JP2007126642A - 粘着剤組成物 - Google Patents

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Naotoshi Nakamura
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Abstract

【課題】本発明の課題は、被着体との密着性、耐熱性、耐湿熱性、さらには透明性に優れた粘着剤層を形成し得る粘着剤組成物と、さらにそれを用いてなる粘着積層体を提供することである。
【解決手段】カチオン重合性組成物(A)及びカチオン重合開始剤(B)を含んでなる粘着剤組成物であって、カチオン重合性組成物(A)の一部として、カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)を含んでなること特徴とする粘着剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、各種被着体に対する接着性、耐熱性、耐湿熱性および透明性に優れた粘着剤層を形成し得る樹脂組成物に関するものであり、特に光学部材用粘着剤組成物として好ましく用いることができる樹脂組成物およびそれを用いてなる粘着積層体に関するものである。
近年のエレクトロニクスの飛躍的な進歩により、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、リアプロジェクションディスプレイ(RPJ)、ELディスプレイ、発光ダイオ−ドディスプレイなどの様々なフラットディスプレイ(FPD)が、様々な分野で表示装置として使用されるようになってきた。例えば、これらFPDは、パーソナルコンピューターのディスプレイや液晶テレビをはじめ屋内で使用されるばかりでなく、カーナビゲーション用ディスプレイ等のように車両に搭載して使用されたりする。
LCDを構成する液晶セル用ガラス部材には、偏光フィルムや位相差フィルムが積層されている。
また、上記の各種表示装置には、外部からの光の反射を防ぐための反射防止フィルムや、表示装置の表面の傷付き防止のための保護フィルム(プロテクトフィルム)なども使用されている。
さらにFPDは表示装置として利用するだけではなく、それらの表面にタッチパネルの機能を設けて、入力装置としても利用されている。このタッチパネルにも、保護フィルム、反射防止フィルムやITO蒸着樹脂フィルムなどが使用されている。
前記表示装置に使用される種々のフィルムは、粘着剤により被着体に貼着され、使用されている。表示装置に用いられるものであるから、前記粘着剤は、まず透明性に優れることが要求されるので、アクリル系樹脂を主剤とする粘着剤が一般に使用されている。
ところで、前記した種々のフィルムのうち偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系偏光子の両面をトリアセチルセルロース系保護フィルムで挟んだ3層構造を呈する。各層を構成する材料の特性故に、そもそも熱や湿度によって、偏光フィルムは伸縮による顕著な寸法変化を生ずる。
従って、偏光フィルムを液晶セル用のガラス部材に貼着するためのアクリル系粘着剤は、偏光フィルム自体の寸法変化を抑えることが求められる。
粘着剤層自体を硬くしたり、接着強さを大きくしたりすることによって、比較的小さい寸法の変化、あるいは比較的短期間の寸法の変化を抑制することはできる。
しかし、近年の液晶パネルの大画面化に伴い、偏光フィルムのサイズも大型化し、偏光フィルムの熱変形量が増大するようになった。従来の粘着剤を使用した場合、粘着剤層に残る貼着時の応力の緩和が十分ではないので、偏光フィルムのひずみに粘着剤層が十分には追随できず、その結果、大型液晶パネルを高温下に曝したり、高湿度下に曝したりすると、残留した応力の影響で偏光フィルムが大型液晶セルのガラス基板から剥がれたり、偏光フィルムに応力集中が生じ、大型液晶パネルに光漏れが生じたりするという問題もある。
また、液晶パネルを長期にわたって使用する間にも偏光フィルムは寸法変化し、その応力が粘着剤層に蓄積されることとなる。応力が粘着剤層に蓄積され続けると、偏光フィルムと液晶セル用ガラス部材間の接着力の分布が不均一となる。そして、長期間の使用中に特に偏光フィルムの周縁部に応力が集中し、その結果液晶ディスプレイの周縁部が中央より明るかったり、あるいは暗くなったりするなどの色むら・白ぬけ等の不具合が発生する。
また、液晶セル用のガラス面に偏光フィルム等を貼り付けて積層体とした後、検品工程において、積層工程でのエアーや粉塵の巻き込み等のあるものについては、ガラスセル面から偏光フィルム等を剥がして、もう一度新しい偏光フィルム等を貼り直すことが行われる。
しかし、貼着後一般に積層体は、接着性促進のために高温下で一定時間保管し、その後検査されるので、その間に剥離強度が高くなり過ぎ、偏光フィルム等を剥ぎ取り難いばかりでなく、剥がした後に被着体上に糊残りが生じたりして、再剥離性が不十分となりやすい。
上述したように、液晶セル用のガラス部材に偏光フィルムを積層するために使用する粘着剤には、良好な光学特性(透明性)、耐熱性及び耐湿熱性、良好な応力緩和性、再剥離性が求められる。そして、位相差フィルムや各種ディスプレイのカバーフィルムを積層するための粘着剤にも同様の性能が求められる。
これら種々の要求に対して、従来、様々な粘着剤が提案されてきた。
例えば、アルキル基の炭素数が1〜12の(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを主成分とするアクリル系樹脂からなる粘着剤であって、該粘着剤が重量平均分子量10万以下の樹脂成分を15重量%以下含有し、かつ重量平均分子量100万以上の樹脂成分を10重量%以上含有するアクリル系樹脂からなる粘着剤が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルと、官能基成分と、α,β−不飽和基を有する特定のマクロモノマーとを共重合させた、重量平均分子量が50万〜200万の共重合体を主成分とする粘着剤知られている(例えば、特許文献2参照)。
更に、重量平均分子量が100万以上である高分子量(メタ)アクリル系共重合体100重量部と、重量平均分子量が3万以下の低分子量(メタ)アクリル系共重合体20〜200重量部と、多官能性化合物0.005〜5重量部からなる偏光板用粘着剤が知られている(例えば、特許文献3参照)。
更に、反応性官能基を含有する重量平均分子量100万〜250万の高分子量アクリル系樹脂とガラス転移点(Tg)が0℃〜−80℃で重量平均分子量3万〜10万の低分子量アクリル系樹脂と、それらと架橋構造が形成可能な官能基を有する多官能性化合物とからなる偏光フィルム用粘着剤が知られている(例えば、特許文献4参照)。
前記粘着剤を用いることにより、接着層の発泡や偏光板の液晶セルからの浮き剥がれは抑制できるが、偏光板の寸法変化による応力を吸収・緩和することができず、偏光板の周縁部に応力が集中するため、液晶表示装置の周縁部と中央部の明るさが異なり、液晶表示装置表面に色むら・白ぬけが発生する問題があった。
粘着剤には、アクリル系樹脂と架橋剤とを含有するアクリル系粘着剤の他に、アクリル系樹脂にポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂を併用してなるものもある。
例えば、ガラス転移点(Tg)が−60〜−5℃の粘弾性樹脂とガラス転移点(Tg)が−5℃以下のポリウレタン系樹脂等の弾性樹脂とを混合する粘着剤が知られている(例えば、特許文献5参照)。
また、アクリル系樹脂100重量部と、アミノ基含有ポリウレタン系樹脂10〜50重量部を含有する粘着剤が知られている(例えば、特許文献6参照)。
更に、アクリル系樹脂と、水酸基含有ポリウレタン系樹脂とを含有する粘着剤が知られている(例えば、特許文献7参照)。
更に、アクリル系樹脂と、ポリカプロラクトン等のポリエステル系樹脂とを含有する粘着剤が知られている(例えば、特許文献8参照)。
様々な樹脂を混合してなる粘着剤は、各樹脂の短所を相互に補いあい、被着体との接着性を高めたり、様々な性能を向上したりできると一般には考えられる。しかし、アクリル系樹脂と、ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂とは相溶性が悪く、アクリル系樹脂に対し、ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂を少量混合する程度であれば透明性をさほど損なうことはないが、ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂を多く混合しようとすると、粘着剤自体が白化したり、分離したりする。偏光フィルム等を液晶セル用のガラスに貼着するための粘着剤には、極めて高度な透明性が要求される。そして、上記のような、相溶性の悪い粘着剤を用いて偏光フィルム等を液晶セル用のガラスに貼着しようとしても、粘着剤層に相分離や揺らぎが発生してしまうという問題点があった。
一方、ポリオレフィン系被着体への低温接着性を向上させるために、ポリエステル中でアルキレンオキサイド基を含有するアクリル系樹脂の重合を施した粘着剤の製造法が知られている(例えば、特許文献9参照)。
特許文献9に記載される製造法による粘着剤は、ポリエステルに由来する粘着剤の弾性率向上には効果がある。しかし、反面得られる樹脂は柔軟性が低下する。また、透明性の確保も困難である。更にアルキレンオキサイド等のポリエーテルを必須成分とするので、耐熱性や耐湿熱性を満足することは困難である。従って、偏光フィルムや位相差フィルム等の光学フィルムを貼着するための粘着剤には適さない。
また、ウレタン樹脂の存在下に、不飽和単量体を重合した複合樹脂にポリポリイソシアネート化合物を配合してなる粘着剤が知られている(例えば、特許文献10参照)。そして、ウレタン樹脂を構成するポリオールとして、ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとを併用することが好ましい旨記載されている。
特許文献10記載の粘着剤は、一般ラベル、シートあるいはテープ等の用途には適している。しかし、ウレタン樹脂を構成するポリオールとして、ポリエーテルポリオールを使用するので、耐熱性が不十分であり、比較的低温で熱劣化し易いものとなる。また、ポリエステルポリオールを併用しても、そのポリエステルポリオールが比較的低分子量なので、ポリエーテルポリオールの熱劣化を抑制し難い。そのようなウレタン樹脂から得られる複合樹脂では、偏光フィルムや位相差フィルム等の光学フィルムを貼着するための粘着剤に要求される、耐熱性や耐湿熱性を満足することは困難である。
また、カチオン硬化技術は従来から公知であり、エポキシ化合物、カチオン光重合開始剤等の材料が市販されおり、エポキシ化合物として、脂環式エポキシ化合物が硬化性に優れることが知られている。しかしながら、市販の脂環式エポキシ化合物は低分子量のものが多く、1分子中のエポキシ基の数は4個程度までである。このような低分子量の脂環式エポキシ化合物では、生産性向上のためには硬化速度が不十分であった。これらの硬化速度を改善する技術として、脂環式エポキシ基を有するアクリル樹脂を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献11参照)が、この方法をもってしてもまだ十分とは言えず、偏光フィルムや位相差フィルム等の光学フィルムを貼着するための粘着剤に要求される、耐熱性や耐湿熱性を満足することは困難である。
更に、側鎖に水酸基と脂環式エポキシ基とを有するアクリル樹脂、脂環式エポキシ樹脂、一分子中にグリシジル基と加水分解性アルコキシシラン基を有するオルガノアルコキシシラン化合物、及びアルミニウムキレート化合物を配合した塗料組成物が知られている(例えば、特許文献12、13参照)。これらで提案されている塗料用樹脂組成物は、100℃程度の比較的低温での硬化性を有しており、塗料、塗膜として優れているとされている。しかしながら、この組成物を粘着剤用途に利用した場合、もともと塗料用組成であるため、樹脂のガラス転移点(Tg)が高く、また架橋密度が高いため、塗膜は硬く、強靱ではあるが可とう性、柔軟性及び粘着性がなく、偏光フィルムや位相差フィルム等の光学フィルムを貼着するための粘着剤には適用できない。
また、水酸基を、水酸基価0.5mgKOH/g以上の割合で含有するポリウレタン等の接着性ポリマー、該接着性ポリマーを除くカチオン重合性化合物及び光カチオン重合開始剤から成る硬化型粘接着剤組成物が開示されている(例えば、特許文献14参照)。しかしながら、この組成物を光硬化させた際には、例え水酸基があったとしても、ウレタン結合の存在に伴うカチオン重合抑制効果が優位となり、ポリウレタン等の接着ポリマーと充分な架橋反応が施されないため、そのような樹脂組成物を用いて偏光フィルム等を液晶セル用のガラスに貼着した場合には、粘着剤層に相分離や揺らぎが発生してしまうとともに、これらを起点として、発泡やズレ等の現象を引き起こす問題があり、光学用途には適用できない。
また3量体や4量体、あるいはビューレット型のポリイソシアネートと、このイソシアネート基が、エポキシ樹脂の水酸基及び水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基と、それぞれウレタン結合を形成してなるポリイソシアネート系誘導体を用いて、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤を併用した光硬化性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献15参照)。しかしながらこの場合、組成物を光硬化させた際には、光カチオン重合開始剤がラジカル重合性不飽和結合により不活性化され易いだけでなく、ウレタン結合の存在により、光カチオン重合性が低下するため、光カチオン重合剤の配合量をかなり増量する必要がある。また、これらは相溶性が不十分であり、このため、偏光フィルムや位相差フィルム等の光学フィルムに適用した場合、粘着剤層に相分離や揺らぎ、はみ出しが発生してしまうとともに、これらを起点として、発泡やズレ等の現象を引き起こすため、適用できない。
特開平1−66283号公報 特開平8−209095号公報 特開平10−279907号公報 特開2002−121521号公報 特開2003−73646号公報 特開2004−2827号公報 特開2004−83648号公報 特開2002−53835号公報 特開平5−320607号公報 特開平2000−328035号公報 特開平2−289611号公報 特開平2001−11365号公報 特開平2−73825号公報 特開平2001−40318号公報 特開平2004−143275号公報
本発明の課題は、被着体との密着性、耐熱性、耐湿熱性および透明性に優れた粘着剤層を形成し得る粘着剤組成物およびそれを用いてなる粘着積層体を提供することである。
本発明者らは、上記問題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明に達した。
すなわち、本発明は、カチオン重合性組成物(A)及びカチオン重合開始剤(B)を含んでなる粘着剤組成物であって、カチオン重合性組成物(A)の一部がカチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)であることを特徴とする粘着剤組成物に関する。
また、本発明は、カチオン重合性組成物(A)100重量%中、カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)5〜80重量%を含み、かつ(A)100重量部に対してカチオン重合開始剤(B)0.1〜10重量部を含むことを特徴とする上記発明の粘着剤組成物に関する。
また、本発明は、カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)が、脂環式オキシラン基またはオキセタニル基から選ばれる少なくとも1種のカチオン性重合基を2個以上有することを特徴とする上記発明の粘着剤組成物に関する。
また、本発明は、カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)が、イソシアネート基を2個以上有するポリウレタン樹脂(a1)とカチオン性重合基及び水酸基を有する化合物(a2)とを反応させてなることを特徴とする上記発明の粘着剤組成物に関する。
また、本発明は、カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)が、イソシアネート基を2個以上有するポリウレタン樹脂(a1)を、ポリアミン(a3)と、カチオン性重合基を有する及び不飽和二重結合を有する化合物(a4)とをマイケル付加反応させてなる化合物(a5)で鎖延長してなることを特徴とする上記発明の粘着剤組成物に関する。
また、本発明は、イソシアネート基を2個以上有するポリウレタン樹脂(a1)が、23℃において液状であるポリオールを用いてなることを特徴とする上記発明の粘着剤組成物に関する。
また、本発明は、カチオン重合性組成物(A)のカチオン性重合基が脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基であることを特徴とする上記発明の粘着剤組成物に関する。
また、本発明は、カチオン重合性組成物(A)が、α,β−エチレン性不飽和二重結合と脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基とを有する化合物を必須成分とする、ラジカル重合性組成物をラジカル重合してなる重合体(a6)を含むことを特徴とする上記発明の粘着剤組成物に関する。
また、本発明は、カチオン重合性組成物(A)100重量%中、α,β−エチレン性不飽和二重結合と脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基とを有する化合物を必須成分とする、ラジカル重合性組成物をラジカル重合してなる重合体(a6)2〜80重量%を含むことを特徴とする上記発明の粘着剤組成物に関する。
また、本発明は、カチオン重合開始剤(B)が、熱によってカチオンを発生する化合物であることを特徴とする上記発明の粘着剤組成物に関する。
また、本発明は、カチオン重合開始剤(B)が、ルイス酸のアミン錯体類または第4級アンモニウム塩類と、芳香族カチオン発生剤との混合物であることを特徴とする上記発明の粘着剤組成物に関する。
また、本発明は、光学部材の接着に用いられることを特徴とする上記発明の粘着剤組成物に関する。
また、本発明は、上記発明の粘着剤組成物を硬化して得られる硬化した粘着剤層及び光学部材からなる粘着積層体に関する。
さらに、本発明は、硬化した粘着剤層の動的粘弾性スペクトルにおける120℃の貯蔵弾性率が0.1×10〜5×10Paであることを特徴とする上記発明の粘着積層体に関する。
さらにまた、本発明は、上記発明の粘着積層体の硬化した粘着剤層上に液晶セル用ガラス部材が積層されてなる液晶セル用部材に関する。
本発明により、被着体との密着性、耐熱性、耐湿熱性および透明性に優れた粘着剤層を形成し得る、光学用部材の接着に好適に用いることができる粘着剤組成物が提供され、さらには前記粘着剤組成物の利用により、高温下あるいは高湿度下においても発泡や剥がれ等が発生せず、偏光板の伸縮等により生じる応力集中を緩和して液晶表示装置に色むらや白ぬけを発生させない光学部材を提供できるようになった。
本発明の、カチオン重合性組成物(A)は、その構造中にカチオン性重合基を1個以上有する化合物からなるものであり、この化合物は重合物であっても良く、また2種類以上の化合物からなる混合物であっても良い。
カチオン性重合基としては、脂環式オキシラン基、複素環式オキシラン基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、グリシジル基、エピスルフィド基、フラン基、ラクトン基、オキサゾリン基、エチレンイミン基、環状シリル基等を挙げることができる。本発明においては、反応性および安定性を考慮すると、脂環式オキシラン基、オキセタニル基が好ましい。
本発明に用いられる、カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)は、以下に示す2通りの方法によって得ることができる。
すなわち、第1の方法として、イソシアネート基を2個以上有するポリウレタン樹脂(a1)と、カチオン性重合基及び水酸基を有する化合物(a2)とを反応させて得ることができる。
また、カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)を得るための第2の方法として、イソシアネート基を2個以上有するポリウレタン樹脂(a1)を、ポリアミン(a3)と、カチオン性重合基及び不飽和二重結合を有する化合物(a4)とをマイケル付加反応させてなる化合物(a5)で鎖延長させることによっても得ることができる。
なお、前記第1の方法と第2の方法とを併用し、カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)を得ることもできる。
前記第1及び第2の方法において用いられる、イソシアネート基を2個以上有するポリウレタン樹脂(a1)を得る方法としては、公知のポリオールと公知のポリイソシアネート化合物とを、ポリイソシアネート化合物を過剰として反応させることにより得ることができる。
本発明に用いられる公知のポリオールとしては、公知のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を挙げることができる。
本発明に用いられる公知のポリエステルポリオールとしては、酸成分としてテレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸等を用い、グリコール成分としてエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオールや、ポリオール成分としてグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールを用いて縮合反応したものが挙げられる。その他、ポリカプロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)、ポリバレロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール等も挙げられる。ポリエステルポリオールの分子量は低分子量から高分子量まで使用可能であるが、好ましくは数平均分子量が1,000〜5,000で2官能以上のポリエステルポリオール、更に好ましくは数平均分子量2,000〜4,000の2官能以上のポリエステルポリオールである。
ポリエステルポリオ−ルの使用量はポリウレタン樹脂(a1)を構成するポリオール中1〜80モル%であることが好ましい。
本発明に用いるポリエーテルポリオールとしては公知のポリエーテルポリオールが用いられる。具体的にはポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の官能基数が2以上のものが用いられる。ポリエーテルポリオールの分子量は低分子量から高分子量まで使用可能であるが、好ましくは数平均分子量が1,000〜5,000で2官能以上のポリエーテルポリオール、更に好ましくは数平均分子量が2,000〜4,00の3官能以上のポリエーテルポリオールである。ポリエーテルポリオールの使用量はポリウレタン樹脂(a1)を構成するポリオール中0〜20モル%であることが好ましい。
本発明に用いられる公知のポリカーボネートポリオールとしては、例えば、
1)グリコールまたはビスフェノールと炭酸エステルとの反応、
2)グリコールまたはビスフェノールにアルカリの存在下でホスゲンを作用させる反応、
などにより得られるものが挙げられる。
1)の製法で用いられる炭酸エステルとして具体的には、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどが挙げられる。
1)及び2)の製法で用いられるグリコールとして具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール等が挙げられる。
1)及び2)の製法で用いられるビスフェノールとして具体的には、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール類、さらにはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたビスフェノール類等も用いることができる。これらの化合物は1種または2種以上の混合物として使用することができる。
ポリカーボネートポリオールとして具体的には、クラレ株式会社製のクラレポリオールCシリーズを挙げることができる。
そのなかでもPMHC−1050,PMHC−2050,C−1090,C−2090,C−1065N、C−2065N、C−1015N、C−2015Nは柔軟性があり、粘着剤の原料として優れており好ましい。
ポリカーボネートポリオール類の数平均分子量は、好ましくは500〜5,000、更に好ましくは1,000〜3,500である。数平均分子量が500よりも小さいとウレタン樹脂を合成した際に樹脂が硬くなりすぎて、もろくなってしまう。数平均分子量が5,000を超えるとウレタン樹脂の凝集力が不足する。ポリカーボネートポリオールの使用量はポリウレタン樹脂(a1)を構成するポリオール中10〜50モル%であることが好ましい。
本発明におけるポリウレタン樹脂(A1)の役割は大きく、特に被着体に対する密着性、耐熱性、応力緩和性を同時に満たすためには不可欠である。ところで、一般的にポリウレタン樹脂は凝集力が高く、ウレタンフォーム、発泡体等の成型物、塗料、コーティング剤として使用される場合が多い。
本発明においては、被着体への密着性、言い換えると粘着性が必要となり、ポリウレタン樹脂の構造中の大半を占めるポリオールを適正に選定する必要があり、ポリオールの全て若しくは大半が、常温(23℃)で液状であることが好ましい。
その理由について以下に述べる。
粘着剤は、接着剤とは異なり、常温にて液状および固体状の両性質を示す物質である。言い換えると、常温で液状の性質を有する原料がなければ、粘着剤層として液状の性質を示さなくなり、各種被着体に対する濡れ性がなくなってしまい、粘着剤としては機能し難くなる。しかし、耐熱性等を考慮すると、常温で固体であるポリオールについても少量であれば使用することができ、その使用量は全ポリオールの合計を100重量%とした場合、20重量%以下であることが好ましい。20重量%より多いと、粘着剤としての性能を発現することが難しくなるので好ましくない。
本発明に用いられるポリイソシアネート化合物としては、公知のものを使用することができる。
例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
また、上記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体や、イソシアヌレート環を有する3量体等も使用することができる。
さらには、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(PAPI)、ナフチレンジイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネート変性物等を使用し得る。なおポリイソシアネート変性物としては、カルボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、水と反応したビュレット基、イソシアヌレート基の内のいずれかの基、またはこれらの基の2種以上を有する変性物を使用できる。
また、ポリオールとジイソシアネートの反応物もポリイソシアネートとして使用することができる。
これらポリイソシアネート化合物の内、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:イソホロンジイソシアネート)、キシリレンジイソシネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(別名:水添MDI)等の無黄変型または難黄変型のポリイシソアネート化合物を用いると耐候性の点から、特に好ましい。
カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)を得るための第1の方法において用いられる、カチオン性重合基及び水酸基を有する化合物(a2)としては、特に限定されるものではなく、前記のカチオン性重合基が1つ以上、及び水酸基が1つ以上、それぞれ構造上のいずれかの部位にあれば良い。そのような化合物としては、エポキシ化テトラヒドロベンジルアルコール「ETHB(ダイセル化学工業社製)」、ラクトン変性エポキシ化テトラヒドロベンジルアルコール「エポリードHD300(ダイセル化学工業社製)」、脂環式エポキシ樹脂「EHPE(ダイセル化学工業社製)」、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン「OXT−101」(東亜合成化学工業社製)等の化合物や、脂環式オキシラン基及び/又はオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルと水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとの共重合物等が挙げられる。本発明においては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンが好ましい。
上記の、イソシアネート基を2個以上有するポリウレタン樹脂(a1)と、上記のカチオン性重合基及び水酸基を有する化合物(a2)とを反応させることにより、カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)を得ることができる。
カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)を得るための第2の方法において用いられる、ポリアミン(a3)とカチオン性重合基及び不飽和二重結合を有する化合物(a4)とをマイケル付加反応させてなる化合物(a5)としては、公知のポリアミン(a3)とカチオン性重合基及び不飽和二重結合を有する化合物(a4)とをマイケル付加反応させて得られる化合物を使用することができる。
化合物(a5)は、具体的には、ポリアミン(a3)1モルに対して、カチオン性重合基及び不飽和二重結合を有する化合物(a4)2モルの割合で反応させて得られる化合物が好ましく用いられる。
上記の割合でマイケル付加反応をおこなった場合、得られる生成物中には2級アミノ基が2個存在する。前記生成物中に存在する、2個の2級アミノ基を利用して、イソシアネート基を2個以上有するポリウレタン樹脂(a1)を鎖延長すると、1級アミノ基を利用して鎖延長する場合に比べて反応が穏やかになり、反応の制御が格段に容易になるため好ましい。
従って、マイケル付加反応により得られる生成物中には、1級アミノ基が含まれないことが好ましく、そのためには、ポリアミン(a3)は、ジアミンであることが好ましい。
本発明に用いる公知のポリアミン(a3)としては、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジアミン、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等のジアミンを好ましく挙げることができる。これらの内、イソホロンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンは、反応の制御が容易で衛生性に優れていることから特に好ましい。
また、上記ジアミンに加えて、アミノ基を3個以上有するポリアミンも使用することができる。
これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)を得るための第2の方法において用いられる、カチオン性重合基及び不飽和二重結合を有する化合物(a4)としては、特に限定されるものではなく、上述のカチオン性重合基が1つ以上、及び不飽和二重結合が1つ以上、それぞれ構造上のいずれかの部位にあれば良い。
そのような化合物としては、例えば、後述するα,β−エチレン性不飽和二重結合と脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基とを有する化合物を挙げることができる。
具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルのエチレンオキサイド付加物、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、(3−メチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独もしくは2種類以上を組み合わせて使用することもできる。また、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとを比較すると、アクリル酸エステルの方がマイケル付加反応の効率がよく好ましい。
ポリアミン(a3)と、カチオン性重合基及び不飽和二重結合を有する化合物(a4)とのマイケル付加反応は、ポリアミン(a3)のアミノ基の活性水素1モルと、カチオン性重合基及び不飽和二重結合を有する化合物(a4)の二重結合基1モルとが反応し、常温、無触媒でも反応は進むが、窒素雰囲気下で加熱しながら60〜100℃で反応させると適度な反応速度になり好ましい。
上記したように、マイケル付加反応をおこなうにあたっては、ポリアミン(a3)1モルに対して、カチオン性重合基及び不飽和二重結合を有する化合物(a4)2モルの割合で反応させることが好ましいのであるが、このような比率で、かつ、ポリアミン(a3)としてジアミンを使用した場合、(a3)のアミノ基の数と(a4)の二重結合基の数とが等しくなる。よって、仮にマイケル付加反応が完結しない場合には、生成物中に残留する(a4)に由来する臭気が問題となることがある。そのため、残留する(a4)の量を低減することを目的として、ポリアミン(a3)1モルに対して、カチオン性重合基及び不飽和二重結合を有する化合物(a4)2モル未満の比率で反応させることがより好ましい。
また、マイケル付加反応をおこなうにあたっては、カチオン性重合基及び不飽和二重結合を有する化合物(a4)に加えて、カチオン性重合基を有さず、不飽和二重結合を有する化合物を併用しても良い。この場合には、ポリアミン(a3)1モルに対して、カチオン性重合基及び不飽和二重結合を有する化合物(a4)及びカチオン性重合基を有さず、不飽和二重結合を有する化合物の合計が2モルの割合で反応させることが好ましく、2モル未満の割合で反応させることがより好ましい。
上記の、イソシアネート基を2個以上有するポリウレタン樹脂(a1)を、上記マイケル付加反応により得られた化合物(a5)によって鎖延長反応することにより、カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)を得ることができる。
ポリウレタン樹脂(A1)が有するカチオン性重合基としては、反応性および安定性を考慮すると、脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基であることが好ましい。
また、ポリウレタン樹脂(A1)を得るにあたっては、その反応成分として、必要に応じて一部エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類や、エチレンジアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン等の多価アミン類を併用することができる。
本発明で用いられる、イソシアネート基を2個以上有するポリウレタン樹脂(a1)を得るための反応、さらにはカチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)を得るための反応(前記第1及び第2の方法)においては、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。例えば3級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられ、単独であるいは複数のものを組み合わせて使用することができる。
3級アミン系化合物としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)等が挙げられ、場合によっては単独、もしくは併用することもできる。
有機金属系化合物としては、錫系化合物、非錫系化合物を挙げることができる。
錫系化合物としては、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
非錫系化合物としては、例えばジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライドなどのチタン系化合物、オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛系化合物、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネートなどの鉄系化合物、安息香酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルトなどのコバルト系化合物、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛系化合物、ナフテン酸ジルコニウムなどのジルコニウム系化合物等が挙げられる。
上記触媒の中で、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、2−エチルヘキサン酸錫等が反応性や衛生性の点で好ましい。
本発明においては、カチオン重合性組成物(A)の一部がカチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)であることが重要なのであるが、カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)の使用量は、カチオン重合性組成物(A)の合計100重量%中5〜80重量%であることが好ましく、10〜50重量%であることがより好ましい。ポリウレタン樹脂(A1)の使用量が5重量%より少ないと基材に対する密着性が不足しやすく、また80重量%より多いと粘着力が発現しにくいため、いずれも好ましくない。
本発明においては、カチオン重合性組成物(A)として、カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)に加えて、α,β−エチレン性不飽和二重結合と脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基とを有する化合物を必須成分とする、ラジカル重合性組成物をラジカル重合してなる重合体(a6)を用いることが好ましい。
α,β−エチレン性不飽和二重結合と脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基とを有する化合物を必須成分とする、ラジカル重合性組成物をラジカル重合してなる重合体(a6)としては、後述のα,β−エチレン性不飽和二重結合と脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基を有する化合物をラジカル重合するか、または、
α,β−エチレン性不飽和二重結合を有し、脂環式オキシラン基及びオキセタニル基を有さない化合物とα,β−エチレン性不飽和二重結合と脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基を有する化合物とを公知の重合方法によりラジカル重合させることにより得ることができる。
本発明で用いられる、α,β−不飽和二重結合を有し、脂環式オキシラン基及びオキセタニル基を有さない化合物としては、アルケニル基含有化合物やα,β−不飽和カルボン酸エステルであれば特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;
(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチルなどの(メタ)アクリル酸環状エステル類;
(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸1−メチルアリル、(メタ)アクリル酸2−メチルアリル、(メタ)アクリル酸1−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−ブテニル、(メタ)アクリル酸3−ブテニル、(メタ)アクリル酸1,3−メチル−3−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−クロルアリル、(メタ)アクリル酸3−クロルアリル、(メタ)アクリル酸−o−アリルフェニル、(メタ)アクリル酸2−(アリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸アリルラクチル、(メタ)アクリル酸シトロネリル、(メタ)アクリル酸ゲラニル、(メタ)アクリル酸ロジニル、(メタ)アクリル酸シンナミル、ジアリルマレエート、ジアリルイタコン酸、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、オレイン酸ビニル,リノレン酸ビニル等の不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル等の水酸基またはアルコキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸N−メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N−トリブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチルなどのアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン,3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等のアルコキシシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物などのアルキレンオキサイド含有(メタ)アクリル酸誘導体類;
(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロブチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロオクチルなどの(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキルエステル類;
ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ジアクリル酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、トリアクリル酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパン トリアクリル酸等の多官能(メタ)アクリル酸エステル類;
スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1−ブチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸およびそのナトリウム塩などの芳香族ビニル系単量体;
(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸トリパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどのフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル類やビニル系単量体;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのトリアルキルオキシシリル基含有ビニル系単量体類;
マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド誘導体;
(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の複素環含有(メタ)アクリル酸エステル類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル基含有ビニル系単量体類;
アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド基含有ビニル系単量体類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどのビニルエステル類;
エチレン、プロピレンなどのアルケン類;
ブタジエン、イソプレンなどのジエン類;
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類;
無水イタコン酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物類;
不飽和カルボン酸類のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、アリルアルコール;
などが挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
本発明で用いられる、α,β−エチレン性不飽和二重結合と脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基を有する化合物とは、上記したように分子内にα,β−エチレン性不飽和二重結合と脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基を併せ持つ化合物であり、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルのエチレンオキサイド付加物、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、(3−メチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。本発明においては、耐熱性等を考慮するとアクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルが好ましい。
上記したように、本発明において好ましく用いられるα,β−エチレン性不飽和二重結合と脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基とを有する化合物を必須成分とする、ラジカル重合性組成物をラジカル重合してなる重合体(a6)は、重合に供する化合物の種類を適宜選択することにより、その構造中に水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、マレイミド基、ニトリル基、エポキシ基、アルコキシシリル基、アリル基などの各種官能基を有することができる。カチオン重合性を考慮すると、これらの官能基は水酸基あるいはエポキシ基であることが好ましい。
上記したように、本発明において好ましく用いられる重合体(a6)は、重合に供する化合物の合計100重量部に対して0.001〜5重量部の重合開始剤を用いて塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの方法により合成される。好ましくは溶液重合で合成される。
重合開始剤の例として、アゾ系化合物としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリルや2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]などが挙げられる。
また、有機過酸化物として、過酸化ベンゾイルやt-ブチルパーベンゾエート、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシドなどが挙げられる。
また合成時には、ラウリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、リモネン等の連鎖移動剤を使用しても良い。
α,β−エチレン性不飽和二重結合と脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基とを有する化合物を必須成分とする、ラジカル重合性組成物をラジカル重合してなる重合体(a6)の使用量としては、カチオン重合性組成物(A)の合計100重量%中2〜80重量%であることが好ましく、3〜60重量%であることがより好ましい。重合体(a6)の使用量が2重量%より少ないと、低分子のカチオン重合性化合物量の増加につながり、耐熱性が不良となりやすく、80重量%よりも多いとカチオン重合性組成物(A)の重合性が悪くなりやすいため好ましくない。
本発明においては、カチオン重合性組成物(A)として、カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)以外のカチオン重合性化合物を含むことが重要なのであるが、これは前記のα,β−エチレン性不飽和二重結合と脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基とを有する化合物を必須成分とする、ラジカル重合性組成物をラジカル重合してなる重合体(a6)であってもよく、これ以外の化合物であってもよい。また、これらは併用されていてもよい。
カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)、α,β−エチレン性不飽和二重結合と脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基とを有する化合物を必須成分とする、ラジカル重合性組成物をラジカル重合してなる重合体(a6)以外のカチオン重合性化合物としては、その構造中にカチオン性重合基を1個以上有しているものであれば特に制限されるものではないが、カチオン性重合基として脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基を有する化合物であることが好ましい。
そのような化合物の例として、脂環式オキシラン基を有する化合物としては、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジペンテンジオキシド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,1”−スピロ−3”,4”−エポキシシクロヘキサン−1,3−ジオキサン、4−(1,2−エポキシエチル)−1,2−エポキシシクロヘキサン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(市販品:「サイラキュアUVR−6110(ユニオン・カーバイド社製)等」、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド(市販品:「ERL−4206(ユニオン・カーバイド社製)」等)、リモネンジオキシド(市販品:「セロキサイド3000(ダイセル化学工業社製)」等)、アリルシクロヘキセンジオキシド、3,4−エポキシ−4−メチルシクロヘキシル−2−プロピレンオキシド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート(市販品:「サイラキュアUVR−6128(ユニオン・カーバイド社製)等」、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)エーテル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)ジエチルシロキサン、「エポリードGT301(ダイセル化学工業社製)」、「エポリードGT302(同)」、「エポリードGT401(同)」、「エポリードGT403(同)」、「EHPE(同)」、「アラルダイトPT810(チバ・ガイギー社製)」等)等が挙げられる。
また、オキセタニル基を有する化合物としては、ヘキシルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、アリルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、カーボネートビスオキセタン、アジペートビスオキセタン、キシリレンビスオキセタン、テレフタレートビスオキセタン、シクロヘキサンジカルボン酸ビスオキセタン、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕メチル}ベンゼン、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等が挙げられる。
さらには、脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基を有する化合物として、前記の、分子内にα,β−エチレン性不飽和二重結合と脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基を併せ持つ化合物等を使用しても良い。
これらは、必要に応じて単独であるいは2種類以上を併用することが出来る。
本発明で用いられる、カチオン重合開始剤(B)としては、カチオンを発生してカチオン重合を開始させ得る材料であれば、特に制限なく使用することができる。本発明に用いうるカチオン重合開始剤としては、例えば鉄−アレン錯体化合物、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、ピリジニウム塩、アルミニウム錯体/シリルエーテル等の熱分解型、光分解型のカチオン重合開始剤や、
シラノ−ル基を有する珪素化合物とアルミニウム化合物の混合物の他、
テトラブチルアンモニウムブロマイドなどの第4級アンモニウム塩、
ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、シタラコン酸、アニコット酸等の有機酸類、硫酸、塩酸等の無機酸、
ナトリウムメチラ−ト等のアルカリ金属類のアルコラ−ト類、
KOH、NaOH等のアルカリ類、
トリエチルアルミニウム、ジエチル亜鉛等の有機金属化合物、およびBF、ZnCl、FeCl、AlCl、SnCl等のルイス酸や、これらのルイス酸とメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ピペラジン等のアミン類、ピリジン類、イミダゾ−ル類等の有機塩基との錯体類、
あるいは上記のルイス酸の第4級アンモニウム塩を使用することができる。
本発明においては、上記の各種化合物の内、熱によりカチオンを発生する化合物が好ましく用いられる。
通常、ウレタン結合を有する化合物が重合系内に存在すると、カチオン重合の進行中に発生するカチオン成長種と優先的に反応して、見かけ上、重合反応が抑制されるため、これを防ぐために本発明で使用するカチオン重合開始剤(B)としては、ルイス酸のアミン錯体類や第4級アンモニウム塩類と芳香族系カチオン発生剤との併用使用が好ましい。ルイス酸に由来するカチオンは、ウレタン結合成分と錯形成し、芳香族系カチオン発生剤から発生するカチオンの、ウレタン結合による失活を抑制するためであると考えられる。
ルイス酸のアミン錯体類あるいは第4級アンモニウム塩類としては、例えば、トリフルオロボレートモノエチルアミン、
ヘキサフルオロフォスフェートモノエチルアミン、ヘキサフルオロアンチモネートモノエチルアミン、ヘキサフルオロアルセネートモノエチルアミン、ヘキサクロロアンチモネートモノエチルアミン等のアミン錯体類や、塩化第2鉄(FeCl)、塩化アルミニウム(AlCl )、臭化アルミニウム(AlBr )、塩化水銀(HgCl)、4塩化スズ(SnCl)、塩化亜鉛(ZnCl)等のルイス酸のアミン錯体類や第4級アンモニウム塩類等が挙げられる。
芳香族系カチオン発生剤としては、例えば、鉄−アレン錯体化合物、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、ピリジニウム塩、アルミニウム錯体/シリルエーテル等のカチオン発生剤が挙げられ、具体例としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフロロホスホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフロロアンチモネート、N,N−ジエチルアミノフェニルジアゾニウムヘキサフロロホスホネート、p−メトキシフェニルジアゾニウムフロロホスホネート、トリルクミルヨードニウムテトラキス−(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス−(ペンタフルオロフェニル)ボレート、「P−33(旭電化工業社製)」、「FC−509(3M社製)」、「イルガキュアー261(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)」、「オプトマーSP−150(旭電化工業社製)」、「オプトマーSP−170(旭電化工業社製)」、「オプトマーSP−171(旭電化工業社製)」、「UVE−1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)」、「CD−1012(サートマー社製)」、「サンエイドSI−60L(三新化学工業社製)」、「サンエイドSI−80L(三新化学工業社製)」、「サンエイドSI−100L(三新化学工業社製)」、「CI−2734(日本曹達社製)」、「CI−2855(日本曹達社製)」、「CI−2823(日本曹達社製)」、「CI−2758(日本曹達社製)」、「CI−5102(日本曹達社製)」、「RHODORSIL photoinitiator(ローヌ・プーラン社製)」、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルフォネート「WPAG−336(和光純薬工業社製)」、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−p−トルエンスルフォネート「WPAG−367(和光純薬工業社製)」、メチルフェニルスルホン「MPSN(住友精化社製)」、フェニルチオアセト酢酸「PTG(住友精化社製)」、α,α,α−トリブロモメチルフェニルスルホン「BMPS(住友精化社製)」、「UVI−6950(ユニオンカーバイド社製)」、「UVI−6970(ユニオンカーバイド社製)」、「UVI−6974(ユニオンカーバイド社製)」、「UVI−6990(ユニオンカーバイド社製)」、「BBI−103(ミドリ化学社製)」、「TPS−103(ミドリ化学社製)」、「MDS−103(ミドリ化学社製)」、「DTS−103(ミドリ化学社製)」、「NAT−103(ミドリ化学社製)」等が挙げられる。
これらのカチオン重合開始剤は各々単独で使用しても良いし、二種以上を選択し、併用しても良いのであるが、ルイス酸のアミン錯体類または第4級アンモニウム塩類と、芳香族系カチオン発生剤との混合物であることが好ましい。
カチオン重合開始剤(B)の使用量としては、カチオン重合性組成物(A)100重量部に対し、0.05〜10重量部であることが好ましく、0.1〜5重量部であることがより好ましい。0.05重量部より少ないとカチオン重合が開始しなかったり、開始したとしても反応が極端に遅かったりして、実用的ではない。10重量部より多く使用すると、開始剤やその分解生成物がブリードしたりして好ましくない。
更に、ルイス酸のアミン錯体類や第4級アンモニウム塩と、芳香族系カチオン発生剤とを併用する場合には、それらの使用比率は重量比にて、0.1/99.9〜50/50が好ましく、1/99〜20/80がより好ましい。ルイス酸のアミン錯体類または第4級アンモニウム塩類の使用比率が0.1より少ないと、粘着剤組成物中のウレタン結合の影響で、カチオン重合の反応抑制が著しく大きくなり、好ましくない。使用比率が50より多いと、偏光フィルムや位相差フィルム等の光学フィルムを貼着するための粘着剤に適用した場合、白化したり、発泡の原因となったりして好ましくない。
本発明の粘着剤組成物には、カチオン重合による架橋速度を調節するためにアルコキシシラン類、シロキサン類、シラノール類等のSi−O結合を有する化合物を添加することも可能である。Si−O結合を有する化合物はカチオン重合の進行中に発生するカチオン成長種と優先的に反応するため、見かけ上、重合反応を遅延させることができ、粘着剤層と基材との密着性を向上することができる。
本発明のカチオン重合性組成物(A)を得るにあたっては、ポリウレタン樹脂(A1)と、カチオン性重合基を有する他の化合物をブレンドしても良いが、ポリウレタン樹脂(A1)の存在下で、カチオン性重合基及びα,β−エチレン性不飽和二重結合を有する化合物を必須成分とする、ラジカル重合性組成物を重合して重合体を得ることにより、両者をIPN(interpenetrated polymer network)化することも可能である。
本発明の粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、各種樹脂、カップリング剤、軟化剤、染料、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、粘着付与剤、可塑剤、充填剤および老化防止剤等を配合しても良い。
本発明の粘着剤組成物を使用して、硬化した粘着剤層とシート状基材とからなる積層製品(以下、「粘着シート」ともいう)を得ることができる。
例えば、種々のシート状基材に粘着剤を塗工、乾燥・硬化することによって粘着シートを得ることができる。
塗工するに際し、適当な液状媒体、例えば、酢酸エチル、トルエン、イソプロピルアルコール、あるいはその他の炭化水素系溶媒等の有機溶媒や、水をさらに添加して、粘度を調整することもできるし、粘着剤組成物を加熱して粘度を低下させることもできる。
シート状基材としては、セロハン、各種プラスチックシート、ゴム、発泡体、布帛、ゴムびき布、樹脂含浸布、ガラス板、金属板、木材等の平坦な形状のものが挙げられる。また、各種基材は単独でも用いることもできるし、複数のものを積層してなる多層状態にあるものも用いることができる。さらに表面を剥離処理したものを用いることもできる。
各種プラスチックシートとしては、各種プラスチックフィルムともいわれ、ポリビニルアルコールフィルムやトリアセチルセルロースフィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂のフィルム、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂のフィルム、ポリカーボネート系樹脂のフィルム、ポリノルボルネン系樹脂のフィルム、ポリアリレート系樹脂のフィルム、アクリル系樹脂のフィルム、ポリフェニレンサルファイド樹脂のフィルム、ポリスチレン樹脂のフィルム、ビニル系樹脂のフィルム、ポリアミド系樹脂のフィルム、ポリイミド系樹脂のフィルム、エポキシ系樹脂のフィルムなどが挙げられる。
常法にしたがって適当な方法で上記シート状基材に粘着剤組成物を塗工した後、粘着剤組成物が有機溶媒や水等の液状媒体を含有する場合には、熱風乾燥等の手段により液状媒体を揮発させると同時に粘着剤を硬化したり、粘着剤組成物が揮発すべき液状媒体を含有しない場合は、溶融状態にある粘着剤層を冷却して固化したりして、シート状基材の上に硬化した粘着剤層を形成することができる。
硬化した粘着剤層の厚さは、0.1μm〜200μmであることが好ましく、1μm〜100μmであることがより好ましい。0.1μm未満では十分な接着力が得られないことがあり、200μmを超えても接着力等の特性はそれ以上向上しない場合が多い。
本発明の粘着剤組成物をシート状基材に塗工する方法としては、特に制限は無く、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター、ナイフコーター、リバースコ−ター、スピンコーター等種々の塗工方法が挙げられる。
乾燥・硬化方法には特に制限はなく、熱風乾燥、赤外線や減圧法を利用したものが挙げられる。乾燥・硬化条件としては粘着剤組成物の硬化形態、膜厚や選択した溶剤にもよるが、通常60〜180℃程度の熱風加熱でよい。
また、本発明の粘着剤組成物は、ラジエーション硬化、例えば、電子線、紫外線、X線等により好適に硬化することができ、上記のような熱による硬化では達成しえないような高架橋密度を有する粘着剤層を形成することもできる。
本発明の粘着積層体は、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム等の各種光学特性を持つ、シート状(フィルム状)の光学部材に、本発明の粘着剤組成物から形成される硬化した粘着剤層が積層された状態のものである。粘着剤層の他の面には、剥離処理されたシート状基材を積層することもできる。
本発明の粘着積層体は、
(ア)剥離処理されたシート状基材の剥離処理面に粘着剤組成物を塗工、乾燥・硬化し、シート状の光学部材を粘着剤層の表面に積層して光学部材上に粘着剤層を転写させ、剥離処理されたシート状基材を剥離したり、あるいは、
(イ)シート状の光学部材に粘着剤組成物を塗工、乾燥・硬化することによって得ることができる。
上記のようにして得られた粘着積層体の硬化した粘着剤層を液晶セル用ガラス部材に貼着することによって、「シート状の光学部材/硬化した粘着剤層/液晶セル用ガラス部材」という構成の液晶セル部材を得ることができる。
本発明の粘着剤組成物から得られる硬化した粘着剤層は、120℃における貯蔵弾性率が、好ましくは0.1×10〜5×10Pa、より好ましくは0.5×10〜3×10Paである。本発明の貯蔵弾性率は、TAインスツルメント・ジャパン社製の粘弾性試験機RDA−IIIを用いて測定して得られた測定値である。
硬化した粘着剤層の120℃における貯蔵弾性率が、0.1×10Paより小さい場合には、粘着積層体を液晶セル用ガラス部材に貼着した後、高温暴露した場合、粘着剤層が軟化して、発泡や膨れやハガレが起こり易くなる。一方、硬化した粘着剤層の120℃における貯蔵弾性率が、5×10Paより大きい場合には、耐熱性は十分に高くなるものの、室温では粘着剤層が硬く、粘着積層体を液晶セル用ガラス部材に貼着する際に、粘着剤層が液晶セル用ガラス部材の表面に十分なじまず、その結果、接着力が低下しやすい。
120℃における貯蔵弾性率が0.1×10〜5×10Paの範囲にある場合、本発明の液晶セル用部材を120℃で1000時間放置した後の浮きハガレ(耐熱性能)、80℃、相対湿度90%で1000時間放置した後の浮きハガレ(耐湿熱性)、およびこの80℃相対湿度90%で1000時間放置した後の液晶セル用部材に光を透過させたときの光漏れが抑制されるので好ましい。
本発明の粘着剤は、ポリウレタン樹脂を含有し、基材への密着性を向上させているため、特に発泡体の様な基材に対する密着性が必要とされる用途にも、好適に使用される。
以下に、この発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、この発明は、下記実施例に限定されない。また、下記実施例および比較例中、「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
(合成例1:マイケル付加反応)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにイソホロンジアミン(IPDA)300部、トルエン300部を仕込み、エチルアクリレート(EA)176部および2−ヒドロキシエチルアクリレート184部を室温で滴下した。滴下終了後、80℃で1時間反応させた後、トルエン360部を加え、化合物(1)溶液を得た。
(合成例2:マイケル付加反応)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにイソホロンジアミン(IPDA)300部、トルエン300部を仕込み、n−ブチルアクリレート226部、および4−ヒドロキシブチルアクリレート229部を室温で滴下した。滴下終了後、80℃で1時間反応させた後、トルエン455部を加え、化合物(2)溶液を得た。
(合成例3)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにポリエステルポリオールP−1010(2官能ポリエステルポリオール、水酸基価112、クラレ株式会社製)72部、ポリカーボネートポリオールC−2090(2官能ポリカーボネートポリオール、水酸基価56、クラレ株式会社製)431部、イソホロンジイソシアネート(IPDI:ヒュルスジャパン株式会社製)96部、トルエン150部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.05部を仕込み、100℃まで徐々に昇温し2時間反応を行った。滴定でイソシアネート基残量を確認した後、40℃まで冷却し、酢酸エチル650部、アセチルアセトン1.8部を加えた後、化合物(1)溶液89部、OXT−101(3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、東亞合成株式会社製)8部、酢酸エチル120部の混合溶液を1時間で滴下し、さらに1時間熟成した後、2−アミノ−2−メチル−プロパノール(長瀬産業株式会社製)6部を加えて、IRチャートのNCO特性吸収(2270cm-1)が消失していることを確認し反応を終了し、ポリウレタン樹脂溶液を得た。この樹脂溶液は無色透明で固形分40重量%、粘度3500mPa・s、樹脂の重量平均分子量Mwは93,000であった。
(合成例4)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにポリエステルポリオールP−2010(2官能ポリエステルポリオール、水酸基価56、クラレ株式会社製)129部、ポリカーボネートポリオールC−2090(2官能ポリカーボネートポリオール、水酸基価56、クラレ株式会社製)386部、イソホロンジイソシアネート(IPDI:ヒュルスジャパン株式会社製)86部、トルエン150部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.05部を仕込み、100℃まで徐々に昇温し2時間反応を行った。滴定でイソシアネート基残量を確認した後、40℃まで冷却し、酢酸エチル660部、アセチルアセトン1.8部を加えた後、化合物(2)溶液89部、OXT−101(3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、東亞合成株式会社製)8部、酢酸エチル120部の混合溶液を1時間で滴下し、さらに1時間熟成した後、2−アミノ−2−メチル−プロパノール(長瀬産業株式会社製)6部を加えて、IRチャートのNCO特性吸収(2270cm-1)が消失していることを確認し反応を終了し、ポリウレタン樹脂溶液を得た。この樹脂溶液は無色透明で固形分40重量%、粘度3000mPa・s、樹脂の重量平均分子量Mwは90,000であった。
(合成例5)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにポリエステルポリオールP−2010(2官能ポリエステルポリオール、水酸基価56、クラレ株式会社製)129部、ポリカーボネートポリオールC−2090(2官能ポリカーボネートポリオール、水酸基価56、クラレ株式会社製)386部、イソホロンジイソシアネート(IPDI:ヒュルスジャパン株式会社製)86部、トルエン150部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.05部を仕込み、100℃まで徐々に昇温し2時間反応を行った。滴定でイソシアネート基残量を確認した後、40℃まで冷却し、酢酸エチル660部、アセチルアセトン1.8部を加えた後、化合物(2)89部、酢酸エチル120部の混合溶液を1時間で滴下し、さらに1時間熟成した後、2−アミノ−2−メチル−プロパノール(長瀬産業株式会社製)6部を加えて、IRチャートのNCO特性吸収(2270cm-1)が消失していることを確認し反応を終了し、ポリウレタン樹脂溶液を得た。この樹脂溶液は無色透明で固形分40重量%、粘度4000mPa・s、樹脂の重量平均分子量Mwは100,000であった。
(合成例6)
重合槽、攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた重合反応装置の重合槽及び滴下装置に、合成例3で作製したポリウレタン樹脂やα,β−エチレン性不飽和二重結合と脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基とを有する化合物、α,β−不飽和二重結合を有し、脂環式オキシラン基及びオキセタニル基を有さない化合物をそれぞれ下記の比率で仕込んだ。
[重合槽]
合成例3で作製したポリウレタン樹脂溶液 100部
メタクリル酸ブチル 30部
アクリル酸メチル 15部
アクリル酸(3−メチル−3−オキセタニル)メチル 4部
アクリル酸4−ヒドロキシブチル 1部
酢酸エチル 10部
2,2’−アゾビスブチロニトリル 0.05部
[滴下装置]
アクリル酸ブチル 45部
アクリル酸メチル 4部
アクリル酸4−ヒドロキシブチル 1部
酢酸エチル 23部
2,2’−アゾビスブチロニトリル 0.05部
重合槽内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下、還流温度下で反応を開始した。重合率が約70%まで達したところで、滴下装置から上記α,β−不飽和二重結合を有し、脂環式オキシラン基及びオキセタニル基を有さない化合物と重合開始剤との混合物の滴下を開始した。滴下終了後、さらに攪拌しながら8時間熟成した後、トルエン467部を加えて室温まで冷却し、反応を終了した。得られた樹脂溶液は無色透明で固形分20重量%、粘度6000mPa・s、樹脂の重量平均分子量Mwは1,200,000であった。
(合成例7)
合成例3で得られたポリウレタン樹脂溶液に代えて合成例4で得られたポリウレタン樹脂溶液を、また、アクリル酸(3−メチル−3−オキセタニル)メチルに代えてアクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルを用いたこと以外は、合成例6と同様にして反応し、無色透明で固形分20重量%、粘度8000mPa・sである樹脂溶液を得た。得られた樹脂の重量平均分子量Mwは1,000,000であった。
(合成例8)
合成例3で得られたポリウレタン樹脂溶液の代わりに合成例5で得られたポリウレタン樹脂溶液を使用したこと以外は、合成例6と同様にして反応し、無色透明で固形分20重量%、粘度7000mPa・sである樹脂溶液を得た。得られた樹脂の重量平均分子量Mwは850,000であった。
(合成例9)
合成例5で得られたポリウレタン樹脂溶液、α,β−不飽和二重結合を有し、脂環式オキシラン基及びオキセタニル基を有さない化合物をそれぞれ下記の比率で仕込んだ。
[重合槽]
合成例5で作製したポリウレタン樹脂溶液 100部
メタクリル酸ブチル 30部
アクリル酸メチル 19部
アクリル酸4−ヒドロキシブチル 1部
酢酸エチル 10部
2,2’−アゾビスブチロニトリル 0.05部
[滴下装置]
アクリル酸ブチル 45部
アクリル酸メチル 4部
アクリル酸4−ヒドロキシブチル 1部
酢酸エチル 23部
2,2’−アゾビスブチロニトリル 0.05部
合成例6と同様にして反応し、無色透明で固形分20重量%、粘度6500mPa・sである樹脂溶液を得た。得られた樹脂の重量平均分子量Mwは950,000であった。
(合成例10)
脂環式オキシラン基を有する化合物として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート〔市販品:「サイラキュアUVR−6110」(ユニオン・カーバイド社製)、α,β−エチレン性不飽和二重結合と脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基とを有する化合物、さらにα,β−不飽和二重結合を有し、脂環式オキシラン基及びオキセタニル基を有さない化合物をそれぞれ下記の比率で仕込んだ。
[重合槽]
サイラキュアUVR−6110 40部
メタクリル酸ブチル 30部
アクリル酸メチル 15部
アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル 4部
アクリル酸4−ヒドロキシブチル 1部
酢酸エチル 70部
2,2’−アゾビスブチロニトリル 0.05部
[滴下装置]
アクリル酸ブチル 45部
アクリル酸メチル 4部
アクリル酸4−ヒドロキシブチル 1部
酢酸エチル 23部
2,2’−アゾビスブチロニトリル 0.05部
合成例6と同様にして反応し、無色透明で固形分20重量%、粘度6000mPa・sである樹脂溶液を得た。得られた樹脂の重量平均分子量Mwは800,000であった。
(合成例11)
脂環式オキシラン基を有する化合物と、α,β−不飽和二重結合を有し、脂環式オキシラン基及びオキセタニル基を有さない化合物をそれぞれ下記の比率で仕込んだ。
[重合槽]
サイラキュアUVR−6110 40部
メタクリル酸ブチル 30部
アクリル酸メチル 19部
アクリル酸4−ヒドロキシブチル 1部
酢酸エチル 70部
2,2’−アゾビスブチロニトリル 0.05部
[滴下装置]
アクリル酸ブチル 45部
アクリル酸メチル 4部
アクリル酸4−ヒドロキシブチル 1部
酢酸エチル 23部
2,2’−アゾビスブチロニトリル 0.05部
合成例6と同様にして反応し、無色透明で固形分20重量%、粘度7000mPa・sである樹脂溶液を得た。得られた樹脂の重量平均分子量Mwは900,000であった。
(合成例12)
α,β−エチレン性不飽和二重結合と脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基とを有する化合物と、α,β−不飽和二重結合を有し、脂環式オキシラン基及びオキセタニル基を有さない化合物をそれぞれ下記の比率で仕込んだ。
[重合槽]
メタクリル酸ブチル 30部
アクリル酸メチル 15部
アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル 4部
アクリル酸4−ヒドロキシブチル 1部
酢酸エチル 51部
2,2’−アゾビスブチロニトリル 0.05部
[滴下装置]
アクリル酸ブチル 45部
アクリル酸メチル 4部
アクリル酸4−ヒドロキシブチル 1部
酢酸エチル 15部
2,2’−アゾビスブチロニトリル 0.05部
合成例6と同様にして反応し、無色透明で固形分20重量%、粘度8800mPa・sである樹脂溶液を得た。得られた樹脂の重量平均分子量Mwは1,150,000であった。
(合成例13)
α,β−不飽和二重結合を有し、脂環式オキシラン基及びオキセタニル基を有さない化合物をそれぞれ下記の比率で仕込んだ。
[重合槽]
メタクリル酸ブチル 30部
アクリル酸メチル 19部
アクリル酸4−ヒドロキシブチル 1部
酢酸エチル 51部
2,2’−アゾビスブチロニトリル 0.05部
[滴下装置]
アクリル酸ブチル 45部
アクリル酸メチル 4部
アクリル酸4−ヒドロキシブチル 1部
酢酸エチル 15部
2,2’−アゾビスブチロニトリル 0.05部
合成例6と同様にして反応し、無色透明で固形分20重量%、粘度5500mPa・sである樹脂溶液を得た。得られた樹脂の重量平均分子量Mwは680,000であった。
(合成例14:マイケル付加反応)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにイソホロンジアミン(IPDA)300部、トルエン300部を仕込み、n−ブチルアクリレート226部、およびオキセタンアクリレート270部を室温で滴下した。滴下終了後、80℃で1時間反応させた後、トルエン496部を加え、化合物(3)溶液を得た。
(合成例15)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにポリエステルポリオールP−2010(2官能ポリエステルポリオール、水酸基価56、クラレ株式会社製)129部、ポリカーボネートポリオールC−2090(2官能ポリカーボネートポリオール、水酸基価56、クラレ株式会社製)386部、イソホロンジイソシアネート(IPDI:ヒュルスジャパン株式会社製)86部、トルエン150部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.05部を仕込み、100℃まで徐々に昇温し2時間反応を行った。滴定でイソシアネート基残量を確認した後、40℃まで冷却し、酢酸エチル660部、アセチルアセトン1.8部を加えた後、化合物(3)溶液89部と酢酸エチル120部との混合溶液を1時間で滴下し、さらに1時間熟成した後、2−アミノ−2−メチル−プロパノール(長瀬産業株式会社製)6部を加えて、IRチャートのNCO特性吸収(2270cm-1)が消失していることを確認し、反応を終了した。
この樹脂溶液は無色透明で固形分40重量%、粘度4000mPa・s、樹脂の重量平均分子量MW95,000であった。
(合成例16)
合成例3で得られたポリウレタン樹脂溶液の代わりに合成例15で得られたポリウレタン樹脂溶液を使用したこと以外は、合成例6と同様にして反応し、無色透明で固形分20重量%、粘度8500mPa・sである樹脂溶液を得た。得られた樹脂の重量平均分子量Mwは1,100,000であった。
合成例3〜13、15、及び16より得られた各樹脂溶液につき、外観、固形分、粘度、さらに各樹脂のMwを以下の方法に従って求め、結果を表1に示した。
《溶液外観》
各樹脂溶液の外観を目視にて評価した。
《不揮発分の測定》
各樹脂溶液約1gを金属容器に秤量し、150℃オーブンにて20分間乾燥して、残分を秤量して残率計算をし、不揮発分濃度(固形分)とした。
《溶液粘度の測定》
各樹脂溶液を23℃雰囲気下でB型粘度計(東京計器社製)にて、12rpm、1分間回転の条件で測定した。
《重量平均分子量(Mw)の測定》
Mwの測定は東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)(HPC−8020)を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、重量平均分子量(Mw)の決定はポリスチレン換算で行った。
Figure 2007126642
(実施例1)
合成例6で得られた樹脂溶液100重量部に対して、トリフルオロボレートモノエチルアミンを0.1重量部、及び芳香族スルホニウム塩「サンエイドSI−80L」(三新化学工業社製)を1.0重量部、それぞれ添加してよく撹拌し、粘着剤組成物を得た。
これを剥離処理されたポリエステルフィルム(以下、「剥離フィルム」という)上に乾燥・硬化後の厚みが25μmになるように塗工し、100℃で2分間乾燥・硬化させた。
次いで、粘着剤層に、ポリビニルアルコール系偏光子の両面をトリアセチルセルロース系保護フィルム(以下、「TACフィルム」という)で挟んだ多層構造の偏光フィルムの片面を貼り合せ、「剥離フィルム/硬化した粘着剤層/TACフィルム/PVA/TACフィルム」という積層体を得た。
次いで、得られた積層体を温度23℃相対湿度50%の条件で1週間熟成させて、カチオン重合の暗反応により粘着剤層の硬化をさらに進行させ、粘着剤層が剥離フィルムで被覆された偏光板(積層体)を得た。
(実施例2)
合成例6で得られた樹脂溶液の代わりに、合成例7で得られた樹脂溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤層が剥離フィルムで被覆された偏光板(積層体)を得た。
(比較例1)
合成例6で得られた樹脂溶液の代わりに、合成例8で得られた樹脂溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤層が剥離フィルムで被覆された偏光板(積層体)を得た。
(比較例2)
合成例6で得られた樹脂溶液の代わりに、合成例9で得られた樹脂溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤層が剥離フィルムで被覆された偏光板(積層体)を得た。
(実施例3)
合成例4で得られた樹脂溶液100重量部に対して、脂環式オキシラン基を有する化合物である「サイラキュアUVR−6110」(ユニオン・カーバイド社製)を20重量部、トリフルオロボレートモノエチルアミンを2.5重量部、及び芳香族スルホニウム塩「サンエイドSI−80L」(三新化学工業社製)を0.25重量部、それぞれ添加してよく撹拌し、粘着剤組成物を得た。さらに実施例1と同様にして、粘着剤層が剥離フィルムで被覆された偏光板(積層体)を得た。
(比較例3)
合成例6で得られた樹脂溶液の代わりに、合成例11で得られた樹脂溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤層が剥離フィルムで被覆された偏光板(積層体)を得た。
(実施例4、5)
合成例3あるいは4で得られたそれぞれの樹脂溶液100重量部に対して、脂環式オキシラン基を有する化合物である「サイラキュアUVR−6110」(ユニオン・カーバイド社製)20重量部、トリフルオロボレートモノエチルアミンを0.25重量部、及び芳香族スルホニウム塩「サンエイドSI−80L」(三新化学工業社製)を2.5重量部、それぞれ添加してよく撹拌し、粘着剤組成物を得た。さらに実施例1と同様にして、粘着剤層が剥離フィルムで被覆された偏光板(積層体)を得た。
実施例4:合成例3の樹脂溶液使用。
実施例5:合成例4の樹脂溶液使用。
(比較例4)
合成例5で得られた樹脂溶液100重量部に対して、脂環式オキシラン基を有する化合物である「サイラキュアUVR−6110」(ユニオン・カーバイド社製)20重量部、トリフルオロボレートモノエチルアミンを0.25重量部、及び芳香族スルホニウム塩「サンエイドSI−80L」(三新化学工業社製)を2.5重量部、それぞれ添加してよく撹拌し、粘着剤組成物を得た。さらに実施例1と同様にして、粘着剤層が剥離フィルムで被覆された偏光板(積層体)を得た。
(実施例6、7)
合成例3あるいは4で得られたそれぞれの樹脂溶液100重量部に対して、合成例12で得られた樹脂溶液を50重量部、トリフルオロボレートモノエチルアミンを0.15重量部、及び芳香族スルホニウム塩「サンエイドSI−80L」(三新化学工業社製)を1.7重量部、それぞれ添加してよく撹拌し、粘着剤組成物を得た。さらに実施例1と同様にして、粘着剤層が剥離フィルムで被覆された偏光板(積層体)を得た。
実施例6:合成例3の樹脂溶液使用。
実施例7:合成例4の樹脂溶液使用。
(比較例5,6)
合成例5で得られた樹脂溶液100重量部に対して、合成例12あるいは13で得られた樹脂溶液をそれぞれ50重量部、トリフルオロボレートモノエチルアミンを0.15重量部、及び芳香族スルホニウム塩「サンエイドSI−80L」(三新化学工業社製)を1.7重量部、それぞれ添加してよく撹拌し、粘着剤組成物を得た。実施例1と同様にして、粘着剤層が剥離フィルムで被覆された偏光板(積層体)を得た。
比較例5:合成例12の樹脂溶液使用。
比較例6:合成例13の樹脂溶液使用。
(実施例8)
合成例4で得られた樹脂溶液100重量部に対して、脂環式オキシラン基を有する化合物である「サイラキュアUVR−6110」(ユニオン・カーバイド社製)20重量部、合成例12で得られた樹脂溶液を50重量部、トリフルオロボレートモノエチルアミンを0.2重量部、及び芳香族スルホニウム塩「サンエイドSI−80L」(三新化学工業社製)を2.0重量部、それぞれ添加してよく撹拌し、粘着剤組成物を得た。さらに実施例1と同様にして、粘着剤層が剥離フィルムで被覆された偏光板(積層体)を得た。
(比較例7)
合成例5で得られた樹脂溶液100重量部に対して、脂環式オキシラン基を有する化合物である「サイラキュアUVR−6110」(ユニオン・カーバイド社製)20重量部、合成例12で得られた樹脂溶液を50重量部、トリフルオロボレートモノエチルアミンを0.2重量部、及び芳香族スルホニウム塩「サンエイドSI−80L」(三新化学工業社製)を2.0重量部、それぞれ添加してよく撹拌し、粘着剤組成物を得た。さらに実施例1と同様にして、粘着剤層が剥離フィルムで被覆された偏光板(積層体)を得た。
(比較例8)
合成例4で得られた樹脂溶液100重量部に対して、トリフルオロボレートモノエチルアミン0.2重量部を添加してよく撹拌し、粘着剤組成物を得た。さらに実施例1と同様にして、粘着剤層が剥離フィルムで被覆された偏光板(積層体)を得た。
(比較例9)
合成例4で得られた樹脂溶液100重量部に対して、芳香族スルホニウム塩「サンエイドSI−80L」(三新化学工業社製)を2.0重量部を添加してよく撹拌し、粘着剤組成物を得た。さらに実施例1と同様にして、粘着剤層が剥離フィルムで被覆された偏光板(積層体)を得た。
(比較例10)
合成例6で得られた樹脂溶液の代わりに、合成例10で得られた樹脂溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤層が剥離フィルムで被覆された偏光板(積層体)を得た。
(実施例9)
実施例5で使用した「サイラキュアUVR−6110」の代わりに、合成例15で得られた樹脂溶液50重量部を用い、さらに偏光フィルムの代わりにポリウレタン発泡体基材を用いて、「剥離フィルム/粘着剤層/ポリウレタン発泡体」なる構成の積層体としたこと以外は実施例5と同様にして、粘着剤層が剥離フィルムで被覆された積層体を得た。
(実施例10)
合成例6で得られた樹脂溶液の代わりに、合成例16で得られた樹脂溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤層が剥離フィルムで被覆された偏光板(積層体)を得た。
《貯蔵弾性率(G')の測定》
実施例および比較例で得られた粘着剤組成物を剥離フィルム上に塗工し、150℃のオーブンにて乾燥・硬化して、厚さ0.3mm程度の粘着剤層を設けた後、この粘着剤層同士を繰り返し貼り付けて積層させ、厚さ1.5mm程度とした。これを、温度23℃相対湿度50%の条件で1週間熟成させて、直径8mmにポンチで打ち抜き、剪断貯蔵弾性率測定用の試料とした。
TAインスツルメント・ジャパン社製の粘弾性試験機RDA−IIIを用いて周波数1Hz、せん断ひずみ0.1πラジアン、温度120℃の条件下で測定した。結果を表2に示す。貯蔵弾性率(G')の単位は、Paである。
実施例および比較例で得られた、粘着剤層が剥離フィルムで被覆された偏光板(積層体)について、耐熱性、耐湿熱性および再剥離性を以下の方法で評価した。結果を表2に示す。
《耐熱性、耐湿熱性の評価方法》
偏光板(積層体)を150mm×80mmの大きさにカットし、剥離フィルムを剥がして厚さ1.1mmのフロートガラス板の両面に、それぞれの偏光板の吸収軸が直交するようにラミネーターを用いて貼着した。続いて、この偏光板が貼り付けられたガラス板を50℃5気圧の条件のオートクレーブ内に20分保持させてガラス板に密着させ、偏光板とガラス板との積層物を得た。
耐熱性の評価として、上記積層物を120℃で1000時間放置した後の浮きハガレ、および積層物に光を透過させたときの光漏れ(白抜け)を目視で観察した。
また、耐湿熱性の評価として、上記積層物を80℃、相対湿度90%で1000時間放置した後の浮きハガレ、および積層物に光を透過させたときの光漏れ(白抜け)を目視で観察した。
耐熱性、耐湿熱性について、下記の4段階の評価基準に基づいて評価をおこなった。
◎:「浮きハガレ・白ぬけが全く認められず、実用上全く問題がない」
○:「わずかに浮きハガレ・白ぬけが認められるが、実用上問題がない」
△:「若干浮きハガレ・白ぬけが若干認められ、実用上問題がある」
×:「全面的に浮きハガレ・白ぬけがあり、実用不可である」
をそれぞれ意味する。
但し、実施例9については、積層体の剥離フィルムを剥がしステンレス板に貼り付け、65℃で100時間放置した後の浮き剥がれ(耐熱性)、40℃、相対湿度90%で100時間放置した後の浮き剥がれ(耐湿熱性)を目視で観察し、3段階で評価した。
○:「浮きハガレが全く認められず、実用上全く問題がない」
△:「若干浮きハガレが認められ、実用上問題がある」
×:「全面的に浮きハガレがあり、実用不可である」
をそれぞれ意味する。
《再剥離性(リワーク性)の評価方法》
粘着剤層が剥離フィルムで被覆された偏光板(積層体)を25mm×150mmの大きさにカットし、剥離フィルムを剥がし厚さ1.1mmのフロートガラスにラミネータを用いて貼り付け、50℃5気圧の条件のオートクレーブ内に20分保持させてガラス板に密着させた。この試験片を23℃、相対湿度50%で1週間放置した後に、180度方向に300mm/分の速度で引き剥がす180°ピール試験を実施し、剥離後のガラス表面の曇りを目視で観察し、3段階で評価した。
○:「実用上全く問題がない」
△:「若干曇りが認められ、実用上問題がある」
×:「全面的に粘着剤の転着が認められ、実用不可である」
をそれぞれ意味する。
但し、実施例9については、積層体の剥離フィルムを剥がしステンレス板に貼り付け、上記と同様にステンレス板表面の曇りを目視で評価した。
Figure 2007126642
以上のように、本発明の粘着剤組成物は、耐熱性、耐湿熱性、光学特性、再剥離性に優れていることが分かる。
これに対して、比較例では、耐熱性、耐湿熱性、再剥離性が不良となっており、実用上問題があったり、実用不可であることが分かる。
本発明の粘着剤組成物は、ポリウレタン樹脂特有の凝集力を維持しつつ、他の化合物、例えば脂環式オキシラン基やオキセタニル基を有する化合物、さらにはα,β−エチレン性不飽和二重結合を有する化合物を重合してなる、脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基を有する樹脂と複合化し、それぞれの樹脂の特徴を兼ね備えたポリマーを形成するため、単独の樹脂では得られなかった粘着物性を発現させることができる。その例として、本発明の様な光学積層体に要求される耐熱性、耐湿熱性、光学特性、再剥離性等が挙げられる。特に、光学積層体の用途では、光学特性である光漏れが重要視され、近年のディスプレイの大型化に伴い、その要求性能はますます厳しくなってきている。そこで、本発明の粘着剤組成物は、上述のようにこれまでは困難であった粘着特性を発揮できるため、さらに有用になると考えられる。
また、本発明の粘着剤組成物は、光学部材用粘着剤として好適であるほか、一般ラベル・シール、塗料、弾性壁材、塗膜防水材、床材、粘着性付与剤、接着剤、積層構造体用接着剤、シーリング剤、成形材料、表面改質用コーティング剤、バインダー(磁気記録媒体、インキバインダー、鋳物バインダー、焼成レンガバインダー、グラフト材、マイクロカプセル、グラスファイバーサイジング等)、ウレタンフォーム(硬質、半硬質、軟質)、ウレタンRIM、UV・EB硬化樹脂、ハイソリッド塗料、熱硬化型エラストマー、マイクロセルラー、繊維加工剤、可塑剤、吸音材料、制振材料、界面活性剤、ゲルコート剤、人工大理石用樹脂、人工大理石用耐衝撃性付与剤、インキ用樹脂、フィルム(ラミネート接着剤、保護フィルム等)、合わせガラス用樹脂、反応性希釈剤、各種成形材料、弾性繊維、人工皮革、合成皮革等の原料として、また、各種樹脂添加剤およびその原料等としても非常に有用に使用できる。

Claims (15)

  1. カチオン重合性組成物(A)及びカチオン重合開始剤(B)を含んでなる粘着剤組成物であって、カチオン重合性組成物(A)の一部がカチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)であることを特徴とする粘着剤組成物。
  2. カチオン重合性組成物(A)100重量%中、カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)5〜80重量%を含み、かつ(A)100重量部に対してカチオン重合開始剤(B)0.1〜10重量部を含むことを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
  3. カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)が、脂環式オキシラン基またはオキセタニル基から選ばれる少なくとも1種のカチオン性重合基を2個以上有することを特徴とする請求項1または2記載の粘着剤組成物。
  4. カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)が、イソシアネート基を2個以上有するポリウレタン樹脂(a1)とカチオン性重合基及び水酸基を有する化合物(a2)とを反応させてなることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の粘着剤組成物。
  5. カチオン性重合基を有するポリウレタン樹脂(A1)が、イソシアネート基を2個以上有するポリウレタン樹脂(a1)を、ポリアミン(a3)と、カチオン性重合基及び不飽和二重結合を有する化合物(a4)とをマイケル付加反応させてなる化合物(a5)で鎖延長してなることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の粘着剤組成物。
  6. イソシアネート基を2個以上有するポリウレタン樹脂(a1)が、23℃において液状であるポリオールを用いてなることを特徴とする請求項4又は5記載の粘着剤組成物。
  7. カチオン重合性組成物(A)のカチオン性重合基が脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基であることを特徴とする請求項1ないし6いずれか記載の粘着剤組成物。
  8. カチオン重合性組成物(A)が、α,β−エチレン性不飽和二重結合と脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基とを有する化合物を必須成分とする、ラジカル重合性組成物をラジカル重合してなる重合体(a6)を含むことを特徴とする請求項1ないし7いずれか記載の粘着剤組成物。
  9. カチオン重合性組成物(A)100重量%中、α,β−エチレン性不飽和二重結合と脂環式オキシラン基及び/またはオキセタニル基とを有する化合物を必須成分とする、ラジカル重合性組成物をラジカル重合してなる重合体(a6)2〜80重量%を含むことを特徴とする請求項8記載の粘着剤組成物。
  10. カチオン重合開始剤(B)が、熱によってカチオンを発生する化合物であることを特徴とする請求項1ないし9いずれか記載の粘着剤組成物。
  11. カチオン重合開始剤(B)が、ルイス酸のアミン錯体類または第4級アンモニウム塩類と、芳香族カチオン発生剤との混合物であることを特徴とする請求項1ないし10いずれか記載の粘着剤組成物。
  12. 光学部材の接着に用いられることを特徴とする請求項1ないし11いずれか記載の粘着剤組成物。
  13. 請求項12記載の粘着剤組成物を硬化して得られる硬化した粘着剤層及び光学部材からなる粘着積層体。
  14. 硬化した粘着剤層の動的粘弾性スペクトルにおける120℃の貯蔵弾性率が0.1×10〜5×10Paであることを特徴とする請求項13記載の粘着積層体。
  15. 請求項13または14記載の粘着積層体の硬化した粘着剤層上に液晶セル用ガラス部材が積層されてなる液晶セル用部材。
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