JP2007107683A - 直動案内装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スライダの作動性向上を図ることのできる直動案内装置を提供する。
【解決手段】 スライダ本体上に形成されたスライダ側軌道面14に対して緩やかに傾斜した面取り部21(例えば傾斜角度αが14度以下)をスライダ側軌道面14の長手方向端部に形成し、面取り部21の傾斜面21a上を転動体15が滑らかに転動させるようにした。
【選択図】図4

Description

本発明は、直線運動する物体をその移動方向に案内する手段として産業機械などで用いられる直動案内装置に関する。
工作機械などの産業機械で用いられる直動案内装置は、案内レールと、この案内レール上に形成された直線状のレール側軌道面と対向するスライダ側軌道面を有するスライダ本体と、このスライダ本体の端面部に接合された一対のエンドキャップとを備えており、上記レール側軌道面とスライダ側軌道面との間には、球状あるいは円筒状に形成された多数の転動体が転動自在に組み込まれている。これらの転動体はスライダ本体とエンドキャップとからなるスライダが案内レールの長手方向に相対移動することによってレール側軌道面及びスライダ側軌道面を転動するようになっており、これらの軌道面を転動した転動体は、エンドキャップ内に形成された転動体方向転換路を転動し、さらにスライダ本体内に形成された転動体戻し用貫通路を転動して循環するようになっている。
このような直動案内装置では、スライダ側軌道面と転動体方向転換路との継ぎ部に段差が生じると、この段差に転動体が衝突することによってスライダの騒音特性が低下したり、転動体にエッジロードが発生したりするなどの難点がある。そこで、図9に示すようなクラウニング部22を熱処理が施されたスライダ側軌道面14の長手方向端部に形成して、スライダ側軌道面14と転動体方向転換路との継ぎ部に段差が発生することを抑制した直動案内装置が知られている(特許文献1−3及び非特許文献1参照)。
特開平4−102715号公報 特開2001−271835号公報 特開2003−35314号公報 NSK Technical Journal No. 669(2000)
しかしながら、上述した直動案内装置では、図9に示すクラウニング部22の傾斜角度αがスライダ側軌道面14に対してほぼ45度となっている。このため、エンドキャップの転動体方向転換路を転動した転動体がレール側軌道面とスライダ側軌道面との間に形成された負荷側転動路に入ろうとすると、クラウニング部22の傾斜面に転動体が衝突することによってスライダの摺動抵抗が大きく変動することから、スライダの作動性を大きく低下させるおそれがあった。
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、スライダの作動性向上を図ることのできる直動案内装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、本発明に係る直動案内装置は、案内レールと、該案内レール上に形成された直線状のレール側軌道面と対向するスライダ側軌道面を有するスライダ本体と、該スライダ本体の端面部に接合された一対のエンドキャップと、前記スライダ本体及び前記エンドキャップからなるスライダの相対的直線運動に伴って前記レール側軌道面及び前記スライダ側軌道面上を転動すると共に前記スライダ本体内に形成された転動体戻し用貫通路および前記エンドキャップ内に形成された転動体方向転換路を転動する多数の転動体とを備えた直動案内装置であって、前記スライダ側軌道面に対して緩やかに傾斜した面取り部を前記スライダ側軌道面の長手方向端部に形成したことを特徴とする。
本発明に係る直動案内装置において、前記面取り部は前記スライダ本体を切削加工して形成することが好ましい。この場合の切削加工は、スライダ側軌道面を熱処理する前に行なうのが望ましい。また、前記スライダ側軌道面の長手方向に沿う前記面取り部の長さをLm、前記多数の転動体のうち隣り合う二つの転動体の中心間距離をSとしたとき、前記面取り部は0.25S≦Lm≦Sの関係を満たすように前記スライダ側軌道面の長手方向端部に形成されていることが好ましい。さらに、前記面取り部は前記スライダ側軌道面に対して14度以下の傾斜角度を有することが好ましい。また、前記スライダ本体は前記スライダ側軌道面の長手方向端部にクラウニング部を有する構成であってもよい。
本発明に係る直動案内装置では、スライダ側軌道面に対して緩やかに傾斜した面取り部をスライダ側軌道面の長手方向端部に形成したことにより、転動体が面取り部の傾斜面に衝突することがなく、転動体が面取り部の傾斜面上を滑らかに転動する。したがって、スライダの摺動抵抗の変化を小さく抑えることができ、スライダの作動性向上を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る直動案内装置の概略構成を示す一部断面平面図、図2は図1のII−II断面図である。図1に示されるように、本発明の一実施形態に係る直動案内装置10は案内レール11、スライダ本体13及びエンドキャップ16A,16Bを備えており、案内レール11の左右側面部には、レール側軌道面12が案内レール11の長手方向に沿って二つずつ形成されている。
レール側軌道面12はスライダ本体13に形成されたスライダ側軌道面14(図2参照)と各々対向しており、レール側軌道面12とスライダ側軌道面14との間には、球状に形成された多数の転動体15(図1参照)が転動自在に設けられている。なお、レール側軌道面12及びスライダ側軌道面14は、本実施形態では、その断面が円弧形状をなしているが、転動体15が円筒状に形成されている場合には、レール側軌道面12及びスライダ側軌道面14は平面状であってもよい。
スライダ本体13はエンドキャップ16A,16Bと共にリニアガイド装置10のスライダ17を構成しており、エンドキャップ16A,16Bには、複数の転動体方向転換路18がレール側軌道面12及びスライダ側軌道面14に対応して形成されている。これらの転動体方向転換路18はほぼU字状に湾曲しており、スライダ17の相対的直線運動に伴ってレール側軌道面12及びスライダ側軌道面14を転動した転動体15は、転動体方向転換路18を経由してスライダ本体13内に形成された転動体戻し用貫通路19(図1参照)に導入されるようになっている。
エンドキャップ16A,16Bは複数のボルト(図示せず)によりスライダ本体13の端面部に接合されており、これらエンドキャップ16A,16Bの正面部には、案内レール11とスライダ17との間に形成された間隙をシールするサイドシール20が取り付けられている。
図3は図1に示すスライダ本体の正面図、図4は図3のIV−IV断面図であり、これらの図に示すように、各スライダ側軌道面14の長手方向端部には面取り部21が形成されている。この面取り部21はスライダ側軌道面14に対して緩やかに傾斜しており、その傾斜角度αはα≦14°(例えばα=8°)となっている。
また、面取り部21は熱処理が施される前のスライダ側軌道面14を切削加工して形成されており、スライダ側軌道面14の長手方向に沿う面取り部21の長さをLm、隣り合う二つの転動体15の中心間距離をSとしたとき、面取り部21は0.25S≦Lm≦S(例えばLm=0.44S)の関係を満たすようにスライダ側軌道面14の長手方向端部に形成されている。
このように構成される直動案内装置では、スライダ側軌道面14に対して緩やかに傾斜した面取り部21をスライダ側軌道面14の長手方向端部に形成したことにより、転動体方向転換路18を通過した転動体15が面取り部21の傾斜面21a上を滑らかに転動する。したがって、図7に示すようなクラウニング部22(Lm=0.06S、α=45°)をスライダ側軌道面14の長手方向端部に形成したものと比較して、スライダ17の作動抵抗の変化を小さく抑えることができるので、スライダ17の作動性向上を図ることができる。
また、熱処理が施される前のスライダ本体13を切削加工して面取り部21をスライダ側軌道面14の長手方向端部に形成したことにより、安定した品質の面取り部21を低コストで形成することができる。
図5は図1〜図4に示した直動案内装置(Lm=0.44S、α=8°)を用いてスライダの摺動抵抗の変化をストローク長:100mm、スライダ移動速度:1m/min、使用潤滑剤:AS2グリースの試験条件で測定した結果を示す図で、図6は図9に示した従来の直動案内装置(Lm=0.06S、α=45°)を用いてスライダの摺動抵抗の変化をストローク長:100mm、スライダ移動速度:1m/min、使用潤滑剤:AS2グリースの試験条件で測定した結果を示す図である。これらの図から明らかなように、スライダ側軌道面の長手方向端部に形成される面取り部21の長さをLm=0.44Sにすると共に面取り部21の傾斜角度をα=8°にすると、面取り部の長さLmと傾斜角度αがLm=0.06S、α=45°であるものと比較して、スライダの摺動抵抗の変化が小さくなることがわかる。
また、図7に示すように、面取り部21の長さを0.25S≦Lm≦Sにすると、面取り部の長さがLm<0.25Sの場合と比較して、スライダの摺動抵抗の変化率が小さくなることがわかる。さらに、図7に示すように、面取り部21の傾斜角度をα≦14°にすると、面取り部の傾斜角度がα>14°の場合と比較して、スライダの摺動抵抗の変化率が小さくなることがわかる。
したがって、スライダ側軌道面の長手方向端部に形成される面取り部の長さLmを0.25S≦Lm≦Sとし、かつ面取り部の傾斜角度αをα≦14°とすることにより、スライダの摺動抵抗の変化率が小さくなるので、スライダの作動性を高めることができる。
図1に示した実施形態では転動体が球状のものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば転動体が円筒状に形成された直動案内装置についても本発明を適用することができる。
また、上述した実施形態ではスライダ本体を切削加工して面取り部をスライダ側軌道面の長手方向端部に形成したが、切削加工以外の方法(たとえば手加工、専用治具による機械加工)でも面取り部をスライダ側軌道面の長手方向端部に形成することが可能であるが、品質安定性および加工コストなどを考慮すると切削加工により面取り部を形成することが望ましい。
図8は本発明の第2の実施形態に係る直動案内装置の要部を示す図であり、この第2の実施形態が図4に示した第1の実施形態と異なる点は、面取り長さがLmの面取り部21とクラウニング長さがLcのクラウニング部22とをスライダ側軌道面14の長手方向端部に形成した点である。
このように、スライダ側軌道面14の長手方向端部に面取り部21とクラウニング部22の両方を形成することにより、スライダ側軌道面14に対する面取り部21の傾斜角度αがより緩やかな傾斜角度となるので、スライダ17の作動抵抗の変化をより小さく抑えることができる。
本発明の一実施形態に係る直動案内装置の概略構成を示す一部断面平面図である。 図1のII−II断面図である。 図1に示すスライダ本体の正面図である。 図3のIII−III断面図である。 面取り部の傾斜角度が8度の直動案内装置を用いてスライダの摺動抵抗の変化を測定した結果を示す図である。 クラウニング部の傾斜角度が45度の直動案内装置を用いてスライダの摺動抵抗の変化を測定した結果を示す図である。 スライダ側軌道面の長手方向端部に形成される面取り部の長さ及び傾斜角度とスライダの摺動抵抗の変化率との関係を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る直動案内装置の要部を示す図である。 従来の直動案内装置の一部を示す断面図である。
符号の説明
10 直動案内装置
11 案内レール
12 レール側軌道面
13 スライダ本体
14 スライダ側軌道面
15 転動体
16 エンドキャップ
17 スライダ
18 転動体方向転換路
19 転動体戻し用貫通路
20 サイドシール
21 面取り部

Claims (5)

  1. 案内レールと、該案内レール上に形成された直線状のレール側軌道面と対向するスライダ側軌道面を有するスライダ本体と、該スライダ本体の端面部に接合された一対のエンドキャップと、前記スライダ本体及び前記エンドキャップからなるスライダの相対的直線運動に伴って前記レール側軌道面及び前記スライダ側軌道面上を転動すると共に前記スライダ本体内に形成された転動体戻し用貫通路および前記エンドキャップ内に形成された転動体方向転換路を転動する多数の転動体とを備えた直動案内装置であって、
    前記スライダ側軌道面に対して緩やかに傾斜した面取り部を前記スライダ側軌道面の長手方向端部に形成したことを特徴とする直動案内装置。
  2. 前記面取り部は、前記スライダ本体を切削加工して形成されていることを特徴とする請求項1記載の直動案内装置。
  3. 前記スライダ側軌道面の長手方向に沿う前記面取り部の長さをLm、前記多数の転動体のうち隣り合う二つの転動体の中心間距離をSとしたとき、前記面取り部は0.25S≦Lm≦Sの関係を満たすように前記スライダ側軌道面の長手方向端部に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の直動案内装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項記載の直動案内装置において、前記スライダ側軌道面に対する前記面取り部の傾斜角度を14度以下としたことを特徴とする直動案内装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項記載の直動案内装置において、前記スライダ本体は前記スライダ側軌道面の長手方向端部にクラウニング部を有することを特徴とする直動案内装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010185517A (ja) * 2009-02-12 2010-08-26 Nsk Ltd 直動案内装置
KR102520335B1 (ko) * 2022-10-04 2023-04-11 디씨티 주식회사 무빙마그넷타입 이송시스템의 연결단에 사용되는 직선볼베어링 가이드 조립체

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