JP2007127248A - 円錐ころ軸受およびその組み立て方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸受内部に潤滑油が流入する円錐ころ軸受における潤滑油の流動抵抗によるトルク損失を低減することである。
【解決手段】円錐筒状の保持器4をピッチ円直径の内径側で円錐ころ3をポケット4aに収納するものとすることにより、潤滑油が流入する軸受内部を保持器4の外径側でスペースを広くして、このスペースを広くした保持器4の外径側へ潤滑油を多く送り込み、保持器4の内径側から内輪1側へ流入する潤滑油の量を少なくして、内輪1の大鍔1cで堰き止められて軸受内部に滞留する潤滑油の量を減らし、潤滑油の流動抵抗によるトルク損失を低減できるようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、潤滑油が外部から流入する部位の用途に好適な円錐ころ軸受とその組み立て方法に関する。
円錐ころ軸受は、外径面の軌道面の大径側に大鍔が設けられた内輪と、内径面に軌道面が設けられた外輪と、内輪と外輪の軌道面間に所定のピッチ円直径で配列された複数の円錐ころと、これらの円錐ころを収納するポケットが設けられた円錐筒状の保持器とからなり、円錐ころを保持器のポケットに収納して内輪と一体に組み込んだ後、外輪をその外周側に嵌め込んで組み立てられる。内輪の軌道面の小径側に小鍔を設けたものもある。このため、円錐筒状の保持器には、内輪と一体に組み込んだ円錐ころが脱落しないように、円錐ころをピッチ円直径の外径側で外抱きするようにポケットに収納するものが用いられている。
一方、自走車両のデファレンシャルやトランスミッション等の動力伝達軸を支持する円錐ころ軸受は、下部が油浴に漬かった状態で使用され、その回転に伴って油浴の油が潤滑油として軸受内部に流入する。このような用途に使用される円錐ころ軸受では、潤滑油が円錐ころの小径側から軸受内部に流入し、保持器よりも外径側から流入する潤滑油は外輪の軌道面に沿って円錐ころの大径側へ移動し、保持器よりも内径側から流入する潤滑油は内輪の軌道面に沿って円錐ころの大径側へ移動する。
このように潤滑油が外部から流入する部位に使用される円錐ころ軸受には、保持器のポケットに切欠きを設けて、保持器の外径側と内径側とに分かれて流入する潤滑油がこの切欠きを通過するようにし、軸受内部での潤滑油の流通を向上させるようにしたものがある(例えば、特許文献1、2参照)。
特開平9−32858号公報(第3図) 特開平11−201149号公報(第2図)
上述したように潤滑油が保持器の外径側と内径側とに分かれて軸受内部へ流入する円錐ころ軸受では、保持器の内径側から内輪側へ流入する潤滑油の割合が多くなると、トルク損失が大きくなることが分かった。この理由は、以下のように考えられる。
すなわち、保持器の外径側から外輪側へ流入する潤滑油は、外輪の内径面には障害物がないので、その軌道面に沿って円錐ころの大径側へスムーズに移動して軸受内部から流出するが、保持器の内径側から内輪側へ流入する潤滑油は、内輪の外径面には大鍔があるので、その軌道面に沿って円錐ころの大径側へ移動したときに大鍔で堰き止められ、軸受内部に滞留しやすくなる。このため、保持器の内径側から内輪側へ流入する潤滑油の割合が多くなると、軸受内部に滞留する潤滑油の量が多くなり、この滞留する潤滑油が軸受回転に対する流動抵抗となってトルク損失が増大するものと考えられる。
そこで、本発明の課題は、軸受内部に潤滑油が流入する円錐ころ軸受における潤滑油の流動抵抗によるトルク損失を低減することである。
上記の課題を解決するために、本発明の円錐ころ軸受は、外径面の軌道面の大径側に大鍔が設けられた内輪と、内径面に軌道面が設けられた外輪と、前記内輪と外輪の軌道面間に所定のピッチ円直径で配列された複数の円錐ころと、これらの円錐ころを収納するポケットが設けられた円錐筒状の保持器とからなる円錐ころ軸受において、前記保持器を前記ピッチ円直径の内径側で前記円錐ころを前記ポケットに収納するものとした構成を採用した。
すなわち、保持器をピッチ円直径の内径側で円錐ころをポケットに収納するものとすることにより、潤滑油が流入する軸受内部を保持器の外径側でスペースを広くして、このスペースを広くした保持器の外径側へ潤滑油を多く送り込み、保持器の内径側から内輪側へ流入する潤滑油の量を少なくして、内輪の大鍔で堰き止められて軸受内部に滞留する潤滑油の量を減らし、潤滑油の流動抵抗によるトルク損失を低減できるようにした。
また、本発明の円錐ころ軸受の組み立て方法は、外径面の軌道面の大径側に大鍔が設けられた内輪と、内径面に軌道面が設けられた外輪と、前記内輪と外輪の軌道面間に所定のピッチ円直径で配列された複数の円錐ころと、これらの円錐ころを収納するポケットが設けられた円錐筒状の保持器とからなり、前記保持器をピッチ円直径の内径側で円錐ころをポケットに収納するものとした円錐ころ軸受の組み立て方法において、前記円錐ころをピッチ円直径の外径側で外抱きする円錐筒状の仮保持器を用意して、この仮保持器で外抱きした円錐ころを前記保持器のポケットに収納して前記内輪と一体に組み込んだ後、前記外輪をその外周側に嵌め込んで軸受を組み立て、この軸受の組み立て後に前記仮保持器を取り外す方法を採用した。
すなわち、円錐ころをピッチ円直径の外径側で外抱きする円錐筒状の仮保持器を用意して、この仮保持器で外抱きした円錐ころを保持器のポケットに収納して内輪と一体に組み込んだ後、外輪をその外周側に嵌め込んで軸受を組み立て、この軸受の組み立て後に仮保持器を取り外すことにより、保持器をピッチ円直径の内径側で円錐ころをポケットに収納するものとしても、保持器のポケットに収納して内輪と一体に組み込んだ円錐ころの脱落を防止できるようにした。
前記円錐筒状の仮保持器は、前記円錐ころを外抱きする櫛形のものとし、前記軸受の組み立て後に円錐ころの軸方向へ抜き取るものとすることができる。
本発明の円錐ころ軸受は、保持器をピッチ円直径の内径側で円錐ころをポケットに収納するものとしたので、潤滑油が流入する軸受内部を保持器の外径側でスペースを広くして、このスペースを広くした保持器の外径側へ潤滑油を多く送り込み、保持器の内径側から内輪側へ流入する潤滑油の量を少なくして、内輪の大鍔で堰き止められて軸受内部に滞留する潤滑油の量を減らし、潤滑油の流動抵抗によるトルク損失を低減することができる。
また、本発明の円錐ころ軸受の組み立て方法は、円錐ころをピッチ円直径の外径側で外抱きする円錐筒状の仮保持器を用意して、この仮保持器で外抱きした円錐ころを保持器のポケットに収納して内輪と一体に組み込んだ後、外輪をその外周側に嵌め込んで軸受を組み立て、この軸受の組み立て後に仮保持器を取り外すようにしたので、保持器をピッチ円直径の内径側で円錐ころをポケットに収納するものとしても、保持器のポケットに収納して内輪と一体に組み込んだ円錐ころの脱落を防止することができる。
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1乃至図4は、第1の実施形態を示す。この円錐ころ軸受は、図1および図2に示すように、内輪1の軌道面1aと外輪2の軌道面2aの間に、複数の円錐ころ3を円錐筒状の保持器4に保持して所定のピッチ円直径Aで配列したものであり、内輪1の軌道面1aの小径側と大径側には、それぞれ小鍔1bと大鍔1cが設けられている。保持器4はピッチ円直径Aの内径側で円錐ころ3をポケット4aに収納するようになっており、軸受内部のスペースが保持器4の外径側で広くなっている。なお、保持器4の小径端側には、その剛性を確保するために、外向きの鍔4bが設けられている。
図1に矢印で示すように、前記円錐ころ3の小径側から軸受内部に流入する潤滑油は、スペースの広い保持器4の外径側へ多く送り込まれ、保持器4の内径側から内輪1側へ流入する潤滑油の量が少なくなる。したがって、内輪1の大鍔1cで堰き止められて軸受内部に滞留する潤滑油の量が減少し、潤滑油の流動抵抗によるトルク損失が低減される。
図3は、後述する円錐ころ軸受の組み立て時に使用する円錐筒状の仮保持器5を示す。この仮保持器5は可撓性を有する樹脂で形成され、小径側で連なる環状部5aと大径側へ延びる櫛部5bとからなる。図中に一点鎖線で示すように、円錐ころ3はピッチ円直径Aの外径側で、櫛部5bの間に外抱きされるようになっている。
図4(a)、(b)は、前記仮保持器5を用いて上述した円錐ころ軸受を組み立てる手順を示す。まず、図4(a)に示すように、仮保持器5で外抱きした円錐ころ3を保持器4のポケット4aに収納して内輪1と一体に組み込み、この後、図4(b)に示すように、その外周側に外輪2を嵌め込んで軸受を組み立てる。この軸受の組み立て後に、仮保持器5は円錐ころ3の小径側から抜き取られ、図1に示したような円錐ころ軸受となる。
図5は、第2の実施形態を示す。この円錐ころ軸受は、基本的な構成は第1の実施形態のものと同じであり、前記内輪1の軌道面1aの小径側の小鍔1bがなく、保持器4の小径端側に内向きの鍔4bが設けられている点が異なる。その他の部分は第1の実施形態のものと同じであり、保持器4はピッチ円直径Aの内径側で円錐ころ3をポケット4aに収納するようになっている。また、図示は省略するが、軸受の組み立て手順も、第1の実施形態のものと同じである。
上述した各実施形態では、仮保持器を円錐ころの小径側から抜き取るものとしたが、円錐ころの大径側から抜き取るものとすることもできる。
第1の実施形態の円錐ころ軸受を示す縦断面図 図1の分解斜視図 図1の円錐ころ軸受の組み立てに用いる仮保持器を示す一部省略斜視図 a、bは、図3の仮保持器を用いた円錐ころ軸受の組み立て手順を示す縦断面図 第2の実施形態の円錐ころ軸受を示す縦断面図
符号の説明
1 内輪
1a 軌道面
1b 小鍔
1c 大鍔
2 外輪
2a 軌道面
3 円錐ころ
4 保持器
4a ポケット
4b 鍔
5 仮保持器
5a 環状部
5b 櫛部

Claims (3)

  1. 外径面の軌道面の大径側に大鍔が設けられた内輪と、内径面に軌道面が設けられた外輪と、前記内輪と外輪の軌道面間に所定のピッチ円直径で配列された複数の円錐ころと、これらの円錐ころを収納するポケットが設けられた円錐筒状の保持器とからなる円錐ころ軸受において、前記保持器を前記ピッチ円直径の内径側で前記円錐ころを前記ポケットに収納するものとしたことを特徴とする円錐ころ軸受。
  2. 外径面の軌道面の大径側に大鍔が設けられた内輪と、内径面に軌道面が設けられた外輪と、前記内輪と外輪の軌道面間に所定のピッチ円直径で配列された複数の円錐ころと、これらの円錐ころを収納するポケットが設けられた円錐筒状の保持器とからなり、前記保持器をピッチ円直径の内径側で円錐ころをポケットに収納するものとした円錐ころ軸受の組み立て方法において、前記円錐ころをピッチ円直径の外径側で外抱きする円錐筒状の仮保持器を用意して、この仮保持器で外抱きした円錐ころを前記保持器のポケットに収納して前記内輪と一体に組み込んだ後、前記外輪をその外周側に嵌め込んで軸受を組み立て、この軸受の組み立て後に前記仮保持器を取り外すようにしたことを特徴とする円錐ころ軸受の組み立て方法。
  3. 前記円錐筒状の仮保持器を、前記円錐ころを外抱きする櫛形のものとし、前記軸受の組み立て後に円錐ころの軸方向へ抜き取るものとした請求項2に記載の円錐ころ軸受の組み立て方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010019284A (ja) * 2008-07-08 2010-01-28 Nsk Ltd 円すいころ軸受用保持器及び円すいころ軸受
CN104595363A (zh) * 2013-10-31 2015-05-06 刘发扬 新型离心自润滑圆锥滚子轴承保持器

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