JP2007111988A - 耐汚染性と加工性に優れた塗装板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板上に、ケイ素、チタン、ジルコニウム及びホウ素から選ばれる1種以上の半金属元素もしくは金属のアルコキシド及び/又はそのような半金属元素もしくは金属のアルコキシドが加水分解して生じる部分重縮合物(I)を主体とする表層被膜と、(I)のアルコキシド及び/又はその部分縮合物と反応する官能基を持つバインダー樹脂(II)を主体とする下層被膜とを有する塗装板で両層の境界部が混層状態であることを必須とする。
【選択図】なし
Description
従来技術の耐汚染性塗料では、親水性を発現する有機金属化合物の加水分解物(シラノール等)が造膜用樹脂バインダー中に混合・埋没されてしまうために、良好な耐汚染性が得られない。
また高価なフッ素系樹脂の使用も考えられるが、経済的に不利であるとともに、フッ素系樹脂は親油性を示すため、油汚れに対して弱いという問題がある。
(1)基板上に、ケイ素、チタン、ジルコニウム及びホウ素から選ばれる1種以上の半金属元素もしくは金属のアルコキシド及び/又は当該アルコキシドが加水分解して生じる部分重縮合物(I)を主体とする表層被膜と、前記アルコキシド及び/又はその部分縮合物(I)と反応する官能基を持つバインダー樹脂(II)を主体とする下層被膜とを有し、両層が混層していることを特徴とする耐汚染性と加工性に優れた塗装板。
(2)混層により下層被膜が表層被膜と置換されて被膜表面に露出した部分の面積を除く表層の露出率が70〜100%であることを特徴とする、上記(1)に記載の耐汚染性と加工性に優れた塗装板。
(3)前記アルコキシド及び/又はその部分縮合物(I)と反応する官能基を持つバインダー樹脂(II)がポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂及びウレタン樹脂から選ばれる1種以上であることを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の耐汚染性と加工性に優れた塗装板。
(4)前記バインダー樹脂(II)の前記アルコキシド及び/又はその部分縮合物(I)と反応する官能基がメチロール基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びアルコキシル基から選ばれる1種以上であることを特徴とする、上記(3)に記載の耐汚染性と加工性に優れた塗装板。
(5)混層した表層と下層の合計被膜厚みが0.6〜35μmであることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の耐汚染性と加工性に優れた塗装板。
(6)ケイ素、チタン、ジルコニウム及びホウ素から選ばれる1種以上の半金属元素もしくは金属のアルコキシド及び/又は当該アルコキシドが加水分解して生じる部分重縮合物(I)を主体とする表層被膜用の塗料と、前記アルコキシド及び/又はその部分縮合物(I)と反応する官能基を持つバインダー樹脂(II)を主体とする下層被膜用の塗料を、基板上に塗布し、2つの塗料を同時に乾燥焼付けすることを特徴とする、上記(1)に記載の耐汚染性と加工性に優れた塗装板の製造方法。
(7)表層塗料の粘度が下層塗料の粘度と同じかそれより大きく、および/または表層塗料の表面張力と下層塗料の表面張力の差が5×10-3N/m以下であることを特徴とする、上記(6)に記載の耐汚染性と加工性に優れた塗装板の製造方法。
(8)表層被膜用の塗料と下層被膜用の塗料を複層カーテン法により基板に同時に塗布することを特徴とする、上記(6)または(7)に記載の耐汚染性と加工性に優れた塗装板の製造方法。
(9)表層被膜用の塗料と下層被膜用の塗料を、スライドコーターを使用する複層カーテン法により基板に同時に塗布することを特徴とする、上記(8)に記載の耐汚染性と加工性に優れた塗装板の製造方法。
(10)表層被膜の半金属元素もしくは金属のアルコキシド成分と触媒成分をスライドカーテンコーター上で混合させることを特徴とする、上記(9)に記載の耐汚染性と加工性に優れた塗装板の製造方法。
本発明における混層構造とは、表層と下層の境界が平坦ではなく入り乱れた状態を言い、境界が平坦である複層構造に対峙する概念である。
また本発明の混層構造には、層厚が薄い層が部分的に分離し、層厚の厚い層に島状に分散した状態をも包含することにした。混層構造の詳細は後述する。
本発明に用いられる基板は特に限定されず、金属板、紙、木材、合板等のほか、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂板等を使用することができる。
本発明の塗装板における表層被膜は、半金属元素又は金属のアルコキシドとそのような半金属元素又は金属のアルコキシドの加水分解により得られる部分重縮合物の一方あるいは両方を主体とする塗料から形成される。すなわち、この塗料は、半金属元素又は金属のアルコキシド及びその部分重縮合物の一方あるいは両方を必須成分とし、必要に応じてその他の成分を含むことができる。
成膜の基本的な反応は、M(OR)n+n/2H2O→MOn/2+nROHで表される。
水の存在下でアルコキシドが加水分解されてM−OHが生成し、これが重合することでMOn/2が形成されて、これが連続した皮膜を形成する。実際には、反応の条件によって複雑な挙動を示す。下層にM−OHと反応する官能基が含まれる場合には、この成膜の過程でこのM−OHとその官能基との反応が起こり、下層と表層とがより強固に密着し、耐久性が向上する。
本発明の塗装板における下層被膜は、表層被膜の塗料の必須成分(I)の半金属元素又は金属のアルコキシド、その部分重縮合物、又はその両方と反応することができる官能基を持つバインダー樹脂(II)を主体とする塗料から形成される。すなわち、この下層被膜用塗料は、そのような官能基を持つバインダー樹脂を必須成分とし、必要に応じてその他の成分を含むことができる。
これまでの説明から明らかなように、本発明の塗装板においては、表層に半金属元素又は金属のアルコキシドが加水分解して生じる部分重縮合物を主体とし、SiOR基、TiOR基、ZrOR基などの親水性基を含有する塗料から形成した被膜を設ける。この表層被膜へのバインダー樹脂の配合は最小限に留め、半金属元素又は金属のアルコキシドの種類や、製品の要求性能レベルに応じて、バインダー樹脂の配合がない場合もあり得る。このため表層被膜の半金属元素又は金属のアルコキシドの反応生成物が高濃度になるので、混層により表層皮膜が部分的に島状に分散されても所望の耐汚染性を維持できる。
塗膜表面へ表層被膜を70%以上の面積で露出させるためには、混層の程度にもよるが、表層の平均膜厚を少なくとも0.1μm程度確保する必要がある。
平均膜厚の測定には、公知の方法のいずれを用いてもよいが、簡便には、蛍光X線を用いて、膜厚を測定したいサンプルに含まれる半金属元素又は金属元素の強度を測定し、あらかじめ作成した検量線から、平均の膜厚を求めることができる。検量線は、あらかじめ重量法で測定した膜厚から求めることができる。蛍光X線法を用いずに、はじめから重量法で測定することも可能である。
本発明における混層構造とは、表層と下層の境界面が平坦ではなく波状の凹凸を有する事を第一の条件とする。凹凸の程度は膜厚にもよるが、その断面を400倍のSEM(走査型電子顕微鏡)像で観察した場合に凹凸が認識され、更にその境界面の高低差(A)が表層と下層との合計平均膜厚(B)の1/4以上である場合を混層構造と定義する。一方で,上記の判断基準を適用した場合、表層の平均膜厚に対して下層の平均膜厚が厚いケースでは、現実的には発明者等が意図している混層状態であるにもかかわらず混層状態でないと判断される可能性がある。すなわち,表層の平均膜厚(C)が表層と下層の合計平均膜厚(B)の1/4以下であるときには、上記の基準は適用せず、凹凸の高低差(A)が表層の平均膜厚(C)以上であれば混層構造にあると定義する。
第一の条件と第二の条件はどちらか一方若しくは両方が満たされた(境界面が連続である部分と非連続である部分が混在する状態)場合に、その塗膜は混層構造を示していると見なす。
図1〜5を参照する。これらの図において、1は下層、2は表層、(A)は表層の厚みが最も厚い位置と最も薄い位置(図5の如く境界が連続でない場合は不連続線、すなわち、下層の最上の線上とする)間の距離、(B)は表層と下層の合計平均膜厚、(C)は表層の平均膜厚である。
1)製品の任意の部分で塗膜の断面試料を10個採取する。
2)各断面試料を400倍のSEM(走査型電子顕微鏡)像で観察して、長さ500μmの測定用サンプルを3箇所、任意に選択する。
3)測定用サンプル毎に表層と下層の境界面を観察し、表層の厚みが最も厚い位置と最も薄い位置間の距離(A)を測定する。境界面が連続でない場合は、境界面を基準として表層が最も入り込んでいる位置まで距離(A)を測定する。
4)距離(A)が表層と下層の合計平均膜厚(B)に対して以下の関係を満たす場合に、混層構造にあると判定する。
C>1/4Bの場合: A/B≧1/4
C≦1/4Bの場合: A≧C
5)各測定用サンプル(3箇所)に混層構造にあるかどうかを判断し、更に他の断面試料(10試料)についても同様の検査を行う。
6)3箇所×10試料=30サンプルを検査して、混層構造に在ると判断されたサンプル数が20を超えた場合に、その製品は混層構造を有すると判断する。
混層構造を形成させるには表層に用いる塗料を高粘度とし、下層に用いる塗料を低粘度とするか、または表層塗料の表面張力を下層塗料のそれより大きくし,あるいは下層塗料の表面張力が大きい場合であってもその差を小さくするなどの方法を採用できる。
上述の通り、表層被膜用及び下層被膜用の塗料は同時に加熱乾燥させることによって、その境界部に混層状態を形成する。そのためには複数の被膜用塗料の塗膜をともにウェット状態で形成する必要がある。このようなともにウェット状態の複数の塗膜を形成できる限り、どのような塗布方法を用いてもよいが、例えば、スライドコーター、スロットダイ、押し出しダイ等を用いる複層カーテンによる塗布が好適である。このほかに、ウエットオンウェットで塗布する方法を利用することもできる。表層被覆用の塗料あるいは下層被覆用の塗料はそれぞれ1種類である必要はない。たとえば、下層被覆用塗料の皮膜の上に最表層被覆用塗料との密着性を向上するために、もう一種の表層被覆用塗料によって皮膜を形成してもよい。
表層被膜用の塗膜層と下層被膜用の塗膜層を同時に加熱乾燥する方法は、特に限定されず、例えば熱風、誘導加熱などを利用することができ、複数の方法を併用してもよい。放射線硬化型の塗膜層の場合、放射線照射を併用することも可能である。生産性の観点から、強制加熱乾燥による焼付けほど好ましくはないが、塗膜層を自然乾燥させてもよい。
必要に応じて、別の塗料を金属板上に塗布し、硬化乾燥させることにより追加被膜を、例えば耐食性向上のための下塗り層、密着性向上のための下地処理層として、形成した後に、本発明の下層被膜と表層被膜を形成してもよい。追加被膜用の塗料としては、種類は特に限定されないが、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系等を挙げることができる。選択した塗料をロールコーター、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、静電塗装機、ハケ、ブレードコーター、ダイコーター等で必要な膜厚になるように塗装し、次いで常温放置であるいは熱風炉、誘導加熱炉、近赤外線炉、遠赤外線炉又はエネルギー線硬化炉等で硬化乾燥することによって追加被膜層が得られる。
・塗料A−2: FLC1520(日本ペイント社製ブロック化イソシアネート基含有ポリエステル樹脂系塗料)を溶剤で希釈し,表面調整剤及びレオロジー付与剤を添加したもの(表面張力25〜30×10-3 N/m,粘度50〜100mPa・s)
・塗料A−3: WS4000(三井武田ケミカル社製シラノール基含有ウレタン樹脂)にコロイダルシリカ(日産化学社製スノーテックスN)を固形分質量比で100/20添加した塗料)に表面調整剤を添加したもの(表面張力50〜60×10-3 N/m,粘度15〜20mPa・s)
・塗料B−2: テトラエトキシシラン/エチルトリエトキシシラン=30/70(モル比)の重縮合物(水−アルコール混合溶媒;重量平均分子量5000)(表面張力50〜55×10-3 N/m,粘度50〜100mPa・s)
・塗料B−3: テトラエトキシシラン/ジメチルメトキシシラン=80/20(モル比)の重縮合物(アルコール溶媒;重量平均分子量4500)(表面張力25〜30×10-3 N/m,粘度100〜150mPa・s)
・塗料B−4: テトラメトキシシランの重縮合物(アルコール溶媒;重量平均分子量3000)(表面張力25〜30×10-3 N/m,粘度100〜150mPa・s)
・塗料C−1: 100質量部のFLC7000にテトラメトキシシランの重縮合物(重量平均分子量2200)を10質量部添加
・塗料C−2: FLC7000をそのまま使用
・塗料D−2: FLC1520(日本ペイント社製ブロック化イソシアネート基含有ポリエステル樹脂系塗料)(表面張力30〜35×10-3 N/m,粘度350〜500mPa・s)
・塗料D−3: WS4000(三井武田ケミカル社製シラノール基含有ウレタン樹脂)にコロイダルシリカ(日産化学社製スノーテックスN)を固形分質量比で100/20添加した塗料)(表面張力60〜80×10-3 N/m,粘度15〜20mPa・s)
・塗料E−2: テトラエトキシシラン/ジメチルメトキシシラン=80/20(モル比)の重縮合物(重量平均分子量2000)(表面張力20〜25×10-3 N/m,粘度20〜100mPa・s)
・塗料E−3: テトラメトキシシランの重縮合物(重量平均分子量2200)(表面張力20〜25×10-3 N/m,粘度20〜100mPa・s)
先に図1〜5を参照して説明した方法で混層の有無を確認した。
表層露出面積率は塗膜外面に露出している表層の割合を示す。混層が進むと下層のバインダー樹脂が塗膜外面に浮上して表層樹脂が均一に分布しない状態が発生する。
本発明では表層に高濃度の金属アルコキシド(有機シリケート)化合物を含有しているため表層の露出面積率を70%まで低下させても充分な耐汚染性を示す。
露出面積率は以下に示す方法によって測定可能である。
図6を参照する。図6において、1は下層、2は表層、Xnは表層が露出している部分の長さ、Yはサンプル長(500μm)である。
1)製品の任意の部分で塗膜の断面試料を10個採取する。
2)各断面試料を400倍のSEM(走査型電子顕微鏡)像で観察して、長さ500μm(図6のYに相当)の測定用サンプルを3箇所、任意に選択する。
3)測定用サンプル毎に表層と下層の境界面を観察し、表層が露出している部分の長さ(図6のXi)を測定する。
4)サンプル長(Y)に対する表層の露出部分の長さ(Xi)の合計を比較し、下記式により露出面積率を算出する。
6)10試料の平均露出面積率を更に平均して、最終の露出面積率とする。
1)製品の任意の部分で試料を10個採取する。
2)EPMA(電子線分析装置)が付属したSEM(走査型電子顕微鏡)を使用して,上記の試料を400倍の像で観察して、500μm×500μmの測定用サンプルを3箇所、任意に選択する。
3)測定用サンプル毎に,上記領域内においてジルコニウムのEPMAスペクトルが検出される領域の面積(Z)を測定する。
4)下記の式により,露出面積率を測定する。
露出面積率=Z/(500μm)2×100
この測定にあたっては,例えばCMAのようなコンピュータによる画像処理装置が付属している装置を使用することで,より簡便に測定することができる。
耐雨垂れ汚染性を次のように調べた。製造したプレコート鋼板を幅110mm長さ245mmに切断し、長さ方向が垂直になるように配置して長さ方向の上から100mmのところで評価面が上になるように折り曲げ(曲げRは10mm)、長さ方向の下部が垂直となるように屋外暴露用の架台に設置した。そのまま6ヶ月間暴露試験を行い、垂直面の雨だれのつき方を目視観察し、次の基準により評価した。
◎: 雨だれの筋なし
○: 雨だれの筋わずか
△: 雨だれの筋が明確に認識できる
×: 雨だれの筋が20mはなれた場所からも認識できる
耐からし汚染性の評価は次のように行った。製造したプレコート鋼板を50mm角に切断し、評価面の約30mmΦの面積にエスビー食品社の和風ねりからしを塗りつけ、20℃で24時間放置した。放置後、水洗いし、からし塗りつけ部分の色を測定して、試験前との色差(△E)を求め、下記の基準で評価した。
◎: △E≦1.0
○: 1.0<△E≦2.0
△: 2.0<△E≦3.0
×: △E>3.0
耐マジックインキ(登録商標)汚染性の評価は次のように行った。製造したプレコート鋼板を50mm角に切断し、評価面に赤色のマジックインキ(登録商標)で3本の線を描き、20℃の雰囲気中に24時間放置後、線をエタノールで拭き取った。インキの色残りを目視で判定し、下記の基準で評価した。
◎: 跡残りなし
○: わずかに色残り
△: 色残りあり
×: ほとんど消えない
加工性の評価を次のように行った。製造したプレコート鋼板を、評価面が表側になるように折り曲げ加工し、曲げ加工部の塗膜の亀裂の発生状況を10倍のルーペで観察した。
折り曲げの際に、同じ鋼板をT枚間に挟んで折り曲げ、亀裂の入らない最小の板枚数Tを求めた。例えば、板の厚さをTとして、0Tは板を挟まずに折り曲げても塗膜に亀裂が入らないことを意味し、2Tは板を2枚挟んで折り曲げても塗膜に亀裂が入らないが、板を1枚挟んで曲げると塗膜に亀裂が入ることを表す。
塗膜硬度は鉛筆硬度で評価した。
JIS G 3312の方法で、塗膜に傷がつかない鉛筆硬度を求めた。
耐汚染寿命の測定方法は次のように行った。
耐雨だれ汚染性,耐からし汚染性,耐マジックインキ(登録商標)汚染性のそれぞれについて、1年経過後に再度同じ試験を行い、それらの結果に基づいて判定する。すなわち、耐雨だれ汚染性についてはそのまま屋外暴露試験を継続し、1年6月経過後に全く同じ評価を行う。耐からし汚染性,耐マジック汚染性については、室内で1年間保管した試験材に対して同じ試験を行い、同じ基準で評価を行う。これらの試験結果を、以前の試験結果と比較して以下の基準で判定し、耐汚染寿命とした。
◎: すべての試験で同等以上の評価
○: ひとつの試験で1段階のみ評価が低下した
△: ふたつの試験で1段階のみ評価が低下した
×: すべての試験で評価が低下した,あるいは特定の試験で2段階以上評価が低下した
実施例1〜3は,架橋剤としてメチロール基含有メラミン樹脂を含むヒドロキシル基含有ポリエステル樹脂系塗料(A−1)を下層とし,本発明のテトラエトキシシラン/ジメチルメトキシシラン/テトラメトキシジルコニウムのモル比50/40/10の重縮合物(B−1)を表層として,表層露出面積率を変えて塗布した。塗膜には顕著な混層が発生し,結果として良好な加工性を示した。また,耐汚染性,耐汚染寿命とも良好な結果であったが,表層露出面積率の低下に伴って耐汚染性,耐汚染寿命とも低下する傾向が認められた。
比較例1は、上記の基板上に、バインダー樹脂(ヒドロキシル基含有ポリエステル樹脂)にテトラメトキシシランの重縮合物を混合させたものを塗布したものであり,耐汚染性は本発明の実施例の多くの例と比較して良くないものの,用途によっては使用できる範囲内である。一方で,本比較例は加工性が良くない結果となっており,同等の加工性を有する実施例7と比較すると耐汚染性が劣っている。また,同等の耐汚染性を示した実施例11,実施例14と比較した場合には加工性が劣る結果となっており,総合的には実施例と比較して良好な結果であるとは言いがたい。
また、本発明の塗装板は、プレコートメタルに限らず、各種の汚れに対する耐汚染性が求められる紙、木材、合板、樹脂等の材料の基板に塗装を施した塗装板への応用も可能である。
2 表層
Claims (10)
- 基板上に、ケイ素、チタン、ジルコニウム及びホウ素から選ばれる1種以上の半金属元素もしくは金属のアルコキシド及び/又は当該アルコキシドが加水分解して生じる部分重縮合物(I)を主体とする表層被膜と、前記アルコキシド及び/又はその部分縮合物(I)と反応する官能基を持つバインダー樹脂(II)を主体とする下層被膜とを有し、両層が混層していることを特徴とする耐汚染性と加工性に優れた塗装板。
- 混層により下層被膜が表層被膜と置換されて塗膜表面に露出した部分の面積を除く表層の露出率が70〜100%であることを特徴とする、請求項1に記載の耐汚染性と加工性に優れた塗装板。
- 前記アルコキシド及び/又はその部分縮合物(I)と反応する官能基を持つバインダー樹脂(II)がポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂及びウレタン樹脂から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の耐汚染性と加工性に優れた塗装板。
- 前記バインダー樹脂(II)の前記アルコキシド及び/又はその部分縮合物(I)と反応する官能基がメチロール基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びアルコキシル基から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項3に記載の耐汚染性と加工性に優れた塗装板。
- 混層した表層と下層の合計被膜厚みが0.6〜35μmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の耐汚染性と加工性に優れた塗装板。
- ケイ素、チタン、ジルコニウム及びホウ素から選ばれる1種以上の半金属元素もしくは金属のアルコキシド及び/又は当該アルコキシドが加水分解して生じる部分重縮合物(I)を主体とする表層被膜用の塗料と、前記アルコキシド及び/又はその部分縮合物(I)と反応する官能基を持つバインダー樹脂(II)を主体とする下層被膜用の塗料を、基板上に塗布し、2つの塗料を同時に乾燥焼付けすることを特徴とする、請求項1に記載の耐汚染性と加工性に優れた塗装板の製造方法。
- 表層塗料の粘度が下層塗料の粘度と同じかそれより大きく、および/または表層塗料の表面張力と下層塗料の表面張力の差が5×10-3N/m以下であることを特徴とする、請求項6に記載の耐汚染性と加工性に優れた塗装板の製造方法。
- 表層被膜用の塗料と下層被膜用の塗料を複層カーテン法により基板に同時に塗布することを特徴とする、請求項6または7に記載の耐汚染性と加工性に優れた塗装板の製造方法。
- 表層被膜用の塗料と下層被膜用の塗料を、スライドコーターを使用する複層カーテン法により基板に同時に塗布することを特徴とする、請求項8に記載の耐汚染性と加工性に優れた塗装板の製造方法。
- 表層被膜の半金属元素もしくは金属のアルコキシド成分と触媒成分をスライドカーテンコーター上で混合させることを特徴とする、請求項9に記載の耐汚染性と加工性に優れた塗装板の製造方法。
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