JP2006092760A - 非水系二次電池の負極用電極板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 活物質の黒鉛は鉄の含有量が500ppm以下であり、負極塗膜形成用スラリーの混練工程は、前記黒鉛に増粘剤の水溶液を添加して混練する初混練工程と、前記初混練工程の混練物を前記増粘剤の水溶液で希釈混練する希釈混練工程と、前記希釈混練工程の混練物に前記結着材を添加し、混練することによりペーストを作製する仕上げ混練工程の少なくとも3つの工程を含み、初混練工程における混練の剪断力が、希釈混練工程および仕上げ混練工程における混練の剪断力より強い剪断力であるとする。
【選択図】 図1
Description
これを本発明の構成要素に置き換えると、設備条件(羽根と攪拌容器との隙間など)が一定でz軸方向での流速変化が一定の場合、剪断力τは流体である混練物の粘度ηと、攪拌速度(羽根の周速)vとに比例することとなる。ここで第一工程における混練物はファニキュラー状態であり、通常の粘度計では粘度が測定できない。そこで剛性体を一定圧力で混練物に押し込み、その変位量を測ることで簡易的に粘度の代用値を求めた。具体的に
は各工程を経た後の混練物に対し、直径3mmの銅製の丸棒を10kgf/cm2の圧力で5秒間押し込み、その変位量の逆数(単位は1/m)を粘度ηの代用値として、混練時の攪拌羽根の周速に乗じることにより、当該工程の剪断力τの代用値を簡易的に求めた。
たり、過充電時の安定性を保証するために、ビニレンカーボネート(VC)やシクロヘキシルベンゼン(CHB)およびその変性体を用いることも可能である。
(実施例1)
まず、図1に示すフローチャートのように、負極を作製した。すなわち、初混練工程で(i)鉄の含有量が300ppmであり、粒径(d50)が23μm、比表面積が2.3m2/g、タップ密度が1.00g/m3の黒鉛を活物質として100重量部、(ii)増粘剤として粘度(B型粘度計にて測定、25℃環境下、溶液の調整法は後に詳述)が1.4〜1.8Pa・sのナトリウム塩であるCMCの1重量%水溶液を固形分換算で0.58重量部、以上を双腕式練合機にて周速20m/秒で攪拌し、固形分比が63%の一次混練物を得た。この混練物の粘度ηの代用値は625(1/m)、剪断力τの代用値は12500(1/秒)であった。
粘度が攪拌法に大きく依存するため、以下の方法に準じて測定するのが好ましい。
(比較例1)
図1に示すフローチャートに従い、実施例1では第一工程で鉄の含有量が300ppmである黒鉛を用い、CMCの1重量%水溶液を固形分換算で0.58重量部で、固形分比が63%の一次混練物を得て、第二工程でCMCの1重量%水溶液を固形分換算で0.62重量部を加えたところを、第一工程で鉄の含有量が1000ppmである黒鉛を用い、CMCの1重量%水溶液を固形分換算0.82重量部を追加して、周速20m/秒で攪拌して固形分比が55%の一次混練物を得(混練物の粘度ηの代用値は200(1/m)、剪断力τの代用値は4000(1/秒))、第二工程でCMCの1重量%水溶液を固形分換算で0.38重量部を追加して周速60m/秒で攪拌希釈した(混練物の粘度ηの代用値は80(1/m)、剪断力τの代用値は4800(1/秒))以外は、実施例1と全く同様の作製手順で負極を作製した。これを比較例1の負極板とする。
(比較例2)
図1に示すフローチャートに従い、実施例1では第一工程で鉄の含有量が300ppmである黒鉛を用いたところを、鉄の含有量が1000ppmである黒鉛を用いた以外は、実施例1と全く同様の作製手順で負極を作製した。ちなみに一次混練物の粘度ηの代用値は182(1/m)、剪断力τの代用値は3640(1/秒))、攪拌希釈後の混練物の粘度ηの代用値は77(1/m)、剪断力τの代用値は4620(1/秒)であった。これを比較例2の負極板とする。
(比較例3)
図1に示すフローチャートに従い、実施例1では第一工程ではCMCの1重量%水溶液を固形分換算で0.58重量部で、固形分比が63%の一次混練物を得て、第二工程でCMCの1重量%水溶液を固形分換算で0.62重量部を加えたところを、第一工程でCMCの1重量%水溶液を固形分換算で0.82重量部で、固形分比が55%の一次混練物を得て、第二工程でCMCの1重量%水溶液を固形分換算で0.38重量部を加えた以外は、実施例1と全く同様の作製手順で負極を作製した。ちなみに一次混練物の粘度ηの代用値は222(1/m)、剪断力τの代用値は4440(1/秒))、攪拌希釈後の混練物の粘度ηの代用値は91(1/m)、剪断力τの代用値は5460(1/秒)であった。これを比較例3の負極板とする。
(ペースト沈降性)
混練直後の負極合材ペーストを塩化ビニール製のチューブ管(φ10、長さ100mm)に入れ、上下部をテープで塞ぎ、密閉する。これを2本用意する。下部から10mmの位置をカッターで切断後、その箇所のペーストの固形分率を測定する。混練直後と混練して7日後とで測定した差の結果を(表1)に示した。
(塗着重量バラツキ)
負極合材ペーストをダイコート方式により、10μm厚の銅箔に塗布乾燥する時に、βX線重量計により、幅方向および長手方向を含む2000mでの電極板中の塗着重量バラツキを測定した結果を(表1)に示す。
(90度剥離強度)
上記のように作製した負極板を用いて、集電体である銅箔と合剤部分とでの結着強度をJIS K6854に準拠して、90度剥離によって測定した。試料片の寸法は幅が12.65mm、接着部分の長さが70mm〜80mmで行った。
(20℃ 500サイクル容量維持率)
封口後の完成電池について、定電流充電1400mA/4.1Vカット・定電流放電1400mA/3Vカットの慣らし充放電を2度行い、20℃環境で7日間保存した後、以
下の充放電サイクルを500回繰り返した。
放電:定電流2000mA/3Vカット
このときの1サイクル目に対する500サイクル目の放電容量比を500サイクル容量維持率として(表2)中に示した。
(45℃ 500サイクル容量維持率)
封口後の完成電池について、定電流充電1400mA/4.1Vカット・定電流放電1400mA/3Vカットの慣らし充放電を2度行い、45℃環境で7日間保存した後、以下の充放電サイクルを500回繰り返した。
放電:定電流2000mA/3Vカット
このときの1サイクル目に対する 500サイクル目の放電容量比を500サイクル容量維持率として(表2)中に示した。
(0.2C 初期放電容量)
封口後の完成電池について、定電流充電1400mA/4.1Vカット・定電流放電1400mA/3Vカットの慣らし充放電を2度行い、45℃環境で7日間保存した後、以下の充放電を行った。
放電:定電流400mA/3Vカット
このときの放電容量を0.2C初期放電容量として(表2)中に示した。
下に直結したと推測できる。
<検討2.黒鉛中の鉄の含有量の検討>
(実施例2)
図1に示すフローチャートに従い、活物質として鉄の含有量が500ppmである黒鉛を用いた以外は、実施例1と全く同様の作製手順で負極を作製した。これを実施例2の負極板とする。
(実施例3)
図1に示すフローチャートに従い、活物質として鉄の含有量が100ppmである黒鉛を用いた以外は、実施例1と全く同様の作製手順で負極を作製した。これを実施例3の負極板とする。
(実施例4)
図1に示すフローチャートに従い、活物質として鉄の含有量が50ppmである黒鉛を用いた以外は、実施例1と全く同様の作製手順で負極を作製した。これを実施例4の負極板とする。
(実施例5)
図1に示すフローチャートに従い、活物質として鉄の含有量が分析不可能(ND)である黒鉛を用いた以外は、実施例1と全く同様の作製手順で負極を作製した。これを実施例5の負極板とする。
(比較例4)
図1に示すフローチャートに従い、活物質として鉄の含有量が600ppmである黒鉛を用いた以外は、実施例1と全く同様の作製手順で負極を作製した。これを比較例4の負極板とする。
まず、これらの負極板を以下に示す方法にて評価した。その結果を(表3)に記す。
(ペースト沈降性)
検討1と同様の方法にて評価した。
(塗着重量バラツキ)
検討1と同様の方法にて評価した。
(90度剥離強度)
検討1と同様の方法にて評価した。
(20℃ 500サイクル容量維持率)
検討1と同様の方法にて評価した。
(45℃ 500サイクル容量維持率)
検討1と同様の方法にて評価した。
(0.2C 初期放電容量)
検討1と同様の方法にて評価した。
。
<検討3.増粘剤種の検討>
(実施例6)
図1に示すフローチャートに従い、増粘剤としてCMCのアンモニウム塩を用いた以外は、実施例1と全く同様の作製手順で負極を作製した。これを実施例6の負極板とする。
(比較例5)
図1に示すフローチャートに従い、増粘剤としてポリエチレンオキシド(以下、PEOと略記)を用いた以外は、実施例1と全く同様の作製手順で負極を作製した。これを比較例5の負極板とする。
(比較例6)
図1に示すフローチャートに従い、増粘剤としてポリビニールアルコール(以下、PVAと略記)を用いた以外は、実施例1と全く同様の作製手順で負極を作製した。これを比較例6の負極板とする。
(90度剥離強度)
検討1と同様の方法にて評価した。
(20℃ 500サイクル容量維持率)
検討1と同様の方法にて評価した。
(45℃ 500サイクル容量維持率)
検討1と同様の方法にて評価した。
<検討4.結着材種の検討>
(実施例7)
図1に示すフローチャートに従い、結着材としてポリオレフィン系樹脂(固形分40重量%)を用いた以外は、実施例1と全く同様の作製手順で負極を作製した。これを実施例7の負極板とする。
(比較例7)
図1に示すフローチャートに従い、結着材としてPTFEとヘキサフルオロエチレンの共重合体の水分散物(固形分重量60重量%)を用いた以外は、実施例1と全く同様の作製手順で負極を作製した。これを比較例7の負極板とする。
(90度剥離強度)
検討1と同様の方法にて評価した。
(20℃ 500サイクル容量維持率)
検討1と同様の方法にて評価した。
(45℃ 500サイクル容量維持率)
検討1と同様の方法にて評価した。
Claims (3)
- 黒鉛を主剤とする炭素材料、増粘剤、および結着材を混練分散することにより構成されるペーストを用いる非水系二次電池の負極用電極板の製造方法において、
前記黒鉛は鉄の含有量が500ppm以下であり、前記増粘剤はカルボキシル基を含む水溶性高分子であり、前記結着材は極性基を有する水分散性高分子であり、
負極塗膜形成用の前記ペーストの混練工程は、前記黒鉛に前記増粘剤の水溶液を添加して混練する初混練工程と、前記初混練工程の混練物を前記増粘剤の水溶液で希釈混練する希釈混練工程と、前記希釈混練工程の混練物に前記結着材を添加し、混練することによりペーストを作製する仕上げ混練工程の少なくとも3つの工程を含み、
初混練工程における混練の剪断力が、希釈混練工程および仕上げ混練工程における混練の剪断力より大きいことを特徴とする非水系二次電池の負極用電極板の製造方法。 - 前記増粘剤はカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩またはアンモニウム塩であることを特徴とする請求項1に記載の非水系二次電池の負極用電極板の製造方法。
- 前記結着材がアクリロニトリル単位を含むコアシェル型ゴム粒子系結着材であることを特徴とする請求項1に記載の非水系二次電池の負極用電極板の製造方法。
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