JP2007120360A - バルブ特性変更機構の支持構造 - Google Patents

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佳明 宮里
Takahide Koshimizu
孝英 腰水
Takao Yuasa
貴夫 湯浅
Hidekazu Hioka
英一 日岡
Yuji Yoshihara
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Abstract

【課題】熱膨張によるバルブ特性の変化を抑制することのできるバルブ特性変更機構の支持構造を提供する。
【解決手段】バルブ特性変更機構20は、コントロールシャフト22と、その軸方向位置を調整する作動機構23と、コントロールシャフト22に対する相対位置に応じて機関バルブのバルブ特性を変更する変更機構本体30とを備える。作動機構23はシリンダヘッド12に固定され、変更機構本体30はシリンダヘッド12に支持される。コントロールシャフト22はシリンダヘッド12よりも熱膨張係数の小さい材料により形成される。シリンダヘッド12の基準位置に制限部材40a〜40dが固定される。制限部材40a〜40dはシリンダヘッド12よりも熱膨張係数の小さい材料によって形成される。制限部材40a〜40dはその一端が上記基準位置から遠い側における変更機構本体30の側部と当接する形状に延設される。
【選択図】図8

Description

本発明は、変更機構本体に対するコントロールシャフトの軸方向位置の調整を通じて機関バルブのバルブ特性を変更するバルブ特性変更機構の支持構造に関するものである。
従来、バルブ特性変更機構としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
図11に、上記バルブ特性変更機構の構成を示す。同図11に示すようにバルブ特性変更機構100は、カムシャフト101のカム102と機関バルブ103を直接的に駆動するロッカアーム104との間に介設された変更機構本体105を備えて構成されている。この変更機構本体105は支持パイプ106に揺動可能に配設されており、支持パイプ106の内部には軸方向に移動可能にコントロールシャフト107が挿通されている。
一方、変更機構本体105は、支持パイプ106にそれぞれ揺動可能に軸支された揺動アーム108および入力アーム109を備えて構成されている。入力アーム109には、カム102に当接されるローラ110が設けられ、揺動アーム108には、ロッカアーム104に当接されるノーズ部111が設けられている。
なお入力アーム109のローラ110は、ロストモーションスプリング112の付勢力によってカム102に押圧されている。またロッカアーム104は、機関バルブ103のバルブスプリング113によって、揺動アーム108のノーズ部111に押圧されている。
図12に、変更機構本体105およびその周辺部の断面構造を示す。同図12に示すように、変更機構本体105の内部には、スライダギア114が配設されている。スライダギア114は、支持パイプ106に揺動可能かつ軸方向に移動可能に配設されている。またスライダギア114は、コントロールシャフト107に接続されており、同コントロールシャフト107とともに軸方向に移動されるようになっている。こうしたスライダギア114に対して、変更機構本体105の揺動アーム108および入力アーム109は、それぞれ歯すじの傾斜方向の異なるギアを通じて係合されている。
なお支持パイプ106は内燃機関のシリンダヘッドに形成された支持壁115に固定されており、上記変更機構本体105は二つの支持壁115の間に配設されている。各支持壁115と変更機構本体105との間にはそれぞれシム116が介設されており、それらにより上記コントロールシャフト107の軸方向への変更機構本体105の移動が制限されるようになっている。
そのため、コントロールシャフト107がスライダギア114と共に軸方向に移動すると、揺動アーム108および入力アーム109とスライダギア114とが軸方向に相対変位されることになる。このとき、上記のようなギアの歯すじの傾斜方向の差違により、揺動アーム108と入力アーム109とは、支持パイプ106の軸回りにおいて互いに異なる方向に回動されることになる。その結果、図13に示すように、入力アーム109のローラ110と揺動アーム108のノーズ部111との挟み角θが拡大/縮小されるようになる。なお、図13にあって(a)は上記挟み角θが小さくされたときの変更機構本体105の状態を、(b)は同挟み角θが大きくされたときの変更機構本体105の状態をそれぞれ示している。
ここで変更機構本体105は、カム102の押し下げによって一定角度だけ揺動する。このとき、図13から明らかなように、上記挟み角θが大きい場合には(同図(b))、同挟み角θが小さい場合と比較して(同図(a))、ロッカアーム104とノーズ部111の下面111aとが当接するようになる揺動角範囲が大きくなる。そのため、上記挟み角θが大きくされるほど、カム102の押し下げに対してロッカアーム104が大きく揺動されるようになり、ひいては機関バルブ103が大きく開かれるようになる。すなわち機関バルブ103の最大リフト量や開弁期間が増大されるようになる。
したがってこのバルブ特性変更機構100では、例えば油圧式や電気式等のアクチュエータを用いてコントロールシャフト107の軸方向の移動位置を変化させることで、それに連動して機関バルブ103のバルブ特性を調整することができる。
このようなコントロールシャフト107の軸方向の移動位置に応じて機関バルブ103のバルブ特性を調整するバルブ特性変更機構100では、内燃機関のシリンダヘッド上でのコントロールシャフト107の軸方向における変更機構本体105の組み付け位置に極めて高い精度が必要とされる。これは、そうした組み付け位置の精度が低いと、入力アーム109や揺動アーム108とスライダギア114との軸方向の相対位置関係が所望の関係からずれてしまい、所望のバルブ特性が得られなくなってしまうためである。ちなみに、変更機構本体105の上記コントロールシャフト107の軸方向における組み付け位置決めは、変更機構本体105とシリンダヘッドの支持壁115との間に挿入される上記シム116の厚さ調整を通じて行われるようになっている。
特開2001−263015号公報
ところで内燃機関のシリンダヘッドがアルミニウム系材料によって形成されることが多いのに対して、バルブ特性変更機構100のコントロールシャフト107は鉄系材料によって形成される。アルミニウム系材料の熱膨張係数は鉄系材料の熱膨張係数と比べて大きいために、内燃機関が高温になると、シリンダヘッドの熱膨張量がコントロールシャフト107の熱膨張量と比較して大きくなる。そのように熱膨張量に差が生じると、これがコントロールシャフト107に設けられるスライダギア114とシリンダヘッドに支持される変更機構本体105(揺動アーム108や入力アーム109)との相対位置関係を変化させるようになる。したがってバルブ特性変更機構100では、たとえ製造時において変更機構本体105の組み付け位置を十分に高い精度で調整したとしても、機関温度の変化に伴って前記相対位置関係が変化してしまい、所望のバルブ特性が得られなくなると云える。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱膨張によるバルブ特性の変化を抑制することのできるバルブ特性変更機構の支持構造を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、シリンダヘッドよりも熱膨張係数の小さい材料により形成されて同シリンダヘッドに対して軸方向に移動可能に配設されるコントロールシャフトと、前記シリンダヘッドに固定されて前記コントロールシャフトの軸方向における位置を調整する作動機構と、同作動機構と離間した位置において前記軸方向への移動が制限された状態で前記シリンダヘッドに支持されて前記コントロールシャフトに対する相対位置に応じて機関バルブのバルブ特性を変更する変更機構本体とを備えるバルブ特性変更機構の支持構造において、前記シリンダヘッドよりも熱膨張係数の小さい材料によって形成された制限部材が同シリンダヘッドの基準位置に固定され、前記制限部材はその一端が前記基準位置から遠い側における前記変更機構本体の側部と当接する形状に延設されてなることをその要旨とする。
上記構成では、機関温度が上昇した場合、シリンダヘッドの熱膨張に伴って変更機構本体が作動機構の固定位置から離間する方向に移動する一方、コントロールシャフトの熱膨張に伴って同コントロールシャフトが作動機構との接続部分を支点に伸長する。
上記構成によれば、そうした機関温度の上昇に際して、シリンダヘッドより熱膨張係数の低い材料によって形成された制限部材によって、同シリンダヘッドに支持されている変更機構本体の基準位置から離間する方向への移動を抑制することができるようになる。したがって、シリンダヘッドおよびコントロールシャフトの熱膨張量差に起因する変更機構本体とコントロールシャフトとの相対位置関係の変化、ひいてはバルブ特性の変化を抑制することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のバルブ特性変更機構の支持構造において、前記基準位置は前記シリンダヘッドの前記軸方向における前記コントロールシャフトと前記作動機構との接続部分にあたる位置であることをその要旨とする。
上記構成によれば、機関温度の上昇に際して、コントロールシャフトおよび制限部材が前記軸方向においてともに、上記基準位置を支点に伸長するようになる。したがって、基準位置が上記接続部分にあたる位置と異なる位置に設定される構成と比較して、機関温度の上昇に伴うコントロールシャフトに対する制限部材の相対位置の変化を把握し易く、前記相対位置関係の変化を抑制するための制限部材の伸長度合いの設定を容易に行うことができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のバルブ特性変更機構の支持構造において、前記コントロールシャフトと前記制限部材とは同一の材料によって形成されてなることをその要旨とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載のバルブ特性変更機構の支持構造において、前記コントロールシャフトと前記制限部材とは熱膨張係数の等しい材料によって形成されてなることをその要旨とする。
上記請求項3または4に記載の構成によれば、コントロールシャフトの伸長度合いと制限部材の伸長度合いとを一致させることができ、上記相対位置関係の変化を的確に抑制することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のバルブ特性変更機構の支持構造において、当該バルブ特性変更機構は複数の気筒を有する内燃機関に搭載されるものであって、気筒毎に設けられる前記変更機構本体が共通の前記コントロールシャフトおよび前記作動機構によって作動されるものであり、前記制限部材は全ての前記変更機構本体に対応して設けられることをその要旨とする。
ここで複数の気筒を有する内燃機関に搭載されて、気筒毎に設けられる変更機構本体が共通のコントロールシャフトおよび作動機構によって作動される構成にあっては、機関温度が上昇した場合に、コントロールシャフトに対する変更機構本体の相対移動量が前記接続部分からの距離が遠い気筒に対応する変更機構本体ほど大きくなるため、気筒間においてバルブ特性にばらつきが生じてしまう。
この点、上記構成によれば、同じ位置を基準位置として同基準位置から離間する方向への各変更機構本体の移動を抑制することができ、それら変更機構本体の相対移動量のばらつき、ひいては気筒間におけるバルブ特性のばらつきを抑制することができる。
なお上記構成は、請求項6によるように、前記制限部材を変更機構本体毎に各別に設けることにより実現することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のバルブ特性変更機構の支持構造において、前記制限部材はボルト締結によって前記シリンダヘッドに固定されるものであり、該制限部材にはボルト締結用の孔として前記軸方向に延びる長孔が形成されることをその要旨とする。
上記構成によれば、制限部材に形成された長孔内でのボルト締結位置の変更を通じて、変更機構本体および制限部材の当接位置と基準位置との距離を調節することができ、これによりコントロールシャフトの軸方向における変更機構本体の組み付け位置決めを行うことができる。したがって、制限部材と位置調整用の部材とが各別に設けられる構成と比較して、簡素な構成をもって変更機構本体の組み付け位置決めを行うことができる。
請求項8に記載の発明は、請求項5に記載のバルブ特性変更機構の支持構造において、前記制限部材は、各変更機構本体に対応するものが一体形成されてなることをその要旨とする。
上記構成によれば、変更機構本体毎に各別に制限部材が設けられる構成と比較して、簡素な構成をもってバルブ特性のばらつきを抑制することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のバルブ特性変更機構の支持構造において、前記制限部材には位置調整部材が、前記変更機構本体の側部と制限部材との間に位置するように前記変更機構本体毎に取り付けられることをその要旨とする。
上記構成によれば、各変更機構本体に対応するものが一体形成された制限部材が設けられるバルブ特性変更機構において、コントロールシャフトの軸方向における各変更機構本体の組み付け位置決めを変更機構本体毎に行うことができる。
以下、本発明にかかるバルブ特性変更機構の支持構造を具体化した一実施の形態について説明する。
図1に、本実施の形態にかかるバルブ特性変更機構が搭載される内燃機関の平面構造を示す。
同図1に示すように、内燃機関10は、複数(本実施の形態では4つ)の気筒11を備えている。内燃機関10のシリンダヘッド12には、機関バルブ13が気筒11毎に設けられている。シリンダヘッド12の機関バルブ13近傍には、カムシャフト14が設けられている。このカムシャフト14には、各気筒11と対応する位置にカム15が設けられている。
カムシャフト14は、上記シリンダヘッド12における各気筒11を挟む位置にそれぞれ形成された複数の支持壁16に回転可能な状態で支持されている。カムシャフト14は、タイミングチェーン17を介してクランクシャフト(図示略)に駆動連結されている。シリンダヘッド12の上記カムシャフト14近傍には、各機関バルブ13のバルブ特性(最大リフト量および開弁期間)を連続的に変更するバルブ特性変更機構20が設けられている。
このバルブ特性変更機構20は、カムシャフト14のトルクを通じて機関バルブ13をリフトさせる変更機構本体30を気筒11毎に備えている。各変更機構本体30は隣り合う支持壁16間にそれぞれ配置されている。
図2に本実施の形態にかかるバルブ特性変更機構20の一部を拡大して示す。
同図2に示すように、シリンダヘッド12(詳しくは、上記支持壁16)には、中空円筒状の支持パイプ21が固定されている。支持パイプ21の内部には、軸方向に移動可能にコントロールシャフト22が挿通されている。コントロールシャフト22の一端は作動機構23に接続されており、同作動機構23はシリンダヘッド12の端部に固定されている。なお作動機構23はアクチュエータや、同アクチュエータとコントロールシャフト22とを連結するギア機構などにより構成される。そして、この作動機構23の作動制御を通じてコントロールシャフト22の軸方向における位置が調整されるようになっている。なお上記シリンダヘッド12はアルミニウム系の材料によって形成されており、上記コントロールシャフト22は鉄系材料によって形成されている。
一方、支持パイプ21には、気筒11毎に、それぞれ二つの支持壁16に挟まれるように変更機構本体30が配設されている。変更機構本体30は、支持パイプ21に揺動可能に軸支されている。変更機構本体30を挟持する二つの支持壁16のうちの作動機構23側の支持壁と同変更機構本体30との間には、コントロールシャフト22の軸方向における同変更機構本体30の組み付け位置を調整するための調整シム18が介設されている。
以下、図3を併せ参照して変更機構本体30の構成を説明する。
同図3に示すように変更機構本体30は、入力アーム31、その両側にそれぞれ設けられた二つの揺動アーム32、それら入力アーム31および揺動アーム32の内部に配設されたスライダギア33を備えて構成されている。
スライダギア33は、揺動可能かつ軸方向に移動可能に上記支持パイプ21に軸支されている。またスライダギア33は、ピン34を介して上記コントロールシャフト22に接続されており、コントロールシャフト22と共に軸方向に移動されるようになっている。スライダギア33の中央部分の外周にはヘリカルスプライン35が形成されている。またスライダギア33の両側部分の外周には、上記ヘリカルスプライン35とは歯すじの傾斜方向の異なるヘリカルスプライン36がそれぞれ形成されている(同図3にはそのうちの片方のみを示す)。
入力アーム31は、スライダギア33の中央部分の外周に形成されたヘリカルスプライン35に外挿されている。入力アーム31の内周にはヘリカルスプライン37が形成されており、上記スライダギア33の中央部分のヘリカルスプライン35に噛み合わされている。また入力アーム31には、前記カムシャフト14のカム15(図1参照)と当接されるローラ38が設けられている。
二つの揺動アーム32は、スライダギア33の両側部分の外周に形成されたヘリカルスプライン36にそれぞれ外挿されている。各揺動アーム32の内周にはヘリカルスプライン39が形成されており、上記スライダギア33の両側部分のヘリカルスプライン36にそれぞれ噛み合わされている。また各揺動アーム32には、その外方に向けてノーズ部32aが突出形成されている。このノーズ部32aの下面は、機関バルブ13を直接的に駆動させるロッカアームに当接されるようになっている。
これら入力アーム31、両揺動アーム32およびスライダギア33は、各ヘリカルスプライン35,36,37,39の噛み合いを通じて、一体となって揺動するようになっている。ちなみに入力アーム31は、ロストモーションスプリング(図示略)によって前記カム15に常時押圧されるようになっており、またロッカアームは、機関バルブ13を閉弁側に付勢するバルブスプリング(図示略)によって上記揺動アーム32のノーズ部32aの下面に常時押圧されるようになっている。なお各変更機構本体30は、上記バルブスプリングの付勢力によって、変更機構本体30に対応する二つの支持壁16のうちの一方の支持壁16側(本実施の形態では、コントロールシャフト22(図1参照)および作動機構23の接続部分から遠い側の支持壁16側)に押し付けられる方向に付勢されている。
次に、こうしたバルブ特性変更機構20の作動態様を説明する。
カムシャフト14の回転に応じたカム15の押圧により、入力アーム31のローラ38が押し下げられると、変更機構本体30を構成する入力アーム31、両揺動アーム32およびスライダギア33は一体となって下方へと揺動されるようになる。この下方への揺動に応じて揺動アーム32のノーズ部32aは、ロッカアームを押圧してこれを押し下げることで、機関バルブ13を開かせる。一方、カム15の押圧が無くなると、ロストモーションスプリングの付勢力により、ローラ38とカム15との当接を保持するように、入力アーム31、両揺動アーム32およびスライダギア33は一体となって上方に揺動されるようになる。これにより、ノーズ部32aのロッカアームへの押圧も無くなり、機関バルブ13はバルブスプリングの付勢力により、閉じられるようになる。
さて作動機構23の作動によってコントロールシャフト22が軸方向に移動されると、各気筒11に対応する変更機構本体30のスライダギア33がコントロールシャフト22と共に軸方向に移動されるようになる。このとき、入力アーム31および両揺動アーム32は、それらの両側に配設された支持壁16や調整シム18によって上記コントロールシャフト22の軸方向への移動が制限されていることから、各ヘリカルスプライン35,36,37,39の噛み合いを通じて支持パイプ21の軸回りに回動されることとなる。そしてこのときの入力アーム31は、ヘリカルスプライン35,37とヘリカルスプライン36,39との歯すじの傾斜方向の違いのため、両揺動アーム32とは反対方向に回動されることになる。これにより上記カム15に当接されるローラ38とロッカアームに当接されるノーズ部32aとの、支持パイプ21の軸回りにおける挟み角が変化するようになる。
こうしてローラ38とノーズ部32aとの間の挟み角が変化すると、上記ロッカアームとノーズ部32aの下面とが当接するようになる揺動角範囲が変化して、ノーズ部32aによるロッカアームの押し下げ態様(押し下げ量や押し下げ期間)が変化し、ひいては機関バルブ13のバルブ特性(最大リフト量や開弁期間)が変化することになる。このように本実施の形態にかかるバルブ特性変更機構20は、コントロールシャフト22に対する変更機構本体30の相対位置に応じて機関バルブ13のバルブ特性を調整するように構成されている。
ここで内燃機関10の運転に伴ってその温度が上昇すると、変更機構本体30が、シリンダヘッド12の熱膨張に伴って作動機構23の固定位置から離間する方向に移動するようになる。その一方で、コントロールシャフト22が、その熱膨張に伴って作動機構23との接続部分を支点に伸長するようになる。
本実施の形態にあっては、変更機構本体30がシリンダヘッド12の上記作動機構23と離間した位置において支持されており、同シリンダヘッド12が上記コントロールシャフト22の形成材料(鉄系材料)よりも熱膨張係数の大きい材料(アルミニウム系材料)によって形成されている。そのため機関温度が上昇した際に、コントロールシャフト22の伸長度合いと比較して変更機構本体30の移動度合いが大きくなり、同変更機構本体30が、コントロールシャフト22に対して上記接続部分から離間する方向に相対移動するようになる。そして、このようにコントロールシャフト22と変更機構本体30との相対位置関係が変化すると、機関バルブ13のバルブ特性が不要に変化し、所望のバルブ特性が得られなくなってしまう。
この点をふまえ、本実施の形態にかかるバルブ特性変更機構20にあっては、各変更機構本体30に対応して制限部材40(図1参照)をそれぞれ設けることにより、そうした変更機構本体30の相対移動を抑制するようにしている。
以下、各制限部材40の具体的な構成について説明する。
先ず、図4を参照しつつ、各制限部材40の基本形状について説明する。
なお図4は作動機構23に最も近い変更機構本体30に対応する制限部材40(詳しくは、制限部材40a)を示している。
同図4に示すように、制限部材40は直線状に延びる平板形状に形成されたアーム部41を備えている。アーム部41の一端には馬蹄形状の当接部42が一体形成されており、他端には取り付け孔43が形成されている。なお、取り付け孔43としてはアーム部41の延設方向に延びる長孔が形成される。また制限部材40はコントロールシャフト22と同一の材料(鉄系材料)によって形成されている。
次に、図5〜図7を併せ参照して、各制限部材40の形状の相違について説明する。
なお図5〜図7は、上記制限部材40a(図4)以外の制限部材40を上記作動機構23に近い順に(図5の制限部材40b→図6の制限部材40c→図7の制限部材40d)それぞれ示している。本実施の形態では、作動機構23から遠い変更機構本体30に対応する制限部材40ほど、アーム部41が長く形成されている(La(図4)<Lb(図5)<Lc(図6)<Ld(図7))。
図8に、本実施の形態にかかるバルブ特性変更機構20の支持構造を概略的に示す。
同図8に示すように、各制限部材40は、その取り付け孔43を通じたボルト締結によってシリンダヘッド12の基準位置に固定される。この固定に際して各制限部材40は、その一端(詳しくは、当接部42)が上記基準位置から遠い側における変更機構本体30の側部と当接するように固定される。なお上記基準位置は、シリンダヘッド12の上記コントロールシャフト22の軸方向における上記接続部分にあたる位置である。
ここで本実施の形態では、各制限部材40の取り付けに際して、各変更機構本体30の組み付け位置決めが行われる。
各制限部材40のアーム部41の長さは、その当接部42と取り付け孔43との距離La(図4),Lb(図5),Lc(図6),Ld(図7)が、対応する変更機構本体30の上記基準位置から遠い側の側部と上記基準位置との距離L1,L2,L3,L4(図8)とほぼ等しくなるようにそれぞれ設定される。そして、各制限部材40の取り付けに際しては、機関バルブ13のバルブ特性が所望の特性になるように、取り付け孔43内でのボルト締結位置の変更を通じて当接部42と上記基準位置との距離L1,L2,L3,L4が各別に調節される。
なお本実施の形態のバルブ特性変更機構20は、上記バルブスプリングの付勢力によって、各変更機構本体30が対応する制限部材40(詳しくは、その当接部42)側に付勢される構造である。そのため、上記距離L1,L2,L3,L4の調節を通じて、基準位置と各変更機構本体30との距離を調節することができ、各変更機構本体30の組み付け位置決めを行うことができる。
以下、制限部材40を設けることによる作用について説明する。
機関温度が上昇してシリンダヘッド12が熱膨張すると、それに伴って各変更機構本体30が基準位置から離間する方向に移動しようとする。
本実施の形態では、基準位置に固定された制限部材40の当接部42が上記基準位置から遠い側の変更機構本体30の側部に当接している。また同制限部材40はシリンダヘッド12よりも熱膨張係数の低い材料によって形成されている。
そのため、機関温度の上昇に際して各変更機構本体30の上記離間する方向への移動が、シリンダヘッド12よりも熱膨張量の小さい制限部材40によって制限されるようになる。詳しくは、制限部材40が設けられない場合と比較して、各変更機構本体30の移動量が抑制されて、各変更機構本体30がシリンダヘッド12に対して上記基準位置に近づく方向に相対移動されるようになる。これにより、シリンダヘッド12およびコントロールシャフト22の熱膨張量差に起因する変更機構本体30とコントロールシャフト22との相対位置関係の変化が抑制される。
ちなみにバルブ特性変更機構20にあっては、入力アーム31や揺動アーム32を円滑に揺動させるために、上記基準位置に近い側の支持壁16(詳しくは、調整シム18)と揺動アーム32との間や、入力アーム31と揺動アーム32との間に、若干の間隙が設けられている。各変更機構本体30は、上記各間隙(主に上記接続部分に近い側の支持壁16と揺動アーム32との間隙)を狭くするように相対移動される。
また本実施の形態では、シリンダヘッド12の前記軸方向における上記接続部分にあたる位置を基準位置としており、機関温度の上昇に際してコントロールシャフト22および制限部材40が前記軸方向においてともに上記基準位置を支点に伸長する。こうした構成は、基準位置が上記接続部分にあたる位置とは異なる位置とされる構成と比較して、機関温度の上昇に伴うコントロールシャフト22に対する制限部材40(詳しくは、その当接部42)の相対位置の変化を把握し易い。そのため、例えば制限部材40の形状や形成材料の設定等、前記相対位置関係の変化を抑制するための制限部材40の伸長度合いの設定を容易に行うことができる。
さらに本実施の形態では、コントロールシャフト22と制限部材40とを同一の材料(鉄系材料)によって形成している。そのため、上記接続部分を支点に伸長するコントロールシャフト22の伸長度合いと上記基準位置を支点に伸長する制限部材40の伸長度合いとを一致させることができ、熱膨張量の差に起因する相対位置関係の変化を的確に抑制することができる。
ここで上記バルブ特性変更機構20にあっては、内燃機関10の気筒11毎に設けられる変更機構本体30が共通のコントロールシャフト22および作動機構23によって作動される。そのため、機関温度が上昇した場合に、コントロールシャフト22に対する変更機構本体30の相対移動量が前記接続部分からの距離が遠い気筒に対応する変更機構本体30ほど大きくなり、気筒間においてバルブ特性にばらつきが生じてしまう。
本実施の形態では、同じ位置(上記基準位置)に各制限部材40が固定され、それら制限部材40によって基準位置から離間する方向への各変更機構本体30の移動が各別に抑制される。そのため、同じ位置を基準に各変更機構本体30の移動が抑制され、それら変更機構本体30の相対移動量のばらつき、ひいては気筒11間におけるバルブ特性のばらつきが抑制される。
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)シリンダヘッド12よりも熱膨張係数の小さい材料によって形成された制限部材40を同シリンダヘッド12の基準位置に固定し、同制限部材40を、その一端が基準位置から遠い側における変更機構本体30の側部と当接する形状に延設するようにした。そのため、シリンダヘッド12およびコントロールシャフト22の熱膨張量差に起因する変更機構本体30とコントロールシャフト22との相対位置関係の変化、ひいてはバルブ特性の変化を抑制することができるようになる。
(2)シリンダヘッド12の前記軸方向における前記接続部分にあたる位置を基準位置としたために、前記相対位置関係の変化を抑制するための制限部材40の伸長度合いの設定を容易に行うことができる。
(3)コントロールシャフト22と制限部材40とを同一の材料によって形成するようにした。そのため、コントロールシャフト22の伸長度合いと制限部材40の伸長度合いとを一致させることができ、上記相対位置関係の変化を的確に抑制することができる。
(4)制限部材40を変更機構本体30毎に各別に設けるようにしたために、同じ位置を基準位置として同基準位置から離間する方向への各変更機構本体30の移動を抑制することができ、それら変更機構本体30の相対移動量のばらつき、ひいては気筒間におけるバルブ特性のばらつきを抑制することができる。
(5)アーム部41の延設方向(取り付け状態では前記軸方向)に延びる長孔を取り付け孔43として制限部材40に形成し、同取り付け孔43を通じたボルト締結によって制限部材40をシリンダヘッド12に固定するようにした。そのため、取り付け孔43内でのボルト締結位置の変更を通じて、コントロールシャフト22の軸方向における変更機構本体30の組み付け位置決めを行うことができる。したがって、制限部材40と位置調整用の部材とが各別に設けられる構成と比較して、簡素な構成をもって変更機構本体30の組み付け位置決めを行うことができる。
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・各制限部材40a〜40dに取り付け孔43として長孔を形成することに代えて、円孔を形成するようにしてもよい。この場合、各制限部材40a〜40dについて、それぞれアーム部41の長さ(La〜Ld)が若干異なるものを複数用意し、それらの一つを選択的に取り付けるようにすればよい。これにより、各変更機構本体30の組み付け位置決めを行うことができる。
・各変更機構本体30に対応して各別に制限部材40a〜40dを設けることに代えて、図9に示すように、各変更機構本体30に対応するものを一体形成した制限部材50を設けるようにしてもよい。この場合、図10に示すように、制限部材50に位置調整部材としての調整シム60を、変更機構本体30の側部と当接部52a,52b,52c,52dとの間に位置するように変更機構本体30毎に取り付けることが望ましい。同構成によれば、各変更機構本体30に対して厚さの異なる複数種類の調整シム60のうちの一つを選択的に取り付けることにより、コントロールシャフト22の軸方向における各変更機構本体30の組み付け位置決めを変更機構本体30毎に行うことができる。なお、各変更機構本体30の組み付け位置決めは、取り付け孔53(図9)と各当接部52a〜52dとの距離(La〜Lb)の異なる複数種類の制限部材50を用意し、それらを選択的に取り付けることによっても行うことができる。
・コントロールシャフト22および制限部材として同一の材料によって形成したものを用いる必要はない。それらコントロールシャフト22および制限部材として熱膨張係数の等しい材料によって形成したものを用いることにより、コントロールシャフト22の伸長度合いと制限部材の伸長度合いとを一致させることができる。
またコントロールシャフト22および制限部材として熱膨張係数の等しい材料によって形成したものを用いる必要もない。コントロールシャフト22および制限部材として熱膨張係数の近い材料によって形成したものを用いることにより、コントロールシャフト22の伸長度合いと制限部材の伸長度合いとをほぼ一致させることができ、上記相対位置関係の変化を抑制することができる。その他、シリンダヘッド12の形成材料と比較して熱膨張係数の小さい材料によって形成した制限部材を用いることによっても、機関温度の上昇に際して各変更機構本体30をシリンダヘッド12に対して前記基準位置に近づく方向に相対移動させることができ、上記相対位置関係の変化を抑制することができる。
・上記実施の形態では、シリンダヘッド12の前記コントロールシャフト22の軸方向における前記接続部分にあたる位置を基準位置としたが、それ以外の位置を基準位置としてもよい。同構成によっても、上記(1)に記載の効果を得ることはできる。なお同構成において、例えば前記接続部分にあたる位置近傍の位置を基準位置とすることにより、上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
・前記制限部材は、全ての変更機構本体30に対応して設ける必要はない。複数の変更機構本体30のうちの一つ、或いは幾つかに対応して制限部材を設けるようにしてもよい。
・本発明は、複数の気筒を備えた内燃機関に限らず、単気筒の内燃機関に適用することもできる。
本発明を具体化した一実施の形態にかかるバルブ特性変更機構が搭載される内燃機関の平面構造を示す平面図。 同バルブ特性変更機構の一部およびその周辺の平面構造を示す平面図。 同バルブ特性変更機構に採用される変更機構本体の斜視断面図。 制限部材の斜視構造を示す斜視図。 制限部材の斜視構造を示す斜視図。 制限部材の斜視構造を示す斜視図。 制限部材の斜視構造を示す斜視図。 バルブ特性変更機構の支持構造を概略的に示す略図。 本発明の他の実施の形態にかかる制限部材の斜視構造を示す斜視図。 他の実施の形態にかかるバルブ特性変更機構の支持構造を概略的に示す略図。 従来のバルブ特性変更機構およびその周辺の側面構造を示す側面図。 同バルブ特性変更機構に採用される変更機構本体およびその周辺の断面構造を示す断面図。 (a),(b)同バルブ特性変更機構の作動態様を示す側面図。
符号の説明
10…内燃機関、11…気筒、12…シリンダヘッド、13…機関バルブ、14…カムシャフト、15…カム、16…支持壁、17…タイミングチェーン、18…調整シム、20…バルブ特性変更機構、21…支持パイプ、22…コントロールシャフト、23…作動機構、30…変更機構本体、31…入力アーム、32…揺動アーム、32a…ノーズ部、33…スライダギア、34…ピン、35,36,37,39…ヘリカルスプライン、38…ローラ、40(40a〜40d),50…制限部材、41…アーム部、42,52…当接部、43,53…取り付け孔、60…調整シム。

Claims (9)

  1. シリンダヘッドよりも熱膨張係数の小さい材料により形成されて同シリンダヘッドに対して軸方向に移動可能に配設されるコントロールシャフトと、前記シリンダヘッドに固定されて前記コントロールシャフトの軸方向における位置を調整する作動機構と、同作動機構と離間した位置において前記軸方向への移動が制限された状態で前記シリンダヘッドに支持されて前記コントロールシャフトに対する相対位置に応じて機関バルブのバルブ特性を変更する変更機構本体とを備えるバルブ特性変更機構の支持構造において、
    前記シリンダヘッドよりも熱膨張係数の小さい材料によって形成された制限部材が同シリンダヘッドの基準位置に固定され、前記制限部材はその一端が前記基準位置から遠い側における前記変更機構本体の側部と当接する形状に延設されてなる
    ことを特徴とするバルブ特性変更機構の支持構造。
  2. 請求項1に記載のバルブ特性変更機構の支持構造において、
    前記基準位置は前記シリンダヘッドの前記軸方向における前記コントロールシャフトと前記作動機構との接続部分にあたる位置である
    ことを特徴とするバルブ特性変更機構の支持構造。
  3. 請求項1または2に記載のバルブ特性変更機構の支持構造において、
    前記コントロールシャフトと前記制限部材とは同一の材料によって形成されてなる
    ことを特徴とするバルブ特性変更機構の支持構造。
  4. 請求項1または2に記載のバルブ特性変更機構の支持構造において、
    前記コントロールシャフトと前記制限部材とは熱膨張係数の等しい材料によって形成されてなる
    ことを特徴とするバルブ特性変更機構の支持構造。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のバルブ特性変更機構の支持構造において、
    当該バルブ特性変更機構は複数の気筒を有する内燃機関に搭載されるものであって、気筒毎に設けられる前記変更機構本体が共通の前記コントロールシャフトおよび前記作動機構によって作動されるものであり、前記制限部材は全ての前記変更機構本体に対応して設けられる
    ことを特徴とするバルブ特性変更機構の支持構造。
  6. 請求項5に記載のバルブ特性変更機構の支持構造において、
    前記制限部材は前記変更機構本体毎に各別に設けられる
    ことを特徴とするバルブ特性変更機構の支持構造。
  7. 請求項6に記載のバルブ特性変更機構の支持構造において、
    前記制限部材はボルト締結によって前記シリンダヘッドに固定されるものであり、該制限部材にはボルト締結用の孔として前記軸方向に延びる長孔が形成される
    ことを特徴とするバルブ特性変更機構の支持構造。
  8. 請求項5に記載のバルブ特性変更機構の支持構造において、
    前記制限部材は、各変更機構本体に対応するものが一体形成されてなる
    ことを特徴とするバルブ特性変更機構の支持構造。
  9. 請求項8に記載のバルブ特性変更機構の支持構造において、
    前記制限部材には位置調整部材が、前記変更機構本体の側部と制限部材との間に位置するように前記変更機構本体毎に取り付けられる
    ことを特徴とするバルブ特性変更機構の支持構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US10226649B2 (en) 2007-04-27 2019-03-12 Kao Corporation Hair dyeing or bleaching method
WO2024051780A1 (zh) * 2022-09-07 2024-03-14 浙江三花汽车零部件有限公司 一种电动阀及组装方法

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