JP2007121405A - 非線形光学材料、及びその製造方法、並びに非線形光学素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゾルゲル法で作製しても非線形光学特性が低下せず、かつ、作業性に優れ、長期にわたるポットライフを有し、優れた非線形光学性能を有する非線形光学材料の製造方法を提供する。また、優れた非線形光学性能と架橋硬化によるその高い熱安定性とを兼ね備えた非線形光学材料、及び該非線形光学材料を用いる、安定性が高く、かつ長寿命の非線形光学素子を提供する。
【解決手段】加水分解性シリル基を有する非線形光学活性化合物を溶剤に溶解させ、加水分解処理することにより得られる原料溶液を用い、該原料溶液から溶剤を除去する溶剤除去工程、及び溶剤を除去した後の原料溶液を架橋硬化する架橋硬化工程を有する非線形光学材料の製造方法であって、前記溶剤が、160℃以上の沸点を有する溶剤を少なくとも1種以上含むことを特徴とする非線形光学材料の製造方法、該製造方法により得られる非線形光学材料、該非線形光学材料を有する非線形光学素子。
【選択図】なし
【解決手段】加水分解性シリル基を有する非線形光学活性化合物を溶剤に溶解させ、加水分解処理することにより得られる原料溶液を用い、該原料溶液から溶剤を除去する溶剤除去工程、及び溶剤を除去した後の原料溶液を架橋硬化する架橋硬化工程を有する非線形光学材料の製造方法であって、前記溶剤が、160℃以上の沸点を有する溶剤を少なくとも1種以上含むことを特徴とする非線形光学材料の製造方法、該製造方法により得られる非線形光学材料、該非線形光学材料を有する非線形光学素子。
【選択図】なし
Description
本発明は、光通信、光配線、光情報処理、センサー、あるいは画像処理等の分野に適用することが可能な非線形光学材料、及びその製造方法、並びに非線形光学素子に関するものである。
具体的には、2次の非線形光学効果を利用した光スイッチ素子、光変調素子、波長変換素子、位相シフト素子、あるいはフォトリフラクティブ効果を利用したメモリ素子、画像処理素子等の非線形光学素子、及びその製造方法、並びに非線形光学素子に関するものである。
具体的には、2次の非線形光学効果を利用した光スイッチ素子、光変調素子、波長変換素子、位相シフト素子、あるいはフォトリフラクティブ効果を利用したメモリ素子、画像処理素子等の非線形光学素子、及びその製造方法、並びに非線形光学素子に関するものである。
単結晶の有機非線形光学材料は、2次高調波発生(SHG)素子などとして広く検討されてきた。上記有機非線形光学材料は、その結晶構造を単結晶とすることで、非線形光学特性を有する有機分子を高配向かつ高密度に並べることができるため、大きい非線形光学定数が得られるなどのメリットがあった。しかし、大きくて欠陥の少ない単結晶を作製することは技術的・コスト的に困難である上に、特に反転対称を有しない非線形光学特性を有する有機分子の分極方向を特定の方向に揃えて結晶化することは容易ではなかった。
これらの点を改善するものとして、高分子マトリックス中に非線形光学特性を有する有機化合物を添加した有機非線形光学ポリマーや、高分子の主鎖あるいは側鎖に、非線形光学特性を有する構造(クロモフォア)を導入した主鎖型有機非線形光学ポリマーあるいは側鎖型有機非線形光学ポリマーなどの非線形光学ポリマーが知られている。
これら非線形光学ポリマーは、一般の高分子と同様に溶剤などに溶解して塗布、乾燥することで容易に成膜することが可能である。また、成膜した後に、ガラス転移温度(Tg)以上に加熱した状態で電場を印加して配向処理することにより、前記有機非線形光学ポリマーの分極方向、あるいは、前記クロモフォアを有する有機非線形光学ポリマーのクロモフォア部分の分極方向に配向させることが可能である。
このようにして得られた配向は、Tg以下に温度を下げた後に電場を取り除くことにより、ある程度安定に維持される。このような配向処理は、一般にポーリング処理と呼ばれている。電場の印加方法としては、非線形光学ポリマーを2つ以上の電極で直接挟み込んで電場を印加する方法、非線形光学ポリマーと電極との間に液体などの媒体を介して電場を印加する方法、あるいは、コロナ放電により間接的な方法で非線形光学ポリマーに対して電場を印加する方法などが公知である。
このようなポーリング処理された非線形光学ポリマーは、SHGなど波長変換結晶に代わるものとして検討されたものであったが、同じく2次の非線形光学効果である電気光学効果(Electro−optic効果、EO効果)を利用した光スイッチ素子、光変調素子、波長変換素子、波面変換素子、などへの適用や、フォトリフラクティブ効果を利用したメモリ素子や画像処理素子としての応用も検討されてきた(例えば、非特許文献1参照)。
最近では、電気光学係数(EO係数)の大きな材料が開発されるようになり、このような材料を用いたMach−Zehnder干渉計などの導波路型高速光変調素子が提案され、新規光デバイスとして期待されている(例えば、非特許文献2参照)。
しかし、ポーリング処理された非線形光学ポリマーでは、Tg以下の温度であっても分子振動などによる分子配向の乱れや再均一化、すなわち、分子配向の緩和が徐々に進行してしまうため、EO係数の経時的及び熱的劣化(EO係数の低下)が大きな問題となっている。また、デバイスで使用するレーザー光のエネルギー密度を高めた場合には、温度上昇による配向緩和に加えて光化学反応による劣化も問題となっている。
しかし、ポーリング処理された非線形光学ポリマーでは、Tg以下の温度であっても分子振動などによる分子配向の乱れや再均一化、すなわち、分子配向の緩和が徐々に進行してしまうため、EO係数の経時的及び熱的劣化(EO係数の低下)が大きな問題となっている。また、デバイスで使用するレーザー光のエネルギー密度を高めた場合には、温度上昇による配向緩和に加えて光化学反応による劣化も問題となっている。
これらを改善するものとして、マトリックスに熱硬化性樹脂を用い、ポーリング処理と前後してマトリックスを架橋硬化させる方法や、非線形光学分子自体に反応性置換基を導入して他の反応性化合物(いわゆる架橋剤)によって架橋硬化させる方法、などが検討されている(例えば、非特許文献3参照)。
上記いずれの方法においても、マトリックス中に架橋構造を導入することにより分子運動を制限し(すなわち、Tgを高くし)、熱による分子振動などによりクロモフォアの配向が緩和されるのを防止することにより、非線形光学材料としての安定性向上を目指している。また、マトリックス中に架橋構造を導入することでクロモフォアの変形が抑えられ、クロモフォア自体の反応性が低下するため、光化学的劣化に対する安定性も向上すると予想されている。
非線形光学分子を、架橋構造を有するマトリックス中に導入する他の方法としては、ゾルゲル法により形成された有機無機複合材料からなるマトリックス中に共有結合を介して非線形光学分子を取り込む方法が知られている。
このような方法としては、例えば、非線形光学分子の複数の部位に加水分解性シリル基を導入し、ゾルゲル法により加水分解及び縮合を行なって架橋構造を形成することにより、分子運動を強く制限し、ポーリング処理により得られた分子配向が緩和してしまうのを防止する方法が提案されている(例えば、非特許文献4参照)。また、上記のような、マトリックス中に光導電性を有する分子も導入したフォトリフラクティブ材料も提案されている(例えば、非特許文献5参照)。
このような方法としては、例えば、非線形光学分子の複数の部位に加水分解性シリル基を導入し、ゾルゲル法により加水分解及び縮合を行なって架橋構造を形成することにより、分子運動を強く制限し、ポーリング処理により得られた分子配向が緩和してしまうのを防止する方法が提案されている(例えば、非特許文献4参照)。また、上記のような、マトリックス中に光導電性を有する分子も導入したフォトリフラクティブ材料も提案されている(例えば、非特許文献5参照)。
これらのゾルゲル法を利用して作製された非線形光学材料は、前記配向緩和の防止という面で有望ではあるが、ゾルゲル法特有の問題点として、原料となるシラン化合物の安定性が一般的に低く、特に原料溶液に触媒を添加した後の溶液のポットライフ(ゲル化が進行するまでの猶予時間)が数分〜数時間と短かいために、作業性が悪いという問題があった。また、固化時の体積収縮などにより、膜やバルク等の形状とした際に微細なクラックが入りやすく、光学素子としての使用に耐えるものを作製するのは困難であった。
一方、例えば、ゾルゲル法によりシラン化合物を用いて形成されるマトリックス中に有機非線形化合物を保持する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術は、マトリックスを形成する分子のアルコキシシリル基や、ゾルゲル法による反応方法自体を工夫することでクラックの発生を防止しているものである。しかし、非線形光学分子はマトリックスに対して単にドープされるだけであるため、この非線形光学分子の分子運動を制限するという点ではあまり良好ではなく、配向緩和などによる光学係数の低下が問題となった。
本発明者等は、上記問題に対し既に加水分解性シリル基を有する非線形光学分子を含む原料溶液を、固体触媒に接触させて調製される非線形光学材料形成溶液、及びそれを用いた非線形光学材料を提案している(例えば、特許文献2参照)。これにより従来ゾルゲル系の欠点であった材料の不安定性、液の低ポットライフ、クラック等の欠陥の問題を改善しつつ、良好な熱安定性や光学特性を有する非線形光学材料が得られるようになった。
しかし、使用する非線形光学分子の中には比較的平面性が高い等の理由から、固化する段階で二量体などを形成しやすいものがあった。その場合、二次の非線形光学材料は大きなダイポールモーメントを有しているため、互いのダイポールをうち消すように二量体を形成してしまい、非線形光学特性が低下してしまうという問題があった。特に、ゾルゲル系材料の場合には、−O−Si−O−結合をベースとするガラス質マトリックスの極性が低いためか、特にそのような二量体が形成されやすくなる場合があった。
特開平6−235948号公報
特開2003−344884号公報
機能材料,Vol.18,No.7,p.41,1998
Appl.Phys.Lett.,Vol.78,p.3136(2001)
Appl.Phys.Lett.,Vol.68,p1040(1996)
Appl.Phys.Lett.,Vol.65,p2651(1994)
Chem.Mater.,Vol.8,p312(1996)
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。
すなわち、本発明の目的は、ゾルゲル法で作製しても非線形光学特性の低下が起こらず、かつ、作業性に優れ、長期にわたるポットライフを有し、優れた非線形光学性能を有する非線形光学材料を得ることができる非線形光学材料の製造方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、優れた非線形光学性能と架橋硬化によるその高い熱安定性とを兼ね備えた非線形光学材料を提供し、さらにそれを活用することによって、安定性が高く、かつ長寿命の非線形光学素子を提供することである。
すなわち、本発明の目的は、ゾルゲル法で作製しても非線形光学特性の低下が起こらず、かつ、作業性に優れ、長期にわたるポットライフを有し、優れた非線形光学性能を有する非線形光学材料を得ることができる非線形光学材料の製造方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、優れた非線形光学性能と架橋硬化によるその高い熱安定性とを兼ね備えた非線形光学材料を提供し、さらにそれを活用することによって、安定性が高く、かつ長寿命の非線形光学素子を提供することである。
本発明者等は、前記課題を解決すべく、加水分解性シリル基を有する非線形光学活性化合物の架橋硬化手法および非線形光学特性の検討を行なった結果、製造時に特定の溶剤を使用することにより前記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
<1> 加水分解性シリル基を有する非線形光学活性化合物を溶剤に溶解させ、加水分解処理することにより得られる原料溶液を用い、該原料溶液から溶剤を除去する溶剤除去工程、及び溶剤を除去した後の原料溶液を架橋硬化する架橋硬化工程を有する非線形光学材料の製造方法であって、前記溶剤が、160℃以上の沸点を有する溶剤を少なくとも1種以上含むことを特徴とする非線形光学材料の製造方法である。
<2> <1>に記載の非線形光学材料の製造方法で製造されたことを特徴とする非線形光学材料である。
<3> <2>に記載の非線形光学材料を用いたことを特徴とする非線形光学素子。
である。
すなわち、本発明は、
<1> 加水分解性シリル基を有する非線形光学活性化合物を溶剤に溶解させ、加水分解処理することにより得られる原料溶液を用い、該原料溶液から溶剤を除去する溶剤除去工程、及び溶剤を除去した後の原料溶液を架橋硬化する架橋硬化工程を有する非線形光学材料の製造方法であって、前記溶剤が、160℃以上の沸点を有する溶剤を少なくとも1種以上含むことを特徴とする非線形光学材料の製造方法である。
<2> <1>に記載の非線形光学材料の製造方法で製造されたことを特徴とする非線形光学材料である。
<3> <2>に記載の非線形光学材料を用いたことを特徴とする非線形光学素子。
である。
本発明はゾルゲル法で作製しても非線形光学特性の低下が起こらず、かつ、作業性に優れ、長期にわたるポットライフを有し、優れた非線形光学性能を有する非線形光学材料を得ることができる非線形光学材料の製造方法を提供することができる。
また、本発明は、優れた非線形光学性能と架橋硬化によるその高い熱安定性とを兼ね備えた非線形光学材料を提供し、さらにそれを活用することによって、安定性が高く、かつ長寿命の非線形光学素子を提供することができる。
また、本発明は、優れた非線形光学性能と架橋硬化によるその高い熱安定性とを兼ね備えた非線形光学材料を提供し、さらにそれを活用することによって、安定性が高く、かつ長寿命の非線形光学素子を提供することができる。
本発明の非線形光学材料の製造方法は、加水分解性シリル基を有する非線形光学活性化合物を溶剤に溶解させ、加水分解処理することにより得られる原料溶液を用い、該原料溶液から溶剤を除去する溶剤除去工程、及び溶剤を除去した後の原料溶液を架橋硬化する架橋硬化工程を有する非線形光学材料の製造方法であって、前記溶剤が、160℃以上の沸点を有する溶剤を少なくとも1種以上含むことを特徴とする。
先ず、本発明に用いる原料溶液について説明する。
先ず、本発明に用いる原料溶液について説明する。
(加水分解性シリル基を有する非線形光学活性化合物)
本発明における加水分解性シリル基を有する非線形光学活性化合物とは、非線形光学特性を有する有機分子に加水分解性シリル基を1つ以上導入したものをいう。一般式で表わすと、下記の一般式(1)で示される。
一般式(1)
G(−Y)j
一般式(1)中、jは1以上の整数を意味し、Gは非線形光学特性を有する有機化合物のいずれかの部位に、Y(後述)と接合するための接合手が必要に応じて導入されたものである。
本発明における加水分解性シリル基を有する非線形光学活性化合物とは、非線形光学特性を有する有機分子に加水分解性シリル基を1つ以上導入したものをいう。一般式で表わすと、下記の一般式(1)で示される。
一般式(1)
G(−Y)j
一般式(1)中、jは1以上の整数を意味し、Gは非線形光学特性を有する有機化合物のいずれかの部位に、Y(後述)と接合するための接合手が必要に応じて導入されたものである。
この接合手は、非線形光学特性を有する有機化合物とYとを接合することが可能なものであれば特に限定されないが、具体的には、−CnH2n−、−CnH(2n−1)−、−CnH(2n−2)−、で表わされる炭化水素基(但し、nは1〜15の整数を表す);−CO−、−COO−、−NHCO−、−S−、−O−、−N=CH−、−N=N−、フェニレン基、及びこれらに置換基を導入したもの;さらにこれらを組み合わせたもの等が挙げられる。
なお、接合手の導入は、例えば前記一般式(1)のGのいずれかの部位に導入することができるが、少なくとも、非線形光学特性が損なわれないように、導入する部位と、接合手の構造とが選択されることが好ましい。
一般式(1)におけるYの数が多いほど架橋密度が向上し、機械的強度や安定性は向上するが、逆にポーリングによる配向を起こし難くなる。よって、一般式(1)におけるjは1〜3とすることが好ましい。
一般式(1)におけるYの数が多いほど架橋密度が向上し、機械的強度や安定性は向上するが、逆にポーリングによる配向を起こし難くなる。よって、一般式(1)におけるjは1〜3とすることが好ましい。
一般式(1)におけるYは、下記の一般式(2)で示される。
一般式(2)
−SiRnQ(3−n)
一般式(2)中、Rは、水素、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基を表す。アルキル基としては、特に限定されないが、炭素数1〜20のものが好ましく、1〜15のものがより好ましい。前記アリール基としては、芳香環数3以下のものが好ましい。Qは、加水分解性基を表し、nは0〜2の整数を表す。
一般式(2)
−SiRnQ(3−n)
一般式(2)中、Rは、水素、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基を表す。アルキル基としては、特に限定されないが、炭素数1〜20のものが好ましく、1〜15のものがより好ましい。前記アリール基としては、芳香環数3以下のものが好ましい。Qは、加水分解性基を表し、nは0〜2の整数を表す。
一般式(2)において、加水分解性基であるQが加水分解してヒドロキシシリル基(シラノール基)となり、他のヒドロキシシリル基と脱水縮合して架橋マトリックスを形成する。Qとしてはアルコキシ基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルカルボキシ基、ハロゲン原子等が挙げられるが、アルコキシ基が望ましい。
前記加水分解性基Qの数は、1〜3個となるが、加水分解性基Qの数が3個ある場合には、加水分解性シリル基の反応性が高くなる傾向にあるために、重縮合反応が進行し過ぎてしまい、ポットライフが短くなってしまう場合がある。このような場合には、加水分解性シリル基が有する加水分解性基Qの数を1個または2個にし、前記のような構造Rを代わりに導入することで反応性を抑えることによりポットライフを向上させることができる。
前記加水分解性基Qの数は、1〜3個となるが、加水分解性基Qの数が3個ある場合には、加水分解性シリル基の反応性が高くなる傾向にあるために、重縮合反応が進行し過ぎてしまい、ポットライフが短くなってしまう場合がある。このような場合には、加水分解性シリル基が有する加水分解性基Qの数を1個または2個にし、前記のような構造Rを代わりに導入することで反応性を抑えることによりポットライフを向上させることができる。
また、加水分解性基Qが、アルコキシ基である場合には、上記のような反応性は、メトキシ基>エトキシ基>プロポキシ基の順で嵩高さが大きくなるにつれ低下するため、例えばメトキシ基でポットライフに問題があった場合に、イソプロポキシ基に変更することによってポットライフをより向上させることができる。
一般式(1)におけるGの基本骨格として使用できる非線形光学特性を有する有機分子としては公知のものが使用できるが、例えば下記に示すようなものが挙げられる。
一般式(1)におけるGの基本骨格として使用できる非線形光学特性を有する有機分子としては公知のものが使用できるが、例えば下記に示すようなものが挙げられる。
前記一般式(1)の具体例として、下記例示化合物(1−1)〜(1−14)があげられるが、これらに限定されるものではない。
<溶剤>
本発明に用いる原料溶液は、既述の一般式(1)で表わされる加水分解性シリル基を有する非線形光学活性化合物を適当な溶剤に溶解し、水と適当な触媒を用いて加水分解を行なうことにより得られる。このような溶剤は、一般式(1)の化合物を溶解しうるもので、かつ加水分解を進行させることが可能で、後から除去可能なものであるが、本発明においては、前記溶剤が160℃以上の沸点を有する溶剤(以下、「本発明に係る高沸点溶剤」という場合がある。)を少なくとも1種以上含むことを特徴とする。本発明に係る高沸点溶剤の沸点は165℃以上であることが好ましい。また、本発明に係る高沸点溶剤の沸点は、溶剤除去工程や架橋硬化などの後工程における加熱温度が高くなりすぎると非線形光学活性化合物の劣化や分解、変質などが起こりやすくなってしまうため、250℃以下であることが好ましい。尚、本発明において、溶剤の沸点は、「溶剤ハンドブック」(講談社サイエンティフィク)に記載の沸点を用いるものとする。以下、本発明に係る高沸点溶剤について説明する。
本発明に用いる原料溶液は、既述の一般式(1)で表わされる加水分解性シリル基を有する非線形光学活性化合物を適当な溶剤に溶解し、水と適当な触媒を用いて加水分解を行なうことにより得られる。このような溶剤は、一般式(1)の化合物を溶解しうるもので、かつ加水分解を進行させることが可能で、後から除去可能なものであるが、本発明においては、前記溶剤が160℃以上の沸点を有する溶剤(以下、「本発明に係る高沸点溶剤」という場合がある。)を少なくとも1種以上含むことを特徴とする。本発明に係る高沸点溶剤の沸点は165℃以上であることが好ましい。また、本発明に係る高沸点溶剤の沸点は、溶剤除去工程や架橋硬化などの後工程における加熱温度が高くなりすぎると非線形光学活性化合物の劣化や分解、変質などが起こりやすくなってしまうため、250℃以下であることが好ましい。尚、本発明において、溶剤の沸点は、「溶剤ハンドブック」(講談社サイエンティフィク)に記載の沸点を用いるものとする。以下、本発明に係る高沸点溶剤について説明する。
後述するように本発明に用いる原料溶液は、前記一般式(1)で表わされる加水分解性シリル基を有する非線形光学活性化合物を加水分解することにより得られるが、加水分解を行なって調製した溶液から非線形光学材料を形成するためには、溶剤を除去する必要がある。溶剤を除去する際、一般式(1)におけるGで表わされる構造は、特にその平面性が高いなどの場合に、2つ以上が凝集してしまい、二量体、及び/又は、多量体を形成してしまう場合がある。Gは二次の非線形光学特性を有するものであるから一般に分極も大きいため、凝集する際にはクーロン力によって互いの分極をうち消すような配置を取ってしまい、結果として得られる非線形光学材料における非線形光学特性を小さくしてしまう場合がある。
それを防止するため、本発明では、前記溶剤が本発明に係る高沸点溶剤を少なくとも1種以上含むことが必要である。前記溶剤が本発明に係る高沸点溶剤を少なくとも1種以上含むことにより、結果として得られる非線形光学材料における非線形光学特性が小さくなることがない。これは本発明に係る高沸点溶剤が、溶剤を除去して固体化する際に、最後まで固体中に残っていることができ、クーロン相互作用を阻害し、二量体等の形成を防止することができると考えられる。
更に、本発明に係る高沸点溶剤は極性が高いものであることが好ましい。極性が高い本発明に係る高沸点溶剤を含んでいると、Gどうしのクーロン相互作用を阻害し、二量体等の形成を防止するという効果がより顕著になる。
ここで、溶剤の極性が高いとは、双極子モーメントが大きい、或いは、誘電率が大きい、ということができる。具体的には双極子モーメントであれば3D以上、誘電率であれば30以上のものを極性が高いという。
ここで、溶剤の極性が高いとは、双極子モーメントが大きい、或いは、誘電率が大きい、ということができる。具体的には双極子モーメントであれば3D以上、誘電率であれば30以上のものを極性が高いという。
本発明に係る高沸点溶剤は、双極子モーメントが3D以上であるものが好ましく、3.5D以上であるものがより好ましい。また、双極子モーメントは、あまり大きすぎると非線形光学活性化合物との相互作用が大きくなり過ぎ、膜中に残存して非線形光学特性に悪影響を与える場合があるため、5D以下であることが好ましい。一方、本発明に係る高沸点溶剤は、誘電率が20以上であるものが好ましく、30以上であるものがより好ましい。また、誘電率は、あまり大きすぎると非線形光学活性化合物との相互作用が大きくなりすぎ、膜中に残存して非線形光学特性に悪影響を及ぼす場合があるため、50以下であることが好ましい。尚、本発明において、溶剤の双極子モーメント及び溶剤の誘電率は、「溶剤ハンドブック」(講談社サイエンティフィク)に記載のものを用いるものとする。
本発明に係る高沸点溶剤の具体例としては、ジメチルスルホキシド(沸点:189℃、双極子モーメント:4.3D、誘電率:49)、N−メチルピロリドン(沸点:202℃、双極子モーメント:4.09D、誘電率:32)、2−ピロリドン(沸点:245℃、双極子モーメント:3.55D)、γ−ブチロラクトン(沸点:204℃、双極子モーメント:4.12D、誘電率:39)、プロピレンカーボネート(沸点:242℃、誘電率:69)、ジエチレングリコール(沸点:245℃、双極子モーメント:2.31D、誘電率:32)、N,N−ジメチルアセトアミド(沸点:166℃、双極子モーメント:3.72D、誘電率:38)等が挙げられ、この中でも2−ピロリドン、ジエチレングリコールは、得られる非線形光学特性も良好であり、好ましいものである。
上述の本発明に係る高沸点溶剤は、一種単独で用いても、二種以上を併用して用いてもよい。また、本発明において、前記本発明に係る高沸点溶剤と共に、他の溶剤を併用して用いることも好ましい。他の溶剤を併用することにより溶媒の除去がスムーズに行える。これら他の溶剤としては、前記一般式(1)で示される加水分解性シリル基を有する非線形光学活性化合物を適当な溶剤に溶解し、水と適当な触媒を用いて加水分解を行なうことができれば特に制限されず、具体例として、アルコール類(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(例えばテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等)、エステル類(例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル)、芳香族類(例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、テトラヒドロナフタレン)、アミド類(例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド)、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これら他の溶剤は、一種単独で用いても、二種以上を併用して用いてもよい。
本発明に用いる溶剤における本発明に係る高沸点溶剤の割合としては、溶剤の総量に対して5〜100質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることがさらに好ましい。前記溶剤の総量に対する本発明に係る高沸点溶剤の割合が5〜20質量%であると、クーロン相互作用を阻害し、二量体等の形成を防止するという効果がより顕著に得られ、溶剤の除去もスムーズに行える。
(加水分解)
前記加水分解とは、一般式(1)に含まれる加水分解性シリル基をヒドロキシシリル基(シラノール基)に変換することであり、一般的なゾルゲル反応におけるゾル形成工程に相当するものである。
加水分解反応を進行させるためには触媒を添加することが有効であり、一般的に広く使用されている塩酸、硫酸、酢酸、などの酸触媒を好ましく使用することができるが、加水分解の反応制御性、その後のコーティング液の保存安定性の面からは、固体触媒を使用することがより好ましい。
前記加水分解とは、一般式(1)に含まれる加水分解性シリル基をヒドロキシシリル基(シラノール基)に変換することであり、一般的なゾルゲル反応におけるゾル形成工程に相当するものである。
加水分解反応を進行させるためには触媒を添加することが有効であり、一般的に広く使用されている塩酸、硫酸、酢酸、などの酸触媒を好ましく使用することができるが、加水分解の反応制御性、その後のコーティング液の保存安定性の面からは、固体触媒を使用することがより好ましい。
固体触媒を用いる場合、触媒表面で加水分解反応が起こるため反応がマイルドであり、反応の進行度を調整するのが容易で余計な反応も起こりにくい。さらに、濾過などの単純な操作で触媒を除去できるため、加水分解反応を所望のレベルで停止できるという特長がある。
この固体触媒は、原料溶液に対して不溶性を有するものであり、かつ、一般式(1)に含まれる加水分解性シリル基を加水分解してシラノールを生成するものであれば特に限定されない。
この固体触媒は、原料溶液に対して不溶性を有するものであり、かつ、一般式(1)に含まれる加水分解性シリル基を加水分解してシラノールを生成するものであれば特に限定されない。
固体触媒として陽イオン交換樹脂を用いる場合には、例えば、アンバーライト15、アンバーライト200C、アンバーリスト15、アンバーリスト15E(以上、ローム・アンド・ハース社製)、ダウエックスMWC−1−H、ダウエックス88、ダウエックスHCR−W2(以上、ダウ・ケミカル社製)、レバチットSPC−108、レバチットSPC−118(以上、バイエル社製)、ダイヤイオンRCP−150H(三菱化成社製)、スミカイオンKC−470、デュオライトC26−C、デュオライトC−433、デュオライト−464(以上、住友化学工業社製)、ナフィオン−H(デュポン社製)、ピューロライト(エイエムピー・アイオネクス社製)、などが挙げられる。
固体触媒として陰イオン交換樹脂を用いる場合には、例えば、アンバーライトIRA−400、アンバーライトIRA−45(以上、ローム・アンド・ハース社製)などを挙げることができる。
固体触媒としてプロトン酸基を含有する基が表面に結合されている無機固体を用いる場合には、例えば、Zr(O3PCH2CH2SO3H)2、Th(O3PCH2CH2COOH)2、などを挙げることができる。プロトン酸基を含有するポリオルガノシロキサンを用いる場合には、例えば、スルホン酸基を有するポリオルガノシロキサン、などを挙げることができる。
固体触媒としてヘテロポリ酸を用いる場合には、例えば、コバルトタングステン酸、リンモリブデン酸、などを挙げることができる。イソポリ酸を用いる場合には、例えば、ニオブ酸、タンタル酸、モリブデン酸、などを挙げることができる。単元系金属酸化物を用いる場合には、例えば、シリカゲル、アルミナ、クロミア、ジルコニア、CaO、MgO、などを挙げることができる。複合系金属酸化物を用いる場合には、例えば、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、ゼオライト類、など挙げることができる。粘土鉱物を用いる場合には、酸性白土、活性白土、モンモリロナイト、カオリナイト、などを挙げることができる。
固体触媒として金属リン酸塩を用いる場合には、リン酸ジルコニア、リン酸ランタン、などを挙げることができる。アミノ基を含有する基が表面に結合されている無機固体を用いる場合には、シリカゲル上にアミノプロピルトリエトキシシランを反応させて得られた固体などを挙げることができる。アミノ基を含有するポリオルガノシロキサンを用いる場合には、アミノ変性シリコーン樹脂、などを挙げることができる。
固体触媒を用いて加水分解を行なう方法としては、固体触媒が担持された多孔質や繊維質からなる担持体中を通過させたりするような連続式で行うことができる。また、粒子状の固体触媒を原料溶液中に分散させて触媒反応させた後、固体触媒を濾過して除くようなバッチ式でもよい。濾過する方法としては、濾紙、メンブランフィルター、ガラスフィルター、コットンフィルター、など各種フィルターを用いることができ、常圧での濾過の他に減圧濾過、加圧濾過でもよい。あるいは、固体触媒が内壁面に塗布された反応容器中に原料溶液を注いで攪拌しながら一定期間放置した後、このような処理を経た原料溶液を他の容器に移し替えるような方法でもよい。
固体触媒を原料溶液に添加して使用する場合の使用量は特に限定されないが、原料溶液中に含まれる加水分解性シリル基を有する成分の合計量に対して0.001〜20質量%の範囲内が好ましく、0.01〜10質量%の範囲内がより好ましい。
固体触媒に接触させて反応させる場合の温度は、用いる固体触媒や原料溶液に含まれる成分の種類によっても異なるが、通常、0〜100℃の範囲内が好ましく、5〜70℃の範囲内がより好ましく、10〜50℃の範囲内が特に好ましい。また、反応時間は、特に制限はないが、反応時間を長くすることで溶液の粘度を上げることができるが、一方でゲル化を生じ易くなってしまうため、10分〜100時間の範囲内で行なうことが好ましい。
固体触媒に接触させて反応させる場合の温度は、用いる固体触媒や原料溶液に含まれる成分の種類によっても異なるが、通常、0〜100℃の範囲内が好ましく、5〜70℃の範囲内がより好ましく、10〜50℃の範囲内が特に好ましい。また、反応時間は、特に制限はないが、反応時間を長くすることで溶液の粘度を上げることができるが、一方でゲル化を生じ易くなってしまうため、10分〜100時間の範囲内で行なうことが好ましい。
また、加水分解のために添加する水の量は特に限定されないが、保存安定性(有機成分の沈降や相分離を抑える)の観点から、前記溶液中に含まれる加水分解性シリル基をすべて加水分解するのに必要な理論量に対して、30〜500モル%の範囲とすることが好ましく、50〜300モル%の範囲とすることがより好ましい。水の量が理論量に対して500モル%を超えると、非線形光学材料形成溶液の保存安定性が悪くなる場合や、有機成分の沈殿が析出しやすくなる場合がある。なお、これらの問題は、アルコール類を混合することによって軽減される場合がある。一方、水の量が理論量に対して30モル%未満であると、加水分解性シリル基の大半が加水分解されずに残存するため、架橋硬化が進行し難くなる場合がある。
なお、添加した水は、加水分解反応を終えた後に、残存分を蒸留やモレキュラーシーブによる吸着処理等によって一部あるいは全てを除去してもよい。
なお、添加した水は、加水分解反応を終えた後に、残存分を蒸留やモレキュラーシーブによる吸着処理等によって一部あるいは全てを除去してもよい。
本発明における原料溶液には、必要に応じて、一般式(1)の化合物と同様に加水分解物を生成し、その加水分解物とともに架橋硬化して非線形光学材料を形成し得るもの、すなわちマトリックス形成化合物を添加してもよい。このマトリックス形成化合物は、硬化後の非線形光学材料における非線形光学活性化合物の濃度を調整したり、硬化後の機械的特性を調整したり、あるいは非線形光学材料形成溶液の安定性や粘度などを調整するなどの目的で添加される。
このような目的で添加されてるマトリックス形成化合物としては、一般式(2)で示されるような加水分解性シリル基を1つ以上有するものであり、一般式(1)の化合物と同時に加水分解が進行し、架橋硬化膜を形成し得るものであれば特に制限されず、通常のゾルゲル法において用いられる公知の化合物が利用可能である。
特に、下記一般式(3)で示されるマトリックス形成化合物は、その架橋性の高さと柔軟性のバランスがよく、好ましく用いられるものである。
一般式(3)
T(−X)i
特に、下記一般式(3)で示されるマトリックス形成化合物は、その架橋性の高さと柔軟性のバランスがよく、好ましく用いられるものである。
一般式(3)
T(−X)i
前記一般式(3)中、Tは、炭素数が2〜20の枝分かれ、環構造、不飽和結合、ヘテロ原子を含んでもよい脂肪族炭化水素基;置換または未置換の芳香族基;置換または未置換のヘテロ原子含有芳香族基;または、それらの組み合わせから構成され、−NH−、−CO−、−O−、−S−、−Si−から選ばれる基の少なくとも1つ以上を含んでもよい。また、Xは前記一般式(2)で示されるものと同様の加水分解性シリル基を表す(ただし、一般式(1)に含まれるものと同じでも異なっていてもよい)。また、iは1以上の整数を意味する。iの上限は、特に限定されないが、4以下であることが好ましい。iが4を超える場合には、形成される架橋硬化物の柔軟性が悪くなりクラックが発生したり、未架橋で残存してしまうヒドロキシシリル基が多くなったりしてしまう、等の問題が生じる場合がある。
前記一般式(3)におけるTで表される構造は、加水分解性シリル基を有するマトリックス形成化合物に適度な柔軟性を与えるため、これを含む本発明の非線形光学材料形成溶液を用いて架橋硬化膜を形成する際に、架橋硬化に伴い生ずる収縮歪みを吸収してクラックの発生を防止する、未架橋で残存してしまうヒドロキシシリル基の濃度を低減する、等の好ましい効果を発揮する。この効果は、加水分解性シリル基を有するマトリックス形成化合物に含まれる加水分解性シリル基が1つのものでも得ることができるが、Tが置換基を有してもよい炭素数が2以上の有機基であり、且つその末端に2つ以上の加水分解性シリル基を有する場合に、特に顕著となる。このような加水分解性シリル基含有マトリックス形成化合物としては、例えば、下記例示化合物(3−1)〜(3−17)が挙げられる。
また、前記マトリックス形成化合物としては、一般式(3)で示される化合物に限定されず、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、等のゾルゲル反応で一般的に使用される化合物を挙げることができる。
このようなマトリックス形成化合物の添加量は、非線形光学活性を低下させない程度に、必要最小限の添加であることが望ましい。具体的には、一般式(1)で示される加水分解性シリル基を有する非線形光学活性化合物に対して0〜5000質量%の範囲が好ましく、0〜1000質量%の範囲がより好ましい。また、架橋硬化後の非線形光学材料の総量に占める非線形光学活性部分(Gから接合手を除いた部分)の質量比が、10質量%以上になるように添加することが好ましい。
加水分解が終了し、必要に応じて固体触媒を除去した溶液は、そのままの状態でも、溶剤を除去して加熱処理を加えるだけで架橋硬化物を形成することが可能であるが、さらに熱硬化を促進するための熱硬化触媒を添加してもよい。該熱硬化触媒としては、アンモニア、トリエチルアミン等の塩基、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート等の有機錫化合物、有機カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩等が挙げられる。
前記熱硬化触媒として特に好ましいのはアルミニウム、チタン、ジルコニウムなどの有機金属化合物であり、具体的には、ジイソプロポキシアルミニウムアセチルアセトネート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート、イソプロポキシアルミニウムビス(エチルアセトアセテート)、sec−ブトキシアルミニウムビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノアセチルアセトナート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(トリフルオロアセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)などの有機アルミニウム化合物;n−ブトキシジルコニウムトリス(アセチルアセトナート)、n−ブトキシジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシジルコニウムビス(アセチルアセトナート)、トリ−n−ブトキシジルコニウムアセチルアセトナート、トリ−n−ブトキシジルコニウムエチルアセトアセテートなどの有機ジルコニウム化合物;ジ−n−ブトキシチタニウムビス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシチタニウムビス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシチタニウムビス(エチルアセトアセテート)などの有機チタニウム化合物;等が例示される。これらの化合物は1種類を単独で使用してもよいし、複数を同時に使用してもよい。
前記有機金属化合物の総添加量は、加水分解性シリル基を有する化合物の総量に対して0.1〜20質量%の範囲が好ましく、0.1〜10質量%の範囲がより好ましい。添加量が0.1質量%より少ないと加水分解反応や加熱硬化の際の触媒作用が得られなくなる可能性があり、また、20質量%より多過ぎると非線形光学材料形成溶液の安定性が逆に低下してしまう場合や、硬化して得られる非線形光学材料の機械的性質や非線形光学特性に問題が発生する場合がある。
前記有機金属化合物を熱硬化触媒として添加する場合、それら中心金属に対して配位可能な多座配位子を添加すると、液の安定性が向上する場合がある。そのような多座配位子としては、アセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトンなどのβ−ジケトン類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のアセト酢酸エステル類;ビピリジン及びその誘導体;グリシン及びその誘導体;エチレンジアミン及びその誘導体;8−オキシキノリン及びその誘導体;サリチルアルデヒド及びその誘導体;カテコール及びその誘導体;2−オキシアゾ化合物等の2座配位子;ジエチルトリアミン及びその誘導体;ニトリロトリ酢酸及びその誘導体等の3座配位子;エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)及びその誘導体等の6座配位子;等を挙げることができる。特に、アセチルアセトンは、非線形光学材料形成溶液の安定性、塗布後の熱硬化性などの面から好ましいものである。
これら多座配位子は単独で使用してもよいし、複数同時に使用してもよい。前記多座配位の添加量は、有機金属化合物の総添加量1モルに対し、0.1〜20モルの範囲とするのが好ましく、1〜10モルの範囲とするのがより好ましい。添加量が1モルより少ないと本発明の非線形光学材料形成溶液の安定性が低下する場合があり、20モルより多いと非線形光学材料形成溶液の安定性が低下する場合がある。
本発明における原料溶液には、例えば、非線形光学活性有機化合物の酸化劣化を抑制する目的で、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ヒドロキノン等の公知の酸化防止剤を、非線形光学活性有機化合物の紫外線劣化を抑制する目的で、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等の公知の紫外線吸収剤を添加することができる。さらに、塗布膜の表面平滑性を改善する目的で、シリコーンオイル等の公知のレベリング剤を、ポットライフを向上させるために公知の重縮合阻害剤を、架橋硬化を促進させる目的で公知の硬化助剤を、あるいは非線形光学機能以外の機能を付与するために公知の機能性材料、等を添加してもよい。
これらの添加剤を添加するのは、加水分解の前後、固体触媒の除去前後、硬化触媒の添加前後、のいずれの工程でもよい。また、その添加量は公知のレベルでよく、最終的な非線形光学材料形成溶液における固形分量に対して、0.001〜10質量%とすることが望ましい。
<非線形光学材料、非線形光学材料の製造方法>
次に、本発明の非線形光学材料及びその製造方法について説明する。
本発明の非線形光学材料の製造方法は、既述の原料溶液を用いた原料溶液を用い、該原料溶液から溶剤を除去する溶剤除去工程、及び溶剤を除去した後の原料溶液を架橋硬化する架橋硬化工程を有する。本発明の非線形光学材料の製造方法としては、例えば、鋳型に原料溶液を流し込んで架橋硬化することによりバルク状の非線形光学材料を形成したり、あるいは、板状やファイバー状等の任意の形状を有する基材表面に原料溶液を塗布し、架橋硬化させることにより膜状の非線形光学材料を形成することができる。
次に、本発明の非線形光学材料及びその製造方法について説明する。
本発明の非線形光学材料の製造方法は、既述の原料溶液を用いた原料溶液を用い、該原料溶液から溶剤を除去する溶剤除去工程、及び溶剤を除去した後の原料溶液を架橋硬化する架橋硬化工程を有する。本発明の非線形光学材料の製造方法としては、例えば、鋳型に原料溶液を流し込んで架橋硬化することによりバルク状の非線形光学材料を形成したり、あるいは、板状やファイバー状等の任意の形状を有する基材表面に原料溶液を塗布し、架橋硬化させることにより膜状の非線形光学材料を形成することができる。
以下の説明においては、基板表面に既述の原料溶液を塗布し薄膜とする場合を前提として、非線形光学材料及びその製造方法について説明する。
前記原料溶液の塗布方法としては、特に限定されないが、スピンコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、浸漬塗布法、インクジェット等の公知の湿式塗布法を用いることができる。
基材表面に原料溶液を塗布した後、該塗布した原料溶液から溶剤除去を行ない(溶剤除去工程)、続いて架橋硬化処理を行う(架橋硬化工程)。
前記原料溶液の塗布方法としては、特に限定されないが、スピンコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、浸漬塗布法、インクジェット等の公知の湿式塗布法を用いることができる。
基材表面に原料溶液を塗布した後、該塗布した原料溶液から溶剤除去を行ない(溶剤除去工程)、続いて架橋硬化処理を行う(架橋硬化工程)。
前記溶剤除去は、風乾によってゆっくりと自然乾燥してもよいし、加熱あるいは減圧することによって乾燥してもよい。既述の原料溶液には、沸点が160℃以上の溶剤が含まれているため、完全に溶剤が除去される直前まで非線形光学活性化合物の凝集を防止する効果があるが、極端に急激な溶剤除去を行なうとその効果が薄くなる場合がある。前記溶剤除去における温度は、160℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。また、ポーリングの過程で加熱処理を行なうため、この段階では溶剤が残存していてもよく、完全に溶剤除去する必要はない。
非線形光学材料において2次の非線形光学活性を誘起させるには、何らかの配向処理を行うことによって非線形光学活性化合物を配向させることが好ましい。
前記非線形光学活性化合物を配向させる配向法としては、原料溶液を、表面に配向膜を有する基板上に塗布し、該配向膜の配向性により、非線形光学材料中の非線形光学活性化合物の配向を誘起する方法がある。また、光ポーリング法、光アシスト電界ポーリング法、電界ポーリング法等の公知のポーリング法も有効に利用できる。これらの中でも、電界ポーリング法は、装置の簡便性、得られる配向度合いの高さ、等の点で特に好ましい。
前記非線形光学活性化合物を配向させる配向法としては、原料溶液を、表面に配向膜を有する基板上に塗布し、該配向膜の配向性により、非線形光学材料中の非線形光学活性化合物の配向を誘起する方法がある。また、光ポーリング法、光アシスト電界ポーリング法、電界ポーリング法等の公知のポーリング法も有効に利用できる。これらの中でも、電界ポーリング法は、装置の簡便性、得られる配向度合いの高さ、等の点で特に好ましい。
電界ポーリング法は、非線形光学活性化合物の双極子モーメントと印加電界とのクーロン力によって、非線形光学活性化合物を印加電界方向に配向させる配向法である。電界ポーリング法においては、一般的に、電界を印加した状態で、加熱することによって、非線形光学活性化合物の電界方向への配向移動を促進させ十分な配向が誘起された後、印加電界を除去する。本発明の架橋硬化系の非線形光学材料では、電界ポーリングを架橋硬化と同時、またはその前に行うことによって、電界ポーリングによって誘起される配向状態が架橋硬化によって凍結され安定なものとなる。
このように、架橋硬化前の柔軟な段階で配向処理を行い、そのまま架橋硬化することによって、配向状態を安定に保持することが可能となり、高い配向度の実現と、その安定性の両立とが達成される。但し、全く架橋硬化を行わない状態で電界ポーリングによる配向処理を行おうとすると、膜の抵抗が低すぎ、有効なポーリング電界が掛からず、低い配向度しか得られない場合がある。この問題は、電界ポーリング処理の前に部分的に架橋硬化反応を進行させておいたり、あるいは配向法として、光アシスト電界ポーリング法や光ポーリング法を用いたりすることによって回避できる。
加熱による硬化処理と電界ポーリング処理とを同時に行なう場合には、電界を印加しながら硬化反応温度まで一気に昇温してもよいが、その場合、十分な配向が起こる前に硬化反応が進行してしまい非線形光学活性有機化合物が動き難くなってしまい、有効な配向処理が行えない場合がある。
従って、上記のような場合には、電界を印加した状態で温度を徐々に連続的に昇温させる方法、あるいは、段階的に昇温させる方法が有効である。
従って、上記のような場合には、電界を印加した状態で温度を徐々に連続的に昇温させる方法、あるいは、段階的に昇温させる方法が有効である。
電界ポーリング処理の際に印加する電界強度は、一定であってもよいし、連続的あるいは段階的に変化させてもよい。また、その際に周期的に変化する電界を重畳してもよい。
電界ポーリング処理における電界の印加方法としては、公知の方法を採用することができ、針状、ワイヤ状、ノコギリ歯状、板状等の電極、あるいは、これらの電極にグリッド電極を組み合わせたもの等によって非線形光学材料に放電電荷を供給する放電法や、非線形光学材料に電極対を設け電界を印加するコンタクト電極法、等を用いることができる。
電界ポーリング処理における電界の印加方法としては、公知の方法を採用することができ、針状、ワイヤ状、ノコギリ歯状、板状等の電極、あるいは、これらの電極にグリッド電極を組み合わせたもの等によって非線形光学材料に放電電荷を供給する放電法や、非線形光学材料に電極対を設け電界を印加するコンタクト電極法、等を用いることができる。
前記コンタクト電極法の場合、非線形光学材料表面に直接電極を形成してもよいし、電界ポーリング処理の際のみ電極を近接あるいは接触させてもよい。膜表面に直接形成し得る電極材料としては、金、アルミニウム、ニッケル、クロム、パラジウム等の各種金属、及びこれらの合金、あるいは導電性金属酸化物や導電性高分子等を用いることができる。
膜表面に直接電極を形成する方法としては、一般的な蒸着法やスパッタリング法を用いることができる。また、膜に近接あるいは接触させる電極としては、上記と同じものや、ガラスやプラスチック等の非導電性基体表面に導電性の膜を形成したものが使用できる。
膜表面に直接電極を形成する方法としては、一般的な蒸着法やスパッタリング法を用いることができる。また、膜に近接あるいは接触させる電極としては、上記と同じものや、ガラスやプラスチック等の非導電性基体表面に導電性の膜を形成したものが使用できる。
電界ポーリング処理は大気中で行うこともできるが、窒素、アルゴン等の不活性ガス中、あるいは、減圧環境(真空、吸引下)にて行うことが好ましい。このような環境下にて行うことによって、前記放電法においては、空気中の酸素や放電生成物等による非線形光学材料の劣化を防止できる場合があったり、また、電極法においては、高電界を印加する場合に発生する不要な火花放電を防止する効果が得られたりする。
以上のように作製することにより本発明の非線形光学材料が得られる。本発明の非線形光学材料は、優れた非線形光学性能と架橋硬化によるその高い熱安定性とを兼ね備えている。
以上のように作製することにより本発明の非線形光学材料が得られる。本発明の非線形光学材料は、優れた非線形光学性能と架橋硬化によるその高い熱安定性とを兼ね備えている。
<非線形光学素子>
本発明の非線形光学素子は、既述の本発明の非線形光学材料を用いたことを特徴とする。以上のようにして得られる本発明の非線形光学材料は、非線形光学機能を利用する如何なる素子にも、任意の形態にて適用することが可能であり、例えば、透明基板上の薄膜として波長変換素子等に適用できる。また、導波路構造を有する電気光学素子のコア層等に適用することもできる。
本発明の非線形光学素子は、既述の本発明の非線形光学材料を用いたことを特徴とする。以上のようにして得られる本発明の非線形光学材料は、非線形光学機能を利用する如何なる素子にも、任意の形態にて適用することが可能であり、例えば、透明基板上の薄膜として波長変換素子等に適用できる。また、導波路構造を有する電気光学素子のコア層等に適用することもできる。
以下に、本発明の好ましい適用例である、本発明の非線形光学材料から形成したコア層を有する導波路型電気光学素子について詳述する。
本発明の非線形光学素子の一つである導波路型電気光学素子の構成としては、特に制限されず、種々の構成を採ることができる。また、例えば、複数の層から構成されてなる素子においては、各層のうちの少なくとも1層が、前記本発明の非線形光学材料を用いて形成されていればよいが、光が伝播するコア層を本発明の非線形光学材料を用いて形成することが好ましい。この場合、その他の層に用いられる材料は特に制限されない。
本発明の非線形光学素子の一つである導波路型電気光学素子の構成としては、特に制限されず、種々の構成を採ることができる。また、例えば、複数の層から構成されてなる素子においては、各層のうちの少なくとも1層が、前記本発明の非線形光学材料を用いて形成されていればよいが、光が伝播するコア層を本発明の非線形光学材料を用いて形成することが好ましい。この場合、その他の層に用いられる材料は特に制限されない。
図1〜図3に、本発明の非線形光学素子の一つである導波路型電気光学素子の構成の例を、模式断面図として示す。
前記導波路型電気光学素子は、基板表面に少なくとも下部クラッド層とコア層とを有する構成とすることが望ましく、さらに図1に示す構成のように、上部クラッド層2を設けた構成とすることが好ましい。
前記導波路型電気光学素子は、基板表面に少なくとも下部クラッド層とコア層とを有する構成とすることが望ましく、さらに図1に示す構成のように、上部クラッド層2を設けた構成とすることが好ましい。
本発明の非線形光学材料は、導波路型電気光学素子のコア層として用いることによって、得られる素子の非線形光学性能が優れたものとなり、かつ高い安定性が保証される。さらに、本発明の非線形光学材料は架橋硬化しており耐溶剤性に優れているため、それをコア層に用いた場合には、その上に上部クラッド層を形成する時や、後述するコア層や上部電極に対してパターニングを行うときに、コア層が侵食されてしまうという問題が回避される。
本発明の非線形光学素子を用いた導波路型電気光学素子においては、素子を駆動するために、少なくとも本発明の非線形光学材料を含む層に電界が掛かるように電極対を設ける必要がある。電極対としては、図1に示すように、下部電極5及び上部電極1が、下部クラッド層4、コア層3、上部クラッド層2からなる導波路層を挟み込む構成が好ましい。
基板6を構成する材料としては、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、クロム、チタン等の金属;シリコーン、ガリウム−ヒ素、インジウム−燐、酸化チタン、酸化亜鉛等の半導体;ガラス等のセラミックス;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリイミド等のプラスチック;等を用いることができる。
これらの基板材料の表面には、導電性膜が形成されていてもよく、該導電性膜の材料としては、アルミニウム、金、ニッケル、クロム、チタン等の金属;酸化スズ、酸化インジウム、ITO(酸化インジウムを主とする金属酸化物)等の導電性酸化物;ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリアセチレン等の導電性高分子;等が用いられる。これらの導電性膜は、蒸着、スパッタリング等の公知の乾式成膜法や、スプレー塗布法、浸漬塗布法、電解析出法等の公知の湿式成膜法を利用して形成され、必要に応じてパターンが形成されていてもよい。なお、導電性基板、あるいは、基板上に形成された導電性膜は、電界ポーリングや素子駆動用の電極(図1等における下部電極5)として利用される。
基板6の表面には、さらに必要に応じて、その上に形成される膜と基板6との接着性を向上させるための接着層、基板表面の凹凸を平滑化するためのレベリング層、あるいはこれらの機能を一括して提供する何らかの中間層が形成されていてもよい。
このような層を形成する材料としては、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、アミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ビニルアルコール樹脂、アセタール樹脂等及びそれらの共重合物;ジルコニウムアルコキシド化合物、チタンアルコキシド化合物、シランカップリング剤等の架橋物及びそれらの共架橋物;等の公知のものを用いることができる。
前記のように、本発明の非線形光学素子は、一つ以上のコア層と、それを挟むクラッド層とを含む導波路構造を有するものとして形成することが好ましく、前記本発明の非線形光学材料を、導波路のコア層に含有させることが特に好ましい。
本発明の非線形光学材料を含有するコア層3と基板6との間には、下部クラッド層4を形成することが好ましい。この下部クラッド層4としては、コア層3よりも屈折率が低く、コア層形成の際に侵されないものであれば如何なるものでもよい。このようなものとして、アクリル系、エポキシ系、シリコーン系等のUV硬化性あるいは熱硬化性の樹脂;ポリイミド;SiO2等が好ましく使用される。また、本発明の非線形光学材料も用いることができる。但し、その場合、非線形光学活性有機化合物の構造、含有量等を調整して、コア層3に用いる非線形光学材料よりも屈折率を小さくする必要がある。
本発明の非線形光学材料を用いたコア層を形成した後、さらにその表面に上部クラッド層2を下部クラッド層4と同様にして形成してもよい。これにより、図1に示す、下部クラッド層/コア層/上部クラッド層という構成のスラブ型導波路が形成される。
また、コア層3を形成した後、反応性イオンエッチング(RIE)、湿式エッチング、フォトリソグラフィー、電子線リソグラフィー等の半導体プロセス技術を用いた公知の方法により、コア層3をパターニングし、チャネル型導波路(図2)あるいはリッジ型導波路(図3)を形成することもできる。また、コア層3の一部に、UV光、電子線等をパターン化して照射することにより、照射部分の屈折率を変化させてチャネル型またはリッジ型導波路を形成することもできる。さらにまた、予め、下部クラッド層4を、反応性イオンエッチング(RIE)、湿式エッチング、フォトリソグラフィー、電子線リソグラフィー等の半導体プロセス技術を用いた公知の方法によりパターニングしておき、その上にコア層3を形成することによって、逆リッジ型導波路を形成することもできる。
上部クラッド層2の表面には、素子を駆動するための上部電極1を、前記上部クラッド層2の所望の領域に形成することで基本的な電気光学素子を形成することができる。
前記クラッド層及びコア層3の成膜方法としては、スピンコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、浸漬塗布法、インクジェット法等の公知の塗布方法が利用できる。溶剤の除去は、自然蒸発を待ってもよいが、加熱乾燥機等で加熱する、あるいは真空乾燥機等で減圧することによって強制的に行ってもよい。
本発明の非線形光学材料などの架橋硬化性材料からクラッド層やコア層3を形成する場合、各層の形成時に加熱処理やUV処理によって完全に架橋硬化させてもよいし、他の層を積層塗布する時に侵食されない程度に架橋硬化を部分的なものに留めておいてもよい。特に、他の層を積層塗布する際にハジキ等が起こったり、両層の接着性が悪い場合には、架橋硬化を部分的に留めておくことによって、これらの問題が改善されることがある。また、下部クラッド層4の架橋硬化を部分的に留めて抵抗値を低くしておくと、コア層3を電界ポーリング処理する際に、コア層3に有効にポーリング電界が掛かり、高い配向度が得られる場合がある。
下部クラッド層4の膜厚は、利用する光の波長やモード等に依存するが、0.1〜2000μm程度の範囲が好ましく、1〜100μm程度の範囲とすることがより好ましい。
また、コア層3の膜厚は、利用する光の波長やモード等に依存するが、0.1〜500μm程度の範囲であることが好ましく、0.5〜50μm程度の範囲であることがより好ましい。
また、コア層3の膜厚は、利用する光の波長やモード等に依存するが、0.1〜500μm程度の範囲であることが好ましく、0.5〜50μm程度の範囲であることがより好ましい。
本発明の非線形光学材料によってコア層3を形成する場合、原料溶液を塗布し、溶剤を除去した後に、加熱硬化処理とポーリング処理とを同時に行なうことが望ましい。溶剤除去と硬化処理は同時に行ってもよい。ポーリング処理の方法等は、本発明の非線形光学材料において説明したものと同じ方法が適用できる。
電界ポーリング処理の場合、加熱温度は、最終段階ではコア層3がほぼ完全に架橋硬化する温度にすることが望ましく、具体的には100〜200℃の範囲内に0.1〜10時間程度保持することが望ましい。ポーリング温度を室温から最終的な温度まで段階的に上昇させる場合、各ステップの上昇温度は5〜50℃程度の範囲、各ステップの時間は5〜120分間程度が望ましく、それらは終始同じでも異なってもよい。連続的に上昇させる場合の昇温速度は、0.1〜20℃/分程度とすることが望ましく、前記の段階的に温度を上昇させるステップと組み合わせてもよい。
前記放電法では、電極、グリッド、サンプル表面の位置関係はこの順であれば任意であるが、電極とサンプル表面との距離は5〜100mm程度の範囲、グリッドとサンプル表面との最短距離は1〜30mm程度の範囲とすることが好ましい。グリッドを使用することにより放電を安定化、および均一化できる場合があり、さらにサンプル表面に流れ込むイオン流を均一にしつつも必要以上のイオン流が流れ込むのを防止することができるため、サンプル表面の放電生成物によるダメージを抑制する効果もある。
前記放電法では、電界ポーリング処理の際に、電極やグリッドに印加する電圧は一定でもよいし、連続的あるいは段階的に変化させてもよく、温度上昇や下降のタイミングに合わせても合わせなくてもよい。例えば、電極に印加する電圧は1〜20kV程度の範囲、グリッドを使用する場合のグリッド電圧は0.1〜2kV程度の範囲とすることが好ましい。
また、コンタクト電極法の電極に印加する電圧としては、0.1〜2kV程度の範囲とすることが好ましい。
電極の極性は正負どちらでもよいが、放電法の場合には、サンプル表面側を正、すなわち正極放電にした方が放電に伴うオゾンや窒素酸化物等の発生量が少なく、サンプルへのダメージを小さくすることが可能である。
なお、温度を下げる行程まで含んだポーリングの総時間は、24時間以内程度とすることが好ましい。
電極の極性は正負どちらでもよいが、放電法の場合には、サンプル表面側を正、すなわち正極放電にした方が放電に伴うオゾンや窒素酸化物等の発生量が少なく、サンプルへのダメージを小さくすることが可能である。
なお、温度を下げる行程まで含んだポーリングの総時間は、24時間以内程度とすることが好ましい。
上部クラッド層2としては、前記の下部クラッド層用材料と同じもの以外に、一般にポリマー導波路用として使用されている各種の熱可塑性樹脂を使用することもできる。これらの熱可塑樹脂としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ環状オレフィン等がある。架橋硬化されている本発明におけるコア層3は、配向安定性及び耐溶剤性に優れているため、上部クラッド層材料及びこれを塗布する溶剤、並びに塗布方法の選択肢が非常に広いという長所がある。
コア層3の表面に上部クラッド層2を形成する場合、ポーリング処理は上部クラッド層2を形成した後でもよい。例えば、コア層3を塗布し、必要に応じて溶剤を除去したり部分的に架橋硬化した後、上部クラッド層2を形成した状態、さらには上部電極1を形成した状態で、ポーリング処理を行ってもよい。
上部クラッド層2の膜厚は、利用する光の波長やモード等に依存するが、0.1〜2000μm程度の範囲が好ましく、1〜100μm程度の範囲とすることがより好ましい。
本発明の非線形光学素子を前記のように導波路型の構成とする場合には、光を屈折率差によってコア層3に閉じ込めるために、コア層3の屈折率に比べ、クラッド層の屈折率を小さくする必要がある。コア層3とクラッド層との屈折率の差は、モード等によって異なるが、例えば、シングルモードの導波路として用いる場合には、上記コア層3とクラッド層との屈折率の差は、コア層3の屈折率に対して0.01〜30%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10%の範囲である。
上述のパターン化したUV光を照射しコア層3をパターニングする方法は、一般に、フォトブリーチング法として知られる。この場合、上記UV光源としては、(高圧)水銀ランプ、キセノンランプ、(メタル)ハロゲンランプ、ブラックライト、D2ランプ、各種レーザーなど、公知のものが使用できる。例えば、高圧水銀ランプを使用する場合、照射強度が5〜1000mW程度で1分〜200時間程度照射すればよい。パターン化の手段としてマスクパターンを使用する場合は、金属マスク法等、公知の方法をそのまま使用できる。
前記フォトブリーチング法でコア層3のパターニングを行う工程は、コア層3を塗布した後であればポーリング処理前でも可能であるが、架橋硬化及びポーリング処理の後の方が好ましい。あるいは、さらに上部クラッド層2や上部電極1を形成した後でも可能である。
前記のようにしてチャネル型導波路やリッジ型導波路を形成する際、コア層3のパターンとしては、直線型、Y分岐型、方向性結合器型、Mach−Zehnder型等の公知のデバイス構造を用いることができ、このような構成により、本発明の非線形光学素子は、光スイッチ、光変調器、位相シフト器等の公知の光情報通信用デバイスへの適用が可能である。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらによって制限されるものではない。
<実施例1>
下記組成物1を調整し、室温で撹拌して2時間反応させた後、フィルター径10μmのメンブランフィルターを用いて固体触媒を除去した。
(組成物1)
・加水分解性シリル基を有する非線形光学活性化合物(前記例示化合物(1−1)):1質量部
・加水分解性シリル基を有するマトリクス形成化合物(前記例示化合物(3−6)):7質量部
・固体触媒(イオン交換樹脂、アンバーリスト15E):0.8質量部
・シクロヘキサノン(沸点:155℃):8.5質量部
・テトラヒドロフラン(沸点:66℃):8.5質量部
・高沸点溶剤(2−ピロリドン):2.4質量部
・蒸留水:2.7質量部
・メタノール:1.3質量部
<実施例1>
下記組成物1を調整し、室温で撹拌して2時間反応させた後、フィルター径10μmのメンブランフィルターを用いて固体触媒を除去した。
(組成物1)
・加水分解性シリル基を有する非線形光学活性化合物(前記例示化合物(1−1)):1質量部
・加水分解性シリル基を有するマトリクス形成化合物(前記例示化合物(3−6)):7質量部
・固体触媒(イオン交換樹脂、アンバーリスト15E):0.8質量部
・シクロヘキサノン(沸点:155℃):8.5質量部
・テトラヒドロフラン(沸点:66℃):8.5質量部
・高沸点溶剤(2−ピロリドン):2.4質量部
・蒸留水:2.7質量部
・メタノール:1.3質量部
引き続き、アルミニウムトリスアセチルアセトナート0.08質量部、アセチルアセトン0.08質量部を添加して溶解させた後、フィルター径0.45μmのPTFEシリンジフィルターでフィルタリングし、非線形光学材料形成用の原料溶液Aを得た。
この原料溶液は、室温、大気中でも2週間以上の間、ゲル化等することもなく、安定に保持することが可能であった。
この原料溶液は、室温、大気中でも2週間以上の間、ゲル化等することもなく、安定に保持することが可能であった。
−非線形光学材料の作製−
溶融石英ガラス(20mm×25mm×1mm)の表面中央部に、5mm×25mmの大きさで、膜厚が50nmの金電極をスパッタリング法によって形成した。その上に、前記の原料溶液Aをスピンコート(2000rpm)し、10分間風乾した後、室温にて12時間減圧乾燥し乾燥膜Aを得た。この時の膜厚は約2μmであった。
溶融石英ガラス(20mm×25mm×1mm)の表面中央部に、5mm×25mmの大きさで、膜厚が50nmの金電極をスパッタリング法によって形成した。その上に、前記の原料溶液Aをスピンコート(2000rpm)し、10分間風乾した後、室温にて12時間減圧乾燥し乾燥膜Aを得た。この時の膜厚は約2μmであった。
この膜に対し、次の条件で加熱硬化及びコロナ放電によるポーリングを行なった。
図5にコロナ放電法によりポーリングを行う装置の概略図を示す。この装置においてはワイヤ電極11として40μm径のタングステン線を用い、サンプル膜13(乾燥膜A)の表面との距離を10mmとした。サンプル膜13は、ワイヤ電極11のワイヤの方向と金電極14の方向とがそろうように配置した。サンプル膜13とワイヤ電極11との間にはグリッド12を設置し、グリッド12とサンプル膜表面のと距離は2mmとした。
図5にコロナ放電法によりポーリングを行う装置の概略図を示す。この装置においてはワイヤ電極11として40μm径のタングステン線を用い、サンプル膜13(乾燥膜A)の表面との距離を10mmとした。サンプル膜13は、ワイヤ電極11のワイヤの方向と金電極14の方向とがそろうように配置した。サンプル膜13とワイヤ電極11との間にはグリッド12を設置し、グリッド12とサンプル膜表面のと距離は2mmとした。
図5に示すように、サンプル部分はオーブン22内に設置し、常に導入口20から乾燥窒素を導入(排気口21から排気)しながらポーリングを行なった。ワイヤ電極11、グリッド12には各々ワイヤ電源16、グリッド電源17を接続して電圧を供給できるようにした。サンプルにおける基板15表面の金電極14は電流計18を挟んで接地した。
ポーリングは、まず、一切の電圧を印加しない状態でオーブン22の温度を60℃に設定し、1時間保持した。続けて、ワイヤ電極11に+4.5kV、グリッド12に+500Vの電圧を印加して30分保持した。その後、オーブン22の温度を80、100、120、150℃に順次設定し、それぞれの温度で30分間ずつ保持した。その後、オーブン22の温度を2時間かけて室温まで下げ、ワイヤ電源16及びグリッド電源17からの電圧印加をOFFとした。ポーリングの最中は、オーブン内とサンプルの温度、ワイヤ電極11への印加電圧及び流入電流、グリッド電極12への印加電圧及び流入電流、サンプル膜13からの電流をパソコン19で制御及びモニターした。
このようなポーリングで得られた非線形光学材料(架橋硬化膜A)のHe−Neレーザー光(633nm)に対する電気光学特性を、「J. Opt. Soc. Am. B, 8, 2311 (1991)」や「J. Opt. Soc. Am. B, 17, 805 (2000)」に示されるような一般的なATR法によって測定したところ、電気光学効果によるシグナルが得られ、電気光学係数r33 として約8pm/Vという値が得られた。
この非線形光学材料を、120℃のオーブン内で1時間保持し、室温に戻して再度同じ測定を行なったところ、電気光学係数には全く変化がなかった。
この非線形光学材料を、120℃のオーブン内で1時間保持し、室温に戻して再度同じ測定を行なったところ、電気光学係数には全く変化がなかった。
(比較例1)
実施例1において、高沸点溶剤である2−ピロリドンを添加せず、シクロヘキサノンの添加量を9.7質量部、テトラヒドロフランの添加量を9.7質量部に変更したこと以外実施例1と同様にして、膜厚約2μmの非線形光学材料を作製し、He−Neレーザー光(633nm)に対する電気光学係数r33 を測定すると、約4pm/Vであった。
実施例1において、高沸点溶剤である2−ピロリドンを添加せず、シクロヘキサノンの添加量を9.7質量部、テトラヒドロフランの添加量を9.7質量部に変更したこと以外実施例1と同様にして、膜厚約2μmの非線形光学材料を作製し、He−Neレーザー光(633nm)に対する電気光学係数r33 を測定すると、約4pm/Vであった。
実施例1および比較例1のサンプルで、電極が形成されていない基板部分を用いて紫外可視吸収スペクトルを測定した。その結果、図6に示すグラフのように、実施例1ではピークが1つのみであるが、比較例1では短波長側に鋭い肩構造が見られる。これは、非線形光学活性を有する2分子が互いのダイポールを打ち消し合うように逆向きになって二量体を形成した場合に見られるものである。よって、比較例1の場合にはこのような二量体が生成してしまったために、ポーリングによる分子配向が起こりにくくなり、電気光学係数が小さくなってしまったと予想される。
実施例1の場合には、沸点が高く、かつ極性の大きい2−ピロリドンが添加されていたために、溶剤除去、あるいはポーリングの加熱の過程で、最後まで膜中に留まり、非線形光学活性化合物同士のクーロン相互作用を妨害することで、二量体の形成を抑制し、ポーリングによる分子配向が有効に行なわれたと予想される。
実施例1の場合には、沸点が高く、かつ極性の大きい2−ピロリドンが添加されていたために、溶剤除去、あるいはポーリングの加熱の過程で、最後まで膜中に留まり、非線形光学活性化合物同士のクーロン相互作用を妨害することで、二量体の形成を抑制し、ポーリングによる分子配向が有効に行なわれたと予想される。
(実施例2)
実施例1における非線形光学材料形成用の原料溶液Aを用い、非線形光学素子として、図4に示す構造の基本的なMach−Zhender型光変調素子を作製した。
まず、シリコーンの基板6の表面に金電極(下部電極)5をエッチングで形成し、この上に下部クラッド層4として紫外線硬化型エポキシ樹脂(大日本インキ製、SD−715)を膜厚5μmとなるように形成した。次いで、下部クラッド層4の表面に、幅4μm、深さ1μmの導波路チャネルとなる2つの溝を反応性イオンエッチングにより形成した。
実施例1における非線形光学材料形成用の原料溶液Aを用い、非線形光学素子として、図4に示す構造の基本的なMach−Zhender型光変調素子を作製した。
まず、シリコーンの基板6の表面に金電極(下部電極)5をエッチングで形成し、この上に下部クラッド層4として紫外線硬化型エポキシ樹脂(大日本インキ製、SD−715)を膜厚5μmとなるように形成した。次いで、下部クラッド層4の表面に、幅4μm、深さ1μmの導波路チャネルとなる2つの溝を反応性イオンエッチングにより形成した。
この下部クラッド層4の表面に、実施例1で用いた原料溶液Aをスピンコートして、厚さ2μmのコア層3を形成し乾燥後、実施例1と同様の方法でコロナ放電法によるポーリングを行なった。その後、コア層3の表面に下部クラッド層4と同じ紫外線硬化型エポキシ樹脂を用いて厚さ3μmの上部クラッド層2を形成し、さらに上部電極1として金をスパッタ法で形成した。なお、素子長(相互作用長)は20mmとした。
この光変調素子に対し、波長1310nmの半導体レーザー光を入力し、上部電極1と下部電極5にDC駆動電圧を印加して出力光強度を確認したところ、変調を確認することができた。この時の消光比は約15dBであった。
この光変調素子を、120℃のオーブン内に30分保持した後、室温に戻して同じ評価を行なったところ、変調特性や消光比には全く変化が無かった。
この光変調素子を、120℃のオーブン内に30分保持した後、室温に戻して同じ評価を行なったところ、変調特性や消光比には全く変化が無かった。
(実施例3)
実施例1において、2−ピロリドンのかわりにN,N−ジメチルアセトアミドを用いた以外は全く同様にして非線形光学材料を作製し、電気光学係数を測定したところ、約6pm/Vであった。2−ピロリドンほどではないが、十分な効果が確認できた。
実施例1において、2−ピロリドンのかわりにN,N−ジメチルアセトアミドを用いた以外は全く同様にして非線形光学材料を作製し、電気光学係数を測定したところ、約6pm/Vであった。2−ピロリドンほどではないが、十分な効果が確認できた。
1 上部電極
2 上部クラッド層
3 コア層
4 下部クラッド層
5 下部電極
6 基板
11 ワイヤ電極
12 グリッド
13 サンプル膜
14 金電極
16 ワイヤ電源、
17 グリッド電源
18 電流計
19 パソコン
20 導入口
21 排気口
22 オーブン
2 上部クラッド層
3 コア層
4 下部クラッド層
5 下部電極
6 基板
11 ワイヤ電極
12 グリッド
13 サンプル膜
14 金電極
16 ワイヤ電源、
17 グリッド電源
18 電流計
19 パソコン
20 導入口
21 排気口
22 オーブン
Claims (3)
- 加水分解性シリル基を有する非線形光学活性化合物を溶剤に溶解させ、加水分解処理することにより得られる原料溶液を用い、該原料溶液から溶剤を除去する溶剤除去工程、及び溶剤を除去した後の原料溶液を架橋硬化する架橋硬化工程を有する非線形光学材料の製造方法であって、
前記溶剤が、160℃以上の沸点を有する溶剤を少なくとも1種以上含むことを特徴とする非線形光学材料の製造方法。 - 請求項1に記載の非線形光学材料の製造方法で製造されたことを特徴とする非線形光学材料。
- 請求項2に記載の非線形光学材料を用いたことを特徴とする非線形光学素子。
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---|---|---|---|---|
JP2014063098A (ja) * | 2012-09-24 | 2014-04-10 | Kochi Univ Of Technology | 光変調器 |
JP2016130768A (ja) * | 2015-01-13 | 2016-07-21 | 高知県公立大学法人 | 光変調器 |
JP2019174748A (ja) * | 2018-03-29 | 2019-10-10 | 住友大阪セメント株式会社 | 光デバイス |
-
2005
- 2005-10-25 JP JP2005309789A patent/JP2007121405A/ja active Pending
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