JP2007112076A - 空気入りタイヤの製造方法および空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】トレッドに形成されている溝がタイヤ赤道Sに対して傾斜していても、これら溝、陸部の前形状44、43を備えた未加硫タイヤPを容易に成形する。
【解決手段】配置位置における陸部の長さと略同一長さであるゴムストリップNを、トレッド内側部40の半径方向外側で陸部となる部位に次々と配置することで、溝前形状部44および陸部前形状部43を備えたトレッド外側部45を形成するようにすれば、ゴムストリップNの配置(延在)方向に制限はないため、溝が周方向溝に限定されず、タイヤ赤道Sに対して傾斜していても、容易に形成することができ、適用範囲が広くなって汎用性が高くなる
【選択図】図4
【解決手段】配置位置における陸部の長さと略同一長さであるゴムストリップNを、トレッド内側部40の半径方向外側で陸部となる部位に次々と配置することで、溝前形状部44および陸部前形状部43を備えたトレッド外側部45を形成するようにすれば、ゴムストリップNの配置(延在)方向に制限はないため、溝が周方向溝に限定されず、タイヤ赤道Sに対して傾斜していても、容易に形成することができ、適用範囲が広くなって汎用性が高くなる
【選択図】図4
Description
この発明は、トレッドに幅広である複数の溝が形成された空気入りタイヤの製造方法および該製造方法により製造された空気入りタイヤに関する。
従来の空気入りタイヤの製造方法としては、例えば以下の特許文献1に記載されているようなものが知られている。
特開2001−179848号公報
このものは、環状に成型したベルト層の上に、トレッド幅に略対応した幅広帯状のゴムシートを順次巻き付け積層してトレッド下部を形成する工程と、前記トレッド下部の上に、テープ状のゴムストリップを、周方向溝の部位を除く陸部の部位のみに必要な体積分だけ重ね合わせながら螺旋状に巻き付けてトレッド上部を形成する工程と、トレッド上部、トレッド下部からなるトレッドを有する未加硫タイヤを加硫して空気入りタイヤとする工程とを備えたものである。
しかしながら、このような従来の空気入りタイヤの製造方法にあっては、テープ状のゴムストリップを螺旋状に巻き付けて周方向溝、陸部の前形状部を備えたトレッド上部を形成するようにしているため、周方向溝の前形状部しか形成することができず、タイヤ赤道に対して傾斜した溝の前形状部を形成することは無理であった。このため、適用できる空気入りタイヤが非常に狭い範囲に限定されてしまうという課題があった。
この発明は、トレッドに形成されている溝がタイヤ赤道に対して傾斜していても、これら溝、陸部の前形状部を備えた未加硫タイヤを容易に成形することができる汎用性に富んだ空気入りタイヤの製造方法および空気入りタイヤを提供することを目的とする。
このような目的は、トレッドに広幅である複数の溝が形成されるとともに、これら溝により陸部が画成された空気入りタイヤを製造する製造方法であって、略トロイダル状をしたタイヤ中間体の半径方向外側にゴム部材を配置してトレッド内側部を形成する工程と、配置位置における陸部の長さと略同一長さである細幅のゴムストリップをトレッド内側部の半径方向外側で陸部となる部位に平行に次々と配置して、溝および陸部の前形状部を備えたトレッド外側部を形成する工程と、トレッド内側部、トレッド外側部からなるトレッドを有する未加硫タイヤを加硫して空気入りタイヤとする工程とを備えることにより、達成することができる。
この発明においては、タイヤ中間体の半径方向外側にトレッド内側部を形成した後、配置位置における陸部の長さと略同一長さである細幅のゴムストリップをトレッド内側部の半径方向外側で陸部となる部位に平行に次々と配置して、溝および陸部の前形状部を備えたトレッド外側部を形成するようにしたので、ゴムストリップの配置(延在)方向に制限はなく、この結果、溝が周方向溝に限定されず、タイヤ赤道に対して傾斜していても、容易に形成することができ、適用範囲が広くなって汎用性が高くなる。
また、請求項2に記載のように構成すれば、押出し直後の清浄で温度(粘着性)の高いゴムストリップを供給することができ、陸部を確実かつ高精度で形成することができる。さらに、請求項3に記載のように構成すれば、トレッドの厚さが幅方向位置で異なっている場合にも、これに容易に対応することができる。また、請求項4に記載のように構成すれば、空気入りタイヤにおける溝と未加硫タイヤにおける溝の前形状部との間のずれ量が小さくなって、加硫時のゴム流動による修正が容易となる。
さらに、ゴムストリップの両端が溝の浅溝部に接している場合には、少なくとも片端が溝の深溝部に接している場合に比較し、加硫時におけるゴムの流動量が少なくなるため、請求項5に記載のように、ゴムストリップの幅wを広くしても問題はなく、これにより、配置作業回数が低減し作業能率を向上させることができる。また、請求項6に記載のように構成すれば、タイヤのショルダー部の傾斜に容易に対応することができる。
さらに、前述したゴムストリップの延在方向は、請求項7、8、9に記載のいずれの方向とすることもできる。さらに、請求項10に記載のように構成すれば、必要な深さの溝を容易に成形することができ、また、請求項11に記載のように構成すれば、1回の配置で厚肉のゴム層を形成することができるとともに、側端同士を突き合わせながら配置する場合に比較し、配置作業が容易となり、作業能率が向上する。さらに、請求項12に記載のように構成すれば、どのようなトレッドパターンの空気入りタイヤであっても、これを容易に製造することができる。
以下、この発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1、2において、11は重荷重用の空気入りラジアルタイヤであり、このようなタイヤ11はダンプ、ローダー、スクレーパー等の大型建設車両に装着される。前記タイヤ11はビードコア12が埋設された一対のビード部13と、これらビード部13からほぼ半径方向外側に向かって延びる一対のサイドウォール部14と、これらサイドウォール部14の半径方向外端同士を連ねる略円筒状のトレッド部15とを有する。
図1、2において、11は重荷重用の空気入りラジアルタイヤであり、このようなタイヤ11はダンプ、ローダー、スクレーパー等の大型建設車両に装着される。前記タイヤ11はビードコア12が埋設された一対のビード部13と、これらビード部13からほぼ半径方向外側に向かって延びる一対のサイドウォール部14と、これらサイドウォール部14の半径方向外端同士を連ねる略円筒状のトレッド部15とを有する。
そして、このタイヤ11は一方のビード部13から他方のビード部13まで延びることで前記サイドウォール部14およびトレッド部15を補強するトロイダル状をしたカーカス層18を有し、このカーカス層18はその幅方向両端部がビードコア12の回りに内側から外側に折り返されている。また、前記カーカス層18は少なくとも1枚(ここでは1枚)のカーカスプライ19から構成され、該カーカスプライ19内にはほぼラジアル方向に延びる(タイヤ赤道Sに対し80〜90度の角度で傾斜している)多数本の互いに平行な非伸張性材料、例えばスチールからなる補強コードが埋設されている。
カーカス層18の半径方向外側には少なくとも2枚(ここでは4枚)のベルトプライ22からなるベルト層23が配置され、これらベルトプライ22内にはタイヤ赤道面Sに対して15度から40度の角度で交差する多数本の互いに平行な非伸張性材料、例えばスチールからなる補強コードが埋設されている。そして、これら補強コードは少なくとも隣接する2枚のベルトプライ22において逆方向に傾斜し互いに交差している。
前記ベルト層23の半径方向外側にはゴムからなるトレッド26が配置され、このトレッド26は半径方向内側に位置するベースゴム層27と、半径方向外側に位置するキャップゴム層28とを積層した2層構造から構成されている。ここで、前記ベースゴム層27には耐発熱性、耐亀裂成長性に優れた、例えばNR系のゴムが用いられ、一方、キャップゴム層28には耐摩耗性に優れたNR、SBR系のゴムが用いられている。そして、このようにトレッド26を2種のゴム種から構成すれば、耐発熱性と耐摩耗性とを高い次元で両立させることができる。
また、前記トレッド26、詳しくはキャップゴム層28の半径方向外側部には該キャップゴム層28の全域に亘ってほぼ一定厚さの補強ゴム層30が設けられ、この補強ゴム層30は50%モジュラス値が高い、例えばトレッド26の中で最も高い50%モジュラス値を有するゴムの2〜4倍のモジュラス値である伸び難いゴムから構成されている。ここで、接地領域のトレッド26は荷重により圧縮されるため、厚さ方向中央部が幅方向外側に膨出するよう変形するが、前述の補強ゴム層30はこのような変形およびこれに基づく発熱を効果的に抑制することができる。
さらに、前記トレッド26の外表面には両ショルダー部Dからタイヤ赤道Sに向かってほぼ幅方向に延びる広幅の溝33(主ラグ溝)が複数形成され、これらの溝33の幅方向内端はタイヤ赤道Sに到達する途中で終了している。また、これら溝33は一定の周方向ピッチKだけ離れて配置されるとともに、タイヤ赤道Sの両側で前記ピッチKの 1/2だけずれて交互に配置されている。しかも、これらタイヤ赤道Sの両側に配置されている溝33はタイヤ赤道Sに対して同一方向に傾斜するとともに、ショルダー部Dからタイヤ赤道Sに接近するに従いタイヤ赤道Sに対する傾斜角が小さくなるよう3段階に屈曲している。
さらに、前記溝33はその深さが長手方向位置により異なっており、具体的には、トレッド端側には深い深溝部33aが、一方、タイヤ赤道S側には浅い浅溝部33bが設けられており、その境界に段差が形成されている。このようにトレッド26の外表面でタイヤ赤道Sの両側にそれぞれ前述のような複数の溝33が形成されると、周方向に隣接する溝33間には周方向に分断された複数のラグ36が、また、両側に位置する溝33の幅方向内端間には周方向に連続して延び、前記ラグ36に連続するリブ37が画成され、これらラグ36、リブ37は全体として陸部38を構成する。なお、39はサイドトレッドである。
次に、このようなタイヤ11を製造するには、例えば、円筒状をした拡縮径可能で回転可能な図示していない第1成形ドラムに帯状のインナーライナー、カーカスプライ19を供給してその周囲に次々と貼付ける。次に、一対のスティフナー付きビードコア12をカーカスプライ19の軸方向両端部外側に供給してセットする。この状態で第1成形ドラムのビードロックリングによりビードコア12を半径方向内側から把持した後、該ビードコア12より軸方向外側のカーカスプライ19を軸方向内側に向かって折り返すとともに、該折返し部の外側にサイドトレッド39を貼り付け、グリーンケースを製造する。
次に、前述したグリーンケースを第1成形ドラムから図示していない第2成形ドラムに搬送した後、第2成形ドラムのビードロックリングによってビードコア12を半径方向内側から把持する。このとき、図示していないバンド成形ドラムの周囲にベルトプライ22を次々と貼付けることで構成した円筒状のベルトバンドを、第2成形ドラムを囲む位置まで搬送する。次に、ビードロックリング、ビードコア12同士を互いに接近させながらグリーンケース内に内圧を充填してグリーンケースを略トロイダル状に変形させ、グリーンケース(カーカスプライ19)の半径方向外側に前記ベルトバンド(ベルトプライ22)を貼付け、図3に示すような略トロイダル状のタイヤ中間体Gを形成する。
次に、耐発熱性、耐亀裂成長性に優れたゴムを図示していない押出し機からゴムストリップMとして押出すとともに、この押し出された直後のゴムストリップMをトレッド幅より若干短い長さに次々と切断する。次に、このようにして切り出されたゴムストリップMを前記タイヤ中間体Gの半径方向外側に幅方向に延在させながら、即ち、タイヤ赤道Sに対し実質上90度で交差させながら配置して貼り付けるが、このような作業をゴムストリップMの幅より若干短い距離だけタイヤ中間体Gを間欠的に回転移動させながら繰り返し行い、タイヤ中間体Gの半径方向外側にゴムストリップMからなるゴム層を1層形成する。その後、前述と同様の作業を繰り返し行ってゴムストリップMからなるゴム層を複数層積層し、ベースゴム層27を構成する。
次に、耐摩耗性に優れたゴムを図示していない押出し機からゴムストリップNとして押出すとともに、この押し出された直後のゴムストリップNを一方のショルダー部Dから他方のショルダー部Dまでの距離とほぼ等長に次々と切断する。次に、このようにして切り出されたゴムストリップNを前記ベースゴム層27の半径方向外側に幅方向に延在させながら、即ち、タイヤ赤道Sに対し実質上90度で交差させながら配置して貼り付けるが、このような作業をゴムストリップNの幅より若干短い距離だけタイヤ中間体Gを間欠的に回転移動させながら繰り返し行い、ベースゴム層27の半径方向外側にゴムストリップNからなるゴム層を1層形成する。
その後、前述と同様の作業を繰り返し行ってゴムストリップNからなるゴム層を複数層積層することもあるが、この実施例では1層だけ形成している。なお、前記ベースゴム層27の幅がゴムストリップNからなるゴム層の幅より狭いので、該ゴム層の幅方向両端部外側に短いゴムストリップNを貼り付けて形状を修正している。このように略トロイダル状をしたタイヤ中間体Gの半径方向外側でトレッド部15の全領域にゴム部材(ゴムストリップM、N)を配置することで、ベースゴム層27および1層のゴムストリップN製ゴム層から構成されたトレッド内側部40を形成する。
次に、耐摩耗性に優れたゴムを押出し機から細幅(一定幅)のゴムストリップNとして押出すとともに、この押し出された直後のゴムストリップNを所定長さに次々と切断する。次に、このようにして切り出された直線状に延びるゴムストリップNを前記トレッド内側部40の半径方向外側で陸部38となる部位に平行に次々と配置して貼り付ける。ここで、前述したゴムストリップNの長さ(所定長さ)は、該ゴムストリップNが配置される位置における陸部38の、ゴムストリップNの延在方向での長さと略同一長さ(近似した長さ)である。
例えば、ゴムストリップNの配置位置が、ショルダー部Dと溝33との間であるときには、ストリップNの長さUは、ショルダー部Dから溝33までの幅方向距離と略同一の長さであり、また、ゴムストリップNの配置位置が隣接する溝33間であるときには、ストリップNの長さVは、該隣接する溝33間の幅方向距離と略同一の長さである。このように略同一長さとしたのは、後述のような加硫時におけるゴム流動の状態を考慮してゴムストリップNの長さが決定されるため、配置位置により長さが多少変化するからである。なお、ゴムストリップNの配置位置が、両ショルダー部D間の全域であるときには、ゴムストリップNの長さは、両ショルダー部D間の距離と略同一の長さとなり、また、周方向に連続して延びるリブであるときには、トレッド内側部40の外周の1周長と略同一の長さとなる。
そして、このようなゴムストリップNの配置は、該ゴムストリップNをタイヤ中間体Gの幅方向に延在させながら、即ち、タイヤ赤道Sに対し実質上90度で交差させた状態で行うとともに、このような作業をゴムストリップNの幅wより若干短い距離だけタイヤ中間体Gを間欠的に回転移動させながら繰り返し行い、トレッド内側部40の半径方向外側にゴムストリップNからなるゴム層を1層形成する。ここで、前述のようにゴムストリップNを配置する際、ゴムストリップNの幅wより若干短い距離だけトレッド内側部40の外周を周方向にずらすようにしたので、隣接配置されているゴムストリップNの側端部同士が重ね合わされる。
これにより、1回の配置で厚肉のゴム層を形成することができるとともに、側端同士を突き合わせながら配置する場合に比較し、配置作業が容易となり、作業能率が向上する。そして、前述のようにして形成されたゴムストリップNからなるゴム層は、図3、4に示すように、陸部38とほぼ同一形状の陸部前形状部43を形成し、一方、ゴムストリップNが配置されなかった切り欠かれている部分は溝33の形状とほぼ同一形状の溝前形状部44を形成する。
次に、前述と同様の作業を繰り返し行ってゴムストリップNからなるゴム層を複数層積層する。なお、この実施例のように溝33に浅溝部33bが設けられている場合には、該浅溝部33bに該当する部位に必要量のゴムストリップNを配置する必要がある。このように配置位置における陸部38の長さと略同一長さ、ここでは長さU、VであるゴムストリップNを陸部38となる部位に次々と配置することで、陸部前形状部43および溝前形状部44を備えたトレッド外側部45を形成する。これにより、タイヤ中間体Gの半径方向外側にトレッド内側部、外側部40、45からなるトレッド26が貼り付けられ、未加硫タイヤPが形成される。ここで、前述の積層作業の途中で50%モジュラス値が高いゴムからなるゴムストリップによりゴム層を1層だけ形成し、前記補強ゴム層30を形成する。
また、トレッド端近傍におけるトレッド26の形状を修正するため、この実施例では該トレッド端近傍に短い長さのゴムストリップNを2層余分に貼り付けている。なお、前記押出し機によってゴムストリップNを押出す際に押出しゲージを変化させ、切り出されたゴムストリップNの厚さtを長手方向で異ならせる、例えば、トレッド端近傍におけるゴムストリップNの厚さtを幅方向外側に向かうに従い厚くすれば、トレッド26の厚さが幅方向位置で異なっている(トレッド端に近付くほど厚くなっている)場合にも、前述のような短い長さのゴムストリップNで修正することなく、これに容易に対応することができる。
そして、前述のように押出し機から押し出された直後のゴムストリップNを前記所定長さに切断して切り出し陸部38となる部位に次々と配置するようにすれば、押出し直後の清浄で温度(粘着性)の高いゴムストリップNをトレッド内側部40上に供給することができ、陸部38を確実かつ高精度で形成することができる。ここで、押出し機からゴムストリップNを押出す際のゴム温度は、30〜70度Cの範囲内とすることが好ましい。その理由は、前記ゴム温度が30度C未満であると、ゴムストリップNの押出しが困難となり、一方、70度Cを超えると、加硫が開始してしまうことがあるからである。
また、前述のようにゴムストリップNの厚さtをトレッド外側部45の厚さの 1/2以下とし、該ゴムストリップNを半径方向に2層以上積層することでトレッド外側部45を形成するようにすれば、トレッド端とサイドウォール部14との間におけるショルダー部Dの傾斜に容易に対応することができる。さらに、前記トレッド外側部45の厚さはタイヤ赤道S上でのトレッド26のゲージEの51〜99%の範囲内とすることが好ましい。その理由は、前述の範囲内であると、トレッド26に必要な深さの溝33を容易に成形することができるからである。
次に、前述のようにして形成された未加硫タイヤPをタイヤ加硫装置に搬入するが、このとき、加硫モールドの内面に形成された骨(溝33を成形するための突条)と溝前形状部44とを合致させる。この状態でタイヤ加硫装置により未加硫タイヤPを加硫し、加硫済みのタイヤ11とする。このとき、前記骨が溝33と略同一形状の空洞である溝前形状部44に押し込まれるため、溝前形状部44がゴムにより埋まっている場合に比較して、加硫時におけるゴムの流動量が少なくなり、ベルトプライ22の波打ち量が低減される。また、前述した骨が溝前形状部44に押し込まれると、溝前形状部44の側壁近傍のゴムが流動して設計通りの溝33が形成される。
そして、この発明は、最広幅であるベルトプライ22の幅方向外側端を通りタイヤ赤道Sに平行な溝断面における溝33の深さFが、タイヤ赤道S上でのトレッド26のゲージEの50%以上であり、また、前記溝断面における溝33の幅Jが溝33の周方向ピッチKの10%以上であるタイヤ11に適用することが好ましい。その理由は、深さF、幅Jが前述の範囲外である場合には、加硫時に骨が押し込まれることによるゴムの流動量が少ないため、トレッド外側部45に溝前形状部44を予め設けておく必要性が低いからである。
また、この発明は、前述したタイヤ赤道S上でのトレッド26のゲージEがタイヤ断面高さHの 6%以上のタイヤ11に適用することが好ましい。その理由は、前記ゲージEがタイヤ断面高さHの 6%未満であると、溝33の深さが浅くなって、加硫時に骨が押し込まれることによるゴムの流動量が少なくなり、トレッド外側部45に溝前形状部44を予め設けておく必要性が低いからである。
ここで、前述のようにして製造された実施タイヤと、ゴムシートを複数層積層することでトレッドを形成(溝前形状部は存在せず)した後、加硫することで製造した比較タイヤとを準備し、最大幅ベルトプライ端での波打ち量を測定した。その結果は、タイヤサイズが46/90R57である実施、比較タイヤではそれぞれ12mm、27mmとなり、また、53/80R63である実施、比較タイヤではそれぞれ15mm、38mmとなり、この発明を適用した実施タイヤで波打ち量が大幅に低減していた。
図5は、この発明の実施例2を示す図である。前述の実施例1においては、溝33が曲がっているにも拘わらず、ゴムストリップNの幅wをいずれの配置位置においても一定としたが、この実施例においては、ゴムストリップNの延在方向と、該ゴムストリップNに接する部位の溝33に対する接線方向との交差角Aが小であるほど、該位置に配置されるゴムストリップNの幅wを狭くしている。このようにすれば、空気入りタイヤ11における溝33と未加硫タイヤPにおける溝前形状部44との間のずれ量が小さくなり、加硫時のゴム流動による溝前形状部44から溝33への修正を容易とすることができる。このときには押出し機の押出し口の幅を変化させて、押し出されるゴムストリップNの幅を随時変更する。
また、前述のように溝33の深さは長手方向位置により異なっている(トレッド端側には深溝部33aが、タイヤ赤道S側には浅溝部33bが形成されている)が、この実施例では、両端が溝33の浅溝部33bに接するゴムストリップNの幅wを、少なくとも片端が溝33の深溝部33aに接するゴムストリップNの幅wより広くしている。これは、ゴムストリップNの両端が溝33の浅溝部33bに接している場合には、少なくとも片端が溝33の深溝部33aに接しているゴムストリップNに比較し、加硫時におけるゴムの流動量が少なくなるため、ゴムストリップNの幅wを広くしても問題はなく、これにより、配置作業回数が低減し作業能率を向上させることができるからである。なお、他の構成、作用は前記実施例1と同様である。
図6は、この発明の実施例3を示す図である。前述の実施例1においては、ゴムストリップNの幅wをいずれの配置位置においても一定としたが、この実施例においては、周方向位置が同一であるゴムストリップNに関しては同一幅wとし、これにより、押出し機における押出し幅の変更回数を減少させて、作業能率を向上させている。ここで、ゴムストリップNの幅wは基本的には前述と同様に交差角Aにより決定するが、同一周方向位置に2本以上のゴムストリップNが配置される場合には、いずれかの幅wに決定しなければならない。この場合には基本的には多数を占める幅wとし、同数であるときには狭い方の幅とする。なお、他の構成、作用は前記実施例2と同様である。
図7は、この発明の実施例4を示す図である。この実施例のタイヤ11は、トレッド26の外表面に広幅で周方向に連続してジグザグ状に延びる複数の主溝が形成されるとともに、これら主溝により周方向に連続して延びる複数の陸部(リブ)が画成されたタイヤである。そして、このようなタイヤ11を製造する途中工程において、トレッド内側部40の半径方向外側で陸部となる部位に、所定長さのゴムストリップNをタイヤ赤道Sに対して所定角度で傾斜させながら互いに平行に次々と配置し、溝および陸部の前形状である溝前形状部48および陸部前形状部49を備えたトレッド外側部50を形成している。ここで、前記ゴムストリップNの長さは、ショルダー部Dと主溝との間に配置されるものでは、ショルダー部Dから主溝までの斜め方向距離と略同一の長さUであり、また、隣接する主溝間に配置されるものでは、隣接する主溝間の斜め方向距離と略同一の長さVである。なお、他の構成、作用は前記実施例1と同様である。
図8は、この発明の実施例5を示す図である。この実施例のタイヤ11は、トレッド26の外表面に広幅で幅方向に連続して延びる複数の横溝と、周方向に連続して延び前記横溝に交差する複数の主溝とが形成されるとともに、これら横溝、主溝により複数の陸部(ブロック)が画成されたタイヤである。そして、このようなタイヤ11を製造する途中工程において、トレッド内側部40の半径方向外側で陸部となる部位に、所定長さのゴムストリップNをタイヤ赤道Sに沿って延在させながら互いに平行に次々と配置し、溝および陸部の前形状である溝前形状部52および陸部前形状部53を備えたトレッド外側部54を形成している。ここで、前記ゴムストリップNの長さは、隣接する横溝間の距離と実質上同一の長さvである。
ここで、前記実施例1〜4のようにゴムストリップNをタイヤ赤道Sに対し90度あるいは90度以外の角度で傾斜させながら配置する場合には、タイヤ中間体GをゴムストリップNの幅とほぼ同一距離だけ間欠的に回転移動させながら次々と貼り付ける必要があるが、この実施例のようにゴムストリップNをタイヤ赤道Sに沿って延在させながら配置するようにすれば、タイヤ中間体Gを低速で連続回転させながらゴムストリップNを次々と貼り付けることができるため、作業能率が向上する。なお、他の構成、作用は前記実施例1と同様である。
前述の実施例で説明したように、配置位置における陸部33の長さと略同一長さである細幅のゴムストリップNをトレッド内側部40の半径方向外側で陸部となる部位に平行に次々と配置して、溝前形状部44、48、52および陸部前形状部43、49、53を備えたトレッド外側部45、50、54を形成するようにすれば、ゴムストリップNの配置(延在)方向に制限はないため、溝が周方向溝に限定されず、タイヤ赤道Sに対して傾斜していても、容易に形成することができ、適用範囲が広くなって汎用性が高くなる。そして、このような方法によってタイヤ11を形成するようにすれば、どのようなトレッドパターンのタイヤ11であっても、これを容易に製造することができる。
なお、前述の実施例においては、この発明を大型建設車両に装着される空気入りタイヤ11に適用したが、この発明は乗用車用空気入りタイヤ、トラック・バス用空気入りタイヤに適用してもよい。また、前述の実施例においては、トレッド内側部40をゴムストリップM、ゴムストリップNを次々と貼り付けることで構成したが、この発明においては、押出し機から断面形状がトレッド内側部と同一形状である帯状のゴムシート(ゴム部材)を押出すとともに、該ゴムシートをタイヤ中間体Gの半径方向外側に1周分だけ巻き付けることで構成してもよく、あるいは、薄肉のゴムシートを複数回巻き付けることで構成してもよい。
さらに、前述の実施例においては、トレッド26の半径方向外側部に補強ゴム層30を設けたが、この補強ゴム層は不要である場合には省略してもよい。また、前述の実施例においては、トレッド26をゴム種の異なる2層のベースゴム層27、キャップゴム層28を積層して構成したが、トレッドを単一種のゴムから構成したり、あるいは、ゴム種の異なる3層以上のゴム層を積層することで構成するようにしてもよい。
この発明は、空気入りタイヤの産業分野に適用できる。
11…空気入りタイヤ 15…トレッド部
26…トレッド 33…溝
33a…深溝部 33b…浅溝部
38…陸部 40…トレッド内側部
45…トレッド外側部 D…ショルダー部
P…未加硫タイヤ N…ゴムストリップ
G…タイヤ中間体
26…トレッド 33…溝
33a…深溝部 33b…浅溝部
38…陸部 40…トレッド内側部
45…トレッド外側部 D…ショルダー部
P…未加硫タイヤ N…ゴムストリップ
G…タイヤ中間体
Claims (12)
- トレッドに広幅である複数の溝が形成されるとともに、これら溝により陸部が画成された空気入りタイヤを製造する製造方法であって、略トロイダル状をしたタイヤ中間体の半径方向外側にゴム部材を配置してトレッド内側部を形成する工程と、配置位置における陸部の長さと略同一長さである細幅のゴムストリップをトレッド内側部の半径方向外側で陸部となる部位に平行に次々と配置して、溝および陸部の前形状部を備えたトレッド外側部を形成する工程と、トレッド内側部、トレッド外側部からなるトレッドを有する未加硫タイヤを加硫して空気入りタイヤとする工程とを備えたことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
- 前記ゴムストリップは押出し機から押し出された直後に前記長さに切り出して陸部となる部位に次々と配置するようにした請求項1記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記押出し機によってゴムストリップを押出す際に押出しゲージを変化させ、切り出されたゴムストリップの厚さtを長手方向で異ならせるようにした請求項2記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記溝が曲がっているとき、ゴムストリップの延在方向と、該ゴムストリップに接する部位の溝に対する接線方向との交差角Aが小であるほど、ゴムストリップの幅wを狭くした請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記溝の深さが長手方向位置により異なっているとき、両端が溝の浅溝部に接するゴムストリップの幅wを、少なくとも片端が溝の深溝部に接するゴムストリップの幅wより広くした請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記ゴムストリップの厚さtをトレッド外側部の厚さの 1/2以下とし、該ゴムストリップを半径方向に2層以上積層することでトレッド外側部を形成するようにした請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記ゴムストリップをトレッド内側部の半径方向外側で陸部となる部位にタイヤ赤道Sに対し実質上90度で交差させながら配置した請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記ゴムストリップをトレッド内側部の半径方向外側で陸部となる部位にタイヤ赤道Sに対し所定角度で傾斜させながら配置した請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記ゴムストリップをトレッド内側部の半径方向外側で陸部となる部位にタイヤ赤道Sに沿って延在させながら配置した請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記トレッド外側部の厚さをタイヤ赤道S上でのトレッドゲージEの51〜99%の範囲内とした請求項1〜9のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記ゴムストリップをトレッド内側部の半径方向外側に配置する際、隣接するゴムストリップの側端部同士を重ね合わせるようにした請求項1〜10のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前述した請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法により製造された空気入りタイヤ。
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