JP2681813B2 - 分散液調製装置 - Google Patents

分散液調製装置

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は粉体を迅速に水、溶剤などに分散させ、均一
な分散液を得るための分散液調製装置に関する。
(従来の技術) セメント、ベンナイト、カルボキシメチルセルロース
などの粉体を水に分散させて、分散液すなわちセメント
ミルク、安定液、粘稠液などを調製することは、例えば
建築、土木の分野では頻繁に実施される避けることので
きない作業である。
この場合、通常は縦型の回転撹拌翼を有する撹拌装置
を用いて分散液の調製がなされている。しかしこのよう
な装置では粉体が上方から供給されるが粉体の密度が低
かったり、粉体が壁面や液面に衝突するために、それが
液中に完全に入るまでに空中に粉塵として舞い上りやす
く、作業環境を汚染する傾向がある。また瞬時に水と粉
体が接触するために、難分散性の粉体の場合には、すぐ
に核が粉末でその周縁に不透水性の膜を有するままこを
形成してしまい、これが撹拌される液と同様の挙動をす
るため、均一な分散液が得られるまでに非常に時間が掛
ってしまう欠点がある。さらに装置にデッドスペースが
存在していたり、撹拌能力が不足している場合には、密
度の高いままこなどが沈降して底部に付着沈殿すること
がある。
したがってかなりの長時間の撹拌を行った後に液を排
出させても、底部やデッドスペースなどに未分散の沈殿
物の残存していることが多かった。またこの形式の装置
では、一般に大量の分散液を調製することが困難であ
り、回分式で何回も分散液を調製して、大型の貯槽に送
るという面倒な方法を採らざるを得なかった。
土木分野においては、大量の分散液を調製するため
に、大型の分散液調製槽を準備し、その調製槽内の液を
ポンプにより循環しつつ分散液を調製する方法が採られ
ることもある。すなわち粉体を吸引しつつ循環液と混合
しながら分散液を調製するものであるが、この場合でも
粉体と液の接触混合の時間が短いことから撹拌効果が不
足すること、デッドスペースの存在することなどから均
一な分散液を得ることが困難であった。すなわち調製槽
内の分散液の撹拌はポンプにより循環ラインよりの戻り
による効果しか期待し得ないので、高粘性の分散液を調
製する場合は均一なものを得ることが実質的にできなく
なる。
(発明が解決しようとする課題) したがって、従来より用いられている装置では、比較
的短時間内に均一な分散液を調製することができなかっ
た。また大量の分散液を調製する場合には、デッドスペ
ースに残存する沈降分を計算に入れて粉体分をやや多く
供給して調製する方法を採用するかあるいは小さな装置
を用いて回分式で複数回調製するような面倒な方法を採
らざるを得なかった。
また高粘性の分散液、例えばベントナイトを10%以上
含む安定液を一挙に大量に調製することは実際上不可能
であった。
このような事情に鑑みて、本発明者らは上述の欠点の
殆どを克服して、高粘性の分散液でも短時間内に均一に
調製し得る装置を開発するために鋭意研究を重ねた結
果、遂に本発明の調製装置を得るに至った。
(課題を解決するための手段) すなわち本発明は、分散液調製槽と、該調製槽内の液
をポンプにより抜き出して該液を再び調製槽に戻す循環
ラインから構成され、該循環ラインに一旦分岐した後再
び合流部で合流する分岐管構造を設けた分散液調製装置
であって、前記分岐管の一方には粉体の供給手段からの
粉体を液流の作用により吸入混合するための粉体混合部
が設けられ、他方には液を噴出するオリフィスを有する
噴出部が設けられ、前記分岐管の合流部において混合部
からの混合流と噴出部からの噴出流が30〜150゜の角度
で衝突して、分散させるとともにその下流側の前記調製
槽までの循環ライン部を圧力開放構造としたことを特徴
とする分散液調製装置を提供するものである。
(実施例) 以下に実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明す
る。第1図は本発明の具体例を示す模式図であり、第2
図はその要部を拡大して示す一部断面図である。図中1
は分散液調製槽であり、この槽の底部側方には弁2を介
して循環ポンプ3が取り付けられており、弁4を経て槽
1内の液5が循環ライン6に送られるようになってい
る。循環ライン6は途中で分岐して同じ径の分岐管7及
び8となり、分岐管7には分散液を調製するための粉体
9の貯槽10が設けられ、粉体供給装置(スルリューフィ
ーダ)11により、粉体供給口12より粉体9が分岐管内に
供給されるようになっている。分岐管7内には、エジェ
クター13が設けられ、他方の分岐管8にはオリフィス14
が設けられ、それぞれの分岐管7、8を経た循環液は合
流部15により合流して1本の配管22内を通って吐出口21
を経て調製槽1に戻るようになっている。なおオリフィ
ス14及びエジェクター13の噴出先は合流部15内の17の部
分にて遭遇されるように設計されている。また18はポン
プ3の吐出圧力を看るための圧力計である。また、22の
配管は、その管径を大きくすることで圧力開放構造とし
ている。
この装置を用いて分散液を調製する方法を以下に示
す。まず調製槽1内に所定量の水を張り、弁2、19、20
を開いて、ポンプ3を運転する。圧力計18が所定の圧力
に達すれば、弁4を開き、槽1の液を循環ライン6、分
岐管7と8、循環ライン6の吐出口21を経て循環させ
る。次に分散液を調製するための粉体9の貯槽10の下部
に設けられているスクリューフィーダー11を運転して、
一定量ずつの粉体を粉体供給口12より分岐管7内に供給
する。分岐管内には、エジェクター13が設けられ、循環
液が吐出口より高速で吐出し、吐出部内の空間は低圧に
なるため、供給された粉体を吸引して循環液と混合され
た液となって吐出口21の方に循環液が移動する。一方、
同時に循環している分岐管8の方の循環液はエジェクタ
ー13と同じ断面積の吐出孔を有するオリフィス14によっ
てその流速が急激に高められ、吐出孔より上記の混合液
と同じ流速の噴出液として噴射される。噴射された液は
エジェクターからの混合流と17の地点あるいはその近傍
で激しく衝突する。第2図に示されるように、衝突する
角度は90℃であるが、衝突する双方の液はそれぞれ同じ
運動エネルギー量を有しているために、衝突による双方
への衝撃の付与が最も効率よく行われ、双方の液は激し
い衝突、剪断などの作用を受けて液中の粉体の分散度が
さらに高められる。また衝突のエネルギーにより反発を
受けた液は狭い管壁の各所に衝突することにより、液中
の粉体の分散度が高められる。こうして合流部で分散度
の著しく高められた循環液は、次に合流部以降の管径の
大きい配管22を経て、吐出口21より調製槽1に戻され
る。配管22の管径を大きくしているのは、合流部15にお
いて合流した液が滞留することなく排出されるようにす
るためであり、合流部において2つの循環液を相互に激
しく衝突させるためである。
このように本発明の装置を使用することにより、粉体
を供給口より供給しつつ、ポンプで調製槽1の液を循環
させることにより迅速に分散液を調製することができ
る。例えばベントナイトの8%泥水を調製する場合で
も、調製槽内の液の総量を1〜2回循環させホッパー10
からの所定量の粉末を供給した時点で十分均一な泥水を
得ることができる。
本発明において、合流部からの調製槽などの循環ライ
ンを圧力開放構造とすることは、実施例に示すように配
管の径を大きくするなどの手段も含まれるが、このライ
ン内において循環液が滞留しないような構造とすること
が望まれる。したがって一般に知られているジェットミ
キサーとして知られている装置のように、吐出口を調製
槽の液中に入るようにすることは本発明の装置の趣旨に
反する。すなわち上記の循環ライン内の液が異常滞留す
ることなく圧力の開放された状態で調製槽に戻されるよ
うな構造とするべきである。
次に本発明の装置では、混合流と噴出流を衝突させる
ことにより、液中の粉体の液への分散性を著しく向上さ
せることを目的とするが、混合流と噴出流がほぼ同じ運
動エネルギー量を有するように設計するのがより望まし
い。したがってエジェクター、オリフィスの有効径、配
管の断面積を適宜に調製したり、図面に示すように、弁
を設けることにより、複数の配管を流れる循環液の量を
調製することのできるような構造とすることが望まれ
る。
また混合流と噴出流を衝突させる角度は相互に30〜15
0゜、好ましくは50〜140゜、より好ましくは60〜110゜
になるようにオリフィス、エジェクターあるいは配管な
どの取付方法を設計することが望まれる。上記の角度が
小さいことは、液の衝突に伴なって相互の液に付与され
る衝撃力が小さくなるので、分散性の良い液を得ること
が困難であり、一方、上記の角度が180゜に近くなれば
2つの流体の噴出方向が相反することになることから、
衝突地点近傍が液が異常滞留する原因にもなり、さらに
運動エネルギー量が同じであることから衝撃時に一挙に
エネルギーロスが起り衝撃のエネルギーを本発明の趣旨
とするそれぞれの液への衝突、剪断の付与という現象に
対してマイナス要因にもなるので好ましくない。
第2図に示したものは、2つの液の衝突角度が90゜の
ものであるが、第3図は、本発明で用いられる合流部を
含む要部を拡大して示す一部破断面図である。この図の
ものでは、分岐管33中のエジェクター37より吐出された
液は、スクリーン31に一旦衝突するようになっている。
したがって粉体供給装置(図示せず)より供給され、粉
体供給口35より供給される粉体は噴出液32と混合されて
スクリーン31に向うことになるが、万が一粗い粒子が供
給されてもスクリーンで分級されることになり、さらに
スクリーンに衝突する一部の噴出液あるいは反発される
液などにより、滞留物も分散されて、スクリーンを潜る
構造となっている。なお、スクリーン31は合流部より下
流側に設けてもよい。
スクリーン31の目の粗さなどは、用いられる粉体の粒
度、調製すべき分散液の分散度などにより決定される
が、なるべく目の粗いスクリーンを用いるのが本発明の
趣旨に沿うものである。
スクリーン31を通過した液は38の地点にて、オリフィ
ス36より噴射される液とほぼ60゜の角度で衝突すること
により、双方の液中の粉体の分散度が高められることは
既述の第2図の場合と同様であるが、スクリーン31の存
在により噴出液32の一部はスクリーン通過後に種々の方
向に移動するために、38の近傍以外にも、オリフィス36
からの噴出液に対する衝突が起るので、この場合には第
2図の場合よりも、2つの循環液の挙動は複雑になる。
しかしこのような方法の装置とすることにより、吐出口
(図示せず)より得られる分散液はスクリーン31のない
場合より却って良くなるので、好ましい態様となる。
第4図のものは、本発明の趣旨に沿う装置の合流部の
他の様態を示す一部破断面図であり、2つの循環液はほ
ぼ135゜の角度で衝突する構造となっている。この実施
例の場合は、第2図のものより2つの液の衝突のエネル
ギーを高める構造となるが、2つの液の衝突後の液が吐
出口(図示せず)にスムースに送られない構造となって
いるため、さらに配管壁面に合流液が衝突することにな
り、合流液中の粉体の分散度がより高められる。しか
し、液の一部がエジェクター44の方に流れやすくなるの
で、衝突させる角度は限界に近いと思われる。しかし吐
出側の配管46を破線47に示すように、変更することによ
り、この問題は改善されるが、衝突される角度をなるべ
く110゜以下にする方が得策である。
分岐管を設け、その中にオリフィス、エジェクターを
設けてそれからの液を衝突させることにより、液中の粉
体の分散性を高める態様としては、第2図、第3図以外
に種々の構造のものが挙げられるが、オリフィスとエジ
ェクターから吐出される液が前記したような角度で衝突
する構造となっている限り、本発明の趣旨に沿うもので
ある。
また分岐管を3以上設けることも本発明の趣旨に反し
ないが、第2図などに示すように2つの分岐管を用いる
のが実際的であり、好ましい態様である。
本発明において分岐管を2以上設けることは、第1図
に示すように分岐管内に弁を設けることにより、それぞ
れの分岐管内を通る循環液の流量を調整できることを意
味し、したがって粉体を吸入混合させるための粉体混合
部の能力が変えられることにもなる。
次に本発明における混合部は、分岐管を流れる循環流
の作用を利用して粉体供給手段により供給された粉体を
吸引して循環液と混合できる機能を有している限り特に
限定されない。具体例として、既に述べたように、エジ
ェクターのように循環液を迅速に流すことにより下流部
に減圧系を形成させて粉体を吸引させて循環液と混合さ
せる方法を用いるのが好ましい。
また上述の混合部に粉体を供給するための粉体供給手
段についても本発明の趣旨に沿う限り特に限定されな
い。第1図に示すようなスクリュー・フィーダーの如
き、粉体の所定供給装置を用いてもよいし、混合部の減
圧度が高い場合には、第2図における粉体は供給口をフ
レキシブルな配管とし、その末端部を細くして、その末
端部より粉体を吸引させるような方法を採用してもよい
が、これらは対象となる粉体の密度、粒度、形状などを
勘案して決定される。
また本発明において、循環ラインに液を循環させるた
めのポンプについても、効率よく分散液を循環できる機
能を有する限りその構造、設置方法などには特に限定さ
れないものである。
(発明の効果) 本発明の分散液調製装置は上述したように非常に簡単
な構造でありながら優れた分散液調製機能を有するもの
である。また分散液調製槽あるいは粉体貯槽を除けば装
置を極めて小型化できるものである。さらに既存の装置
において調製槽、貯槽自体を利用して本発明の装置に容
易に切替えることのできるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明分散液調製装置の概略模式図、第2図は
その要部断面図、第3、4図はそれぞれその要部の他の
態様の断面図である。 1……分散液調製槽、2、4、19、23……弁、3……ポ
ンプ、5……液、6……循環ライン、7、8、33、34、
41、42……分岐管、9……粉体、10……貯槽、11……ス
クリューフィーダー、12、35、43……粉体供給口、13、
37、44……エジェクター、14、36、45……オリフィス、
15……合流部、16、32……噴出流、18……圧力計、21…
…吐出口、22、46、47……配管、31……スクリーン、合
流部分……17、38。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−113333(JP,A) 特開 昭56−139910(JP,A) 特開 昭57−173113(JP,A) 特開 昭64−47430(JP,A) 特開 平2−83022(JP,A) 特公 昭42−17953(JP,B1)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分散液調製槽と、該調製槽内の液をポンプ
    により抜き出して該液を再び調製槽に戻す循環ラインを
    有してなり、該循環ラインに一旦分岐した後再び合流部
    で合流する分岐管構造を設けた分散液調製装置であっ
    て、前記分岐管の一方には粉体の供給手段からの粉体を
    液流の作用により吸入混合するための粉体混合部が設け
    られ、他方には液を噴出するオリフィスを有する噴出部
    が設けられ、前記分岐管の合流部において混合部からの
    混合流と噴出部からの噴出流が30〜150゜の角度で衝突
    して、分散させるとともにその下流側の前記調製槽まで
    の循環ライン部を圧力開放構造としたことを特徴とする
    分散液調製装置。
JP28134288A 1988-11-09 1988-11-09 分散液調製装置 Expired - Fee Related JP2681813B2 (ja)

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