JP2007112912A - 噴泥固結剤と噴泥防止・抑制施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エチレンオキサイド基および/またはプロピレンオキサイド基を含む末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)および高沸点希釈剤(B)を含んでなり、イソシアネート基含有率が5重量%を超え15重量%未満であり、粘度が10mPa・s/23℃を超え300mPa・s/23℃未満であることを特徴とする一液湿気硬化型の噴泥固結剤とそれを用いる施工方法。
【選択図】なし
Description
例えばバラスト道床交換や道床厚増工法は比較的簡単に施工できるが、噴泥防止効果は一時的なものでしばらくすると噴泥が再発してしまう。
また排水溝を設置する方法では排水は良くなるが、土中の水分を完全に除去するまでに数ヶ月を要することが普通で、また雨が降れば噴泥となってしまう。
[1] エチレンオキサイド基および/またはプロピレンオキサイド基を含む末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)および高沸点希釈剤(B)を含んでなり、イソシアネート基含有率が5重量%を超え15重量%未満であり、粘度が10mPa・s/23℃を超え300mPa・s/23℃未満であることを特徴とする一液湿気硬化型の噴泥固結剤、
[2] 末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、エチレンオキサイド基および/またはプロピレンオキサイド基を有するポリエーテルポリオールと、有機ポリイソシアネート化合物とを反応させてなるものである前記[1]に記載の噴泥固結剤、
[3] 末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、エチレンオキサイド基およびプロピレンオキサイド基を有するポリエーテルポリオール、およびプロピレンオキサイド基を有するポリエーテルポリオールと、有機ポリイソシアネート化合物とを反応させてなるものである前記[1]に記載の噴泥固結剤、
[4] 高沸点希釈剤が低臭気性の高沸点希釈剤である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の噴泥固結剤、
[5] 低臭気性の高沸点希釈剤が3−メチル−3−メトキシ−1−ブチルアセテートである前記[4]に記載の噴泥固結剤、
[6] 鉄道軌道下のバラスト道床内で発生する道床噴泥または路盤上で発生する路盤噴泥を防止もしくは抑制するために用いられる前記[1]〜[5]のいずれかに記載の噴泥固結剤、
[7] 長期間噴泥防止効果が持続する前記[1]〜[6]のいずれかに記載の一液湿気硬化型の噴泥固結剤、
[8] 鉄道軌道下のバラスト道床内で発生する道床噴泥または路盤上で発生する路盤噴泥を防止および/または抑制する施工方法であって、バラスト道床のバラストを一部除去した後、バラストを一部除去した箇所に、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の噴泥固結剤を散布し、ついでバラストを加えて埋め戻すことを特徴とする噴泥防止・抑制施工方法、
[9] 鉄道軌道下のバラスト道床内で発生する道床噴泥または路盤上で発生する路盤噴泥を防止および/または抑制する施工方法であって、バラスト道床表面に、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の噴泥固結剤を散布することを特徴とする噴泥防止・抑制施工方法、および
[10] 鉄道軌道の枕木周辺の道床バラストが流動することを防止することにより鉄道軌道の軌道沈下または軌道狂いを抑止する方法であって、枕木周辺のバラストを一部除去した後、バラストを一部除去した箇所に、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の噴泥固結剤を散布し、ついでバラストを加えて埋め戻すことを特徴とする鉄道軌道の軌道沈下または軌道狂いの抑止方法、
に関する。
また、本発明の施工方法は、バラストを一部除去したバラスト露出面に該噴泥固結剤を使用することにより、道床内および路盤上で発生する道床噴泥や路盤噴泥の両方を防止・抑制もしくは予防・抑制することができ、さらには、軌道沈下・軌道狂いを抑止することもできる。
「一液湿気硬化型の噴泥固結剤」とは、硬化剤を別途用意しなくても、空気中等に含まれる水分と反応して発泡し、発泡後に硬化する液状の噴泥固結剤のことをいう。
前記のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のエチレンオキサイド基および/またはプロピレンオキサイド基含有多価アルコール類などが挙げられる。
また、さらに、前記のポリオールとしては、例えば、前記のエチレンオキサイド基および/またはプロピレンオキサイド基含有多価アルコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどのエチレンオキサイド基および/またはプロピレンオキサイド基を有しない多価アルコール、またはこれら以外のポリヒドロキシ化合物に、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合させたもの等が挙げられる。
また、前記のポリオールとして、前記例示した1種または2種以上のポリオールを使用することができるが、前記のポリオールと、前記のポリオール以外の活性水素化合物とを併用して用いることもでき、例えば前記のポリオールと、ポリエステルポリオール、高級脂肪酸エステルポリオール等とを併用して用いることができる。
なお、前記の末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の「NCO基含有率」は、JIS K1603(1985)に従い測定される。
前記の高沸点希釈剤の種類としては、特に限定されないが、低臭気性のパラフィン系、ナフテン系、オレフィン系、エーテル系、エーテルエステル系、エステル系の各溶剤および可塑剤、ならびにこれらの2種以上の混合物などが好適に挙げられ、より具体的には例えばナフテン・パラフィン混合物、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシ−1−ブチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジオクチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、二塩基酸エステル系溶剤などが挙げられるが、中でも3−メチル−3−メトキシ−1−ブチルアセテートが好ましい。
またこれらの高沸点希釈剤のうち、引火性などの安全面を考慮して引火点の高い溶剤を使用することがより好ましい。これらは単独でまたは2種以上の混合物として使用することができる。
希釈は、常法に従い行われるが、とりわけ噴泥固結剤の粘度が10mPa・s/23℃を超え300mPa・s/23℃未満、および必要により前記のNCO基含有率が5重量%を超え15重量%未満となるようにして行われるのがよい。そのため、成分(A)と(B)との使用量等は成分(A)および(B)の種類などにより適宜に設定されるが、あえて好ましい使用量を挙げると、成分(A)1重量部に対して、成分(B)が0.3〜2.5重量部の範囲内となる量であり、より好ましくは成分(A)1重量部に対して、成分(B)が0.5〜1.5重量部の範囲内となる量である。
なお、前記「粘度」は、JIS K6833(1994)に従い測定される。また、噴泥固結剤のNCO基含有率は、噴泥固結剤の固形分を基準にして、前記した「NCO基含有率」と同様にして測定される。すなわち、噴泥固結剤のNCO基含有率は、試料として噴泥固結剤の固形分を用いてJIS K1603(1985)に従い測定される。
なお、いうまでもないが、「噴泥防止・抑制施工方法」は、噴泥を防止および/または抑制する施工方法を意味する。
また、前記(i)および(ii)の噴泥防止・抑制施工方法の各工程において用いられる各手段はそれぞれ公知の手段を採用することができる。
1)まず、噴泥が発生しているバラスト道床の枕木周囲部分のバラスト(図2参照)を、その表面から枕木下部までの部分(図1参照)を目安に除去する。
2)次に枕木側面の露出したバラスト面に前記の一液湿気硬化型の噴泥固結剤を均一に散布する。散布にはジョウロまたは石油缶を用い、通常5〜15kg/m2の量で散布すればよい。
3)散布後、直ちにまたは5〜30分放置したのち除去した元のバラストまたは新しいバラストを埋め戻し、バラスト道床および軌道を整備して作業を完了する。
4)なお固結剤の養生硬化には一般的に30分以上必要だが、埋め戻し終了の段階である程度硬化が進行するため列車の通過に問題はない。
5)さらに噴泥箇所以外のバラスト道床部においても噴泥や水溜りを未然に防止する目的としてバラスト道床表面に直接、または一部バラストを除去した除去面に散布することもできる。
6)なお作業手順1)の前に必要であれば「タイタンパ」や「マルチプルタイタンパ(マルタイ)」にて道床整備を行ってから上述の噴泥防止・抑制施工方法を実施してもよい。
(一液湿気硬化型の噴泥固結剤の調製)
反応容器にポリメリックMDI(38部)、プロピレンオキサイド基含有ポリエーテルポリオール(10部、ポリプロピレングリコール)、プロピレンオキサイド基−エチレンオキサイド基含有ポリエーテルポリオール(6.9部、プロピレンオキサイド基含有率:50%、エチレンオキサイド基含有率:50%)を攪拌しながら85℃にて3時間反応させたのち冷却し、添加剤(発泡促進剤0.1部)を添加して得られたウレタンプレポリマーを低臭気性高沸点溶剤である3−メチル−3−メトキシ−1−ブチルアセテート(45部)を用いて希釈し、黒褐色の一液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物100部を一液湿気硬化型の噴泥固結剤として得た。この樹脂組成物のNCO基含有率は11%、粘度は50mPa・s/23℃であった。
(一液湿気硬化型の噴泥固結剤の調製)
実施例と同一の反応条件にてポリメリックMDI(50部)、プロピレンオキサイド基含有ポリエーテルポリオール(7.6部、ポリプロピレングリコール)、プロピレンオキサイド基−エチレンオキサイド基含有ポリエーテルポリオール(13部、プロピレンオキサイド基含有率:50%、エチレンオキサイド基含有率:50%)を攪拌しながら85℃にて3時間反応させたのち冷却し、添加剤(発泡促進剤0.4部)を添加して得られたウレタンプレポリマーを低臭気性高沸点溶剤である3−メチル−3−メトキシ−1−ブチルアセテート(30部)を用いて希釈し、黒褐色の一液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物100部を一液湿気硬化型の噴泥固結剤として得た。この樹脂組成物のNCO基含有率は15%、粘度は300mPa・s/23℃であった。
実施例にて得られた一液湿気硬化型の噴泥固結剤を列車通過時の動揺が特に激しい線路区間の噴泥箇所を対象につぎの作業手順により施工した。すなわち、噴泥箇所を含む線路区間について施工前夜マルタイにて道床を突き固めた後、翌日にバラスト道床の枕木周辺部のバラストを、枕木下面を目安に一部除去したのち、露出したバラスト面(約1.2m2)に対してジョウロにて噴泥固結剤を約15kg均一に散布した(図1および図2参照)。次いで15分後に元のバラストを埋め戻し、最後に軌道整備を実施した。なお、比較試験として、実施例と同一の線路区間についてマルタイによる道床整備だけを行った。
Claims (10)
- エチレンオキサイド基および/またはプロピレンオキサイド基を含む末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)および高沸点希釈剤(B)を含んでなり、イソシアネート基含有率が5重量%を超え15重量%未満であり、粘度が10mPa・s/23℃を超え300mPa・s/23℃未満であることを特徴とする一液湿気硬化型の噴泥固結剤。
- 末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、エチレンオキサイド基および/またはプロピレンオキサイド基を有するポリエーテルポリオールと、有機ポリイソシアネート化合物とを反応させてなるものである請求項1に記載の噴泥固結剤。
- 末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、エチレンオキサイド基およびプロピレンオキサイド基を有するポリエーテルポリオール、およびプロピレンオキサイド基を有するポリエーテルポリオールと、有機ポリイソシアネート化合物とを反応させてなるものである請求項1に記載の噴泥固結剤。
- 高沸点希釈剤(B)が低臭気性の高沸点希釈剤である請求項1〜3のいずれかに記載の噴泥固結剤。
- 低臭気性の高沸点希釈剤が3−メチル−3−メトキシ−1−ブチルアセテートである請求項4に記載の噴泥固結剤。
- 鉄道軌道下のバラスト道床内で発生する道床噴泥または路盤上で発生する路盤噴泥を防止もしくは抑制するために用いられる請求項1〜5のいずれかに記載の噴泥固結剤。
- 長期間噴泥防止効果が持続する請求項1〜6のいずれかに記載の一液湿気硬化型の噴泥固結剤。
- 鉄道軌道下のバラスト道床内で発生する道床噴泥または路盤上で発生する路盤噴泥を防止および/または抑制する施工方法であって、バラスト道床のバラストを一部除去した後、バラストを一部除去した箇所に、請求項1〜7のいずれかに記載の噴泥固結剤を散布し、ついでバラストを加えて埋め戻すことを特徴とする噴泥防止・抑制施工方法。
- 鉄道軌道下のバラスト道床内で発生する道床噴泥または路盤上で発生する路盤噴泥を防止および/または抑制する施工方法であって、バラスト道床表面に、請求項1〜7のいずれかに記載の噴泥固結剤を散布することを特徴とする噴泥防止・抑制施工方法。
- 鉄道軌道の枕木周辺の道床バラストが流動することを防止することにより鉄道軌道の軌道沈下または軌道狂いを抑止する方法であって、枕木周辺のバラストを一部除去した後、バラストを一部除去した箇所に、請求項1〜7のいずれかに記載の噴泥固結剤を散布し、ついでバラストを加えて埋め戻すことを特徴とする鉄道軌道の軌道沈下または軌道狂いの抑止方法。
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