JP2007105069A - 杖 - Google Patents

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Abstract

【課題】楽に移動できる車輪付の杖であるが、所定以上の荷重が掛かった時に移動を制動する接地用の脚が突出して杖を安定的に停止させ、その後、前進しようと身体を起こして与えていた荷重を除くと、杖自体が一定距離自走して歩行の助勢をする杖の提供。
【解決手段】先端部と柄部が弾性体を介して上下動自在に連結し、所定以上の荷重が掛かった時に単点または多点の接地脚が下動して路面に接地するように石突部を二重構造とした杖であって、杖本体1は把持部2を有する柄管3と該柄管3に上部が挿通、系止され下端部が路面に向かう接地脚4と該接地脚4の中間部を内周面に滑動自在に挿通する鞘管6と該鞘管6と車輪7を有する車輪フレーム5と前記接地脚4に巻装されて該車輪フレーム5の前記鞘管6上端と前記柄管3下端間に挟持される弾性体8とからなり、前記接地脚4が下動して接地した後、その負荷が解かれると該接地脚4が上動しながら一定距離を自走するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、足にケガをした人や足の弱くなった老人が病院や家庭で歩行の補助または訓練に使用する杖に関する。
従来の杖はその使用者の体重支持を安定させることにより歩行移動を助勢しているが、杖自体の移動についてまでは助勢していない。特許文献1には手元の状況や操作で制動が働く車輪付の杖が開示されているが、これも杖の移動を楽にはしているが杖自体が前進する機能を備えているわけではない。
特開2005−137410
本発明は、楽に移動できる車輪付の杖であるが、所定以上の荷重が掛かった時に移動を制動する接地用の脚が突出して杖を安定的に停止させ、その後、前進しようと身体を起こして与えていた荷重を除くと、杖自体が一定距離自走して歩行の助勢をする杖を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、第一発明は、先端部と柄部が弾性体を介して上下動自在に連結し、所定以上の荷重が掛かった時に単点または多点の接地脚が下動して路面に接地するように石突部を二重構造とした杖であって、杖本体1は把持部2を有する柄管3と該柄管3に上部が挿通、系止され下端部が路面に向かう接地脚4と該接地脚4の中間部を内周面に滑動自在に挿通する鞘管6と該鞘管6と車輪7を有する車輪フレーム5と前記接地脚4に巻装されて該車輪フレーム5の前記鞘管6上端と前記柄管3下端間に挟持される弾性体8とからなり、前記接地脚4が下動して接地した後、その負荷が解かれると該接地脚4が上動しながら一定距離を自走するようにした杖である。
また、第二発明は、前記自走機構が、前記接地脚4に設けたラック12が上動するときに前記車輪7の車軸に設けた軸ギヤ11と弾性的に噛み合うようにし、該接地脚4が下動する場合は前記ラック12が前記軸ギヤ11と噛み合わず乗り越えるように該ラック12のギヤ歯を上向きに形成した請求項1記載の杖である。
また、第三発明は、前記ラック12と前記軸ギヤ11との弾性的な噛み合いは、該ラック12を前記接地脚4の縦長な切欠溝から板バネ13で付勢して該軸ギヤ11に向け臨ませることにより行うようにした請求項2記載の杖である。
以上の構成により、使用者が杖に体重を預けると、脚部が弾性体の復元力に抗しながら路面に接地して車輪の移動を止めるので、使用者は本杖を支えに自身の足を安心して前へ運ぶことができ、次に把持部を握ったままの体勢で杖に預けていた体重を自身に戻すと、弾性体の復元力により把持部が上昇し、それに一体の脚部が路面から離れ、その際に弾性体の復元力が台車の車輪に伝達されて、杖を一定距離だけ前進させる。それ故、足の不自由な使用者が自ら前進させる必要がない。また、自走中よろめいて不意に体重が掛かるといった場合にも車輪の移動は止まるので安全でもある。
また、杖を自力で前進させる時は、車輪の軸ギヤが接地脚に設けた弾性的に作動するラックの歯を弾き、その際の抵抗を被った慣性の乏しい走行になるため暴走し難く、また後ろに転びそうになり杖が後退する場合には、車輪の軸ギヤが接地脚のラックと噛み合い、弾性体である巻きバネを次第に圧縮しながらその復元力に抗して接地脚を路面に接地させるという漸次制動が掛かるので、前方に位置する杖に体重を掛けて接地脚を突き出せなくても把持部が下降しながら一定距離動いて安全に止まる。
本発明の一実施形態を、図1〜3に示す。
杖本体1は、先端部にあたる鞘管6及び車輪7を有する車輪フレーム5に柄管3と一体に上端を挿通、系止された接地脚4が弾性体8を介して上下動自在に連結し、所定以上の荷重が掛かった時に接地脚4が下動して路面に接地するように石突部を二重構造とし、接地脚4が下動して接地した後その負荷が解かれると接地脚4が上動しながら一定距離を自走する構造となっている。
車輪フレーム5は双輪の車輪7と単輪の補助車15と鞘管6からなっており、鞘管6内部に接地脚4を滑動自在に挿通させている。その接地脚4は上部を柄管3下部にロックピン9により挿通、系止され、下端部に滑り止めのゴムまたは樹脂製のキャップ10を嵌着されて鞘管6内を柄管3と一体となって滑動する。また、ロックピン9により接地脚4と一体となった柄管3下端のフランジ部と鞘管6上端のフランジ部の間には、接地脚4に巻装されるコイルばねが挟まれて柄管3を保持する弾性体8として作用している。
従って、柄管3に所定以上の荷重が掛かかっていない時には、図1に示すように接地脚4は車輪フレーム5に持ち上げられて地面から浮いた状態になっており、柄管3に所定以上の荷重が掛かった時には、図2に示すように接地脚4は弾性体8であるコイルばねの付勢力に抗して下動されて接地する。
また、接地脚4は図2、図3に示すように車輪フレーム5の車輪7である双輪の間に位置し、その双輪の間の車軸に設けてある軸ギヤ11と接地脚4に設けたラック12が噛み合う構造になっている。尚、そのラック12は接地脚4の縦長の切欠溝から板ばね13により付勢されて軸ギヤ11に向けて臨ませてあり、そのラック12の歯は接地脚4が下動する場合は軸ギヤ11とは噛み合わずに乗り越え、上動する場合にのみ噛み合うように上向きに設けてあり、板ばね13の付勢力もまたそのように作用するように設定してある。
また、接地脚4にはラック12上方に杖1の自走距離の調節と接地脚4自身の車輪フレーム5からの抜け止めを兼ねたストッパー14が設けられている。このストッパー14は接地脚4が上動したときに鞘管6下端に突き当たりそれ以上は接地脚4が浮き上がらないようにすると共に、ラック12が軸ギヤ11との噛み合いから外れないよう車輪7の回転を止めるように作動するもので、自走前進の到達距離を使用者の脚力に合わせて調整するためのものであり、また不意に柄管3を持ち上げたりした際にラック12が沈んで接地脚4が車輪フレーム5から抜けてしまうのを防ぐためのものである。
いま、使用者が杖1の把持部2を握っただけの状態であれば、接地脚4は路面から浮いたままなので、車輪7と補助車15により杖1は楽に前進が出来る。ただし、そのまま前進する場合は車輪7の軸ギヤ11がラック12の歯を弾くために、その分の抵抗を被った慣性の乏しい走行となる。一方、後進する場合は車輪7の軸ギヤ11がラック12と噛み合って接地脚4を下ろすように作動し、その際に圧縮される弾性体8であるコイルばねに生じる復元力が制動力となり、それを後進につれて次第に増しながら接地脚4が路面に接地した時に車輪7は停止する。
また、その場に足を止めて身体を支えておきたい場合は、使用者が杖1に把持部2を介して体重を預けるだけでよい。その際、接地脚4は弾性体8であるコイルばねの付勢力に抗して車輪7の軸ギヤ11にラック12の歯を弾かれながら把持部2や柄管3と一体に下動されて接地する。この状態は車輪7と接地脚4とが路面に接地して動かない安定な状態なので、この状態を身体の前方側に作れば、使用者は体重を杖1に預けたまま安心して自身の足を前へと運ぶことができる。
次いで自身の足を前へ運んだ状態で、身体のバランスを崩すことの無いように把持部2を握ったまま杖1に預けていた体重を使用者自身に戻すと、接地脚4が弾性体8であるコイルばねの復元力により路面から離れ、杖1は元の荷重負荷の少ない走行可能な状態に戻ろうとする。丁度この時、接地脚4に設けたラック12は車輪7に設けた軸ギヤ11と噛み合い、接地脚4の上昇に伴って車輪7を回転させ、ラック12上方に設けたストッパー14が鞘管6の下端に突き当たるまで、杖1を前進させる。ここで、前方に進んだ杖1に体重を預けてまた同じことを繰り返すと、杖1を頼りに足を運び、杖1を頼りに足を止めて姿勢を戻すだけで、杖1と共に着実に前進して行くことができる。
「実施形態の効果」
この実施形態の場合は、補助車15が取り付けてあるので、前後の安定感が増し、使用しない時には杖1を自立させておくことも出来る。
また、接地脚のストッパー14の位置を調節することにより、杖1が使用者の歩行能力に随った、歩幅に応じた一区切り毎の前進をするので、歩幅を大きく取ることが出来ない使用者にも安心して使える自走杖を得ることができる。
「他の実施形態」
この実施形態によれば、接地脚4の接地箇所は一点であるが、他の実施形態では、図4に示すように安定度を増すために複数点で接地しても良い。尚、その場合は、図5、図6に示すように、杖1の移動時に邪魔にならないように柄管3の上下動に伴ってその軸中心から放射状に開閉する開閉接地脚16が機能する方式で複数点が接地しても良い。
上記の実施形態によれば、自走機構を持つ車輪部は一箇所であったが、他の実施形態では、図7、図8に示すように自走機構を持つ車輪部を複数箇所設けて複数点で接地しても良い。
本発明の一実施形態を示す一部を破断した正面図で脚が浮いた状態にある。 本発明の一実施形態を示す一部を破断した正面図で脚が接地状態にある。 図1の一部を破断した右側面図である。 多点で支持する場合の実施形態を示す正面図である。 開閉接地脚が多点で支持する場合の実施形態を示す動態図である。 図5とは別の開閉接地脚が多点で支持する実施形態を示す動態図である。 自走機構を持つ車輪部が二箇所ある場合の実施形態を示す正面図である。 図7の上面図である。
符号の説明
1 杖本体
2 把持部
3 柄管
4 接地脚
5 車輪フレーム
6 鞘管
7 車輪
8 弾性体
9 ロックピン
10 キャップ
11 軸ギヤ
12 ラック
13 板ばね
14 ストッパー
15 補助車
16 開閉接地脚

Claims (3)

  1. 先端部と柄部が弾性体を介して上下動自在に連結し、所定以上の荷重が掛かった時に単点または多点の接地脚が下動して路面に接地するように石突部を二重構造とした杖であって、杖本体(1)は把持部(2)を有する柄管(3)と該柄管(3)に上部が挿通、系止され下端部が路面に向かう接地脚(4)と該接地脚(4)の中間部を内周面に滑動自在に挿通する鞘管(6)と該鞘管(6)と車輪(7)を有する車輪フレーム(5)と前記接地脚(4)に巻装されて該車輪フレーム(5)の前記鞘管(6)上端と前記柄管(3)下端間に挟持される弾性体(8)とからなり、前記接地脚(4)が下動して接地した後、その負荷が解かれると該接地脚(4)が上動しながら一定距離を自走するようにした杖。
  2. 前記自走機構が、前記接地脚(4)に設けたラック(12)が上動するときに前記車輪(7)の車軸に設けた軸ギヤ(11)と弾性的に噛み合うようにし、該接地脚(4)が下動する場合は前記ラック(12)が前記軸ギヤ(11)と噛み合わず乗り越えるように該ラック(12)のギヤ歯を上向きに形成した請求項1記載の杖。
  3. 前記ラック(12)と前記軸ギヤ(11)との弾性的な噛み合いは、該ラック(12)を前記接地脚(4)の縦長な切欠溝から板バネ(13)で付勢して該軸ギヤ(11)に向け臨ませることにより行うようにした請求項2記載の杖。
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