JP2007122907A - 水系電極ペースト製造方法およびその利用 - Google Patents
水系電極ペースト製造方法およびその利用 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】電池用の電極を作製するためのペーストであって、活物質としてのリチウム遷移金属複合酸化物と水系溶媒とを含み、調製後における流動性の変動が少ない水系電極ペーストを製造する方法を提供すること。
【解決手段】本発明の水系電極ペースト製造方法は、リチウム遷移金属複合酸化物の粒子がポリマーの水系溶液に分散している予備混合物を用意することを含む。また、該予備混合物にポリマー粒子の水系分散液を加えて攪拌することを含む。ここで、該水系分散液を加えた後の攪拌条件を、ずり速度10秒-1以下に保持することを特徴とする。かかる製造方法によると、調製後における流動性の変動(例えば粘度の低下)が少ない水系電極ペーストを得ることができる。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の水系電極ペースト製造方法は、リチウム遷移金属複合酸化物の粒子がポリマーの水系溶液に分散している予備混合物を用意することを含む。また、該予備混合物にポリマー粒子の水系分散液を加えて攪拌することを含む。ここで、該水系分散液を加えた後の攪拌条件を、ずり速度10秒-1以下に保持することを特徴とする。かかる製造方法によると、調製後における流動性の変動(例えば粘度の低下)が少ない水系電極ペーストを得ることができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、電池用の電極を作製するための水系電極ペーストを製造する方法ならびに該ペーストを用いて電池用の電極および電池を製造する方法に関する。
活物質が適当な媒体に分散されたペースト状組成物(電極ペースト)を集電体に付与して電池用の電極を製造する技術が知られている。前記媒体を構成する溶媒が水系溶媒である水系電極ペーストを用いることは、材料費の低減、設備の簡略化、廃棄物の減量、取扱性の向上等の観点から好ましい。このような水系電極ペーストの一つの代表的な組成では、該ペーストが一種または二種以上のポリマー成分を含む。例えば、前記水系溶媒に溶解するポリマー(セルロース系ポリマー等)をペーストに含有させて、該ペーストの流動性(典型的には、粘度を指標として把握され得る。)を調節することができる。また、水系溶媒に分散するポリマー粒子をさらに含有させてもよい。特許文献1には、活物質としての二酸化マンガン粉末とカルボキシメチルセルロース水溶液と四フッ化エチレン樹脂のディスパージョン水溶液とを用いて正極合剤を製造することが記載されている。
ところで、水系溶媒に溶解するポリマーを含む水系電極ペーストであって活物質がリチウム遷移金属複合酸化物である場合、該ペーストを調製してから時間が経つとその流動性が大きく変動する(例えば、該ペーストの粘度が大幅に低下する)現象がみられることがあった。このため、実際に電極の製造に用いられる際における電極ペーストの流動性がバラつきやすく、その結果、得られる電極の品質が不安定となったり電極製造条件の調整が煩雑になったりする不都合があった。
そこで本発明は、活物質がリチウム遷移金属複合酸化物である水系電極ペーストであって調製後における流動性の変動が少ない水系電極ペースト製造方法を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、かかる方法により得られた水系電極ペーストを用いて電池用電極および電池を製造する方法を提供することである。
本発明によると、電池用電極を作製するためのペーストであって、活物質としてのリチウム遷移金属複合酸化物と水系溶媒とを含む水系電極ペーストを製造する方法が提供される。その製造方法は、前記リチウム遷移金属複合酸化物の粒子がポリマーの水系溶液に分散している予備混合物を用意することを含む。また、該予備混合物にポリマー粒子の水系分散液を加えて攪拌することを含む。そして、前記水系分散液を加えた後の攪拌条件を、ずり速度10秒-1以下に保持する。換言すれば、該分散液を加えた後は、ずり速度が10秒-1を超える条件で攪拌を行うことなく目的物たる水系電極ペーストを製造する。
かかる製造方法によると、所定の流動性を示すように調製された水系電極ペーストであって、その調製後における流動性(典型的には粘度)の変動が少ない水系電極ペーストを得ることができる。このような水系電極ペーストによれば、安定した品質の電極を効率よく製造することができる。
かかる製造方法によると、所定の流動性を示すように調製された水系電極ペーストであって、その調製後における流動性(典型的には粘度)の変動が少ない水系電極ペーストを得ることができる。このような水系電極ペーストによれば、安定した品質の電極を効率よく製造することができる。
ここに開示される水系電極ペースト製造方法の好ましい一つの態様では、前記リチウム遷移金属複合酸化物が、ニッケル、コバルトおよびマンガンのいずれかを主たる構成遷移金属元素とする酸化物である。このようなリチウム遷移金属複合酸化物を活物質として含む水系電極ペーストの製造においては、本発明の方法を採用することによる効果が特によく発揮され得る。特に好ましい一つの態様では、前記リチウム遷移金属複合酸化物の主たる構成遷移金属元素がニッケルである。
前記水系溶液としては、セルロース系ポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース)が水系溶媒(典型的には水)に溶解している溶液を好ましく使用することができる。このようなセルロース系ポリマーの使用は、コストや取扱性等の点で有利である一方、従来の製造方法ではペースト調製後の流動性が変動しやすかったところ、本発明の製造方法によればかかる流動性の変動を適切に抑制することができる。
ここに開示される水系電極ペースト製造方法の好ましい一つの態様では、前記ポリマー粒子の水系分散液を構成するポリマー粒子がポリテトラフルオロエチレン粒子である。かかる態様によると、ペースト調製後の流動性の変動が適切に抑制されるとともに、このペーストを用いて製造される電池用電極において該ポリテトラフルオロエチレン粒子を結着剤として好適に機能させることができる。
本発明によると、また、活物質としてのリチウム遷移金属複合酸化物と水系溶媒とを含む水系電極ペーストを集電体に付与することを含む電池用電極製造方法が提供される。その電極製造方法は、該水系電極ペーストとして、上述したいずれかの方法により製造された水系電極ペーストを選択することを特徴とする。
該水系電極ペーストは流動性の変動が抑制されている(例えば、粘度の安定性が良い)。したがって、かかる製造方法によると、安定した品質の電池用電極を効率よく製造することができる。
該水系電極ペーストは流動性の変動が抑制されている(例えば、粘度の安定性が良い)。したがって、かかる製造方法によると、安定した品質の電池用電極を効率よく製造することができる。
本発明によると、さらに、上記方法により製造された電極を用いて電池を構築する電池製造方法が提供される。典型的には、該電極を正極に用いて電池(例えば、リチウム二次電池)を構築する。かかる製造方法によると、安定した品質の電池を効率よく製造することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している内容以外の技術的事項であって本発明の実施に必要な事項は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている技術内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明の方法は、電池用電極(典型的には、リチウム二次電池の正極)を製造するためのペーストであって、リチウムと遷移金属化合物とを構成元素とする酸化物(リチウム遷移金属複合酸化物)から実質的に構成される活物質と水系溶媒とを含む水系電極ペーストの製造に適用される。ここで「水系溶媒」とは、水または水を主体とする混合溶媒を指す。この混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択することができる。特に好ましい水系溶媒は水である。ここに開示される方法は、例えば、水系溶媒の80質量%以上(より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上)が水である水系電極ペーストの製造に好ましく適用され得る。
この方法により製造されるペーストは、例えば、集電体(金属箔等)に付与されて該集電体上に電極活物質層を形成するための水系電極ペーストであり得る。該ペーストに含まれる活物質が、リチウム・ニッケル複合酸化物(該酸化物を構成する主たる遷移金属元素がニッケルであるリチウム遷移金属複合酸化物をいう。以下同じ。)、リチウム・コバルト複合酸化物およびリチウム・マンガン複合酸化物から選択される一種または二種以上のリチウム遷移金属複合酸化物から実質的に構成される場合には、本発明の方法を適用することによる効果がよりよく発揮される。このようなリチウム遷移金属複合酸化物を活物質として含む水系電極ペーストは、従来の技術によると調製後に流動性が変動する現象が生じやすかったためである。特に好ましい適用対象は、リチウム・ニッケル複合酸化物を活物質とする水系電極ペーストである。
ここで「リチウム・ニッケル複合酸化物」とは、リチウムとニッケルとを構成金属元素とする酸化物の他、リチウムおよびニッケル以外に他の少なくとも一種の金属元素(すなわち、リチウムおよびニッケル以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)を含む複合酸化物をも包含する意味である。そのような複合酸化物は、例えば下記一般式(1)で表すことができる。
LiNi1−xAxO2 ・・・(1)
ここで、上記式(1)中のAは、コバルト(Co),アルミニウム(Al),マンガン(Mn),クロム(Cr),鉄(Fe),バナジウム(V),マグネシウム(Mg),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),ニオブ(Nb),モリブデン(Mo),タングステン(W),銅(Cu),亜鉛(Zn),ガリウム(Ga),インジウム(In),スズ(Sn),ランタン(La)およびセリウム(Ce)からなる群から選択される一種または二種以上の金属元素であり得る。また、式(1)中のxは0≦x≦0.7であり、好ましくは0.1<x<0.3である。
LiNi1−xAxO2 ・・・(1)
ここで、上記式(1)中のAは、コバルト(Co),アルミニウム(Al),マンガン(Mn),クロム(Cr),鉄(Fe),バナジウム(V),マグネシウム(Mg),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),ニオブ(Nb),モリブデン(Mo),タングステン(W),銅(Cu),亜鉛(Zn),ガリウム(Ga),インジウム(In),スズ(Sn),ランタン(La)およびセリウム(Ce)からなる群から選択される一種または二種以上の金属元素であり得る。また、式(1)中のxは0≦x≦0.7であり、好ましくは0.1<x<0.3である。
同様に、リチウム・コバルト複合酸化物とは、リチウムおよびコバルト以外に他の少なくとも一種の金属元素(例えば、Ni,Mn,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Zr,Nb,Mo,W,Cu,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上の金属元素)を含む複合酸化物をも包含する意味であり、リチウム・マンガン複合酸化物とは、リチウムおよびマンガン以外に他の少なくとも一種の金属元素(例えば、Ni,Co,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Zr,Nb,Mo,W,Cu,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上の金属元素)を含む複合酸化物をも包含する意味である。
このようなリチウム遷移金属複合酸化物としては、例えば、従来公知の方法で調製・提供されるものをそのまま使用することができる。例えば、原子組成に応じて適宜選択されるいくつかの原料化合物を所定のモル比で混合し、適当な手段で焼成することによって調製することができる。また、焼成物を適当な手段で粉砕、造粒及び分級することによって、所望する平均粒径および/または粒径分布を有する二次粒子によって実質的に構成されたリチウム遷移金属複合酸化物粉末を得ることができる。本発明の方法は、例えば、平均粒径が凡そ5μm〜25μmの範囲にある二次粒子によって実質的に構成されたリチウム遷移金属複合酸化物粉末を用いて好ましく実施することができる。このようなリチウム遷移金属複合酸化物粉末の調製方法自体は本発明を何ら特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
ここに開示される水系電極ペースト製造方法では、かかるリチウム遷移金属複合酸化物の粒子がポリマーの水系溶液に分散している予備混合物を用意する。すなわち、この予備混合物は、リチウム遷移金属複合酸化物の粒子(リチウム遷移金属複合酸化物粉末)と、水系溶媒(典型的には水)と、該水系溶媒に溶解しているポリマーとを含む。このような予備混合物において水系溶媒に溶解しているポリマー(以下、水溶性ポリマーということもある。)は、該水系溶媒に溶解可能なものであれば特に限定されず、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)等のセルロース系ポリマー(セルロース誘導体);ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体(PEO−PPO)等のポリアルキレンオキサイド;ポリビニルアルコール(PVA);ポリアクリルアミド(PAAD);等から選択される一種または二種以上のポリマーであり得る。コストや取扱性等の観点から、セルロース系ポリマーを好ましく採用することができる。本発明にとり特に好ましい水溶性ポリマーとしてCMCが例示される。
かかる組成の予備混合物は、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物粉末(以下、活物質粉末ということもある。)と水系溶媒と水溶性ポリマーとを所定の割合(例えば質量比)で混合することにより調製することができる。特に限定するものではないが、水系溶媒と活物質粉末との質量比は例えば凡そ100:50〜100:150程度とすることができる。また、活物質粉末と水溶性ポリマーとの質量比は例えば凡そ100:0.5〜100:3程度とすることができる。この予備混合物の粘度が、25℃においてE型粘度計にて1rpmの条件で測定した粘度として凡そ1000〜15000mPa・s(より好ましくは、3000〜8000mPa・s)程度となるように、各成分の混合割合および水溶性ポリマーの種類(組成、分子量等)を選択するとよい。
予備混合物を調製する際の各成分の混合順序は特に限定されない。例えば、攪拌機を備えた容器内に所定量の水系溶媒(例えばイオン交換水)を入れて該攪拌機により攪拌しつつ、ここに活物質粉末および粉末状の水溶性ポリマー(例えばCMC粉末)を投入することにより、該水溶性ポリマーを水系溶媒に溶解させるとともに活物質粉末を分散させることができる。また、あらかじめ水系溶媒に水溶性ポリマーを加えて該ポリマーの水系溶液を調製し、ここに活物質粉末を投入して分散させてもよい。あるいは、まず水系溶媒に活物質粉末を投入して分散させ、その分散液に粉末状の水溶性ポリマーを投入してもよい。これらの方法において、粉末状のポリマーを投入する代わりに、該ポリマーを比較的少量の水性溶媒に溶解させた濃厚溶液を使用してもよい。なお、この予備混合物を調製する際の攪拌条件(ずり速度等)には特に制限はない。
予備混合物を調製する際の各成分の混合順序は特に限定されない。例えば、攪拌機を備えた容器内に所定量の水系溶媒(例えばイオン交換水)を入れて該攪拌機により攪拌しつつ、ここに活物質粉末および粉末状の水溶性ポリマー(例えばCMC粉末)を投入することにより、該水溶性ポリマーを水系溶媒に溶解させるとともに活物質粉末を分散させることができる。また、あらかじめ水系溶媒に水溶性ポリマーを加えて該ポリマーの水系溶液を調製し、ここに活物質粉末を投入して分散させてもよい。あるいは、まず水系溶媒に活物質粉末を投入して分散させ、その分散液に粉末状の水溶性ポリマーを投入してもよい。これらの方法において、粉末状のポリマーを投入する代わりに、該ポリマーを比較的少量の水性溶媒に溶解させた濃厚溶液を使用してもよい。なお、この予備混合物を調製する際の攪拌条件(ずり速度等)には特に制限はない。
次いで、該予備混合物にポリマー粒子の水系分散液を添加する。該水系分散液は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重含体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA);スチレンブタジエンゴム(SBR);ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)等のビニリデン樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂;等から選択されるポリマーから主として構成されるポリマー粒子(表面が改質(例えば親水化処理)されたものであってもよい。)の一種または二種以上が水系溶媒(例えば水)に分散した液状組成物であり得る。該ポリマー粒子の平均粒径は特に限定されないが、通常は活物質粉末の平均粒径よりも小さいことが好ましい。例えば、平均粒径0.1〜1μm程度のポリマー粒子の水系分散液を好ましく使用することができる。また、該分散液の固形分濃度は、例えば30〜70質量%(より好ましくは50〜65質量%)程度であり得る。なお、ここで使用する水系分散液は、上記ポリマー粒子以外に、該ポリマー粒子の分散安定性を高めるための界面活性剤等を含有する組成であり得る。
ここに開示される製造方法では、前記水系分散液として、主としてフッ素系樹脂(典型的にはPTFE)から構成されるポリマー粒子が水系溶媒に分散したものを好ましく使用することができる。このような分散液の市販品として、ダイキン工業株式会社から入手可能な商品名「ポリフロン(登録商標)PTFE」ディスパージョン(グレードD−2C、等)、旭硝子株式会社から入手可能な商品名「Fluon(登録商標)PTFEディスパージョン」(グレードXAD911、XAD938等)、サンケミカル株式会社から入手可能なPTFEディスパージョンまたは変性PTFEディスパージョン(グレードFR301B、FR303A等)を例示することができる。
かかる水系分散液を前記予備混合物に加えて攪拌混合する。ここに開示される製造方法では、該分散液を加えて以降の攪拌条件を、ずり速度(shear rate)10秒-1以下に制限することが肝要である。例えば、ペーストの調製に使用する容器の大きさおよび形状、該容器に備えられる攪拌機の種類(特に、攪拌翼の数、形状、大きさおよび配置)、該容器を使用して調製されるペーストの量(容積)、予備混合物の粘度、目的物たる水系電極ペーストの目標粘度等を考慮して、ずり速度が10秒-1以下となるように攪拌条件(前記攪拌機の運転条件、例えば攪拌翼の回転数等)を設定するとよい。ずり速度が小さすぎると攪拌効率が低くペーストの製造効率が低下傾向となるため、通常は、ずり速度が0.2秒-1以上10秒-1以下となるように攪拌条件を設定することが適当である。予備混合物に水系分散液を加えた後の攪拌時間は特に制限されず、これらが均一に混合して該混合物の流動性(粘度等)がほぼ安定すればよい。例えば、水系分散液の添加後5〜30分程度攪拌することにより、目的とする水系電極ペーストを得ることができる。なお、ずり速度を10秒-1以下に維持する限り、さらに長時間攪拌を継続することは特に妨げられない。
本発明の方法により製造される水系電極ペーストは、活物質粉末(例えば、リチウムニッケル複合酸化物)100質量部に対して、水溶性ポリマー(例えばCMC)を0.5〜3質量部、ポリマー粒子(例えばPTFE粒子)を0.5〜3質量部の割合で含有する組成であり得る。この水系電極ペーストは、活物質粉末、水系溶媒、水溶性ポリマーおよびポリマー粒子の他に、一般的な電極ペーストに用いられる一種または二種以上の材料を必要に応じて含有することができる。そのような材料の代表例として導電材が挙げられる。該導電材としては、カーボンブラック(アセチレンブラック等)のような炭素粉末、ニッケル粉末等の導電性金属粉末等を用いることができる。特に限定するものではないが、活物質粉末100質量部に対する導電材の使用量は、例えば1〜15質量部程度とすることができる。このように導電材を含む組成の水系電極ペーストの製造に本発明を適用する場合、該導電材は、例えば予備混合物に含有させてもよく、水系分散液とともに、あるいは水系分散液を加えた後に添加してもよい。通常は、該導電材を予備混合物に含有させておく方法を好ましく採用することができる。
ここに開示される方法により製造される水系電極ペーストは、調製後における流動性(典型的には粘度)の変動が少ないことを特徴とする。したがって、この水系電極ペーストは、その使用時(電池用電極の作製時、例えば該ペーストを集電体に付与する際)に予定される流動性に応じた流動性となるように調製されることが好ましい。例えば、該ペーストの調製時における目標粘度を、25℃においてE型粘度計にて1rpmの条件で測定した粘度として凡そ3000〜12000mPa・s(好ましくは凡そ4000〜10000mPa・s、より好ましくは凡そ5000〜8000mPa・s)程度に設定することができる。この水系電極ペーストに占める固形分濃度(不揮発分、すなわち電極形成成分の割合)は、凡そ40〜60質量%(より好ましくは45〜55質量%、例えば50質量%前後)であり得る。かかる粘度および/または固形分濃度が実現されるように、各成分の割合および水溶性ポリマーの種類(組成、分子量等)を選択するとよい。また、ポリマー粒子の水系分散液を加えた後、得られる水系電極ペーストの粘度および/または固形分濃度をあらかじめ設定した目標値により近づけるように、さらに水溶性ポリマーまたは水系溶媒を加えて粘度および/または固形分濃度を調節してもよい。
本発明の方法を適用して製造された水系電極ペーストは、調製直後(例えば、ポリマー粒子の水系分散液を加えてずり速度10秒-1以下の条件で10分間攪拌した状態。)における粘度(25℃においてE型粘度計にて1rpmの条件で測定した粘度をいう。以下同じ。)に対して、該ペーストを25℃で24時間放置した場合における粘度維持率が50%以上(より好ましくは70%以上)であり得る。ここで、粘度維持率は以下の式(2)で表される。
粘度維持率(%)=
(24時間放置後の粘度/調製直後の粘度)×100 ・・・(2)
粘度維持率(%)=
(24時間放置後の粘度/調製直後の粘度)×100 ・・・(2)
本発明の方法により製造された水系電極ペーストは、従来の水系電極ペーストと同様に、リチウム遷移金属複合酸化物を活物質とする各種電池用の電極(例えば、リチウム二次電池の正極)の製造に使用することができる。かかる水系電極ペーストを用いて電池用電極を製造する一つの典型的な方法は、電池の種類および用途に応じて適宜選択される集電体に該水系電極ペーストを付与することを含む。例えば、適当な塗布装置(スリットコーター、ダイコーター、コンマコーターあるいはドクターブレード等)を使用して、集電体の表面に上記ペーストを所定の厚みで層状に塗布することができる。該電極ペーストを塗布する厚みは特に限定されず、電極および電池の形状や用途に応じて適宜異なり得る。例えば、シート状の正極を作製する場合には、箔状集電体(例えば、厚さ10〜30μm程度のアルミニウム箔、銅箔等の金属箔を好ましく用いることができる。)の表面に上記ペーストを、固形分換算の厚み(すなわち、乾燥後の厚み)が5μm〜100μm程度となるように塗布する。塗布後、適当な乾燥機を用いて塗布物を乾燥することによって、集電体表面に所定の厚みの活物質層を形成することができる。このようにして得られた電極を所望によりプレスすることにより、目的とする厚みのシート状電極を得ることができる。
上記水系電極ペーストを用いて作製した電池用電極は、適当な対極および電解質とともに、電池の構成材料として好ましく用いることができる。例えば、上記水系電極ペーストを用いて作製した電池用電極は、リチウム二次電池(典型的には、リチウムイオン二次電池)用の正極として好適である。かかる電池用電極を正極に用いてリチウム二次電池を構築する場合、対極(負極)としては、金属製(銅材料等)の負極集電体にアモルファスカーボン、グラファイトカーボン等のような従来のリチウム二次電池に用いられる負極活物質が付与されたものを好ましく使用することができる。また、電解質としては、従来のリチウム二次電池に用いられる非水系の液状電解質(電解液)等を用いることができる。例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の一種または二種以上を含む非水系溶媒に、LiCF3SO3,LiC4F9SO3,LiClO4,LiPF6,LiBF4,LiN(CF3SO2)2,LiC(CF3SO2)3等の溶質化合物(支持塩)の一種または二種以上を溶解させた電解液等を用いることができる。
本発明に係る電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)製造方法の好ましい一態様は、上記水系電極ペーストをシート状の集電体(アルミニウム箔等)に付着させてシート状の正極を作製する工程を含む。また、シート状の負極集電体(銅箔等)の表面に負極活物質を付与してシート状の負極を用意する工程を有する。また、シート状のセパレータ(セパレータシート)を用意する工程を有する。このセパレータとしては、多孔質ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)製のシート等を使用することができる。そして、これらシート状の正極および負極をセパレータシートを介して重ね合わせ、これを捲回して電極体ユニット(捲回型電極体ユニット)を作製する工程を含む。あるいは、複数組の正極および負極をセパレータシートを介して積層して電極体ユニット(積層型電極体ユニット)を作製する工程を含む。さらに、かかる電極体ユニットを非水系電解液とともに容器に収容する工程を有する。
ここに開示される方法によって製造された水系電極ペーストは、調製後における流動性の変動が抑制されていることから、該ペーストを集電体に塗布する際の塗布条件の管理が容易である。例えば、あらかじめ設定された粘度に対して高すぎる粘度のペーストが供給されることにより塗膜が不連続になったり、該予定された粘度に対して低すぎる粘度のペーストが供給されることにより塗膜の端部が盛り上がったりする現象の発生を回避することができる。したがって、良質な(例えば、厚みの均一性の高い)活物質層を集電体の表面に安定して形成することができる。このような活物質層を有する電極(例えば正極)によると、良好な電池性能を示す電池(リチウム二次電池等)を構築することができる。
以下、本発明に関する具体的実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例1>
攪拌機(特殊機化工業株式会社製品、商品名「T.K.ハイビスディスパーミックス(登録商標)」を使用した。)を備えた容器内に、イオン交換水100質量部を入れ、さらに活物質粉末88質量部、カーボンブラック10質量部およびCMC粉末1質量部を加えた。活物質粉末としては、平均粒径約10μmのLiNiO2粉末を使用した。上記攪拌機は、二軸のひねり攪拌翼と高速回転翼とを備え、これらの回転数は独立して制御可能である。該攪拌機を、二軸のひねり攪拌翼の回転数が60rpm、高速回転翼の回転数が2200rpmとなる条件で30分間運転することにより、上記各成分を容器内で攪拌混合して予備混合物を調製した。この予備混合物調製時において、上記攪拌条件から算出したずり速度の推定値は概ね100秒-1であった。
攪拌機(特殊機化工業株式会社製品、商品名「T.K.ハイビスディスパーミックス(登録商標)」を使用した。)を備えた容器内に、イオン交換水100質量部を入れ、さらに活物質粉末88質量部、カーボンブラック10質量部およびCMC粉末1質量部を加えた。活物質粉末としては、平均粒径約10μmのLiNiO2粉末を使用した。上記攪拌機は、二軸のひねり攪拌翼と高速回転翼とを備え、これらの回転数は独立して制御可能である。該攪拌機を、二軸のひねり攪拌翼の回転数が60rpm、高速回転翼の回転数が2200rpmとなる条件で30分間運転することにより、上記各成分を容器内で攪拌混合して予備混合物を調製した。この予備混合物調製時において、上記攪拌条件から算出したずり速度の推定値は概ね100秒-1であった。
次いで、該予備混合物に固形分換算で1質量部のPTFE粒子を含む水系分散液(ダイキン工業株式会社製品、商品名「ポリフロン(登録商標)PTFEディスパージョン D−2C」、固形分濃度約60質量%、PTFE粒子の平均粒径0.15〜0.35μm、25℃における粘度約25mPa・s、pH9〜10)を添加するとともに、攪拌機の運転条件を変更した。すなわち、高速回転翼の回転を止め、さらに二軸のひねり攪拌翼の回転数を10rpmに減速した。この攪拌条件から算出されるずり速度の推定値は概ね1秒-1であった。この条件で10分間攪拌することにより、粘度6000〜7000mPa・s、固形分濃度約50質量%の水系電極ペーストを得た。
<比較例1>
PTFE粒子の水系分散液を添加した後も予備混合物の調製時と同じ攪拌条件(二軸のひねり攪拌翼の回転数が60rpm、高速回転翼の回転数が2200rpm;ずり速度100秒-1)で10分間攪拌を継続した点以外は実施例1と同様にして、粘度6000〜7000mPa・sの水系電極ペーストを得た。
PTFE粒子の水系分散液を添加した後も予備混合物の調製時と同じ攪拌条件(二軸のひねり攪拌翼の回転数が60rpm、高速回転翼の回転数が2200rpm;ずり速度100秒-1)で10分間攪拌を継続した点以外は実施例1と同様にして、粘度6000〜7000mPa・sの水系電極ペーストを得た。
<粘度安定性評価>
実施例1および比較例1により得られた水系電極ペーストにつき、調製直後、50分後、100分後および1000分後の粘度(25℃、E型粘度計、1rpm)を測定した。その結果を、調製終了後の経過時間を横軸、粘度を縦軸として図1に示す。この図からわかるように、実施例1により得られた電極ペーストは、調製終了から1000分後までの粘度が±2000mPa・s以内に抑えられていた。一方、比較例1により得られた電極ペーストでは調製直後から1000分後にかけて粘度が大幅に低下し、調製直後には6000〜7000mPa・sであった粘度が1000分後には1000mPa・s程度となってしまった。この比較例1に係る電極ペーストについて調製から24時間後の粘度を測定したところ、1000分後よりもさらに低粘度化(凡そ600mPa・s)していることが確認された。
実施例1および比較例1により得られた水系電極ペーストにつき、調製直後、50分後、100分後および1000分後の粘度(25℃、E型粘度計、1rpm)を測定した。その結果を、調製終了後の経過時間を横軸、粘度を縦軸として図1に示す。この図からわかるように、実施例1により得られた電極ペーストは、調製終了から1000分後までの粘度が±2000mPa・s以内に抑えられていた。一方、比較例1により得られた電極ペーストでは調製直後から1000分後にかけて粘度が大幅に低下し、調製直後には6000〜7000mPa・sであった粘度が1000分後には1000mPa・s程度となってしまった。この比較例1に係る電極ペーストについて調製から24時間後の粘度を測定したところ、1000分後よりもさらに低粘度化(凡そ600mPa・s)していることが確認された。
<塗工性評価>
実施例1および比較例1により得られた水系電極ペーストにつき、調製直後および調製から1000分経過後における塗工性を評価した。すなわち、以下の4種類のサンプル:
サンプル1・・・実施例1により調製した直後のペースト;
サンプル2・・・実施例1により調製してから1000分後のペースト;
サンプル3・・・比較例1により調製した直後のペースト;
サンプル4・・・比較例1により調製してから1000分後のペースト;
をアルミニウム箔の表面に目標厚みが120μm(ウェット状態)となるように帯状に塗布して塗膜の状態を観察した。その結果、サンプル1,2および3により得られた塗膜は帯状塗膜の各部の厚みがほぼ均一であったが、サンプル4により得られた塗膜では帯状塗膜の両端で他の部分よりも厚みが大きくなる現象が観察された。これは、サンプル4のペーストの粘度が他のサンプルに比べて著しく低いことに起因するものと推察される。
実施例1および比較例1により得られた水系電極ペーストにつき、調製直後および調製から1000分経過後における塗工性を評価した。すなわち、以下の4種類のサンプル:
サンプル1・・・実施例1により調製した直後のペースト;
サンプル2・・・実施例1により調製してから1000分後のペースト;
サンプル3・・・比較例1により調製した直後のペースト;
サンプル4・・・比較例1により調製してから1000分後のペースト;
をアルミニウム箔の表面に目標厚みが120μm(ウェット状態)となるように帯状に塗布して塗膜の状態を観察した。その結果、サンプル1,2および3により得られた塗膜は帯状塗膜の各部の厚みがほぼ均一であったが、サンプル4により得られた塗膜では帯状塗膜の両端で他の部分よりも厚みが大きくなる現象が観察された。これは、サンプル4のペーストの粘度が他のサンプルに比べて著しく低いことに起因するものと推察される。
PTFE粒子の水系分散液を添加した後の攪拌条件(ずり速度)と粘度安定性との関係をさらに詳細に検討するため、以下の実施例2〜3および比較例2〜4の方法により水系電極ペーストを調製した。
<実施例2>
PTFE粒子の水系分散液の添加とともに、高速回転翼の回転を停止させ、二軸のひねり攪拌翼の回転数を20rpmとした。この攪拌条件から算出されるずり速度の推定値は概ね5秒-1であった。この条件で10分間攪拌した点以外は実施例1と同様にして、粘度6000〜7000mPa・s水系電極ペーストを得た。
PTFE粒子の水系分散液の添加とともに、高速回転翼の回転を停止させ、二軸のひねり攪拌翼の回転数を20rpmとした。この攪拌条件から算出されるずり速度の推定値は概ね5秒-1であった。この条件で10分間攪拌した点以外は実施例1と同様にして、粘度6000〜7000mPa・s水系電極ペーストを得た。
<実施例3>
PTFE粒子の水系分散液の添加とともに、高速回転翼の回転を停止させ、二軸のひねり攪拌翼の回転数を40rpmとした。この攪拌条件から算出されるずり速度の推定値は概ね10秒-1であった。この条件で10分間攪拌した点以外は実施例1と同様にして、粘度6000〜7000mPa・s水系電極ペーストを得た。
PTFE粒子の水系分散液の添加とともに、高速回転翼の回転を停止させ、二軸のひねり攪拌翼の回転数を40rpmとした。この攪拌条件から算出されるずり速度の推定値は概ね10秒-1であった。この条件で10分間攪拌した点以外は実施例1と同様にして、粘度6000〜7000mPa・s水系電極ペーストを得た。
<比較例2>
cとともに、高速回転翼の回転を停止させ、二軸のひねり攪拌翼の回転数を60rpmとした。この攪拌条件から算出されるずり速度の推定値は概ね20秒-1であった。この条件で10分間攪拌した点以外は実施例1と同様にして、粘度6000〜7000mPa・s水系電極ペーストを得た。
cとともに、高速回転翼の回転を停止させ、二軸のひねり攪拌翼の回転数を60rpmとした。この攪拌条件から算出されるずり速度の推定値は概ね20秒-1であった。この条件で10分間攪拌した点以外は実施例1と同様にして、粘度6000〜7000mPa・s水系電極ペーストを得た。
<比較例3>
PTFE粒子の水系分散液の添加とともに、高速回転翼の回転を停止させ、二軸のひねり攪拌翼の回転数を140rpmとした。この攪拌条件から算出されるずり速度の推定値は概ね50秒-1であった。この条件で10分間攪拌した点以外は実施例1と同様にして、粘度6000〜7000mPa・s水系電極ペーストを得た。
PTFE粒子の水系分散液の添加とともに、高速回転翼の回転を停止させ、二軸のひねり攪拌翼の回転数を140rpmとした。この攪拌条件から算出されるずり速度の推定値は概ね50秒-1であった。この条件で10分間攪拌した点以外は実施例1と同様にして、粘度6000〜7000mPa・s水系電極ペーストを得た。
<粘度安定性評価>
上記実施例1〜3および比較例1〜3により作製したペーストにつき、調製直後および25℃で24時間放置した後の粘度を測定し、上記式(2)により粘度維持率(%)を算出した。その結果を、PTFE粒子の水系分散液の添加後におけるずり速度(秒-1)を横軸、粘度維持率を縦軸として図2に示す。この図から判るように、PTFE粒子の水系分散液の添加後、ずり速度が10秒-1を超える条件で攪拌したペーストは粘度維持率が10〜20%と大きく粘度が低下した。これに対して、ずり速度10秒-1以下の条件で攪拌したペーストは粘度維持率が70%以上であり、良好な粘度安定性を示した。
上記実施例1〜3および比較例1〜3により作製したペーストにつき、調製直後および25℃で24時間放置した後の粘度を測定し、上記式(2)により粘度維持率(%)を算出した。その結果を、PTFE粒子の水系分散液の添加後におけるずり速度(秒-1)を横軸、粘度維持率を縦軸として図2に示す。この図から判るように、PTFE粒子の水系分散液の添加後、ずり速度が10秒-1を超える条件で攪拌したペーストは粘度維持率が10〜20%と大きく粘度が低下した。これに対して、ずり速度10秒-1以下の条件で攪拌したペーストは粘度維持率が70%以上であり、良好な粘度安定性を示した。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
Claims (6)
- 電池用電極を作製するためのペーストであって活物質としてのリチウム遷移金属複合酸化物と水系溶媒とを含む水系電極ペーストを製造する方法であって:
前記リチウム遷移金属複合酸化物の粒子がポリマーの水系溶液に分散している予備混合物を用意すること;および、
該予備混合物にポリマー粒子の水系分散液を加えて攪拌すること;
を含み、
ここで、前記水系分散液を加えた後の攪拌条件をずり速度10秒-1以下に保持する、水系電極ペースト製造方法。 - 前記リチウム遷移金属複合酸化物は、ニッケル、コバルトおよびマンガンのいずれかを主たる構成遷移金属元素とする酸化物である、請求項1に記載の方法。
- 前記水系溶液は、セルロース系ポリマーが水系溶媒に溶解している溶液である、請求項1または2に記載の方法。
- 前記ポリマー粒子はポリテトラフルオロエチレン粒子である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
- 活物質としてのリチウム遷移金属複合酸化物と水系溶媒とを含む水系電極ペーストを集電体に付与することを含む電池用電極製造方法において、
該水系電極ペーストとして、請求項1から4のいずれかに記載の方法により製造された水系電極ペーストを選択することを特徴とする、電池用電極製造方法。 - 請求項5に記載の方法により製造された電極を用いて電池を構築する、電池製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2005309697A JP2007122907A (ja) | 2005-10-25 | 2005-10-25 | 水系電極ペースト製造方法およびその利用 |
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WO2015029829A1 (ja) * | 2013-08-26 | 2015-03-05 | 日本ゼオン株式会社 | 電気化学素子用造粒粒子の製造方法、電気化学素子用電極及び電気化学素子 |
JP2015050084A (ja) * | 2013-09-03 | 2015-03-16 | 株式会社Gsユアサ | 非水電解質二次電池および非水電解質二次電池の製造方法 |
US9239051B1 (en) | 2009-05-29 | 2016-01-19 | Arkema Inc. | Waterborne fluoropolymer composition |
CN114400303A (zh) * | 2021-11-25 | 2022-04-26 | 四川英能基科技有限公司 | 用于钠离子电池的正极浆料、应用及制备工艺 |
-
2005
- 2005-10-25 JP JP2005309697A patent/JP2007122907A/ja active Pending
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