JP2007105716A - メタクロレインおよび/またはメタクリル酸合成用触媒の製造方法 - Google Patents

メタクロレインおよび/またはメタクリル酸合成用触媒の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】メタクロレインおよび/またはメタクリル酸を高い収率で製造できる触媒、その触媒の製造方法、並びにメタクロレインおよび/またはメタクリル酸を高い収率で製造する方法を提供する。
【解決手段】少なくともモリブデンを含む原料スラリーを乾燥装置へ供給し、該乾燥装置内で前記原料スラリーを乾燥して乾燥粉を得る工程を有する、少なくともモリブデンを含むメタクロレインおよび/またはメタクリル酸合成用触媒の製造方法において、前記乾燥の開始時から終了時までの間、原料スラリーの粘度(単位:kg/(m・s))を原料スラリーの比重(単位:kg/m)で除した値である原料スラリーの比粘度(m/s)が、下記式(I)を満足する。
0.95X≦X≦1.05X (I)
X:原料スラリーの比粘度(m/s)
:乾燥開始時の原料スラリーの比粘度(m/s)
【選択図】なし

Description

本発明はメタクロレインおよび/またはメタクリル酸合成用触媒、その製造方法、およびその触媒を用いるメタクロレインおよび/またはメタクリル酸を製造する方法に関する。
イソブチレン、第三級ブチルアルコール(以下、TBAという。)、メチル第三級ブチルエーテル(以下、MTBEという。)を分子状酸素により気相接触酸化してメタクロレインおよび/またはメタクリル酸を製造する際に使用される触媒としてモリブデンと、ビスマスと、鉄とを含有する酸化物触媒が知られている。このような酸化物触媒を製造する方法としては、モリブデンと、ビスマスと、鉄とを少なくとも含有する原料液を調製した後、原料液から溶媒を除去し、乾燥、焼成などの工程を適宜実施する方法が一般的である。例えば特許文献1には、モリブデンと、ビスマスと、鉄とを少なくとも含有する原料液の調製方法として、予めモリブデンを含有する水溶液または分散液を調製し、これに三酸化ビスマスを加えてから超音波処理し、次いで、これと鉄を含有する水溶液または分散液とを混合するメタクロレインおよび/またはメタクリル酸合成用触媒の製造方法が開示されている。
また、メタクロレインを気相接触酸化してメタクリル酸を合成するメタクリル酸合成用触媒としてモリブデンおよびリンを含むヘテロポリ酸系触媒が有効であることは公知である。例えば、特許文献2には、リン、モリブデンおよびバナジウムを触媒成分元素として含有するヘテロポリ酸系触媒を製造する方法として、触媒成分元素を含有する化合物を混合したスラリーを濃縮または乾燥して、濃縮物または乾燥物中の水分含有量を5〜20質量%に調節した後、100〜250℃で熱処理するメタクリル酸合成用触媒の製造方法が開示されている。
特開平8−24652号公報 特開昭58−51943号公報
しかし、特許文献1および2に記載の方法で製造した触媒を用いた気相接触酸化反応はメタクロレインおよび/またはメタクリル酸の収率が工業触媒としては不十分であり、更なる収率の向上が望まれている。
本発明は、メタクロレインおよび/またはメタクリル酸を高い収率で製造できる触媒、その触媒の製造方法、並びにメタクロレインおよび/またはメタクリル酸を高い収率で製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の第1は、少なくともモリブデンを含む原料スラリーを乾燥装置へ供給し、該乾燥装置内で前記原料スラリーを乾燥して乾燥粉を得る工程を有する、少なくともモリブデンを含むメタクリル酸合成用触媒の製造方法において、前記乾燥の開始時から終了時までの間、原料スラリーの粘度(単位:kg/(m・s))を原料スラリーの比重(単位:kg/m)で除した値である原料スラリーの比粘度(m/s)が、下記式(I)を満足することを特徴とするメタクロレインおよび/またはメタクリル酸合成用触媒の製造方法である。
0.95X≦X≦1.05X (I)
X:原料スラリーの比粘度(m/s)
:乾燥開始時の原料スラリーの比粘度(m/s)
本発明の第2は、第1発明における乾燥開始時の原料スラリーの比粘度が、2.5×10−4〜7.0×10−4/sであるメタクロレインおよび/またはメタクリル酸合成用触媒の製造方法である。
本発明の第3は、第1または2発明の方法で製造された、少なくともモリブデンを含有する触媒が前記式(1)で表される組成を有するメタクロレインおよび/またはメタクリル酸合成用触媒である。
本発明の第4は、第1または2発明の方法で製造された、少なくともモリブデンを含有する触媒が前記式(2)で表される組成を有するメタクリル酸合成用触媒である。
本発明の第5は、第3発明のメタクロレインおよび/またはメタクリル酸合成用触媒を用いて、イソブチレン、TBA、MTBEからなる群より選ばれる少なくとも1種を分子状酸素により気相接触酸化するメタクロレインおよび/またはメタクリル酸の製造方法である。
本発明の第6は、第4発明のメタクリル酸合成用触媒を用いて、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化するメタクリル酸の製造方法である。
本発明によれば、メタクロレインおよび/またはメタクリル酸を高い収率で製造できるメタクロレインおよび/またはメタクリル酸合成用触媒を製造することができ、本発明によるメタクロレインおよび/またはメタクリル酸合成用触媒を用いると、メタクロレインおよび/またはメタクリル酸を高い収率で製造できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法で製造されるメタクロレインおよび/またはメタクリル酸合成用触媒は、イソブチレン、TBA、MTBEからなる群より選ばれる少なくとも1種を分子状酸素により気相接触酸化して、メタクロレインおよび/またはメタクリル酸を製造する際に使用されるものであって、少なくともモリブデン、ビスマスおよび鉄を含有する複合酸化物である。本発明の製造方法で製造される酸化物触媒は、モリブデンと、ビスマスと、鉄とを含むものであれば特に限定されないが、触媒性能が良好であることから、下記式(1)で表される組成のものが好ましい。
Moa1Bib1Fec1d1e1f1g1Sih1i1 (1)
式(1)中、Mo、Bi、Fe、SiおよびOはそれぞれモリブデン、ビスマス、鉄、ケイ素および酸素を示し、Mはコバルトおよびニッケルからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、Xはクロム、鉛、マンガン、カルシウム、マグネシウム、ニオブ、銀、バリウム、スズ、タンタルおよび亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、Yはリン、ホウ素、硫黄、セレン、テルル、セリウム、タングステン、アンチモンおよびチタンからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、Zはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムおよびタリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示す。
また式(1)中、a1、b1、c1、d1、e1、f1、g1、h1およびi1は各元素の原子比を表し、a1=12のとき0.01≦b1≦3、0.01≦c1≦5、1≦d1≦12、0≦e1≦8、0≦f1≦5、0.001≦g1≦2、0≦h1≦20であり、i1は前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比である。
一方、本発明の方法で製造するメタクリル酸合成用触媒は、少なくともモリブデンおよびリンを含有する複合酸化物である。この複合酸化物にはヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸塩の構造が含まれていることが好ましい。触媒が複合酸化物であること、およびヘテロポリ酸および/またはその塩の構造が含まれていることはXRDにより確認できる。
また触媒は、モリブデンおよびリン以外に、カリウム、ルビジウム、セシウム、タリウム等のアルカリ金属を含んでいることが好ましく、さらにこれ以外に、銅、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、クロム、タングステン、マンガン、銀、ホウ素、ケイ素、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、インジウム、イオウ、セレン、テルル、ランタン、セリウム等を含んでいてもよい。特に、次の式(2)の組成式で表される複合酸化物が好ましい。
Moa2b2Cuc2d2e2f2g2 (2)
式(2)中、Mo、P、Cu、VおよびOはそれぞれモリブデン、リン、銅、バナジウムおよび酸素を表し、Xはカリウム、ルビジウム、セシウムおよびタリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を表し、Yは鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、クロム、タングステン、マンガン、銀、ホウ素、ケイ素、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、インジウム、イオウ、セレン、テルル、ランタンおよびセリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を表す。
また式(2)中、a2、b2、c2、d2、e2、f2およびg2は各元素の原子比を表し、a2=12のとき、0.1≦b2≦3、0.01≦c2≦3、0.01≦d2≦3、0.01≦e2≦3、0≦f2≦3であり、g2は前記各成分の原子比を満足するのに必要な酸素の原子比である。
本発明において、上記の少なくともモリブデンを含有する原料スラリー(以下、原料スラリーという。)は、触媒の各構成元素の原料(以下、触媒原料という。)を用いて、例えば、従来の共沈法、酸化物混合法等により調製することができる。原料スラリーの調製に用いる原料は特に限定されず、触媒の各構成元素の、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩、酸化物、ハロゲン化物等を適宜組み合わせて使用することができる。モリブデン原料としては、例えば、パラモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、モリブデン酸、塩化モリブデン等が使用でき、ビスマス原料としては、例えば、硝酸ビスマス、酸化ビスマス等が使用でき、鉄原料としては、例えば、硝酸第二鉄、水酸化鉄、三酸化鉄等が使用でき、リン原料としては、例えば、リン酸、五酸化リン、リン酸アンモニウム等が使用できる。溶媒としては、例えば、水、エチルアルコール、アセトン等が挙げられるが、水を用いることが好ましい。
本発明において、原料スラリーを製造するための装置は、流体を入れる容器(攪拌槽)と流体をかき混ぜる可動部(攪拌翼)から構成される装置であることが好ましく、その形式は特に限定されず、例えば攪拌槽は円筒皿底、オートクレーブなど、攪拌翼はパドル翼(多段翼を含む)、大型翼など一般的に用いられる公知の装置を用いることができる。
本発明において、触媒を製造する好ましい手順としては、例えば、モリブデン酸化物やパラモリブデン酸アンモニウム等のモリブデン原料を水に溶解または懸濁させた後にその他の触媒原料と混合し、得られた原料スラリーを乾燥させ、熱処理する方法が挙げられる。原料スラリー調製時に混合する、その他の触媒原料は、そのまままたは水等の液体媒体に適宜溶解または懸濁させたものが使用できる。また、触媒原料の混合途中または混合後にアンモニア水等を添加してもよい。
本発明において、上記の原料スラリーは、より低い比粘度のスラリーを調製し、そのスラリーを加熱して濃縮することにより調製することが好ましい。濃縮とは、スラリーを加熱し、スラリー中の溶媒等を揮発させる操作のことである。濃縮は、原料混合時と同じ攪拌槽を使用してもよいし、別の反応槽等に移し変えてもよい。濃縮は、スラリーの入った反応槽等の容器を電気ヒーターや蒸気等の熱源を用いて加熱することで行える。濃縮時のスラリーの温度は特に限定されないが、50℃〜120℃が好ましく、90℃〜110℃がより好ましい。濃縮中は適宜粘度および比重を測定し、比粘度が2.5×10−4〜7.0×10−4/sの範囲で濃縮を終了することが好ましく、より好ましくは3.0×10−4〜6.5×10−4/sの範囲である。比粘度とは、粘度(単位:kg/(m・s))を比重(単位:kg/m)で除した値である。粘度は反応槽または原料スラリー循環ラインにおいてインラインで測定してもよいし、原料スラリーの一部をサンプリングして測定してもよい。粘度計は、振動式、B型粘度計等を用いて測定することができる。粘度の測定は原料スラリーを十分に混合した後に行うことが好ましい。比重は原料スラリーの一部をサンプリングし、体積と質量を測定し、質量を体積で除して算出することができる。濃縮期間の粘度および比重の測定は、連続または間欠のどちらでもよいが、5分以内毎に間欠的に測定することが好ましい。また、上記の特定の比粘度になることが予め分かっている条件で濃縮する場合には、粘度および比重は特に測定しなくてもよい。
本発明において、原料スラリーは乾燥装置で乾燥される。本発明において、乾燥とは、原料スラリー中の水分を蒸発させて粉体を得ることを指し、乾燥後の粉体に含まれる水分は5質量%以下が好ましい。乾燥開始までの原料スラリーの保持は、原料混合時や、濃縮を行った場合の濃縮時と同じ槽を使用してもよいし、別の槽に移し変えてもよい。別の槽に移し変える場合には、濃縮時に使用した槽から原料スラリーを全量移し変えた後、濃縮時に使用した槽を触媒調製時に使用した溶媒を用いて洗浄することが好ましく、この洗浄後のスラリーを含む溶媒は、乾燥に適する原料スラリーの比粘度が下記範囲であれば、原料スラリーを移し変えた槽にそのまま投入してもよい。一方、洗浄後のスラリーを含む溶媒を原料スラリーを移し変えた槽に投入することにより、乾燥に適する原料スラリーの比粘度が下記範囲より小さくなる場合は、洗浄後のスラリーを含む溶媒を加熱操作により溶媒量を減じた後に、原料スラリーを移し変えた槽に投入すればよい。
本発明においては、乾燥開始までの期間において、原料スラリーの比粘度を2.5×10−4〜7.0×10−4/sの範囲に保持して、乾燥開始時の原料スラリーの比粘度がこの範囲となるようにすることが好ましい。より好ましくは3.0×10−4〜6.5×10−4/sの範囲である。原料スラリーの調製後、乾燥開始までの期間は特に制限されないが、原料スラリーの物性等が変化しない期間での保持が好ましい。具体的には、0〜30日間が好ましく、0〜5日間がより好ましい。この原料スラリーの調製後、乾燥開始までの期間においては、原料スラリーの比粘度を安定に保持するために、原料スラリーを保持した槽の攪拌を行うことが好ましい。また、原料スラリーを保持した槽から一旦スラリーを抜出し、槽外の配管を通して、再び原料スラリーを保持した槽へ戻すスラリーの循環を行うことが好ましい。槽外の配管としては、原料を保持した槽と乾燥装置へのスラリー供給配管を含むことが好ましい。このような循環を行うことで、スラリーの比粘度を安定に保持できるばかりでなく、配管内の詰りも防止することができる。このスラリーの循環は、定量ポンプ等を用いて行うことができる。
本発明において、原料スラリーを保持する槽から乾燥装置へ原料スラリーを供給し、乾燥装置内で原料スラリーを乾燥して乾燥粉を得る。原料スラリーの乾燥装置への供給は連続でも不連続でもよいが、連続が好ましい。特に不連続の場合は、上記の循環を行うことが好ましい。
本発明においては、乾燥装置における乾燥の開始時から終了時までの間、下記式(I)を満足することが重要である。
0.95X≦X≦1.05X (I)
X:原料スラリーの比粘度(m/s)
:乾燥開始時の原料スラリーの比粘度(m/s)
式(I)の最左辺は0.97Xであることが好ましく、式(I)の最左辺は1.03Xであることが好ましい。
乾燥の開始時から終了時までの間、原料スラリーの比粘度を上記範囲に保つことにより、安定した物性の乾燥粉を調製することができ、結果としてメタクロレインおよび/またはメタクリル酸収率に優れた性能を示す触媒を調製することができる。原料スラリーの比粘度が、乾燥開始時の原料スラリーの比粘度±5%の範囲を超えると、得られる乾燥粉体の粒径が変化し、所定の性能を持つ触媒を得ることができない。具体的には、乾燥開始時の原料スラリーの比粘度+5%を超えると、乾燥粉体の粒径が大きくなり活性が下がる。乾燥開始時の原料スラリーの比粘度−5%より下がると、乾燥粉体の粒径が小さくなり、物質拡散が悪くなって選択性が低下する影響がある。
本発明においては、原料スラリーの比粘度を所定範囲に保つ方法としては、原料スラリーを保持する装置に蓋をする、その装置内で攪拌をする、原料スラリーの温度を一定に保つなどの手段を適宜組み合わせて行うことができる。
特に本発明においては、乾燥開始時から終了時までの間、原料スラリーの比粘度のほか、原料スラリーの温度をできるだけ一定に保つことが好ましい。保持温度には特に制限はなく、乾燥に適した温度で保持すればよいが、50〜90℃が好ましい。原料スラリーの温度は、乾燥開始時の温度に対して±3℃の範囲に保つことが好ましい。
本発明で使用する乾燥装置としては、通常の乾燥装置が挙げられる。連続的に乾燥する装置としては、噴霧乾燥法、気流乾燥法、ドラム乾燥法などの各装置が挙げられ、一方、不連続的に乾燥する装置としては、必要量だけ別の容器に移液する箱型乾燥法、蒸発乾固法などが挙げられる。乾燥温度は特に限定されないが、100℃〜500℃が好ましく、110℃〜400℃がより好ましい。乾燥時間は特に限定されないが、0.1〜48時間が好ましく、0.3〜24時間がより好ましい。
本発明において、原料スラリーの乾燥装置への供給方法は、ポンプで送ってもよいし、乾燥装置より原料スラリーを保持している装置内の圧力を高くして圧力差により供給してもよいが、一定量を供給できる定量ポンプ等を利用するのが好ましい。
得られた乾燥物の平均粒径は、1〜1000μmであることが好ましい。なお、平均粒径とは、レーザー式粒度分布測定装置で測定される粒径分布から読み取ったメジアン径を言う。
次いで、得られた乾燥物は300〜500℃、好ましくは300〜450℃で焼成する。焼成は、空気等の酸素含有ガス流通下および/または不活性ガス流通下で行うことが好ましい。焼成時間は0.5時間以上が好ましく、より好ましくは1〜40時間である。成形触媒を製造する場合は、乾燥物をそのまま焼成し、得られた焼成物を成形してもよいが、乾燥物を予め成形し、得られた成形物を焼成することが好ましい。乾燥物または焼成物の成形方法は特に限定されないが、例えば、打錠成形、押出成形、造粒等の各種の成形法を用いることができる。成形に際しては、比表面積、細孔容積および細孔分布の揃った成形物を再現性良く製造する、成形物の機械的強度を高める等の目的で、例えば、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム等の無機塩類、グラファイト等の滑剤、セルロース類、でんぷん、ポリビニルアルコール、ステアリン酸等の有機物、シリカゾル、アルミナゾル等の水酸化物ゾル、ウィスカー、ガラス繊維、炭素繊維等の無機質繊維等の添加剤や添加物を適宜添加してもよい。成形物の形状は特に限定されず、例えば、球状、円柱状、リング状、板状等が挙げられる。
このよう方法によりメタクロレインおよび/またはメタクリル酸収率の高い触媒が製造できる理由は明らかではないが、乾燥時のスラリーの比粘度を前記の特定範囲にすることにより、安定した性状の乾燥粉を得ることができ、結果として気相接触酸化反応に有利に働く成形体が形成されると推測している。
次に、このようにして得られた本発明の触媒を用いて、イソブチレン、TBA、MTBEからなる群より選ばれる少なくとも1種、あるいはメタクロレイン(以下、これらのまとめて反応原料という。)を気相接触酸化してメタクロレインおよび/またはメタクリル酸を製造する方法について説明する。
気相接触酸化反応(以下、単に反応ともいう。)では、少なくとも反応原料と分子状酸素を含む原料ガスを触媒と接触させる。通常、反応は触媒を充填した管式反応器が使用される。工業的には多管式反応器が好ましく使用される。
反応において、触媒は、必要に応じてシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、マグネシア、チタニア、シリコンカーバイト等の不活性物質で希釈された状態で使用される。
本発明において、反応に用いる原料ガスの濃度は広い範囲で変えることができ、原料ガス中の反応原料の濃度は1〜20容量%が好ましく、特に3〜10容量%が好ましい。原料ガス中の反応原料と酸素とのモル比は、1:0.4〜1:4の範囲が好ましく、特に1:0.5〜1:3の範囲が好ましい。
原料ガスの分子状酸素源には空気を用いるのが工業的に有利であるが、必要に応じて純酸素で富化した空気等も使用できる。また、原料ガスは、窒素、炭酸ガス等の不活性ガス、水蒸気等で希釈されていることが好ましい。
原料のメタクロレインには、水、低級飽和アルデヒド等の実質的に反応に影響を与えない不純物が少量含まれている場合があるが、原料ガスにはこのようなメタクロレイン由来の不純物が含まれていてもよい。
反応圧力は大気圧〜5気圧が好ましく、より好ましくは大気圧〜3気圧である。反応温度は200〜450℃が好ましく、より好ましくは250〜400℃である。原料ガスと触媒の接触時間は1.5〜15秒が好ましく、より好ましくは2〜7秒である。
以下に本発明を実施例および比較例を用いて説明する。ただし、実施例および比較例中の「部」は質量部を意味する。
原料がイソブチレンの場合、原料であるイソブチレンの反応率、並びに生成物であるメタクロレインの選択率、メタクリル酸の選択率、メタクロレインおよびメタクリル酸の合計単流収率(以下、合計単流収率という。)はそれぞれ以下のように定義される。
イソブチレンの反応率(%)=(B1/A1)×100
メタクロレインの選択率(%)=(C1/B1)×100
メタクリル酸の選択率(%)=(D1/B1)×100
合計単流収率(%)=(C1+D1)/A1×100
ここで、A1は供給した原料イソブチレンのモル数、B1は反応した原料イソブチレンのモル数、C1は生成したメタクロレインのモル数、D1は生成したメタクリル酸のモル数である。
また原料がメタクロレインの場合、原料であるメタクロレインの転化率、並びに生成物であるメタクリル酸の選択率および単流収率は、以下のように定義される。
メタクロレイン反応率(%)=(B2/A2)×100
メタクリル酸選択率(%)=(C2/B2)×100
メタクリル酸単流収率(%)=(C2/A2)×100
ここで、A2は供給したメタクロレインのモル数、B2は反応したメタクロレインのモル数、C2は生成したメタクリル酸のモル数である。
実施例および比較例において、原料ガスおよび生成物の定量はガスクロマトグラフィーで行った。原料スラリーの粘度(kg/(m・s))は、原料スラリーの一部をサンプリングし、固形分が分離しないように十分に攪拌を行った後にB型粘度計を用いて測定した。原料スラリーの比重(kg/m)は、原料スラリーの一部をサンプリングし、体積(m)と質量(kg)を測定し、質量を体積で除して算出した。濃縮中のこれらの測定は5分間隔で行った。比粘度(m/s)は粘度(kg/(m・s))を比重(kg/m)で除して算出した。触媒が複合酸化物であること、およびヘテロポリ酸および/またはその塩の構造が含まれていることはXRDにより確認した。
[実施例1]
パドル翼(1段)付の攪拌槽(加熱、冷却用ジャケット付)に、純水1000部に対して、パラモリブデン酸アンモニウム500部、パラタングステン酸アンモニウム6.2部、硝酸セシウム23.0部、三酸化アンチモン24.0部および三酸化ビスマス33.0部を順次加え(A液)、加熱攪拌を開始した(以下、濃縮終了まで攪拌を継続した)。別にパドル翼(1段)付の攪拌槽に、純水1000部に対して、硝酸第二鉄209.8部、硝酸ニッケル75.5部、硝酸コバルト453.3部および硝酸鉛31.3部を順次加え、溶解した(B液)。ついで、A液にB液を加えて水性スラリーとして、このスラリーを101℃まで加熱し、濃縮を開始した。濃縮開始時のスラリーの粘度は0.05kg/(m・s)、比重は1.27×10kg/mで、比粘度は0.390×10−4/sであり、スラリーの粘度が0.87kg/(m・s)、比重が1.44×10kg/mで、比粘度が6.04×10−4/sの時点で加熱を停止して濃縮を終了した。濃縮終了後、直ちに攪拌槽の原料投入口に蓋をして、濃縮後スラリーを攪拌しながら70℃に降温した。
次にこの濃縮後スラリー(原料スラリー)を70±1.5℃の範囲に設定した撹拌槽中で保持しながら噴霧乾燥機にて乾燥を行った。なお、乾燥は入口熱風温度;300℃、出口温度;120〜130℃でロータリーアトマイザー回転数;15,000rpmの条件で行い、乾燥には16時間を要した。この間、原料スラリーの比粘度は最大6.14×10−4/s、最小は5.95×10−4/sであり、乾燥開始時に対してそれぞれ+1.7%、−1.5%であった。なお、乾燥期間中(16時間)に原料スラリーの温度は60℃±1℃で保持されていた。得られた乾燥粉体をよく混合し、レーザー式粒度分布測定装置で粒径を測定したところ、50%における平均粒径(メジアン径)は55μmであった。
このようにして得られた乾燥粉体500部に対してヒドロキシプロピルメチルセルロース20部およびカードラン5部を添加した後、よく乾式混合した。この混合物と純水190部を双腕式ニーダーに投入し、粘土状物質になるまで混練を行った。得られた粘土状物質を押出成形機により、外形5mm、内径2mm、平均長さ5mmのリング状に成形した。得られた触媒成形体を空気流通下110℃熱風乾燥機を用いて乾燥を行い、その後、この触媒成形体を400℃にて3時間焼成して、触媒成形体の最終焼成体を得た。
得られた触媒の酸素以外の元素の組成は、Mo120.1Bi0.6Fe2.2Sb0.7Ni1.1Co6.6Pb0.4Cs0.6であった
この触媒を反応管に充填し、イソブチレン5%、酸素12%、水蒸気10%、窒素73%(容量%)の混合ガスを、大気圧下、反応温度340℃、接触時間3.6秒で通じてイソブチレンの気相接触酸化反応を行った。この結果を表1に示した。
[比較例1]
乾燥期間中の攪拌槽の原料投入口の蓋を閉めず、かつ撹拌槽Aの温度のコントロールをせずに原料スラリーを保持した点以外は、実施例1と同様にして触媒を製造およびメタクロレインの気相接触酸化反応を行った。なお、乾燥期間中(16時間)に原料スラリーの温度は70℃から35℃に低下した。乾燥期間中の原料スラリーの比粘度の最大値及び最小値、並びに気相接触酸化反応結果を表1に示した。
[実施例2]
パドル2段翼付の攪拌槽(加熱、冷却用ジャケット付)に純水400部を投入し80rpmで攪拌を開始した(以下、濃縮終了まで攪拌を継続した)。そこへ三酸化モリブデン100部、85質量%リン酸水溶液7.3部、五酸化バナジウム3.2部、酸化銅0.5部、酸化鉄0.2部、硝酸セリウム2.5部を加え、95℃で5時間加熱攪拌を行った。この液を50℃まで冷却した後、硝酸セシウム11.3部を純水30部に溶解した溶液を滴下し15分間攪拌した。次いでこの液を70℃に昇温し、29質量%アンモニア水37.4部を滴下し、50℃で15分間攪拌した。さらにこのスラリーを101℃まで加熱し、濃縮を開始した。濃縮開始時のスラリーの粘度は0.03kg/(m・s)、比重は1.25×10kg/mで、比粘度は0.240×10−4/sであり、スラリーの粘度が0.95kg/(m・s)、比重が1.60×10kg/mで、比粘度が5.94×10−4/sの時点で加熱を停止して濃縮を終了した。濃縮終了後、直ちに攪拌槽Aの原料投入口に蓋をして、濃縮後スラリーを攪拌しながら80℃に降温した。
次にこの濃縮後スラリー(原料スラリー)を80±1.0℃の範囲に設定した撹拌槽中で保持しながら噴霧乾燥機にて乾燥を行った。なお、乾燥は入口熱風温度;300℃、出口温度;110〜120℃でロータリーアトマイザー回転数;18,000rpmの条件で行い、乾燥には10時間を要した。この間、原料スラリーの比粘度は最大6.01×10−4/s、最小は5.81×10−4/sであり、乾燥開始時に対してそれぞれ+1.2%、−1.3%であった。なお、乾燥期間中(10時間)に原料スラリーの温度は80℃±1℃で保持されていた。得られた乾燥粉体をよく混合し、レーザー式粒度分布測定装置で粒径を測定したところ、50%における平均粒径(メジアン径)は35μmであった。
このようにして得られた乾燥粉体100部に対してヒドロキシプロピルセルロース3部およびエチルアルコール30部を添加した後、双腕式ニーダーで混練を行った。得られた粘土状物質を押出成形機により、外形5mm、長さ5mmの円柱状に成形した。得られた成形品を空気流通下、370℃にて12時間焼成して、P1.1Mo120.6Cu0.1Fe0.05Ce0.1Cs1.0なる組成(酸素およびその原子比は省略、以下同じ)のヘテロポリ酸およびその塩の構造を含む複合酸化物触媒を得た。
この触媒を反応管に充填し、メタクロレイン5%、酸素10%、水蒸気30%、窒素55%(容量%)の混合ガスを、大気圧下、反応温度285℃、接触時間3.6秒で通じてメタクロレインの気相接触酸化反応を行った。この結果を表2に示した。
[実施例3]
乾燥期間中の攪拌槽の原料投入口の蓋を閉めずに原料スラリーを保持した点以外は、実施例2と同様にして触媒を製造およびメタクロレインの気相接触酸化反応を行った。なお、乾燥期間中(10時間)に原料スラリーの温度は80℃から74℃に低下した。乾燥期間中の原料スラリーの比粘度の最大値及び最小値、並びに気相接触酸化反応結果を表2に示した。
[比較例2]
乾燥期間中の攪拌槽の原料投入口の蓋を閉めず、かつ撹拌槽Aの温度のコントロールをせずに原料スラリーを保持した点以外は、実施例2と同様にして触媒を製造およびメタクロレインの気相接触酸化反応を行った。なお、乾燥期間中(10時間)に原料スラリーの温度は80℃から55℃に低下した。乾燥期間中の原料スラリーの比粘度の最大値及び最小値、並びに気相接触酸化反応結果を表2に示した。
[比較例3]
乾燥期間中の攪拌槽の原料投入口の蓋を閉めず、かつ撹拌槽の温度のコントロールをせずに原料スラリーを保持し、かつ乾燥機への原料スラリー供給を2時間経過後に一旦止め、2時間放置後、乾燥を再開する操作を繰り返した点以外は、実施例2と同様にして触媒を製造およびメタクロレインの気相接触酸化反応を行った。乾燥期間は18時間を要し、原料スラリーの温度は80℃から35℃に低下した。乾燥期間中の原料スラリーの比粘度の最大値及び最小値、並びに気相接触酸化反応結果を表2に示した。
[実施例4]
パドル1段翼付の原料混合槽(加熱、冷却用ジャケット付)に純水200部を投入し90rpmで攪拌を開始した(以下、濃縮終了まで攪拌を継続した)。そこへパラモリブデン酸アンモニウム100部を溶解し、さらにメタバナジン酸アンモニウム3.4部、85質量%リン酸水溶液6.6部を純水30部に溶解した溶液を加え、10分間攪拌を続けた。ここに、三酸化アンチモン2.1部、硝酸銅1.1部を純水30部に溶解した溶液および60%砒酸水溶液2.2部を純水10部に溶解した溶液を順次加え、これを攪拌しながら90℃まで加熱し、液温を90℃に保ちつつ5時間過熱攪拌した後に、硝酸セシウム9.2部を純水100部に溶解した溶液をこれに加え15分間攪拌してスラリーを得た。このスラリーを101℃まで加熱し、攪拌しながら濃縮を開始した。濃縮開始時のスラリーの粘度は0.02kg/(m・s)、比重は1.22×10kg/mで、比粘度は0.16×10−4/sであった。濃縮中は温度を101℃に保ち、スラリーの粘度が0.65kg/(m・s)、比重が1.61×10kg/mで、比粘度が4.04×10−4/sの時点で加熱を停止して濃縮を終了した。
濃縮終了後、直ちに原料混合槽から攪拌槽A(電気ヒーター付)に濃縮後スラリー(原料スラリー)を移液し、攪拌槽Aの原料投入口に蓋をして、原料スラリーを攪拌しながら85℃に調整した。
次にこの原料スラリーを85±1℃の範囲に設定した撹拌槽A中で保持しながら、ドラムドライヤーで乾燥した。原料スラリーの供給はロータリーポンプで連続でおこなった。乾燥には8時間を要した。この間、原料スラリーの比粘度は最大4.14×10−4/s、最小は3.97×10−4/sであり、乾燥開始時に対してそれぞれ+2.4%、−1.8%であった。なお、乾燥期間中(8時間)に原料スラリーの温度は85℃±1℃で保持されていた。得られた乾燥粉体をよく混合し、レーザー式粒度分布測定装置で粒径を測定したところ、50%における平均粒径(メジアン径)は43μmであった。
このようにして得られた乾燥粉体100部に対してグラファイト2部を添加した後、打錠成形機により、外形5mm、内径2mm、長さ5mmのリング状に成型した。得られた成形品は空気流通下、380℃にて6時間焼成して、P1.2Mo120.6Cu0.1Sb0.3As0.2Csなる組成のヘテロポリ酸およびその塩の構造を含む複合酸化物触媒を得た。
この触媒を反応管に充填し、反応温度を295℃にした点以外は、実施例2と同様にしてメタクロレインの気相接触酸化反応を行った。この結果を表2に示した。
[比較例4]
実施例4において、乾燥期間中の攪拌槽Aの原料投入口の蓋を閉めず、かつ温度のコントロールをせずに原料スラリーを保持した点以外は、実施例4と同様にして触媒を製造およびメタクロレインの気相接触酸化反応を行った。なお、乾燥期間中(8時間)に原料スラリーの温度は85℃から60℃に低下した。乾燥期間中の原料スラリーの比粘度の最大値及び最小値、並びに気相接触酸化反応結果を表2に示した。
Figure 2007105716
Figure 2007105716

Claims (6)

  1. 少なくともモリブデンを含む原料スラリーを乾燥装置へ供給し、該乾燥装置内で前記原料スラリーを乾燥して乾燥粉を得る工程を有する、少なくともモリブデンを含むメタクロレインおよび/またはメタクリル酸合成用触媒の製造方法において、前記乾燥の開始時から終了時までの間、原料スラリーの粘度(単位:kg/(m・s))を原料スラリーの比重(単位:kg/m)で除した値である原料スラリーの比粘度(m/s)が、下記式(I)を満足することを特徴とするメタクロレインおよび/またはメタクリル酸合成用触媒の製造方法。
    0.95X≦X≦1.05X (I)
    X:原料スラリーの比粘度(m/s)
    :乾燥開始時の原料スラリーの比粘度(m/s)
  2. 前記乾燥開始時の原料スラリーの比粘度Xが、2.5×10−4〜7.0×10−4/sである請求項1記載のメタクロレインおよび/またはメタクリル酸合成用触媒の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法で製造された、少なくともモリブデンを含有する触媒が、次の式(1)で表される組成を有することを特徴とするメタクロレインおよび/またはメタクリル酸合成用触媒。
    Moa1Bib1Fec1d1e1f1g1Sih1i1 (1)
    式(1)中、Mo、Bi、Fe、SiおよびOはそれぞれモリブデン、ビスマス、鉄、ケイ素および酸素を示し、Mはコバルトおよびニッケルからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、Xはクロム、鉛、マンガン、カルシウム、マグネシウム、ニオブ、銀、バリウム、スズ、タンタルおよび亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、Yはリン、ホウ素、硫黄、セレン、テルル、セリウム、タングステン、アンチモンおよびチタンからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、Zはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムおよびタリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示す。a1、b1、c1、d1、e1、f1、g1、h1およびi1は各元素の原子比を表し、a1=12のとき0.01≦b1≦3、0.01≦c1≦5、1≦d1≦12、0≦e1≦8、0≦f1≦5、0.001≦g1≦2、0≦h1≦20であり、i1は前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比である。
  4. 請求項1または2に記載の方法で製造された、少なくともモリブデンを含有する触媒が、次の式(2)で表される組成を有することを特徴とするメタクリル酸合成用触媒。
    Moa2b2Cuc2d2e2f2g2 (2)
    式(2)中、Mo、P、Cu、VおよびOはそれぞれモリブデン、リン、銅、バナジウムおよび酸素を表し、Xはカリウム、ルビジウム、セシウムおよびタリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を表し、Yは鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、クロム、タングステン、マンガン、銀、ホウ素、ケイ素、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、インジウム、イオウ、セレン、テルル、ランタンおよびセリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を表す。
    また式(2)中、a2、b2、c2、d2、e2、f2およびg2は各元素の原子比を表し、a2=12のとき、0.1≦b2≦3、0.01≦c2≦3、0.01≦d2≦3、0.01≦e2≦3、0≦f2≦3であり、g2は前記各成分の原子比を満足するのに必要な酸素の原子比である。
  5. 請求項3に記載のメタクロレインおよび/またはメタクリル酸合成用触媒を用いて、イソブチレン、第3級ブチルアルコール、メチル第3級ブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種を分子状酸素により気相接触酸化するメタクロレインおよび/またはメタクリル酸の製造方法。
  6. 請求項4に記載のメタクリル酸合成用触媒を用いて、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化するメタクリル酸の製造方法。
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