JP2007118599A - 画像の消去方法、画像の消去装置及び記録媒体の再生方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】紙に代表される記録媒体表面に形成された画像を、記録媒体の機械的強度を低下させることなく、容易かつ迅速に消去し、使用済みの記録媒体を低コストで再生し、資源の再利用を図ることができる方法や装置を提供する。
【解決手段】記録媒体に色素を含有するインクを付与することにより形成された画像を消去する画像の消去方法であって、該画像を、誘電体バリア放電により発生した酸化性ガスに暴露させることを特徴とする画像の消去方法、かかる方法を実施する装置及び記録媒体の再生方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、記録媒体に形成された画像を消去する画像の消去方法、画像の消去装置及び記録媒体の再生方法に関する。
コンピューター、プリンター、複写機、ファクシミリの普及に伴い、紙への出力の要求はますます増加している。紙ほど視認性及び携帯性に優れた媒体は現在のところ他になく、情報の電子化、ペーパーレス化が進展した現状においても、紙の需要は増加している。
一方、限りある資源の有効利用を図るため、紙の再生・再利用の技術開発の重要性が増大している。従来の紙の再生方法は、回収紙を水で再解膠した後、脱墨工程においてインク部分を浮遊分離し、更に漂白を行い、再利用可能な再生紙とする。しかし、この方法では、紙力が低下し、しかも新規に製紙する場合に比べて工程経費が高いという問題がある。よって、再解膠・脱墨工程を経ることなしに、紙を再利用或いは再生する方法が望まれている。
このような背景から、近年、発色状態の呈色性化合物を消色状態へ変えることのできる可消色性色素組成物を含む画像形成材料により、紙を印刷する方法について種々検討が行われている。そのような画像形成材料として、印加する熱エネルギーの制御による記録層の可逆的な透明度変化を利用したもの(特許文献1)、電子供与性をもつ発色剤と、電子受容性をもつ顕色剤との分子間相互作用を利用したもの(特許文献2)が報告されている。また、電子線照射により消色する色素を含むインク(特許文献3)、光照射により着色剤を消色させ得る作用を持つ添加剤を含有するインク(特許文献4)が報告されている。更に、紅麹色素を用いることにより、光を照射することで消色可能であるインクジェット用インク及び記録方法(特許文献5)が報告されている。また、活性ガスにより普通紙上の画像を分解、消去する方法(特許文献6)が提案されている。
特開昭63−39377号公報 特開2001−105741号公報 特開平11−116864号公報 特開2001−49157号公報 国際公開第02/088265号パンフレット 特開平7−253736号公報 T. Ma, K. Inoue, H. Noma, K. Yao, E. Abe、「Ionization potential studiesof organic dye adsorbed onto TiO2 electrode」、Journal of Materials Science Letters、2002年、第21巻、p.1013-1014 Pigment microbiology, P. Z. Margalith著,Chapman & Hall, London(1992) J. Ferment. Technol., Vol. 51, p. 407 (1973) Journal of Industrial Microbiology, Vol. 16,pp. 163-170(1996)
しかしながら、特許文献1及び2に記載の方法では、記録媒体、書込−消去装置の初期コスト、及びランニングコストがいずれも高価であり、実用的ではない。特許文献3に記載の方法では、電子線照射を行うため、程度が少ないとはいえ基材が劣化したり、2次X線が発生するおそれがある。特許文献4に記載のインクにおいては、用いる添加剤は具体的には色素系増感剤であり、添加剤を着色剤の含有量に対して質量比で1/10〜10/10と多く添加するため、インクのコストが高いという欠点がある。特許文献5及び6に記載の方法においても、更なる容易かつ迅速な画像の消去方法が要請されている。
本発明の目的は、紙に代表される記録媒体に形成された画像(文字を含む)を、記録媒体の機械的強度を低下させることなく、容易かつ迅速に消去し、使用済みの記録媒体を低コストで再生し、資源の再利用を図ることができる方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、かかる方法を実施する装置を提供することにある。
上記目的に鑑み、本発明者らは、排ガスや有機汚染物の除去・分解に用いられている誘電体バリア放電技術に着目し鋭意研究を行った。誘電体バリア放電を排ガスや有機汚染物の除去・分解に用いる場合、交流電圧印加条件は数十kHzからマイクロ波に亘る高い周波数で動作させるため、生成されるオゾンの量が数百ppm以上と非常に高濃度である。そのため、オゾンの処理に負荷がかかることに加え、効率のよい画像の消去を行うことができなかった。
本発明者らは、記録媒体に形成された画像に特定の放電により発生する酸化性ガスに暴露することによって色素分子の酸化反応を適切に進行させることができ、環境へ悪影響を及ぼすことなく、画像の消去を効率よく行うことができることを見出した。しかも、特定の交流電圧を使用することにより、低コストで、容易かつ迅速に行うことができることの知見を得た。更に、記録媒体の表面に多孔質無機顔料を有する場合、画像の消去をより効率的に行うことができる。加えて、特定の表面を有する記録媒体に画像を形成すると、画像中の色素のイオン化ポテンシャルが、固体状の色素のイオン化ポテンシャルより低くすることができ、これに起因してより優れた上記効果を奏することを見出した。インク化する前の色素粉末が特定のイオン化ポテンシャルを有し、画像形成後に、前記固体状のイオン化ポテンシャルとの関連において特定のイオン化ポテンシャルを有することにより、上記効果がより顕著となることの知見を得た。本発明者らは、かかる知見に基づき、本発明を完成させるに至った。
本発明は、記録媒体に色素を含有するインクを付与することにより形成された画像を消去する画像の消去方法であって、該画像を、誘電体バリア放電により発生した酸化性ガスに暴露することを特徴とする画像の消去方法である。
また、本発明は、記録媒体に色素を含有するインクを付与することにより形成された画像を消去する画像の消去装置であって、該画像を、誘電体バリア放電により発生した酸化性ガスに暴露する手段と、記録媒体を酸化性ガスに暴露可能に配置する支持手段とを備えたことを特徴とする画像の消去装置である。
本発明は、上記画像の消去方法により画像を消去する工程を含むことを特徴とする記録媒体の再生方法である。
本発明によれば、紙に代表される記録媒体に形成された画像を、記録媒体の機械的強度を低下させることなく、容易かつ迅速に消去し、使用済みの記録媒体を低コストで、しかも小型の装置を用いて、資源の再利用を図ることができる。
本発明の画像の消去方法は、記録媒体に色素を含有するインクを付与することにより形成された画像を消去する画像の消去方法であって、該画像を、誘電体バリア放電により発生した酸化性ガスに暴露することを特徴とする。
本発明において、「画像の消去」とは、記録媒体に形成された画像の光学濃度が、消去処理により記録媒体として再利用可能な程度に減少することをいう。これは、記録媒体に形成された画像が目視にて全く認識できなくなる場合(以下、「消色」と略す。)だけではない。記録媒体に形成された初期の画像の光学濃度に対して、80%以下の光学濃度に減じる場合(以下、「減色」と略す。)をも包含するものである。これを光学濃度残率で表すと、着色部の最大吸収波長における初期の光学反射率に対して、20%以下の光学反射率に減じる場合となる。
[記録媒体]
本発明に用いられる記録媒体としては、色素を含有するインクを付与することによって画像の形成が可能なものであれば、いずれでもよい。かかる記録媒体としては、紙、フィルム、印画紙、シール、ラベル、コンパクトディスク、金属、ガラス、各種プラスチック製品、宅配便の伝票や、これらの複合物を挙げることができる。上記紙は、酸性紙、中性紙又はアルカリ性紙のいずれでもよく、再利用可能なものを挙げることができる。このような紙の製法としては、LBKP、NBKPに代表される化学パルプ及び填料を主体とし、その他内面サイズ剤や抄紙助剤を必要に応じて用い、常法により抄紙する方法を挙げることができる。使用するパルプ材としては、機械パルプや古紙再生パルプを併用したものや、これらを主体とするものを挙げることができ、填料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタンを挙げることができる。このようにして得られた紙は、更に親水性バインダー、マット剤、硬膜剤、界面活性剤、ポリマーラテックス、ポリマー媒染剤を含有するか、又は塗布されていてもよい。紙の坪量は40〜700g/m2の範囲であることが好ましい。
本発明に用いられる記録媒体は、多孔質無機顔料を表面に有するものであることが好ましく、記録媒体上に無機顔料を含む層を具備しているものであることが好ましい。多孔質無機顔料は、粒子形状としては球状、破砕状のいずれであってもよい。更に多孔質無機顔料は、細孔容積が0.2cc/g以上、又は分散粒子径が0.5μm以下、又は細孔容積が0.2cc/g以上であって、かつ分散粒子径が0.5μm以下の粒子状であることが好ましい。多孔質無機顔料の細孔容積としては0.2〜2.0cc/gであり、分散粒子径としては0.01〜0.5μmであることが好ましい。多孔質無機顔料がこのような細孔容積及び分散粒子径を有することにより、後述する色素を用いて形成した画像中の色素のイオン化ポテンシャルを低下させることができる。具体的には、固体の色素のイオン化ポテンシャルよりも0.1eV以上低くすることができ、優れた画像の消去効果を得ることができる。多孔質無機顔料の細孔容積は、水銀圧入法による水銀ポロシメーターにより測定することができる。一般に、記録媒体と無機顔料の細孔径は異なることから、水銀ポロシメーターにより細孔径に対する細孔容積の分布を検出し、多孔質無機顔料のみの細孔容積を算出することができる。分散粒子径は、走査電子顕微鏡観察により測定することができる。
かかる多孔質無機顔料の具体例としては、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、コロイダルシリカ、ゼオライト、クレイ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、サチンホワイト、ケイソウ土、酸性白土、アルミナ及びシリカの複合材料を挙げることができる。
前記多孔質無機顔料を用いた記録媒体の作製方法としては、多孔質無機顔料に水性結着剤を添加した水性塗工液を調製した上で、得られた水性塗工液を紙(原紙)に代表される記録媒体にコート(塗工)する方法を挙げることができる。水性結着剤としては、以下のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
ポリビニルアルコール、カゼイン、スチレンブタジエンラバー、でんぷん、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキサイドの水溶性高分子化合物。
上記多孔質無機顔料と水性結着剤の質量比(多孔質無機顔料/水性結着剤)は、0.1〜100の範囲であり、限定すれば1〜20であることが好ましい。多孔質無機顔料と水性結着剤の質量比(多孔質無機顔料/水性結着剤)が100以下であれば、記録媒体から多孔質無機顔料の脱落、いわゆる粉落ちを抑制することができる。多孔質無機顔料と水性結着剤の質量比(多孔質無機顔料/水性結着剤)が0.1以上であれば、記録媒体に形成されたインクジェット画像の減色性又は消色性を優れたものとすることができる。水性塗工液には、必要に応じて顔料分散剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、離型剤、着色剤、耐水化剤、湿潤剤、蛍光染料、紫外線吸収剤等を適宜配合することができる。
上記水性塗工液の記録媒体への塗工方法としては、以下の方法を挙げることができる。
ロールコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、ゲートロールコーター法、バーコーター法、スプレーコート法、グラビアコーター法、カーテンコーター法、コンマコーター法。
上記水性塗工液の記録媒体への塗工量としては、例えば、固形分として0.1 〜50g/m2 の範囲を挙げることができる。塗工量が0.1g/m2以上であれば、記録媒体においてインクジェット画像を迅速に減色又は消色することができる。一方、塗工量が50g/m2以下であれば、水性塗工液の無駄な消費を免れることができる。
上記水性塗工液の記録媒体への塗工後、湿潤状態の上記水性塗工液に対して、水性結着剤を凝固させるために、亜鉛、カルシウム、バリウム、マグネシウム又はアルミニウムの硝酸塩、硫酸塩、蟻酸塩、酢酸塩を含む水溶液を塗布する処理を行ってもよい。記録媒体上の水性塗工液の塗工膜を、熱風乾燥炉、熱ドラムを用いて乾燥し、表面処理を施した記録媒体を得ることができる。記録媒体上の水性塗工液の塗工膜の乾燥に熱ドラムを用いる場合は、加熱した塗工膜を圧着・乾燥して塗工層を得ることができる。また、乾燥後、記録媒体にカレンダー処理を施すことにより、膜はがれや粉落ちのない強固な塗工膜が得られる。
[インク]
本発明に用いられる画像の消去のメカニズムとしては、記録媒体に固定されたインクを酸化性ガスに暴露することにより、色素の化学結合の開裂反応が進行し、これによりインクが消色するとものと考えられる。このような色素の消色は、インク調製前の固体状の色素が、6.0eV以下のイオン化ポテンシャルを有することで、酸化性ガスの暴露により容易に進行する。インク調製前の固体状の色素が4.2eV以上のイオン化ポテンシャルを有することが、大気中における酸化防止や光劣化抑制の上で必要である。
更に、記録媒体に形成された画像中の色素のイオン化ポテンシャルが、インク調製前の固体におけるイオン化ポテンシャルより0.1eV以上低く、更に限定すれば0.15〜0.7eV低いことが必要である。色素のイオン化ポテンシャルがこのような関係を有することにより、消色がより容易に、より迅速に生じる。記録媒体に形成された画像中の色素のイオン化ポテンシャルをこの範囲とするために、記録媒体が有する多孔質無機顔料が0.2cc/g以上の細孔容積を有するか、又は0.5μm以下の分散粒子径を有することが必要である。
このメカニズムの詳細までは明らかではないが、以下のように考えることができる。
一般に、色素のイオン化ポテンシャルの値は色素分子の凝集状態と密接に関係することが知られている(非特許文献1)。
一方、多孔質無機顔料を含有した記録媒体に、色素を含有するインクを付与すると、多孔質無機顔料の表面の細孔に色素分子が個々に吸着され、色素分子同士の凝集が抑制される。このことにより、画像中の色素のイオン化ポテンシャルは固体(凝集状態)のイオン化ポテンシャルに比べて低下する傾向になると考えられる。これに対し、多孔質無機顔料の細孔容積や分散粒子径がインクに含有される色素分子に対して、不適合なものであった場合、画像中の色素のイオン化ポテンシャルは低下しにくい。このような色素のイオン化ポテンシャルの値は、大気中光電子分光装置(理研計器製、AC−1)を用い、ファウラー則に従う光電子放出電流と光子エネルギーの接点から求めることができる。
本発明に用いられるインクとしては、上記記録媒体に画像を形成し得る、色素を含有するものであれば制限はない。画像は、インクジェット方式によるプリンター、複写機、印刷機を用いた印刷により記録媒体に形成されたものや、ペンに代表される筆記具を用いて形成されたものであってもよいが、インクジェット記録方式によるものがよい。かかるインクとしては、色素を有機溶媒や水に、溶解、分散又は溶解及び分散したものを挙げることができる。
(色素)
上記インクに含有される色素としては、天然色素、合成色素及び顕色剤の作用により発色すればいずれのものであってもよいが、ポリエン構造を有するものがよい。ポリエン構造を有する色素としては、アナトー色素やクチナシ黄色素に代表されるカロチノイドの共役ポリエンを挙げることができる。本発明に用いるインクに含有させる色素としては天然色素、合成色素のいずれを含むものであってもよいが、天然色素を含むものが人体への安全上よい。上記天然色素としては、微生物により生産される微生物色素、動物/植物から抽出される抽出色素を挙げることができる。微生物色素は、微生物の培養により生産され、抽出色素に比べて生産管理が容易であり、安定的かつ大量の生産が可能である。
微生物色素は、微生物色素を産出する菌株を使用し、その培養方法も限定しない公知の培養法を利用し、通常これらを産出する微生物の培養液から抽出して得ることができる。インク特性を保持することができるのであれば、抽出・精製をせず、培養液をそのまま濃縮してインクに含有させる色素として用いることもできる。かかる微生物色素の具体例としては、以下のものを挙げることができる。紅麹色素、バイオラセイン、メラニン、カロチノイド、クロロフィル、フィコビリン、フラビン、フェナジン、プロディギオシン、バイオラセイン、インジゴ系色素、ベンゾキノン、ナフトキノン、アンスラキノン、公知のもの(非特許文献2)。これらの微生物色素のうち、後述する酸化性ガスによる消色性に優れているのは、紅麹色素、バイオラセイン、インジゴ系色素であり、これらのうち、紅麹色素が好適である。
かかる紅麹色素はモナスカス属の糸状菌(紅麹菌)が生産する色素であり、古くから中国、台湾で紅酒、食肉の着色剤として用いられており、その安全性が確認されている。紅麹色素は一般に、オレンジ色系のモナスコルブリン(Monascorubrin)、黄色系のアンカフラビン(Ankaflavin)、黄色系のモナスシン(Monascin)、赤色系のモナスコルブラミン(Monascorubramin)、ルブロパンクタチン(rubropunctatin)、ルブロパンクタミン(rubropunctamine)のように構造が類似し、置換基が異なる化合物からなる組成物である(非特許文献3)。これらの化合物は水に不溶である。但し、モナスコルブリンとルブロパンクタチンは培養液中の水溶性アミノ化合物である、水溶性蛋白質、ペプチド、アミノ酸と反応して水溶性の複合体を形成して赤色系水溶性紅麹色素となることが知られている(非特許文献4)。
紅麹色素を産出する紅麹の菌株はモナスカス属の糸状菌であればよい。モナスカス属の糸状菌としては、モナスカス・パープレウス[Monascus purpureus;独立行政法人製品評価技術基盤機構・生物遺伝資源センター(NBRC)のカタログ番号NBRC 4478]、モナスカス・ピロサス(Monascus pilosus;同カタログ番号NBRC 4480)、モナスカス・ルバー(Monascus ruber;同カタログ番号NBRC 9203)を挙げることができる。更に、これらの変種及び変異株も挙げることができる。
本発明の画像の消去方法におけるインクに含有される紅麹色素を産生するための紅麹の菌株の培養方法は、固体培地を使用する固体培養法、液体培地を使用する液体培養法のいずれも利用できる。固体培養法からは粉末紅麹色素が得られ、液体培養法からは液体紅麹色素又はその有機溶媒抽出液が得られる。培地は炭素源、窒素源、無機塩類及び微量栄養素を含む公知のものでよい。炭素源としてグルコース、シュークロースの糖類や酢酸、澱粉の加水分解物を含み、窒素源及び微量栄養素としてペプトン、酵母エキス、麦芽エキスを含み、無機塩類として硫酸塩、リン酸塩を含有する培地を利用することができる。
紅麹の菌株の培養方法としては、具体的には、紅麹菌をこれら培地に接種し、20〜40℃の温度で、好気的に2〜14日間培養する方法を例示することができる。通気攪拌培養を行う場合、pHをコントロールする必要はない。但し、酸性条件下で培養した場合、上述のモナスコルブリン及びルブロパンクタチンと水溶性アミノ化合物との反応を阻害して、モナスコルブリン及びルブロパンクタチンを多く含む色素を調製することができる(非特許文献4)。
紅麹色素の抽出は、培養液及び菌体画分から有機溶媒により抽出する方法を挙げることができるが、紅麹色素として培養上澄み成分をそのまま乾固したものを用いてもよい。抽出溶媒としては、n−プロピルアルコール、メタノール、エタノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、ジオキサン、クロロホルムを使用することができる。抽出物の精製には、通常の単離方法であるシリカゲルクロマトグラフィー及び逆相の高速液体クロマトグラフィーにより単離する方法を利用することができ、精製により所望の純度の紅麹色素を得ることができる。
このようにして得られる紅麹色素は、水不溶成分と水溶性成分との混合物である。水不溶成分は、モナスコルブリン、ルブロパンクタチン、アンカフラビン、モナスシン、モナスコルブラミン及びルブロパンクタミンであり、水溶性成分は、培養中にモナスコルブリン又はルプロパンクタチンと、水溶性アミノ化合物とが結合したものである。
上記培養により得られた紅麹色素を本発明におけるインクに含有される色素として用いるには、上述のように培養上澄み液又はその抽出物をそのまま適用することもできるが、これらに更に水溶性アミノ化合物を添加したものの方がよい。培養上澄み液又はその抽出物に水溶性アミノ化合物を添加すると、モナスコルブリン又はルブロパンクタチンと水溶性アミノ化合物とが結合した水溶性の複合体の生成を促進させることができる。この方法は、色素中の水溶性成分が増加し本発明におけるインクの減色性/消色性を向上させることができる。
培養により得られた紅麹色素に水溶性アミノ化合物を添加して、色素中の水溶性成分を増加させる方法としては、以下の方法が挙げられる。まず、酸性条件下で紅麹菌を培養する。pH調整剤として酢酸を用い、フィードしつつ培養し、モナスコルブリン又はルブロパンクタチンと水溶性アミノ化合物との反応を抑制し、水に不溶なモナスコルブリン及びルブロパンクタチンを多量に含有する色素を生成する。この培養液に水溶性アミノ化合物を過剰に添加し、pHを中性に調整した後、遠心分離又はろ過により菌体を除去し、水溶性成分が増加した色素を得る方法を挙げることができる。また、酸性条件下で培養した後、培養液からモナスコルブリン、ルブロパンクタチンを含む色素を有機溶媒で抽出し、これを水溶性アミノ化合物と反応させる方法を挙げることができる。この方法は、色素以外の不純物の含有量が低減され、しかも限定された色素の混合物として紅麹色素が得られ、これを用いた本発明の画像の消去方法において消色性が向上する。この培養液から色素を抽出するのに用いる抽出溶媒としては、酢酸エチル、アセトン、ブタノール、エタノール、メタノールを挙げることができる。これらのうち、抽出液として酢酸エチルを用いた後、抽出液の洗浄液として水を用いることが本発明における消色の効果を向上させることができる。
上記培養により得られた紅麹色素に添加する水溶性アミノ化合物としては、アミノ酸、水溶性蛋白質、ペプチド及び核酸化合物からなる群から選ばれた一種又はこれらの混合物が、本発明における優れた消色効果が得られる。色素を抽出してこれに水溶性アミノ化合物を添加する場合、使用する溶媒としてはいずれのものであってもよいが、50質量%エタノール水溶液、50質量%メタノール水溶液、50質量%アセトニトリル水溶液等を用いる方がよい。
本発明におけるインクに用いる天然色素としてのバイオラセインは、クロモバクテリウム(Chromobacterium )属、ヤンチノバクテリウム(Janthinobacterium )属又はアルテロモナス(Alteromonas)属に属する微生物である。更に、これらの変種又は変異株の菌体内に保有されるものも挙げることができる。
かかるバイオラセインを得るには、ヤンチノバクテリウム・リビダム(Janthinobacterium lividum;理化学研究所微生物系統保存施設のカタログ番号JCM9045)を用いればよい。ヤンチノバクテリウム・リビダムは、培地の種類によって青紫色素の産生量が著しく異なるので、産生量が多いマンニットYE培地やジャガイモ半合成培地を用い、温度5〜30℃、pH6.0〜8.0に維持して培養すればよい。得られた菌体から色素を溶媒抽出により抽出することができる。色素の抽出溶媒としては、n−プロピルアルコール、メタノール、エタノール、ジオキサン、クロロホルムを使用することができる。抽出物の精製は、通常の単離方法であるシリカゲルクロマトグラフィー及び逆相の高速液体クロマトグラフィーによることができ、所望の純度のバイオラセインを得ることができる。抽出物を濃縮し、そのまま用いることもできる。
本発明におけるインクに用いる天然色素としての抽出色素は、いずれのものも使用することができる。かかる抽出色素の具体例としては、以下のものを挙げることができる。ウコン色素、クチナシ色素、カロチン、ベニバナ色素、アナトー色素、トウガラシ色素、シソ色素、ブドウ果汁色素、赤大根色素、アカキャベツ色素、ムラサキイモ色素、クロロフィル色素、カカオ色素、インジゴ系色素の植物から抽出した色素や、ラック色素、コチニール色素、イカ墨色素の動物性色素。これらのうち、特にクチナシ色素又はトウガラシ色素を消色性が高い色素として挙げることができる。
本発明におけるインクに用いる合成色素としては、いずれのものも使用することができ、具体的に、アントラキノン系、トリフェニルメタン系、フタロシアニン系、ポリエン系、インジゴ系を挙げることができる。
(溶媒)
上記インクを構成する上記色素を溶解又は分散する有機溶媒としては、インクジェットインキに使用される有機溶媒を使用することができる。具体的には、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、脂肪酸エステル、ケトン、エーテル、炭化水素系溶媒、極性溶媒を挙げることができる。これらのうち、上記色素を溶解又は分散する上で良好な有機溶媒としては以下のものを挙げることができる。
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール又はt−ブチルアルコールのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール及びチオジグリコールのグリコール類。
これらの有機溶媒は、それぞれ単独で用いても二種以上を組合わせて用いてもよい。アルコールと極性溶媒、グリコールと極性溶媒、アルコールとグリコールと極性溶媒の組合わせを具体的に挙げることができる。かかる極性溶媒としては、以下のものが挙げられる。
2−ピロリドン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル又はアセトン。
また、有機溶媒が水溶性であれば、これらに水を添加した混合溶媒も用いることができる。その場合のインク中の水の含有量は、インク全質量に対し30〜95質量%の範囲とすればよい。
これらの溶媒に上記色素を分散、溶解する方法としては、単に溶媒に色素を添加して溶解する方法が挙げられる。必要に応じて、分散機を用いて微粒子化し、分散剤(界面活性剤)を用いて分散してもよい。分散機としては、以下のものが挙げられる。
ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、ジェットミル、オングミル。
上記界面活性剤としては陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれのものも用いることができる。
上記色素の含有量はインクの全質量に対して0.01〜90質量%であり、限定すれば0.5〜15質量%である。インク中の色素の含有量がこの範囲であると、記録媒体に良好な画像を形成することができる。
インクには必要に応じて結合剤、pH調整剤、粘度調整剤、浸透材、表面張力調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防かび剤を含有させることができる。
[画像の消去]
本発明の画像の消去方法は、誘電体バリア放電により発生したプラズマや、これにより生成される二次生成物である酸化性ガスに、記録媒体に形成された画像を暴露することにより、インクに含まれる色素を無色化する。
本発明において使用する誘電体バリア放電は、電極内側の片側又は両側を誘電体で被覆し、電極間に電圧を印加して放電を発生し、電極間に存在する気体のプラズマを生成するものである。この方法によれば、大気中において、安定してプラズマを発生させることができる。本発明において、誘電体バリア放電は密閉系、開放系いずれにおいても適用することができる。誘電体バリア放電の電極材料としては、Sn、In、Al、Cr、Au、Ni、Ti、W、Te、Mo、Fe、Co及びPtの金属やそれらの合金、ITO、ZnOの酸化物のほか、導電性粒子を分散したポリマーシートやゴムベルトを挙げることができる。電極の形状としては、板状、メッシュ状、ベルト状、ドラム状、線状とすることができ、両電極が異なる形状を有していてもよい。
電極を被覆する誘電体材料としては、カーボン化合物やセラミック、ガラス、強誘電体材料、ポリマーの放電材料を用いることができる。具体例には、以下のものが挙げられる。
ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボンやシリカ、マグネシア、アルミナ、ジルコニアの金属酸化物、窒化シリコーン、窒化アルミニウムの窒化物や、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸チタン酸鉛や、ポリエチレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン。誘電体はこのような材料をシート状にして電極に張り合わせたり、イオンプレーティング法を用いて誘電体表面に電極を真空製膜したり、これらの材料をバインダーに分散した複合体として適用することができる。
誘電体バリア放電によりプラズマを生成する気体としては、空気、酸素、窒素、二酸化炭素、水蒸気を挙げることができる。プラズマ(電離/解離ガス)又はその二次生成物として、具体的には、オゾン、ヒドロキシルラジカル、炭酸イオン及び窒素酸化物の酸化性ガスを挙げることができる。
本発明に用いる誘電体バリア放電としては、誘電体で被覆した第一の電極と、該第一の電極と隔てられた第二の電極の間に電圧を印加する放電であることが好ましい。第一の電極と第二の電極の間に印加する電圧は、電圧Vppが1kV以上40kV以下、周波数が10Hz以上20kHz以下である交流電圧であることが好ましい。更に、電圧Vppが1kV以上30kV以下、周波数が20Hz以上10kHz以下の交流電圧を印加することにより、より効率のよい画像の消去を行うことができる。印加する交流電圧の波形としては、正弦波、三角波、矩形波、パルス波形のほか、これらの波形を組合わせたものであってもよい。
このような誘電体バリア放電により発生した酸化性ガスに記録媒体に固定されたインクを暴露する際には、放電領域の内部又は近傍に記録媒体を配置することが効率よく画像の消去を行うことができるという点で好ましい。第一の電極を被覆した誘電体とインクを固定した面を対向して平行に配置し、誘電体と記録媒体間の距離が、0より大きく100mm以下であることが好ましい。より好ましくは0.5mm以上である。また、誘電体で被覆した電極面は、記録媒体と同等若しくはより大きい面積を有することが、効率のよい画像の消去を行うことができる。
本発明においては、誘電体バリア放電により発生した酸化性ガスに記録媒体を暴露する際には、記録媒体は静置して行ってもよいが、放電領域又はその近傍を走行させて行うことができる。記録媒体を走行させる手段としては、公知の搬送手段を用いることができ、エンドレスベルト搬送、ロール搬送、ドラム搬送を挙げることができる。このような記録媒体の搬送手段は導電性であることを必要とするものではないが、導電性とし第二の電極として機能させてもよい。記録媒体の搬送速度は、記録媒体と誘電体間との距離、印加電圧の大きさにより選択することができるが、誘電体で被覆した第一の電極に対する相対速度として2000cm/分以下であり、更に600cm/分以下であることが好ましい。この範囲であると、画像の消去をより効率よく、且つ十分に行うことができる。記録媒体を第一の電極を被覆した誘電体と第二の電極の間に浮かせた状態で静止又は搬送させれば、記録媒体の両面上のインクを無色化することも可能である。印刷物の酸化性ガスへの暴露は、目的に応じて密閉系で行うか、開放系で行うか選択することができる。本発明においては、酸化性ガスが装置から漏出しない密閉系で行う方が好ましく、密閉系、開放系のいずれの場合でも酸化性ガス漏出防止のための吸着フィルターを設けることが好ましい。
印刷物の酸化性ガスへの暴露を密閉系で行う場合、オゾン濃度を一定に保持するフィードバック機構を誘電体バリア放電装置に設けることが好ましい。オゾン濃度の検知は、紫外線吸収法を用いて誘電体バリア放電装置内で比較ガスと比較することにより行うことができる。又、誘電体バリア放電装置内のオゾン濃度は、100ppm以上であることが無色化の点で好ましい。オゾン濃度がこの値に満たない場合には、速やかに誘電体バリア放電器を動作させ、酸化性ガスを発生させることが好ましい。
また、本発明においては、印字物の無色化処理が終了した後、誘電体バリア放電装置への印加電圧値又は印加周波数を増加させて放電器を加熱し、無色化に不要なオゾンを分解することが好ましい。オゾンを効率よく加熱分解するためには、雰囲気温度を100℃以上にすることが好ましい。
[画像の消去に必要な時間]
記録媒体に形成された画像は、酸化性ガスへの暴露により褪色(減色)させ、好ましくは目視によって認識できないレベルにまで消去させることができる。画像が酸化性ガスに暴露されることにより、色が淡くなり、ついには視認できなくなる。画像の消去に対しては放電電圧の影響が大きいが、酸化性ガスの濃度、酸化性ガスとの接触効率、酸化性ガスの組成、色素の種類、色素の濃度、色素の組成、記録媒体の材質の条件によって消色に必要な時間が異なる。これらの条件を選択することにより消色時間を調整することができる。誘電体及び電極材料として透明又は半透明の材料を用い、電極側にラインセンサーやイメージセンサーを配置して記録媒体上のインク濃度を測定すれば、インク濃度に応じて放電時間を変えることができ、いずれの濃度でも均一な無色化が達成できる。透明又は半透明の材料としては、ガラスやITOを挙げることができる。
[画像の消去装置]
本発明の画像の消去装置は、記録媒体に色素を含有するインクを付与することにより形成された画像を消去する画像の消去装置であって、該画像を、誘電体バリア放電により発生した酸化性ガスに暴露させる手段を備えたことを特徴とする。
本発明の画像の消去装置を、図面を参照して説明する。以下の装置において、空気を用いる場合について説明する。
図1は、本発明の画像の消去装置の一実施例の概略側面図である。図1に示すように、誘電体32により隔てられ、相互に対向して設けられる第一の電極31と第二の電極41とを備えたバリア放電電極3が設けられる。誘電体32は第一の電極31に密着して設けられ、第二の電極41はロール42の回転によりエンドレスに移動する導電性エンドレスベルトであり、記録媒体1の支持部及び搬送手段として機能する。第一の電極31は交流電源2を介して基準電位点に接続され、交流電源2により電圧が印加されると、基準電位点に接続される第二の電極41と誘電体32間の放電領域33に酸化性ガスが発生する。第二の電極41がベルト形状であるため放電領域33が拡張され、酸化性ガスを広範囲に亘って発生させることができ、記録媒体の酸化性ガスへの暴露を効率よく行うことができる。第二の電極41には正或いは負の直流電圧を印加することもできる。
バリア放電電極3に印加する交流電圧Vppは、1〜40kV、周波数は10〜20kHzの範囲であることが好ましい。この範囲にすることにより、酸化性ガスの生成を一層効率的に行うことができる。更に好ましくは、Vppが1〜30kV、周波数が20Hz〜10kHzの範囲である。印加交流電圧波形は、正弦波、三角波、矩形波、パルス波形や、これらの波形を組合わせたものであってもよい。この場合、誘電体32と記録媒体1との間の距離は、100mm以下、0mmを超える範囲である。第一の電極31、第二の電極41、誘電体32は上記の材質である。
記録媒体1の酸化性ガスへの暴露は、記録媒体を放電領域33に対して移動させて行うことも、また、ロール42の回転を停止し、静止させて行うこともできる。記録媒体の搬送速度は、電極に印加する電圧Vpp、周波数、誘電体と記録媒体間の距離により選択することができるが、上記電圧Vpp、周波数、誘電体と記録媒体間の距離の範囲であれば、2000cm/分以下とし、更に限定して600cm/分以下の範囲であると画像の消去をより効率よく行うことができる。
記録媒体1の酸化性ガスへの暴露は、目的に応じて密閉系で行うか、開放系で行うか選択することができる。但し、酸化性ガスが装置から漏出しないためには密閉系で行う。また、酸化性ガス漏出防止のための吸着フィルターを設ければよい。
図2は、本発明の画像の消去装置の他の実施例の概略側面図である。図2に示すように(図1に示す装置と同じ部材又は部分は図1に示す符号と同じ符号で示す。)、誘電体32で被覆された第一の電極31と、記録媒体1の支持部を兼ねる誘電体35で被覆された第二の電極34とを備えたバリア放電電極3が設けられる。基準電位点に接続された交流電源2に接続された第一の電極31と、基準電位点に接続された第二の電極34間には、交流電圧が印加される。そして、誘電体32と誘電体36の間に形成された放電領域33の誘電体35上に、1対のロール42の回転により記録媒体1が搬送されると、放電領域33に発生するプラズマに記録媒体1が暴露され、画像が無色化される。第一の電極32、第二の電極34、誘電体32、35の材質としては、上記のものを用いることができる。
図3は、本発明の画像の消去装置の他の実施例の概略側面図である。図3に示すように(図2に示す装置と同じ部材又は部分は図2に示す符号と同じ符号で示す。)、第二の電極であるブラシ状の針状電極36と、誘電体35で被覆された第一の電極である電極34とを備えたバリア放電電極3が設けられる。放電領域33は誘電体35と針状電極36の針の先端近傍を中心として形成され、この領域に酸化性ガスが発生する。
図4は、本発明の画像の消去装置の他の実施例の概略側面図である。図4に示すように(図1に示す装置と同じ部材又は部分は図1に示す符号と同じ符号で示す。)、ロール状の誘電体38に覆われた第一の電極である棒電極37が設けられる。記録媒体1の支持部及び搬送手段としての機能を有する第二の電極である導電性ドラム43とを備えたバリア放電電極3が設けられる。交流電源2を介して基準電位点に接続される棒電極37と、基準電位点に接続される導電性ドラム43間に交流電圧が印加されると、誘電体38と導電性ドラム43間の放電領域33に酸化性ガスが発生する。そして、導電性ドラム43の表面に支持された記録媒体1が、導電性ドラム43の回転に伴い放電領域33に搬送されることにより、酸化性ガスに暴露される。この場合、誘電体38と記録媒体の間の距離は100mm以下、0mmを超える範囲である。棒電極37、導電性ドラム43、誘電体38は上記の材質である。
[画像の消去装置に用いる電源]
本発明の画像の消去装置に用いる電源は、電圧Vppが1kV以上40kV以下であり、周波数が10Hz以上20kHz以下である交流電圧を出力できるものであればよい。しかしながら半導体を用いた市販の交流電源は価格が高いという問題がある。このため、気中ギャップを用いた電源を用いればコストは前記電源に比べて1/10以下に下げることが可能である。本発明の画像の消去装置に用いる気中ギャップを用いた電源の一例を図5の概略構成図に示す。図5に示す電源は、入力電源に市販のトランス51を用い、電気素子52〜55及び気中ギャップ6を接続した簡便な構成である。電気素子52及び53は、抵抗器又はコイルである。また、電気素子54はキャパシタンス、電気素子55は抵抗器である。一方、気中ギャップ6は、針、平板、刃、円筒形状のいずれかの組合わせで構成され、材質は導電性を有していればいずれのものでもよい。
上記電源に用いる気中ギャップは大きさの異なる2枚の金属電極を有するものを適用する。気中ギャップの例を図6、または図7の概略構成図に示す。2枚の金属電極は、大きさの異なる2枚の平板状金属電極61及び62(図6)、または、平板状金属電極63及び64(図7)からなり、気中放電による劣化の影響を低減させるためそれぞれの電極が反対方向に回転する構成になっている。トランス51に商用周波数の交流電圧を印加し、気中ギャップ6の平板状金属電極間距離を10mm以下の任意の値にすることで、電圧Vppが1〜40kV、周波数が10Hz〜20kHzのパルス波形を含む交流電圧が発生し良好なバリア放電が得られる。また、バリア放電電極の形状や大きさにより、ギャップ距離や電気素子の種類及び値は任意のものを使用することができる。
[記録媒体の再生方法]、
本発明の記録媒体の再生方法は、上記本発明の画像の消去方法により画像を消去する工程を含む方法であれば、制限されるものではない。記録媒体に形成された画像中の色素の開裂反応を進行させるのに、誘電体バリア放電により生じる酸化性ガスを使用するため、記録媒体上の色素を効率よく、容易、かつ迅速に無色化することができる。
本発明においては、印刷物を酸化性ガスに暴露する前に、印刷物を20℃50%RH以上の水蒸気雰囲気中で保持した後、誘電体バリア放電を行うことが好ましい。水蒸気によって印刷物上の色素を単分子状態に分離しやすくなるため、更に容易かつ迅速に無色化することができるからである。
しかも、本発明においては、色素を酸化させる物質を記録媒体上に残留させないことができる。このため、無色化された色素を担持している記録媒体に、再度色素を含有するインクを付与して画像を形成しても、色素の開裂反応が進行せず、有色状態を維持することができ、記録媒体の再利用を可能とすることができる。
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例に限定されるものではない。
[記録媒体の作製例1]
アルミナ微粉末(商品名:「カタロイド AP−3」、触媒化成工業(株)製)とポリビニルアルコール(商品名「SMR−10HH」、信越化学工業(株)製)を質量比で90/10となるように混合し、固形分比が20質量%となるように水を加えて撹拌した。これをPETフィルムに乾燥後の質量が25g/m2となるように塗工し、110℃で10分間乾燥した。これを記録媒体1とした。
[記録媒体の作製例2]
2リットル撹拌機付きフラスコにポリエチレングリコール(平均分子量2000)800g、ヘキサメチレンジイソシアネート65g、ジブチルチンジラウレート2g、及びエチレングリコールジメチルエーテル900gを加えた。室温で30分間撹拌し、均一に混合し、80℃に加熱、撹拌を2時間行った後、冷却し、高粘度の透明液状液体(バインダーA)を得た。得られた液体は25℃において30,000mPa・sの粘性を示し、エチレングリコールジメチルエーテル溶媒中に含まれるポリマーの数平均分子量は85,000であった。次に、ポリビニルアルコールを上記の操作で得たバインダーAとした以外は作製例1と同様にして記録媒体2を得た。
[記録媒体の作製例3]
2リットル撹拌機付きフラスコに、ヒドロキシエチルメタクリレート300g、水350g、メタノール350g及びアゾビスイソブチロニトリル1.5gをそれぞれとり、室温で60分撹拌した。その後、窒素ガスを吹き込んでフラスコ内を十分窒素ガスで置換した後、更に窒素ガスを徐々に通じながら昇温し、65℃とした。次いで、このまま3時間重合を行った後、冷却して高粘度の透明液状物(バインダーB)を得た。得られた液体は25℃において1,800mPa・sの粘性を示し、水/メタノール混合溶媒中に含まれるポリマーの数平均分子量は150,000であった。次に、ポリビニルアルコールを上記の操作で得たバインダーBとした以外は作製例1と同様にして記録媒体3を得た。
[記録媒体の作製例4]
コロイダルシリカ(商品名:スノーテックス C、日産化学(株)製)とポリビニルアルコール(商品名「SMR−10HH」、信越化学工業(株)製)を、固形分質量比で90/10となるように混合し、固形分比が20質量%となるように水を加えて撹拌した。これをPETフィルムに乾燥後の質量が35g/m2となるように塗工し、110℃で10分間乾燥した。これを記録媒体4とした。
[インクの作製例1〜5]
下記表1に示す各成分を混合し、十分攪拌して溶解した後、ポアサイズが0.45μmのフロロポアフィルター[商品名:住友電工(株)製]により加圧ろ過し、インク1〜5を得た。なお、銅フタロシアニン四スルホン酸四ナトリウムはキシダ化学(株)製のものを用いた。クチナシ黄色素、トウガラシ色素及びクロロフィルはキリヤ化学(株)製の色素を用いた。インジゴカーミンはナカライテスク(株)製の色素を用いた。
Figure 2007118599
[インクの作製例6]
500mlの坂口フラスコに、以下のものを投入した。
100mlの麦芽酵母エキスYE培地[グルコース1質量%、酵母エキス(Difco Laboratories, Inc.製)0.3質量%、麦芽エキス(Difco Laboratories, Inc.製) 0.3質量%、バクトペプトン(Difco Laboratories, Inc.製)0.5質量%及び残部純水からなる培地]
そして、pH6.5に調節した後、120℃で20分間加圧滅菌を行った。冷却後、YM寒天培地で斜面培養した紅麹菌[モナスカス・パープレウス(NBRC4478)]を一白金耳接種し、30℃で2日間振盪培養を行い、種菌液を得た。得られた種菌液のうち5mlを、上記と同様に滅菌したYM培地100mlに接種し、30℃で3日間振盪することにより本培養した。本培養終了後、培養液を遠心分離機にかけて(9000rpm、10分)、上澄み液と菌体に分離した。得られた上澄み液は、蒸留水への100分の1希釈時に波長500nmでの吸光度が0.2であった。上澄み液に等量のエタノールを添加し、攪拌後、更に遠心分離機にかけて(9000rpm、10分)、非水溶性の色素を除去した。得られた上澄み液を濃縮乾固して水溶性の赤色色素を得た。この色素を用い、色素/エタノール=10.0/90.0となるように混合し、十分攪拌して溶解した後、ポアサイズが0.45μmのフロロポアフィルター[商品名:住友電工(株)製]により加圧ろ過し、インク6を調製した。
[培養例1〜4]
5リットルの坂口フラスコに、インクの作製例6と同じYM培地1リットルを入れ、pH6.5に調節した後、120℃で20分間加圧滅菌を行った。冷却後、YM寒天培地で斜面培養した紅麹菌[モナスカス・パープレウス(NBRC4478)]を一白金耳接種し、30℃で2日間振盪培養を行い、種菌液を得た。
一方、1リットルガラスジャーに、上記と同じYM培地450mlを入れ、120℃で20分間加圧滅菌を行い、冷却後、上記種菌液を10%(v/v)植菌した。pH調整剤として培養例1では硫酸、培養例2では燐酸、培養例3では酢酸を使用し、培養開始時から培養液のpHを4.0に保ちながら、30℃で7日間通気攪拌培養を行った。培養例4では、培養開始時のpHを6.5に調整し、その後pHは無調整で培養を行った。培養例1〜4で得られた培養液中のモナスコルブリン生産量をHPLCで測定した。HPLC分析条件は特許文献7に示される方法で行った。その結果を表2に示す。
Figure 2007118599
表2に示すように、酸性条件で培養するとモナスコルブリン量が顕著に増加し、pH調整剤として酢酸を使用することにより、硫酸や燐酸の鉱酸に比較して、更に増加した。この方法で培養することにより得られるルブロパンクタチンとモナスコルブリンを用いて、アミノ化合物との付加反応を行うことにより、より効率的に水溶性色素を得ることができる。
[インクの作製例7]
培養例3で得られた培養液を遠心分離機にかけて(9000rpm、10分)、上澄み液と菌体に分離した。得られた色素含有湿菌体を凍結乾燥して水分量を求めたところ、75.6質量%であった。
得られた湿菌体400gに酢酸エチル10リットルを加え、1時間攪拌した後、ろ紙でろ過してろ液と菌体に分離した。ろ液から水層を除去して酢酸エチル層を得た。得られた酢酸エチル抽出液に等量の水を加え、2回洗浄した。洗浄後の酢酸エチル抽出液を濃縮乾固し、モナスコルブリン及びルブロパンクタチンを含有する赤橙色色素を得た。
得られた赤橙色色素10.8gにアセトニトリルを添加し、2095mlの赤橙色色素含有アセトニトリル溶液を得た。これに等量のグルタミン酸1ナトリウム水溶液(30mg/mL)を添加して攪拌しながら室温で3日間反応させた後、濃縮乾固して水溶性色素を得た。この色素を用い、色素/グリセリン/ジエチレングリコール/アセチレノール/水=2.5/7.5/7.5/0.1/82.4(質量比)となるように混合し、十分攪拌して溶解した。その後、ポアサイズが0.45μmのフロロポアフィルター[商品名:住友電工(株)製]により加圧ろ過し、インク7を調製した。
グルタミン酸1ナトリウム添加による水溶性色素生成反応の後、逆相HPLCで反応液中のモナスコルブリン及びルブロパンクタチンの分析を行ったが、モナスコルブリン及びルブロパンクタチンは検出されなかった。反応液を蒸留水で100分の1に希釈した液について500nmでの吸光度を測定したところ、0.68であった。
[印刷物の作製例1〜10]
得られたインク1〜7を用い、記録媒体1〜4にベタ印字を行い、印刷物1〜10を得た。画像形成装置としては、発熱阻止をインクの吐出エネルギー源として利用したオンデマンド型インクジェットプリンター(商品名「Wonder BJ F-660」、キヤノン(株)製)を用いた。各印刷物の内容を表3に示した。
Figure 2007118599
[消色性/減色性の評価]
[実施例1〜10]
図1に示す装置を用い、密閉系において、消色処理を行った。交流電源として図5の装置を用い、気中ギャップとして図6の構成を用いた。電気素子52、54にはそれぞれ500kΩ、2000pFの素子を使用した(電気素子53、55はなし)。気中ギャップ6は金属電極間距離を1.7mmに設定し、ネオントランス(型式61−2314:愛電商事(株))に交流電圧(40V、50Hz)を印加して放電電極に周波数50Hz、印加電圧Vpp20kVのパルス波形を含む交流電圧を印加した。なお、誘電体32は225×50×厚さ1mmソーダガラス、誘電体32上に設けられた電極31はニッケル、対抗電極(導電性エンドレスベルト41)はカーボン含有エチレンプロピレンゴムとした。その状態で、印刷物1〜10について、200cm/分のスピードで搬送し、放電処理を行った(実施例1〜10)。誘電体の底面と印刷物との距離は1.8mmとなるようにバリア放電電極3と導電性エンドレスベルト41を配置した。また、誘電体底面と印刷物間(放電領域)のオゾン濃度をオゾン濃度計(ダイレック製、Model1300)で測定したところ、約200ppmであった。
放電処理前後の印刷物1〜10の光学濃度をカラー透過・反射濃度計(商品名「X-Rite 310TR」、X-Rite,Inc.製)により測定した。放電処理前の光学濃度に対する放電処理後の光学濃度を、光学濃度残率として以下の式より算出した。
光学濃度残率=(放電処理後の光学濃度/放電処理前の光学濃度)×100
結果を表4に示す。
[実施例11]
実施例1と同様の装置を用い、放電電極に印加する交流電圧(正弦波)を周波数5kHz、印加電圧Vpp15kVとした他は、実施例1と同様にして、印刷物10について放電処理を行い、光学濃度残率を算出した。結果を表4に示す。なお、誘電体底面と印刷物間(放電領域)のオゾン濃度をオゾン濃度計(ダイレック製、Model1300)で測定したところ、約240ppmであった。
[実施例12〜21]
図4に示す装置を用い、開放系において、放電電極に周波数400Hz、印加電圧Vpp35kVの方形波電圧を印加した。なお、ロール状誘電体38は外径30mm厚さ1mmアルミナセラミックス、誘電体に埋設された電極37はタングステン、対抗電極(外径200mm導電性ドラム43)はカーボン含有シリコーンゴムとした。その状態で、印刷物1〜10について、150cm/分のスピードで搬送し、放電処理を行い、実施例1と同様にして光学濃度残率を算出した(実施例12〜21)。誘電体の底面と印刷物との距離は1.0mmとなるようにバリア放電電極3と導電性ローラ43を配置した。結果を表5に示す。なお、誘電体底面と印刷物間(放電領域)のオゾン濃度をオゾン濃度計(ダイレック製、Model1300)で測定したところ、約180ppmであった。
Figure 2007118599
Figure 2007118599
以上の結果から明らかなように、実施例1〜21は、無機顔料コート部材にインクジェットインクにより印字された印刷物を、誘電体バリア放電により発生した酸化性ガスに暴露しているので、光学濃度残率が低く、消色性/減色性に優れる。色素として天然色素を用いた場合に消色性/減色性に優れ、中でも紅麹色素、クチナシ黄色素、トウガラシ色素又はインジゴ系色素を用いた場合に一層優れることが分かる。無機顔料コート部材の無機顔料としてアルミナを用いた場合に、消色性/減色性に優れることが分かる。
[記録媒体の作製例5〜8]
各種コロイダルシリカ微粉末とポリビニルアルコール(商品名「SMR-10HH」、信越化学工業(株)製)を質量比で90/10となるように混合し、固形分比が20%となるように水を加えて攪拌した。これをA4普通紙上に、乾燥後の質量が25g/m2となるように塗工し、110℃で10分間乾燥して、記録媒体5〜8を作製した。得られた記録媒体の無機顔料粒子の細孔容積及び分散粒子径を上記の方法により測定した。結果を表6に示す。
Figure 2007118599
[記録媒体の作製例9〜13]
各種アルミナ微粉末とポリビニルアルコール(商品名「SMR-10HH」、信越化学工業(株)製)を質量比で90/10となるように混合し、固形分比が20%となるように水を加えて攪拌した。これをA4普通紙上に、乾燥後の質量が25g/m2となるように塗工し、110℃で10分間乾燥して、記録媒体9〜13を作製した。得られた記録媒体の無機顔料粒子の細孔容積及び分散粒子径を上記の方法により測定した。結果を表7に示す。
Figure 2007118599
[インクの作製例8〜10]
表8に示す各成分を混合し、十分攪拌して溶解した後、ポアサイズが0.45μmのフロロポアフィルター[商品名:住友電工(株)製]により加圧ろ過し、インクを調製し、インクを得た。なお、クチナシ青色素及びトウガラシ色素はキリヤ化学(株)製のものを、銅フタロシアニン四スルホン酸四ナトリウムはキシダ化学(株)製のものを用いた。
Figure 2007118599
[印刷物の作製例13〜24]
得られたインク8〜10を用い、印刷物の作製例1〜10と同様にして、記録媒体5〜8にベタ印刷を行い、印刷物13〜24を作製した。印刷する前の固体状色素のイオン化ポテンシャルと、印刷物における色素のイオン化ポテンシャルは、大気中光電子分光装置(理研計器製、AC−1)を用いて測定した。側定時の照射光強度は10nW(5.9eVのエネルギー)以上で行った。結果を表9に示す。
[印刷物の作製例25〜34]
得られたインク5又は6を用い、作製例1〜10と同様にして、記録媒体9〜13にベタ印刷を行い、印刷物25〜34を作製し、イオン化ポテンシャルを測定した。結果を表10に示す。
[減色性/消色性の評価]
[実施例22〜33]
図3に示す装置を用い、密閉系において、放電電極に周波数1kHz、印加電圧Vpp25kVの交流電圧(三角波)を印加した。なお、針状電極36はタングステン、誘電体35:250×300×厚さ0.5mmソーダガラス、誘電体35の底面に設けられた対抗電極34はアルミニウム板とした。その状態で、印刷物13〜24について、180cm/分のスピードで搬送し、放電処理を行った(実施例22〜33)。放電針状電極36と印刷物との距離は1.2mmとなるように配置した。また、放電針状電極と印刷物間(放電領域)のオゾン濃度をオゾン濃度計(ダイレック製、Model1300)で測定したところ、約190ppmであった。
その後、実施例1と同様に、光学濃度残率を算出した。結果を表9に示す。
[実施例34〜43]
図2に示す装置を用い、開放系において、搬送ローラ42で印刷物25〜34をバリア放電電極直下に静止させた状態で、消色処理を行った。交流電源として図5の装置を用い、気中ギャップとして図7の構成を用いた。電気素子52、53、54、55にはそれぞれ0.9mH、10kΩ、1000pF、10kΩの素子を使用した。気中ギャップ6は金属電極間距離を2mmに設定し、インバーターネオントランス(M−5:レシップ(株))に交流電圧(80V、50Hz)を印加して放電電極に周波数50Hz、印加電圧Vpp30kVのパルス波形を含む交流電圧を10秒間印加し、放電処理を行った(実施例34〜43)。なお、誘電体32は250×300×厚さ0.5mmマグネシア単結晶、誘電体32上に設けられた電極31はクロム、対抗誘電体35:250×300×厚さ0.2mmのソーダガラス、対抗誘電体35の底面に設けられた対抗電極34はステンレス板とした。誘電体32の底面と印刷物との距離は2.0mmとなるように配置した。
その後、実施例1と同様に、光学濃度残率を算出した。結果を表10に示す。なお、誘電体底面と印刷物間(放電領域)のオゾン濃度をオゾン濃度計(ダイレック製、Model1300)で測定したところ、約280ppmであった。
Figure 2007118599
Figure 2007118599
以上の結果から明らかなように、固体状(色素粉末)の色素が6.0eV以下のイオン化ポテンシャルを有し、画像中の色素のイオン化ポテンシャルがインク調製前の固体状の色素のイオン化ポテンシャルよりも0.1eV以上低い場合、インクの消色性/減色性に優れる。特に色素として紅麹色素又はトウガラシ色素又はインジコカーミン色素を用いた場合に消色性/減色性に優れることが分かる。
本発明の画像の消去装置の一実施例を示す概略側面図である。 本発明の画像の消去装置の他の実施例を示す概略側面図である。 本発明の画像の消去装置の更に他の実施例を示す概略側面図である。 本発明の画像の消去装置の更に他の実施例を示す概略側面図である。 本発明の画像の消去装置に用いる電源の一例を示す概略構成図である。 本発明の画像の消去装置に用いる気中ギャップの一例を示す概略構成図である。 本発明の画像の消去装置に用いる気中ギャップの他の例を示す概略構成図である。

Claims (8)

  1. 記録媒体に色素を含有するインクを付与することにより形成された画像を消去する画像の消去方法であって、該画像を、誘電体バリア放電により発生した酸化性ガスに暴露することを特徴とする画像の消去方法。
  2. 誘電体バリア放電が、誘電体で被覆された第一の電極と、該第一の電極と隔てられた第二の電極の間に電圧を印加する放電である請求項1に記載の画像の消去方法。
  3. 第一の電極と第二の電極の間に印加する電圧が、電圧Vppが1kV以上40kV以下で、周波数が10Hz以上20kHz以下である交流電圧であり、かつ、第一の電極を被覆した誘電体と記録媒体のインクを付与された面との距離が、0mmより大きく100mm以下である請求項2に記載の画像の消去方法。
  4. 記録媒体が、多孔質無機顔料を表面に有する請求項1乃至3のいずれかに記載の画像の消去方法。
  5. 色素が、ポリエン構造を有する請求項1乃至4のいずれかに記載の画像の消去方法。
  6. 記録媒体に形成された画像が、インクジェット記録装置により形成された請求項1乃至5のいずれかに記載の画像の消去方法。
  7. 記録媒体に色素を含有するインクを付与することにより形成された画像を消去する画像の消去装置であって、該画像を、誘電体バリア放電により発生した酸化性ガスに暴露する手段と、記録媒体を酸化性ガスに暴露可能に配置する支持手段とを備えたことを特徴とする画像の消去装置。
  8. 請求項1乃至6のいずれかに記載の画像の消去方法により画像を消去する工程を含むことを特徴とする記録媒体の再生方法。
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