JP2007106897A - シール用ゴム組成物および液圧シリンダ用シール部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】シール用ゴム組成物および液圧シリンダ用シール部材において摩擦係数を低くし十分な高硬度化,高モジュラス化を図り、摺動性と高剛性化とを両立する。
【解決手段】エチレンαオレフィン系非共役ジエン共重合体,算術平均粒子径が28nm〜48nmのカーボンブラック,有機過酸化物,高級脂肪酸アマイドを配合し、混練して得た配合材料を所定形状に加硫成形する。前記の配合材料においては、前記のエチレンαオレフィン系非共役ジエン共重合体100phrに対し、前記のカーボンブラックを80〜90phr,有機過酸化物を4.8〜5.6phr配合する。前記の高級脂肪酸アマイドには主鎖脂肪酸の炭素数がC17〜C21であるものを、前記のエチレンαオレフィン系非共役ジエン共重合体100phrに対し、0.5〜3.0phr配合する。
【選択図】なし
【解決手段】エチレンαオレフィン系非共役ジエン共重合体,算術平均粒子径が28nm〜48nmのカーボンブラック,有機過酸化物,高級脂肪酸アマイドを配合し、混練して得た配合材料を所定形状に加硫成形する。前記の配合材料においては、前記のエチレンαオレフィン系非共役ジエン共重合体100phrに対し、前記のカーボンブラックを80〜90phr,有機過酸化物を4.8〜5.6phr配合する。前記の高級脂肪酸アマイドには主鎖脂肪酸の炭素数がC17〜C21であるものを、前記のエチレンαオレフィン系非共役ジエン共重合体100phrに対し、0.5〜3.0phr配合する。
【選択図】なし
Description
本発明は、シール用ゴム組成物および液圧シリンダ用シール部材であって、特に、液圧ブレーキ等の液圧シリンダのピストンに装着されるシール部材に関するものである。
過酷な条件下で使用されるシール用ゴム組成物、例えば液圧ブレーキ等の液圧シリンダ(マスターシリンダ等)のピストン(液圧シリンダ内に挿入され液圧発生室を区画するピストン)に装着されるシール部材(例えば、略カップ状のシール部材(以下、シリンダカップと称する))においては、物性(硬度,耐熱性,耐液性(耐ブレーキ液性等),摺動性等)や製品特性(耐ヘタリ性,剛性等)等が向上するように、種々研究開発が行われている。
例えば、シール用ゴム組成物に用いる各種材料(以下、配合材料と称する)の検討が行われており、一般的には、ポリマーとしてエチレンαオレフィン系非共役ジエン共重合体を配合し架橋剤として有機過酸化物を配合した配合材料が、広く適用されている。
前記の配合材料においては、シリコーンオイルや脂肪酸アマイド等の滑剤を配合し、シール用ゴム組成物の摺動性(シリンダカップの場合はシリンダ孔内での摺動性)を付与する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
また、シール用ゴム組成物の高剛性化を図る手法として、該シール用ゴム組成物の構造(形状等)を改良する技術の他に、該シール用ゴム組成物を高硬度化、高モジュラス化する技術、例えばシリンダカップの場合には硬度Hs(A)を80±5,100%モジュラス(MPa)を10以上にしたものが知られている(例えば、特許文献2)。
特開2000−7841号公報。
特開2001−334923号公報。
近年、前記のシール用ゴム組成物においては小型化(例えば、薄肉化)が進んでおり、その小型化に連れて剛性の低下等が起きないようにする必要がある。例えば、液圧ブレーキの場合、シリンダカップの剛性が低過ぎると、該シリンダカップの一部(例えば、外径リップ部の先端)が液圧シリンダのブレーキ液供給溝内に圧入することがあり、損傷(すなわち、齧り取られる損傷(「喰われ」と称される損傷))が発生し易くなる。
前記のような損傷が発生しないようにする手法として、シール用ゴム組成物を高硬度化,高モジュラス化する手法(高剛性化する手法)が考えられるが、該シール用ゴム組成物の高剛性化に伴ってシール性が上昇(例えば、必要以上に上昇)してしまう可能性があるため、摺動性の低下等が起きないようにする必要がある。例えば、液圧ブレーキの場合、内部に複数個(例えば、2個)の液圧発生室が区分けして設けられているため、シリンダカップの摺動性が低過ぎると、該シリンダカップの摺動時において各液圧発生室の液圧に差が生じ易くなり、ブレーキ性能(ブレーキバランス等)の低下を招く可能性がある。
なお、滑剤を配合した配合材料により摩擦係数を低くする技術が知られているが、その低摩擦係数と十分な高硬度化,高モジュラス化とを両立した具体的なシール用ゴム組成物は存在しなかった。
本発明は、前記課題に基づいて成されたものであり、摺動性と高剛性化とを両立したシール用ゴム組成物および液圧シリンダ用シール部材を提供することにある。
本発明は、前記課題の解決を図るために、請求項1記載の発明は、少なくとも、エチレンαオレフィン系非共役ジエン共重合体,算術平均粒子径が28nm〜48nmのカーボンブラック,有機過酸化物,高級脂肪酸アマイドを配合したものから成るシール用ゴム組成物であって、前記のエチレンαオレフィン系非共役ジエン共重合体100phrに対し、前記のカーボンブラックを80〜90phr,有機過酸化物を4.8〜5.6phr配合したことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記の高級脂肪酸アマイドは、主鎖脂肪酸の炭素数がC17〜C21であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記の高級脂肪酸アマイドは、前記のエチレンαオレフィン系非共役ジエン共重合体100phrに対し、0.5〜3.0phr配合したことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載のシール用ゴム組成物から成る液圧シリンダ用シール部材であって、100%モジュラスが18MPa以上であることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載のシール用ゴム組成物から成る液圧シリンダ用シール部材であって、静摩擦係数が4.5以下であることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、カーボンブラックによって補強され、有機過酸化物によって架橋密度が高くなり、高級脂肪酸アマイドによって摩擦係数が小さくなる。
請求項2記載の発明によれば、架橋密度が十分高くなり、高級脂肪酸アマイドがゴム組成物から適度に染み出す。
請求項3記載の発明によれば、加工性を損うことなく、カーボンブラックによって補強され、有機過酸化物によって架橋密度が高くなり、高級脂肪酸アマイドによって摩擦係数が小さくなる。
請求項4記載の発明によれば、液圧シリンダ用シール部材として十分な100%モジュラスとなる。
請求項5記載の発明によれば、液圧シリンダ用シール部材として摩擦係数が十分小さくなる。
前記の請求項1〜3記載の発明によれば、シール用ゴム組成物において摩擦抵抗を低くし十分な高硬度化,高モジュラス化を図ることができ、摺動性と高剛性化とを両立することが可能となる。また、請求項2記載の発明は十分な摺動性をより長く維持することができ、請求項3記載の発明は生産性をより良好にすることが可能となる。
請求項4,5記載の発明によれば、液圧シリンダ用シール部材において摺動性と高剛性化とが両立し、十分なブレーキ性能を確保し耐喰われ性を向上させることが可能となる。
ゆえに、請求項1〜5記載の発明によれば、シール用ゴム組成物または液圧シリンダ用シール部材の技術分野において貢献することができる。
以下、本発明の実施の形態におけるシール用ゴム組成物および液圧シリンダ用シール部材を図面等に基づいて説明する。
本実施の形態は、少なくとも、ポリマーとしてエチレンαオレフィン系非共役ジエン共重合体(以下、EPDMと称する),補強剤としてカーボンブラック,架橋剤として有機過酸化物,加工助剤として高級脂肪酸アマイドが配合された配合材料を用いて成るものであり、摺動性と高剛性化とを両立したシール用ゴム組成物および液圧シリンダ用シール部材に関するものである。
ここで、前記のEPDMのαオレフィンとしては、プロピレン,1−ブテン,1−ヘキセン,1−ヘプテン,1−オクテン等を使用できるが、通常、プロピレンを共重合させたもの、またはプロピレンを主体として他のαオレフィンを併用して共重合させたものが望ましい。
また、非共役ジエンとしては、エチリデンノルボルネン,ジシクロペンタジエン等を使用できる。この場合、非共役ジエン含有量は4〜12wt%程度であり、より効率的な架橋を必要とする場合には8wt%以上であることが望ましい。
さらに、エチレン含有量は40〜75wt%、望ましくは45〜60wt%である。該エチレン含有量が少な過ぎると、高硬度化,高モジュラス化が困難となる。一方、該エチレン含有量が多過ぎると、弾性(ゴム状弾性)が得られ難く、特に低温下におけるシール性を確保し難くなる。
前記のカーボンブラックには、算術平均粒子径が28nm〜48nmのものが用いられ、例えばポリマー100phrに対し80〜90phrの範囲で配合する。これにより、配合材料の補強性が十分高くなる。
前記の有機過酸化物には、種々のものが用いられるが、主にジアルキルパーオキサイドに分類されるものが適用でき、例えばポリマー100phrに対し4.8〜5.6phrの範囲で配合する。これにより、配合材料の架橋密度が十分高くなる。
前記の高級脂肪酸アマイドには、種々のものが用いられるが、主鎖脂肪酸の炭素数がC17〜C21のものを適用することにより、該高級脂肪酸アマイドがゴム組成物から適度に染み出す。すなわち、主鎖脂肪酸の炭素数がC17〜C21の高級脂肪酸アマイドがゴム組成物から染み出す程度は、例えば主鎖脂肪酸の炭素数がC16以下の高級脂肪酸アマイドを用いた場合よりも染み出し難く、主鎖脂肪酸の炭素数がC22以上の高級脂肪酸アマイドを用いた場合よりも染み出し易くなる。また、前記の高級脂肪酸アマイドを例えばポリマー100phrに対し0.5〜3.0phrの範囲で配合することにより、配合材料の混練が容易となり、生産性がより向上する。
本実施の形態で用いる配合材料は、シール用ゴム組成物(液圧シリンダ用シール部材等)の使用目的に応じて、前記のポリマー,補強剤,架橋剤,加工助剤の他に加硫助剤等の種々の添加剤を適宜配合したものでも良い。例えば、加硫助剤においては、ステアリン酸等の脂肪酸を適宜配合しても良い。
以下の実施例1〜5に示すように種々の配合材料M1〜M19,M7a,M8a,M6a〜M6kを作製し、それら各配合材料M1〜M19,M7a,M8a,M6a〜M6kを用いてゴム配合材料の加硫成形試料(後述のJIS K6251のダンベル状3号形打抜試料,摩擦係数測定用試料Sμ)および液圧シリンダ用シール部材加硫成形試料Spをそれぞれ得て、それら各試料の物性,特性等を観測した。
[実施例1]
まず、EPDM100phrに対し、カーボンブラック(算術平均粒子径が28nm,38nm,または48nmのカーボンブラック)を75〜95phr,有機過酸化物を4.24〜6.0phr(本実施例では有機過酸化物が40%含まれた有機過酸化物(本実施例ではジクミルパーオキサイド)を10.6〜15.0phr),高級脂肪酸アマイドを1phr,ステアリン酸を1phr配合し、ロール加工により混練して後述の表2に示すように配合材料M1〜M19を得た。なお、下記表1は、前記の各材料の詳細を示すものである。
まず、EPDM100phrに対し、カーボンブラック(算術平均粒子径が28nm,38nm,または48nmのカーボンブラック)を75〜95phr,有機過酸化物を4.24〜6.0phr(本実施例では有機過酸化物が40%含まれた有機過酸化物(本実施例ではジクミルパーオキサイド)を10.6〜15.0phr),高級脂肪酸アマイドを1phr,ステアリン酸を1phr配合し、ロール加工により混練して後述の表2に示すように配合材料M1〜M19を得た。なお、下記表1は、前記の各材料の詳細を示すものである。
そして、前記の各配合材料M1〜M19を2mm厚シートに加硫成形し、その加硫成形シートを所定形状に加工(打ち抜き加工等)して得た種々のシール用ゴム組成物の試料について、100%モジュラス(MPa)、摩擦係数(本実施例では静摩擦係数(μs))を観測した。また、各配合材料M1〜M19を用いシール部材を型成形した製品試料(後述の試料Sp)について、その型成形性と耐喰われ性を観測した。これらの各結果は後述の表2に示した。また、前記の各配合材料M1〜M19のロールの練り加工性についても観測し、その結果も後述の表2に示した。
なお、前記の100%モジュラスはJIS K6251に準拠した測定により観測し、前記の型成形性は型成形不良(スコーチに起因する不良)の有無を目視により観測し、加工性は配合材料のロールに対する巻き付き性を目視により観測した。後述の表2中の項目「型成形性」での記号「○」は型成形不良が全く観られれなかった場合、記号「×」は型成形不良が観られ他の物性,特性等の観測ができなかった場合を示すものとする。項目「加工性」での記号「◎」は配合材料がロールに対し速やかに巻きついて混練されたことが観られた場合、記号「○」は配合材料が時間経過と共に巻きついて混練されたことが観られた場合、記号「×」は配合材料が十分に巻きつかない状態で混練されたことが観られた場合を示すものとする。項目「総合評価」の記号「OK」は各観測結果が良好であった場合、記号「NG」は各観測結果の何れかが好ましくなかった場合を示すものとする。
また、前記の摩擦係数は、図1の概略説明図に示すように、表面性測定機(新東科学(株)製のTYPE−HEIDON−14(Peeling/slipping/Scratching TESTER))1を用いて調べた。この表面性測定機1においては、該表面性測定機1上に立設する縦アーム2aと、その縦アーム2aの中央部に対し移動自在(図中矢印Aのように水平方向に移動自在)に支持された横アーム2bと、から成る抵抗力伝達手段2が構成される。前記の横アーム2bの一端側下方には、水平方向に移動自在(直流サーボモータにより図中矢印Bのように水平方向に所定速度で移動自在)で試料(25mm×50mm×2mmのシール用ゴム組成物の試料)Sμを載置(本実施例では両面粘着性テープを介して載置)するための移動台3が構成される。前記の試料Sμ上には、横アーム2bの一端側に支持され分銅受け皿を備えた半球状のガラス部材4が、所定の垂直荷重(本実施例では分銅5による荷重)による負荷が加わるように当接(本実施例ではガラス部材4の球面をエタノールで清浄してから当接)される。
本実施例では、試料Sμに対して100gの分銅5により負荷を加えながら、前記の移動台3を速度1000mm/minで水平移動し、その際の横アーム2bの移動状態(試料Sμの静摩擦抵抗に応じて移動する状態)をロードセル6によって検出することにより該試料Sμの摩擦抵抗を求め、計算式「μ(摩擦係数)=F(摩擦抵抗)/W(負荷)」により静摩擦係数(μs)を算出した。なお、本実施例では、前記の摩擦抵抗の測定を5回行い、その平均値を用いて静摩擦係数を算出し、JIS K2233に規定されている3種に適合するブレーキ液に70時間浸漬(温度150℃の雰囲気下で浸漬)された試料Sμの静摩擦係数(以下、浸漬後静摩擦係数と称する)においても算出した。
さらに、前記の耐喰われ性は、図2の概略説明図に示すような形状の液圧ブレーキ用のシリンダーカップの試料Spを、液圧シリンダのピストンを模擬し円筒状部材内に挿入された治具(円筒状部材の内周側に挿入され液圧発生室を区画する治具(図示省略))に固定し、該円筒状部材内における治具の一端側に液圧発生室を接続して調べた。この試料Spは、円筒状部材の内周側に弾接させるための外周リップ部Spaと、治具の小径部外周側に弾接させるための内周リップ部Spbと、該外周リップ部Spaと内周リップ部Spbとを連絡し背面(図示上方側の面)が該治具に支持されるベース部Spcと、から構成される。
本実施例では、前記の液圧発生室から14.7MPaの液圧を発生させる工程,該液圧を保持する工程,該液圧を圧抜きする工程を1サイクルとし、この1サイクルを温度120℃,3.6秒/1サイクルにて30000回繰り返した後、試料Spを治具から取り出し、外周リップ部Spaとベース部Spc外周部との間(図2中の符号Spd付近)において喰われ発生の有無を目視により観察した。後述の表2中の項目「耐喰われ性」での記号「◎」は「喰われ」が全く観られなかった場合、記号「○」は「喰われ」が殆ど観られなかった場合、記号「×」は「喰われ」が観られた場合を示すものとする。
表2に示すように、カーボンブラック80phr未満の配合材料M1,M2を用いた場合は、100%モジュラスが低過ぎることから、喰われが発生したことを読み取れる。また、カーボンブラック90phr超の配合材料M18,M19を用いた場合は、高い100%モジュラスが得られ喰われが発生しなかったものの、加工性が低く生産性において劣っていることを読み取れる。さらに、カーボンブラック80phr〜90phrであっても、有機過酸化物4.8phr未満の配合材料M12,M17を用いた場合は浸漬後静摩擦係数が高く摺動性が低くなってしまうことが読み取れ、有機過酸化物5.6phr超の配合材料M13を用いた場合は型成形不良が生じ各観測ができなかった。
一方、カーボンブラック80phr〜90phrかつ有機過酸化物4.8phr〜5.6phrの配合材料M3〜M11,M14〜M16を用いた場合は、高い100%モジュラスが得られ喰われが発生せず、静摩擦係数,浸漬後静摩擦係数が低く十分な摺動性を有することが読み取れる。また、該配合材料M3〜M11,M14〜M16を用いた場合は、加工性も十分であることが読み取れる。
したがって、配合材料M3〜M11,M14〜M16のように、カーボンブラック80phr〜90phrかつ有機過酸化物4.8phr〜5.6phrの配合材料を用いたシール用ゴム組成物によれば、摺動性と高剛性化とを両立できると共に、生産性も向上できることを確認できた。例えば、液圧シリンダ用シール部材の場合には、ブレーキ性能(ブレーキバランス等)の低下や喰われ等の損傷を抑制できることを確認できた。
[実施例2]
次に、前記の配合材料M6〜M8と同様の組成でEPDM,カーボンブラック,有機過酸化物,高級脂肪酸アマイド,ステアリン酸を用い、カーボンブラックとして算術平均粒子径が22nmのもの,65nmのものを配合し、ロール加工により混練して後述の表3に示すように配合材料M7a,M8aを得、実施例1と同様の方法により試料を作製して各物性,特性を観測し、それら結果について該配合材料M6〜M8を用いた場合と共に下記表3に示した。
次に、前記の配合材料M6〜M8と同様の組成でEPDM,カーボンブラック,有機過酸化物,高級脂肪酸アマイド,ステアリン酸を用い、カーボンブラックとして算術平均粒子径が22nmのもの,65nmのものを配合し、ロール加工により混練して後述の表3に示すように配合材料M7a,M8aを得、実施例1と同様の方法により試料を作製して各物性,特性を観測し、それら結果について該配合材料M6〜M8を用いた場合と共に下記表3に示した。
表3に示すように、配合材料M6〜M8を用いた場合と比較すると、算術平均粒子径22nmのカーボンブラックが配合された配合材料M7aを用いた場合は加工性が極めて悪く各観測ができず、算術平均粒子径65nmのカーボンブラックが配合された配合材料M8aを用いた場合は100%モジュラスが低過ぎることから喰われが発生したことを読み取れる。
そこで、前記の配合材料M6〜M8と同様の組成でEPDM,カーボンブラック,有機過酸化物,高級脂肪酸アマイド,ステアリン酸を用い、カーボンブラックとして算術平均粒子径が28nm〜48nmのものを配合し、ロール加工により混練して配合材料を得、実施例1と同様の方法により試料を作製し各物性,特性を観測したところ、前記の配合材料M7a,M8aを用いた場合のような加工性や100%モジュラスの低下は観られなかった。
したがって、算術平均粒子径28nm〜48nmのカーボンブラック80phr〜90phrかつ有機過酸化物4.8phr〜5.6phrの配合材料を用いたシール用ゴム組成物および液圧シリンダ用シール部材によれば、加工性や100%モジュラスの低下を招くことなく、摺動性と高剛性化とを両立できることが確認できた。
[実施例3]
次に、前記の配合材料M6と同様の組成で高級脂肪酸アマイドとして主鎖脂肪酸の炭素数がC16(パルミチン酸アマイド),C17(ステアリン酸アマイド),C22(ベヘニン酸アマイド)の何れかのものを配合し、ロール加工により混練して後述の表4に示すように配合材料M6a〜M6cを得、実施例1と同様の方法により試料を作製し各物性,特性を観測し、それら結果について該配合材料M6を用いた場合と共に下記表4に示した。なお、硬度Hs(A)はJIS K6253に準拠した測定により観測し、ブレーキ液に70時間浸漬(温度150℃の雰囲気下で浸漬)された試料Sμの体積変化率ΔV(%)はJIS K6258に準拠した測定により観測した。
次に、前記の配合材料M6と同様の組成で高級脂肪酸アマイドとして主鎖脂肪酸の炭素数がC16(パルミチン酸アマイド),C17(ステアリン酸アマイド),C22(ベヘニン酸アマイド)の何れかのものを配合し、ロール加工により混練して後述の表4に示すように配合材料M6a〜M6cを得、実施例1と同様の方法により試料を作製し各物性,特性を観測し、それら結果について該配合材料M6を用いた場合と共に下記表4に示した。なお、硬度Hs(A)はJIS K6253に準拠した測定により観測し、ブレーキ液に70時間浸漬(温度150℃の雰囲気下で浸漬)された試料Sμの体積変化率ΔV(%)はJIS K6258に準拠した測定により観測した。
表4に示すように、高級脂肪酸の主鎖脂肪酸の炭素数がC16の配合材料M6aを用いた場合は、硬度,100%モジュラスがそれぞれ高く静摩擦係数が低いものの、加工性が劣っていることを読み取れる。また、高級脂肪酸の主鎖脂肪酸の炭素数がC22の配合材料M6cを用いた場合は、硬度,100%モジュラスがそれぞれ高く加工性が良好であるものの、静摩擦係数が高いことを読み取れる。一方、高級脂肪酸の主鎖脂肪酸の炭素数がC17の配合材料M6bを用いた場合は、硬度,100%モジュラスがそれぞれ高く静摩擦係数が低いと共に、加工性も良好であることが読み取れる。
したがって、配合材料において主鎖脂肪酸の炭素数がC17〜C21の高級脂肪酸アマイドを用いたシール用ゴム組成物および液圧シリンダ用シール部材によれば、加工性や摺動性の低下を招くことなく、高剛性化が図れることを確認できた。
[実施例4]
次に、前記の配合材料M6と同様の組成で高級脂肪酸アマイドを0〜4.0phrの範囲内で配合し、ロール加工により混練して後述の表5に示すように配合材料M6d〜M6gを得、実施例1と同様の方法により試料を作製し各物性,特性を観測し、それら結果について該配合材料M6を用いた場合と共に下記表5に示した。なお、引張強度TB(MPa),引張伸度EB(%)をJIS K6251に準拠した測定により観測し、ブレーキ液に70時間浸漬(温度150℃の雰囲気下で浸漬)された試料Sμの硬度変化率ΔHs(point),引張強度変化率ΔTB(%),引張伸度変化率ΔEB(%)をJIS K6258に準拠した測定により観測した。
次に、前記の配合材料M6と同様の組成で高級脂肪酸アマイドを0〜4.0phrの範囲内で配合し、ロール加工により混練して後述の表5に示すように配合材料M6d〜M6gを得、実施例1と同様の方法により試料を作製し各物性,特性を観測し、それら結果について該配合材料M6を用いた場合と共に下記表5に示した。なお、引張強度TB(MPa),引張伸度EB(%)をJIS K6251に準拠した測定により観測し、ブレーキ液に70時間浸漬(温度150℃の雰囲気下で浸漬)された試料Sμの硬度変化率ΔHs(point),引張強度変化率ΔTB(%),引張伸度変化率ΔEB(%)をJIS K6258に準拠した測定により観測した。
表5に示すように、高級脂肪酸アマイドが配合されていない配合材料M6dを用いた場合は、硬度,100%モジュラス,引張強度が高く加工性が良好であるものの、静摩擦係数が高いことを読み取れる。また、高級脂肪酸アマイドの配合量が4.0phrの配合材料M6gを用いた場合は、100%モジュラスが低く、引張強度,引張伸度が高く静摩擦係数が低くなるものの、加工性が劣っていることを読み取れる。一方、高級脂肪酸アマイドの配合量が0.5〜3.0phrの配合材料M6e,M6fを用いた場合は、硬度,100%モジュラス,引張強度,引張伸度が高く静摩擦係数が低くなると共に、加工性が良好であることを読み取れる。
したがって、配合材料において高級脂肪酸アマイドを0.5〜3.0phrの範囲内で用いたシール用ゴム組成物および液圧シリンダ用シール部材によれば、加工性や摺動性の低下を招くことなく、高剛性化が図れることを確認できた。
なお、配合材料M6dと同様の組成でカーボンブラック,有機過酸化物の配合量を種々変化させて配合し、ロール加工により混練して後述の表6に示すように配合材料M6h〜M6kを得、実施例1と同様の方法により試料を作製し各物性,特性を観測したところ、後述の表6に示すように、該配合材料M6dを用いた場合と同様に静摩擦係数は高くなってしまうことが確認できた。
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲内で多様な変形及び修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形及び修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
1…表面性測定機
2…抵抗力伝達手段
2a…縦アーム
2b…横アーム
3…移動台
4…ガラス部材
5…分銅
6…ロードセル
Sμ,Sp…試料
2…抵抗力伝達手段
2a…縦アーム
2b…横アーム
3…移動台
4…ガラス部材
5…分銅
6…ロードセル
Sμ,Sp…試料
Claims (5)
- 少なくとも、エチレンαオレフィン系非共役ジエン共重合体,算術平均粒子径が28nm〜48nmのカーボンブラック,有機過酸化物,高級脂肪酸アマイドを配合したものから成り、
前記のエチレンαオレフィン系非共役ジエン共重合体100phrに対し、前記のカーボンブラックを80〜90phr,有機過酸化物を4.8〜5.6phr配合したことを特徴とするシール用ゴム組成物。 - 前記の高級脂肪酸アマイドは、主鎖脂肪酸の炭素数がC17〜C21であることを特徴とする請求項1記載のシール用ゴム組成物。
- 前記の高級脂肪酸アマイドは、前記のエチレンαオレフィン系非共役ジエン共重合体100phrに対し、0.5〜3.0phr配合したことを特徴とする請求項1または2記載のシール用ゴム組成物。
- 請求項1乃至3の何れかに記載のシール用ゴム組成物から成るものであって、
100%モジュラスが18MPa以上であることを特徴とする液圧シリンダ用シール部材。 - 請求項1乃至3の何れかに記載のシール用ゴム組成物から成るものであって、
静摩擦係数が4.5以下であることを特徴とする液圧シリンダ用シール部材。
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