JP2007113955A - 摩擦試験機および摩擦試験方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】摩擦試験機は、実機で配置される圧力状態と略同じ圧力状態の測定室22が形成される本体フレーム21と、この中で試験片としてのシュー41と斜板42を互いに対向させて保持する第1保持具本体51および第2保持具本体52を有し、対向面と直交する軸が実機の所定軸に平行な軸とされた試験片保持機構5と、これに連結され、両試験片の対向面同士を互いに圧接する圧接機構6と、試験片保持機構5に連結され、第1、第2保持具本体51,52とを直交軸を回転中心として相対的に回転させる回転機構7と、これにより両試験片間に生じる摩擦力を測定する摩擦力測定機構とを備える。
【選択図】図2
Description
このような構成において、測定空間は、実機での圧力状態と略同じ圧力状態とされているので、例えば、真空のような減圧下や加圧下といった種々の圧力下での摩擦試験ができる。さらに、内部に潤滑剤を入れて特殊ガスを封入すれば、実機での潤滑剤と特殊ガスとの混合状態に近い雰囲気になる。そして、この測定空間にて、試験片保持機構に2つの試験片を互いに対向させた状態で保持させ、圧接機構によって両試験片の対抗面を互いに圧接させながら、回転機構によって両試験片を相対的に回転させる。この際、回転軸が対向面と直交する方向なので接触面の接線方向の摩擦力を摩擦力測定機構で測定することができる。また、回転機構の回転軸が実機の所定軸に平行に配置されているので、測定空間内の潤滑剤と試験片との配置状態が実機での状態に近くなる。
このような構成において一方の試験片(固定部側試験片)は、第1保持具本体の固定部に固定され、軸部側試験片は、この固定部に延設された軸部材に回転自在に支持される。
この際、軸部を円柱状とすることで、軸部試験片の貫通孔にスムーズに挿通でき、試験中に軸部に対してこの試験片をスムーズに回転させ易くすることができる。また、係止部材としてナットを利用して軸部材先端に形成された雄ねじに螺合させることで、軸部材側試験片を係止してもよい。
また、圧接機構は、第1、第2保持具本体を前記直交軸に沿って相対的に接近する方向に移動させ、回転機構は、第1、第2保持具本体を前記直交軸周りに相対的に回転させる。すると、軸部側試験片は、第2保持具本体と接続されているので、第1保持具本体に固定された固定部側試験片と、第2保持具本体に接続された軸部側試験片とは、互いに圧接しながら相対的に回転する。
よって、これらの第1、第2保持具本体から構成された試験片保持機構を用いれば、回転機構の回転軸を容易に実機の所定軸に平行となるように配置することができ、二つの試験片が実際に用いられる実機における使用状態に近い試験条件で摩擦試験ができる。よって、信頼性の高い摩擦評価を行うことができる。
ここで、シューおよび斜板は、冷凍・圧縮機に利用される斜板式圧縮機に装着されるシューおよび斜板のことをいう。
従来、斜板式圧縮機で用いられるシューと斜板の摩擦試験を行う際、試験片保持機構に保持させるために、半球状のシューをブロック状等に加工しなければならないという問題があった。
この発明によれば、内部圧力によって圧接用回転軸を外側へ押し出す方向の力が作用しても、圧接用回転軸は回転力を伝達するために設けられているので、軸方向への内部圧力が圧接用回転軸の回転力に影響を与えることがない。つまり、圧接用回転軸が本体フレームの外部と測定空間とを貫通していても、内部圧力が第1保持具本体を押す力に影響を与えることがなく、圧接機構の圧接力の誤差を小さくすることができる。
この発明によれば、前述の摩擦試験機の効果と同様の効果を得ることができる。
〔摩擦試験機の構成〕
図1は、本発明の実施の形態に係る摩擦試験機の概略構成を示す正面図である。摩擦試験機1は、図1に示すように、水平な基礎に設置された架台3と、この架台3に載置された本体ユニット2とを備えて構成されている。
図2および図3は、摩擦試験機1の本体ユニット2を示す正面および上方から見た断面図である。本体ユニット2は、図2に示すように、測定空間としての測定室22および測定室22に連通する圧接室23が形成された本体フレーム21と、測定室22内に配置され2つの試験片を保持する試験片保持機構5と、圧接室23内で2つの試験片に負荷を加える圧接機構6と、一方の試験片を回転させる回転機構7と、図1に示すように、試験片間の摩擦力を測定する摩擦力測定機構としての回転力計71とを備えて構成されている。
本体フレーム21は、蓋24,25、軸受保持部材72および回転軸保持部材63により測定室22および圧接室23を密閉可能に構成されている。
第1保持具本体51は、圧接機構6の一端に接続されている。第1保持具本体51は、一方の試験片としてのシュー41を固定する固定部53と、他方の試験片としての斜板42を回転自在に支持する軸部54と、斜板42を軸部54に係止する係止用ナット55とを有している。
固定部53は、円盤状で、円盤面上で軸から所定半径の円周上の等間隔位置に3つの半球状凹部53Aが形成されている。そして、半球状のシュー41は、各半球状凹部53Aにそれぞれ嵌め込まれている。
軸部54は、段付円柱状で固定部53と同軸となるように一体で形成され、軸端に雄ねじ54Aを有している。そして、シュー41が固定部53に嵌め込まれた後、斜板42がその貫通孔に軸部54を挿通される。このようにして、シュー41は、固定部53と斜板42との間に挟まれるように配置され、また、シュー41と斜板42との接触面が第1保持具本体51の軸方向に直交するように配置される。
係止用ナット55は、斜板42が軸部54から抜け落ちないようにするために、軸部54の雄ねじ54Aと螺合されている。これによって、斜板42の貫通孔に軸部54をスムーズに挿通でき、この斜板42を軸部54に対しスムーズに回転させることができる。
駆動軸73の一端には、図2に示すように、第2保持具本体52が嵌合され、さらに位置決めピン74により接続されている。これにより、駆動軸73の回転力が位置決めピン74により確実に第2保持具本体52に伝達されるように構成されている。
駆動軸73の本体ユニット2の外部に突出した他端73Aには、図1に示すように、後述する回転力計71を介して電動機75の出力軸75Aが接続されている。これにより、電動機75の回転力が駆動軸73に伝達され、第2保持具本体52を介して斜板42を回転させる。
回転力計71は、電動機75から駆動軸73に伝達される回転力を測定する。
荷重発生機64は、例えば油圧シリンダーのような機器が利用できる。つまり、荷重発生機64は、垂直方向に移動するロッド64Aを備え、これを自在に移動できる機器である。
レバー66は、圧接用回転軸61の軸を中心に旋回する長手状の部材で構成され、先端がロッド64Aの先端と当接するように配置されている。このようにして、荷重発生機64がロッド64Aを上方に移動させると、レバー66が旋回するので、圧接用回転軸61に回転力が加わる。
アーム65は、圧接用回転軸61の軸を中心に旋回する長手状の部材で構成され、先端に六角ボルト65Aが螺合され、その六角ボルト65Aの頭部が圧接力伝達軸62の一端と当接するように配置されている。このようにして、圧接用回転軸61に加えられた回転力によりアーム65が旋回するので、圧接力伝達軸62は、軸方向に押されるようになっている。
圧接力伝達軸62は、横断面が略楕円形の長手状で、試験片保持機構5の回転軸と同軸になるように配置され、圧接室23と測定室22との連通部分を貫通している。また、圧接力伝達軸62は、中央部を伝達軸保持部材62Bによって軸方向に移動可能に支持されている。ここで、伝達軸保持部材62Bは、円筒状で連通部分に固定されており、横断面が略楕円形の貫通孔が形成されている。この略楕円形の貫通孔に圧接力伝達軸62が挿通され、圧接力伝達軸62の軸周りの回転が阻止されている。
また、圧接力伝達軸62は、他端が第1保持具本体51と係止部材62Aを介して接続されている。このようにしてアーム65によって圧接力伝達軸62が軸方向に押されると、第1保持具本体51が第2保持具本体52に近接する方向に押され、シュー41と斜板42が圧接されるようになっている。
次に、このような構成の摩擦試験機1における試験方法について説明する。
まず、シュー41および斜板42が固定された試験片保持機構5を測定室22内に設置する。次に測定室22内に試験用油26および試験用ガスを封入する。次に、圧接機構6の荷重発生機64を作動させレバー66を介して圧接用回転軸61に回転力を生じさせる。すると、圧接用回転軸61はアーム65を介して圧接力伝達軸62を軸方向に押し、第1保持具本体51が第2保持具本体52に近接する方向に押され、シュー41と斜板42が圧接される。
従って、本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)測定室22内にて、試験片保持機構5にシュー41および斜板42を互いに対向させた状態で保持し、圧接機構6によって互い圧接させながら、回転機構7によって斜板42を回転させる構成にした。この際、接触面が回転軸と直交する方向としたので、シュー41と斜板42との接触面の接線方向の摩擦力を測定することができる。従って、シュー41と斜板42とが実機で使用される際の圧接状態と同じ状態で摩擦試験が可能で、信頼性の高い摩擦評価ができる。
例えば、前記実施形態では、回転機構7の駆動源として電動機75が設置されているが、駆動源としては電動機75以外の油圧モータであってもその他の駆動源を利用してもよい。また、前記実施形態では、圧接機構6の荷重発生機64がレバー66を介して圧接用回転軸61に回転力を加える説明をしたが、圧接用回転軸61に回転力を加える方法としては他の方法を利用してもよい。例えば、圧接用電動機を用いて圧接用回転軸61へタイミングベルトによって電動機の回転力を伝達する方法でもよい。
従って、上記に開示した形状、材質等を限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
5…試験片保持機構
6…圧接機構
7…回転機構
21…本体フレーム
22…測定室(測定空間)
41…シュー(第1試験片)
42…斜板(第2試験片)
51…第1保持具本体
52…第2保持具本体
53…固定部
53A…半球状凹部
54…軸部
61…圧接用回転軸
64…荷重発生機
65…アーム
71…回転力計(摩擦力測定機構)
Claims (5)
- 実機に装着される際に互いに圧接されて所定軸周りに相対的に回転自在な第1部材と第2部材とをそれぞれ第1試験片と第2試験片とし、これら2つの試験片間の摩擦力を測定する摩擦試験機であって、
前記両試験片を収納するとともに前記第1部材と前記第2部材とが前記実機で配置される圧力状態と略同じ圧力状態の測定空間が形成される本体フレームと、
この本体フレームの中で前記両試験片を互いに対向させた状態で保持する第1の保持具本体および第2の保持具本体を有し、前記対向面と直交する軸が前記実機の前記所定軸に平行な軸とされた試験片保持機構と、
この試験片保持機構に連結され、前記両試験片の対向面同士を互いに圧接する圧接機構と、
前記試験片保持機構に連結され、前記第1保持具本体と前記第2保持具本体とを前記直交軸を回転中心として相対的に回転させる回転機構と、
この回転機構により前記両試験片間に生じる摩擦力を測定する摩擦力測定機構とを備えていることを特徴とする摩擦試験機。 - 請求項1に記載の摩擦試験機において、
前記第1保持具本体は、前記直交軸に沿って移動自在に前記圧接機構に接続支持されるとともに、前記第1試験片が前記対向面内で回動することを阻止する固定部と、この固定部に延設され、前記第2試験片を前記直交軸周りに回転自在に支持する軸部とを備えており、
前記第2保持具本体は、前記第2試験片と接続され、前記直交軸周りに回転自在に前記回転機構に接続支持されている
ことを特徴とする摩擦試験機。 - 請求項2に記載の摩擦試験機において、
前記第1部材は、表面が球状とされたシューであり、前記第2部材は前記シューが圧接される斜板であり、前記第1保持具本体は、前記シューを嵌合する凹部が形成されている
ことを特徴とする摩擦試験機。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の摩擦試験機において、
前記圧接機構は、一端が前記本体フレームの外側に、他端が前記本体フレームの前記測定空間内に回転可能に配置されている圧接用回転軸と、
この圧接用回転軸の一端に回転力を加える荷重発生機と、
前記圧接用回転軸の他端に取り付けられこの回転軸の直交方向に長手状のアームとを備えて構成され、
前記圧接用回転軸に回転力が加えられた際に、旋回するアームの先端が前記第1保持具本体を前記第2保持具本体に接近する方向へ移動させる
ことを特徴とする摩擦試験機。 - 実機に装着される際に互いに圧接されて所定軸周りに相対的に回転自在な第1部材と第2部材とをそれぞれ第1試験片と第2試験片とし、これら2つの試験片間の摩擦力を測定する摩擦試験方法であって、
前記両試験片を収納させるとともに前記第1部材と前記第2部材とが前記実機で配置される圧力状態と略同じ圧力状態の測定空間内で、前記両試験片を互いに対向させた状態で保持し、前記対向面と直交する軸が前記実機の前記所定軸に平行な軸として、前記両試験片の対向面同士を互いに圧接させる負荷を加えながら、前記両試験片とを前記直交軸を回転中心として相対的に回転させて、前記両試験片間に生じる摩擦力を測定する
ことを特徴とする摩擦試験方法。
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