側面を規定する内面が形成されたダイ4と、キャビティの底面を規定する下側加圧面を有する下パンチ6と、下側加圧面と対向する上側加圧面を有する上パンチ8とを備えている。ダイ4、下パンチ6および/または上パンチ8は、不図示の駆動装置によって上下移動する。
図1(a)に示す状態では、キャビティの上方は開放されており、キャビティの内部に磁石粉末2が充填される。この後、図1(b)に示すように、上パンチ8が下降するか、あるいは、ダイ4および下パンチ6が相対的に上昇することにより、キャビティ内の磁石粉末2が圧縮成形される。
ダイ4および上下パンチ6、8は、例えば超硬合金や粉末ハイスから形成されている。ダイ4および上下パンチ6、8は、上記のものに限定されず、SKS、SKD、SKHなどの高強度材料を使用することもできる。
これらの高強度材料は、硬い反面、脆い性質を有しているため、加圧方向が僅かでもずれると、容易に破損する。したがって、本発明で実施するような超高圧成形を可能にするには、ダイ4および上下パンチ6、8の中心軸のずれおよび傾きの精度を0.01mm以下にする必要がある。この軸ずれや軸傾きが大きいと、超高圧印加時に上下パンチ6、8が座屈し、破損してしまう。この問題は、成形体のサイズが小さくなるほど、上下パンチ6、8の軸径を小さくなるため、顕著に発生する。
本実施形態で使用する超高圧粉末プレス装置は、上下パンチ6、8の破損を防止、従来は困難であったような超高圧プレスを安定して実施するため、図2に示す構成を備えることが望ましい。以下、図2に示す高圧粉末プレス装置の構成を説明する。
図2の装置では、固定ダイプレート14がダイ4を固定し、このダイ4の貫通孔に下パンチ6が挿入される。下パンチ6は下部ラム16によって上下するが、上パンチ8は、上パンチ外径補強ガイド28によって補強されており、上部ラム18によって上下動する。上部ラム18が降下し、外径補強ガイド28の下端がダイ4の上面に接触した後は、上パンチ補強ガイド28の降下は停止するが、上パンチ8は更に降下し、ダイ4の貫通孔の内部に侵入する。上パンチ外径補強ガイド28を設けることにより、超高圧下における上パンチ8の耐久性を向上させることができる。
このプレス装置は、固定ダイプレート14の中心を基準軸として対称に配置された一対のリニアガイドレール30a、30bを備えている。上部ラム18および下部ラム16は、リニアガイドレール30a、30bによって連通し、上下に摺動する。また、図2に示すプレス装置では、直進(強振)式フィーダを採用しているので、フィーダカップ32の厚さHを薄くすることができる。このことにより、上パンチ8が上方に退避しているときの上パンチ8とダイ4との間隙を狭くすることができる。この間隙が狭いほど、上パンチ8の上下移動量が低減するため、上下動に伴って生じやすい軸ずれや軸傾きを低減できる。
従来の粉末プレス装置では、上部ラムの上下摺動軸と下部ラムの上下摺動軸とが分離していたため、軸ずれや軸の傾きが生じやすく、その精度は0.04程度であった。これに対して、図2の構成を備える超高圧粉末プレス装置では、上部ラム18および下部ラム16の上下動がリニアガイドレール30a、30bによって規制されるため、軸ずれおよび軸傾きの精度を0.01mm以下に抑えることができる。
本発明者の実験によると、磁石粉末2に対する圧縮成形は、500MPa以上2500MPa以下の圧力を印加して行うことが好ましい。バインダレス磁石における磁石粉末の体積比率を大きくし、磁気特性を向上させるという観点からは圧力を1300MPa以上、さらには1500MPa以上、さらには1700MPa以上とすることが好ましく、また、金型の耐久性および量産性を考慮した場合は、圧力を2000MPa以下に設定することが望ましい。圧力が上記の下限値よりも低い場合は、粉末粒子同士の結合力が低下するため、成形後の機械的強度が不充分なものとなり、ハンドリング時に磁石の割れや欠けなどが発生し得る。一方、圧縮成形時の圧力が上記の上限値を超えて大きくなると、金型への負荷が大きくなりすぎるため、量産技術として採用することが難しくなる。
こうして得られた圧縮成形体10に対しては、成形後に熱処理を施す。この熱処理により、磁石粉末粒子の表面および内部のクラック部分に、急冷合金磁石粉末を由来とする成分が析出し、この析出物により各々の粒子が結合する。熱処理温度が350℃よりも低くなると、急冷合金磁石粉末を由来とする成分が析出し、この析出物により各々の粒子が結合する効果が得られず、逆に800℃を超える高温になると、圧縮成形体を形成する磁石粉末内の結晶粒が粗大化して磁気特性の低下を招く可能性がある。このため、熱処理温度は350℃以上800℃以下の範囲内に設定することが好ましく、400℃以上600℃以下の範囲に設定することが更に好ましい。熱処理時間は、熱処理温度にも依存するが、5分以上6時間以下の範囲内に設定され得る。
なお、圧縮成形時点で磁石粉末の粒子が非晶質相を有している場合、上記の熱処理により結晶化を進行させることができる。結晶化による発熱を利用して、低温でも焼結を進行させることも可能である。
熱処理中に成形体10が酸化することを抑制するためには、上記熱処理を不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。ただし、不活性ガス中に微量でも酸素や水蒸気が含まれていると、成形体の酸化が避けられないため、酸素や水蒸気の分圧を可能な限り低減することが好ましい。このため、熱処理雰囲気ガスの圧力は、1×10-2Pa以下に低下させることが望ましく、露点が−40℃以下のドライガスを用いることが更に望ましい。
上述の熱処理により、粉末粒子間で焼結プロセスと同様のプロセスが進行するが、希土類焼結磁石のように液相化は生じず、粒子間には隙間が継続して存在する。また、このように圧縮成形後に行う熱処理によると、粉末粒子間の結合程度が高まり、圧縮成形体の機械的強度が向上する。熱処理温度が800℃に近い高温である場合、粉末粒子間で焼結プロセスと同様のプロセスが進行するが、希土類焼結磁石のように液相化は生じず、粒子間には隙間が継続して存在する。磁石特性を高めるという観点から、上記の熱処理は不可欠ではないが、バインダレス磁石の機械的強度を実用レベルに高めるためには、圧縮成形後に熱処理を行うことが好ましい。このように圧縮成形後に行う熱処理は、ホットプレス工程において圧縮成形とともに行う熱処理と異なり、多数の圧縮成形体に対してまとめて施すことができる。従来のホットプレスでは、圧縮成形工程毎に昇温・降温サイクルを実行することが必要になるため、個々の圧縮成形体を得るための長時間(例えば10〜60分)を要していたが、本発明では、圧縮成形工程に要する時間が例えば0.01〜0.1分という短い時間に短縮することが可能になる。このことは、1分あたりの生産数量が10〜100個に達することを意味する。このため、熱処理工程を付加しても、単位量あたりのバインダレス磁石を製造するために要する時間はほとんど増加せず、高い量産性を実現することが可能になる。
圧縮成形前の希土類急冷合金磁石の粉末に対し、低融点金属の粉末を添加し混合してもよい。この場合、添加する低融点金属の粉末粒径は10μm以上50μm程度以下の範囲内にあることが好ましい。低融点金属粉末は、低温焼結時に磁石粉末粒子間で溶け、磁石粉末合金から析出した物質にて磁石粉末相互に結合する固相焼結時において粉末同士の結合をより強固にする。または、希土類急冷合金磁石の粉末粒子間における空隙に入り込んで封孔する効果をもたらす。また、圧縮成形体に含まれる低融点金属粉末が熱処理によって溶解すると、磁石粉末粒子間を接着する役割を果たすため、バインダレス磁石の機械的強度が向上する効果も得られる。低融点金属粉末の混合割合は10wt%以上26wt%以下の範囲に調節することが好ましい。低融点金属粉末の割合が、この範囲の下限よりも少ないと、低融点金属粉末を添加した効果が充分に現れず、上記範囲の上限よりも大きくなると、磁石粒子間の結合力を低下させる可能性がある。
本発明のバインダレス磁石は、厚さ0.5〜3mmの薄物磁石もしくは薄肉リング磁石、または直径φ2〜φ5mmの小径磁石(リング磁石も含む)に成形されたものであることが好ましい。このような形状およびサイズを有する磁石であれば、圧縮成形体の内部において密度を均一化することができるため、バインダレス磁石の部位によって磁気特性が変動することを抑制しやすい。
本発明の製造方法によれば、超高圧下での圧縮成形によって磁石粉末粒子表面及び内部に新生破面が発生する。圧縮成形後に熱処理を行うと、その温度が800℃以下でも、急冷合金磁石粉末を由来とする成分が新生破面から析出し、この析出物により各々の粒子が結合する。このような低温の固相焼結が可能であるため、高温焼結にともなう収縮や熱間塑性変形を避けることができ、ボンド磁石と同様に優れた形状自由度と寸法精度を有するネットシェイプ成形が可能になる。また、ヨーク、シャフト等との一体成形も可能になる。
本発明のバインダレス磁石は、磁石体表面に湿式めっき被膜を有している。この湿式めっき被膜としては、電気めっき被膜、無電解めっき被膜、置換(化学)めっき被膜など、公知の湿式めっき被膜を採用できる。無電解めっきと電気めっき、置換めっきと電気めっきなど、複数種のめっきを組み合わせてもよい。
電気めっき被膜としては、Ni、Cu、Zn、Sn、Cr、Pb、Au、Ag、Pt、Pd、Cd、および、これらを含む合金などの金属被膜が挙げられる。また、無電解めっき被膜としては、Ni−P、Ni−B、Ni−Co、Ni−Co−P、Ni−Fe−P、Ni−W−Pなどの被膜が挙げられる。
被膜は単層でもよいし、多層でもよい。磁石体の機械強度および表面清浄性を向上させるためには、少なくとも最表層はNiまたはNi合金の被膜であることが望ましい。多層被膜の場合は、最表面がNiまたはNi合金の被膜であることが好ましく、その下層にNiより軟質の金属被膜を有することが望ましい。Niを含む被膜は硬質であるため、大きな引っ張り応力が発生しやすい。成膜前の磁石体の表面とNiまたはNi合金被膜との間に、Niより軟質の被膜を設けると、磁石体表面に生じる応力を緩和し、磁石体にクラックが発生することを抑制できる。Niより軟質の被膜としては、Cu、Sn、Zn、Ag、Auなどの被膜が好ましい。中でも、めっきのつきまわり性、均一電着性、およびコストに優れるCuめっきを応力緩和層として使用することが好ましい。
小型でも優れた特性を有し、寸法精度に優れているバインダレス磁石の特徴を活かすためには、被膜の合計厚さを1〜40μmの範囲、好ましくは、5〜30μmの範囲に設定することが望ましい。
電気めっき被膜は、成膜効率、耐食性、表面清浄性、めっき液コスト、および、めっき液の安定性などに優れている。電気Niめっき被膜としては、公知のワット浴、スルファミン酸浴、低Ni高硫酸塩浴、クエン酸浴、ウッド浴などを採用できる。また最表層に用いる場合は表面清浄性を向上させるために光沢剤を添加することが望ましい。光沢剤としては、第一光沢剤として芳香族スルホン酸類(ベンゼンスルホン酸とその塩、1、3、6ナフタリンスルホン酸とその塩など)、芳香族スルホンアミド類(p−トルエンスルホンアミドなど)、芳香族スルホンイミド類(サッカリン、サッカリンナトリウムなど)、ヘテロサイクリックスルホン酸類(チオフェン2−スルホン酸とその塩など)、脂肪族スルホン酸類(アリルスルホン酸とその塩など)、第二光沢剤としてアルデヒド類(ホルムアルデヒドなど)、アリル、ビニル化合物(アリルスルホン酸とその塩など)、アセチレン化合物(2−ブチン1、4−ジオールなど)、二トリル類(エチルシアンヒドリンなど)、キノリン類(キノリンメチオダイドなど)が挙げられる。また、最下層に特開平6−13218号公報に記載されているストライクNiめっき被膜を成膜することにより、磁石体表面との密着性に優れた被膜を形成することができる。
電気Cuめっき被膜としては、公知のピロリン酸浴、EDTA浴、シアン化浴、ほうふっ化浴などを使用できる。また、特開2002−332592号公報、特開2004−137533号公報、または特願2004−233302号などに記載されているEDTA−Cu浴、特願2004−233302号に記載されているHEDP−Cu浴などのCuめっき浴を用いることにより、磁石に直接密着性に優れた被膜を形成することができる。
無電解めっきは、被膜の均一性に優れているため、寸法精度の高い磁石を得ることができる。また、電気めっきで問題となる、円筒形状の磁石の内周部へのつきまわり性の問題や、端部の厚膜化(ドッグボーン)の問題などを回避することができる。無電解Niめっき被膜としては、次亜リン酸塩などを還元剤として用いたNi−Pめっき、水素化ホウ素ナトリウムやジメチルアミンボランを還元剤として用いたNi−Bめっきを採用することができる。Ni−Pめっきにおいては、Pの含有量を最適化することによって、より耐食性や耐磨耗性に優れた被膜を得ることができる。
[実施例]
まず、磁石粉末として、株式会社NEOMAX製の希土類鉄硼素系等方性ナノコンポジット磁石粉末(SPRAX−XB、−XC、−XD)およびNd2Fe14B相の単相からなる希土類鉄硼素系磁石粉末(N1)と硬磁性のNd2Fe14Bに加え軟磁性相にα−Feを配した希土類鉄硼素系等方性ナノコンポジット磁石粉末(N2、N3)を用意した。表1は、これら6種類の磁石粉末の合金組成を示しており、表2は、磁石粉末自体の磁石特性および平均粉末粒径を示している。
まず、磁石粉末として、株式会社NEOMAX製の希土類鉄硼素系等方性ナノコンポジット磁石粉末(SPRAX−XB、−XC、−XD)およびNd2Fe14B相の単相からなる希土類鉄硼素系磁石粉末(N1)と硬磁性のNd2Fe14Bに加え軟磁性相にα−Feを配した希土類鉄硼素系等方性ナノコンポジット磁石粉末(N2、N3)を用意した。表1は、これら6種類の磁石粉末の合金組成を示しており、表2は、磁石粉末自体の磁石特性および平均粉末粒径を示している。
次に、これらの磁石粉末に対し、0.5outwt%のステアリン酸カルシウムを添加し、混合した。その後、上記磁石粉末に対する成形を行い、各磁石粉末から成形体を作製した。なお、成形体の寸法は内径7.7mm、外径12.8mm、高さ4.8mmである。以下の表3は、実施例1〜7および比較例1〜4の成形条件を示している。
実施例1〜7の成形は、圧縮成形時の圧力が異なる点を除いて、同一の装置および方法で、成形装置を加熱することなく冷間にて行った。各実施例の成形体に対しては、成形工程の後、露点が−40℃の窒素雰囲気中で、実施例1〜3および5、6、7は500℃の温度で、実施例4は800℃の温度で10分間の熱処理を施した。
(比較例1)
SPRAX−XDの磁石粉末を用意した後、98wt%の磁石粉末と2wt%のエポキシ樹脂とに対してニーダー処理(攪拌処理)を施すことにより、磁石粉末とエポキシ樹脂との混合物を得た。この混合物に対し、0.5outwt%のステアリン酸カルシウムを添加した後、900MPaの圧力で圧縮成形を行うことにより、成形体を作製した。
SPRAX−XDの磁石粉末を用意した後、98wt%の磁石粉末と2wt%のエポキシ樹脂とに対してニーダー処理(攪拌処理)を施すことにより、磁石粉末とエポキシ樹脂との混合物を得た。この混合物に対し、0.5outwt%のステアリン酸カルシウムを添加した後、900MPaの圧力で圧縮成形を行うことにより、成形体を作製した。
次に、こうして得た成形体に対し、露点が−40℃の窒素雰囲気炉にて180℃の温度で30分間の熱処理を施した。
(比較例2)
比較例1では、98wt%の磁石粉末と2wt%のエポキシ樹脂とを混合したが、比較例2では、97wt%の磁石粉末と3wt%のエポキシ樹脂とを混合した。これ以外の点では、比較例1と比較例2との間に作製方法の差異はない。
比較例1では、98wt%の磁石粉末と2wt%のエポキシ樹脂とを混合したが、比較例2では、97wt%の磁石粉末と3wt%のエポキシ樹脂とを混合した。これ以外の点では、比較例1と比較例2との間に作製方法の差異はない。
(比較例3)
SPRAX−XDの磁石粉末を用意した後、90wt%の磁石粉末と10wt%のPPS(ポリフェニレンスルフィド:Polyphenylene Sulfide)とを二軸押し出し機にて押し出した。この後、適切な長さにカットすることにより、φ3mm×4mmのペレット原料を作製した。このペレットを用いて、樹脂温度340℃、金型温度180℃、射出圧220MPaの条件で射出成形を行い、比較例3の成形体を作製した。
SPRAX−XDの磁石粉末を用意した後、90wt%の磁石粉末と10wt%のPPS(ポリフェニレンスルフィド:Polyphenylene Sulfide)とを二軸押し出し機にて押し出した。この後、適切な長さにカットすることにより、φ3mm×4mmのペレット原料を作製した。このペレットを用いて、樹脂温度340℃、金型温度180℃、射出圧220MPaの条件で射出成形を行い、比較例3の成形体を作製した。
(比較例4)
SPRAX−XBの磁石粉末を用意した後、95wt%の磁石粉末と5wt%のポリアミド(PA12)とを二軸押し出し機にて押し出した。この後、適切な長さにカットすることにより、φ3mm×4mmのペレット原料を作製した。このペレットを用いて、樹脂温度290℃、金型温度120℃、射出圧210MPaの条件で射出成形を行い、比較例4の成形体を作製した。
SPRAX−XBの磁石粉末を用意した後、95wt%の磁石粉末と5wt%のポリアミド(PA12)とを二軸押し出し機にて押し出した。この後、適切な長さにカットすることにより、φ3mm×4mmのペレット原料を作製した。このペレットを用いて、樹脂温度290℃、金型温度120℃、射出圧210MPaの条件で射出成形を行い、比較例4の成形体を作製した。
必要に応じて熱処理を行った実施例および比較例について、磁石粉末の体積比率および成形体密度を測定した。測定結果を以下の表4に示す。
次に、各成形体について、磁石特性および耐熱性を評価した。評価結果を以下の表5に示す。耐熱性の評価は各成形体を大気中150℃にて24時間放置したときの形状の変化の有無により行った。
上記の結果からわかるように、最も高い圧力で圧縮成形を行った実施例1および実施例4、5、6、7における磁石粉末の体積比率は最も高く、実施例1および実施例4、5、6、7が最も優れた磁気特性を発揮した。また、いずれの実施例も、バインダか介在しないにもかかわらず、充分に高い機械的強度を有し、優れた磁石特性を発揮した。
実施例4の磁石について、焼結状態の観察を行った。図3および図4に磁粉内部のクラック部および磁石粉末粒子間SEM写真を示す。図3に示されるように、粉末粒子の内部にクラックが形成され、クラックに多数の析出部(図中、明度の高い部分)が形成されている。また粉末粒子間にも、図4に示すように析出物が観察される。EDS(Energy dispersive X-ray spectroscopy)による成分分析によれば、この析出物はFeを主成分としていた。
[実施例8]
実施例1の磁石体に対してアルカリ脱脂を行った後、1%硝酸に浸漬し、表面活性化を行った。水洗後、以下の方法により磁石体表面に44層めっき被膜を形成した。
実施例1の磁石体に対してアルカリ脱脂を行った後、1%硝酸に浸漬し、表面活性化を行った。水洗後、以下の方法により磁石体表面に44層めっき被膜を形成した。
まず、硫酸Ni六水和物0.5mol/L、クエン酸アンモニウム0.30mol/L、ホウ酸0.25mol/L、塩化アンモニウム0.30mol/L、硫酸ナトリウム0.25mol/L、サッカリンナトリウム二水和物0.03mol/Lを含有し、アンモニア水でpHを6.8に調整したNiめっき液を用意した。このNiめっき液について、液温50℃、陰極電流密度0.25A/dm2の条件で30分間のめっき処理を行い、磁石体表面に厚さが約2.0μmのNiめっき被膜を形成した。
Niめっき被膜が形成された磁石体を、シュウ酸0.02mol/Lを含む液温30℃の水溶液に2分間浸漬した後、イオン交換水にて水洗した。その後、下記の表6に示す銅めっき液を用い、陰極電流密度0.2A/dm2で60分の電解めっきを行った。Niめっき被膜上に形成された銅めっき被膜の厚さは約5μmであった。
その後、銅めっき被膜を上層に有する磁石体を水洗し、シュウ酸0.02mol/Lを含む液温30℃の水溶液に1分間浸漬した後、イオン交換水で洗浄した。次に、下記表7に記載のめっき液を用いて、陰極電流密度0.18A/dm2で90分の電解めっきを行い、膜厚約9μmのNiめっき被膜を形成した。つづいてイオン交換水で水洗した後、表8に記載のめっき液を用いて陰極電流密度0.18A/dm2で30分間の電解めっきを行い、膜厚約3μmのNiめっき被膜を形成した。
[実施例9]
実施例4の磁石体に対し、実施例8について説明した方法と同様の方法により、4層めっき被膜を形成した。
実施例4の磁石体に対し、実施例8について説明した方法と同様の方法により、4層めっき被膜を形成した。
[比較例5]
比較例1の磁石体に対し、実施例8について説明した方法と同様の方法により、4層めっきを試みた。しかし、未めっき物、膨れなどの不具合が生じ、良質なめっき被膜を形成することができなかった。
比較例1の磁石体に対し、実施例8について説明した方法と同様の方法により、4層めっきを試みた。しかし、未めっき物、膨れなどの不具合が生じ、良質なめっき被膜を形成することができなかった。
[比較例6]
比較例3の磁石体に対し、実施例8について説明した方法と同様の方法により、4層めっきを試みた。しかし、この場合も、未めっき物、膨れなどの不具合が生じ、良質なめっき被膜を形成することができなかった。
比較例3の磁石体に対し、実施例8について説明した方法と同様の方法により、4層めっきを試みた。しかし、この場合も、未めっき物、膨れなどの不具合が生じ、良質なめっき被膜を形成することができなかった。
[実施例10]
実施例1の磁石体に対してアルカリ脱脂を行った後、1%硝酸に浸漬し、表面活性化を行った後、水洗した。その後、以下の方法により磁石体表面に3層めっき被膜を形成した。
実施例1の磁石体に対してアルカリ脱脂を行った後、1%硝酸に浸漬し、表面活性化を行った後、水洗した。その後、以下の方法により磁石体表面に3層めっき被膜を形成した。
まず、硫酸銅・5水和物を0.06mol/L、HEDPを0.15mol/L、ピロリン酸カリウムを0.05mol/L含有し、水酸化ナトリウムでpH11.0に調整した電気銅めっき処理用めっき液を用意した。このめっき液の浴温を50℃に調整し、磁石体を浸浸し、陰極電流密度0.3A/dm2で30分間のバレル様式による電気銅めっき処理を行った。こうして磁石体表面に膜厚5.0μmの銅めっき被膜を形成した後、銅めっき被膜を上層に有する磁石体を水洗し、シュウ酸0.02mol/Lを含む液温30℃の水溶液に1分間浸漬した。この後、イオン交換水にて水洗し、前述した表7のめっき液を用いて陰極電流密度0.18A/dm2で90分電解めっきを行い、膜厚約9μmのNiめっき被膜を形成した。イオン交換水で水洗した後、表8に記載のめっき液を用いて陰極電流密度0.18A/dm230分間電解めっきを行い、膜厚約3μmのNiめっき被膜を形成した。
[実施例11]
実施例4の磁石体に対し、実施例10について説明した方法と同様の方法により、3層めっき被膜を形成した。
実施例4の磁石体に対し、実施例10について説明した方法と同様の方法により、3層めっき被膜を形成した。
[比較例7]
比較例1の磁石体に対し、実施例10について説明した方法と同様の方法により、3層めっきを試みた。しかし、未めっき物、膨れなどの不具合が生じ、良質なめっき被膜を形成することができなかった。
比較例1の磁石体に対し、実施例10について説明した方法と同様の方法により、3層めっきを試みた。しかし、未めっき物、膨れなどの不具合が生じ、良質なめっき被膜を形成することができなかった。
[比較例8]
比較例3の磁石体に対し、実施例10について説明した方法と同様の方法により、3層めっきを試みた。しかし。未めっき物、膨れなどの不具合が生じ、良質なめっき被膜を形成することができなかった。
比較例3の磁石体に対し、実施例10について説明した方法と同様の方法により、3層めっきを試みた。しかし。未めっき物、膨れなどの不具合が生じ、良質なめっき被膜を形成することができなかった。
[実施例12]
実施例1の磁石体に対してアルカリ脱脂を行った後、1%硝酸に浸漬し、表面活性化を行った。水洗の後、無電解Ni−Pめっき液として上村工業製ニムデンLPX(商品名)を80℃に調整した後、磁石体を30分間浸漬し、膜厚5μmの無電解Ni−Pめっき被膜を形成した。
実施例1の磁石体に対してアルカリ脱脂を行った後、1%硝酸に浸漬し、表面活性化を行った。水洗の後、無電解Ni−Pめっき液として上村工業製ニムデンLPX(商品名)を80℃に調整した後、磁石体を30分間浸漬し、膜厚5μmの無電解Ni−Pめっき被膜を形成した。
[実施例13]
実施例4の磁石体に対し、実施例12について説明した方法と同様の方法により、無電解Ni−Pめっき被膜を形成した。
実施例4の磁石体に対し、実施例12について説明した方法と同様の方法により、無電解Ni−Pめっき被膜を形成した。
[比較例9]
比較例1の磁石体に対し、実施例12について説明した方法と同様の方法により、Ni−Pめっきを試みた。しかし、未めっき物、膨れなどの不具合が生じ、良質なめっき被膜を形成することができなかった。
比較例1の磁石体に対し、実施例12について説明した方法と同様の方法により、Ni−Pめっきを試みた。しかし、未めっき物、膨れなどの不具合が生じ、良質なめっき被膜を形成することができなかった。
[比較例10]
比較例3の磁石体に対し、実施例12について説明した方法と同様の方法により、Ni−Pめっきを試みた。しかし、未めっき物、膨れなどの不具合が生じ、良質なめっき被膜を形成することが出来なかった。
比較例3の磁石体に対し、実施例12について説明した方法と同様の方法により、Ni−Pめっきを試みた。しかし、未めっき物、膨れなどの不具合が生じ、良質なめっき被膜を形成することが出来なかった。
実施例1、4、8〜13について、引張圧縮試験機(今田製作所製SL−2001)にて磁石の圧壊強度を測定した。その結果を表9に示す。めっき被膜を形成することにより、圧壊強度が向上した。
本発明のバインダレス磁石は、樹脂バインダを含有せず、耐熱性に優れ、また、ボンド磁石に比べて高い磁粉体積率を実現し得るため、従来のボンド磁石の代替物として各種分野に広く用いられる。
また、本発明のバインダレス磁石は、樹脂を含有しないため、めっきなどの表面処理を施しやすく、耐腐食性に優れた磁石を得ることができる。更に、内部に樹脂などの非磁性体材料をほとんど含まないため、廃品や不良品などから磁粉だけを抽出しやすく、リサイクル性にも富んでいる。
2 磁石粉末(希土類系急冷合金磁石粉末)
4 ダイ
6 下パンチ
8 上パンチ
10 成形体(圧縮成形体)
14 固定ダイプレート
16 下部ラム
18 上部ラム
28 上パンチ外径補強ガイド
30a リニアガイドレール
30b リニアガイドレール
32 フィーダカップ
4 ダイ
6 下パンチ
8 上パンチ
10 成形体(圧縮成形体)
14 固定ダイプレート
16 下部ラム
18 上部ラム
28 上パンチ外径補強ガイド
30a リニアガイドレール
30b リニアガイドレール
32 フィーダカップ
Claims (15)
- 希土類系急冷合金磁石粉末の粒子が樹脂バインダを介さずに結合した磁石体と、前記磁石体の表面に設けられた湿式めっき被膜とを有する磁石であって、
前記磁石体の全体に占める前記希土類系急冷合金磁石粉末の体積比率が70%以上95%以下である、希土類合金系バインダレス磁石。 - 前記急冷合金磁石粉末の粒子は、前記急冷合金磁石粉末粒子からの析出物によって結合している、請求項1に記載の希土類合金系バインダレス磁石。
- 前記急冷合金磁石粉末の粒子は、ホウ素を含有する鉄基希土類合金から形成されており、前記析出物は、鉄、希土類、およびホウ素からなる群から選択された少なくとも1種類の元素から構成されている、請求項2に記載の希土類合金系バインダレス磁石。
- 前記急冷合金磁石粉末の粒子にはクラックが形成されており、前記析出部の少なくとも一部は前記クラック内に存在している、請求項2または3に記載の希土類合金系バインダレス磁石。
- 少なくとも最表面にNiめっき層を有する、請求項1から4のいずれかに記載の希土類合金系バインダレス磁石。
- 前記Niめっき層の下層にNiより軟質の金属めっき被層を有する、請求項5に記載の希土類合金系バインダレス磁石。
- 前記希土類系急冷合金磁石粉末の粒子は、1種以上の強磁性結晶相を含有し、その平均結晶粒径が10nm以上300nm以下の範囲にある、請求項1から6のいずれかに記載の希土類合金系バインダレス磁石。
- 前記希土類系急冷合金磁石粉末の粒子は、硬磁性相および軟磁性相を含有するナノコンポジット磁石組織を有している、請求項1から7のいずれかに記載の希土類合金系バインダレス磁石。
- 密度が5.5g/cm3〜7.0g/cm3である請求項1から8のいずれかに記載の希土類合金系バインダレス磁石。
- 組成式T100-x-y-zQxRyMz(TはFe、または、CoおよびNiからなる群から選択された1種以上の元素とFeとを含む遷移金属元素、QはBおよびCからなる群から選択された少なくとも1種の元素、RはLaおよびCeを実質的に含まない少なくとも1種の希土類元素、Mは、Ti、Al、Si、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、Hf、Ta、W、Pt、Au、およびPbからなる群から選択された少なくとも1種の金属元素)で表現され、組成比率x、y、およびzが、それぞれ、
10<x≦35原子%、
2≦y≦10原子%、および
0≦z≦10原子%
を満足する組成を有している、請求項1から9のいずれかに記載の希土類合金系バインダレス磁石。 - 組成式T100-x-y-zQxRyMz(TはFe、または、CoおよびNiからなる群から選択された1種以上の元素とFeとを含む遷移金属元素、QはBおよびCからなる群から選択された少なくとも1種の元素、RはLaおよびCeを実質的に含まない少なくとも1種の希土類元素、Mは、Ti、Al、Si、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、Hf、Ta、W、Pt、Au、およびPbからなる群から選択された少なくとも1種の金属元素)で表現され、組成比率x、y、およびzが、それぞれ、
4<x≦10原子%、
6≦y<12原子%、および
0≦z≦10原子%
を満足する組成を有している、請求項1から9のいずれかに記載の希土類合金系バインダレス磁石。 - 希土類系急冷合金磁石粉末を用意する工程(A)と、
樹脂バインダを用いずに前記希土類系急冷合金磁石粉末を冷間にて圧縮して成形することにより、全体に占める前記希土類系急冷合金磁石粉末の体積比率が70%以上95%以下の圧縮成形体を形成する工程(B)と、
前記工程(B)の後に350℃以上800℃以下の温度で前記圧縮成形体に対して熱処理を施し、磁石体を形成する工程(C)と、
前記磁石体の表面に湿式めっき被膜を形成する工程(D)と、
を含む希土類合金系バインダレス磁石の製造方法。 - 前記工程(B)では、500MPa以上2500MPa以下の圧力で前記希土類系急冷磁石用急冷合金磁石粉末を圧縮する、請求項12に記載の希土類合金系バインダレス磁石の製造方法。
- 前記工程(C)の熱処理は、圧力が1×10-2Pa以下の不活性ガス雰囲気中で実行する請求項12または13に記載の希土類合金系バインダレス磁石の製造方法。
- 前記工程(C)の熱処理は、露点が−40℃以下の不活性ガス雰囲気中で実行する請求項12から14のいずれかに記載の希土類合金系バインダレス磁石の製造方法。
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