JP2007121100A - 女性胸部の支持治具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】腹臥位になった被検者Hの頭部を支持する頭部支持部2と、被検者Hの腹部を支持する腹部支持部4と、頭部支持部2と腹部支持部4とを所定幅で連結して、被検者Hの胸部を支持する胸部支持部3と、胸部支持部3に結合された脚部支持部5を備え、頭部支持部2、腹部支持部4および胸部支持部3に囲まれた、被検者Hの乳房が下垂される収容部Sを形成している女性胸部の支持治具1である。更に、頭部支持部2には、把持部6が設けられている。
【選択図】図1
Description
さらに、特許文献1では、乳房の収容部が一つであり、両乳房を撮像するためには、一方を撮像した後にもう一方を撮像しなければならなかった。
さらに、被検者が検査時に長時間腹臥位になることは、被検者の頭部、胸部、腰部、膝、爪先等に負担がかかるため、胸部近傍のみを支持する装置構成では充分とはいえない。
基部2a〜5aの材質は、被検者Hの荷重により変形しない程度の剛性を備え、さらに、被検者Hから放出されるγ線を、撮像装置101(図8)において孔部50の周囲に配置された放射線検出器(被験者Hの周囲に配置)まで減衰させることなく透過させる材料によって構成される。例えば、基部2a〜5aの材質は、比重の小さい樹脂やプラスチックであることが好ましく、より好ましくは、発泡スチロールや発泡ウレタン等の樹脂の発泡体である。また、基部2a〜5aにγ線が透過しやすい他の素材を用いてもよい。また、慣用されている枕やベッドのように、外袋にゲルや空気等の充填材を充填した構成であってもよい。
基部2a〜4aに要求される基部高さLの下限は、例えば、女性の下垂した乳房の平均的な、前胸部から乳頭部までの乳房高さに数cmの余裕を持って規定される。また、基部高さLが過剰に高くなると、女性胸部の支持治具1上で腹臥位になった被検者Hの姿勢が不安定になることから、基部高さLの上限も適切に規定される。
以下、各支持部2〜5について詳細に説明する。
頭部支持部2は、被検者Hの胸部上部から頭部までの範囲を支持するものである。ここで、「胸部上部」とは、乳房より上方(頭部方向)の胸部であって、乳房の領域は含まない。例えば、被検者Hの乳房の外端部上部から3〜5cm上方に離れた位置、または、被検者Hの鎖骨に対応する位置より上方をいう。このように、頭部支持部2によって、乳房部分を圧迫しないので、圧迫によりFDGが集積することがなく、PET装置により撮像された乳房の診断画像(断層画像)への影響を減少させることができる。
ここで、核医学診断装置によって胸部の検査を行う被検者Hのなかには、乳がん等の腫瘍をすでに発病し、放射線による治療歴がある患者も含まれる。乳がんを放射線治療する場合には、乳がん、リンパ節への放射線照射にともなって、健常人に比べて肋骨や鎖骨がもろくなっていることが多い。
そこで、本実施形態の頭部支持部2は、被検者Hが腹臥位になった際の鎖骨にかかる負荷を分散させるために、適宜、頚部や頭部も併せて支持する構成としている。また、後記する把持部(図3参照)6を被検者Hが握って撮像する場合には、頭部支持部2によって被検者Hの両腕も支持することができる。
図3(b)に示すように、凹部21は、被検者Hの額、頬骨、顎等の顔面の辺縁部分の形状に沿って形成された顔面支持面21aと、顔面の形状に比べて一段深く形成された中央深部21bからなる。顔面支持面21aは、凹部21において、実質的に被検者Hの顔面を支持する面である。一方で、中央深部21bを設けたことにより、被検者Hの目、鼻、口等が頭部支持部2に接触しなくなり、被検者Hに不快感を与えずにすむ。
図2に示すように、胸部支持部3は、被検者Hの乳房間の部分、すなわち、胸骨に対応する部分(胸骨部)を支持するものである。胸部支持部3は、被検者Hの中心線に沿って、頭部支持部2と腹部支持部4とを連結するように配置される。支持治具1が、胸部支持部3を備えたことにより、被検者の鎖骨への負荷を分散させることができる。
胸部支持部3の幅(X軸方向の厚み)は、被検者の乳房に接触しない範囲でできるだけ広くすることが好ましい。胸部支持部3の幅を広くすることで、被検者Hの鎖骨に対してだけでなく、胸骨への負荷も軽減することができる。また、胸部支持部3によって、乳房部分が圧迫されないので、PET装置で撮像された乳房の診断画像への影響を減少させることができる。
腹部支持部4は、被検者Hの腹部を支持するものである。例えば、被検者Hの乳房の外端部下部から5〜7cm下方に離れた位置、または、被検者Hの胸骨下部に対応する位置を目安に上限が設定される。そして、腹部支持部4は、被検者Hの腰に対応する領域で、脚部支持部5と連続的に当接している。
このように、腹部支持部4に胸部支持部長さ調節手段10を設けたことで、被検者Hの体格にあわせて胸部支持部3の連結長さNを調整することができる。
脚部支持部5は、被検者Hの脚部を支持するものである。例えば、脚部支持部5は、被検者大腿部、すなわち、腰部下方から膝部上方までを支持する。脚部支持部5そのものは女性胸部の支持には直接関与しないが、脚部支持部5を設けたことによって、女性胸部の支持治具1に被検者Hが腹臥位になるときの腰の負担を軽減することができる。具体的には、脚部支持部5の設置により被検者Hの腰痛の発症を防止することができる。また、脚部支持部5の下限が膝部上方に対応する部位までの構成としたのは、被検者Hが膝や爪先を寝台Bに乗せることによって、ベッド幅方向(Y軸方向)のバランスを自力で調節することが可能となり、被検者Hに安心感をもたらすことができる。また、被検者Hの脚部の高さが頭部よりも低い位置になるために、被検者Hの重心が脚部方向にシフトし、被検者Hが腹臥位になった姿勢を安定に保持することができる。
以下、支持治具1を適用したPET装置を用いて、女性胸部の診断を行う方法について説明する。
まず、支持治具1が適用されるPET装置100の構造を、図8を用いて説明する。PET装置100は、孔部50が形成される撮像装置101、データ処理装置102、表示装置103、および寝台Bを備えている。撮像装置101は、孔部50を取り囲んで配置される複数の放射線検出器(図示せず)を有している。寝台Bは、被検者Hを保持して長手方向に移動可能である。この寝台Bは孔部50内に挿入される。放射線検出器は、寝台B上の被検者Hから放射性薬剤に起因して発生したγ線を検出する。データ処理装置102は、放射線検出器からの検出信号を処理する信号処理装置が出力した出力データを入力する。データ処理装置102は、更に、その出力データに基づいて機能画像である断層画像(PET画像)を生成する。この断層画像は表示装置103に表示される。
まず、被検者Hは、PET装置100の寝台B上に載置された支持治具1上で腹臥位になり、胸部支持部長さ調節手段10によって、被検者Hの体格に応じて胸部支持部3の連結長さNの調整が行われる。次に、被検者Hは、頭部を頭部支持部2に、胸骨を胸部支持部3に、腹部を腹部支持部4に、大腿部を脚部支持部5にそれぞれ載置し、乳房を各収容部S内にそれぞれ下垂させる。また、被検者Hは、把持部6の把持棒6bを握ることによって、腹臥位の姿勢を安定に保つことができる。
頭部支持部2、胸部支持部3、腹部支持部4を備えた構成とすることによって、被検者Hが支持治具1上で腹臥位になったときの肋骨や鎖骨への負荷を分散させることができる。特に、胸部支持部3によって被検者Hの胸部の胸骨部を支持しているため、腹臥位になったときに頭部支持部2で支えている肋骨や鎖骨にかかる負荷(胸部の重さ)を軽減することができる。既に乳がんに対する放射線治療を受けている被検者Hは、前述したように、健常人に比べて肋骨や鎖骨がもろくなっていることが多い。このため、胸部支持部3によって胸骨部を支持することは、PET検査時において肋骨や鎖骨にかかる負荷を軽減でき、肋骨や鎖骨の骨折を避けることができる。また、胸骨部を支持する胸部支持部3を設けることによって、支持治具1において、各収容部Sの、胸部支持部3と反対側は開放する構成にできるため、腹臥位になっている被検者Hの腋窩等の体の側部を支持する側部支持部が不要になる。
支持治具1は、胸部支持部3の両脇に形成された一対の収容部S内に、被検者Hのそれぞれの乳房を自然な状態で下垂させることができる。このように乳房が下垂した状態になっているため、乳がん、および所属リンパ節群の診断の精度を向上させることができる。
支持治具1を基部と上層部との2層の構造としたことにより、基部によれば被検者Hの乳房がベッドに接触しない高さを保障し、上層部によれば被検者Hが腹臥位になることによる身体的な疲労や局所的な圧迫を取り除くことができる。
頭部支持部2に凹部21を形成することによって、被検者Hの支持面積を増加させ、鎖骨への負荷を分散させることができる。また、被検者Hが腹臥位になる位置を固定することができる。
腹部支持部4に胸部支持部長さ調節手段10を備えた構成とすることによって、被検者Hの体格に対応して胸部支持部3の連結長さNを調節することができる。
脚部支持部5を備えた構成とすることによって、被検者Hの腰への負担を軽減することができる。また、膝や爪先が支持治具1ではなく寝台Bに当接する構成としたことで、被検者Hが腹臥位になる姿勢を安定にすることができる。
把持部6を備えた構成とすることによって、被検者Hは腹臥位になった姿勢を、PET検査の間、負担がかからず安定に保持することができる。
本実施形態の支持治具1は、患者の乳がんに放射線を照射して治療する際にも使用することができる。すなわち、放射線照射装置の寝台に載置された支持治具1上に前述のように腹臥位になった患者の乳がんに対し、放射線を照射する。
排気ポンプ33は、排気管32を介して吸引ケース31と被検者Hの肌(または検査着K)とに囲まれた空間の空気を排気することにより、吸引ケース31内部を負圧にするものである。排気ポンプ33は、吸引ケース31内部を大気圧以下に減圧できるものであれば特に限定しないが、例えば、ポンプ油を使用しないドライ真空ポンプを用いることができる。
2 頭部支持部
2a,3a,4a,5a 基部
2b,3b,4b,5b 上層部
3 胸部支持部
4 腹部支持部
5 脚部支持部
6 把持部
10 胸部支持部長さ調節手段
21 凹部
30 吸引装置
31 吸引ケース
32 排気管
33 排気ポンプ
B 寝台
H 被検者
S 収容部
Claims (17)
- 腹臥位になった被検者または患者の頭部を支持する頭部支持部と、
前記被検者または前記患者の腹部を支持する腹部支持部と、
前記頭部支持部と前記腹部支持部とを連結し、前記被検者または前記患者の胸骨部を支持する胸部支持部とを備え、
前記頭部支持部、前記腹部支持部および前記胸部支持部に囲まれた、前記被検者または前記患者の乳房が下垂される収容部を形成していることを特徴とする女性胸部の支持治具。 - 前記収容部は、前記乳房が、前記頭部支持部、前記腹部支持部および前記胸部支持部を載置する、寝台の表面に接触しない所定の深さを有することを特徴とする請求項1に記載の女性胸部の支持治具。
- 前記胸部支持部材の幅は、前記胸部支持部材の側面が下垂された前記乳房に接触しない程度の幅になっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の女性胸部の支持治具。
- 前記腹部支持部に結合され、前記被検者または前記患者の大腿部を支持する脚部支持部を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の女性胸部の支持治具。
- 前記頭部支持部は、前記被検者または前記患者の頭部を固定する凹部を有していることを特徴とする請求項1に記載の女性胸部の支持治具。
- 前記頭部支持部は、前記被検者または前記患者が把持する把持棒を備えていることを特徴とする請求項1に記載の女性胸部の支持治具。
- 前記頭部支持部、前記腹部支持部および前記胸部支持部は、それぞれ、柔軟性を備えた部材によって構成された上層部を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の女性胸部の支持治具。
- 前記脚部支持部は、柔軟性を備えた部材によって構成された上層部を有していることを特徴とする請求項4に記載の女性胸部の支持治具。
- 前記頭部支持部と前記腹部支持部との間での前記胸部支持部の長さを調節する胸部支持部の長さ調節手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の女性胸部の支持治具。
- 前記収容部内に配置され、前記乳房を前記乳房に接触せずに吸引する吸引手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の女性胸部の支持治具。
- 前記頭部支持部、前記腹部支持部および前記胸部支持部が放射線を透過させる部材によって構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の女性胸部の支持治具。
- 前記脚部支持部が放射線を透過させる部材によって構成されていることを特徴とする請求項4に記載の女性胸部の支持治具。
- 前記吸引手段が放射線を透過させる部材によって構成されていることを特徴とする請求項10に記載の女性胸部の支持治具。
- 医療用途の寝台に対して着脱自在に構成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の女性胸部の支持治具。
- 請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の女性胸部の支持治具を備えたことを特徴とする医療用寝台。
- 請求項15に記載の医療用寝台を備えたことを特徴とする核医学診断装置。
- 請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の女性胸部の支持治具を備えたことを特徴とする核医学診断装置。
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