JP2007126785A - 繊維構造体及びそれを用いた繊維製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸湿性に優れ、清涼感・冷涼感を有し、染色湿潤堅牢性、耐光堅牢性といった特性にも優れた、維構造体及びそれを用いた繊維製品を提供する。
【解決手段】イオン染料可染性繊維と、共重合ポリエステル繊維とからなる繊維構造体とし、該共重合ポリエステル繊維を構成する共重合ポリエステルを、ポリエーテル成分が側鎖に共重合されたポリエステルとし、該繊維構造体がカチオン染料により染色した繊維構造体とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維構造体及びそれを用いた繊維製品に関するものである。さらに詳細には、吸湿性、良好な清涼感、冷涼感を有し、しかも染色湿潤堅牢性、耐光堅牢性といった特性にも優れた繊維構造体及びそれを用いた繊維製品に関するものである。
ポリエステルは多くの優れた特性を有するがゆえに合成繊維、フイルム、その他の成形物として広く用いられている。しかしながら、ポリエステルは、疎水性であるため、例えば繊維として使用した場合に、木綿や麻等の天然繊維に比較して吸水性、吸湿性が著しく劣る欠点があり、吸水性や吸湿性が要求される分野での使用が制限されている。なかでも、布帛が直接肌に接する衣料用途におけるポリエステル繊維の使用は、蒸れ感やべとつき感等の著しい不快感を招来するため極度に制限されているのが実状であり、特に盛夏用衣料用途での使用は実質上皆無に近い。
従来、かかる問題を解決するため、ポリエステル繊維に吸水性、吸湿性を付与しようとする試みが多数なされている。例えば、ポリエステル繊維に吸水性(液体状態の水を吸収する性質)を付与する方法として、繊維表面を変性して吸水性を付与する方法と繊維内部まで吸水性を高める方法とがある。前者では原糸改質や後加工によって、繊維表面を親水性の化合物で覆う方法が主に採用されており、この他に放電処理、光グラフト、薬品によるエッチング、親水性化合物の低温プラズマ重合加工等がある。後者の方法としてはポリエステル繊維を多孔質化することによって毛細管現象を利用して吸水性を高めることが行われている。しかしながら、これらの方法は感知蒸泄つまり発汗状態においては相応の効果が認められ、特に多孔質の吸水性ポリエステル繊維においては、抱水率や湿潤知覚限界(湿ったと感じ得る抱水率)を顕著に高める効果が得られると共に速乾性を有するため、汗を多量にかくスポーツ用途等で快適な汗処理機能を発揮できるものの、吸湿性(気相状態の水、即ち水蒸気を吸収する性能)を殆んど有しないためか、人間の感覚にはのぼらずに常に体外に蒸発している不感蒸泄に対しては特別の効果が認められず、蒸れ感や蒸し暑さを解消する効果は少ないので、木綿や麻等の天然繊維のもつ清涼感、冷涼感を呈するのには程遠い。その上、繊維の表面に親水性樹脂の皮膜を形成させる方法では、疎水性繊維の表面のみに親水性皮膜を形成させるものであり、両者の親和性が不良であるため、洗濯耐久性に劣る欠点がある。
一方、ポリエステル繊維に吸湿性を付与する方法として、親水性化合物のグラフト重合による後加工方法が提案されている。この方法によれば、例えばポリエチレンテレフタレート繊維にアクリル酸やメタクリル酸を15重量%程度グラフト重合した後でナトリウム塩化処理を施すことによって木綿と同等の吸湿率が得られる。しかしながら、かかるグラフト重合で改質した吸湿性ポリエステル繊維は、確かに木綿並みの平衡吸湿率は有するものの、平衡吸湿率に至るまでの吸湿速度が木綿に比較して著しく小さい。このことも関係してか、着用した際の蒸れ感やべとつき感を解消する効果は少なく、清涼感は得られない。その上、この方法では染色堅牢度が低下したり、風合が硬化する等の欠点があり実用に耐えない。
他方、ポリマー自身を吸湿性にしたポリエステルとしては、従来から知られているポリオキシエチレングリコールを共重合したポリエステル以外には注目すべきものがないのが現状である。かかるポリオキシエチレングリコール成分を含むポリエステルは吸湿性向上効果は呈するものの、その向上効果は比較的小さく、そのため多量のポリオキシエチレングリコール成分の使用を必要とし、その結果最終的に得られる変性ポリエステル繊維の物理的性能や耐熱性の低下が著しく、実用的価値は低い。
ポリオキシエチレングリコール共重合ポリエステルの欠点を改良しようとする別の提案として、ポリエステル重合体主鎖に対してポリオキシエチレングリコール成分を側鎖に有する共重合ポリエステルの製造法が提案されている(特許文献1、特許文献2)。この方法によれば比較的少量のポリオキシエチレングリコール成分の導入によって、繊維になした際に吸湿性、吸水性及び速乾性に優れると共に、熱伝導性と透湿性が良好であり、優れた清涼感、冷涼感を呈する共重合ポリエステルが得られるため有用である。しかしながら、このように優れた機能性を有する一方で、該ポリエステル重合体主鎖に対してポリオキシエチレングリコール成分を側鎖に有する共重合ポリエステルからなる繊維は、場合によっては染色品の染色堅牢度、特に洗濯堅牢度に難点を有することが判明した。例えば、通常のポリエステル繊維と該共重合ポリエステル繊維とを混用して作製した織編物に、ポリエステル繊維の通常の染色加工方法である、分散染料による高温高圧染色法で染色加工を施した場合、淡色や中色では問題は比較的少ないものの濃色に染色した際に染色品のJIS L−0844 A−2法やAATCC II−A法で規定する洗濯堅牢度汚染(以下、染色湿潤堅牢度と称する)や耐光性堅牢性が不充分なレベルとなる場合がある。
特公平6−84426号公報 特公平6−84427号公報
本発明は、上記背景技術に鑑みなされたもので、その目的は、吸湿性に優れ、清涼感・冷涼感を有し、さらに染色湿潤堅牢性、耐光堅牢性といった特性にも優れた、繊維構造体及びそれを用いた繊維製品を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討を行った結果、特定の共重合ポリエステル繊維をカチオン染料可染性ポリエステル繊維とを併用した繊維構造物を、カチオン染料を使用して該カチオン染料可染性ポリエステル繊維の染色条件下に染色加工処理することにより、濃色に染色した場合においてもJIS L−0844 A−2法およびAATCC II−A法に合格する染色堅牢度レベルを達成できること、この際、共重合ポリエステル繊維としてカチオン染料可染タイプとカチオン染料不染タイプとを比較すると、濃色染色においてカチオン染料可染タイプの方がカチオン染料不染タイプよりも2級近くも汚染レベルが低く、明らかにカチオン染料可染タイプの方がより良好な結果を与えることがわかった。さらに、上記繊維構造体は耐光堅牢性の点でも優れたものであった。
本発明者等は、これらの知見に基づき、さらに重ねて実験を繰り返した結果、上記共重合ポリエステルにおいては、イオン染料可染性繊維およびイオン染料としては、カチオン染料のみならずアニオン染料においても同様に良好な結果を与えることを知見した。本発明は、これらの知見に基づきさらに検討した結果、完成したものである。
本発明者等は、上記目的を達成すべく検討した結果、特定の共重合ポリエステルからなる繊維と、イオン染料可染性繊維とを組合せることで、上記の多岐にわたる要求特性の全てをバランスよく満足する繊維構造体及び繊維製品を提供できることを見出すに至った。
すなわち、本発明は次の通りである。
1.イオン染料可染性繊維と、共重合ポリエステル繊維とからなる繊維構造体であって、該共重合ポリエステル繊維を構成する共重合ポリエステルが、ポリエーテル成分が側鎖に共重合されたポリエステルであり、該繊維構造体がイオン染料により染色されていることを特徴とする繊維構造体。
2.共重合ポリエステル繊維を構成する共重合ポリエステルが、下記一般式(1)で表わされるジオール化合物及び/又は下記一般式(2)で表わされるエポキシ化合物が共重合されたポリエステルである、1記載の繊維構造体。
Figure 2007126785
(式中、Rは炭化水素基、R’はアルキレン基、n1は重合度を示す正の整数である)
Figure 2007126785
(式中、Rは炭化水素基、R’はアルキレン基、n2は重合度を示す正の整数である)
3.ジオール化合物及び/又はエポキシ化合物の共重合量が、共重合ポリエステルに対して10〜40重量%である、2に記載の染色された繊維構造体。
4.共重合ポリエステル繊維を構成するポリエステルが、下記一般式(3)で表される有機スルホン酸金属塩が共重合されたポリエステルである、1〜3いずれかに記載の繊維構造体。
Figure 2007126785
(式中、Rは芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基、Xはエステル形成性の官能基、Xはエステル形成性の官能基または水素原子、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属、n3は1または2である。)
5.イオン染料可染性繊維が、カチオン染料可染性ポリエステル繊維及び/又はアクリル繊維であり、且つイオン染料がカチオン染料である、1〜4のいずれかに記載の繊維構造体。
6.イオン染料可染性繊維が、ナイロン繊維、羊毛繊維および絹繊維よりなる群から選ばれた少なくとも一種の繊維であり、且つイオン染料がアニオン染料である、1〜4のいずれかに記載の繊維構造体。
7.1〜6のいずれかに記載の繊維構造体を用いた繊維製品。
本発明の繊維製品は、吸湿性、清涼感・冷涼感を発現することができ、しかも染色湿潤堅牢性、耐光堅牢性といった特性を有する。したがって、上記本発明の繊維構造体を用いた繊維製品は特にスポーツ用途やインナー用途などの衣料用途において極めて有用なものである。
本発明の繊維構造体においては、イオン染料可染性繊維と、共重合ポリエステル繊維とからなる繊維構造体であって、該共重合ポリエステル繊維を構成する共重合ポリエステルが、ポリエーテル成分が側鎖に共重合されたポリエステルであり、該該繊維構造体がイオン染料により染色されていることが肝要である。上記2種類の繊維を組み合わせることによって、吸湿性、清涼感・冷涼感、染色湿潤堅牢性、耐光堅牢性の全てにバランスよく優れた繊維構造体及び繊維製品を達成することができる。
本発明において繊維構造体とは、糸、織物、編物、不織布などの形態を含むものである。例えば、上記繊維構造体が糸の場合は、イオン染料可染性繊維と共重合ポリエステル繊維とからなる、混繊、複合糸、合撚糸、加工糸等が挙げられ、特に、イオン染料可染性繊維と共重合ポリエステル繊維からなる混繊糸、又は、イオン染料可染性繊維と共重合ポリエステル繊維からなる複合糸、さらにイオン染料可染性繊維を鞘部と共重合ポリエステル繊維を芯部とする複合糸であることが本発明の目的を達成する上で好ましい。なお、イオン染料可染性繊維と共重合ポリエステル繊維はいずれも短繊維又は長繊維であってもよく、一方が長繊維で他方が短繊維であってもよい。したがって、上記の複合糸は、共重合ポリエステル繊維の長繊維を、イオン染料可染性繊維の長繊維で被覆したカバードヤーン(シングルカバードヤーン、ダブルカバードヤーン)や、共重合ポリエステル繊維の長繊維が芯部、イオン染料可染性繊維の短繊維が鞘部となるように紡績したコアスパンヤーンであってもよい。また、上記の糸はイオン染料可染性繊維と共重合ポリエステル繊維とを引き揃えて撚り合わせた合撚糸であってもよい。
本発明の繊維構造体が織編物の場合は、例えばイオン染料可染性繊維と共重合ポリエステル繊維とを、交織した織物や、交編した編物を例示できる。また、上記繊維構造体が不織布の場合は、例えばイオン染料可染性繊維と共重合ポリエステル繊維とからなる、湿式不織布、乾式不織布等を例示できる。なお、織編物や不織布は、前記した混繊糸、複合糸、合撚糸、加工糸等からなるものであってもよい。
本発明におけるイオン染料は、公知のカチオン染料(塩基性染料も含む)、アニオン染料(酸性染料も含む)がすべて包含される。カチオン染料としては分散型カチオン染料であってもよい。
また、本発明においてイオン染料可染性繊維とは、カチオン染料可染性繊維の場合は後述する実施例1に記載する染色方法で、アニオン染料可染性繊維の場合は後述する実施例4に記載する染色方法で、それぞれ上記繊維からなる目付150g/mの平織物を染色したとき、該染色後の染色評価が汚染用グレースケールで3級以上となるものをいう。また、上記イオン染料可染性繊維は、ポリエーテル成分が側鎖に共重合されたポリエステルで構成された共重合ポリエステル繊維は含まない。
本発明においてイオン染料可染性繊維は、イオン染料で実用的な染色が可能な繊維であれば特に制限する必要はなく、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、天然繊維のいずれであってもよい。具体的には、カチオン染料可染性繊維として、カチオン染料可染性ポリエステル繊維、アクリル繊維などを例示することができ、アニオン染料可染性繊維として、ナイロン繊維、羊毛繊維、絹繊維、酸性染料可染性ポリエステル繊維、酸性染料可染性アクリル繊維などを例示することができる。なかでも、カチオン染料可染性ポリエステル繊維が好ましい。このようなカチオン染料可染性ポリエステル繊維としては、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウムや3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウムなどの有機スルホン酸塩を1〜5モル%共重合したポリエチレンテレフタレート繊維を好ましく例示できる。
本発明のイオン染料可染性繊維は長繊維であっても、短繊維であってもよく、繊度は任意でよい。繊維の断面形状は円形であっても異形であってもよく、また中空繊維であっても中実繊維であってもよい。これらの繊維においてイオン染料はイオン結合によって繊維に結合される。
なお、本発明のイオン染料可染性繊維には、艶消し剤、着色防止剤、酸化防止剤、難燃剤等、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤が添加されていてもよい。
一方、本発明において共重合ポリエステル繊維を構成するポリエステルは、ポリエステルは、テレフタル酸を主たる二官能性カルボン酸成分とし、少なくとも1種のグリコール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールから選ばれる少なくとも1種のアルキレングリコールをグリコール成分とするポリエステルを主たる対象とする。
また、テレフタル酸成分の一部を他の二官能性カルボン酸成分で置換えたポリエステルであってもよく、及び/又はグリコール成分の一部を主成分以外の上記グリコール若しくは他のジオール成分で置換えたポリエステルであってもよい。
ここで使用されるテレフタル酸以外の二官能性カルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の如き芳香族、脂肪族、脂環族の二官能性カルボン酸をあげることができる。
また、上記グリコール以外のジオール化合物としては、例えばシクロヘキサン―1,4―ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSの如き脂肪族、脂環族、芳香族ジオール化合物等をあげることができる。
さらに、ポリエステルが実質的に線状である範囲でトリメリット酸、ピロメリット酸の如きポリカルボン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールの如きポリオールを使用することができる。
かかるポリエステルは任意の方法によって合成される。例えばポリエチレンテレフタレートについて説明すれば、通常テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか又はテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテレフタル酸のグリコールエステルおよび/又はその低重合体を生成させる第一段階の反応と、第一段階の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第二段階の反応によって製造される。
まず、共重合ポリエステル繊維を構成する、ポリエーテル成分が共重合されているポリエステルについて詳細に説明する。ポリエーテル成分としてはポリオキシアルキレン成分が好ましく、たとえば上記基体ポリエステルに、下記一般式(1)で表わされるジオール化合物及び/又は下記一般式(2)で表わされるエポキシ化合物が共重合された共重合ポリエステルを好ましい具体例としてあげることができる。
本発明に用いる本発明においては上記基体ポリエステルに、下記一般式(1)で表わされるジオール化合物及び/又は下記一般式(2)で表わされるエポキシ化合物が共重合される。
Figure 2007126785
Figure 2007126785
これらの式中、R、Rは炭化水素基を示し、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアルキルアリール基が好ましい。R’、R’はアルキレン基であり、炭素原子数2〜4のアルキレン基が好ましい。具体的にはエチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基が例示される。また、2種以上の混合、例えばエチレン基とプロピレン基、若しくはエチレン基とテトラメチレン基とを持ったランダム共重合体やブロック共重合体であってもよい。n、nは重合度を示す正の整数であり、30〜140の範囲であるのが好ましい。重合度が30未満では、充分な吸湿性、透湿性や木綿、麻等の天然繊維が有する清涼感、冷涼感が呈されず、本発明の目的が達成されない。また、重合度が140を越えて大きくなると最早共重合が困難になり、充分な吸湿性、透湿性や清涼感、冷涼感が呈されなくなる。なかでも40〜100の範囲において特に優れた吸湿性、透湿性が発現すると共に清涼感、冷涼感が特に顕著に奏されるので好ましい。RとR、R’とR’、n1とn2とは相互に同一であっても異なっていてもよい。
かかる化合物の好ましい具体例としては、上記式(1)で示されるジオール化合物としてポリオキシエチレングリコールメチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールフェニル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールイソプロピル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールn−ブチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールオクチルフェニル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールノニルフェニル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールセチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールメチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールフェニル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールn−ブチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールオクチルフェニル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールノニルフェルニ1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシテトラメチレングリコールメチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチルグリコール/ポリオキシプロピレングリコール共重合体のメチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル等をあげることができ、これらのなかでもポリオキシエチレングリコール誘導体が特に好ましい。上記ジオール化合物は1種を単独で使用しても、また2種以上を併用してもよい。
また、上記式(2)で示されるエポキシ化合物の好ましい具体例としては、ポリオキシエチレングリコールメチルグリシジエーテル、ポリオキシエチレングリコールフェニルグリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコールイソプロピルグリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコールn−ブチルグリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコールオクチルフェニルグリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコールノニルフェニルグリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコールセチルグリシジルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールメチルグリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコールフェニルグリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコールn−ブチルグリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコールオクチルフェニルグリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコールノニルフェニルグリシジルエーテル、ポリオキシテトラメチレングリコールメチルグリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール/ポリオキシプロピレングリコール共重合体のメチルグリシジルエーテル等をあげることができる。これらのなかでもポリオキシエチレングリコール誘導体が特に好ましい。上記エポキシ化合物は1種を単独で使用しても、また2種以上を併用してもよい。
上記のジオール化合物及び/又はエポキシ化合物を前記基体ポリエステルに共重合するには、前述したポリエステルの合成が完了するまでの任意の段階、例えば第1段階の反応開始前、反応中、反応終了後、第2段階の反応中等の任意の段階で添加し、添加後重縮合反応を完結すればよい。この際その使用量は、あまりに少ないと最終的に得られるポリエステル成形物の吸湿性、清涼感、冷涼感の性能が不充分になり、逆にあまりに多いともはや著しい吸湿性、清涼感、冷涼感性能の向上が見られず、かえって最終的に得られる成形物の物理的性質、例えば繊維の強伸度等が悪化するだけでなく、耐熱性や耐光性も低下するため、共重合ポリエステルに対して10〜40重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは15〜30重量%の範囲である。
本発明の共重合ポリエステルを製造するにあたって、安定剤として従来公知のヒンダードフェノール系酸化防止剤やヒンダードアミン系光安定剤を添加することは、共重合ポリエステル繊維の使用時における熱劣化、酸化劣化、光劣化等を抑制する効果があるだけでなく、溶融紡糸時のポリマーの固有粘度の低下をも抑制する効果があるのでむしろ好ましいことである。
本発明においては、上記共重合ポリエステルには有機スルホン酸金属塩が共重合されていてもよい。有機スルホン酸金属塩が共重合されていることによって最終的に得られる繊維製品中の共重合ポリエステル繊維はカチオン染料可染性になると共に、清涼感、冷涼感、吸放湿性が向上するようになる反面、耐熱性などが劣るようになる。共重合ポリエステル繊維はカチオン染料可染型になり、結果的に最終的に得られる繊維製品の染色湿潤堅牢度などの染色堅牢度が低下傾向にはなるが、用途によっては実用的に使用可能である。
かかる有機スルホン酸金属塩は、下記一般式(3)で表されるものを好ましく例示することができる。
Figure 2007126785
式中、Rは芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基であり、好ましくは炭素数6〜15の芳香族炭化水素基または炭素数10以下の脂肪族炭化水素基である。特に好ましいRは、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、とりわけベンゼン環である。Xはエステル形成性官能基を示し、XはXと同一もしくは異なるエステル形成性官能基を示すか或いは水素原子を示すが、エステル形成性官能基であるのが好ましい。エステル形成性官能基としてはポリエーテルエステルの主鎖または末端に反応して結合する基であればよく具体的には下記の基を挙げることができる。
Figure 2007126785
上記式中、R'は低級アルキル基またはフェニル基を示し、aおよびdは1〜10の整数を示し、bは2〜6の整数を示す。
Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属金属または4級ホスホニウムであり、n3は1または2である。なかでもMがアルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウムまたはカリウム)であり、かつn3が1であるのが好ましい。
かかる一般式(3)で表わされる有機スルホン酸金属塩の好ましい具体例としては、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸リチウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸リチウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸リチウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4−スルホン酸ナトウリム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4−スルホン酸カリウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4−スルホン酸リチウム、2,6−ジカルボキシナフタレン−4−スルホン酸ナトリウム、2,6−ジカルボメトキシスフタレン−1−スルホン酸ナトリウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−3−スルホン酸ナトリウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4,8−ジスルホン酸ナトリウム、2,6−ジカルボキシナフタレン−4,8−ジスルホン酸ナトリウム、2,5−ビス(ヒドロエトキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−ナトリウムスルホコハク酸などをあげることができる。上記有機スルホン酸金属塩は1種のみを単独で用いても、2種以上併用してもよい。
上記有機スルホン酸金属塩の共重合量は、あまり多すぎると共重合ポリエステル繊維の融点が低下して耐熱性、耐候(光)性、耐薬品性などが低下する傾向にあるため、共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準として0〜20モル%以下の範囲とするのが好ましい。
上記有機スルホン酸金属塩を共重合するには、上記したジオール化合物及び/又はエポキシ化合物式を共重合する場合と同様に、前述したポリエステルの合成が完了するまでの任意の段階、例えば第1段階の反応開始前、反応中、反応終了後、第2段階の反応中等の任意の段階で添加し、添加後重縮合反応を完結すればよい。
本発明の共重合ポリエステルを製造するにあたって、安定剤として従来公知のヒンダードフェノール系酸化防止剤やヒンダードアミン系光安定剤や紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、ベンゾトリアジン系、ベンゾフェノン系など)を添加することは、共重合ポリエステル繊維の使用時における熱劣化、酸化劣化、光劣化等を抑制する効果があるだけでなく、溶融紡糸時のポリマーの固有粘度の低下をも抑制する効果があるのでむしろ好ましいことである。
本発明の繊維構造体中のイオン染料可染性繊維及び共重合ポリエステル繊維との含有量は後者があまりに少なすぎると快適機能が不充分となり、逆に多すぎると耐熱性、耐光(候)性、耐薬品性などが悪化する傾向がある。そのため、繊維構造体の全重量を基準として、イオン染料可染性繊維の割合は好ましくは95〜15重量%であり、より好ましくは80〜30重量%であり、一方、共重合ポリエステル繊維の割合は好ましくは5〜85重量%、より好ましくは20〜70重量%である。なお、本発明の繊維構造物には、本発明の効果を阻害しない範囲、具体的には繊維構造体全重量を基準として好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満、上記のイオン染料可染性繊維及び共重合ポリエステル繊維以外の繊維の繊維が含まれていてもよい。
本発明の繊維構造体の1形態である混繊糸は、イオン染料可染性繊維と共重合ポリエステル繊維とを公知方法により混繊することができ、その際、インターレースノズルを用いた空気混繊が好ましく例示できる。
また、イオン染料可染性繊維の糸条の走行中に、共重合ポリエステル繊維からなる糸条を走行させておき、イオン染料可染性繊維からなる糸条をオーバーフィードさせながら上記糸条に供給した後で両者を複合させる方法、イオン染料可染性繊維の伸度を共重合ポリエステル繊維の伸度よりも大きく設計し両者を混繊する方法、イオン染料可染性繊維の熱収縮率を共重合ポリエステル繊維の熱収縮率よりも小さく設計し両者を混繊した後これを熱処理する方法などにより、イオン染料可染性繊維が鞘部に、共重合ポリエステル繊維が芯部に配された複合糸を得ることができる。
さらに、イオン染料可染性繊維と共重合ポリエステル繊維とを交織、交編する場合や、両繊維からなる乾式不織布、湿式不織布を製造する場合も、公知の方法を採用することができる。
以上に説明した糸、織編物、不織布といった繊維構造体からは、同様に、吸湿性、清涼感・冷涼感、染色湿潤堅牢性、耐光堅牢性に優れた繊維製品を得ることができる。例えば、かかる繊維製品の具体例としては、次のようなものを挙げることができる。
(1)衣料用途
ファッション用途としてシャツ、ブラウス、パンツ、ブルゾン、コート、和装品など、インナー・レッグ用途として肌着、ブラジャー、ガードル、ボディーファー、キャミソール、ショーツ、パンティーストッキング、ストッキング、靴下、ハイソックス、ショートソックスなど、スポーツ用途として競技用のゲームシャツやゲームパンツ(テニス、バスケット、卓球、バレーボール、陸上、ゴルフ、サッカー、ラグビーなど)、スェットスーツ、ウィンドブレーカー、アスレチックウェア、トレーニングウェア、ショーツ、水着、プールサイドウェア、アンダーウェア、タイツ、スパッツ、レオタード、レッグ衣料、ウェットスーツ、ドライスーツなど、寝衣用途、ユニフォーム用途、学生服用途、帽子、ショールなどの衣料付帯品、裏地、カップ、パッドなどの衣料資材、スポーツシューズなど
(2)インテリア・寝具用途
カーテン(ドレープカーテン、レースカーテン、シャワーカーテン、ロールカーテン、ブラインドなど)、カーペット、テーブルクロス、椅子張り、間仕切り、壁紙、寝装品(掛けふとん、敷き布団、布団用側地、布団用詰め物、毛布、毛布用側地、タオルケット、シーツなど)、スリッパ、マットなど
(3)自動車内装材用途
カーシート、カーマット、天井材、トリムなど
(4)産業資材用途
テント類(レジャー用、イベント用など)
以下、実施例および比較例をあげて本発明を具体的に説明する、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の部および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。
(1)吸湿率
試料を所定の条件に調節した恒温恒湿室中に24時間調湿し、絶乾試料の重量と調湿試料の重量から次式により吸湿率を求めた。
吸湿率(%)=(調湿試料の重量−絶乾試料の重量)×100/絶乾試料の重量
(2)洗濯に対する染色堅牢度
AATCC II−A法により測定した。
(3)耐光堅牢度
JIS L 0842−88(紫外線カーボンアーク灯法)により測定した。
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100部,エチレングリコール60部,酢酸カルシウム1水塩0.06部(テレフタル酸ジメチルに対して0.066モル%)及び整色剤として酢酸コバルト4水塩0.009部(テレフタル酸ジメチルに対して0.007モル%)をエステル交換缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下4時間かけて140℃から220℃まで昇温して生成するメタノールを系外に留去しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、安定剤としてリン酸トリメチル0.058部(テレフタル酸ジメチルに対して0.080モル%)を加えた。次いで10分後に三酸化アンチモン0.04部(テレフタル酸ジメチルに対して0.027モル%)を添加し、同時に過剰のエチレングリコールを追出しながら240℃まで昇温した後重合缶に移した。
重合缶に平均の分子量が2000(m=43)のポリオキシエチレングリコールメチル1,2−ジヒドロキシプロピルエーテル25部(共重合ボリエステルに対して19.2%)を添加した後、1時間かけて760mmHgから1mmHgまで減圧し、同時に1時間30分かけて240℃から280℃まで昇温した。1mmHg以下の減圧下、重合温度280℃で更に2時間重合した時点で酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバガイギー社製)0.8部を真空添加し、その後更に30分間重合した。得られた共重合ポリエステルを常法に従ってチップ化した。
このチップを常法に従って乾燥後、孔径0.3mmの円形紡糸孔を24個穿設した紡糸口金を使用して285℃で溶融紡糸し、1100m/分で巻取り未延伸糸を得た。次いで得られた未延伸糸を、最終的に得られる延伸糸の伸度が30%になるような延伸倍率にて84℃の加熱ローラーと160℃のプレートヒーターを使って延伸熱処理し、600m/分で巻取り84デシテックス/24フィラメントの共重合ポリエステルマルチフィラメント糸を得た。
得られた共重合ポリエステルマルチフィラメント糸の20℃65%RHでの吸湿率は2.0%、30℃90%RHでの吸湿率は4.7%、前記二つの条件での吸湿率の差が2.7%であり、沸水収縮率は25%であった。
一方、カチオン染料可染性ポリエステルマルチフィラメント糸として3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウムを2.6モル%共重合したポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸(84デシテックス/24フィラメント、沸水収縮率10%)(帝人ファイバー(株)製)を用意した。
上記共重合ポリエステルマルチフィラメント糸と用意したカチオン染料可染性ポリエステルマルチフィラメント糸との2種類の糸を用い、両者を引き揃え、インターレースノズルを用いて空気混繊を600m/分で行い混繊割合1対1の混繊糸を作成した。
次いで得られた混繊糸から常法に従って目付150g/mの平織物を作製した。引き続いて、この平織物を常法に従って精錬、プリセットした後、Cathilon Black CDFH(保土谷化学(株)製カチオン染料)8%owfで芒硝3g/L、酢酸0.3g/Lを含む染浴中にて130℃で45分間染色後、常法に従ってソーピングを実施した。得られた黒染め平織物については、20℃65%RHでの吸湿率A、30℃90%RHでの吸湿率B、前記二つの条件での吸湿率の差を測定した。
また、黒染め平織物の洗濯に対する染色堅牢度および耐光堅牢度を評価した。結果を表1に示すが、優れた吸放湿性を示すと共に、染色堅牢度、耐光堅牢度が実用に充分耐えるものであった。
[比較例1]
実施例1において使用したカチオン染料可染性ポリエステルマルチフィラメント糸に代えて固有粘度0.632のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸(84デシテックス/24フィラメント、沸水収縮率10%)(帝人ファイバー(株)製)を用いると共に、カチオン染料で染色する代わりに分散染料で染色する以外は実施例1と同様に行った。染色条件としては、精錬、プリセットした後、Dianix Black BG−FS(ダイスター(株)製分散染料)12%owfで芒硝3g/L、酢酸0.3g/Lを含む染浴中にて130℃で45分間染色後、ハイドロサルファイト2g/Lと水酸化ナトリウム2g/Lの還元洗浄を行った。結果を表1に示すが、得られた黒染め平織物の吸放湿性は満足できるものであったが、洗濯に対する染色堅牢度が不良であった。
[実施例2]
実施例1の共重合ポリエステルの製造においてテレフタル酸ジメチル、エチレングリコール、酢酸カルシウム1水塩および酢酸コバルト4水塩に加えて、新たにカチオン染料可染化剤として3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウムを4.0部(テレフタル酸ジメチルに対して2.6モル%)およびエーテル形成抑制剤として酢酸ナトリウム3水塩を0.1部(テレフタル酸ジメチルに対して0.14モル%)をエステル交換缶に仕込む以外は実施例1と同様に行ってカチオン染料可染性の共重合ポリエステルマルチフィラメント糸を作製し、以下実施例1と同様にして黒染め平織物を作製した。結果を表1に示すが、吸放湿性、洗濯に対する染色堅牢度および耐光堅牢度は実用に供しうるものであった。
[実施例3]
実施例1において使用したカチオン染料可染性ポリエステルマルチフィラメント糸に代えて3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラ−n−ブチルホスホニウムを1.5モル%共重合したカチオン染料可染性ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸(84デシテックス/24フィラメント)を用いる以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示すが、吸放湿性、洗濯に対する染色堅牢度および耐光堅牢度は実用に供しうるものであった。
[実施例4]
固有粘度1.0のナイロン6ポリマーを270℃で溶融し、孔径0.2mmの円形紡糸孔を24個穿設した紡糸口金を用い、4000m/分の引取速度で引き取り、ナイロンマルチフィラメント糸(84デシテックス/24フィラメント、沸水収縮率10%)を得た。なお、紡糸、引取間で熱ロールを介して10%の熱延伸を行った。
得られたナイロンマルチフィラメント糸と実施例1において作製した共重合ポリエステルマルチフィラメント糸とを用い、以下実施例1と同様に行って混繊糸を作製し、次いでこの混繊糸から平織物を作製した。
この平織物を常法に従って精錬、プリセットした後、Nylosan Blue N−GFL 167(クラリアントジャパン(株)製酸性染料)1.0%owfにて98℃で45分間の染色を実施して青色に染色された平織物を得た。結果を表1に示すが、吸放湿性、洗濯に対する染色堅牢度および耐光堅牢度は実用に供しうるものであった。
Figure 2007126785
[実施例5]
実施例1〜4で得られた黒染め平織物を用いて、被験者のサイズに合わせてブラウスを作製し、着用快適性、耐久性の評価を行ったところ、ムレ感、ベトツキが少なく非常に快適で清涼感・冷涼感に優れており、かつ洗濯時の色落ちや汚染もなく耐久性も良好であった。
本発明の繊維構造体は、高い吸湿性を有するだけでなく染色湿潤堅牢性や耐光堅牢性にも優れているため、該繊維構造体を用いた繊維製品は特にスポーツ用途やインナー用途などの衣料用途において従来にない快適機能やファッション性を発揮できる。また、衣料用途のみならず、室内の環境湿度などを低く保つ効果にも優れるため、インテリア・寝具用途や自動車内装材用途、テントなどの産業資材用途においても極めて有用である。

Claims (7)

  1. イオン染料可染性繊維と、共重合ポリエステル繊維とからなる繊維構造体であって、該共重合ポリエステル繊維を構成する共重合ポリエステルが、ポリエーテル成分が側鎖に共重合されたポリエステルであり、該繊維構造体がイオン染料により染色されていることを特徴とする繊維構造体。
  2. 共重合ポリエステル繊維を構成する共重合ポリエステルが、下記一般式(1)で表わされるジオール化合物及び/又は下記一般式(2)で表わされるエポキシ化合物が共重合されたポリエステルである、請求項1記載の繊維構造体。
    Figure 2007126785
    (式中、Rは炭化水素基、R’はアルキレン基、n1は重合度を示す正の整数である)
    Figure 2007126785
    (式中、Rは炭化水素基、R’はアルキレン基、n2は重合度を示す正の整数である)
  3. ジオール化合物及び/又はエポキシ化合物の共重合量が、共重合ポリエステルに対して10〜40重量%である、請求項2に記載の染色された繊維構造体。
  4. 共重合ポリエステル繊維を構成するポリエステルが、下記一般式(3)で表される有機スルホン酸金属塩が共重合されたポリエステルである、請求項1〜3いずれかに記載の繊維構造体。
    Figure 2007126785
    (式中、Rは芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基、Xはエステル形成性の官能基、Xはエステル形成性の官能基または水素原子、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属、n3は1または2である。)
  5. イオン染料可染性繊維が、カチオン染料可染性のポリエステル繊維及び/又はアクリル繊維であり、且つイオン染料がカチオン染料である、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維構造体。
  6. イオン染料可染性繊維が、ナイロン繊維、羊毛繊維および絹繊維よりなる群から選ばれた少なくとも一種の繊維であり、且つイオン染料がアニオン染料である、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維構造体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の繊維構造体を用いた繊維製品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009174062A (ja) * 2008-01-21 2009-08-06 Teijin Fibers Ltd 常圧カチオン可染性ポリエステル糸条及びそれを用いた混繊糸
JP2009235242A (ja) * 2008-03-27 2009-10-15 Teijin Fibers Ltd 共重合ポリエステル及びポリエステル繊維
JP2009235243A (ja) * 2008-03-27 2009-10-15 Teijin Fibers Ltd 共重合ポリエステル及びポリエステル繊維

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