JP2007105550A - 粉粒体噴射工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】増粘剤(V)を水(W)と均一に混合し(図3の3−2)、混合(図3の3−2)された水(W)と増粘剤(V)に(図3の3−2における「V+W」に)比重の大きな粉粒体(例えば、0価の還元鉄粉:F)を均一に混合し(図3の3−3)、比重の大きな粉粒体(F)と水と増粘剤(V)との混合物を中圧以上の吐出圧で且つ比重の大きな粉粒体(F)が噴流中を均一に分布した状態で土壌(G)中に噴射し、当該粉粒体を土壌(G)中で均一に混合する(図4の4−3〜4−4)。
【選択図】図3
Description
係る技術を、例えば改良するべき地盤を高圧流体で切削しつつ固化材を混合、撹拌して地中固結体を造成する技術(例えば、特許文献1)に応用した場合には、高圧流体が地盤を切削することが出来る距離が長くなり、地中固結体の径方向寸法を大きくすることが出来ることが予想される。
その結果、半径方向について、組成が不均一な改良体が出来てしまう。
ここで、図1で示す様に、ノズルNから噴射された切削用高圧水ジェットJと粉粒体Fの到達距離は常に等しいことが望ましい。
また、「比重が大きな粉粒体」とは、比重が4.0以上の粉粒体を意味しており、例えば、比重が7.8の鉄の粉粒体(鉄粉)や、酸化鉄(例えば、比重が5.24の三酸化二鉄Fe2O3)の粉粒体等が該当する。
そして本発明によれば、増粘剤(V)と水(W)と比重の大きな粉粒体(例えば、鉄粉F)との混合物を中圧以上の吐出圧で土壌中に噴出し、且つ、増粘剤(V)と水(W)と比重の大きな粉粒体(例えば、鉄粉F)との混合物の噴流中で、比重の大きな粉粒体(例えば、鉄粉F)は当該噴流(ジェットJ)中で均等に分布しながら噴射されているので、単に比重の大きな粉粒体を水に混ぜた状態で噴射した場合の様に噴流(ジェットJ)と粉粒体(F)とが分離すること無く、地盤(G)中に比重の大きな粉粒体(F)が均一に分布する。
ここで、増粘剤の粘性が低下するのは、衝突時の衝撃により増粘剤(V)のポリマー結合の一部が破壊されるためと思慮される。
先ず、図1に基づいて、本発明の原理を説明する。図1では、増粘剤Vと水(図1では増粘剤Vのみを図示)と鉄粉Fとの混合物が、ノズルNから噴射されている状態が示されている。ここで鉄粉Fは、ノズルNから噴射される噴流(ジェットJ)中を均等に分布しながら噴射されている。
そのように、単に水に鉄粉を混ぜた状態で噴射した場合は、例えば、円柱状地中固結体の造成等に用いた場合には、円柱の半径方向外方にのみ鉄粉が分布して、半径方向について成分(鉄粉の分布)が不均一な円柱状地中固結体が造成されてしまう。
例えば、本発明を円柱状地中固結体の造成等に適用した場合には、円柱の半径方向について、鉄粉Fの分布が均一となり、半径方向について成分が均一な良質の円柱状地中固結体が造成されることとなる。
当該実験は3回行われ、衝突前における増粘剤Vの水溶液の粘度は何れも230mPa・sであったが、衝突後の粘度は、55mPa・s、66mPa・s、65mPa・sであった。この実験結果から、衝突後に増粘剤の粘性が低下することが明らかである。
混合領域H(図4参照)に地下水が流入可能となった後、鉄粉Fが露出するので(図2の2−5)、当該領域に流入した地下水中に汚染物質(例えば、揮発性物質VOC)が存在すれば、当該汚染物質は鉄粉(0価の還元鉄粉)Fにより浄化され、混合領域より流出する。
当該実験から、透水係数は混合後10日では十分に自然分解が進んでおらず混合体外で透水係数が0.012cm/sに対して0.0051cm/sであったが、72日後には混合体内でも0.011cm/sまで透水係数が高くなった。このことから、増粘剤Vが自然分解することにより透水性が良好となることが明らかである。
増粘剤Vと水と鉄粉Fとの混合物として存在している状態では鉄粉FはVOCと反応し得ないが、上述したように、土壌に衝突した衝撃及び自然分解により、増粘剤Vが鉄粉Fの周囲から離隔して鉄粉Fが露出すれば、0価の還元鉄粉Fが混合領域内(図4の符号「H」で示す混合領域)へ流入する地下水中のVOCと反応するのである。
ここで使用される鉄粉の粒径は50μm前後(数μm〜100μmの範囲)が好ましい。
図3の3−1で示す清水タンク1に清水Wが溜められ、必要に応じて、その清水Wが圧送用ポンプ2によって供給ラインL1を介して増粘剤溶解タンク3(図3の3−2)に圧送される。
図3の3−2において、符号40は撹拌用ポンプ、符号50は排出用ポンプを示す。
増粘剤Vは植物性のポリマーであるため、土壌中に残留しても、地中の微生物で分解されるからである。
混合領域の透水性は若干低下するが、合成樹脂性の増粘剤を使用することも可能である。
図3及び図5〜図8で示す手法では、増粘剤Vと水Wとを均一に混合した後に、鉄粉Fを混合している。
単に水の中に鉄粉と増粘剤とを放り込むだけでは、いわゆる「だま」が形成されてしまい、均一に混合しないからである。
エルボ管6及びストレート接続管7は(図5では示していないが)前記供給管L1に連通しており、以って、清水タンク1の清水及び増粘剤溶解タンクの液と夫々連通している。
篩い部材9における目の粗い篩い91側の端部には吸入管10の一端が接続されている。吸入管10の他端は、増粘剤受容器11の増粘剤Vの中に挿入されている。
振動発生装置13を取り付けたジェットミキサ4を供給管L1(図3参照)に介装したのは以下の理由からである。
即ち、清水タンク1からポンプ2で清水をジェットミキサ4に圧送させ、増粘剤Vをベンチュリー管5のベルヌーイの定理を利用して吸入管10で吸い上げ、水と接触させた後、図示しない乱流発生部で混練を行うようにしているが、気圧差で増粘剤受容器11から吸い込まれた増粘剤Vは、集合体となってジェットミキサ4に流入する。
ここで、そのままでは水は個々の増粘剤Fの粒子に直接接触せず、間接的に接触する状態で粉粒体が「だま」を形成しやすい。その結果、「だま」が完全に溶解するまで、増粘剤V添加に対する本来の機能が発現できないと言う問題がある。
第1の部材9A〜第4の部材9Dは夫々雄ねじ、雌ねじが螺合し合って一体に構成されている。
そして、吸引された粉体状の増粘剤Vの集合体を篩い機9の篩い91、92に衝突させることで、増粘剤Vを清水W中に加えても「ダマ」とならない粉塵状態に発現させることが出来る。
また、篩い機9に取り付けたバイブレータ13によって振動を与え、増粘剤Vの篩91、92に対する目詰まりも防止出来る。
図3の3−3では、粉粒体混練タンク14の上方中央部に粉粒体である鉄粉Fの投入用ホッパ60が設けてある。鉄粉Fを投入するに際しては、ホッパ60の上方に鉄粉Fを充填した袋70を配置し、袋70の下部を例えばカッター(図示せず)で切り裂くことにより、鉄粉をホッパ60に落下せしめて導入する。
図8において、粉粒体混練タンク14の底部は、タンク中央部が下がるような4枚の傾斜面14aで部分四角錐が形成され、その中央に窪み部14bが形成されている。
中央の窪み部14b近傍にはリフト用のポンプ16が取り付けられ、リフト用ポンプ16の吐出口にはタンク上方まで延在し反転して下向きに開口したリフト用配管17が接続されている。
更に、中央の窪み部14b近傍には撹拌用ポンプ18が取り付けられ、その撹拌用ポンプ18の吐出口には噴射向きが窪み部14bに斜め上方から底面に向うように構成された撹拌用配管19が接続されている。
尚、図8において符号14dは、水と増粘剤と鉄粉との混合流体Mの取出し口を示している。
窪み部14bに沈降した比重の大きな鉄粉Fは、リフト用ポンプ16に吸い上げられ、リフト用配管17でタンク上方に放出される。
窪み部14bに沈降した鉄粉Fはリフト用配管17でタンク上方に放出されるのに加えて、その一部は、撹拌用ポンプ18から噴射されるジェット噴流によって、タンク上方へ巻き上げられる。
さらに鉄粉Fは、水平方向撹拌用ポンプ15から噴射されるジェット噴流によって、タンク内を渦巻く様に旋回して流れる。
その結果、比重の大きな鉄粉Fは沈降して底部に貯留してしまうこと無く、増粘剤Vが溶けた水WVと均一に撹拌・混練されるのである。そして、増粘剤Vが溶けた水WV(水Wと増粘剤Vとの混合物)に鉄粉Fが撹拌・混練されることによって、鉄粉Fと水Wと増粘剤Vとの混合物が出来上がり、当該混合物の中で、鉄粉Fは偏在すること無く、均一に分布する。
貯蔵用タンク20には複数の撹拌用ポンプ21が設けてあり、撹拌用ポンプ21を作動させて混合流体Mを均一状態に保っている。
図示の例では、同一仕様の貯蔵用タンク20を2台有しており、その貯蔵用タンク20は夫々搬送ポンプ22を介したラインL4によって計量器23に接続し、更にラインL5で超高圧ポンプ24に接続している。
先ず、図4の4−1で、削孔手段であるボーリングロッド31を吊り下げ装置30によって吊り下げた状態で、施工領域である土壌Gにボーリング孔hを削孔する。
図4の4−2はボーリング孔hが削孔された状態を示している。
混合手段33の先端には、噴射ノズル34を設けた噴射装置(モニタ)が取り付けられている。混合手段33の上端には2重管自在継手35が取り付けられている。
明確には図示されていないが、噴射ノズル34は混合流体M用のノズルの周囲を高圧エア用のノズルが囲む様に配置されている。そして、噴射される混合流体Mのジェットは、高圧エアのジェットによって包囲され、流速を増加させるように構成されている。
混合ジェットJcを噴射しつつ地上側に混合手段33全体を上昇させることにより、符号Hで示す様な範囲まで土壌を切削するとともに、符号Hで示す範囲(混合領域)の土壌中に鉄粉Fを均一に混合せしめる。
増粘剤Vと水と鉄粉Fとの混合物(混合流体)が土壌に衝突すると、鉄粉Fは当該衝突位置で停止する。その結果、図4の4−3、4−4において符号Hで示す範囲では、半径方向(ジェットJcが噴射される方向)について、鉄粉Fは土壌中で均一に分布される。
土壌に衝突した際に、増粘剤Vはその粘性を低下する。その後、自然分解することにより、増粘剤Vは鉄粉Fから剥離或いは分離して、鉄粉Fが露出する。
そして、水Wと混合した増粘剤V中を鉄粉Fが均一に撹拌されることにより、鉄粉Fと水と増粘剤Vとの混合物(混合流体)が土壌中に噴射出来ることが確認された。それと共に、当該混合物(混合流体)が流れるポンプや搬送ラインにおいて摩耗による損傷が発生しないことが確認された。
しかし、増粘剤Vと水と鉄粉Fと混合物を水と共に中圧以上の吐出圧で地盤中に噴射する場合には、土壌Gに衝突して、増粘剤Vの粘性が低下した後、増粘剤Vは自然分解して、鉄粉Fの周囲から離隔する。その結果、鉄粉Fが混合した土壌の透水性が良好となり、地下水が流入、流出可能となる。そして、鉄粉Fが露出されているため、土壌或いは地下水にVOCが包含されていると、鉄粉と反応して浄化されるのである(図2参照)。
即ち、施工領域或いは混合領域(図4の符号Hで示す領域)の地盤は、VOCを含まない良質の土壌に浄化される。
2・・・圧送用ポンプ
3・・・増粘剤溶解タンク
4・・・ジェットミキサ
5・・・ベンチュリー管
6・・・エルボ管
9・・・篩い部材
10・・・吸入管
13・・・振動発生器/バイブレータ
14・・・粉粒体混練タンク
15・・・水平方向撹拌用ポンプ
16・・・リフト用ポンプ
18・・・撹拌用ポンプ
20・・・貯蔵タンク
24・・・超高圧ポンプ
31・・・削孔手段/ボーリングロッド
33・・・混合手段
34・・・噴射ノズル
35・・・2重管自在接手
Claims (4)
- 増粘剤を水と均一に混合する工程と、該工程で混合された水と増粘剤に比重の大きな粉粒体を均一に混合する工程と、比重の大きな粉粒体と水と増粘剤との混合物を中圧以上の吐出圧で且つ比重の大きな粉粒体が噴流中を均一に分布した状態で土壌中に噴射し、当該粉粒体を土壌中で均一に混合する工程、とを有することを特徴とする粉粒体噴射工法。
- 比重の大きな粉粒体と水と増粘剤との混合物が土壌と衝突した際に増粘剤の粘性が低下し、粘性が低下した増粘剤が比重の大きな粉粒体の周囲から離隔する工程、を有する請求項1の粉粒体噴射工法。
- 増粘剤として自然地盤中の微生物により容易に分解されるものが選択され、粘性が低下した増粘剤が自然分解されて水と同レベルまで粘性が低下する工程を有する請求項1又は請求項2の粉粒体噴射工法。
- 混合された水と増粘剤に比重の大きな粉粒体を均一に混合する前記工程では、当該工程を行う機器の底部に形成された傾斜により比重の大きな粉粒体を一箇所に集中して沈降せしめ、一箇所に沈降した比重の大きな粉粒体を前記機器上部まで上揚し、前記機器の側壁部に設けられた流体機器により前記機器内部で旋回流を生じせしめると共に、一箇所に沈降した比重の大きな粉粒体を機器上方へ巻き上げている請求項1〜3の何れか1項の粉粒体噴射工法。
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