JP2007118209A - ハードコートフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】
基材フィルムとハードコート層の積層において、接着性に優れ、高い表面硬度耐摩耗性に優れ、虹彩模様発生が抑制され視認性に優れたハードコートフィルムを提供すること。
【解決手段】
基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層が積層されたハードコートフィルムにおいて、基材のハードコート層側表面に幅5〜60μm、高さ0.05〜0.5μmの扁平粒上突起の占有率が50〜100%であり、該ハードコート層が多官能アクリレートとメラミン系架橋剤を主成分とした硬化組成物からなることを特徴とするハードコートフィルムである。更には、基材フィルムとハードコート層に接着層が介在しないハードコートフィルム及び、波長400〜600nmにおけるハードコート層側の反射率の平均うねり振幅が1.0%以下であり、かつヘイズが1.5%以下であるハードコートフィルムである。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハードコートフィルムに関し、更に詳しくは本発明は、表面硬度が高く、耐摩耗性に優れたハードコートフィルムに関するものである。
基材フィルム、特に二軸配向ポリエステルフィルムは、その機械的特性、寸法安定性、耐熱性、透明性および電気絶縁性などに優れた性質を有することから、磁気記録材料、包装材料、電気絶縁材料、各種写真材料、グラフィックアート材料、光学表示材料(例えば、反射防止フィルム、タッチパネル用フィルム)、窓張り用フィルムおよび銘板用フィルムなどの多くの用途の基材フィルムとして広く使用されている。しかしながら、かかる基材フィルムは、用途によってはフィルム表面の表面硬度が低く、また、耐摩耗性も不足しているため、他の固い物質との接触、摩擦あるいは引っ掻きなどによって表面に損傷を受け易く、表面に発生した損傷は商品価値を著しく低下させたり、短期間で使用不可になったりする。
このため、例えば、ポリエステルフィルムからなる基材フィルムの場合には、その上に耐擦傷性や耐摩耗性に優れたハードコート層を設ける方法が知られている。しかしながら、
通常のポリエステルフィルムは、表面が高度に結晶配向されているためにハードコート層との接着性に乏しく、ハードコート層が基材フィルムから剥離してしまい、実質的に耐久性に劣るという欠点を有している。そのため、従来から、ポリエステルフィルム表面に種々の方法により接着性付与の検討がなされてきた。
従来、ポリエステルフィルムへの接着性付与方法としては、ポリエステル基材フィルム表面へのコロナ処理、あるいはプラズマ処理などによる表面活性化処理、酸、フィルム表面にアクリル樹脂、スルホン酸塩基含有ポリエステル樹脂あるいはウレタン樹脂などの各種樹脂をプライマー層として設ける方法(特許文献1〜3参照)などが既に知られている。
特に、塗布によって基材フィルム上に上記樹脂成分を含有する塗液を塗布し、乾燥した後、延伸、熱処理を施して結晶配向を完了させる方法(インラインコート法)が、工程の簡略化や製造コストの点で有力視され、盛んに行われている。
しかしながら設けたプライマー層と基材ポリエステルフィルムとの屈折率が異なる場合が多く、さらにはハードコート層とプライマー層との屈折率差が生じることになる。そのため、界面で反射する光の干渉により、虹色のむら(干渉縞)が生じ、ある角度から見た時にぎらつきや部分的に虹彩状反射が発生し、ディスプレイ用途に用いる場合には極めて視認性の悪いものとなる。
この現象を改善する手段として、基材とハードコート層の屈折率差を小さくする方法がある。この方法として、基材とハードコート層の間に、両者の中間の屈折率をもつプライマー層を設けるという方法が提案されている。この方法では、中間層を設けても屈折率が段階的に変化するに過ぎず、干渉縞は低減はしても無くなるまでには至らない。また中間層を設ける工程が必要となるため手間がかかるという問題もあった。(特許文献4参照)
その他の改善方法として、基材フィルムを溶解する溶剤を用いてハードコート剤を塗布し、基材を溶解または膨潤させることで反射界面レスとして干渉縞を低減する方法(特許文献5)などが提案されている。
しかしながら、基材フィルムを溶解、膨潤させる方法では、適用できる樹脂が限定され高度に二軸配向したポリエステルフィルムなどではオルトクロロフェノールのような特殊な溶剤に限定され、作業環境が極めて悪い。また形成する凹凸構造のサイズについて言及しておらず、干渉縞の低減ができてもヘイズが高くなりディスプレイ用途などで求められる低いヘイズを得ることができず、視認性の悪いものになったりする。更にハードコートフィルムをディスプレイ用途に用いる場合には、太陽光や蛍光灯から発せされる紫外線、あるいはプラズマ発光により放出される紫外線などの環境に暴露されるため、紫外線により劣化するポリエステルフィルムでは長期の使用において黄変したり強度が低下したりする問題がある。またディスプレイ用途においては鮮明な画像を得るために無色で透明性が要求される。更にプラズマディスプレイの場合には、その発光原理から600nm付近を中心とするネオンオレンジ光や近赤外線を発光するため、これを補正したりカットする目的で色素が使用されているが、この色素が紫外線に弱くこれらの劣化を防止する意味でも前面フィルターとして使用するフィルムとする場合には紫外線吸収機能を付与することは極めて重要である。
特開昭55−15825号公報 特開昭58−78761号公報 特開昭60−248232号公報 特開2000−111706公報 特開2003−205563号公報
本発明は、従来技術における上記の欠点、具体的には虹彩模様が発生が抑制され、視認性及び透明性に優れ、かつハードコート層と基材の密着性が優れ、紫外線による劣化が低減されたハードコートフィルムを提供することを目的とするものである。
かかる目的を達成するため本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、以下の手段により、目的を達成しうることを見いだしたものである。
即ち、本発明は
(1)基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層が積層されたハードコートフィルムにおいて、基材フィルムのハードコート層側表面に幅5〜60μm、高さ0.05〜0.5μmの扁平粒状突起の占有率が50〜100%であることを特徴とするハードコートフィルム、
(2)基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層が積層されたハードコートフィルムにおいて、波長400〜600nmでのハードコート層側の反射率の平均うねり振幅が1%以下であり、かつ該ハードコートフィルムのヘイズが1.5%以下であるハードコートフィルム、
(3)該ハードコート層が多官能アクリレートとメラミン系架橋剤を主成分とした硬化組成物からなる(1)または(2)に記載のハードコートフィルム、
(4)基材フィルムとハードコート層に接着層が介在しない(1)〜(3)のいずれかに記載のハードコートフィルム、
(5)基材フィルムが紫外線吸収剤を含有する(1)〜(4)のいずれかに記載のハードコートフィルム、
(6)全光線透過率が90%以上、透過b値が1.5以下でかつ380nmにおける透過率が5%以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のハードコートフィルム、
(7)基材フィルムの少なくとも片面にハードコート塗布剤を塗布し、ハードコート層を設け、その後少なくとも一方向に延伸し、硬化させる工程を有するインラインコーティング法により製造されるハードコートフィルムであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のハードコートフィルム、
である。
本発明のハードコートフィルムは、上記の構成にすることにより、干渉縞が小さく視認性、透明性が良く、基材とハードコート層との接着性が良く、紫外線などによる劣化が小さいという効果を奏する。さらに、ディスプレイなどの前面フィルター部材として用いられた場合に、特に色素の劣化を防止する機能を有するものである。
本発明のハードコートフィルムは、基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層が積層された構成を有するものである。
本発明における基材フィルムは、溶融製膜や溶液製膜可能なフィルムである。その具体例としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、トリアセテートおよびポリカーボネートなどからなるフィルムを挙げることができる。これらの内、特に透明性、機械的強度および寸法安定性などに優れた熱可塑性樹脂、特にポリエステルからなるフィルムが好ましく用いられる。
本発明で好ましく用いられるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリプロピレンナフタレートなどが挙げられ、これらの2種以上が混合されたものであってもよい。また、これらと他のジカルボン酸成分やジオール成分が共重合されたポリエステルであってもよいが、この場合は、結晶配向が完了したフィルムにおいて、その結晶化度が好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは35%以上のフィルムが好ましい。結晶化度が25%未満の場合には、寸法安定性や機械的強度が不十分となりやすい。結晶化度は、ラマンスペクトル分析法により測定することができる。
上述したポリエステルを使用する場合には、その極限粘度(JIS K7367に従い、25℃のo−クロロフェノール中で測定)は、0.4〜1.2dl/gが好ましく、より好ましくは0.5〜0.8dl/gである。
また、本発明で用いられる基材フィルムは、2層以上の積層構造の複合体フィルムであっても良い。複合体フィルムとしては、例えば、内層部に実質的に粒子を含有せず、表層部に粒子を含有させた層を設けた複合体フィルム、内層部に粗大粒子を有し、表層部に微細粒子を含有させた積層体フィルム、および内層部が微細な気泡を含有した層を有する複合体フィルムなどが挙げられる。また、上記複合体フィルムは、内層部と表層部が化学的に異種のポリマーであっても同種のポリマーであっても良い。本発明のフィルムの特に好ましい用途であるディスプレイ用に用いる場合には、基材フィルム中には粒子などを含有しない方が透明性などの光学特性上好ましい。
本発明における基材フィルムは、フィルムの熱安定性、特に寸法安定性や機械的強度を十分なものとし、平面性を良好にする観点から、ハードコート層が設けられた状態では二軸延伸により結晶配向されたフィルムであることが好ましい。ここで、二軸延伸により結晶配向しているとは、未延伸すなわち結晶配向が完了する前の熱可塑性樹脂フィルムを長手方向および幅方向にそれぞれ好適には2.5〜5倍程度延伸し、その後熱処理により結晶配向を完了させたものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。
本発明で用いられる基材フィルムの厚みは、本発明のハードコートフィルムが使用される用途に応じて適宜選択されるが、機械的強度やハンドリング性などの点から、好ましくは10〜500μm、より好ましくは20〜300μmである。
本発明の基材フィルム中には、本発明の効果を阻害しない範囲内で各種の添加剤や樹脂組成物、架橋剤などを含有しても良い。例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機、無機の粒子(例えば例えばシリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、ゼオライト、酸化チタン、金属微粉末など)、顔料、染料、帯電防止剤、核剤、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、ワックス組成物、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メチロール化、アルキロール化された尿素系架橋剤、アクリルアミド、ポリアミド、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを挙げることができる。
特にプラズマディスプレイ用に使用する場合には、色補正や近赤外カット機能を有する染料を用いるために基材フィルムには紫外線カット機能を有するのが好ましく、紫外線吸収剤を含有させるのが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えばサリチル酸系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、およびベンゾオキサジノン系化合物、環状イミノエステル系化合物などを好ましく例示することができるが380nm〜390nmにおける紫外線カット性、色調などの点からベンゾオキサジノン系化合物が最も好ましい。これらの化合物は1種で用いても良いし、2種以上併用しても良い。またHALS(ヒンダードアミン系光安定剤)や酸化防止剤などの安定剤の併用はより好ましい。
好ましい材料であるベンゾオキサジノン系化合物の例としては、2−p−ニトロフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(p−ベイゾイルフェニル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(2−ナフチル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−2´−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2´−(2,6−ナフチレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)などを例示することができる。これらの化合物の添加量は基材フィルム中に0.5〜5重量%含有させるのが好ましい。
また更に優れた耐光性を付与するためにシアノアクリレート系4量体化合物を併用することが好ましい。シアノアクリレート系4量体化合物は、基材フィルム中に0.05〜2重量%含有させることが好ましい。シアノアクリレート系4量体化合物とは、シアノアクリレートの4量体を基本とする化合物であり、例えば1,3−ビス(2´シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイルオキシ)−2、2−ビス−(2´シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイルオキシメチルプロパン)がある。これと併用する場合には前述の紫外線吸収剤は基材フィルム中に0.3〜3重量%であるのが好適である。
本発明のハードコートフィルムは波長380nmにおける透過率が5%以下であるのが好ましく、これにより特にプラズマディスプレイ用部材に適用する場合、紫外線から基材や染料色素などを保護することができる。
また本発明のハードコートフィルムは全光線透過率が90%以上、ヘイズが1.5%以下であるのが透明性が良くディスプレイ用部材に使用した場合、画像の視認性や鮮明度に優れるので好ましい。
更に本発明のハードコートフィルムは透過b値が1.5以下であるのが好ましい。透過b値が1.5を越えるとフィルム自体がやや黄ばんで見えるため画像の鮮明さを損なう場合がある。
全光線透過率の測定は、全自動直読ヘイズコンピューターHGM−2DP(スガ試験機(株)製)を用いてハードコートフィルム厚み方向の全光線透過率を求め10点測定の平均値とした。
光線透過率とは入射光量とフィルム等の試験片を通った全光線量との比を百分率で表したものであり、ヘイズとともに透明性を測る一つの尺度である。一般に、空気中から光がフィルム面内に入射するとき、まず、表面で一部反射が起こる。内部に入射した光は、吸収、散乱などの損失を繰り返し、出射の際には裏面反射を起こし、反対側に出射する。従って、透明性を阻害する因子としては、基本的には(i)反射、(ii)吸収、(iii)散乱の3つである。
透過b値の測定は、分光式色差計SE−2000型(日本電色工業(株)製)を用い、JIS−K−7105に従って透過報で測定した。
b値とは、国際照明委員会(CIE)において定められた表色の方法であり、b値は彩度を表しており、正の符号であれば黄色の色相、負の符号で有れば青色の色相を表す。また、絶対値が大きい程その色の彩度が大きく鮮やかな色であることを示し、絶対値が小さい程彩度が小さいことを示す。0である場合には、無彩色であることを示す。表色の調整は例えば、色素を含有させることにより実現できる色素としては、有色無機顔料、有機顔料、染料などを用いることができるが、耐候性に優れることから、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、クロムバーミリオン、サンカクロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、ビクトリアグリーン、群青、ウルトラマリンブルー、紺青、ベルリンブルー、ミロリブルー、コバルトブルー、
セルリアンブルー、コバルトシリカブルー、コバルト亜鉛ブルー、マンガンバイオレット、ミネラルバイオレッド、コバルトバイオレット等の有機顔料が好ましく使用される。
本発明のハードコートフィルムにおいては、基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層が積層されるが、このハードコート層は、多官能アクリレートとメラミン系架橋剤を主成分とする硬化組成物からなるものである。ここで、主成分とは、ハードコート層全体に占める多官能アクリレートとメラミン系架橋剤から構成される硬化組成物が60%以上、好ましくは70%以上であることを言う。
多官能アクリレートとしては、1分子中に3(より好ましくは4、更に好ましくは5)個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体もしくはオリゴマー、プレポリマーであって、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基(但し、本明細書において「・・・(メタ)アクリ・・・」とは、「・・・アクリ・・・又は・・・メタアクリ・・・」を略して表示したものである。)を有する単量体、オリゴマー、プレポリマーとしては、1分子中に3個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールの該水酸基が、3個以上の(メタ)アクリル酸のエステル化物となっている化合物などを挙げることができる。
具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどを用いることができる。これらは、1種または2種以上を混合して使用することができる。
これらの1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体、オリゴマー、プレポリマーの使用割合は、ハードコート層構成成分総量に対して50〜90重量%が好ましく、より好ましくは50〜80重量%である。
上記の化合物以外にハードコート層の剛直性を緩和させたり、硬化時の収縮を緩和させる目的で1〜2官能のアクリレートを併用するのが好ましい。1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体としては、ラジカル重合性のある通常の単量体ならば特に限定されずに使用することができる。
分子内に2個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、下記(a)〜(f)の(メタ)アクリレート等を用いることができる。すなわち、
(a)炭素数2〜12のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなど、
(b)ポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリレート酸ジエステル類:ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなど、
(c)多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類:ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートなど、
(d)ビスフェノールAあるいはビスフェノールAの水素化物のエチレンオキシド及びプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類:2,2’−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロポキシフェニル)プロパンなど、
(e)ジイソシアネート化合物と2個以上のアルコール性水酸基含有化合物を予め反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物に、更にアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られる分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン(メタ)アクリレート類など、および、
(f)分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物にアクリル酸又はメタクリル酸を反応させて得られる分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート類など
を用いることができ、分子内に1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−及びi−プロピル(メタ)アクリレート、n−、sec−、およびt−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−3−メチルピロリドン、N−ビニル−5−メチルピロリドンなどを用いることができる。これらの単量体は、1種または2種以上混合して使用してもよい。
これらの1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の使用割合は、ハードコート層構成成分総量に対して10〜40重量%が好ましく、より好ましくは20〜40重量%である。アクリルオリゴマーとは、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリル基が結合されたものを始めとして、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートおよびポリエーテルアクリレートなどであり、また、メラミンやイソシアヌール酸などの剛直な骨格にアクリル基を結合したものなども用いられ得る。
また、適宜反応性希釈剤を用いることができる。反応性希釈剤とは、塗布剤の媒体として塗布工程での溶剤の機能を担うと共に、それ自体が一官能性あるいは多官能性のアクリルオリゴマーと反応する基を有し、塗膜の共重合成分となるものである。
これらのアクリルオリゴマー、反応性希釈剤などの具体例は、山下晋三、金子東助編、「架橋剤ハンドブック」、大成社1981年発行、第267頁から第275頁、第562頁から第593頁を参考とすることができるが、本発明ではこれらに限定されるものではない。
また、市販されている多官能アクリル系硬化塗料としては三菱レイヨン株式会社;(商品名“ダイヤビーム”シリーズなど)、長瀬産業株式会社;(商品名“デナコール”シリーズなど)、新中村株式会社;(商品名“NKエステル”シリーズなど)、大日本インキ化学工業株式会社;(商品名“UNIDIC”シリーズなど)、東亜合成化学工業株式会社;(商品名“アロニックス”シリーズなど)、日本油脂株式会社;(商品名“ブレンマー”シリーズなど)、日本化薬株式会社;(商品名“KAYARAD”シリーズなど)、共栄社化学株式会社;(商品名“ライトエステル”シリーズ、“ライトアクリレート”シリーズなど)などの製品を利用することができる。
また本発明では、ハードコート層の改質剤として、塗布性改良剤、消泡剤、増粘剤、帯電防止剤、無機系粒子、有機系粒子、有機系潤滑剤、有機高分子化合物、紫外線吸収剤、光安定剤、染料、顔料あるいは安定剤などを用いることができ、これらは活性線または熱による反応を損なわない範囲内でハードコート層を構成する塗布層の組成物成分として使用され、用途に応じてハードコート層の特性を改良することができる。
本発明において、上記のハードコート組成物を硬化させる方法としては、例えば、活性線として紫外線を照射する方法や高温加熱法等を用いることができ、これらの方法を用いる場合には、前記ハードコート組成物に、光重合開始剤または熱重合開始剤等を加えることが望ましい。
光重合開始剤の具体的な例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。また、熱重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイドまたはジ−t−ブチルパーオキサイドなどのパーオキサイド化合物などを用いることができる。
光重合開始剤または熱重合開始剤の使用量は、ハードコート層形成組成物100重量部に対して、0.01〜10重量部が適当である。電子線またはガンマ線を硬化手段とする場合には、必ずしも重合開始剤を添加する必要はない。また200℃以上の高温で熱硬化させる場合には熱重合開始剤の添加は必ずしも必要ではない。
本発明で用いられるハードコート層形成組成物には、製造時の熱重合や貯蔵中の暗反応を防止するために、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテルまたは2,5−t−ブチルハイドロキノンなどの熱重合防止剤を加えることが望ましい。熱重合防止剤の添加量は、ハードコート層形成組成物総重量に対し、0.005〜0.05重量%が好ましい。
本発明においてハードコート層を形成させる塗剤中には、メラミン系架橋剤を含有させる必要がある。メラミン系架橋剤を含有しない場合には、基材フィルムとの接着性が不十分となり、更には干渉縞低減効果も不十分となる。メラミン系架橋剤の種類は特に限定しないがメラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、あるいはこれらの混合物などを用いることができる。またメラミン系架橋剤としては単量体、2量体以上の多量体からなる縮合物、あるいはこれらの混合物などを用いることができる。
エーテル化に使用する低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどを用いることができる。官能基としてはイミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキシメチル基などのアルコキシメチル基を1分子中に有するもので、イミノ基型メチル化メラミン、メチロール基型メラミン、メチロール基型メチル化メラミン、完全アルキル型メチル化メラミン等である。その中でもメチロール化メラミン、完全アルキル化メラミンが接着性や干渉縞レス化の点で好ましい。メラミン系架橋剤の量は特に限定しないがハードコート形成塗剤固形分中で2〜40重量%、好ましくは5〜35重量%、さらに好ましくは10〜30重量%であるのが接着性と硬度、干渉縞レスのバランスの点で好ましい。またメラミンの硬化を促進する目的で酸触媒を併用するのが好ましい。酸触媒としてはp−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジメチルピロリン酸、スチレンスルホン酸およびこれらの誘導体などが好適に使用できる。酸触媒の添加量はメラミン架橋剤に対し、固形分比で0.05〜10重量%、好ましくは1から5重量%であるのが望ましい。メラミン系架橋剤を添加する場合、塗剤組成物の好ましい形態としては少なくともひとつの水酸基を有する多官能アクリレートを用いるのが接着性向上の点で特に好ましい。
また本発明のハードコート層形成にあたり、ハードコート層表面を平滑化するためにレベリング剤を用いるのが好ましい。代表的なレベリング剤としてはシリコーン系、アクリル系、フッ素系などが挙げられるが平滑性のみを要求する場合にはシリコーン系が少量の添加で有効である。シリコーン系レベリング剤としてはポリジメチルシロキサンを基本骨格とし、ポリオキシアルキレン基を付加したもの(例えばトーレダウコーニングシリコーン(株)製SH190)が好適である。
一方、ハードコート層上に更に積層膜を設ける場合には積層膜の塗布性、接着性を阻害しない必要があり、その場合にはアクリル系レベリング剤を用いるのが好ましい。このようなレベリング剤としては「ARUFON−UP1000シリーズ、UH2000シリーズ、UC3000シリーズ(商品名):東亜合成化学(株)製」などを用いるのが好ましい。レベリング剤の添加量はハードコート層形成組成物中に0.01〜5重量%含有させるのが好ましい。
本発明においては基材フィルムとハードコート層の間には接着層を介在させないことが好ましい。接着層が介在すると基材フィルムやハードコート層との屈折率差によって干渉縞が発生したり、接着層の紫外線による劣化や高温多湿状態での接着耐久性が劣る場合がある。
また、本発明のハードコートフィルムは、ハードコート層側から測定した波長400〜600nmにおける反射率の平均うねり振幅が1%以下、好ましくは0.8%以下、更に好ましくは0.6%以下であるのが干渉縞を低減できるので好ましい。
本発明で述べる波長400〜600nmにおける反射率の平均うねり振幅とは、以下の方法で測定される。まずハードコートフィルムのハードコート面を測定面とし、その反対面を60℃光沢度(JIS Z 8741)が10以下になるようにサンドペーパーなどで粗面化する。次に粗面化した部分について波長400〜600nmにおける可視光線平均透過率が5%以下となるように黒色に着色して測定サンプルとする。測定面を分光光度計にて入射角10度で測定した時に観測される結果を図1に示す。図1において曲線(c)が波長と測定された反射率との関係を表した結果である。反射率において、波長400〜600nmにおけるうねり、すなわち波長の変化に伴って反射率が上下に波打つ変動の微積分学的意味での極大値(一次微分係数=0、二次微分係数<0)と極小値(一次微分係数=0、二次微分係数>0)の差をうねり振幅(a)と定義する。図1で示すように波長400〜600nmにおける反射率のうねりの山頂部分頂点(極大点)を結んだ線(山頂線(b))とうねりの谷底部分(極小点)を結んだ線(谷底線(d))の2つの反射率の折れ線グラフの差、すなわち、うねり振幅(a)を境界点(400、600nm)を含めて20nm間隔のサンプル点11箇所(波長が(400+20*i(i=0〜10の整数))nmとなる箇所)で求め、この11個の値を平均した値を平均うねり振幅と定義する。
上述した干渉縞の低減及び透明性・視認性の両立を達成するためには、基材フィルムとハードコート層の界面に微細な突起(扁平粒状突起)が形成されている必要がある。突起サイズは幅が5〜60μm、好ましくは10〜40μm、高さは0.05μm〜0.5μm、好ましくは0.05μm〜0.3μm、突起の占有率は50〜100%、より好ましくは70〜100%である場合、透明性を低下させることなく干渉縞の低減効果が大きい。このように、形成する凹凸のサイズ、密度を規定し、扁平な形状とすることにより、干渉縞と透明性の両立を達成することができた。
突起サイズ及び占有率については、下記方法により規定した。
まず、突起サイズについては、ハードコート面を微分干渉顕微鏡(倍率50倍)で観察し、撮影した。透過モードでハードコート/基材の界面突起を観察することができる。1000μm×1000μm角視野内の突起の幅を画像から読みとりその平均値を測定した。突起の幅については、上記の微分干渉顕微鏡によりハードコート/基材の界面を撮影した写真において、短軸側の長さを幅と規定した。完全な円の場合はその直径、楕円である場合には、短軸を突起の幅とした。また、占有率については、上記の幅測定のために撮影した写真を、Image-Pro Plus ver.4.0((株)プラネトロン製)により画像処理を行い1000μm×1000μm角視野内の全面積に占める突起部分の面積割合を占有率とした。具体的には、撮影写真を上記ソフトのPseudo-Color(疑似カラー)処理を行い、突起部分と非突起部分とを2値化し、Pseudo-Color Areas(疑似カラー面積比率)処理により面積比を算出し、突起部分の占める面積割合を占有率とした。
また、高さについては、ハードコートフィルムの断面を観察し、評価した。断面観察は下記の方法によって行った。まずハードコートフィルムの断面切削をミクロトーム((株)日本ミクロトーム研究所製)を用い、角度0°において室温でフィルム幅方向に切削した。また、この断面を微分干渉顕微鏡(倍率1000倍)で観察し、得られた画像を縦方向に5倍に拡大し、画像から読みとり突起の平均高さを求めた。高さは、突起がない平坦面(ハードコート層/基材の界面)を基準とし、その平坦部からの高さを突起の高さと定義した。突起の占有率、高さ、幅については、全て20点測定しその平均値を求めた。
占有率は、高いほど干渉縞の低減に好ましいが、微細突起のサイズに規定がないと非常にヘイズが高いものとなってしまい透明性と干渉縞との両立をすることができないが上記の様な扁平状突起の形状で、規定サイズ範囲内であれば透明性との両立が可能となる。また、占有率が50%よりも低いとどの様な形状であっても干渉縞の低減をすることはできず、透明性と干渉縞との両立をすることができない。
この占有率を変化させる方法として例えば以下の方法がある。凹凸構造を転写させるエンボスロールの表面平均粗さを種々変化させ、押しつけ後の転写形状を変化させることができ、結果として形成される凹凸の占有率を変化させることができる。また、転写の際の押しつけ圧、及び押しつけ温度によっても変化させることができるが、以下に述べる方法によるのが好ましい。
扁平粒状突起の形成方法として、基材フィルムにポリエステルフィルムを用いた場合について説明する。上記の扁平粒状突起は、通常の二軸延伸されたポリエステルフィルム上にハードコート層を塗布し、硬化積層させる方法では達成することができず、干渉縞が発生してしまう。本発明に適合する突起の形成方法としては、結晶配向が完了する前の適度に結晶化しているポリエステルフィルム(フィルム断面からラマン法により測定した結晶化度が3〜25%)にハードコート塗布剤を塗布し、その後、延伸、熱処理を施し、必要に応じて紫外線などの活性線を照射することによって得る方法が好ましい。適度に結晶化しているポリエステルフィルムとするためには、溶融押出された未延伸フィルム表面を加熱して長手方向に延伸することによって得ることができる。延伸倍率は2.5倍〜3.2倍程度が好ましい。またフィルム中に結晶化核剤を添加して結晶化を促進させたり微結晶を形成させる方法も有効である。更に塗布後、予熱工程を経て幅方向に延伸されるが、この時点で最初に溶剤応力亀裂(ソルベントストレスクラック)が発生し、この部分にハードコート塗布剤が浸透し、その後クラックが閉塞した後、延伸により浸透部分と非浸透部分との延伸性の違いにより突起が形成される。発明者らは、インラインコーティングで行うことによりこのような現象が発現することを見出したものである。幅方向に延伸されたフィルムは、連続的に熱処理工程に導かれ、約220℃〜245℃程度の高温で熱処理されることにより、ハードコート層が硬化すると共に基材フィルムとの接着性を向上させる。熱処理時間は長い方が好ましいが、温度に応じて10〜40秒程度とするのが望ましい。また高速で製膜し、熱量が不足する場合には熱処理後に紫外線などの活性線を照射して硬化させる方法が有効である。
微細突起を形成させる方法として、上記の他、2軸延伸により結晶配向している熱可塑性ポリエステルフィルムの片面に、鋳型を押し当てて表面に突起を形成し、得られたフィルム状にハードコート組成物塗剤を塗布し、220〜245℃の高温で10〜40秒程度の熱処理を行うのが有効である。また、上記以外に微細な突起の形成には、粒子を含む塗剤を塗布する方法なども好ましい。
突起形成に用いられる鋳型ロールとしては、凹凸が細かいもの、粗いものまで、適宜選択して適用でき、模様、マット状、レンチキュラーレンズ状、球状の凹凸が規則正しく、もしくはランダムに配列されたものが使用できる。例えば、凸部または凹部の直径1〜60μm、高さが0.01〜0.5の球の一部からなる凸部もしくは凹部等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
次に、本発明のハードコートフィルムの製造方法の一例について、基材フィルムとしてポリエチレンテレフタレート(以下PETと略称する)を例にして説明するが、これに限定されるものではない。
平均粒子経0.3μmのシリカ粒子を0.2重量%含有するPETペレット(極限粘度0.62dl/g)を、180℃で約2時間真空乾燥して十分に水分を除去した後、押し出し機に供給し、260〜300℃の温度で溶融押し出しし、T字型の口金からシート状に成形する。このようにして得られたシート状物を、鏡面の冷却ドラム上で冷却固化して未延伸シートを得る。このときキャストドラムとの密着性を向上させる目的で静電印加法を用いることが好ましい。その後、得られた未延伸シートを、70〜120℃に加熱したロール群で長手方向に2〜5倍の延伸を行なう。次いで、このようにして1軸に延伸されたフィルムの表面に、ハードコート層形成塗剤を塗布し、その後フィルムの両端をクリップで把持しつつテンターに導く。テンター内で70℃〜110℃に予熱後、幅方向に80℃〜125℃で約2〜5倍延伸する。幅方向に延伸された積層フィルムは、更に220〜245℃の雰囲気中で3〜10%の弛緩処理を行いつつ、基材フィルムの結晶配向と塗膜硬化を完了させる熱処理を行なう。
このようにして得られた本発明のハードコートフィルムは、製膜工程内で一気にハードコート層を設けることができるので生産性が良く、表面硬度が高く、耐摩耗性に優れ、ハードコート層と基材フィルムとの密着性が優れており、かつ虹彩模様発生が抑制され視認性に優れているので、広範な用途で使用できる。特にディスプレイ用反射防止フィルム基材、タッチパネル用基材、窓張り用基材、銘板用基材などとして好適に使用される。
ハードコート層形成塗剤の塗布手段としては、各種の塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法またはスプレーコート法などを用いることができる。
本発明で必要に応じて用いられる活性線としては、紫外線、電子線および放射線(α線、β線、γ線など)などアクリル系のビニル基を重合させる電磁波が挙げられ、実用的には、紫外線が簡便であり好ましい。紫外線源としては、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯または炭素アーク灯などを用いることができる。また、活性線を照射するときに、低酸素濃度下で照射を行なうと、効率よく硬化させることができる。また更に、電子線方式は、装置が高価で不活性気体下での操作が必要ではあるが、塗布層中に光重合開始剤や光増感剤などを含有させなくてもよい点で有利である。
本発明で用いられる熱硬化に必要な熱としては、スチームヒーター、電気ヒーター、赤外線ヒーターあるいは遠赤外線ヒーターなどを用いて温度を少なくとも140℃以上に加温された空気、不活性ガスを、スリットノズルを用いて基材、塗膜に吹きあてることにより与えられる熱が挙げられ、中でも200℃以上に加温された空気による熱が好ましく、更に好ましくは200℃以上に加温された窒素による熱であることが、硬化速度が早いので好ましい。
ハードコート層の厚さは、用途に応じて決定すればよいが、通常0.1μm〜30μmが好ましく、より好ましくは1μm〜15μmである。ハードコート層の厚さが0.1μm未満の場合には十分硬化していても薄すぎるために表面硬度が十分でなく傷が付きやすくなる傾向にあり、一方、厚さが30μmを超える場合には、硬化時にカールしたり、折り曲げなどの応力により硬化膜にクラックが入りやすくなる傾向にある。
また、本発明の効果が損なわれない範囲において、ハードコート層の最外層に図柄などの印刷層を設けてもよい。
また、得られたハードコートフィルムを、各種の方法で各種機能フィルムなどと貼り合わせて用いることもできるし、他方の面に粘着層を積層したり、導電層を設けたりすることもできる。
例えば、本発明のハードコートフィルムを、ハードコート層を設けたのとは反対面に各種粘着剤を用いて相手材と貼り合わせ、該相手材に耐摩耗性や耐擦傷性などのハードコート層の機能を付与して用いることもできる。このとき用いられる粘着剤としては、2つの物体をその粘着作用により接着させる接着剤であれば特に限定されず、ゴム系、アクリル系、シリコーン系あるいはポリビニルエーテル系などからなる接着剤を用いることができる。
更に、粘着剤は、溶剤型粘着剤と無溶剤型粘着剤の2つに大別される。乾燥性、生産性、加工性において優れた溶剤型粘着剤は依然として主流であるが、近年、公害、省エネルギ、省資源、安全性などの点で無溶剤型粘着剤に移り変わりつつある。中でも、活性線を照射することで秒単位で硬化し、可撓性、接着性、耐薬品性などに優れた特性を有する粘着剤である活性線硬化型粘着剤を使用することが好ましい。
活性線硬化型アクリル系粘着剤の具体例は、日本接着学会編集、「接着剤データブック」、日刊工業新聞社1990年発行、第83頁から第88頁を参考とすることができるが、これらに限定されるものではない。市販品として多官能アクリル系紫外線硬化塗料として、日立化成ポリマー株式会社;(商品名“XY”シリーズなど)、東邦化成工業株式会社;(商品名“ハイロック”シリーズなど)、株式会社スリーボンド;(商品名“スリーボンド”シリーズなど)、東亜合成化学工業株式会社;(商品名“アロンタイト”シリーズなど)、セメダイン株式会社;(商品名“セメロックスーパー”シリーズなど)などの製品を利用することができるがこれらに限定されるものではない。
この種の粘着剤は、通常の二軸延伸ポリエステルフィルムに塗布した場合には、接着性が不十分となり、各種のプライマー処理、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などからなる積層膜を設けることにより、ポリエステルフィルムと粘着剤層との接着性を向上させることができる。
なお、本発明では、片面にハードコート層を形成し、その反対面にこれらの粘着剤層との接着性を向上させるプライマー層を形成することができるが、このプライマー層は、ハードコート層を形成する活性線硬化性または熱硬化性組成物を含む塗液を塗布するときに同時にその裏面に塗布し、乾燥、場合によっては延伸を行ない設けても良いことは言うまでもない。
また本発明のハードコートフィルムをプラズマディスプレイなどの反射防止フィルムとして使用する場合には、ハードコート層上に高屈折率を設け、さらにその上に低屈折率層を設けることで好適に使用することができる。
高屈折率層としては特に限定しないが、屈折率1.55〜1.70程度のものであって積層厚みを0.03〜0.15μmとするのが好ましい。このような高屈折率層は、バインダー成分中に金属化合物粒子を微分散させることによって得ることができる。バインダー成分は特に限定するのではなく、ポリエステル、アクリル、ウレタン、エポキシなど汎用の樹脂を使用できる。金属化合物粒子としてはそれ自体が屈折率の高いものであり、具体的には錫含有酸化アンチモン粒子、亜鉛含有酸化アンチモン粒子、錫含有酸化インジウム粒子、酸化亜鉛/酸化アルミニウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子などを用いることができるが帯電防止機能を付加できる化合物がより好ましく、錫含有酸化インジウム粒子が特に好適である。金属化合物粒子は平均一次粒子径(BET法による球相当径)が0.5μm以下、好ましくは0.001〜0.3μmの粒子径のものが透明性を維持する点で好適である。これらの金属化合物に更に導電性を向上させる目的でポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの有機導電材料を添加することもできる。
低屈折率層としては、屈折率が1.30〜1.40程度のものが好ましく積層厚みは0.01〜0.15μm程度である。低屈折率層を形成する材料としては公知の材料を適用でき、フッ素化合物やパーフルオロアルキル基を有する化合物などが好適である。またバインダー樹脂中に中空微細粒子を充填させることによって達成することもできる。このような中空粒子は、例えば特開2001−233611号公報、J.AM.Chem.soc.2003,125,316−317等の公知文献に記載されている。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)常態下接着性
常態下(23℃、相対湿度65%)で、ハードコートフィルムのハードコート層上に1mmのクロスカットを100個入れ、ニチバン株式会社製セロハンテープをその上に貼り付け、ゴムローラーを用いて、荷重19.6Nで3往復させ、押し付けた後、90度方向に剥離し、ハードコート層の残存した個数により4段階評価(◎:100、○:80〜99、△:50〜79、×:0〜49)した。(◎)と(○)を接着性良好とした。
(2)湿熱下接着性
ハードコートフィルムを、湿熱下(80℃、相対湿度85%)で48時間放置した。処理後、直ちに取り出し、常態下(23℃、相対湿度65%)で5分間放置後、上記(1)常態下接着性と同様の評価を行なった。
(3)耐摩耗性
スチールウール#0000でハードコート層表面を荷重を変更し、それぞれの荷重において一定荷重下で10往復(速度10cm/s)摩擦し、耐傷性(傷が付かなかった)があった最大荷重を測定した。2kg/cmが実用上問題ないレベルであり、合格とした。
(4)鉛筆硬度
HEIDON(新東科学株式会社製)を用いてJIS K−5400に従って 測定した。2H以上を合格とした。
(5)表面反射率および平均うねり振幅測定
日立製作所製,60mmφ積分球を装備したU−3410型分光光度計を用いて入射角10度における反射率を測定した。
測定サンプルは裏面反射の影響をなくすために、測定面(ハードコート層面側)の裏面を240番のサンドペーパーで粗面化した後、波長400〜600nmの可視光線平均透過率が5%以下になるように黒色マジックインキにて着色した。裏面反射の影響有無の判定は、処理後の裏面の光沢度(入射角60゜、受光角60゜)が10以下であれば、裏面反射の影響はないと判断した。光沢度はデジタル変角光沢度計UGV−5B(スガ試験機株式会社製)を用いてJIS Z 8741に従って測定した。
波長400〜600nmにおける反射率を測定し、そのうねりの山頂部分結んだ線(山頂線)とうねりの谷底部分を結んだ線(谷底線)について、20nm間隔のサンプル点において各波長(11箇所、波長が(400+20*i(i=0〜10の整数))nmとなる箇所)における差(山頂線−谷底線)を求め、その平均を平均うねり振幅とした。
また、波長550nmにおける山頂線と谷底線の平均値を表面反射率とした。
(6)ヘイズ
スガ試験機株式会社製直読ヘイズコンピューターを用い、JIS K−7105に基づいて測定した。
(7)干渉縞の有無
裏面反射の影響をなくすために、表面反射率および平均うねり振幅測定時と同様に測定面(ハードコート層面側)の裏面を240番のサンドペーパーで粗面化した後、黒色マジックインキにて着色して調整したサンプルを、暗室にて、3波長蛍光灯(ナショナル パルック 3波長形昼白色(F.L 15EX-N 15W))の直下30cmに置き、視点を変えながらサンプルを目視したときに、虹彩模様が視認できるか否かで評価した。
虹彩模様がみえない : Aランク
非常に弱い虹彩模様が見える : Bランク
弱い虹色模様が見える : Cランク
強い虹色模様がはっきり見える: Dランク。
(8)視認性
ハードコートフィルムの下に写真を置き、ハードコートフィルムを通して写真を見たときの像がはっきり見えるかどうかを調べた。(◎)以上を視認性良好とした。
像が鮮明に見える:◎
像が少しぼやける:○
像がぼやけ、見えにくい:△
像が見えない:×。
(9)全光線透過率
全自動直読ヘイズコンピューターHGM−2DP(スガ試験機(株)製)を用いてハードコートフィルム厚み方向の全光線透過率を求め10点測定の平均値とした。
(10)380nmの透過率
分光硬度計U−3410((株)日立製作所製)にΦ60積分球130−063(株)日立製作所製)および10度傾斜スペーサーを取り付けた状態で380nmの透過率を求め、10点測定の平均値とした。
(11)耐光性試験
紫外線劣化促進試験機アイスーパーUVテスターSUV−W131(岩崎電気(株)製)を用い、下記の条件で強制紫外線照射試験を行い、照射後の劣化の程度(黄変度)を透過b値で評価した。
「紫外線照射条件」
照度:100mW/cm、温度:60℃、相対湿度:50%RH、照射時間:16時間。
(12)透過b値
分光式色差計SE−2000型(日本電色工業(株)製)を用い、JIS−K−7105に従って透過法で測定した。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
<塗剤A>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(KAYARAD−DPHA:日本化薬(株)製)70重量部、トリメチロールプロパン・エチレンオキサイド変性トリアクリレート(M−350:東亞合成(株)製)10重量部、完全アルキル化型メラミン(サイメルC303:日本サイテックインダストリーズ(株)製)20重量部、燐酸系触媒(キャタリスト296−9:日本サイテックインダストリーズ(株)製)1重量部の混合塗布組成物を作成した。
<塗剤B、C、D>
塗剤Aにおいて、メラミン架橋剤の量を5重量部(塗剤B)、20重量部(塗剤C)、35重量部(塗剤D)とした以外は同様にして作成した。
<塗剤E,F>
塗剤Aのメラミン架橋剤の種類を以下のように変更した以外は同様にして塗剤を作成した。
塗剤E:メチロール基型メラミン(サイメルC370:日本サイテックインダストリーズ(株)製:)
塗剤F:メチロール/イミノ基型メラミン(サイメルC−701:日本サイテックインダストリーズ(株)製)
<塗剤G>
塗剤Aのメラミン架橋剤および酸触媒を添加しない以外は同様にして塗剤Gを作成した。
<塗剤H>
塗剤AのDPHAに変えて2官能アクリレート(KAYARAD−HX−220)を用いた以外は同様にして塗剤Hを作成した。
(実施例1)
フィラーを含まないポリエチレンテレフタレート(極限粘度0.63dl/g)チップを180℃で3時間十分に真空乾燥した後、押出機にて285℃で溶融後、T字型口金からシート状に押出し、25℃のキャストドラム上に静電印加キャスト法を用いて無延伸シートとした後、これを80℃で予熱し、90℃にてロール延伸で長手方向に3.5倍延伸した。この後、両端をクリップで把持しつつ、90℃の予熱ゾーンに導き、引き続き100℃の加熱ゾーンで幅方向に3.3倍延伸した。さらに連続的に5%の幅方向の弛緩処理を行いながら230℃の熱処理ゾーンで17秒間の熱処理を施し、厚み120μmのポリエステルフィルムを得た。このフィルムの表面に、鋳型を設けたロール(中心線平均表面粗さRa0.5μm)とバックロールから構成される微細構造形成部で、鋳型を設けた150℃に加熱した熱ロールを線圧100N/cmで押し当てて、フィルムを両ロール間を通すことによって上面(鋳型を設けた熱ロール側)に微細構造を形成した。このフィルム上に、塗剤Aをマイクログラビアで塗工した後、フィルムを金属枠で固定し、230℃で1分間の熱処理を行い、塗膜を硬化させ、ハードコートフィルムを作製した。界面の微細突起の幅は、20μm、高さは0.2μm、占有率は80%であった。表1に示すとおりヘイズが0.8%と低く干渉縞が低減され視認性に優れたものであった。また、接着性、硬度ともに良好なものであった。
(実施例2)
実施例1で用いたフィルム表面に、鋳型を設けたロール(中心線平均表面粗さRa0.7μm)とバックロールから構成される微細構造形成部で、鋳型を設けた140℃に加熱した熱ロールを線圧100N/cmで押し当てて、両ロール間を通すことによって上面(鋳型を設けた熱ロール側)に微細構造を形成した。このフィルム上に、塗剤Aをマイクログラビアで塗工した後、フィルムを金属枠で固定し、230℃で1分間の熱処理を行い、塗膜を硬化させ、ハードコートフィルムを作製した。界面の微細突起の幅は、60μm、高さは0.5μm、占有率は100%であった。表1に示すとおりヘイズが0.8%と低く干渉縞が低減され視認性に優れたものであった。また、接着性、硬度ともに良好なものであった。
(実施例3)
実施例1で用いたフィルム表面に、鋳型を設けたロール(中心線平均表面粗さRa0.2μm)とバックロールから構成される微細構造形成部で、鋳型を設けた150℃に加熱した熱ロールを線圧150N/cmで押し当てて、両ロール間を通すことによって上面(鋳型を設けた熱ロール側)に微細構造を形成した。このフィルム上に、塗剤Aをマイクログラビアで塗工した後、フィルムを金属枠で固定し、230℃で1分間の熱処理を行い、塗膜を硬化させ、ハードコートフィルムを作製した。界面の微細突起の幅は、5μm、高さは0.05μm、占有率は100%であった。表1に示すとおりヘイズが0.9%と低く干渉縞が低減され視認性に優れたものであった。また、接着性、硬度ともに良好なものであった。
(実施例4)
実施例1で用いたフィルム表面に、鋳型を設けたロール(中心線平均表面粗さRa0.3μm)とバックロールから構成される微細構造形成部で、鋳型を設けた150℃に加熱した熱ロールを線圧150N/cmで押し当てて、両ロール間を通すことによって上面(鋳型を設けた熱ロール側)に微細構造を形成した。このフィルム上に、塗剤Aをマイクログラビアで塗工した後、フィルムを金属枠で固定し、230℃で1分間の熱処理を行い、塗膜を硬化させ、ハードコートフィルムを作製した。界面の微細突起の幅は、13μm、高さは0.13μm、占有率は65%であった。表1に示すとおりヘイズが0.9%と低く干渉縞が低減され視認性に優れたものであった。また、接着性、硬度ともに良好なものであった。
(実施例5)
実施例1で用いたフィルム表面に、鋳型を設けたロール(中心線平均表面粗さRa0.4μm)とバックロールから構成される微細構造形成部で、鋳型を設けた150℃に加熱した熱ロールを線圧150N/cmで押し当てて、両ロール間を通すことによって上面(鋳型を設けた熱ロール側)に微細構造を形成した。このフィルム上に、塗剤Aをマイクログラビアで塗工した後、フィルムを金属枠で固定し、230℃で1分間の熱処理を行い、塗膜を硬化させ、ハードコートフィルムを作製した。界面の微細突起の幅は、40μm、高さは0.3μm、占有率は75%であった。表1に示すとおりヘイズが0.9%と低く干渉縞が低減され視認性に優れたものであった。また、接着性、硬度ともに良好なものであった。
(実施例6)
フィラーを含まないポリエチレンテレフタレート(以下PET極限粘度0.63dl/g)チップを、180℃で3時間十分に真空乾燥した後、押出機に供給し、285℃で溶融後、T字型口金からシート状に押出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャストドラムに巻き付けて冷却固化し未延伸シートとした。このようにして得られた未延伸シートを、95℃に加熱したロール群で長手方向に3.5倍延伸し、1軸延伸フィルムを得た。この1軸延伸フィルムの片面に、上述の塗剤Aをダイコート方式で塗布20μm厚に塗布した。塗剤Aが塗布されたフィルムの両端をクリップで把持しつつ90℃の予熱ゾーンに導き、引き続き100℃の加熱ゾーンで幅方向に3.3倍延伸した。さらに連続的に5%の幅方向の弛緩処理を行いながら230℃の熱処理ゾーンで17秒間の熱処理を施し、塗膜硬化、熱固定させた。このようにして得られたハードコートフィルムは、層厚みが125μm、ハードコート層厚みが5μmの透明性に優れたものであった。表1に示すとおり、接着剤を用いないにも関わらず極めて接着性に優れ、表面硬度の良好なものであった。また干渉縞が低減された視認性に優れたものであった。
(比較例1)
実施例1において、鋳型の中心線平均表面粗さがRa0.5μmの代わりに0.2μmを用いたこと以外は同様にしてハードコートフィルムを作製した。表1に示すとおりヘイズが1.8%と高く透明性、視認性がやや不足するものであった。干渉縞は低減され良好であった。また、接着性、硬度ともに良好なものであった。
(比較例2)
実施例1において、鋳型を設けた熱ロールの押しつけの線圧が100N/mの代わりに
150N/mであること以外は同様にしてハードコートフィルムを作製した。表1に示す通りヘイズが2.3%と高く透明性、視認性がやや不足するものであった。干渉縞は低減され良好であった。また、接着性、硬度については良好なものであった。
(比較例3)
実施例1において、鋳型の中心線平均表面粗さがRa0.5μmの代わりに0.3μmの鋳型を用い、鋳型を設けた熱ロールの温度が150℃の代わりに130℃で行った事以外は同様にしてハードコートフィルムを作製した。表1に示すとおりヘイズは0.7%と透明性、視認性に優れるものであったが、干渉縞は不良であった。また、接着性、硬度はともに良好なものであった。
(比較例4)
実施例1において、鋳型の中心線平均表面粗さがRa0.5μmの代わりに0.4μmの鋳型を用い、鋳型を設けた熱ロールの温度が150℃の代わりに140℃で行った事以外は同様にしてハードコートフィルムを作製した。表1に示すとおりヘイズは1.5%と高く、透明性、視認性が不足するものであった。また、干渉縞は良好であった。また、接着性、硬度はともに良好なものであった。
(比較例5)
実施例1において、鋳型を設けた熱ロールの押しつけの線圧が100N/mの代わりに200N/mであること以外は同様にしてハードコートフィルムを作製した。表1に示すとおりヘイズは3.6%と高く透明性、視認性が不足するものであった。また干渉縞は良好であった。また、接着性、硬度はともに良好なものであった。
(比較例6)
フィラーを含まないポリエチレンテレフタレート(以下PET極限粘度0.63dl/g)チップを、180℃で3時間十分に真空乾燥した後、押出機に供給し、285℃で溶融後、T字型口金からシート状に押出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャストドラムに巻き付けて冷却固化し未延伸シートとした。このようにして得られた未延伸シートを、95℃に加熱したロール群で長手方向に3.0倍延伸し、1軸延伸フィルムを得た。この1軸延伸フィルムの片面に、上述の塗剤Aをダイコート方式で塗布20μm厚に塗布した。塗剤Aが塗布されたフィルムの両端をクリップで把持しつつ90℃の予熱ゾーンに導き、引き続き100℃の加熱ゾーンで幅方向に3.3倍延伸した。さらに連続的に5%の幅方向の弛緩処理を行いながら230℃の熱処理ゾーンで17秒間の熱処理を施し、塗膜硬化、熱固定させた。このようにして得られたハードコートフィルムは、層厚みが125μm、ハードコート層厚みが5μm、界面の表面粗さRaが0.02(μm)の透明性に優れたものであった。表1に示すとおり、接着剤を用いないにも関わらず極めて接着性に優れ、表面硬度の良好なものであった。また視認性は優れたものであったが、干渉縞は不良であった。
(実施例7〜9)
実施例1において、塗剤Aの代わりに、塗剤B(実施例7)、塗剤C(実施例8)、塗剤D(実施例9)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作成した。表1に示すとおり、メラミン架橋剤の添加量によらず良好な接着性と硬度を示した。また干渉縞が低減され視認性、透明性に優れたものであった。
(実施例10,11)
実施例1において、塗剤Aを塗剤E(実施例10)、塗剤F(実施例11)に変えた以外は同様にしてハードコートフィルムを作成した。表1に示すとおりメラミン種を変えても接着性、硬度は良好であった。また干渉縞が低減され視認性、透明性に優れたものであった。
(実施例12〜14)
実施例1で用いたPETに2軸ベント押出機を用いて下記の紫外線吸収剤の添加量が12重量%となるようにコンパウンド化を行いマスターチップを作成した。
紫外線吸収剤A:2,2´−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジン−4−オン) →PETマスターA
紫外線吸収剤B:1,3ビス(2´シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイルオキシ)−2,2−ビス−(2´シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイルオキシメチルプロパン)→PETマスターB
紫外線吸収剤C:2,2´−メチレン−ビス−[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(メチル)フェノール]→PETマスターC
上記マスターチップと実施例1のPETチップを180℃で3時間真空乾燥した後、ブレンドし、PET原料A(PETマスターA使用。実施例12)、PET原料B(PETマスターB使用。実施例13)、PET原料C(PETマスターC使用。実施例14)を作成した。PET原料A〜C中における紫外線吸収剤の濃度は全PET量に対し1.5重量%とした。この原料を285℃で溶融押出し、実施例1と同様の方法でハードコート層を設け、ハードコートフィルムを作成した。表2に示すようにハードコート層の接着性、表面硬度、干渉縞低減に優れ、かつ紫外線照射後において透過B値の小さいハードコートフィルムであった。
Figure 2007118209
Figure 2007118209
本発明のフィルムは、実質的に接着層を介することなくハードコート層との接着性に優れ、更には干渉縞が小さく、更には耐光性にも優れた高透明ハードコートフィルムを提供するものであり、LCD、PDPなどのディスプレイ用途、タッチ亜パネル、窓張り、銘板などの各種用途において展開が可能である。
反射率のうねり振幅を示した波長/反射率グラフである。

Claims (7)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層が積層されたハードコートフィルムにおいて、基材フィルムのハードコート層側表面に幅5〜60μm、高さ0.05〜0.5μmの扁平粒状突起の占有率が50〜100%であることを特徴とするハードコートフィルム。
  2. 基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層が積層されたハードコートフィルムにおいて、波長400〜600nmでのハードコート層側の反射率の平均うねり振幅が1%以下であり、かつ該ハードコートフィルムのヘイズが1.5%以下であることを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
  3. 該ハードコート層が多官能アクリレートとメラミン系架橋剤を主成分とした硬化組成物からなる請求項1または2に記載のハードコートフィルム。
  4. 基材フィルムとハードコート層に接着層が介在しない請求項1〜3のいずれかに記載のハードコートフィルム。
  5. 基材フィルムが紫外線吸収剤を含有する請求項1〜4のいずれかに記載のハードコートフィルム。
  6. 全光線透過率が90%以上、透過b値が1.5以下でかつ380nmにおける透過率が5%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のハードコートフィルム。
  7. 基材フィルムの少なくとも片面にハードコート塗布剤を塗布し、ハードコート層を設け、その後少なくとも一方向に延伸し、硬化させる工程を有するインラインコーティング法により製造されるハードコートフィルムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のハードコートフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011104804A (ja) * 2009-11-13 2011-06-02 Meihan Shinku Kogyo Kk 積層フィルム及び成形体の製造方法
WO2014175137A1 (ja) * 2013-04-26 2014-10-30 東レ株式会社 二軸配向積層ポリエステルフィルムおよび光学用積層フィルム

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