JP2007118401A - 半導体インゴットの切断方法 - Google Patents

半導体インゴットの切断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】凝固時間・冷却時間を短縮しても、切断時におけるクラック発生が抑制される半導体インゴットの切断方法を提供する。
【解決手段】鋳型25内部で保持された半導体融液24を一方向に凝固させて形成した半導体インゴット10の切断方法であって、半導体インゴット10の凝固開始端面を支持部材2に接着する工程と、接着された半導体インゴット10の少なくとも凝固開始端部を切断手段1で切断する工程とを有する半導体インゴットの切断方法とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、特に太陽電池用半導体基板を形成するのに適した半導体インゴットの切断方法に関する。
太陽電池は入射した光エネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、多結晶シリコン太陽電池に用いる多結晶シリコン基板は一般的にキャスティング法と呼ばれる方法で製造される。
このキャスティング法とは、離型材を塗布した石英等からなる鋳型内のシリコン融液を冷却固化することによってシリコンインゴットを形成する方法である。このシリコンインゴットの端部を除去し、所望の大きさに切断して切り出し、切り出したインゴットを所望の厚みにスライスして太陽電池を形成するための多結晶シリコン基板を得る方法である。
シリコンインゴットを切断する一般的な装置としてバンドソー型切断装置がある。図9は、従来の半導体インゴットの切断方法を説明するための斜視図であり、51は切断手段(51aはプーリー、51bはブレード、51cはブレード固定具)、52は作業テーブル、50は半導体インゴット(シリコンインゴット)、56は半導体インゴットの固定治具を示す。
このようなバンドソー型切断装置では、プーリー51a間に張設されたエンドレスベルト状のブレード51bをブレード固定具51cにより固定し、ブレード51bを適度な速度で周回駆動させながらブレード51bを下方に移動させることにより、シリコンインゴット50を切断する。
このとき、精度良くシリコンインゴットを切断するために、シリコンインゴットを作業テーブル上に直接固定したり(例えば、特許文献1参照)、切断時においてシリコンインゴットの下面となる面をカーボンなどの基材に樹脂接着材で接着固定した後、その基材ごと切断したりしている(例えば、特許文献2参照)。
また、切断クラックの発生を抑えてシリコンインゴットを切断するために、シリコンインゴットを凝固方向に対して先ず垂直に切断する方法(例えば、特許文献3参照)が開示されている。
特開2004−114502 特開2004−114503 特開2004−174770
しかしながら、上述のような切断方法を用いた場合、大きな応力が残留する条件(例えば、底部からの抜熱能を更に大きくして高速凝固させたインゴット等)では、図10に示されるように、シリコンインゴット底面54からクラック53が入り底面部分の歩留まりを落とすことが判った。
これは、次の様な原理により生じると考察される。
一般的に、太陽電池用の多結晶シリコン基板の品質を向上させるためには鋳型内で発生する熱応力誘起転位等の構造欠陥発生を防止するため、完全に一方向に凝固させることが理想とされている。このような一方向凝固を行なうためには鋳型側面を断熱し上部をヒーターで加熱して高温に、底部を冷却板で冷却して低温に維持する方法が用いられる。この様な温度環境に維持された鋳型内に充填されたシリコン融液は、過冷却条件となった底部から凝固を開始し、その後は凝固層を通じて融液の熱が奪われる結果、固相と液相の界面(以降、固液界面と呼ぶ)で液相から固相に相変化し、徐々に固液界面が鋳型上方へ移動して凝固過程が進行する。このとき、固液界面進行方向と垂直な面の温度分布は均一になっているために、鋳型側面側とインゴット内部で熱収縮量差は生ぜず、その結果小さな熱応力しか発生しない。
次に、凝固前半では、固液界面進行方向と平行な軸上においてインゴット底面での冷却速度とインゴット内部の冷却速度が大きく異なるために、すなわち、インゴット最底面では冷却板に接する鋳型に最も近いために急激に冷却されるが、インゴット内部では熱伝導率の小さなシリコン固相を通して冷却される結果、内部の冷却速度が小さくなり、底面表層部の温度低下量とインゴット内部の固相の温度低下量に差があることになる。その結果、底面表層部には大きな引張応力が発生し、それにバランスする形で内部に大きな圧縮応力が発生する。
しかしながら、更に凝固が進行すると、インゴット最底面の温度低下は鈍り、反対にインゴット内部の温度低下が大きくなる結果、インゴット最底面においては、最初は引張応力として残留していたものが徐々に圧縮応力に変化するようになる。この現象は凝固の後半になるにつれて顕著になり、インゴットを完全に室温にまで冷却した状態では、インゴット最表層(最底面表層)には大きな圧縮応力が残留する様になる。
この様な応力が残留しているシリコンインゴットの底面を切断すると、徐々にシリコンインゴット最底面に残留していた圧縮応力が開放されるためにインゴット最底面が伸びる方向に変形する様になる。即ちインゴット最底面は急激に引張荷重が負荷される結果、インゴット最底面側からクラックが入る。この現象はインゴット底面切断開始と同時に発生し切断進行と共に顕著になってピークを迎え、その後再び収まる方向に進行する。
特に、冷却能を向上させて凝固時間を短縮すればするほど、インゴット底面が急冷される結果、インゴット最底面にはより大きな圧縮応力が残留することになる。
以上のように、シリコンインゴット鋳造の操業時間を短縮するために鋳型底部の冷却能力を向上させて凝固速度・冷却速度を増大させた場合、インゴットを所望の寸法に切断する際に、特にインゴット底部に大きなクラックが入ってしまい、製品の歩留まりを低下させる問題があった。
本発明は、この様な課題を解決し、凝固時間・冷却時間を短縮しても、切断時におけるクラック発生が抑制される半導体インゴットの切断方法を提供することを目的とする。
本発明は、鋳型内部で保持された半導体融液を一方向に凝固させて形成した半導体インゴットの切断方法であって、前記半導体インゴットの凝固開始端面を支持部材に接着する工程と、接着された前記半導体インゴットの少なくとも凝固開始端部を切断手段で切断する工程とを有するものである。ここで、半導体インゴットとは、鋳型から取り出されて未切断のもののみならず、所定の切断工程を経たものをも含む概念である。
前記半導体インゴットは、前記凝固開始端面以外の少なくとも一面が固定部材により固定された状態で切断されることが好ましく、特に前記支持部材及び前記固定部材が互いに固定されていることがより好ましい。
本発明の半導体インゴットの切断方法によれば、鋳型内部で保持された半導体融液を一方向に凝固させて形成したものであって、前記半導体インゴットの凝固開始端面を支持部材に接着する工程と、接着された前記半導体インゴットの少なくとも凝固開始端部を切断手段で切断する工程とを有することから、切断時に半導体インゴットの凝固開始端部が支持部材に拘束されるため、当該端部に残留した圧縮応力の開放によるクラック発生を効果的に抑制することができる。それ故、半導体インゴットの作製に必要な凝固・冷却時間を短縮することが可能となる。
ここで、凝固時間とは、鋳型底面から半導体融液の凝固が進行して全ての半導体融液が完全に凝固するまでの時間を意味し、冷却時間とは、前記完全凝固から鋳造炉外に取り出す事が可能となる温度(シリコンインゴット頭部温度が400℃程度)まで徐冷するのに要する時間を意味する。
加えて、半導体インゴットを、凝固開始端面以外の少なくとも一面が固定部材により固定された状態で切断すれば、精度良く切断を行なうことが可能となる。
また、支持部材及び固定部材が互いに固定されるように設定すれば、残留圧縮応力の開放をより効果的に抑制することができるとともに、支持部材の厚みを比較的薄く簡素な構成とすることが可能となる。
以下、本発明の半導体インゴットの切断方法を添付図面に基づき詳細に説明する。
まず、本発明の半導体インゴットの切断方法に用いられる半導体インゴットを形成する方法について説明する。
図1は、本発明に係る半導体インゴットを形成するための鋳造装置を示す断面図である。図中、21は坩堝(21aは溶融坩堝、21bは保持坩堝)、22注湯口、23は加熱手段、24はシリコン融液、25は鋳型、26は離型材を示す。ここで半導体材料としてシリコンを用いて説明する。
鋳造装置は、上部にシリコン原料を溶融するための溶融坩堝21aが保持坩堝21bに保持されて配置され、溶融坩堝21aの上縁部には溶融坩堝21aを傾けてシリコン融液を注湯するための注湯口22が設けられる。また、溶融坩堝21a、保持坩堝21bの周囲には加熱手段23が配置され、溶融坩堝21a、保持坩堝21bの下部にはシリコン融液が注ぎ込まれる鋳型25が配置される。
溶融坩堝21aは、耐熱性能とシリコン融液中に不純物が拡散しないこと等を考慮して、例えば高純度の石英等が用いられる。保持坩堝21bは、石英等でできた溶融坩堝21aがシリコン融液近傍の高温で軟化してその形状を保てなくなるため、これを保持するためのものであり、その材質はグラファイト等が用いられる。加熱手段23は、例えば抵抗加熱式のヒーターや誘導加熱式のコイル等が用いられる。
鋳型25は、石英や黒鉛等からなり、その内表面に離型材26を被覆したものが用いられる。離型材26には、シリコンの窒化物である窒化珪素、シリコンの炭化物である炭化珪素、シリコンの酸化物である二酸化珪素等の粉末が用いられ、これらの粉末を適当なバインダーと溶剤とから構成される溶液中に混合・攪拌してスラリーとし、鋳型内壁に被覆もしくはスプレー等の周知手段でコーティングされる。また、鋳型25の周りには抜熱を抑制するため鋳型断熱材が設置される。鋳型断熱材は耐熱性、断熱性等を考慮してカーボン系の材質が一般的に用いられる。鋳型25の下方には注湯されたシリコン融液を冷却・固化するための冷却手段を設置しても良い。
なお、以上の各要素はすべて真空容器(不図示)内に配置され、これらによって鋳造装置が構成される。
このような鋳造装置においては、溶融坩堝21a内にシリコン原料を投入し、加熱手段23により溶融坩堝21a内のシリコン原料を溶融させ、その後、溶融坩堝21a内のシリコン原料がすべて溶融したのちに、坩堝を傾けて溶融坩堝21aの上縁部にある注湯口22から下方に設置された鋳型25にシリコン融液が注湯される。
注湯された後、鋳型25の上部を高温に保持しながら鋳型25の下部を冷却することによって、供給されたシリコン融液を、下方から一方向に凝固させてシリコンインゴットを形成する。即ち、インゴットの形成は、鋳型上方を加熱する鋳型加熱手段(不図示)、鋳型25の周りに設けられ鋳型断熱材(不図示)及び鋳型25の下方に設けられシリコン融液を冷却・固化するための冷却板(不図示)によって、鋳型下方から上方に向かって一方向に凝固されるよう制御することで行なう。
そして、凝固してなるシリコンインゴットは、炉外に取り出せる温度まで温度制御しながら徐冷され、最終的に炉外に取り出してシリコンインゴット10の鋳造が完了する。
なお、注湯方法としては、上記方法以外に、例えば、溶融坩堝の底部に注湯口を設けて、底部からシリコン融液を下部に設置した鋳型25内に注いでもよい。この場合、シリコン材料が完全に溶融する前に注湯口から溶融前のシリコン材料や一部溶融したシリコン融液が漏れないように、注湯口付近に機械的な栓や注湯口を塞ぐようなシリコン材料を設置するなど、注ぐことを制御することのできる注湯制御手段が別途設けられる。
また、シリコンインゴット10の形成方法(形成装置)としては、以上に説明したような溶融部(坩堝21)と凝固部(鋳型25)がそれぞれ独立した注湯方式に限らず、鋳型内に半導体原料を投入して加熱・溶融させ、得られた半導体融液をそのまま鋳型で一方向凝固させる、いわゆる鋳型内溶解方式であっても構わない。
≪第一の実施形態≫
本発明の半導体インゴットの切断方法の第一の実施形態を、上述のようにして得られたシリコンインゴット10を用いて詳細に説明する。
図2及び図3は、本発明の半導体インゴットの切断方法を説明する斜視図であり、特にバンドソー型切断装置を用いたものである。
なお、切断手段は、バンドソー型切断装置に限られるものではなく、例えばワイヤーソー装置などその他の切断手段を用いても構わない。
(1)まず、図3に示すように、シリコンインゴット10の凝固開始端面が下面となる状態で、作業テーブルとなる支持部材2に直接接着材3を介して配置する。具体的な接着方法は以下の手順に従って行なわれる。
接着材3をシリコンインゴット10の凝固開始端面に塗布し、支持部材2と貼り合わせる。接着材3としては、熱硬化型二液性のエポキシ樹脂や光硬化性のアクリル樹脂等の接着材を用いるのが好ましい。ここで、支持部材2としては、弾性率が1.0×10MPa以上の剛性部材、例えばステンレス等の金属やガラス材、またはカーボン等が好適に用いられ、厚みは10mm以上、より好ましくは15mm以上とすることが好ましい。なお、後述するスライス工程における利用を考慮して、支持部材2として切断が容易なガラス材やカーボン等を用いるのが特に好ましい。このような支持部材2を用いることにより、切断工程において、半導体インゴットの凝固開始端部に残留していた圧縮応力が開放されるのを抑制することができる。
貼り合わされたシリコンインゴット10及び支持部材2は、図4に示すように、側面押さえ41で固定するとともに、上部押さえ42でシリコンインゴット10に荷重をかける。
その後、接着材3を硬化させることでシリコンインゴット10と支持部材2との接着を完了させる。接着は、接着材3が熱硬化型の場合は自然に硬化させるかホットプレートにて下部から加熱することで、光硬化型の場合は紫外線を照射することで完全硬化させて行なえば良い。
(2)次に、シリコンインゴット10の凝固方向に対してブレード1bが平行に入るようにブレード1bを設置する。シリコンインゴット10の固定方法としては、固定治具6でシリコンインゴット10を加圧して固定すればよい。
(3)そして、ブレード1bとシリコンインゴット10とを相対的に移動させることでシリコンインゴット10を切断する。
すなわち、ブレード1bを、二つのプーリー1aの間に張設してブレード固定具1cで固定された状態で、プーリー1aの回転駆動によりブレード1bを周回駆動させながら下方へ移動させ、図2に示されるように下方に位置するシリコンインゴット10にブレード1bの刃部を押し当てることによって、シリコンインゴット10の凝固方向に対して平行に切断する。
切断の順序としては、まず不純物等を多く含み品質が比較的悪いシリコンインゴット10の側面部を切断し、必要に応じてさらに、例えば10cmや15cm角のシリコンインゴット10となるように凝固方向に沿って切断すれば良い。この切断は、支持部材2を後述するスライス工程においても利用する場合は、支持部材2まで含めて切断すれば良い。
切断時のブレード1bの回転スピードは100m/min〜1000m/min、ブレード1bの下降スピードは1mm/min〜15mm/minであることが好ましい。
なお、ブレード1bには、ステンレス鋼や高張力鋼などの台金からなるエンドレスベルトに、例えばダイヤモンドや超硬工具で構成された刃部、或いはダイヤモンドやCBN(立方晶窒化ホウ素)などを材料とした砥粒で構成された刃部を有するものを用いれば良い。
≪第二の実施形態≫
次に、本発明の半導体インゴットの切断方法の第二の実施形態について詳細に説明する。
なお、第一の実施形態と同様の構成・工程については説明を省略し、本実施形態に特有な構成・工程について詳細に説明する。
図5、6は、本発明の半導体インゴットの切断方法を説明する斜視図であり、特にバンドソー型切断装置を用いたものである。
(1)まず、シリコンインゴット10の凝固開始端面に支持部材2を接着する。具体的な接着方法は以下の手順に従って行なわれる。
接着材3をシリコンインゴット10の一面に塗布し、支持部材2と貼り合わせる。接着材3としては、熱硬化型二液性のエポキシ樹脂や光硬化性のアクリル樹脂等の接着材3を用いるのが好ましい。ここで、支持部材2としては、弾性率が1.0×10MPa以上の剛性部材、例えばステンレス等の金属やガラス材、またはカーボン等が好適に用いられ、厚みとしては10mm以上、より好ましくは15mm以上とすることが好ましい。このような支持部材2を用いることにより、切断工程において、半導体インゴット最底面表層に残留していた圧縮応力が開放されるのを抑制することができる。
(2)次に、シリコンインゴット10の凝固方向に対してブレード1bが垂直に入るような状態で固定部材4となる作業テーブル5に設置する。シリコンインゴットの固定方法としては、固定治具6でシリコンインゴット10を加圧して固定すればよい。
その際、シリコンインゴット10に接着した支持部材2についても、ボルトや接着材などを用いて作業テーブル5に固定することが好ましい。
なお、上記(1)及び(2)において、シリコンインゴット10は、予め支持部材2を接着した状態で作業テーブル5に固定されるようにしたが、これに代えて、シリコンインゴット10を作業テーブル5に固定した後で支持部材2に接着しても構わないし、予め略直角に固定された作業テーブル5及び支持部材2にシリコンインゴット10を接着・固定するようにしても良い。
(3)そして、ブレード1bとシリコンインゴット10とを相対的に移動させることでシリコンインゴット10、少なくともその凝固開始端部を含む凝固開始端面から100mm以下の領域を切断する。
次に、以上のような本実施形態における切断によって得られたシリコンインゴット10を、さらにスライス切断することによってシリコン基板を得るスライス工程について説明する。
図7は、本発明の半導体インゴットの切断方法を説明するための斜視図であり、特にワイヤーソー装置を用いたものである。
ワイヤーソー装置は、複数の供給ノズル11dを並べて配設し、これらの供給ノズル11dの間にシリコンインゴット10を配置し、メインローラー11a間にある複数のワイヤー11bに供給ノズル11dより砥粒スラリーを供給しながら、ワイヤー11bを高速で移動走行させ、シリコンインゴット10を徐々に下降させてワイヤー11bに押しつけることによって、シリコンインゴット10をスライスし、複数のシリコン基板(半導体基板)を得るものである。
ワイヤー11bには、例えば鉄または鉄合金を主成分とするピアノ線を用いればよい。
砥粒スラリーは、例えばSiCやダイヤモンド等の砥粒、鉱物油、界面活性剤及び分散剤からなるラッピングオイルを混合して構成され、供給ノズル11dより複数本に張られたワイヤー11bにムラなく均等に砥粒スラリーが供給される。
メインローラー11aは、例えばウレタンゴムなどからなり、その表面に所定間隔でワイヤー11bがはまる多数の溝(不図示)が形成されている。この溝の間隔とワイヤー11bの直径、砥粒の粒径との関係によってシリコン基板の厚みが定まる。
ディップ槽15は、砥粒スラリーの回収や切断するときに発生する切粉の回収の目的を有したり、ディップ槽15にクーラント液を満たしてシリコンインゴット10を浸しながらスライスしても構わない。
ワイヤー11bはワイヤー供給リール11cから供給され、メインローラー11a上に設けられた所定間隔の溝に巻きつけ配列される。なお、このワイヤー11bはメインローラー11aを所定の回転速度で回転させることによって走行移動させることができ、通常、400〜1000m/min程度となるように高速に走行移動される。
なお、ワイヤー11bとして、直接砥粒を固着させた砥粒固着ワイヤー、例えば鉄又は鉄合金を主成分とするピアノ線にダイヤモンドやSiCで形成された砥粒をニッケルや銅・クロムによるメッキにて固着させるか、或いはレジン等の樹脂接着材によって固着させたものを用いてもよい。このようなワイヤー11bを用いる場合には砥粒スラリーを供給しなくてもよく、代わりにクーラント液を供給ノズル11dからシリコンインゴット10とワイヤー11bとの切断部位、またはシリコンインゴット10全体に供給しても構わない。
また、上述の説明では、複数のワイヤー11bを所定間隔に配置してシリコンインゴットを切断するマルチワイヤーソー装置の例によって説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、一本のワイヤーによって切断加工を行うシングルタイプのワイヤーソー装置であっても良いのは言うまでもない。
このようなワイヤーソー装置を用いたスライス工程は、まず側面部が切断されたシリコンインゴット10を、その凝固開始端部に支持部材12が接着した状態で固定部材(スライス台)14に固定する。固定方法としては、スライス台14とシリコンインゴット10との間に接着材13を介在すればよい。スライス台14としてはガラス材やカーボン等が用いられ、接着材13としては熱硬化型二液性のエポキシ樹脂や紫外線照射により硬化する光硬化性のアクリル樹脂等が用いられる。
そして、図8に示されるように、シリコンインゴット10の凝固方向に対してワイヤーが垂直に入るような状態でワイヤーソー装置に設置され、切断用の砥粒スラリーを供給しながら、又は砥粒を固着させたワイヤー11bを高速で移動走行させつつ、ワイヤー11bの上方からシリコンインゴット10を徐々に下降させワイヤー11bに押しつけることによって、シリコンインゴット10の凝固方向に対して垂直に切断が行なわれ、複数のシリコン基板を得ることができる。このとき、支持部材12がワイヤー11bと接触しない位置になるようにシリコンインゴット10は設置される。
本発明の半導体インゴットの切断方法の優れた作用効果を確認するため、以下のような実験を行った。図5及び図6を用いて説明する。
まず、石英ルツボ21内で溶融したシリコン原料を鋳型26内に注湯するキャスト法により、350mm×350mm×350mmのシリコンインゴット10を14個製造した。
次に、このインゴット10の底部を切断する際に底端材に急激な変形を発生させないように、作業テーブル5に90度に立設したガラスからなる支持部材2とインゴット底面との隙間に一般的なエポキシ樹脂からなる熱硬化型接着材3を配置して、インゴット底面と支持部材2を接着した。ここで、支持部材2の厚みは15mmとした。
そして、図6に示す点線、すなわちシリコンインゴット10の凝固開始端面から30mmの位置にブレード1bを配置させて、そこから垂直に切り込んでいってシリコンインゴット10を切断した。
以上のように、シリコンインゴット10の底面を支持部材2に接着して切断した実施例1〜7と、シリコンインゴット10の底面を支持部材2に接着することなく切断した比較例1〜7について、シリコンインゴット10の底面におけるクラックの発生状況を調査した。
その結果を表1に示す。
Figure 2007118401
表1から明らかなように、比較例では、シリコンインゴット10の底面におけるクラック発生率が70%を超えていたのに対し、実施例におけるクラック発生率は0%と極めて優れた効果を奏することが確認できた。
本発明に係る半導体インゴットを形成するための鋳造装置を示す断面図である。 本発明の半導体インゴットの切断方法を説明するための斜視図であり、特にバンドソー型切断装置を用いたものである。 図2のうち、半導体インゴットの接着・固定状態を示す部分拡大図である。 本発明に係る半導体インゴットを支持部材へ接着する工程を説明するための概略断面図である。 本発明の半導体インゴットの切断方法を説明するための斜視図であり、特にバンドソー型切断装置を用いたものである。 図5のうち、半導体インゴットの接着・固定状態を示す部分拡大図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。 本発明の半導体インゴットの切断方法を説明するための斜視図であり、特にワイヤーソー装置を用いたものである。 図7に係る半導体インゴットの被切断部位を拡大して示す模式断面図である。 従来の半導体インゴットの切断方法を説明するための斜視図である。 半導体インゴットの底部に発生したクラックを模式的に示す斜視図である。
符号の説明
1 :切断手段(バンドソー装置)
1a :プーリー
1b :ブレード
1c :ブレード固定具
2 :支持部材
3 :接着材
4 :固定部材
5 :作業テーブル
6 :治具
10 :半導体インゴット(シリコンインゴット)
11 :切断手段(ワイヤーソー装置)
11a:メインローラー
11b:ワイヤー
11c:ワイヤー供給リール
11d:供給ノズル
12 :支持部材
13 :接着材
14 :固定部材(スライス台)
15 :ディップ槽
21 :坩堝
21a:溶融坩堝
21b:保持坩堝
22 :注湯口
23 :加熱手段
24 :半導体融液(シリコン融液)
25 :鋳型
26 :離型材
41 :側面押さえ
42 :上部押さえ
50 :半導体インゴット
51 :切断手段
52 :支持部材
53 :底面クラック
54 :インゴット底面
56 :治具

Claims (3)

  1. 鋳型内部で保持された半導体融液を一方向に凝固させて形成した半導体インゴットの切断方法であって、
    前記半導体インゴットの凝固開始端面を支持部材に接着する工程と、
    接着された前記半導体インゴットの少なくとも凝固開始端部を切断手段で切断する工程と、を有することを特徴とする半導体インゴットの切断方法。
  2. 前記半導体インゴットは、前記凝固開始端面以外の少なくとも一面が固定部材により固定された状態で切断されることを特徴とする請求項1に記載の半導体インゴットの製造方法。
  3. 前記支持部材及び前記固定部材が互いに固定されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体インゴットの切断方法。

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