JP2007124883A - 蓄電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐用時間の延長ができ、キャパシタの交換頻度を極力減らすことが可能な蓄電装置を提供することを目的とする。
【解決手段】複数のキャパシタ13の各々の劣化進行度を求める劣化進行度検出手段と、各キャパシタ13に並列に接続されたバランス電圧調整手段23と、劣化進行度検出手段とバランス電圧調整手段23が接続された制御部30とからなり、制御部30は劣化進行度検出手段で検出された各キャパシタ13の劣化進行度の平均値から、各キャパシタ13の劣化進行度がほぼ等しくなるバランス電圧をそれぞれ求め、各キャパシタ13の両端電圧がバランス電圧になるようバランス電圧調整手段23を制御するものであり、各キャパシタ13の劣化進行度がほぼ等しくなるので、上記目的が達成可能となる。
【選択図】図5

Description

本発明は、特にキャパシタを用いた蓄電装置に関するものである。
近年、環境への配慮から駆動の全てあるいは一部をモーターで行う、いわゆる電気自動車やハイブリッド自動車が普及しつつある。
これらの自動車はモーターの電力がバッテリから供給されているが、バッテリは急速かつ大電流充放電による特性変化や劣化が起こるため、特に急加速時にモーターへ供給する電流を制限している。そのため十分な加速が得られない場合があった。
そこで、急速放電が可能なキャパシタをバッテリと併用した自動車が考案されている。これにより、急加速時にバッテリに加えキャパシタの電力もモーターに供給されるため、バッテリのみの場合より急峻な加速が可能となる。
モーターを駆動できるだけの電圧をキャパシタで得るには、必要電圧が約750Vであるとすると、1個当たりの定格電圧が2.5Vのキャパシタを用いた場合、300個を直列に接続する必要がある。また、必要な容量を得るために並列接続を組み合わせることもある。
しかし、キャパシタにはバラツキがあり、キャパシタに印加される電圧がばらつくので、それを考慮せず充電を行うと、キャパシタの劣化が進行したり、場合によっては破損に到る可能性がある。
そこで、多数のキャパシタの状態を管理し、異常を検出する方法が考案されている。このような異常検出方法の一例を図10のブロック回路図に示す。
直流電源1から定格電圧2.5Vの複数のキャパシタ2に電力が充電される際に、各々のキャパシタ2にどれだけの電流が流れ、どれだけの電圧がかかっているかを電流検出器3および電圧検出手段4によりそれぞれ測定して、制御器5で充電を制御するとともにキャパシタ2の正常、異常を判断している。
なお、この出願に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2003−274566号公報
前述の異常検出方法によると、異常のあるキャパシタ2を検出することが可能であるので、例えばハイブリッド自動車のモーター駆動バッテリの補助用に使用した場合、前記したように300個のキャパシタ2の内の1つが動作限界に至るなどして異常と判定されれば、そのキャパシタ2を回路から除外するなどの処置が取られる。
また、あらかじめキャパシタ2の異常を幾つまで許容するかを決めておくことでハイブリッド自動車のシステムを安全に停止させることができる。
このようにすると、例えば運転停止時に異常のあるキャパシタ2をまとめて交換でき、メンテナンスが比較的楽になるという長所が考えられる。
しかしこの場合、異常のあるキャパシタ2だけを新品に交換すると、現在は異常がなくても動作限界が近づきつつある他のキャパシタ2と混在してシステムを使用することになるので、遠からず同様に異常キャパシタが出現し、既定個数の異常が発生する都度、キャパシタ2を交換せねばならない。
このようにキャパシタ2が複数存在する蓄電装置においては、その耐用時間は劣化進行度の早いキャパシタ2により規制されてしまう。
よって、長期に使用するほどに交換頻度が増えるか、蓄電装置の耐用時間を短縮せしめることになる。
これに対して、異常のあるキャパシタ2の個数が既定数に達した時、システム全体を交換すれば、交換頻度が増えることはなくなるが、動作限界までに余裕のあるキャパシタ2も交換してしまうので不経済である。
従って、確かに従来の構成で異常のあるキャパシタ2を検出することは可能であるが、既定個数の異常キャパシタ発生の都度、新品に交換するため、長期使用とともに交換頻度が増えたり、あるいは蓄電装置の耐用時間を短縮せしめることになり総括的に不経済であることが課題であった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、耐用時間の延長ができ、キャパシタの交換頻度を極力減らすことが可能な蓄電装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の蓄電装置は、複数のキャパシタ各々の劣化進行度を求める劣化進行度検出手段と、前記各キャパシタに並列に接続されたバランス電圧調整手段と、前記劣化進行度検出手段と前記バランス電圧調整手段が接続された制御部とからなり、前記制御部は前記劣化進行度検出手段で検出された前記各キャパシタの劣化進行度の平均値から、前記各キャパシタの劣化進行度のバラツキ幅が小さくなるバランス電圧をそれぞれ求め、接続された前記全キャパシタの両端に電圧を印加した状態で、前記各キャパシタの両端電圧が前記バランス電圧になるよう前記バランス電圧調整手段を制御するものである。
本構成によると各キャパシタの劣化進行度のバラツキ幅が小さくなるようにバランス電圧が調整されるので、劣化が進んだキャパシタに対し劣化進行度を遅延させられる。また、全キャパシタがほぼ同時期に動作限界に達する。その結果、前記目的を達成することができる。
本発明の蓄電装置によれば、劣化が進んだキャパシタに対し劣化進行度を遅延させ、また全キャパシタがほぼ同時期に動作限界に達するため、蓄電装置としての耐用時間の延長が可能になり、キャパシタの交換回数を極力減らすことができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態では蓄電装置をハイブリッド自動車に適用した場合について述べる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における蓄電装置の一部省略ブロック回路図である。図2は、本発明の実施の形態1における蓄電装置の充電時におけるキャパシタ両端電圧の経時変化特性図である。図3は、本発明の実施の形態1における蓄電装置の容量値と内部抵抗値をパラメータとしたキャパシタの動作限界特性図である。図4は、本発明の実施の形態1における蓄電装置のバランス電圧調整後のキャパシタ両端電圧の経時変化特性図である。
まず、蓄電装置の構造を図1により説明する。なお、図1の配線における太線は高電圧系、細線は信号系をそれぞれ示す。
図1において、バッテリ11はハイブリッド自動車のモーター駆動を担う主電源として使用される。バッテリ11には図示しない昇圧回路が内蔵されている。
バッテリ11の充放電は充放電制御回路12によって制御されている。
充放電制御回路12はバッテリ11の補助用として使用される300個直列接続されたキャパシタ13の充放電と同キャパシタ13の監視および制御を行う制御部30(詳細は後述)の制御も担い、さらにバッテリ11の出力とキャパシタ13の最適出力調整等のシステム制御全般を担っている。
また、ハイブリッド自動車の制御回路(図示せず)とのデータのやり取り等を行うコネクタ12aも接続されている。
キャパシタ13には急速充放電に優れる電気二重層キャパシタを用いた。
キャパシタ13の充放電については、充放電制御回路12により充電時に充電スイッチ14が、放電時には放電スイッチ15がオンするように制御されている。充放電を行わない時は充電スイッチ14と放電スイッチ15を両方オフにしている。
充電スイッチ14には充電電流を検出するための電流検出手段16が直列に接続されている。
次に各キャパシタ13に接続された周辺回路17(図1の一番上のキャパシタ13に対する周辺回路17の範囲を一番広い四角点線で示した。他のキャパシタ13については図が見にくくなるため四角点線は省略する。以下、他の図についても同様)について説明する。
なお、周辺回路17は劣化進行度検出手段の一部として使用され、劣化進行度検出手段は周辺回路17と後述する制御部30を組み合わせることで構成されている。
キャパシタ13の両端には2個のスイッチ21を介して並列にキャパシタ13より小容量のサンプリングコンデンサ20が接続されている。また、キャパシタ13の両端にはさらに並列にバランス電圧調整手段23が接続されている。
スイッチ21は3端子タイプであり、図1に示すように切替スイッチの一端は前記キャパシタ13に、他方はキャパシタ13の両端電圧を計測する電圧計測回路を含む制御部30(後述)に接続され、外部からの信号によりいずれか一方を選択する構成としている。
バランス電圧調整手段23は図1に2番目に広い四角点線で示した範囲であり、キャパシタ13の両端電圧を調整することができる。
具体的には以下の構成を有する。
まず、バランス抵抗24と直列接続されたスイッチ25がキャパシタ13に対し並列になるよう接続されている。
更にキャパシタ13には、前記キャパシタ13の両端電圧を分圧するための分圧抵抗A26、分圧抵抗B27が直列に接続され、その分担電圧Vsはコンパレータ28の一方に入力される。また、コンパレータ28の他方の入力側にはバランス電圧設定手段31(図1の一番小さい四角点線で示した)の出力(基準電圧)Vfが接続されている。
バランス電圧設定手段31は、基準電源32と制御部30からの信号により抵抗値を調整可能なデジタルポテンショメーター33と抵抗34を直列に接続することで調整可能な基準電圧Vfを生成する構成としている。なお、デジタルポテンショメーター33は不揮発性メモリ35を内蔵しているので、蓄電装置の電源が切れている時も調整した抵抗値を記憶しておくことができる。
従って、バランス電圧設定手段31の基準電圧Vfは制御部30が指示したデジタルポテンショメーター33の抵抗値により決定され、この基準電圧Vfと分担電圧Vsがコンパレータ28に入力されることになる。換言するとキャパシタ13の両端電圧と基準電圧Vfが比較される構成となっている。
コンパレータ28は入力された電圧の比較結果に応じてスイッチ25のオンオフを制御する。
本実施の形態1の蓄電装置は、以上のような周辺回路17(図1の周辺回路17として四角点線で示した範囲の内、キャパシタ13を除く全ての回路)を有するキャパシタ13が300個直列に接続されて構成されるが、図1では最初の2個と最後の1個のみを示し、他を省略した。
次に制御部30について説明する。
制御部30はキャパシタ13の監視および制御を行う機能を持ち、本実施の形態1においては、次の構成部品を内蔵している。
すなわち、電気的間接接続手段として例えばフォトカプラやフォトIC等からなる電気的絶縁手段の機能を有する光電変換器群36と、計測信号から各種演算や制御を実行するマイクロコンピュータ37と、マイクロコンピュータ37からの制御によりキャパシタ13の両端電圧を計測するためのADコンバータ38と、キャパシタ13の電圧を切り替えて計測するためのマルチプレクサ39と、充放電回路12およびその他の制御部30との通信を司る送受信部40より構成されている。
これによりマイクロコンピュータ37は光電変換器群36を介して電気的に絶縁した状態で、スイッチ21とマルチプレクサ39およびADコンバータ38を制御しキャパシタ13の両端電圧の計測とデジタルポテンショメーター33への設定抵抗値を指示するようにしている。
なお、キャパシタ13と周辺回路17は300セットからなるため、各種演算処理を行う上で処理効率とトータルメリットを検討し、本実施の形態1ではキャパシタ13と周辺回路17の4セットにつき1つの制御部30を設け、4セットのキャパシタ13と周辺回路17に対してスイッチ21の切替、キャパシタ13の両端電圧の計測、およびデジタルポテンショメーター33への設定抵抗値の指示等を並列処理するようにした。
従って、制御部30は75個となるので、各制御部30は内蔵した送受信部40を介して、相互に各種演算情報や制御結果などの通信を行う構成とした。
また、例えばキャパシタ13の電圧計測においては、充放電制御回路12より計測開始指令を同報出力にて送信することで、各制御部30が一斉に各キャパシタ13の電圧計測を開始する構成とするなど、全制御部30に共通な情報については充放電制御回路12より一斉に同報出力にて指示し、情報データを伝送するように構成している。
蓄電装置の内部でキャパシタ13の近傍には温度を測定するための温度センサ41を設けた。この温度データは充放電制御回路12により取り込まれ、前記温度データに関しても一斉に制御部30に伝送するようにしている。なお、温度センサ41には感度に優れるサーミスタを用いた。
また、本実施の形態1の回路全般において、高電圧系回路および75個の制御部30のグランドはそれぞれ独立とした。これにより、万一のスイッチ動作不良による高電圧と低電圧の混触等の故障の波及を防止する構成とした。
なお、周辺回路17や制御部30に逆三角形で示したグランドに付した数字は、同じ数字のグランド同士が接続されていることを示す。
従って、制御部は75個あるので、グランドに付した数字も1・・・n・・・75となる。
次にこのような蓄電装置の動作について説明する。
ハイブリッド自動車(以下、車両と略す)のイグニションスイッチ(図示せず、以下、IGと略す)をオンにすると、蓄電装置本体や充放電制御回路12が起動する。
充放電制御回路12は制御部30に対し同報出力によりIGがオンになったという情報を出力すると共に、キャパシタ13を規定電圧(従来と同様に全キャパシタ13の両端電圧が750V)まで定電流で充電する。
具体的には図1に示す充放電制御回路12が充電スイッチ14をオンにする。こうして充電を開始してからのキャパシタ両端電圧の経時変化を図2に示す。なお、横軸は時間、縦軸はキャパシタ両端電圧を示す。
充電を開始する前のキャパシタ両端電圧は前回の車両使用後の状況により異なる。キャパシタ13にとっては車両使用後に300個全てを放電しきってしまう方が寿命にはよいが、その電力を再起動時に充電しなければならないので、電力が無駄になる。
そこで、車両使用後に強制的に放電しないで放置しておく方法が考えられる。この場合は自然放電になるので、再度車両を使用するときに電力がキャパシタ13に残留しており、自然放電した分だけを充電すればよく、無駄が低減できる。
従って、寿命や効率を考えて完全放電するシステムもあれば自然放電させるシステムもあるため、図2の縦軸の原点は必ずしも0ではない。
ここでは、説明をわかりやすくするために車両使用後に強制的に放電を行い、全てのキャパシタ13の両端電圧が0Vであるとして説明する。なお、図2において、実線で示した任意のキャパシタxの経時変化特性を用いて説明する。
時間0で充電を開始すると、キャパシタxの内部抵抗値Rに相当する急峻な電圧上昇が起こり、その後、時間とともに充電が進みキャパシタ両端電圧は増加していく。
この充電中に、既に公開されているキャパシタの劣化進行度検出手段(特開2005−28908号公報)を用いて、キャパシタxの劣化進行度予測を行う。
劣化進行度検出手段の概略は蓄電装置本体の起動時に各キャパシタ13を充電する際の電流、電圧、およびキャパシタ13の近傍に設けた温度センサ41からの温度データを基にして求めた各キャパシタ13の内部抵抗値Rと劣化進行度の相関関係から各キャパシタ13の劣化進行度を求めるものである。
従って、劣化進行度予測には内部抵抗値R、温度Tが必要なので、このうち内部抵抗値Rの具体的な求め方を説明する。なお、容量値Cも同時に求められるので、合わせて説明する。
まず内部抵抗値Rを求めるために、キャパシタxへの充電が完了するまでの任意の時間に充電スイッチ14を瞬間的(数10msのオーダー)にオフにして充電を中断する。
これにより、キャパシタ両端電圧は電圧降下を起こす。この電圧降下幅Vixは、そのキャパシタxの内部抵抗値Rに比例する。すなわち、充電電流Iは定電流であり、電流検出手段16から得られるので、
R=Vix/I (1)
で求められる。
ここで問題となるのは300個のキャパシタ13のそれぞれに対して瞬間的な電圧降下を測定する手法である。
それに対し、本実施の形態1では以下のようにして電圧降下を求めている。
まず充放電制御回路12からの指示データに基づき、各制御部30は充電を中断する直前のキャパシタ両端電圧を読み込む。これは具体的には以下のようにして行う。
まず、全てのスイッチ21をキャパシタ13側に一斉に切り替える。これにより、キャパシタ13とサンプリングコンデンサ20は並列接続される。
ここで、サンプリングコンデンサ20の容量はキャパシタ13の容量に比べ、圧倒的に小さいため、サンプリングコンデンサ20の両端電圧はキャパシタ13の両端電圧と等しくなる。
次に、全てのスイッチ21を制御部30側(電圧計測側)に切り替える。
その後、制御部30に内蔵したマルチプレクサ39を切り替えることで4個のサンプリングコンデンサ20の両端電圧、すなわち、キャパシタ13の両端電圧を順次切り替えて読み込む。
選択されたキャパシタ13の両端電圧はADコンバータ38、光電変換器群36を介しデジタルデータとしてマイクロコンピュータ37に内蔵したメモリ(図示せず)に記憶されていく。
このように300個ものキャパシタ13の両端電圧を順次読み込めば極めて時間がかかるが、75個の制御部30が一斉に4個づつ読み込むことで高速に読み込み終えることができる。
次に、充電中断前のキャパシタ電圧の読み込みが完了したら充電スイッチ14をオフにすると同時に、再びスイッチ21を制御し、サンプリングコンデンサ20をキャパシタ13と並列に接続するようにする。
その結果、前記したようにサンプリングコンデンサ20の両端電圧はキャパシタ13の両端電圧と等しくなる。
その後、電圧降下が落ち着いて一定値になるまで待ち、一定値になればスイッチ21を制御し制御部30側に切り替えることで、サンプリングコンデンサ20にホールドされた降下後の電圧を充電再開後に読み込み、4個のサンプリングコンデンサ20の両端電圧を順次メモリに記憶していく。
次に、充放電制御回路12は瞬時に充電スイッチ14をオン制御し充電を再開させる。
以上の動作によりVixを求める事ができる。後は充電電流Iが既知なので、(1)式より内部抵抗値Rxを求める事ができる。
これを300個のキャパシタ13に対して求めておく。
次に、容量値Cを求めるために充電時のキャパシタ両端電圧の傾きを求める。
傾きは一定時間tの間のキャパシタ両端電圧の変化幅Vdとして求められる。これにより、充電される電荷量Q=I・t=C・Vdの関係式より、
C=I・t/Vd (2)
として求められる。ここで、I、tは決まっているので、Vdを求めればCがわかる。
図2でキャパシタxに対するVdxを求めるには、まず任意の時間t1でキャパシタxの両端電圧V1を求める。これは上述のようにスイッチ21を切替制御し時間t1での両端電圧をサンプルホールドするとともに4個のサンプリングコンデンサ20毎に順次マルチプレクサ39を切替え制御してキャパシタ13の両端電圧を読み込む。
これにより高速にかつ同時刻サンプリングにてキャパシタ300個分のV1が求められる。
次に、時間tが経過してt2になった時、同様にして300個のキャパシタ13のV2を求める。
こうして、Vdx=V2−V1として求める事ができる。これを300個のキャパシタ13に対して求め、(2)式から容量値Cを求めておく。
この後は充電がキャパシタの基準電圧Vfになるまで行われる。
この時の動作は、キャパシタ両端電圧に相当する分圧抵抗A26、分圧抵抗B27の分担電圧Vsとバランス電圧設定手段31から出力される基準電圧Vfをコンパレータ28で比較し、基準電圧Vfを超えたらコンパレータ28がスイッチ25をオンにしてバランス回路に電流が流れるようにすることで、キャパシタ13の両端電圧が基準電圧Vf以上にならないよう制御する。
このようにして充電は完了するのであるが、キャパシタ13にはバラツキがあり、特に劣化が進んで動作限界に近づくにつれ図2の点線で示したように充電が早く終了する。
すなわち、劣化すると内部抵抗値Rが大きくなり、容量値Cが小さくなるので、蓄えられる電荷量Qも小さくなる。電荷量Qは図2のグラフにおける充電中の時間積分(面積)に相当するが、点線の劣化が進んだキャパシタyはQが小さいので充電時の傾きが大きくなり、早々と基準電圧(満充電)に至るのである。
従って、充電完了時間はキャパシタ13によって異なるため、充電は全てのキャパシタ13が基準電圧になるまで行われる。
なお、このようなキャパシタyに対してもキャパシタxと同様の方法で内部抵抗値Ryや容量値Cyを求めておく。
以上のようにして充電が完了すると、充電スイッチ14をオフにする。この時点で300個の全キャパシタ13の内部抵抗値Rと容量値Cが求められている。
次に各キャパシタ13の劣化進行度を予測し、劣化進行度の平均値から劣化が進んだキャパシタ13に対しては劣化の進行を遅延させるようバランス電圧を制御する。
また、蓄電装置としての規定電圧を保持するため、劣化進行に余裕のあるキャパシタ13に対しては劣化負荷をかけるようバランス電圧の制御を行う。
このバランス電圧を求める方法について説明する。
図3は容量値Cを横軸に、内部抵抗値Rを縦軸に取った時の各温度におけるキャパシタ13の動作限界線を示す。すなわち、上述した方法で求めたCとRを座標(C、R)としてプロットした時、現在の温度における動作限界線を越えていれば、そのキャパシタ13は動作限界に達したと判断できる。
なお、動作限界線はあらかじめキャパシタ13の動作限界試験を行うことによって求めており、そのデータはマイクロコンピュータ37に記憶されている。
図3に既に求めた300個のキャパシタ13の座標(Cn、Rn):n=1〜300をプロットしたイメージを点で示す。
キャパシタ13が全て新品でCやRにバラツキが少ないものを選別して使用した場合は図3のグラフの右下の方に座標点が固まるが、通常の使用途上を考えると、キャパシタ13はバラツキが発生してくるので、ある程度の幅を持ちながら劣化が進む。
そして、動作限界に近づくと容量値Cは下がり内部抵抗値Rは上がるので、全体的に右下から左上の分布となる。図3はこのような状態の分布をイメージして示したものである。
このような分布を持つキャパシタ13の劣化進行度予測について説明する。
本来は前記のように容量値Cは下がり内部抵抗値Rは上がるので、ここではその傾向の延長線が動作限界線に至るまでの距離を劣化進行度と定義する。但し、CでもRでも劣化進行度に対する挙動(動作限界線に至るまでの距離の変化)は同様であるので、どちらかのパラメータを用いて劣化進行度制御を行えばよい。
しかし、容量値Cについては、図2で説明したVdx(傾き)を監視および制御することになるが、CやRは充電中に求めるので、充電が終了してしまってからではVdxを監視および制御することができない。
そこで、劣化進行度のもう1つのパラメータとして内部抵抗値Rの制御に着目した。
図3の300個のプロットにおいて、CnおよびRnを平均した座標(Cm、Rm)のプロットを黒丸で示した。このプロットの内、平均内部抵抗値Rmに対する劣化進行度は、現在の温度を30℃とすると(温度は温度センサ41の温度データより知ることができる)、前記定義に従ってRmと30℃の動作限界線の最短距離Rlmに相当する。
そこで、300個のキャパシタ13のRnと動作限界線までの最短距離、すなわち、劣化進行度Rlnが全てRlmになるように各キャパシタ13への両端電圧を補正するようにした。
つまり、キャパシタxのように劣化進行度Rlxがまだ長いものについては少し高いバランス電圧を与えることで動作限界特性において負荷をかける(劣化進行度を少し短くなる方向にする)調整を行い、逆にキャパシタyのように劣化進行度Rlyが短いものについては動作限界特性において負荷を低減するよう少し低いバランス電圧を与えることで劣化進行度を延ばす方向に調整を行う。
これにより、全てのキャパシタ13の劣化進行度のバラツキ幅が小さくなるように調整される。
これは、キャパシタ13の劣化進行度、換言すると寿命はバランス電圧によって大きく左右され、バランス電圧が大きいほど寿命が短くなる特徴を利用している。
このような制御方法を以下に具体的に説明する。
キャパシタxについては劣化進行度Rlxが平均劣化進行度Rlmより長いので、その差分ΔRlxを加えることでほぼ平均劣化進行度Rlmとすることができる。
同様に、キャパシタyについては劣化進行度Rlyが平均劣化進行度Rlmより短いので、その差分ΔRlyを差し引くことでほぼ平均劣化進行度Rlmとすることができる。
従って、図4に示すように、満充電下にある現在のキャパシタxおよびキャパシタyの両端電圧Vx、Vyに対し、前述の特徴を利用し前者に対してはΔRlx相当の電圧を加え、後者にはΔRly相当の電圧を差し引く制御をすることで、劣化進行度を制御する。
この時の調整電圧は、
+ΔVlx=+ΔRlx・I (3)
−ΔVly=−ΔRly・I (4)
として求め、これらの調整電圧相当の劣化進行ないしは劣化抑制を図っている。なお、Iは電流である。
従って、実際の動作をまとめると以下のようになる。
まず全てのキャパシタ13が基準電圧(満充電)になってから、上記の劣化進行度の補正計算を行い、各キャパシタ13におけるΔVln(n=1〜300)を求める。
次に充電スイッチ14をオンにして全キャパシタ13の両端に規定電圧(本実施の形態1では750V)を印加した状態にした後、図4に示す任意のバランス電圧調整タイミングで各々決定したΔVlnだけ基準電圧が変わるようにデジタルポテンショメーター33を調整する。
ここで、デジタルポテンショメーター33にはシリアル通信によりマイクロコンピュータ37の調整信号が伝達される構成とした。
このため、300個のデジタルポテンショメーター33に対し、1つのマイクロコンピュータ37から一度にシリアル通信で調整信号を伝達すると非効率なので、制御部30毎に接続された4つのデジタルポテンショメーター33に調整信号を伝達するようにしている。
なお、充放電制御回路12は各制御部30からのバランス電圧情報を収集し、各制御部30からのバランス電圧を相互調整することで、蓄電装置全体として規定電圧になるようにしている。
この時、デジタルポテンショメーター33は光電変換器群36を介し制御することでマイクロコンピュータ37と周辺回路17を電気的に絶縁するようにしている。
なお、キャパシタ13の両端電圧を下げる方向の調整はスイッチ25をオンにしてバランス抵抗24に電流を流すことで実施できるが、上げる方向については電圧を印加する必要がある。そのため、全キャパシタ13の両端に対し再度充電制御を行うことで、キャパシタ13の両端電圧の調整を可能としている。
以上のように、基準電圧、換言するとバランス電圧を平均劣化進行度に近づくように調整するので、各キャパシタ13の両端電圧は相違するものの、全キャパシタ13の両端電圧は750Vであり、必要な電圧は確保できる。
全キャパシタ13の調整が終了すれば、充電スイッチ14をオフにする。
以上のようにして、各キャパシタ13のバランス電圧を調整し各キャパシタの劣化進行のバラツキ幅が小さくなるようにバランス電圧設定手段31を制御している。
なお、バランス電圧の調整時にキャパシタ13の両端電圧を上げる場合は、あまり高電圧にすると急速に劣化が進行してしまうため、規定電圧を超えないように制御している。規定電圧としては、例えばキャパシタ13の定格電圧に対し10%増しの電圧としている。従って、キャパシタ13の両端電圧が前記規定電圧より小さくなるように、マイクロコンピュータ37がデジタルポテンショメーター33を制御することによって、キャパシタ13の急速な劣化を避けることができ、蓄電装置の耐用時間を延長することが可能となる。
また、本実施の形態1では各キャパシタ13の平均劣化進行度に近づくようにバランス電圧を調整しているものの、いずれ全てのキャパシタ13が劣化していくことは避けられない。そこで、制御部30は劣化進行度検出手段により各キャパシタ13の劣化進行度を検出し、充放電制御回路12に送信しているが、この時に得られた劣化進行度から全キャパシタ13が劣化していることがわかれば、充放電制御回路12は、その情報をコネクタ12aからハイブリッド自動車の制御回路(図示せず)へ出力している。これにより、ハイブリッド自動車の制御回路は運転者に警告を出す等の動作を行うことで、蓄電装置の耐用時間が経過したことを知らせている。このように動作することで、蓄電装置の耐用時間の延長制御を行いつつ、全キャパシタ13の劣化時における信頼性も確保している。
また、車両の使用を終わりIGをオフにすると、本実施の形態1ではキャパシタの寿命をより延ばすために放電スイッチ15をオンにして強制放電しているが、再度車両を使用するときにIGをオンにすると、デジタルポテンショメーター33には不揮発性メモリ35が内蔵されているので、バランス電圧設定手段31が出力する基準電圧Vfは前回調整したバランス電圧となる。
この場合でもこれまで説明した方法で再度基準電圧調整を行う。これを車両の使用の都度、繰り返すことで、最終的には全キャパシタ13の劣化進行をほぼ等しくすることができる。
なお、本実施の形態1では、基準電圧調整は図2や図4に示したキャパシタ13への充電特性が必要なので、車両や蓄電装置本体の起動時に行っている。
但し、キャパシタ13の劣化が急峻に進行することはほとんどないので、基準電圧調整は車両の起動毎である必要はなく、既定の一定時間毎、例えば車両の点検毎に実施してもよい。
以上の構成、動作により、全キャパシタ13の劣化進行を制御し劣化進行度のバラツキ幅を小さくすることで、従来に比べ蓄電装置としての耐用時間の延長を図り、結果としてキャパシタ13や蓄電装置本体そのものの交換回数を極力減らすことが可能な蓄電装置が実現できた。
なお、本実施の形態1ではキャパシタ13を300個直列に接続したが、これは必要とする電力に応じて並列や直並列混在の接続としてもよい。
また、本実施の形態1では車両の使用終了後に各キャパシタ13を強制放電するシステムについて説明したが、これは自然放電するシステムにおいても同様に調整してもよい。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について、図面を参照しながら説明する。
図5は、本発明の実施の形態2における蓄電装置の一部省略ブロック回路図である。図6は、本発明の実施の形態2における蓄電装置のキャパシタ漏れ電流と劣化進行度比の相関図である。図7は、本発明の実施の形態2における蓄電装置のキャパシタ漏れ電流変化量とバランス電圧変化量の相関図である。
なお、図5において、図1と同一構成部分には同一番号を付与して詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
すなわち本実施の形態2の特徴となる点は、各キャパシタ13の劣化進行度を内部抵抗値Rから求めるのではなく、各キャパシタ13の漏れ電流から求めた点である。
ここでは、漏れ電流から劣化進行度を求める際の構成および動作について詳細を述べる。
まず、実施の形態1との構成上の違いは図1と図5の対比から以下の通りである。
1)サンプリングコンデンサ20を廃した
2)キャパシタ13の両端電圧を制御部30で取り込まないようにした
3)スイッチ21(3端子タイプ)の一方は従来通りのバランス電圧調整手段23を接続し、他方はキャパシタ13と電流検出手段16と定電圧源42が直列に閉ループ回路となるよう接続した
4)図1の充電スイッチ14と直列に接続した電流検出手段16を廃した
次に、動作について説明する。
車両を使用する際にIGをオンにすると、その情報が充放電制御回路12より各制御部30のマイクロコンピュータ37に入力される。
充放電制御回路12は充電スイッチ14をオンに、各制御部30のマイクロコンピュータ37はスイッチ21をバランス電圧調整手段23側に切り替える。これによりバッテリ11から充電電流が流れる。
なお、スイッチ21は実施の形態1と同様に300個設けられ、全て一斉に充放電制御回路12からの指示データにより制御部30を介し同じ方向に切り替わるように構成されている。
全キャパシタ13がバランス電圧調整手段23によって両端電圧を調整しながら満充電になるまで充電を連続して行う。
充電が完了したら、充放電制御回路12は充電スイッチ14をオフにした後、各制御部30に同報出力によりスイッチ21を電流検出手段16側に切り替える情報を伝送する。
これにより、劣化進行度検出手段の一部を形成するキャパシタ13、定電圧源42、電流検出手段16、スイッチ21の閉回路が構成される。なお、劣化進行度検出手段には他に制御部30に内蔵したマイクロコンピュータ37のソフトウエアが含まれる。その動作については後述する。
スイッチ21の切り替えにより構成された閉回路には、理想的には電流が流れないが、キャパシタ13の劣化進行によりキャパシタ13の漏れ電流LCが流れる。これは劣化とともにキャパシタ13の絶縁抵抗が低下することに起因するもので、キャパシタ13の劣化進行に直結するデータとなる。このLCを電流検出手段16で検出する。
なお、本実施の形態2においては、この電流検出手段16を高精度な抵抗より構成し、LCにより前記抵抗の両端に発生する両端電圧からLCを計測するようにした。
なお、電流検出手段16は例えば磁界センサ等による電気的絶縁手法による構成を用いることも可能である。
ここで、実施の形態1と同様に、300個のキャパシタ13のLCを素早く測定するために、75個の制御部30により、それぞれ4個のキャパシタ13のLCを計測するようにしている。
計測方法は実施の形態1と同様に、電流検出手段16の出力をマルチプレクサ39により順次切り替えて取り込んでいる。
LCの取り込みが終われば、スイッチ21を再びバランス電圧調整手段23側に切り替える。
次に、得られたLCから劣化進行度比Lを求める。ここで劣化進行度比Lとは、キャパシタ13の劣化進行度の限界値を1とした時の、現在の劣化進行度との比率を想定した値であり、例えば車両用として20年を劣化進行度の限界値とすると、20年が1となるので、0.5は劣化進行度が10年ということになる。
この劣化進行度比LはLCと相関があり、両者の関係を実験的に求めた結果を図6に示す。なお、図6で横軸は漏れ電流LC、縦軸は劣化進行度比Lである。
図6より劣化進行度比LはLCと非線形逆比例の関係にあり、LCが大きくなるほど劣化進行度比Lは小さい、すなわち耐用時間が短いということになる。また、LCが大きくなるにつれ急激に劣化進行度比Lが小さくなる領域が存在する。
従って、以下のようにして各キャパシタ13のバランス電圧の調整を行っている。
まず、300個のキャパシタ13それぞれに対するLCから劣化進行度比Lを求める。その様子を図6に示す。LCはバラツキがあるので、横軸に示した最大漏れ電流LCmaxと最小漏れ電流LCminの幅に対応して劣化進行度比Lは最大劣化進行度比Lmaxと最小劣化進行度比Lminの幅でばらつくことになる。
次に、全劣化進行度比Lを平均し、平均劣化進行度比Lmを求める。Lmを図6の縦軸に黒丸で示す。
ここで、任意のキャパシタxを考える。キャパシタxの劣化進行度比LはLxであったとする。Lxを図6の縦軸に白丸で示す。
図6よりLxはLmより大きいので平均より劣化進行度が大きいといえる。そこで、劣化進行度を平均化するために劣化進行度の大きいものは小さくなるように、小さいものは大きくなるように、各キャパシタ13に平均劣化進行度比Lmとの偏差ΔLxを求め、ΔLxに対応したバランス電圧Vの制御を実行する。
これについて以下に具体的に説明する。
キャパシタxの劣化進行度比Lxと上記平均劣化進行度比Lmから偏差ΔLxは(5)式で示される。
ΔLx=Lx−Lm (5)
次に、ΔLxに相当する漏れ電流の偏差(変化量)ΔLCxを求める。そのためにLxに対応する漏れ電流LCxを図6の矢印に従って読み取る。同時にLmに対応する漏れ電流LCmを図6の矢印に従って読み取る。
得られたLCxとLCmの偏差が漏れ電流変化量ΔLCxである。
すなわち、
ΔLCx=LCm−LCx (6)
から求められる。
ΔLCxが決まれば図7よりキャパシタxのバランス電圧変化量ΔVxが求まる。
すなわち、図7は横軸が漏れ電流変化量ΔLC、縦軸がバランス電圧変化量ΔVを表し、両者の相関関係を実験的に求め、温度毎に示したものであるので、現在の温度が50℃とすると、そのグラフ(太線で示した)において、ΔLCxに対応したバランス電圧変化量ΔVxは図中の矢印のようにグラフを読むことによって決定できる。これにより温度補正されたバランス電圧変化量ΔVxが得られる。
以上の手順で全キャパシタ13のバランス電圧変化量ΔVn(n=1〜300)と現在のバランス電圧Vfnから(7)式よりバランス電圧Vnを決定していく。
Vn=Vfn+ΔVn (7)
上記によるバランス電圧Vnが全て決定したら、マイクロコンピュータ37は光電変換器群36を介してバランス電圧設定手段31のデジタルポテンショメーター33を調整し、各キャパシタ13の両端電圧がバランス電圧Vnになるよう制御する。
この後の動作は実施の形態1と同様であるので詳細は省略するが、これにより素早く300個のキャパシタ13の両端電圧をバランス電圧Vnにすることができる。
以上の動作でキャパシタ13の劣化進行度を平均化する調整が完了する。この動作は、キャパシタ13が急峻に劣化することは通常ほとんどないので、本実施の形態2では車両や蓄電装置本体の点検時に行うようにしている。
この際、実施の形態1と同様にデジタルポテンショメーター33は不揮発性メモリ35で設定値を記憶しているので、再起動時に点検時設定のVn(=基準電圧Vf)でキャパシタ13の両端電圧を調整している。
以上の構成、動作により、全キャパシタ13の劣化進行度のバラツキ幅が小さくなるため、従来に比べ蓄電装置として耐用時間を延ばすことができ、結果としてキャパシタ13や蓄電装置本体そのものの交換回数を極力減らすことが可能な蓄電装置が実現できた。
(実施の形態3)
図8は本発明の実施の形態3における高精度蓄電装置の一部省略ブロック回路図である。
なお、図8において、図5と同一構成部分には同一番号を付与して詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
すなわち本実施の形態3の特徴となる点は、各キャパシタ13の近傍にそれぞれ温度センサ41を設けたことである。
これは、300個ものキャパシタ13が全て同じ温度とは限らず、蓄電装置の内部温度にムラが発生するような場合に有効である。
これに伴い、300ヶ所の温度を高速に読み込む必要があるため、温度センサ41の出力は制御部30のマルチプレクサ39に接続され、電流検出手段16の出力を順次読み込む時に、4個の温度センサ41の温度データも同時に読み込む動作を75個の制御部30で一斉に行うようにしている。
このように、各キャパシタ13の温度を正確に読み込むことにより、図7でバランス電圧Vnを決定する際に、より正確な温度に応じたグラフから温度補正されたVnを決定できるので、その分高精度に劣化進行度の調整ができる。
なお、その他の構成、動作は実施の形態2と同一である。
以上の構成、動作により、実施の形態2の構成に比べさらなるキャパシタ13の劣化進行度の延長が可能な蓄電装置を実現できる。
なお、各キャパシタに温度センサ41を設ける構成は実施の形態1の蓄電装置にも適用可能であり、同様の効果が得られる。
(実施の形態4)
図9は本発明の実施の形態4における温度調節器付き蓄電装置の一部省略ブロック回路図である。
なお、図9において、図8と同一構成部分には同一番号を付与して詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
すなわち本実施の形態4の特徴となる点は、300セットのキャパシタ13と周辺回路17を温度調節器43の中に設けたことである。これにより、キャパシタ13と周辺回路17の全体の温度を一定温度に保つことが可能となる。
温度調節器43の温度は、充放電制御回路12の指令に基づきマイクロコンピュータ37を介して設定温度信号が温度調節器制御部44に伝達される。これにより温度調節器43は任意の設定温度で一定に保たれる。
この場合、各キャパシタ13の温度を一定にした状態で各キャパシタ13へのバランス電圧Vnを求める事ができるので、図7による温度補正後のVn決定が極めて正確になる上、温度調節器43を用いているとはいえ僅かに存在する温度ムラを各キャパシタ13に設けた温度センサ41で検出することができるので、実施の形態3に比べより一層高精度に劣化進行度の調整が可能になる。
さらに温度調節器43を備えたことにより、図3から明らかなように温度が低いほどキャパシタ13の劣化進行度は大きく(長く)なるので、温度を低く調整することでキャパシタ13の劣化進行度を延ばすことができる。
なお、その他の構成、動作は実施の形態2と同一である。
以上の構成、動作により、実施の形態3の構成に比べ一層キャパシタ13の劣化進行度の延長が可能な蓄電装置を実現できる。
なお、キャパシタ13や周辺回路17の全体を温度調節器に内蔵する構成は実施の形態1の蓄電装置にも適用可能であり、同様の効果が得られる。
本発明にかかる蓄電装置は各キャパシタの劣化進行度をそれぞれ調整することにより、全キャパシタの劣化進行度のバラツキ幅を小さくすることで、蓄電装置としての耐用時間の延長を図ることができ、その結果キャパシタや蓄電装置本体そのものの交換回数を極力減らすことが可能となるため、特にハイブリッド自動車のモーター駆動バッテリの補助用蓄電装置等として有用である。
本発明の実施の形態1における蓄電装置の一部省略ブロック回路図 本発明の実施の形態1における蓄電装置の充電時におけるキャパシタ両端電圧の経時変化特性図 本発明の実施の形態1における蓄電装置の容量値と内部抵抗値をパラメータとしたキャパシタ動作限界特性図 本発明の実施の形態1における蓄電装置のバランス電圧調整後のキャパシタ両端電圧の経時変化特性図 本発明の実施の形態2における蓄電装置の一部省略ブロック回路図 本発明の実施の形態2における蓄電装置のキャパシタ漏れ電流と劣化進行度比の相関図 本発明の実施の形態2における蓄電装置のキャパシタ漏れ電流変化量とバランス電圧変化量の相関図 本発明の実施の形態3における高精度蓄電装置の一部省略ブロック回路図 本発明の実施の形態4における温度調節器付き蓄電装置の一部省略ブロック回路図 従来の異常検出方法を示すブロック回路図
符号の説明
13 キャパシタ
16 電流検出手段
21 スイッチ
23 バランス電圧調整手段
30 制御部
33 デジタルポテンショメーター
35 不揮発性メモリ
36 光電変換器群
37 マイクロコンピュータ
41 温度センサ
42 定電圧源
43 温度調節器

Claims (10)

  1. 直列または並列または直並列に接続された複数のキャパシタと、
    前記キャパシタの劣化進行度を求める劣化進行度検出手段と、
    前記各キャパシタに接続されたバランス電圧調整手段と、
    前記劣化進行度検出手段と前記バランス電圧調整手段が接続され、マイクロコンピュータを内蔵した制御部とからなり、
    前記制御部は前記劣化進行度検出手段で検出された前記各キャパシタの劣化進行度の平均値から、前記各キャパシタの劣化進行度のバラツキ幅が小さくなるようなバランス電圧をそれぞれ求め、
    接続された前記全キャパシタの両端に電圧を印加した状態で、
    前記各キャパシタの両端電圧が前記バランス電圧になるよう前記バランス電圧調整手段を制御する蓄電装置。
  2. 劣化進行度検出手段は蓄電装置本体の起動時に各キャパシタを充電する際の電流、電圧、および前記キャパシタ近傍に設けた温度センサからの温度データを基にして求めた前記各キャパシタの内部抵抗値と劣化進行度の相関関係から各キャパシタの劣化進行度を求める請求項1に記載の蓄電装置。
  3. 劣化進行度検出手段は各キャパシタに並列に接続した定電圧源と、
    前記キャパシタと前記定電圧源の間に直列に接続した電流検出手段と、
    前記キャパシタと前記電流検出手段の間に接続した、バランス電圧調整手段または前記電流検出手段のいずれか一方に切り替えるスイッチとからなり、
    劣化進行度を検出する際は、前記スイッチが前記電流検出手段側を選択することにより前記キャパシタの漏れ電流を求め、
    前記漏れ電流と劣化進行度の相関関係から前記各キャパシタの劣化進行度を求める請求項1に記載の蓄電装置。
  4. バランス電圧調整手段の制御は既定の一定期間毎に行う請求項1に記載の蓄電装置。
  5. キャパシタ全体の温度を一定に保つ温度調節器を設け、
    前記各キャパシタの温度を一定にした状態で前記各キャパシタのバランス電圧を求める請求項1に記載の蓄電装置。
  6. 制御部に電気的間接接続手段を設けることでバランス電圧調整手段とマイクロコンピュータを電気的に絶縁した請求項1に記載の蓄電装置。
  7. バランス電圧調整手段は制御部からの信号により抵抗値が調整可能な不揮発性メモリを内蔵したデジタルポテンショメーターである請求項1に記載の蓄電装置。
  8. 各キャパシタ近傍にそれぞれ温度センサを設け、前記各キャパシタのバランス電圧を温度補正して決定する請求項1に記載の蓄電装置。
  9. バランス電圧調整手段は、各キャパシタの両端電圧が規定電圧を超えないように制御する請求項1に記載の蓄電装置。
  10. 劣化進行度検出手段により、全てのキャパシタが劣化していることが検出されれば、その情報を出力する請求項1に記載の蓄電装置。
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