JP2007125951A - フロントピラー下部構造 - Google Patents

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Kuniomi Matsuyama
邦臣 松山
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Abstract

【課題】ねじれ変形を低減することができるフロントピラー下部構造を提供すること。
【解決手段】車体上下方向に延設する直立部2と、直立部2の下端から車体後方に延設する水平部3と、直立部2と水平部3とに亘り車幅方向に突出成形される膨出部4と、直立部2と水平部3との縁部に亘り一体的に形成されるフランジ部5,6,7とを備えるフロントピラー下部構造であって、直立部2の下端と水平部3の前端とから形成される角部と水平部3の上縁部との間で膨出部4を貫通するように形成されるクロスビード9を備えるようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、フロントピラー下部構造に関する。
車両を構成するボディは、エンジン等の各種装置を固定するものであると同時に、車両の外観をなすものとして大きな意味をもっている。車両の外観は、ユーザが直接目にするものであることから、車両の外観における品質は、車両を製造する上で最も重要な要素の一つであるといえる。中でも、ユーザにより開閉動作が行われるドア周辺の外観品質は重要であり、このドアを支持するドア周りを構成する部材の部品精度や組み付け精度を向上させることが車両の品質を維持または向上させる要因となっている。そして、ボディを構成する部材は鋼板をプレス成形したものが多く使用されており、各部位に応じて様々な板厚や材質で形成されている。
そこで、車両のドア周りを構成する従来のフロントピラーの下部構造について図6乃至8を用いて説明する。なお、図6乃至8に示すフロントピラインナロア101は、図示しないフロントピラーの下部に設けられるものである。
図6に示すように、フロントピラインナロア101は、略直立方向に延設する直立部102と、車体前後方向に延設する水平部103とから構成されており、この直立部102の下部から水平部103に亘り、車幅方向内側に突出する膨出部104が形成されている。そして、この膨出部104の前部、即ち、直立部102の前縁部には前フランジ部105が形成され、膨出部104の下部、即ち、水平部103の下縁部には下フランジ部106が形成され、膨出部104の後方上部、即ち、直立部102の後縁部から水平部103の上縁部に亘り後フランジ部107が形成されている。
ここで、所定の板材から上述したフロントピラインナロア101をプレス成形すると、図6に示すように、このプレス成形時には、前フランジ部105と下フランジ部106とから形成される角部に向かうに従い、縮み応力T1が発生する一方、後フランジ部107に向かうに従い、伸び応力T2(>縮み応力T1)が発生する。そして、図7に示すように、成形後(離型後)のフロントピラインナロア101には、前フランジ部105と下フランジ部106とから形成される角部に向かうに従い、縮み応力T1と反対方向(伸び方向)に作用する残留応力S1が発生する一方、後フランジ部107に向かうに従い、伸び応力T2と反対方向(縮み方向)に作用する残留応力S2(>残留応力S1)が発生する。
このように、残留応力S1,S2が発生すると、その近傍においてねじれモーメントM1,M2が作用し、これにより、フロントピラインナロア101にはスプリングバックによるねじれ変形が生じる。このフロントピラインナロア101に発生したスプリングバック変形量の大きさを図8に示すが、この図8からも解るように、前フランジ部105と下フランジ部106とから形成される角部から後フランジ部107に向けて徐々にスプリングバック変形量が大きくなっていることが解る。
つまり、フロントピラインナロア101のような複雑な形状をプレス成形すると、プレス成形により付加される応力のバランスが崩れるので、成形後の離型した際にこの応力が開放されると、残留応力が不均一に生じて、様々なスプリングバックの影響で、ねじれモーメントによるねじれ変形が生じることになる。
そして、上述したスプリングバックはプレス成形品の精度を低下させるものであり、従来からプレス成形品のスプリングバック量を低減させる構造が種々提供されている。このようなプレス成形品の構造は、例えば、特許文献1に開示されている。
特開平6−55231号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載開示されるプレス成形品の構造は、プレス成形品の形状が比較的簡素な場合のみに有効であり、スプリングバックの低減を図ったもので、ねじれ変形に対する対策は何ら講じられていない。また、近年の車両においては、衝突安全性や走行安定性等の観点から、ボディの剛性向上が求められており、プレス成形される部品の中には超高張力鋼板等の材料で形成されるものがある。このような特殊鋼板を使用した場合のねじれ変形は、一般鋼板を使用した場合に比べて、大きくなる傾向にある。よって、従来の構成では、複雑な形状をプレス成形する場合や特殊鋼板を使用した場合には、高精度に成形することは困難であると考えられる。
従って、本発明は上記課題を解決するものであって、ねじれ変形を低減することができるフロントピラー下部構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決する第1の発明に係るフロントピラー下部構造は、
車体上下方向に延設する直立部と、
前記直立部の下端から車体後方に延設する水平部と、
前記直立部と前記水平部とに亘り車幅方向に突出成形される膨出部と、
前記直立部と前記水平部との縁部に亘り一体的に形成されるフランジ部とを備えるフロントピラー下部構造であって、
前記直立部の下端と前記水平部の前端とから形成される角部と前記水平部の上縁部との間で前記膨出部を貫通するように形成されるクロスビードを備える
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第2の発明に係るフロントピラー下部構造は、
第1の発明に係るフロントピラー下部構造において、
前記直立部に車体前後方向略水平に形成される水平ビードを備える
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第3の発明に係るフロントピラー下部構造は、
第1または2の発明に係るフロントピラー下部構造において、
前記クロスビードの端部を閉塞する
ことを特徴とする。
第1の発明に係るフロントピラー下部構造によれば、車体上下方向に延設する直立部と、前記直立部の下端から車体後方に延設する水平部と、前記直立部と前記水平部とに亘り車幅方向に突出成形される膨出部と、前記直立部と前記水平部との縁部に亘り一体的に形成されるフランジ部とを備えるフロントピラー下部構造であって、前記直立部の下端と前記水平部の前端とから形成される角部と前記水平部の上縁部との間で前記膨出部を貫通するように形成されるクロスビードを備えることにより、スプリングバックの変形量を規制することができるので、ねじれ変形を低減することができる。
上記課題を解決する第2の発明に係るフロントピラー下部構造によれば、第1の発明に係るフロントピラー下部構造において、前記直立部に車体前後方向略水平に形成される水平ビードを備えることにより、前記直立部のスプリングバックの変形量を規制することができるので、フロントピラー部材全体のねじれ変形をより低減することができる。
上記課題を解決する第3の発明に係るフロントピラー下部構造によれば、第1または2の発明に係るフロントピラー下部構造において、前記クロスビードの端部を閉塞することにより、設計要件の制約にも対応することができる。
以下、本発明に係るフロントピラー下部構造を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例に係るフロントピラインナロア構造の正面図、図2は図1のA−A矢視断面図、図3はフロントピラインナロアの成形後におけるスプリングバック変形量を示すマップ図、図4はクロスビードの他の形状を示した模式図、図5は本発明の他の実施例に係るフロントピラリンフォースロア構造の正面図である。
一般に、フロントピラーは、車幅方向外側に配置されるフロントピラアウタと、このフロントピラアウタの車幅方向内側に配置されるフロントピラインナと、フロントピラアウタとフロントピラインナとの間に配置されるフロントピラリンフォースとから構成されている。ここで、本発明に係るフロントピラー下部構造は、上記のフロントピラインナの下部、即ち、フロントピラインナロアについて説明するが、勿論、フロントピラアウタまたはフロントピラリンフォースの下部にも適用可能である。
図1に示すフロントピラインナロア1は超高張力鋼板の板材を用いてプレスにより成形されたものであり、図1はこのフロントピラインナロア1の表面(車幅方向内側の面)を図示したものである。
フロントピラインナロア1は、略直立方向に延設する直立部2と、車体前後方向に延設する水平部3とから構成されている。直立部2は、上述したフロントピラアウタの下部(フロントピラアウタロア)及び後述するフロントピラリンフォース21の下部(フロントピラリンフォースロア22)と重合接合されて閉断面をなし、フロントピラーの下部を構成するものである。一方、水平部3は、その裏面(車幅方向外側の面)において、図示しないサイドシルと接合されるものである。
また、直立部2の下部から水平部3に亘り、車幅方向内側に突出する膨出部4が形成されている。そして、この膨出部4の前部、即ち、直立部2の前縁部には前フランジ部5が形成され、膨出部4の下部、即ち、水平部3の下縁部には下フランジ部6が形成され、膨出部4の後方上部、即ち、直立部2の後縁部から水平部3の上縁部に亘り後フランジ部7が形成されている。
更に、直立部2の上部には水平ビード8が形成される一方、膨出部4にはクロスビード9が形成されている。水平ビード8は凹状(車幅方向外側に突出)または凸状(車幅方向内側に突出)に形成されると共に、直立部2の前後方向全域に亘り略水平に形成されている。一方、図2に示すように、クロスビード9は凹状(車幅方向外側に突出)または凸状(車幅方向内側に突出)に形成されており、直立部2と水平部3とから形成される角部と、水平部3の上縁部とに亘り直線状に形成されている。このとき、クロスビード9の両端部は、膨出部4を貫通、即ち、突き抜けて形成するようにしている。そして、このビード8,9は、プレス成形時の膨出部4を成形する絞り工程において成形されたものである。
つまり、図7から残留応力の差が成形後のねじれ変形に影響することが解る一方、図7,8から残留応力とスプリングバック変形量とが略相関していることが解るので、残留応力の差が大きい部分、即ち、スプリングバック変形量の差が大きい部分を橋渡しするようにクロスビード9を設けるようにした。このとき、クロスビード9の延設長さは、最も長くなるように形成させることにより、効率良く剛性を向上できる。従って、クロスビード9を直立部2の下端と水平部3の前端とから形成される角部と水平部3の上縁部との間に設けることにより、フロントピラインナロア1の剛性が向上され、ねじれ変形を低減させることができる。また、水平ビード8とクロスビード9との組み合わせにより、より効果的にねじれ変形を低減させることができる。
なお、本実施例においては、図2に示すように、クロスビード9の断面形状を半円状に形成させているが、これに限定されることはなく、例えば、V形や角形等であっても構わない。また、相手部品との接合条件に制約が生じる場合等には、図4に示すように、クロスビード9の端部を膨出部4に貫通させない、即ち、閉じるように形成させても構わない。
更に、図4に示すように、本発明に係るフロントピラー下部構造をフロントピラリンフォース21の下部構造に適用しても構わない。図5に示すフロントピラリンフォース21の下部にはフロントピラリンフォースロア22が設けられており、このフロントピラリンフォースロア22にはクロスビード23が形成されている。なお、図5に示すフロントピラリンフォース21は表面(車幅方向外側の面)を示しており、このフロントピラリンフォースロア22の裏面にフロントピラインナロア1が接合される。従って、クロスビード23をフロントピラリンフォースロア22のスプリングバック変形量に基づいて形成させることにより、フロントピラリンフォースロア22の剛性が向上され、ねじれ変形を低減させることができる。
スプリングバック変形量が不均一に分布される成形品に適用可能である。
本発明の一実施例に係るフロントピラインナロア構造の正面図である。 図1のA−A矢視断面図である。 フロントピラインナロアの成形後におけるスプリングバック変形量を示すマップ図である。 ロスビードの他の形状を示した模式図である。 本発明の他の実施例に係るフロントピラリンフォースロア構造の正面図である。 従来例に係るフロントピラインナロア構造の正面図である。 従来のフロントピラインナロアの成形後における残留応力の状態を示した図である。 従来のフロントピラインナロアの成形後におけるスプリングバック変形量を示すマップ図である。
符号の説明
1 フロントピラインナロア
2 直立部
3 水平部
4 膨出部
5 前フランジ部
6 下フランジ部
7 後フランジ部
8 水平ビード
9 クロスビード
21 フロントピラリンフォース
22 フロントピラリンフォースロア
23 クロスビード

Claims (3)

  1. 車体上下方向に延設する直立部と、
    前記直立部の下端から車体後方に延設する水平部と、
    前記直立部と前記水平部とに亘り車幅方向に突出成形される膨出部と、
    前記直立部と前記水平部との縁部に亘り一体的に形成されるフランジ部とを備えるフロントピラー下部構造であって、
    前記直立部の下端と前記水平部の前端とから形成される角部と前記水平部の上縁部との間で前記膨出部を貫通するように形成されるクロスビードを備える
    ことを特徴とするフロントピラー下部構造。
  2. 請求項1に記載のフロントピラー下部構造において、
    前記直立部に車体前後方向略水平に形成される水平ビードを備える
    ことを特徴とするフロントピラー下部構造。
  3. 請求項1または2に記載のフロントピラー下部構造において、
    前記クロスビードの端部を閉塞する
    ことを特徴とするフロントピラー下部構造。
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