JP2007105186A - 再生医療骨組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】前記目的を達成するために、本発明の再生医療骨組成物は、自己組織化能を有する両親媒性ペプチドを含む。前記両親媒性ペプチドは、適当な電解質存在下において、自己組織化的にナノファイバーを形成してペプチドハイドロゲルとなる。このペプチドハイドロゲルが、生体内において骨形成スカフォールドとして機能する。本発明の再生医療骨組成物は、生体適合性に優れ、また、流動性、付形性に優れるから、例えば、生体内における骨組織又は歯周組織の欠損・損傷部位の修復、復元、再生が可能である。
【選択図】図2
Description
本発明の再生医療骨組成物に含まれる組織化能を有する両親媒性ペプチド(Self−Assembling Amphiphatic Peptide)は、疎水性アミノ酸残基と親水性アミノ酸残基とが一定周期で交互に配置されて疎水性側鎖の非極性の面と親水性側鎖の極性の面とを備える。そして、前記両親媒性ペプチドは、適当な電解質存在下において、自己組織化的にナノファイバーを形成し、その結果、ペプチドナノファイバーからなるペプチドハイドロゲルを形成する。
本発明において、ペプチドハイドロゲルは、前記両親媒性ペプチドが自己組織化によりナノファイバーを形成した結果として得らるものである。このペプチドハイドロゲルは、in vivoで、骨形成のスカフォールド(足場)として機能しうる。前記ナノファイバーとは、前記両親媒性ペプチドが、例えば、らせん状のβ−シート構造をとったものである。前記ナノファイバーの直径は、例えば、500nm以下、100nm未満、50nm未満、20nm未満、10nm〜20nm、5nm〜10nm、5nm未満である。
本発明の再生医療骨組成物は、その他の態様として、前記両親媒性ペプチドに加え、さらに、PRP(多血小板血漿)を含んでもよい。PRPは、血小板を豊富に含む血漿であり、換言すれば、血小板が濃縮された血漿をいう。PRPは、例えば、商品名:濃厚血小板「日赤」(日本赤十字社製)に準じるものであり、採取した血液を遠心分離処理するなどして調製できる。具体的には、例えば、まず、採取した血液にクエン酸ナトリウム等の凝固防止剤を添加し、室温で所定時間放置する。その後、血球及びバフィーコートが分離する条件(例えば、約1,100rpm)で遠心処理する。これにより、2層(上層を、Platelet−poor Plasma:PPPともいう。下層には、血球及びバフィーコートが含まれる)に分離される。前記上層のPPPを取り除いた後、更に、赤血球が分離される条件(例えば、約2,500rpm)で遠心処理する。その結果得られた赤血球を実質的に含まない画分(Platelet−rich Plasma:PRP)を採取する。PRPの調製方法は、この方法に限定されず、必要に応じて修正を加えた方法により調製することができる。PRPに含まれる血小板の量についての一般的な定義はないが、採取した血液に比較して約2倍〜約20倍の血小板を含有することが好ましい。なお、その調製が可能であり、かつ調製に際して非現実的な負担のない限りにおいて、血小板の含有量は、できるだけ豊富なものを用いることが好ましい。PRPは、自己由来のPRPであることが好ましい。毒性ないし免疫拒絶反応を回避できるからである。
本発明の再生医療骨組成物は、その他の態様として、前記両親媒性ペプチドに加え、さらに、骨形成能を有する細胞を含むことが好ましい。より好ましくは、本発明の再生医療骨組成物は、その他の態様として、前記両親媒性ペプチドに加え、PRP及び骨形成能を有する細胞を含む。なお、この態様において、前述のとおり、前記PRPに代えて、各種成長因子を使用してもよい。
実験動物の取扱いは、Institutional Animal Care Committeeで承認されたプロトコールにしたがった。一定期間飼育後、平均2歳の4体の成体ハイブリッドイヌを全身麻酔して、第一大臼歯、小臼歯、第2及び第3小臼歯を抜歯し、2ヶ月の治癒期間を与えた。次に、下顎の両側の歯槽骨に直径10mmのトリファンバーを用いて骨欠損を作成した。この欠損部位は、外側皮質に垂直になるように作成した。前記欠損部位は、自然には骨が再生することが困難な骨欠損である。
自己組織化能を有する両親媒性ペプチドとして、市販製品である商品商標「PuraMatrixTM」(3−D Matrix Japan社製)を使用した。このペプチドは、N末端がアセチル化された16アミノ酸残基のアミノ酸配列(RADARADARADARADA:配列表の配列番号2)からなるモジュールI型の両親媒性ペプチドである。以下、このペプチドをPMという。
PMのペプチドハイドロゲル化は、超音波処理後、スクロース溶液に溶解したPMに、PBSを添加することで行った。最終スクロース濃度は、10%であり、最終PM濃度は、1.06%であり、最終塩濃度は、1.18%であった。
イヌ腸骨稜の骨髄穿刺(10ml)により未分化MSCを含むイヌの骨髄を採取した。次に、骨髄細胞を、基本培地、低グルコースDMEM、増殖サプリメント(Cambrex社製)で培養し、3つのサプリメント(デキサメタゾン、β−グリセロリン酸ナトリウム、及びL−アスコルビン酸2リン酸)によって、MSCの骨系細胞への分化を誘導した。骨系細胞への分化能を獲得したMSCは、p−ニトロフェニルホスファターゼを基質として使用したアルカリホスファターゼ活性を検出することで確認した。MSCは、移植に使用する前にトリプシン処理を施した。
イヌ末梢血から、約50mLの全血を採取し、250U/mLの防腐剤フリーのヘパリン及び10mLの培地を含む遠心管に回収した。5分間、1100rpmの遠心分離の後、イエロープラズマ(血小板及び白血球とともにバフィーコートを含む)を長いカニューレで中性のモノベットに回収し、10分間、2500rpmの遠心分離で血小板を単一ペレットとした。この上清がPPPであり、前記ペレットがPRPである。前記PRPは、5mLの残存血漿にリサスペンドし、PRPのゲル化に使用した。
PRPのゲル化は、3.5mLの前記PRPに、500μLのトロンビン/塩化カルシウム溶液を添加し、気泡を含ませながら混合することで行った。前記トロンビン/塩化カルシウム溶液は、10mLの10%塩化カルシウム溶液に、10,000Uのウシトロンビンを溶解して調製した。PRPのゲル化は、必要に応じて、骨系細胞への分化能を獲得した前記MSC(1.0×107細胞/mL)、及び/又は、前記PMハイドロゲルを混合して行った。
PMハイドロゲル単独、PMハイドロゲル/MSC、及び、PMハイドロゲル/MSC/PRPゲルの組合せの移植材料をそれぞれ調製し、これらの移植片を、欠損をコントロールとして、前記欠損部位に移植して、歯肉を縫合し、2週後、4週後、8週後の組織を採取し、組織学的に評価した。各組織のHE(ヘマトキシリン−エオシン)染色による顕微鏡観察写真を図3A〜3Dに示す。
コントロールは、図3Aに示すとおり、2週、4週、8週ともに、新生骨の形成は認められず、結合組織の増生のみが認められた。
移植材料として、天然ウシ骨ミネラルからなる市販の代替骨である登録商標Bio−Oss(Osteohealth社製)を使用した他は、実施例1と同様に、欠損をコントロールとして、登録商標Bio−Ossを前記欠損部位に移植して、歯肉を縫合し、2週後、4週後、8週後の組織を採取し、組織学的に評価した。各組織のHE(ヘマトキシリン−エオシン)染色による顕微鏡観察写真を図4A及び4Bに示す。
Claims (9)
- 再生医療骨組成物(tissue−engineered bone composition)であって、自己組織化能を有する両親媒性ペプチドを含むことを特徴とする再生医療骨組成物。
- 前記両親媒性ペプチドが、ペプチドハイドロゲルを形成している請求項1記載の再生医療骨組成物。
- さらに、多血小板血漿(PRP)又は成長因子を含む請求項1又は2記載の再生医療骨組成物。
- さらに、骨形成能を有する細胞又は間葉系幹細胞(MSC)を含む請求項1から3のいずれかに記載の再生医療骨組成物。
- さらに、細胞外マトリクス(ECM)タンパク質を含む請求項1から4のいずれか一項に記載の再生医療骨組成物。
- 骨組織又は歯周組織の修復、復元又は再生の用途に使用する請求項1から5のいずれか一項に記載の再生医療骨組成物。
- 前記歯周組織の修復、復元又は再生が、デンタルインプラントの挿入に必要な修復、復元又は再生である請求項6記載の再生医療骨組成物。
- 使用時において流動性を有する請求項1から7のいずれか一項に記載の再生医療骨組成物。
- 修復、復元又は再生が必要な骨組織又は歯周組織の欠損、損傷部位への配置が、注射器又はカテーテルによる注入により行われる請求項1から8のいずれか一項に記載の再生医療骨組成物。
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