JP2007126580A - ラクトン環含有重合体用プライマーおよびそれを用いた積層体 - Google Patents

ラクトン環含有重合体用プライマーおよびそれを用いた積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層と他の熱可塑性樹脂やそれ以外の基材とを強固に接着することができ、また、粘着剤などのコーティング剤を良好に密着させることができる易接着層を与えるラクトン環含有重合体用プライマーおよびそれを用いた積層体を提供すること。
【解決手段】 本発明のラクトン環含有重合体用プライマーは、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層を有する積層体を製造する際に、前記熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に易接着層を形成するためのプライマーであって、ポリウレタン樹脂もしくはその前駆体および/またはアミノ基含有ポリマーを含有する。本発明の積層体は、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層を有する積層体であって、前記熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に、本発明のラクトン環含有重合体用プライマーを含有する易接着層が形成されている。
【選択図】なし

Description

本発明は、ラクトン環含有重合体用プライマーおよびそれを用いた積層体に関する。
分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体をラクトン環化縮合反応させることにより得られるラクトン環含有重合体は、従来から汎用されているメタクリル系樹脂と同等の透明性を有すると共に、メタクリル系樹脂に比べて耐熱性が高く、さらに表面光沢や機械的強度に優れる点で、他の熱可塑性樹脂に接着して積層体とすれば、前記熱可塑性樹脂に、ラクトン環含有重合体が有する優れた特性を付与することができる。
例えば、特許文献1〜3には、ラクトン環含有重合体と他の熱可塑性樹脂との積層体が開示されている。積層方法としては、例えば、いずれか一方の樹脂をフィルム、シートまたは発泡体とし、これに他方の樹脂を加熱圧着する方法、少なくとも一方の樹脂に接着剤を塗布した後、これに他方の樹脂を加熱圧着する方法、両方の樹脂を押出機からフィルムまたはシート状に共押出しする方法、ラクトン環含有重合体から成形品を作製し、その表面に他の熱可塑性樹脂を射出成形するインモールド成形法、他の熱可塑性樹脂から成形品を作製し、ラクトン環含有重合体のコーティング用樹脂液を塗布する方法などが用いられている。
しかし、いずれの方法を用いても、得られた積層体におけるラクトン環含有重合体と他の熱可塑性樹脂との接着性はそれほど高いとは言えず、両方の樹脂を強固に接着する手段の開発が求められていた。また、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層と熱可塑性樹脂以外の基材との接着性や、粘着剤などのコーティング剤との密着性については、これまで全く考慮されておらず、このような接着や粘着が可能になれば、ラクトン環含有重合体を応用する分野が広がることになる。
特開2002−254544号公報 特開2002−120326号公報 特開2005−146084号公報
上述した状況の下、本発明が解決すべき課題は、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層と他の熱可塑性樹脂やそれ以外の基材とを強固に接着することができ、また、粘着剤などのコーティング剤を良好に密着させることできる易接着層を与えるラクトン環含有重合体用プライマーおよびそれを用いた積層体を提供することにある。
本発明者らは、種々検討の結果、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層と基材とを貼合するにあたり、前記熱可塑性樹脂層の前記基材と対向する面に、ポリウレタン樹脂もしくはその前駆体および/またはアミノ基含有ポリマーを含有する易接着層を形成することにより、前記熱可塑性樹脂層と前記基材との接着性が非常に向上することを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層を有する積層体を製造する際に、前記熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に易接着層を形成するためのプライマーであって、ポリウレタン樹脂もしくはその前駆体および/またはアミノ基含有ポリマーを含有することを特徴とするラクトン環含有重合体用プライマーを提供する。
また、本発明は、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層を有する積層体であって、前記熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に、前記プライマーを含有する易接着層が形成されていることを特徴とする積層体を提供する。
本発明のラクトン環含有重合体用プライマーおよび積層体において、前記ラクトン環含有重合体は、好ましくは、下記式(1):
Figure 2007126580
[式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す;なお、有機残基は酸素原子を含有していてもよい]
で示されるラクトン環構造を有する。
本発明の積層体において、前記熱可塑性樹脂層には、場合によっては、前記易接着層を介してコーティング層が積層されている。前記コーティング層は、好ましくは、接着剤層または粘着剤層である。また、前記接着剤層または粘着剤層には、場合によっては、基材が貼合されている。前記基材は、好ましくは、スチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびポリアミド系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含有するか、あるいは、前記基材は、好ましくは、熱硬化性樹脂、金属、木材、紙、ガラスおよびセラミックスからなる群より選択される少なくとも1種の材料を含有する。
本発明のラクトン環含有重合体用プライマーによれば、ポリウレタン樹脂および/またはアミノ基含有ポリマーを含有する易接着層が形成されるので、かかる易接着層を介在させれば、ラクトン環含有重合体と基材との接着強度が非常に高く、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層と基材とを強固に接着することができ、また、ラクトン環含有重合体と粘着剤などのコーティング剤との密着性が良好であり、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層に粘着剤などのコーティング剤を良好に密着させることができ、ラクトン環含有重合体が有する優れた特性、例えば、透明性や耐熱性、表面光沢、機械的強度などを有する積層体が得られる。
≪ラクトン環含有重合体≫
本発明のプライマーは、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層を基材に接着剤で貼合する際に、前記熱可塑性樹脂層の接着面に、ポリウレタン樹脂および/またはアミノ基含有ポリマーを含有する易接着層を形成するために用いられる。熱可塑性樹脂層の主成分であるラクトン環含有重合体は、好ましくは、下記式(1):
Figure 2007126580
[式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す;なお、有機残基は酸素原子を含有していてもよい]
で示されるラクトン環構造を有する。
ラクトン環含有重合体の構造中における上記式(1)で示されるラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜70質量%、さらに好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。ラクトン環構造の含有割合が5質量%未満であると、得られた重合体の耐熱性、耐溶剤性および表面硬度が低下することがある。逆に、ラクトン環構造の含有割合が90質量%を超えると、得られた重合体の成形加工性が低下することがある。
ラクトン環含有重合体は、上記式(1)で示されるラクトン環構造以外の構造を有していてもよい。上記式(1)で示されるラクトン環構造以外の構造としては、特に限定されるものではないが、例えば、ラクトン環含有重合体の製造方法として後述するような、(メタ)アクリル酸エステルと、水酸基含有単量体と、不飽和カルボン酸と、下記式(2):
Figure 2007126580
[式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、−OAc基、−CN基、−CO−R基、または−CO−O−R基を表し、Acはアセチル基を表し、RおよびRは水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す]
で示される単量体とからなる群より選択される少なくとも1種の単量体を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)が好ましい。
ラクトン環含有重合体の構造中における上記式(1)で示されるラクトン環構造以外の構造の含有割合は、(メタ)アクリル酸エステルを重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは50〜90質量%であり、水酸基含有単量体を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。また、不飽和カルボン酸を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。さらに、上記式(2)で示される単量体を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
ラクトン環含有重合体の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、重合工程によって分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体(a)を得た後、得られた重合体(a)を加熱処理することによりラクトン環構造を重合体に導入するラクトン環化縮合工程を行うことによって得られる。
重合工程においては、例えば、下記式(3):
Figure 2007126580
[式中、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す]
で示される単量体を配合した単量体成分の重合反応を行うことにより、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体が得られる。
上記式(3)で示される単量体としては、例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸n−ブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸t−ブチルなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの単量体のうち、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが好ましく、耐熱性を向上させる効果が高いことから、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルが特に好ましい。
重合工程に供する単量体成分中における上記式(3)で示される単量体の含有割合は、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜70質量%、さらに好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。上記式(3)で示される単量体の含有割合が5質量%未満であると、得られた重合体の耐熱性、耐溶剤性および表面硬度が低下することがある。逆に、上記式(3)で示される単量体の含有割合が90質量%を超えると、重合工程やラクトン環化縮合工程においてゲル化が起こることや、得られた重合体の成形加工性が低下することがある。
重合工程に供する単量体成分には、上記式(3)で示される単量体以外の単量体を配合してもよい。このような単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸、および、下記式(2):
Figure 2007126580
[式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、−OAc基、−CN基、−CO−R基、または−CO−O−R基を表し、Acはアセチル基を表し、RおよびRは水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す]
で示される単量体などが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、上記式(3)で示される単量体以外の(メタ)アクリル酸エステルである限り、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステル;などが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの(メタ)アクリル酸エステルのうち、得られた重合体の耐熱性や透明性が優れることから、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
上記式(3)で示される単量体以外の(メタ)アクリル酸エステルを用いる場合、重合工程に供する単量体成分中におけるその含有割合は、本発明の効果を充分に発揮させる上で、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは50〜90質量%である。
水酸基含有単量体としては、上記式(3)で示される単量体以外の水酸基含有単量体である限り、特に限定されるものではないが、例えば、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチルなどの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル;2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸などの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸;などが挙げられる。これらの水酸基含有単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記式(3)で示される単量体以外の水酸基含有単量体を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中におけるその含有割合は、本発明の効果を充分に発揮させる上で、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−置換アクリル酸、α−置換メタクリル酸などが挙げられる。これらの不飽和カルボン酸は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの不飽和カルボン酸のうち、本発明の効果が充分に発揮されることから、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
不飽和カルボン酸を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中におけるその含有割合は、本発明の効果を充分に発揮させる上で、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
上記式(2)で示される単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの単量体のうち、本発明の効果を充分に発揮することから、スチレン、α−メチルスチレンが特に好ましい。
上記式(2)で示される単量体を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中におけるその含有割合は、本発明の効果を充分に発揮させる上で、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
単量体成分を重合して分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を得るための重合反応の形態としては、溶剤を使用する重合形態であることが好ましく、溶液重合が特に好ましい。
重合温度や重合時間は、使用する単量体の種類や割合などに応じて変化するが、例えば、好ましくは、重合温度が0〜150℃、重合時間が0.5〜20時間であり、より好ましくは、重合温度が80〜140℃、重合時間が1〜10時間である。
溶剤を使用する重合形態の場合、重合溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンケトンなどのケトン系溶剤;テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、溶剤の沸点が高すぎると、最終的に得られるラクトン環含有重合体の残存揮発分が多くなることから、沸点が50〜200℃である溶剤が好ましい。
重合反応時には、必要に応じて、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物;などが挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、単量体の組合せや反応条件などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
重合を行う際には、反応液のゲル化を抑制するために、重合反応混合物中に生成した重合体の濃度が50質量%以下となるように制御することが好ましい。具体的には、重合反応混合物中に生成した重合体の濃度が50質量%を超える場合には、重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加して50質量%以下となるように制御することが好ましい。重合反応混合物中に生成した重合体の濃度は、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。なお、重合反応混合物中に生成した重合体の濃度が低すぎると生産性が低下するので、重合反応混合物中に生成した重合体の濃度は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。
重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加する形態としては、特に限定されるものではなく、例えば、連続的に重合溶剤を添加してもよいし、間欠的に重合溶剤を添加してもよい。このように重合反応混合物中に生成した重合体の濃度を制御することによって、反応液のゲル化をより充分に抑制することができ、特に、ラクトン環含有割合を増やして耐熱性を向上させるために分子鎖中の水酸基とエステル基との割合を高めた場合であっても、ゲル化を充分に抑制することができる。添加する重合溶剤としては、例えば、重合反応の初期仕込み時に使用した溶剤と同じ種類の溶剤であってもよいし、異なる種類の溶剤であってもよいが、重合反応の初期仕込み時に使用した溶剤と同じ種類の溶剤を用いることが好ましい。また、添加する重合溶剤は、1種のみの単一溶剤であっても2種以上の混合溶剤であってもよい。
以上の重合工程を終了した時点で得られる重合反応混合物中には、通常、得られた重合体以外に溶剤が含まれているが、溶剤を完全に除去して重合体を固体状態で取り出す必要はなく、溶剤を含んだ状態で、続くラクトン環化縮合工程に導入することが好ましい。また、必要な場合は、固体状態で取り出した後に、続くラクトン環化縮合工程に好適な溶剤を再添加してもよい。
重合工程で得られた重合体は、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体(a)であり、重合体(a)の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜2,000,000、より好ましくは5,000〜1,000,000、さらに好ましくは10,000〜500,000、特に好ましくは50,000〜500,000である。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、ポリスチレン換算により求めた値である。重合工程で得られた重合体(a)は、続くラクトン環化縮合工程において、加熱処理されることによりラクトン環構造が重合体に導入され、ラクトン環含有重合体となる。
重合体(a)にラクトン環構造を導入するための反応は、加熱により、重合体(a)の分子鎖中に存在する水酸基とエステル基とが環化縮合してラクトン環構造を生じる反応であり、その環化縮合によってアルコールが副生する。ラクトン環構造が重合体の分子鎖中(重合体の主骨格中)に形成されることにより、高い耐熱性が付与される。ラクトン環構造を導く環化縮合反応の反応率が不充分であると、耐熱性が充分に向上しないことや、成形時の加熱処理によって成形途中に縮合反応が起こり、生じたアルコールが成形品中に泡やシルバーストリークとなって存在することがある。
ラクトン環化縮合工程において得られるラクトン環含有重合体は、好ましくは、下記式(1):
Figure 2007126580
[式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す;なお、有機残基は酸素原子を含有していてもよい]
で示されるラクトン環構造を有する。
重合体(a)を加熱処理する方法については、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を利用すればよい。例えば、重合工程によって得られた、溶剤を含む重合反応混合物を、そのまま加熱処理してもよい。あるいは、溶剤の存在下で、必要に応じて閉環触媒を用いて加熱処理してもよい。あるいは、揮発成分を除去するための真空装置あるいは脱揮装置を備えた加熱炉や反応装置、脱揮装置を備えた押出機などを用いて加熱処理を行うこともできる。
環化縮合反応を行う際に、重合体(a)に加えて、他の熱可塑性樹脂を共存させてもよい。また、環化縮合反応を行う際には、必要に応じて、環化縮合反応の触媒として一般に使用されるp−トルエンスルホン酸などのエステル化触媒またはエステル交換触媒を用いてもよいし、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸などの有機カルボン酸類を触媒として用いてもよい。さらに、例えば、特開昭61−254608号公報や特開昭61−261303号公報に開示されているように、塩基性化合物、有機カルボン酸塩、炭酸塩などを用いてもよい。
あるいは、環化縮合反応の触媒として有機リン化合物を用いてもよい。使用可能な有機リン酸化合物としては、例えば、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸などのアルキル(アリール)亜ホスホン酸(ただし、これらは、互変異性体であるアルキル(アリール)ホスフィン酸になっていてもよい)およびこれらのモノエステルまたはジエステル;ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、フェニルエチルホスフィン酸などのジアルキル(アリール)ホスフィン酸およびこれらのエステル;メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、トリフルオルメチルホスホン酸、フェニルホスホン酸などのアルキル(アリール)ホスホン酸およびこれらのモノエステルまたはジエステル;メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸などのアルキル(アリール)亜ホスフィン酸およびこれらのエステル;亜リン酸メチル、亜リン酸エチル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニルなどの亜リン酸モノエステル、ジエステルまたはトリエステル;リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸オクチル、リン酸イソデシル、リン酸ラウリル、リン酸ステアリル、リン酸イソステアリル、リン酸フェニル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジ−2−エチルヘキシル、リン酸ジイソデシル、リン酸ジラウリル、リン酸ジステアリル、リン酸ジイソステアリル、リン酸ジフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリイソデシル、リン酸トリラウリル、リン酸トリステアリル、リン酸トリイソステアリル、リン酸トリフェニルなどのリン酸モノエステル、ジエステルまたはトリエステル;メチルホスフィン、エチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどのモノ−、ジ−またはトリ−アルキル(アリール)ホスフィン;メチルジクロロホスフィン、エチルジクロロホスフィン、フェニルジクロロホスフィン、ジメチルクロロホスフィン、ジエチルクロロホスフィン、ジフェニルクロロホスフィンなどのアルキル(アリール)ハロゲンホスフィン;酸化メチルホスフィン、酸化エチルホスフィン、酸化フェニルホスフィン、酸化ジメチルホスフィン、酸化ジエチルホスフィン、酸化ジフェニルホスフィン、酸化トリメチルホスフィン、酸化トリエチルホスフィン、酸化トリフェニルホスフィンなどの酸化モノ−、ジ−またはトリ−アルキル(アリール)ホスフィン;塩化テトラメチルホスホニウム、塩化テトラエチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウムなどのハロゲン化テトラアルキル(アリール)ホスホニウム;などが挙げられる。これらの有機リン化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの有機リン化合物のうち、触媒活性が高くて着色性が低いことから、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸モノエステルまたはジエステル、リン酸モノエステルまたはジエステル、アルキル(アリール)ホスホン酸が好ましく、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸モノエステルまたはジエステル、リン酸モノエステルまたはジエステルがより好ましく、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、リン酸モノエステルまたはジエステルが特に好ましい。
環化縮合反応の際に用いる触媒の使用量は、特に限定されるものではないが、例えば、重合体(a)に対して、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜2.5質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%、特に好ましくは0.05〜0.5質量%である。触媒の使用量が0.001質量%未満であると、環化縮合反応の反応率が充分に向上しないことがある。逆に、触媒の使用量が5質量%を超えると、得られた重合体が着色することや、重合体が架橋して、溶融成形が困難になることがある。
触媒の添加時期は、特に限定されるものではなく、例えば、反応初期に添加してもよいし、反応途中に添加してもよいし、それらの両方で添加してもよい。
環化縮合反応を溶剤の存在下で行い、かつ、環化縮合反応の際に、脱揮工程を併用することが好ましい。この場合、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態、および、脱揮工程を環化縮合反応の過程全体にわたっては併用せずに過程の一部においてのみ併用する形態が挙げられる。脱揮工程を併用する方法では、縮合環化反応で副生するアルコールを強制的に脱揮させて除去するので、反応の平衡が生成側に有利となる。
脱揮工程とは、溶剤、残存単量体などの揮発分と、ラクトン環構造を導く環化縮合反応により副生したアルコールを、必要に応じて減圧加熱条件下で、除去処理する工程を意味する。この除去処理が不充分であると、得られた重合体中の残存揮発分が多くなり、成形時の変質などにより着色することや、泡やシルバーストリークなどの成形不良が起こることがある。
環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、用いる装置については、特に限定されるものではないが、例えば、本発明をより効果的に行うために、熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置やベント付き押出機、また、脱揮装置と押出機を直列に配置したものを用いることが好ましく、熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置またはベント付き押出機を用いることがより好ましい。
熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置を用いる場合の反応処理温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。反応処理温度が150℃未満であると、環化縮合反応が不充分となって残存揮発分が多くなることがある。逆に、反応処理温度が350℃を超えると、得られた重合体の着色や分解が起こることがある。
熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置を用いる場合の反応処理圧力は、好ましくは931〜1.33hPa(700〜1mmHg)、より好ましくは798〜66.5hPa(600〜50mmHg)である。反応処理圧力が931hPa(700mmHg)を超えると、アルコールを含めた揮発分が残存しやすいことがある。逆に、反応処理圧力が1.33hPa(1mmHg)未満であると、工業的な実施が困難になることがある。
ベント付き押出機を用いる場合、ベントは1個でも複数個でもいずれでもよいが、複数個のベントを有する方が好ましい。
ベント付き押出機を用いる場合の反応処理温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。反応処理温度が150℃未満であると、環化縮合反応が不充分となって残存揮発分が多くなることがある。逆に、反応処理温度が350℃を超えると、得られた重合体の着色や分解が起こることがある。
ベント付き押出機を用いる場合の反応処理圧力は、好ましくは931〜1.33hPa(700〜1mmHg)、より好ましくは798〜13.3hPa(600〜10mmHg)である。反応処理圧力が931hPa(700mmHg)を超えると、アルコールを含めた揮発分が残存しやすいことがある。逆に、反応処理圧力が1.33hPa(1mmHg)未満であると、工業的な実施が困難になることがある。
なお、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、後述するように、厳しい熱処理条件では得られるラクトン環含有重合体の物性が劣化することがあるので、前述した脱アルコール反応の触媒を用い、できるだけ温和な条件で、ベント付き押出機などを用いて行うことが好ましい。
また、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、好ましくは、重合工程で得られた重合体(a)を溶剤と共に環化縮合反応装置に導入するが、この場合、必要に応じて、もう一度ベント付き押出機などの環化縮合反応装置に通してもよい。
脱揮工程を環化縮合反応の過程全体にわたっては併用せずに、過程の一部においてのみ併用する形態を行ってもよい。例えば、重合体(a)を製造した装置を、さらに加熱し、必要に応じて脱揮工程を一部併用して、環化縮合反応を予めある程度進行させておき、その後に引き続いて脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行い、反応を完結させる形態である。
先に述べた環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態では、例えば、重合体(a)を、二軸押出機を用いて、250℃付近、あるいはそれ以上の高温で熱処理する時に、熱履歴の違いにより環化縮合反応が起こる前に一部分解などが生じ、得られるラクトン環含有重合体の物性が劣化することがある。そこで、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う前に、予め環化縮合反応をある程度進行させておくと、後半の反応条件を緩和でき、得られるラクトン環含有重合体の物性の劣化を抑制できるので好ましい。特に好ましい形態としては、例えば、脱揮工程を環化縮合反応の開始から時間をおいて開始する形態、すなわち、重合工程で得られた重合体(a)の分子鎖中に存在する水酸基とエステル基とを予め環化縮合反応させて環化縮合反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う形態が挙げられる。具体的には、例えば、予め釜型反応器を用いて溶剤の存在下で環化縮合反応をある程度の反応率まで進行させておき、その後、脱揮装置を備えた反応器、例えば、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置や、ベント付き押出機などで、環化縮合反応を完結させる形態が好ましく挙げられる。特に、この形態の場合、環化縮合反応用の触媒が存在していることがより好ましい。
前述したように、重合工程で得られた重合体(a)の分子鎖中に存在する水酸基とエステル基とを予め環化縮合反応させて環化縮合反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う方法は、本発明においてラクトン環含有重合体を得る上で好ましい形態である。この形態により、ガラス転移温度がより高く、環化縮合反応率もより高まり、耐熱性に優れたラクトン環含有重合体が得られる。この場合、環化縮合反応率の目安としては、例えば、実施例に示すダイナッミクTG測定における150〜300℃の範囲内における質量減少率が、好ましくは2%以下、より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1%以下である。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際に採用できる反応器は、特に限定されるものではないが、例えば、オートクレーブ、釜型反応器、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置などが挙げられ、さらに、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応に好適なベント付き押出機も使用可能である。これらの反応器のうち、オートクレーブ、釜型反応器が特に好ましい。しかし、ベント付き押出機などの反応器を用いる場合でも、ベント条件を温和にしたり、ベントをさせなかったり、温度条件やバレル条件、スクリュー形状、スクリュー運転条件などを調整することにより、オートクレーブや釜型反応器での反応状態と同じ様な状態で環化縮合反応を行うことが可能である。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際には、例えば、重合工程で得られた重合体(a)と溶剤とを含む混合物を、(i)触媒を添加して、加熱反応させる方法、(ii)無触媒で加熱反応させる方法、および、前記(i)または(ii)を加圧下で行う方法などが挙げられる。
なお、ラクトン環化縮合工程において環化縮合反応に導入する「重合体(a)と溶剤とを含む混合物」とは、重合工程で得られた重合反応混合物それ自体、あるいは、いったん溶剤を除去した後に環化縮合反応に適した溶剤を再添加して得られた混合物を意味する。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際に再添加できる溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;クロロホルム、DMSO、テトラヒドロフラン;などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。重合工程に用いた溶剤と同じ種類の溶剤を用いることが好ましい。
方法(i)で添加する触媒としては、例えば、一般に使用されるp−トルエンスルホン酸などのエステル化触媒またはエステル交換触媒、塩基性化合物、有機カルボン酸塩、炭酸塩などが挙げられるが、本発明においては、前述の有機リン化合物を用いることが好ましい。触媒の添加時期は、特に限定されるものではないが、例えば、反応初期に添加してもよいし、反応途中に添加してもよいし、それらの両方で添加してもよい。触媒の添加量は、特に限定されるものではないが、例えば、重合体(a)の質量に対して、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜2.5質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%、特に好ましくは0.05〜0.5質量%である。方法(i)の加熱温度や加熱時間は、特に限定されるものではないが、例えば、加熱温度は、好ましくは室温〜180℃、より好ましくは50〜150℃であり、加熱時間は、好ましくは1〜20時間、より好ましくは2〜10時間である。加熱温度が室温未満であるか、あるいは、加熱時間が1時間未満であると、環化縮合反応率が低下することがある。逆に、加熱温度180℃を超えるか、あるいは、加熱時間が20時間を超えると、樹脂の着色や分解が起こることがある。
方法(ii)は、例えば、耐圧性の釜型反応器などを用いて、重合工程で得られた重合反応混合物をそのまま加熱すればよい。方法(ii)の加熱温度や加熱時間は、特に限定されるものではないが、例えば、加熱温度は、好ましくは100〜180℃、より好ましくは100〜150℃であり、加熱時間は、好ましくは1〜20時間、より好ましくは2〜10時間である。加熱温度が100℃未満であるか、あるいは、加熱時間が1時間未満であると、環化縮合反応率が低下することがある。逆に、加熱温度が180℃を超えるか、あるいは加熱時間が20時間を超えると、樹脂の着色や分解が起こることがある。
いずれの方法においても、条件によっては、加圧下となっても何ら問題はない。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際には、溶剤の一部が反応中に自然に揮発しても何ら問題ではない。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の終了時、すなわち、脱揮工程開始直前における、ダイナミックTG測定における150〜300℃の範囲内における質量減少率は、好ましくは2%以下、より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1%以下である。質量減少率が2%を超えると、続けて脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行っても、環化縮合反応率が充分高いレベルまで上がらず、得られるラクトン環含有重合体の物性が劣化することがある。なお、上記の環化縮合反応を行う際に、重合体(a)に加えて、他の熱可塑性樹脂を共存させてもよい。
重合工程で得られた重合体(a)の分子鎖中に存在する水酸基とエステル基とを予め環化縮合反応させて環化縮合反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う形態の場合、予め行う環化縮合反応で得られた重合体(分子鎖中に存在する水酸基とエステル基との少なくとも一部が環化縮合反応した重合体)と溶剤を、そのまま脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応に導入してもよいし、必要に応じて、前記重合体(分子鎖中に存在する水酸基とエステル基との少なくとも一部が環化縮合反応した重合体)を単離してから溶剤を再添加するなどのその他の処理を経てから脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応に導入しても構わない。
脱揮工程は、環化縮合反応と同時に終了することには限らず、環化縮合反応の終了から時間をおいて終了しても構わない。
ラクトン環含有重合体の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜2,000,000、より好ましくは5,000〜1,000,000、さらに好ましくは10,000〜500,000、特に好ましくは50,000〜500,000である。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、ポリスチレン換算により求めた値である。
ラクトン環含有重合体は、ダイナミックTG測定における150〜300℃の範囲内における質量減少率が好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.3%以下である。
ラクトン環含有重合体は、環化縮合反応率が高いので、成形後の成形品中に泡やシルバーストリークが入るという欠点が回避できる。さらに、高い環化縮合反応率によってラクトン環構造が重合体に充分に導入されるので、得られたラクトン環含有重合体が充分に高い耐熱性を有している。
ラクトン環含有重合体は、濃度15質量%のクロロホルム溶液にした場合、その着色度(YI)が、好ましくは6以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下、特に好ましくは1以下である。着色度(YI)が6を超えると、着色により透明性が損なわれ、本来目的とする用途に使用できない場合がある。
ラクトン環含有重合体は、熱質量分析(TG)における5%質量減少温度が、好ましくは330℃以上、より好ましくは350℃以上、さらに好ましくは360℃以上である。熱質量分析(TG)における5%質量減少温度は、熱安定性の指標であり、これが330℃未満であると、充分な熱安定性を発揮できないことがある。
ラクトン環含有重合体は、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは115℃以上、より好ましくは125℃以上、さらに好ましくは130℃以上、特に好ましくは140℃以上である。
ラクトン環含有重合体は、それに含まれる残存揮発分の総量が、好ましくは1,500ppm以下、より好ましくは1,000ppm以下である。残存揮発分の総量が1,500ppmを超えると、成形時の変質などによって着色したり、発泡したり、シルバーストリークなどの成形不良の原因となる。
ラクトン環含有重合体は、透明性を要求される用途では、射出成形により得られる成形品に対するASTM−D−1003に準拠した方法で測定された全光線透過率が、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。全光線透過率は、透明性の指標であり、これが85%未満であると、透明性が低下し、透明性を要求される用途に使用できないことがある。
≪熱可塑性樹脂層≫
基材に貼合される熱可塑性樹脂層は、ラクトン環含有重合体を主成分とする。熱可塑性樹脂層におけるラクトン環含有重合体の含有割合は、少なくとも50質量%、好ましくは60〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは80〜100質量%である。熱可塑性樹脂層におけるラクトン環含有重合体の含有割合が50質量%未満であると、本発明の効果を充分に発揮できないことがある。
熱可塑性樹脂層には、その他の成分として、ラクトン環含有重合体以外の重合体(以下「その他の重合体」ということがある。)を含有していてもよい。その他の重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのオレフィン系重合体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩素化ビニル樹脂などのハロゲン化ビニル系重合体;ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系重合体;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体などのスチレン系重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などのポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂などのゴム質重合体;などが挙げられる。
熱可塑性樹脂層におけるその他の重合体の含有割合は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜40質量%、さらに好ましくは0〜30質量%、特に好ましくは0〜20質量%である。
熱可塑性樹脂層には、種々の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系などの酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤などの安定剤;ガラス繊維、炭素繊維などの補強材;フェニルサリチレート、(2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモンなどの難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤などの帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;難燃剤;などが挙げられる。
熱可塑性樹脂層における添加剤の含有割合は、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜2質量%、さらに好ましくは0〜0.5質量%である。
熱可塑性樹脂層は、フィルムやシートなどの形態に成形して用いることが好ましい。熱可塑性樹脂層の成形方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ラクトン環含有重合体と、その他の重合体や添加剤などを、従来公知の混合方法で充分に混合し、予め熱可塑性樹脂組成物としてから、これをフィルムやシートなどの形態に成形することができる。あるいは、ラクトン環含有重合体と、その他の重合体や添加剤などを、それぞれ別々の溶液にしてから混合して均一な混合液とした後、フィルムやシートなどの形態に成形してもよい。
まず、熱可塑性樹脂組成物を製造するには、例えば、オムニミキサーなど、従来公知の混合機で上記原料をプレブレンドした後、得られた混合物を押出混練する。この場合、押出混練に用いる混合機は、特に限定されるものではなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機などの押出機や加圧ニーダーなど、従来公知の混合機を用いることができる。
成形方法としては、例えば、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法など、従来公知の成形方法が挙げられる。これらの成形方法のうち、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法が好ましい。
溶液キャスト法(溶液流延法)に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;シクロヘキサン、デカリンなどの脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチエルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
溶液キャスト法(溶液流延法)を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーターなどが挙げられる。
溶融押出法としては、例えば、Tダイ法、インフレーション法などが挙げられ、その際の成形温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。
Tダイ法で成形する場合は、公知の単軸押出機や二軸押出機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状やシート状に押出されたフィルムやシートを巻取って、ロール状のフィルムやシートを得ることができる。この際、巻取りロールの温度を適宜調整して、押出方向に延伸を加えることで、1軸延伸することも可能である。また、押出方向と垂直な方向にフィルムやシートを延伸することにより、同時2軸延伸、逐次2軸延伸などを行うこともできる。
熱可塑性樹脂層は、未延伸フィルムやシートまたは延伸フィルムやシートのいずれでもよい。延伸フィルムやシートである場合は、1軸延伸フィルムやシートまたは2軸延伸フィルムやシートのいずれでもよい。2軸延伸フィルムやシートである場合は、同時2軸延伸フィルムやシートまたは逐次2軸延伸フィルムやシートのいずれでもよい。2軸延伸した場合は、機械的強度が向上し、フィルムやシートの性能が向上する。熱可塑性樹脂層を構成するフィルムやシートは、その他の熱可塑性樹脂を混合することにより、延伸しても位相差の増大を抑制することができ、光学的等方性を保持することができる。
延伸温度は、原料である熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度近傍であることが好ましく、具体的には、好ましくは(ガラス転移温度−30℃)〜(ガラス転移温度+100℃)、より好ましくは(ガラス転移温度−20℃)〜(ガラス転移温度+80℃)の範囲内である。延伸温度が(ガラス転移温度−30℃)未満であると、充分な延伸倍率が得られないことがある。逆に、延伸温度が(ガラス転移温度+100℃)を超えると、樹脂組成物の流動(フロー)が起こり、安定な延伸が行えなくなることがある。
面積比で定義した延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍、より好ましくは1.3〜10倍の範囲内である。延伸倍率が1.1倍未満であると、延伸に伴う靭性の向上につながらないことがある。逆に、延伸倍率が25倍を超えると、延伸倍率を上げるだけの効果が認められないことがある。
延伸速度は、一方向で、好ましくは10〜20,000%/min、より好ましく100〜10,000%/minの範囲内である。延伸速度が10%/min未満であると、充分な延伸倍率を得るために時間がかかり、製造コストが高くなることがある。逆に、延伸速度が20,000%/minを超えると、延伸フィルムやシートの破断などが起こることがある。
なお、熱可塑性樹脂層を構成するフィルムやシートは、その光学的等方性や機械的特性を安定化させるために、延伸処理後に熱処理(アニーリング)などを行うことができる。熱処理の条件は、従来公知の延伸フィルムやシートに対して行われる熱処理の条件と同様に適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
熱可塑性樹脂層は、その厚さが好ましくは5μm〜5mmである。なお、本発明では、厚さが5〜200μmである熱可塑性樹脂層をフィルム、厚さが200μmを超えて、5mm以下である熱可塑性樹脂層をシートとして区別する。熱可塑性樹脂層がフィルムである場合、その厚さは、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜100μmである。熱可塑性樹脂層がシートである場合、その厚さは、好ましくは200μmを超えて、5mm以下、より好ましくは500μm〜2mmである。
熱可塑性樹脂層は、その表面の濡れ張力が、好ましくは40mN/m以上、より好ましくは50mN/m以上、さらに好ましくは55mN/m以上である。表面の濡れ張力が少なくとも40mN/m以上であると、熱可塑性樹脂層と易接着層との密着性がさらに向上する。表面の濡れ張力を調整するために、例えば、コロナ放電処理、オゾン吹き付け、紫外線照射、火炎処理、化学薬品処理、その他の従来公知の表面処理を施すことができる。
≪コーティング層≫
熱可塑性樹脂層に易接着層を介して積層されるコーティング層としては、粘着剤層、接着剤層、帯電防止層、防眩(ノングレア)層、光触媒層などの防汚層、反射防止層、ハードコート層、紫外線遮断層、熱線遮蔽層、電磁波遮蔽層、ガスバリヤー層などの種々の機能性コーティング層、その他、インキや塗料などが挙げられる。これらのコーティング層は、単層であっても複層であってもよい。なお、各層の積層順序や積層方法は、特に限定されるものではない。
≪基材≫
接着剤で熱可塑性樹脂層が貼合される基材としては、接着剤層との間で高い接着性が得られる限り、特に限定されるものではないが、例えば、スチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂およびポリアミド系樹脂などの熱可塑性樹脂;フェノール系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂などの熱硬化性樹脂;スズメッキ鋼板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛−アルミニウム合金メッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、アルミニウム板、ステンレス鋼板、冷延鋼板、チタン板、銅板、真鍮板、燐青銅板などの金属;ヒノキ、カエデ、マツ、スギ、ヒバ、スプルスなどの針葉樹、ブナ、ナラ、セン、シナ、ホオ、カツラなどの広葉樹、その他、合板、ラワン、集成材などの木材;上質紙、コート紙、アート紙、再生紙などの紙;ソーダガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどのガラス;アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、これらの複合体などのセラミックス;などが挙げられる。これらの基材は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
基材の寸法や厚さは、得られた積層体の用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
また、各々単独のコーティング層が単層または複層塗工された基材を、粘着剤や接着剤を介して、積層させた積層体であってもよい。なお、各層の積層順序や積層方法は、特に限定されるものではない。
≪プライマー≫
本発明のプライマーは、熱可塑性樹脂層にコーティング層を形成するにあたり、また、熱可塑性樹脂層に基材を接着剤または粘着剤で貼合するにあたり、熱可塑性樹脂層のコーティング層や基材と対向する面に易接着層を設けるために使用され、熱可塑性樹脂層とコーティング層との密着性または熱可塑性樹脂層と基材との接着強度や密着性を向上させている。
熱可塑性樹脂層のコーティング層や基材と対向する面に設ける易接着層は、熱可塑性樹脂層のコーティング層や基材と対向する面に、ポリウレタン樹脂組成物(ポリウレタン樹脂および/または反応後にポリウレタン樹脂を与える前駆体を含有する組成物)および/またはアミノ基含有ポリマーを含有する樹脂組成物(以下、いずれも「プライマー」ということがある。)を塗布した後、乾燥・硬化または乾燥させることにより形成される。それゆえ、得られた易接着層は、ポリウレタン樹脂および/またはアミノ基含有ポリマーを含有することになる。
易接着層の厚さは、乾燥・硬化または乾燥後の厚さで、例えば、好ましくは0.01〜20μm、より好ましくは0.05〜5μm、さらに好ましくは0.1〜3μmである。易接着層の厚さが0.01μm未満であると、熱可塑性樹脂層とコーティング層との密着性または熱可塑性樹脂層と基材との接着強度や密着性が不充分になることがある。逆に、易接着層の厚さが20μmを超えると、透明性や光学特性が悪くなることがある。
熱可塑性樹脂層のコーティング層や基材と対向する面にプライマーを塗布する方法は、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーターなどを用いた通常のコーティング技術を採用すればよく、特に限定されるものではない。また、塗布したプライマーを乾燥させる方法や条件は、特に限定されるものではないが、例えば、熱風乾燥機や赤外線乾燥機を用いて、好ましくは50〜130℃、より好ましくは75〜110℃の温度で、乾燥させればよい。また、プライマーのウレタン結合生成反応および/または硬化に関して、養生工程を設けても何ら問題ない。養生工程が必要な場合、養生温度は、例えば、好ましくは20〜100℃、より好ましくは20〜50℃であるが、前記プライマーの乾燥に使用した熱である程度は進行し、例えば、接着剤を用いた熱可塑性樹脂層と基材との接着工程でさらに進行するので、常温養生でも充分な物性が得られる。
なお、表面の濡れ張力を調整するために、易接着層を設けた熱可塑性樹脂層の前記易接着層の表面には、後の接着工程の前に、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン吹き付け、紫外線照射、火炎処理、化学薬品処理、その他の従来公知の表面処理を施すことができる。
<ポリウレタン樹脂>
プライマーに使用する「ポリウレタン樹脂」とは、ポリイソシアネート成分と、ポリオール、ポリアミン、水などの活性水素成分との反応により得られる樹脂を意味し、塗布前に予め前記反応が終了しているものを用いてもよく、また、塗布中および/または塗布後に反応してポリウレタン樹脂になるものを用いてもよい。ポリウレタン樹脂としては、塗料、接着剤、コーティング用途などに用いられている従来公知のポリウレタン樹脂を用いることができ、例えば、ポリオールとイソシアネート系硬化剤とを含有する2液型ポリウレタン樹脂、1液型ポリウレタン樹脂、1液型湿気硬化型ポリウレタン樹脂などが挙げられる。これらのポリウレタン樹脂は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上に例示したポリウレタン樹脂組成物の使用形態は、溶剤系、水系(水分散型、水溶解型)のいずれでもよいが、溶剤系であることが好ましい。各ポリウレタン樹脂組成物は、最終的に、溶剤または水で不揮発分を所定の濃度に調整して、易接着層コーティング組成物とされる。不揮発分の濃度としては、例えば、組成物全体に対して、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。使用可能な溶剤としては、各組成物を構成する成分を溶解する限り、特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
なお、ポリウレタン樹脂組成物が水系の場合であっても、水に加えて、n−ブチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;アセトンなどのケトン類;などを配合することができる。
また、ポリウレタン樹脂組成物には、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤;テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂などの粘着性付与剤;レベリング剤;紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤などの安定剤;消泡剤;可塑剤;無機充填剤;などの従来公知の添加剤を配合することもできる。
<2液型ポリウレタン樹脂組成物>
2液型ポリレウタン樹脂組成物は、溶剤中に、前駆体として、ポリオールとイソシアネート系硬化剤とを含有し、熱可塑性樹脂層のコーティング層や基材と対向する面に塗布した後、乾燥・硬化させることにより、ポリウレタン樹脂を含有する易接着層を形成する。なお、硬化は、熱によってポリオールとイソシアネート系硬化剤とが反応してポリウレタン樹脂を形成することにより行われる。ここで、ポリオールとしては、例えば、ポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール、ひまし油、ポリブタジエンポリオール、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのポリオールは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリアクリルポリオールは、主成分である(メタ)アクリル酸エステルに、水酸基を有する共重合可能な単量体を共重合することにより製造することができる。水酸基を有する共重合可能な単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシペンチルなどの(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;グリセリン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールの(メタ)アクリル酸モノエステル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド;などが挙げられる。これらの水酸基を有する共重合可能な単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。また、上記単量体成分は、必要に応じて、その他の不飽和単量体を含有していてもよい。その他の不飽和単量体としては、共重合可能なものである限り、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸ならびにその無水物およびモノまたはジエステル類;(メタ)アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン化α,β−不飽和脂肪族単量体;スチレン、α−メチルスチレンなどのα,β−不飽和芳香族単量体;などが挙げられる。これらの不飽和単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリエステルポリオールは、多塩基酸成分とポリオール成分とを、前記多塩基酸成分のカルボキシル基に対して前記ポリオール成分の水酸基が過剰になるように反応させることにより製造することができる。好ましくは、二塩基酸成分とジオール成分とからなる直鎖状ポリエステルポリオールが用いられる。その他に、ポリエステルポリオールとして、例えば、ポリβ−メチル−δ−バレロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。
二塩基酸成分としては、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸;これらのジカルボン酸の酸無水物、低級アルコールエステル;などが挙げられる。
ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールFなどが挙げられる。
二塩基酸成分とジオール成分とからポリエステルポリオールを製造する方法としては、二塩基酸成分のカルボキシル基に対してジオール成分の水酸基が過剰になるように反応させること以外は、一般的なポリエステルの製法を採用することができる。触媒としては、一般的なエステル化触媒を使用できるが、例えば、ジブチルスズオキシド、酢酸亜鉛、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモンなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールは、多価アルコールにアルキレンオキシドを開環重合して付加させることにより製造することができる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。これらの多価アルコールは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらのアルキレンオキシドは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリウレタンポリオールは、ポリオールとポリイソシアネート化合物を、前記ポリオールの水酸基が前記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に対して過剰になるように反応させたものであり、末端には水酸基を有する。ポリウレタンポリオールとしては、ポリオールとしてポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなど(以下「高分子ポリオール」ということがある。)を用いて得られる、ポリアクリル系ポリウレタンポリオール、ポリエステル系ポリウレタンポリオール、ポリエーテル系ポリウレタンポリオールなどが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、テトラメチルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2−クロロ−1,4−フェニルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルスルホキシドジイソシアネート、4,4’−ジフェニルスルホンジイソシアネート、4,4’−ビフェニルジイソシアネートおよびこれらの誘導体などが挙げられる。
高分子ポリオールとポリイソシアネート化合物とからポリウレタンポリオールを製造する方法としては、高分子ポリオールの水酸基がポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に対して過剰になるように反応させること以外は、一般的なポリウレタンの製法を採用することができる。
ポリウレタンポリオールは、鎖延長剤や重合停止剤を構成成分として含有することもできる。鎖延長剤としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミンなどのジアミン類;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチロールプロピオン酸などのジオール類;などが挙げられる。重合停止剤としては、例えば、ジ−n−ブチルアミン、モノ−n−ブチルアミンなどのアルキルモノアミン類が挙げられる。
2液型ポリウレタン樹脂組成物において、高分子ポリオールの数平均分子量は、好ましくは300〜100,000、より好ましくは1,000〜30,000である。ポリウレタンポリオールの数平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは5,000〜50,000である。なお、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、ポリスチレン換算により求めた値である。
2液型ポリウレタン組成物において、高分子ポリオールの水酸基価は、好ましくは10mgKOH/g・固形物、さらに好ましくは50mgKOH/g・固形物である。ポリウレタンポリオールの水酸基価は、好ましくは5mgKOH/g・固形物、さらに好ましくは10mgKOH/g・固形物である。
イソシアネート系硬化剤としては、例えば、上記のポリイソシアネート化合物を使用することができる。さらには、これらのポリイソシアネート化合物から誘導された変性体、例えば、2量体、3量体(イソシアヌレート)、ポリメリックMDI、トリメチロールプロパンとの付加体、ビウレット、アロファネート、ウレア変性体などが挙げられる。イソシアネート系硬化剤は、末端イソシアネート基をオキシムやラクタムで保護したものであってもよい。この場合、加熱することにより、イソシアネート基から保護基が脱離し、イソシアネート基が反応するようになる。
2液型ポリウレタン樹脂組成物において、イソシアネート系硬化剤の配合量は、例えば、固形分として、ポリオール100質量部に対して、好ましくは3〜300質量部、より好ましくは5〜200質量部、さらに好ましくは10〜100質量部である。
2液型ポリウレタン樹脂組成物は、鎖延長剤を構成成分として含有することができる。鎖延長剤としては、例えば、ポリウレタンポリオールについて説明する際に列挙した上記のようなジアミン類およびジオール類に加えて、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの3官能以上のポリオール類などが挙げられる。また、ポリオールおよび/または前記鎖延長剤のポリオールとイソシアネート末端ウレタンプレポリマー(以下「NCO末端プレポリマー」ということがある。)とからなる2液ポリウレタン樹脂組成物を構成することもできる。
2液型ポリウレタン樹脂組成物には、イソシアネート系硬化剤の反応性を向上するために、反応触媒を配合してもよい。反応触媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、オクテン酸スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズチオカルボキシレート、ジブチルスズジマレエート、ジオクチルスズチオカルボキシレートなどのスズ系触媒;トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、キヌクリジン、N−メチルモルホリン、ジモルホリノジエチルエーテル、ジメチルアミノエタノールなどのアミン系触媒;などが挙げられる。これらの反応触媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。反応触媒の配合量は、例えば、イソシアネート系硬化剤100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
<1液型ポリウレタン樹脂組成物>
1液型ポリウレタン樹脂組成物は、溶剤中にポリウレタン樹脂を含有し、熱可塑性樹脂のコーティング層や基材と対向する面に塗布した後、乾燥させることにより、ポリウレタン樹脂を含有する易接着層を形成する。この1液型ポリウレタン樹脂組成物は、いわゆる、反応を特に必要としないラッカー型である。ここで、ポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリアクリル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂などが挙げられる。これらのウレタン樹脂は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらのポリウレタン樹脂は、ポリアクリルポリオール、ポリエスエルポリオールまたはポリエーテルポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させることにより製造することができる。これらのポリウレタン樹脂は、ポリアクリルポリオール、ポリエスエルポリオールまたはポリエーテルポリオールを含むポリオールの水酸基とポリイソシアネート化合物のイソシアネート基とが大体当量か、あるいは水酸基が若干過剰になるように反応させることにより製造することができる。しかし、高分子量体を得るためには、できる限り当量付近で反応させることが好ましい。ここで、ポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールは、例えば、2液型ポリウレタン樹脂組成物の場合に説明したようにして得られる。ポリイソシアネート化合物は、例えば、2液型ポリウレタン樹脂組成物の場合に列挙した上記のようなポリイソシアネート化合物およびイソシアネート系硬化剤が挙げられる。また、触媒や鎖延長剤などについても、例えば、2液型ポリウレタン樹脂組成物の場合に列挙した上記のような触媒や鎖延長剤などが挙げられる。
1液型ポリウレタン樹脂組成物において、ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、好ましくは10,000〜100,000、より好ましくは20,000〜50,000である。なお、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、ポリスチレン換算により求めた値である。
<1液型湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物>
1液型湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物は、溶剤中に、前駆体として、NCO末端ウレタンプレポリマーを含有し、熱可塑性樹脂のコーティング層や基材と対向する面に塗布した後、乾燥・硬化させることにより、ポリウレタン樹脂を含有する易接着層を形成する。なお、硬化は、大気中の湿気や保護フィルム中の水分とNCO末端ウレタンプレポリマーが反応して、ウレアおよび/またはビウレットを形成し、ポリウレタンウレアおよび/またはポリウレタンビウレットを形成することにより行われる。
NCO末端ウレタンプレポリマーは、ポリオールにポリイソシアネート化合物を反応させることにより製造することができる。このNCO末端ウレタンプレポリマーは、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基がポリオールの水酸基に対して過剰になるように反応させたものであり、末端にはイソシアネート基を有する。
ポリオールとしては、2液型ポリウレタン樹脂組成物の場合に説明した鎖延長剤に用いられる低分子ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリルポリオール、ひまし油、ポリブタジエンポリオールなどが挙げられる。特に、数平均分子量が好ましくは500〜10,000、より好ましくは1,000〜5,000であるポリオールが主成分であることが好ましく、具体的には、ポリプロピレングリコール、ひまし油などが好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2液型ポリウレタン組成物の場合に列挙した上記のようなポリイソシアネート化合物およびイソシアネート系硬化剤が挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物やイソシアネート系硬化剤のうち、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDIなどが特に好適である。また、ポリオールとイソシアネート化合物との反応を促進させるための触媒についても、例えば、2液型ポリウレタン組成物の場合に列挙した上記のような触媒が挙げられる。
1液型湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物において、NCO末端ウレタンプレポリマーの数平均分子量は、好ましくは500〜10,000、より好ましくは1,000〜5,000である。なお、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、ポリスチレン換算により求めた値である。
なお、ポリウレタン樹脂を含有するプライマーは、易接着層を形成した後でも水酸基またはイソシアネート基を反応基として有するため強固な接着性を示す;高い耐水性や耐薬品性を有する;などの点で優れている。
<アミノ基含有ポリマー>
プライマーに使用するアミノ基含有ポリマーとしては、分子内にアミノ基を有するポリマーを特に制限なく使用することができる。例えば、ポリアルキレンイミン(末端に1級アミノ基かつ主鎖中に2級アミノ基および/または3級アミノ基を有するポリマー)それ自体や、側鎖などにポリアルキレンイミンを有するものであってもよい。特に、側鎖に1級アミノ基および/または2級アミノ基を有するポリマーが好ましく、1級アミノ基および/または2級アミノ基としては、下記式(4):
Figure 2007126580
[式中、R、R、R、R10およびR11は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基もしくはアリール基、または、シアノ、ハロ、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシもしくはカルボアルコキシ置換のアルキル基、アラルキル基もしくはアリール基を表し、aは0または1であり、nは1以上の整数である]
で示される基であることが好ましい。
側鎖に1級アミノ基および/または2級アミノ基を有するポリマーを製造する方法としては、例えば、(1)カルボキシル基を有するポリマーのカルボキシル基の全部または一部を1級アミノ基および/または2級アミノ基に変性することにより製造する方法;(2)(メタ)アクリル酸グリシジルなどのグリシジル基を有する不飽和単量体を含む単量体成分を重合してなるポリマーのグリシジル基をアンモニアやアミン化合物で1級アミノ基および/または2級アミノ基に変性することにより製造する方法;(3)(メタ)アクリル酸グリシジルなどのグリシジル基を有する不飽和単量体をアンモニアやアミン化合物で変性したものや、アリルアミンおよび(メタ)アクリル酸アミノエチルなどの1級アミノ基および/または2級アミノ基を有する単量体を含む単量体成分を重合することにより製造する方法;などが挙げられる。これらの方法のうち、上記(1)の方法が特に好適である。
上記(1)の具体的な方法としては、例えば、カルボキシル基を有するポリマーを、アルキレンイミンや、ポリオキシアルキレンポリアミンなどのポリアミンで変性する方法が挙げられる。ここで、カルボキシル基を有するポリマーとしては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。これらのアミノ基含有ポリマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのアミノ基含有ポリマーのうち、アルキレンイミンで変性したアクリル系樹脂が特に好適である。
カルボキシル基を有するポリマーは、少なくとも1種の不飽和カルボン酸を含む単量体成分を重合することにより製造することができる。不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、ケイ皮酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およびそのモノエステル類が挙げられる。これらの不飽和カルボン酸は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、上記単量体成分中における不飽和カルボン酸の使用量は、例えば、全単量体成分に対して、好ましくは2〜30質量%、より好ましくは5〜15質量%である。
上記単量体成分は、不飽和カルボン酸の他に、必要に応じて、その他の不飽和単量体を含んでいてもよい。その他の不飽和単量体としては、不飽和カルボン酸と共重合可能で、かつカルボキシル基と反応しない不飽和単量体であれば、特に限定されることはないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどのハロゲン化α,β−不飽和脂肪族単量体類;スチレン、α−メチルスチレンなどのα,β−不飽和芳香族単量体類;などが挙げられる。これらの不飽和単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
カルボキシル基を有するポリマーは、単量体成分を重合することにより製造されるが、その重合方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの従来公知の重合方法を適用することができる。重合における重合温度や重合時間などの重合条件は、適用する重合方法などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。この際、必要に応じて、メルカプタン化合物などの連鎖移動剤を用いて、重合度の制御を行ってもよい。
カルボキシル基を有するポリマーの重量平均分子量は、好ましくは10,000〜200,000、より好ましくは30,000〜150,000である。
カルボキシル基を有するポリマーのカルボキシル基を1級アミノ基および/または2級アミノ基に変性する方法としては、上記したように、アルキレンイミンを用いる方法、ポリオキシアルキレンポリアミンなどのポリアミンを用いる方法などが挙げられるが、本発明では、アルキレンイミンを用いて変性する方法が好適に適用される。
カルボキシル基を有するポリマーにおいて、前記カルボキシル基をアミノ基に変性する際に用いられるアルキレンイミンは、例えば、下記式(5):
Figure 2007126580
[式中、R12、R13、R14、R15およびR16は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基もしくはアリール基、または、シアノ、ハロ、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシもしくはカルボアルコキシ置換のアルキル基、アラルキル基もしくはアリール基を表す]
で示される化合物であり、具体的には、例えば、エチレンイミン、1,2−プロピレンイミン、1,2−ドデシレンイミン、1,1−ジメチルエチレンイミン、フェニルエチレンイミン、ベンジルエチレンイミン、ヒドロキシエチルエチレンイミン、アミノエチルエチレンイミン、2−メチルプロピレンイミン、3−クロロプロピルエチレンイミン、メトキシエチルエチレンイミン、ドデシルアジリジニルフォルメイト、N−エチルエチレンイミン、N−(2−アミノエチル)エチレンイミン、N−(フェネチル)エチレンイミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンイミン、N−(シアノエチル)エチレンイミン、N−フェニルエチレンイミン、N−(p−クロロフェニル)エチレンイミンなどが挙げられる。これらのアルキレンイミンは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのアルキレンイミンのうち、エチレンイミンおよび1,2−プロピレンイミンが特に好適である。
上記アルキレンイミンを用いてカルボキシル基を変性すると、−COO−基に、上記式(4)で示される1級アミノ基および/または2級アミノ基が結合した基、すなわち下記式(6):
Figure 2007126580
[式中、R、R、R、R10、R11およびnは、上記式(4)と同様であり、aは1である]
で示される基が生成する。ここで、理論的には、nは1以上の整数であるが、カルボキシル基とアルキレンイミンとの反応においては、反応時のカルボキシル基とアルキレンイミンとの比率に関わらず、1つのカルボキシル基にアルキレンイミンが1分子反応したものと、2分子以上反応したものとを含む分布がある生成物となる。従って、平均すると、nは1を超えることになる。
カルボキシル基を有するポリマーにおいて、アルキレンイミンによって変性されるカルボキシル基の量としては、例えば、単量体成分中に2〜30質量%の割合で含まれる不飽和カルボン酸のうち、好ましくは1〜100質量%、より好ましくは10〜100質量%である。
カルボキシル基を有するポリマーをアルキレンイミンで変性する方法や条件などは、従来公知の方法や条件を適宜選択して採用すればよく、特に限定されるものではない。
かくして、得られたアミノ基含有ポリマーは、最終的に、溶剤および/または水で不揮発分を所定の濃度に調整して、プライマーとされる。なお、プライマーの使用形態は、溶剤系、水系(水分散型、水溶解型)のいずれでもよいが、溶剤系であることが好ましい。不揮発分の濃度としては、例えば、プライマー全体に対して、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。使用可能な溶剤としては、各組成物を構成する成分を溶解する限り、特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルキトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
なお、アミノ基含有ポリマーを含有するプライマーには、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤;レベリング剤;紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤などの安定剤;消泡剤;可塑剤;無機充填剤;などの従来公知の添加剤を配合することもできる。
アミノ基含有ポリマーを含有するプライマーは、前記アミノ基含有ポリマーが有する1級および/または2級アミノ基が各種基材に対して良好な密着性を有するので、熱可塑性樹脂層およびコーティング層と良好な密着性を有する。
≪接着剤≫
本発明の積層体においては、熱可塑性樹脂層の基材と対向する面に、ポリウレタン樹脂および/またはアミノ基含有ポリマーを含有する易接着層が形成されているので、熱可塑性樹脂層に基材を積層するにあたり、特別な接着剤を用いる必要はない。それゆえ、従来公知の積層体に使用されている接着剤を用いればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、酢酸ビニル系接着剤、PVA系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリウレタン系接着剤、イソシアネート系接着剤、エポキシ系接着剤、メラミン系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、スチレンゴム系接着剤、シリコーンゴム系接着剤などの合成ゴム系接着剤などが挙げられる。これらの接着剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの接着剤のうち、ポリウレタン系接着剤、イソシアネート系接着剤、アクリル系接着剤が好適であり、ポリウレタン系接着剤が特に好適である。なお、接着剤の形態は、特に限定されるものではないが、例えば、溶剤系、水系(水分散型、水溶解型)、無溶剤系などの各種形態の接着剤を使用することができる。
ポリウレタン系接着剤は、一般的には、2液型接着剤と1液型接着剤とに分類される。2液型接着剤としては、例えば、ポリオールとイソシアネート系硬化剤とを反応させ、ウレタン結合を生成して硬化させる接着剤などが挙げられる。他方、1液型接着剤としては、例えば、ラッカー型1液型ポリウレタン系接着剤、1液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤などが挙げられる。
これらのポリウレタン系接着剤の具体例としては、例えば、易接着層を形成するためのポリウレタン樹脂組成物(例えば、2液型ポリウレタン樹脂組成物、1液型ポリウレタン樹脂組成物、1液型湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物)を説明した際に列挙した上記のようなポリウレタン樹脂組成物が挙げられる。また、ポリウレタン系接着剤は、耐水性、耐熱性、耐湿熱性などの物性を向上させるために、上記で説明したポリウレタン系接着剤に、さらに易接着層を形成するためのポリウレタン樹脂組成物について説明した際に列挙した上記のようなイソシアネート系硬化剤や、エポキシ系硬化剤などの硬化剤を添加したものであってもよい。
≪粘着剤≫
本発明の積層体においては、熱可塑性樹脂層の基材と対向する面に、ポリウレタン樹脂および/またはアミノ基含有ポリマーを含有する易接着層が形成されているので、熱可塑性樹脂層に基材を積層するにあたり、特別な粘着剤を用いる必要はない。それゆえ、従来公知の積層体に使用されている粘着剤を用いればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。これらの粘着剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの粘着剤のうち、無色透明であり、光学特性、耐候性、透明性に優れることなどから、アクリル系粘着剤が特に好適である。なお、粘着剤の形態は、特に限定されるものではないが、例えば、溶剤系、水系(水分散型、水溶解型)、無溶剤系などの各種形態の粘着剤を使用することができる。
本発明に使用されるアクリル系粘着剤は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、極性基を有する不飽和単量体および多官能性不飽和単量体などを必要に応じて共重合させることにより得られる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、好ましくは、アルキル基の炭素数が1〜12であり、具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
極性基を有する不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸カルボキシエチルなどのカルボキシル基含有不飽和単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどの水酸基含有不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アセトニトリル、ビニルピロリドン、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの窒素含有不飽和単量体;などが挙げられる。これらの極性基を有する不飽和単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また。これらの極性基を有する不飽和単量体に、粘着剤の性能を損なわない範囲で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系不飽和単量体、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族不飽和単量体、(メタ)アクリル酸イソボニルなどのビニル系単量体が混合されていてもよい。
多官能性不飽和単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性不飽和単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの多官能性不飽和単量体は、光塊状重合によって粘着剤を得る際の内部架橋剤として特に好適である。
重合方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合などの従来公知の重合方法を適用することができる。重合における反応温度や反応時間などの重合条件は、適用する重合方法などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。なお、重合に際して、メルカプラン化合物などの連鎖移動剤を用いて、重合度の制御を行ってもよい。
アクリル系粘着剤の重量平均分子量は、好ましくは200,000〜1,500,000、より好ましくは400,000〜1,000,000である。
アクリル系粘着剤には、凝集力を向上させるために、所望により、多価金属塩、金属キレート、多官能イソシアネート化合物、多官能アジリジン化合物、多官能オキサゾリン化合物、多官能エポキシ化合物などの硬化剤を添加することができる。これらの硬化剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。硬化剤の添加量は、アクリル系粘着剤100質量部に対して、0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部である。
さらに、粘着剤には、必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤、充填剤(例えば、ガラス繊維、ガラズビーズ、金属粉、その他の無機粉末)、顔料、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤などを添加することができ、また、本発明の目的を逸脱しない範囲で、各種の添加剤を適宜使用することもできる。
≪積層体≫
本発明の積層体は、図1に示すように、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層11を有する積層体10であって、前記熱可塑性樹脂層11の少なくとも片面に、本発明のラクトン環含有重合体用プライマーを含有する易接着層12が形成されていることを特徴とする。本発明のさらなる積層体20は、図2に示すように、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層21の少なくとも片面に、ポリウレタン樹脂および/またはアミノ基含有ポリマーを含有する易接着層22を介して、コーティング層23が積層されているか、あるいは、本発明のさらなる積層体30は、図3に示すように、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層31の少なくとも片面に、ポリウレタン樹脂および/またはアミノ基含有ポリマーを含有する易接着層32を介して、基材34が接着剤層または粘着剤層33に貼合されていることを特徴とする。積層体の構造は、少なくとも2層または3層であり、あるいはそれ以上の多層であってもよい。いずれにしても、熱可塑性樹脂層の片面に易接着層が形成されているか、あるいは熱可塑性樹脂層の両面に易接着層が形成されている。積層体の寸法や厚さは、その用途に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではない。なお、以下では、易接着層が形成された熱可塑性樹脂層を単に「熱可塑性樹脂層」ということがある。
本発明の積層体は、まず、熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に、ポリウレタン樹脂もしくはその前駆体および/またはアミノ基含有ポリマーを含有するプライマーを塗布した後、乾燥・硬化または乾燥させて易接着層を形成することにより製造される。本発明のさらなる積層体は、上記のように得られた積層体の易接着層の表面に、コーティング剤を塗布してコーティング層を形成するか、あるいは、基材を接着剤または粘着剤で貼合することにより製造される。
熱可塑性樹脂層と基材とを接着剤または粘着剤で貼合する方法は、基材の種類に応じて適宜選択して用いればよく、特に限定されるものではないが、例えば、ドライラミネーション、ウェットラミネーション、押出ラミネーションなどが挙げられる。2層の場合を例に説明すると、ドライラミネーションの場合には、少なくとも一方または両方の面に予め接着剤または粘着剤を塗布しておき、接着剤または粘着剤を乾燥させてから、他方を接着剤層または粘着剤層に、あるいは、互いの接着剤層または粘着剤層を重ね合わせて、ローラーなどで圧着し、必要であれば熱可塑性樹脂層および基材に悪影響を及ぼさない温度で熱圧着する方法などが採用できる。また、ウェットラミネーションの場合には、少なくとも一方または両方の面に予め接着剤または粘着剤を塗布するか、あるいは滴下しておき、接着剤または粘着剤が乾燥しないうちに、他方を接着剤層または粘着剤層に、あるいは、互いの接着剤層または粘着剤層を重ね合わせて、ローラーなどで余分な接着剤または粘着剤を押し出しながら圧着し、乾燥させて貼合する方法などが採用できる。これらの接着方法のうち、ドライラミネーションが特に好適である。
易接着剤層にコーティング剤を塗布する方法、易接着層および/または基材に接着剤または粘着剤を塗布する方法、必要に応じてコーティング剤、接着剤または粘着剤を乾燥させる方法、離型紙などに粘着剤層を形成してなる粘着フィルムまたはシートを転写して粘着剤層を設ける方法などは、従来公知の方法を用いればよく、特に限定されるものではない。また、各種ラミネーションにおける加熱温度、圧着圧力や乾燥条件などは、基材の種類や積層数などに応じて、適宜調節すればよく、特に限定されるものではない。
≪積層体の用途≫
本発明の積層体は、ラクトン環含有重合体が透明性や耐熱性に優れるだけでなく、表面光沢や機械的強度などの所望の特性を有することから、基材として、特に、スチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用すれば、得られた積層体は、透明光学レンズ、光学素子、OA機器や自動車などの透明部品、光学フィルム材料や光学積層体材料などの各種用途に応用できる。なかでも、基材として、透明性や機械的強度に優れる熱可塑性樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂などのフィルムやシートを使用すれば、得られた積層体は、例えば、光学材料に好適である。あるいは、基材として、熱硬化性樹脂、金属、木材、紙、ガラス、セラミックスなどを使用すれば、得られた積層体は、カーポート、看板・ディスプレイ、弱電・工業部品、自動車を中心とする車輌部品や車輌内装材、防音壁、建材・店装、コーティング材料、脱塗装用保護フィルム、脱塗装用熱成形用シート、照明器具、家具、ドア材などに好適である。
以下、実験例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実験例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、以下では、便宜上、「質量部」を「部」、「質量%」を「wt%」と表すことがある。
まず、ラクトン環含有重合体、熱可塑性樹脂層、積層体の評価方法について説明する。
<重合反応率、重合体組成分析>
重合反応時の反応率および重合体中の特定単量体単位の含有率は、得られた重合反応混合物中の未反応単量体の量をガスクロマトグラフ(GC17A、(株)島津製作所製)を用いて測定して求めた。
<ダイナミックTG>
重合体(または重合体溶液もしくはペレット)をいったんテトラヒドロフランに溶解または希釈し、過剰のヘキサンまたはメタノールに投入して再沈殿を行い、取り出した沈殿物を真空乾燥(1mmHg(1.33hPa)、80℃、3時間以上)することによって揮発成分などを除去し、得られた白色固形状の樹脂を以下の方法(ダイナミックTG法)で分析した。
測定装置:差動型示差熱天秤(Thermo Plus 2 TG−8120 ダイナミックTG、(株)リガク製)
測定条件:試料量5〜10mg
昇温速度:10℃/min
雰囲気:窒素フロー200mL/min
方法:階段状等温制御法(60℃から500℃までの範囲内における質量減少速度値0.005%/s以下に制御)
<ラクトン環構造の含有割合>
まず、得られた重合体組成からすべての水酸基がメタノールとして脱アルコールした際に起こる質量減少量を基準にし、ダイナミックTG測定において質量減少が始まる前の150℃から重合体の分解が始まる前の300℃までの脱アルコール反応による質量減少から、脱アルコール反応率を求めた。
すなわち、ラクトン環構造を有する重合体のダイナミックTG測定において150℃から300℃までの間の質量減少率の測定を行い、得られた実測値を実測質量減少率(X)とする。他方、当該重合体の組成から、その重合体組成に含まれるすべての水酸基がラクトン環の形成に関与するためにアルコールになり脱アルコールすると仮定した時の質量減少率(すなわち、その組成上において100%脱アルコール反応が起きたと仮定して算出した質量減少率)を理論質量減少率(Y)とする。なお、理論質量減少率(Y)は、より具体的には、重合体中の脱アルコール反応に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体のモル比、すなわち当該重合体組成における原料単量体の含有率から算出することができる。これらの値を脱アルコール計算式:
1−(実測質量減少率(X)/理論質量減少率(Y))
に代入してその値を求め、百分率(%)で表記すると、脱アルコール反応率が得られる。そして、この脱アルコール反応率の分だけ所定のラクトン環化が行われたものとして、ラクトン環化に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体の当該重合体組成における含有量(質量比)に、脱アルコール反応率を乗じることで、当該重合体中におけるラクトン環構造の含有割合を算出することができる。
一例として、後述の熱可塑性樹脂層の製造例で得られたペレットにおけるラクトン環構造の含有割合を計算する。この重合体の理論質量減少率(Y)を求めてみると、メタノールの分子量は32であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの分子量は116であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの重合体中の含有率(質量比)は組成上20.0質量%であるから、(32/116)×20.0≒5.52質量%となる。他方、ダイナミックTG測定による実測質量減少率(X)は0.17質量%であった。これらの値を上記の脱アルコール計算式に当てはめると、1−(0.17/5.52)≒0.969となるので、脱アルコール反応率は、96.9%である。そして、重合体では、この脱アルコール反応率の分だけ所定のラクトン環化が行われたものとして、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの当該重合体中における含有率(20.0質量%)に、脱アルコール反応率(96.9%=0.969)を乗じると、当該重合体中におけるラクトン環構造の含有割合は、19.4(20.0×0.969)質量%となる。
<重量平均分子量および数平均分子量>
重合体の重量平均分子量や数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPCシステム、東ソー(株)製)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。なお、溶剤はテトラヒドロフランを用いた。
<メルトフローレート>
メルトフローレートは、JIS−K6874に準拠して、試験温度240℃、荷重10kgで測定した。
<重合体の熱分析>
重合体の熱分析は、示差走査熱量計(DSC−8230、(株)リガク製)を用いて、試料約10mg、昇温速度10℃/min、窒素フロー50mL/minの条件で行った。なお、ガラス転移温度(Tg)は、ASTM−D−3418に準拠して、中点法で求めた。
<光学特性>
全光線透過率は、射出成形により得られる成形品に対するASTM−D1003に準拠して、濁度計(NDH−1001DP、日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
<粘着剤層の密着性>
得られた粘着フィルムを、幅20mmに切断し、粘着フィルムの粘着層が下になるようにしてステンレス板(SUS304)の上に重ね、その上から2kgのローラーで一往復させることにより、粘着フィルムをステンレス板に圧着させた後、40℃、65%RHの雰囲気下で3日間放置した。その後、23℃、65%RHの雰囲気下で1時間放置し、その雰囲気下で、引張試験機(製品名:QC引張試験機、テスター産業(株)製)を用いて、粘着フィルムの一端(長さ方向の一端)を180°方向に、300mm/minの速度で引っ張り、ステンレス板から粘着フィルムを剥離させた時の状態を目視で観察し、下記の基準で評価した。
(評価基準)
○:ステンレス板に粘着剤が残存することなく剥離できた。
×:ステンレス板に粘着剤が全面または部分的に残存していた。
<積層体の剥離強度>
ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下「PETフィルム」ということがある。)との積層体の各試料を、試料作製後、23℃、65%RHの雰囲気下で、24時間放置した後、幅25mmに切断し、フィルムAの面をステンレス板に市販の両面テープで裏打ちして、引張試験機(製品名:QC引張試験機、テスター産業(株)製)を用いて、PETフィルムの一端(長さ方向の一端)を180°方向に、300mm/minの速度で引っ張り、粘着剤層とPETフィルムとの間で剥離させた時の剥離強度を測定した。なお、剥離強度は、N/cmで表示する。
<積層体の接着強度>
ポリカーボネートフィルム(以下「PC」フィルムということがある。)との積層体の各試料を、23℃、65%RHの雰囲気下で、24時間放置した後、幅25mmに切断し、引張試験機(製品名:QC引張試験機、テスター産業(株)製)を用いて、300mm/minの引張速度でT形剥離試験を行い、引張強度を測定することにより、接着強度を評価した。なお、接着強度は、N/cmで表示する。
<ハードコート層の密着性>
ハードコート層を有する積層体のハードコート層を構成する塗膜を、素地に達するようにクロスカットし、その塗膜表面にセロハンテープを貼着し、セロハンテープを強く剥離させた後の塗膜表面を目視で観察し、下記の基準で評価した。
(評価基準)
○:塗膜に剥離なし
△:塗膜に若干剥離あり
×:塗膜に著しい剥離あり
次に、プライマー、接着剤、熱可塑性樹脂層の製造例について説明する。
<プライマー>
プライマーP−1
温度計、攪拌機、冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管を備えた4ツ口フラスコに、溶媒としてトルエン200部およびイソプロピルアルコール100部を、単量体としてメタクリル酸ブチル80部、アクリル酸ブチル25部、メタクリル酸メチル75部およびメタクリル酸20部を投入して、窒素ガスを導入しながら、攪拌下、85℃に昇温した。
重合開始剤として2,2’−アソビスイソブチロニトリル(商品名ABN−R、日本ヒドラジン工業(株)製)0.005部とトルエン10部とからなる混合物を、7時間かけて分割で投入した。さらに、85℃で3時間熟成を行い、その後、室温に冷却して、重量平均分子量(Mw)が90,000である重合体を得た。
次いで、上記のフラスコを40℃に昇温した後、エチレンイミン20部を1時間かけて滴下し、さらに1時間同温度を保持した後、内温を75℃に昇温して、4時間熟成を行った。4ツ口フラスコに蒸留装置をセットして、減圧下で加熱を行い、イソプロピルアルコールと未反応のエチレンイミンとを共に系外に流出させ、残存するエチレンイミンを完全に除去した。最後に、トルエンで不揮発分を10wt%に調整して、エチレンイミン変性アクリル系樹脂(側鎖にアミノ基を有するポリマー)を含有するプライマーP−1を得た。
プライマーP−2
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応器に、脱イオン水397部と25%アニオン系活性剤(ハイテノール18E、第一工業製薬(株)製)水溶液40部を仕込んだ後、窒素を導入しながら、70℃に昇温した。アクリル酸48部、メタクリル酸メチル56.8部、アクリル酸ブチル157.2部およびスチレン138部からなる単量体混合物40部を反応器に添加し、15分間攪拌した後、1.75%過酸化水素水溶液4.6部と3%L−アスコルビン酸水溶液4.2部とを添加し、重合を開始した。重合開始15分後から、残りの単量体混合物を1.5時間かけて滴下した。また、1.75%過酸化水素水溶液41部と3%L−アスコルビン酸水溶液37部とを、単量体混合物と同様に1.5時間かけて滴下した。滴下終了後、70℃で2時間熟成した後、冷却し、25%アンモニア水13.6部を添加し、均一に混合して、不揮発分43.9%のカルボキシル基含有重合体を得た。この重合体に、13%エチレンイミン水溶液220.3部を40℃以下の温度で60分間かけて滴下した。滴下終了後、50℃に昇温し、4時間反応させた後、冷却し、不揮発分38.0%の共重合体エマルジョンを得た。この共重合体のカルボキシル基は、滴定により、酸価52.2mgKOH/gであり、n=2.5であった。最後に、脱イオン水で不揮発分を10wt%に調整して、エチレンイミン変性アクリル系樹脂(側鎖にアミノ基を有するポリマー)を含有するプライマーP−2を得た。
プライマーP−3
攪拌機、還流冷却器、温度計を備えた反応器に、脱イオン水700部および1,2−ジクロロエタン10部を仕込んで加熱した。昇温後、エチレンイミン300部を80℃で4時間かけて添加した。添加終了後、80℃で3時間熟成して反応を完結させた後、冷却し、不揮発分30wt%、pH10.8、粘度275mPa・s/25℃、平均重量分子量プルランを標準物質としてGPCで測定した重量平均分子量(Mw)70,000のポリエチレンイミン水溶液を得た。また、このポリエチレンイミンのアミン価は、18mmol/g(固形分)であった。最後に、脱イオン水で不揮発分を10wt%に調整して、ポリエチレンイミン(アミノ基含有ポリマー)を含有するプライマーP−3を得た。
プライマーP−4
温度計、加熱装置、攪拌機、還流冷却管、窒素ガス導入装置、滴下ロートを備えた4ツ口フラスコに、キシレン115部、酢酸ブチル30部を仕込み、窒素ガスを導入しながら、加熱攪拌し、内温が100℃になったところで、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル15部と、メタクリル酸メチル50部と、メタクリル酸ブチル33部と、メタクリル酸2部と、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(日本油脂(株)製)0.26部との混合物を100℃一定下で、滴下ロートにより2時間にわたって滴下した。滴下終了後、100℃で2時間保持した後、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン0.05部およびキシレン5部の混合物を滴下して、さらに2時間保持した。その後、内温を110℃に昇温し、2時間保持し、反応を終了し、重合液を室温に冷却して、不揮発分40%の重合液を得た。重合体の重量平均分子量(Mw)は27,000、数平均分子量(Mn)は17,000、水酸基価は70mgKOH/g・固形物であった。
得られたアクリルポリオール重合液10部、イソシアネート系硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)ベース変性ポリイソシアネート(有効成分100%、ビウレット体)0.9部を秤量し、トルエン38部で希釈して、不揮発分10%のプライマーP−4を得た。このプライマーP−4は、溶剤中にポリアクリルポリオールとイソシアネート系硬化剤とを含有する2液型ポリウレタン樹脂組成物の一例である。
プライマーP−5
ジメチルテレフタレート194.2部、エチレングリコール124部、ネオペンチルグリコール208.3部、三酸化アンチモン0.14部および酢酸亜鉛0.2部を反応器に仕込み、窒素気流下、160〜220℃で、エステル交換反応を行った。所定量のメタノール流出後、セバチン酸202.3部を加え、220〜230℃でエステル化反応を行い、徐々に減圧し、230〜260℃で30分間縮合後、0.1〜0.2mmHgで270〜275℃で2時間重縮合反応を行った。数平均分子量が約10,000であるポリエステルグリコールを得た。得られたポリエステルグリコールをトルエン/メチルエチルケトン(質量比1/1)の混合溶剤に溶解し、不揮発分50%の溶液(P−5−A)を得た。
トリレンジイソシアネート(2,4−体/2,6−体=80/20)174.2部と、トリメチロールプロパン44.7部と、酢酸エチル73.0部との混合液を65℃で3時間反応させて、不揮発分75%、NCO基含有量14.4%、数平均分子量657のポリウレタンイソシアネートの溶液(P−5−B)を得た。
得られたアクリルポリオール重合液(P−5−A)100部およびポリウレタンイソシアネートの溶液(P−5−B)10部をトルエン465部で希釈して、不揮発分10%のプライマーP−5を得た。このプライマーP−5は、溶剤中にポリエステルポリオールとイソシアネート系硬化剤とを含有する2液型ポリウレタン樹脂組成物の一例である。
プライマーP−6
温度計、攪拌機、部分還流式冷却管を備えた反応器に、ジメチルイソフタレート932部、エチレングリコール488部、ネオペンチルグリコール400部および触媒を仕込み、140〜210℃で、4時間エステル交換反応を行った。続いて、反応系を90分間かけて1,333Pa(10mmHg)に減圧し、さらに230℃、133Pa(1mmHg)以下で、30分間重縮合反応を行った。得られたポリエステルジオールの数平均分子量は、2,400であった。また、得られたポリエステルジオールをNMRで分析した結果、組成はイソフタル酸100モル%、エチレングリコール50モル%、ネオペンチルグリコール50モル%であった。
次いで、温度計、攪拌機を備えた反応器に、トルエン445部、メチルエチルケトン445部、上記ポリエステルジオール500部、ネオペンチルグリコール30部を仕込み、60℃で溶解し、そこに4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート121部および触媒としてジブチルスズラウレート0.3部を仕込んだ。温度を80℃に調節しながら、10時間反応させた。その後、トルエン330部、メチルエチルケトン330部を仕込み、1時間攪拌し、ポリウレタン樹脂を得た。得られたポリウレタン樹脂の数平均分子量は、38,000であった。さらに、トルエン/メチルエチルケトン(質量比1/1)の混合溶剤で不揮発分10wt%に希釈し、プライマーP−6を得た。このプライマーP−6は、溶剤中にポリエステル系ポリウレタン樹脂を含有する1液型ポリウレタン樹脂組成物の一例である。
プライマーP−7
温度計、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた反応器で、トリレンジイソシアネート(デスモジュールT−80、日本ポリウレタン工業(株)製;NCO基含有量48.1%)38部とひまし油(商品名LAV、伊藤製油(株)製;平均分子量1,050、水酸基価160)62部とを、窒素ガス中において、75℃で4時間反応させることにより、NCO基含有量10.8%のNCO末端ウレタンプレポリマーを得た。さらに、トルエン/酢酸エチル(質量比4/1)の混合溶剤で不揮発分10wt%に希釈し、プライマーP−7を得た。このプライマーP−7は、1液型湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物の一例である。
<接着剤>
接着剤1
水系の2液型ポリウレタン系接着剤の主剤(商品名AD−W615、東洋モートン(株)製)と硬化剤(商品名CAT−EP5、東洋モートン(株)製)とを、質量比で、100:3.7の割合に配合し、脱イオン水で35wt%に希釈して、接着剤1を得た。
<熱可塑性樹脂層>
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた容量30Lの釜型反応器に、8,000gのメタクリル酸メチル(MMA)、2,000gの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、10,000gの4−メチル−2−ペンタノン(メチルイソブチルケトン、MIBK)、5gのn−ドデシルメルカプタンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温し、還流したところで、重合開始剤として5.0gのt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(カヤカルボンBIC−7、化薬アクゾ(株)製)を添加すると同時に、10.0gのt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートと230gのMIBKからなる溶液を4時間かけて滴下しながら、還流下、約105〜120℃で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、30gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(Phoslex A−18、堺化学工業(株)製)を加え、還流下、約90〜120℃で5時間、環化縮合反応を行った。次いで、得られた重合体溶液を、バレル温度260℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出し機(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で、2.0kg/hの処理速度で導入し、この押出し機内で、さらに環化縮合反応と脱揮を行い、押し出すことにより、ラクトン環含有重合体の透明なペレットを得た。
得られたラクトン環含有重合体について、ダイナミックTGの測定を行ったところ、0.17質量%の質量減少を検知した。また、このラクトン環含有重合体は、重量平均分子量が133,000、メルトフローレートが6.5g/10min、ガラス転移温度が131℃であった。
得られたペレットと、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂(トーヨーAS AS20、東洋スチレン(株)製)とを、質量比90/10で、単軸押出機(スクリュー30mmφ)を用いて混練押出することにより、透明なペレットを得た。得られたペレットのガラス転移温度は127℃であった。
このペレットを、50mmφ単軸押出機を用い、400mm幅のコートハンガータイプTダイから溶融押出し、厚さ100μmのフィルムを作製した、これを、2軸延伸装置を用いて、150℃の温度条件下、1.5倍に延伸することにより、厚さ40μmの延伸フィルムを得た。この延伸フィルムの光学特性を測定したところ、全光線透過率が93%であった。熱可塑性樹脂層としては、この延伸フィルム(以下「フィルムA」ということがある。)を用いた。
以下、積層体の製造例について説明する。
≪実験例1≫
易接着層の形成
フィルムAの片面に、プライマーP−1を、バーコーターを用いて、乾燥後の厚さが0.5μmになるように塗布し、100℃の熱風乾燥機に2分間投入して乾燥することにより、フィルムAの片面に易接着層が形成された積層体1を得た。
粘着フィルムの形成
下記のアクリル系水分散型粘着剤を、乾燥後の厚さが50μmになるように、離型紙(K−80HS、(株)サンエー化研製)に塗布し、105℃で2分間乾燥させることにより、粘着剤層を形成した。この粘着剤層の表面(乾燥後の塗布面)と、積層体1の易接着層の表面とが接するように、積層体1に粘着層をラミネーターにより積層し、ロールで転写した後、23℃、65%RHの雰囲気下で7日間養生(放置)して、粘着フィルム(離型紙付き)を得た。なお、粘着フィルムの使用時は、離型紙を剥離し、粘着剤層を対象物に圧着などして貼り付ける。得られた粘着フィルムについて、フィルムAに対する粘着剤層の密着性を評価した。結果を表1に示す。
アクリル系水分散型粘着剤の調製
ビーカーに、アクリル酸ブチル92部、メタクリル酸メチル4部、メタクリル酸2−ヒドロキシメチル3部、アクリル酸1部、t−ドデシルメルカプタン0.02部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(ハイテノールLA−16、第一工業製薬(株)製)1.5部および脱イオン水30部を投入し、攪拌してプレエマルジョンを得た。
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応器に、脱イオン水24部を仕込み、窒素置換して、70℃に昇温した。10wt%過硫酸アンモニウム水溶液0.2部と、10wt%重亜硫酸水素ナトリウム水溶液0.2部とを添加した後、上記プレエマルジョンを3時間かけて滴下し、同時に10wt%過硫酸アンモニウム水溶液3.8部と、10wt%重亜硫酸水素ナトリウム水溶液3.8部とを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間熟成した後、室温まで冷却し、固形分62.0wt%の共重合体エマルジョンを得た。なお、この共重合体のガラス転移温度は−49℃であった。
得られた共重合体エマルジョン100部を、25wt%アンモニア水で中和した後、オキサゾリン基を含有する水溶性架橋剤(エポクロスWS−700、(株)日本触媒製)0.4部を混合し、さらに、粘着付与樹脂(スーパーエステルE−788、荒川化学工業(株)製;固形分50wt%)6.2部を添加した後、増粘剤(プライマールASE−60、ローム&ハース社製)で粘度を調整して、不揮発分61.0wt%、pH8.1、粘度13,000mPa・sのアクリル系水分散型粘着剤を得た。
≪実験例2〜7および比較実験例1,2≫
実験例1において、プライマーP−1に代えて、表1に示すプライマーを用いたこと以外は、実験例1と同様にして、積層体2〜7を得て、粘着フィルムを作製した。なお、比較実験例1、2においては、プライマーの塗布を行わずに、それぞれ、コロナ放電処理を施したフィルムAおよび未処理のフィルムAを用いて、粘着フィルムを作製した。得られた粘着フィルムについて、フィルムAに対する粘着剤層の密着性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2007126580
表1から明らかなように、実験例1〜7の粘着フィルムは、熱可塑性樹脂層としてのフィルムAの片面に、本発明のラクトン環含有重合体用プライマーを用いて、易接着層が形成されているので、フィルムAに対する粘着剤層の密着性が良好であった。これに対し、比較実験例1、2の粘着フィルムは、熱可塑性樹脂層としてのフィルムAの片面に、易接着層が形成されていないので、フィルムAに対する粘着剤層の密着性が不良であった。それゆえ、本発明のラクトン環含有重合体用プライマーは、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層と粘着剤層とを良好に密着させることができる易接着層を与えることがわかる。
≪実験例8≫
易接着層の形成
フィルムAの片面に、プライマーP−1を、バーコーターを用いて、乾燥後の厚さが1μmになるように塗布し、100℃の熱風乾燥機に2分間投入して乾燥することにより、フィルムAの片面に易接着層が形成された積層体8を得た。
PETフィルムとの積層体の作製
積層体8の易接着層の表面に、下記の粘着フィルムaをラミネーターにより積層し、ロールで転写し、離型フィルム付き粘着フィルムを得た。得られた離型フィルム付き粘着フィルムの離型フィルムを剥離し、粘着フィルムの粘着剤層と、厚さ25μmのPETフィルムとを貼合して、PETフィルムとの積層体を得た。得られたPETフィルムとの積層体について、積層体の剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
粘着フィルムaの作製
まず、アクリル酸ブチル456部、アクリル酸2−エチルヘキシル195部、アクリル酸23.6部およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル0.7部を充分に混合してモノマー混合物を得た。次いで、攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応器に、モノマー混合物の40質量%と酢酸エチル339部とを仕込んだ。モノマー混合物の60質量%、酢酸エチル38.5部および重合開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル(ABN−E、日本ヒドラジン工業(株)製)0.09部からなる滴下用モノマー混合物を滴下ロートに入れ、充分に混合した。窒素ガスを導入しながら、反応器の内温を82℃に上昇させ、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル0.09部を反応器に投入し、重合反応を開始させた。重合開始剤の投入から15分後に、滴下ロートに入れた滴下用モノマー混合物を90分間かけて均等に滴下した。滴下終了後、酢酸エチル70部を反応器に投入した。その後、反応液を80℃で5.5時間熟成した。反応終了後、酢酸エチル650部を添加し、最後に、酢酸エチルで反応液を希釈し、不揮発分30wt%のアクリル系共重合体溶液を得た。なお、得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は510,000であった。
上記のアクリル系共重合体溶液100部とイソシアネート系架橋剤(コロネートL−55E、日本ポリウレタン工業(株)製)0.75部とを混合し、これを離型処理した厚さ38μmのPETフィルムに塗布して、110℃のオーブン中で5分間乾燥させ、PETフィルム上に厚さ25μmの粘着フィルムaを得た。
≪実験例9、10および比較実験例3、4≫
実験例8において、プライマーP−1に代えて、表2に示すプライマーを用いたこと以外は、実験例8と同様にして、積層体9、10を得て、離型フィルム付き粘着フィルムおよびPETフィルムとの積層体を作製した。なお、比較実験例3、4においては、プライマーの塗布を行わずに、それぞれ、コロナ放電処理を施したフィルムAおよび未処理のフィルムAを用いて、離型フィルム付き粘着フィルムおよびPETフィルムとの積層体を作製した。得られた積層体について、積層体の剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2007126580
表2から明らかなように、実験例8〜10のPETフィルムとの積層体は、熱可塑性樹脂層としてのフィルムAの片面に、本発明のラクトン環含有重合体用プライマーを用いて、易接着層が形成されているので、フィルムAおよび粘着剤層が剥離することなく、PETフィルムだけを剥離することができ、かつ積層体の剥離強度が高かった。これに対し、比較実験例3、4のPETフィルムとの積層体は、熱可塑性樹脂層としてのフィルムAの片面に、易接着層が形成されていないので、フィルムAおよび粘着剤層が一部剥離し、PETフィルムだけを剥離することができなかった。それゆえ、本発明のラクトン環含有重合体用プライマーは、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層と粘着剤層とを良好に密着させることができる易接着層を与えることがわかる。
≪実験例11≫
PCフィルムとの積層体の作製
易接着層が形成された積層体1の易接着層の表面に、バーコーターを用いて、接着剤1を乾燥後の厚さが3μmになるように塗布し、100℃の熱風乾燥機に3分間投入して乾燥させることにより、接着剤層を設けた。この接着剤層の表面とコロナ放電処理を施したPCフィルムのコロナ放電処理面とが接するように、積層体1にPCフィルムを、70℃に加熱したロールを用いて、熱ラミネートして貼合した。次いで、40℃で2日間の養生を行い、PCフィルムとの積層体を得た。得られたPCフィルムとの積層体について、積層体の接着強度を評価した。結果を表3に示す。
≪実験例12〜13および比較実験例5≫
実験例11において、易接着層が形成された積層体1に代えて、表3に示す易接着層が形成された積層体を用いたこと以外は、実験例11と同様にして、PCフィルムとの積層体を作製した。なお、比較例5においては、プライマーの塗布を行わずに、コロナ放電処理を施したフィルムAを用いて、PCフィルムとの積層体を作製した。得られた積層体について、積層体の接着強度を評価した。結果を表3に示す。
Figure 2007126580
表3から明らかなように、実験例11〜13のPCフィルムとの積層体は、熱可塑性樹脂層としてのフィルムAの片面に、本発明のラクトン環含有重合体用プライマーを用いて、易接着層が形成されているので、積層体の接着強度が高かった。これに対し、比較実験例5のPCフィルムとの積層体は、熱可塑性樹脂層としてのフィルムAの片面に、易接着層が形成されていないので、積層体の接着強度が低かった。それゆえ、本発明のラクトン環含有重合体用プライマーは、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層とPCフィルムとを強固に接着させることができる易接着層を与えることがわかる。
≪実験例14≫
ハードコート層の形成
易接着層が形成された積層体1の易接着層の表面に、下記のハードコート剤を塗布し、100℃の熱風乾燥機に2分間投入して乾燥させた後、高圧水銀灯で200mJ/cmの紫外線を照射することにより、塗布層を硬化させ、厚さ5μmのハードコート層を形成して、ハートコート層を有する積層体を得た。得られたハードコート層を有する積層体について、ハードコート層の密着性を評価した。結果を表4に示す。
ハードコート剤の調製
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ライトアクリレートDPE−6A、共栄社化学(株)製)8gと、ペンタエリスリトールトリアクリレート(ライトアクリレートPE−3A、共栄社化学(株)製)2gとを混合してメチルエチルケトン40gに溶解した溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)0.5gをメチルイソブチルケトン2gに溶解した溶液を加え、ハードコート剤を調製した。
≪実験例15、16および比較実験例6≫
実験例14において、易接着層が形成された積層体1に代えて、表4に示す易接着層が形成された積層体を用いたこと以外は、実験例14と同様にして、ハードコート層を有する積層体を作製した。なお、比較実験例6においては、プライマーの塗布を行わずに、コロナ放電処理を施したフィルムAを用いて、ハードコート層を有する積層体を作製した。得られた積層体について、ハードコート層の密着性を評価した。結果を表4に示す。
Figure 2007126580
表4から明らかなように、実験例14〜16のハードコート層を有する積層体は、熱可塑性樹脂層としてのフィルムAの片面に、本発明のラクトン環含有重合体用プライマーを用いて、易接着層が形成されているので、ハードコート層の密着性が良好であった。これに対し、比較実験例6のハードコート層を有する積層体は、熱可塑性樹脂層としてのフィルムAの片面に、易接着層が形成されていないので、ハードコート層の密着性が不良であった。それゆえ、本発明のラクトン環含有重合体用プライマーは、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層とハードコート層とを良好に密着させることができる易接着層を与えることがわかる。
本発明のプライマーは、ラクトン環含有重合体との接着強度が非常に高い易接着層を形成できることから、ラクトン環含有重合体を応用する分野を拡大することができる。また、本発明の積層体は、透明性や耐熱性だけでなく、表面光沢や機械的強度といった、ラクトン環含有重合体の優れた特性を発揮することから、従来から透明性や機械的強度に優れた熱可塑性樹脂として、例えば、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂などが利用されてきた分野に多大の貢献をなすものである。
本発明の積層体の構成例を示す部分断面図である。 本発明の積層体の他の構成例を示す部分断面図である。 本発明の積層体のさらに他の構成例を示す部分断面図である。
符号の説明
10、20、30 積層体
11、21、31 ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層
12、22、32 易接着層
23 コーティング層
33 接着剤層または粘着剤層
34 基材

Claims (8)

  1. ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層を有する積層体を製造する際に、前記熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に易接着層を形成するためのプライマーであって、ポリウレタン樹脂もしくはその前駆体および/またはアミノ基含有ポリマーを含有することを特徴とするラクトン環含有重合体用プライマー。
  2. 前記ラクトン環含有重合体が、下記式(1):
    Figure 2007126580
    [式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す;なお、有機残基は酸素原子を含有していてもよい]
    で示されるラクトン環構造を有する請求項1記載のプライマー。
  3. ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層を有する積層体であって、前記熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に、請求項1または2項記載のプライマーを含有する易接着層が形成されていることを特徴とする積層体。
  4. 前記熱可塑性樹脂層に前記易接着層を介してコーティング層が積層されている請求項3記載の積層体。
  5. 前記コーティング層が接着剤層または粘着剤層である請求項4記載の積層体。
  6. 前記接着剤層または粘着剤層に基材が貼合されている請求項5記載の積層体。
  7. 前記基材がスチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびポリアミド系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含有する請求項6記載の積層体。
  8. 前記基材が熱硬化性樹脂、金属、木材、紙、ガラスおよびセラミックスからなる群より選択される少なくとも1種の材料を含有する請求項6記載の積層体。
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