JP2007100133A - 硬質皮膜被覆部材およびその製造方法 - Google Patents

硬質皮膜被覆部材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる母材とダイヤモンドライクカーボン(DLC)皮膜などの硬質皮膜との密着性が良好な硬質皮膜被覆部材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる母材20の表面を処理して、母材20の最大表面粗さを3μm以下にした後、処理装置10の真空処理室12内において、ターゲット22としてクロムターゲットを使用してスパッタリングすることにより、母材20上にクロム皮膜を介して窒素含有クロム皮膜を形成し、その後、表面の硬質皮膜としてDLC皮膜を形成する場合には、ターゲット22としてカーボンターゲットを使用してスパッタリングすることにより、窒素含有クロム皮膜上にDLC皮膜を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、硬質皮膜被覆部材およびその製造方法に関し、特に、最表面にダイヤモンドライクカーボン(diamond−like carbon(ダイヤモンド状カーボン))皮膜などの硬質皮膜が形成されて機械部品や金型などに使用される部材およびその製造方法に関する。
ダイヤモンドライクカーボン(以下、「DLC」という)皮膜は、気相合成法により合成されるダイヤモンドに類似した高硬度や電気絶縁性などの特性を有するカーボン皮膜である。DLC皮膜の構造は、通常、非晶質(アモルファス)構造であり、ダイヤモンド結合やグラファイト結合などを有している。DLD皮膜は、硬く(例えば、マイクロビッカース硬度Hv1000〜5000)、耐摩耗性に優れた皮膜であるため、ハードディスク用記録媒体や磁気記録用ヘッドの他、各種の機械部品を被覆するために使用されている。このDLC皮膜と母材との密着性を向上させるため、母材とDLC皮膜の間に炭化チタニウム層からなる中間層を介在させる方法(例えば、特許文献1参照)、母材を水素を含まない第1のDLC皮膜で被覆した上に水素を含む第2のDLC皮膜で被覆する方法(例えば、特許文献2参照)、母材をカーボンイオン注入層で被覆した上に炭素と珪素を含むガスによるプラズマガスを用いてDLC皮膜を形成する方法(例えば、特許文献3参照)、母材を柔らかい膜と硬い膜が交互に積層されたDLC多層膜で被覆する方法(例えば、特許文献4参照)などの様々な方法が提案されている。
国際公開WO92/006234号公報(第3頁) 特開2000−128516号公報(段落番号0004−0005) 特開2000−319784号公報(段落番号0008−0009) 特開2004−269991号公報(段落番号0007−0008)
しかし、DLC皮膜は硬い皮膜であり、アルミニウムのような軟らかい材質からなる母材とDLC皮膜との硬さや熱膨張係数の差や組織の相違が非常に大きいため、上述した特許文献1〜4の方法では、母材とDLC皮膜との密着性を十分に向上させることができない場合がある。また、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる母材を窒化クロム(CrN)皮膜、窒化チタン(TiN)皮膜、炭化チタン(TiC)皮膜、TiAlN皮膜などの硬い皮膜で被覆する場合にも同様の問題がある。
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる母材とDLC皮膜などの硬質皮膜との密着性が良好な硬質皮膜被覆部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる母材の表面を処理して最大表面粗さを3μm以下にし、その母材上に窒素含有クロム皮膜を形成した後、この窒素含有クロム皮膜上にDLC皮膜などの硬質皮膜を形成することにより、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる母材とDLC皮膜などの硬質皮膜との密着性を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による硬質皮膜被覆部材の製造方法は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる母材の表面を処理して最大表面粗さを3μm以下にし、その母材上に窒素含有クロム皮膜を形成した後、この窒素含有クロム皮膜上に硬質皮膜を形成することを特徴とする。この硬質皮膜被覆部材の製造方法において、母材の表面を処理した後の表面のビッカース硬度Hvが80〜200であるのが好ましい。硬質皮膜としては、ダイヤモンドライクカーボン皮膜、窒化クロム皮膜、炭化クロム皮膜またはTiAlN皮膜を使用することができる。ダイヤモンドライクカーボン皮膜は、カーボンターゲットを使用してスパッタリングすることによって形成されるのが好ましく、窒素含有クロム皮膜は、クロムターゲットを使用してアルゴンと窒素を含む雰囲気中でスパッタリングすることによって形成されるのが好ましい。また、母材上に窒素含有クロム皮膜を形成する前に、母材上にクロム皮膜を形成し、その後、窒素含有クロム皮膜を形成するのが好ましい。また、窒素含有クロム皮膜が、窒素および窒化クロムの少なくとも一方がクロム皮膜中に略均一に分散した皮膜、あるいは、クロム皮膜中の膜厚方向中央部の窒素濃度がその両側の部分の窒素濃度より高い皮膜であるのが好ましい。
また、本発明による硬質皮膜被覆部材は、最大表面粗さが3μm以下であるアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる母材上に、窒素含有クロム皮膜が形成され、この窒素含有クロム皮膜上に硬質皮膜が形成されていることを特徴とする。この硬質皮膜被覆部材において、母材の表面のビッカース硬度Hvが80〜200であるのが好ましい。硬質皮膜としては、ダイヤモンドライクカーボン皮膜、窒化クロム皮膜、炭化クロム皮膜またはTiAlN皮膜を使用することができる。また、母材と窒素含有クロム皮膜の間にクロム皮膜が形成されているのが好ましい。また、窒素含有クロム皮膜が、窒素および窒化クロムの少なくとも一方がクロム皮膜中に略均一に分散した皮膜、あるいは、クロム皮膜中の膜厚方向中央部の窒素濃度がその両側の部分の窒素濃度より高い皮膜であるのが好ましい。さらに、窒素含有クロム皮膜の厚さが25μm以下であるのが好ましく、10μm以下であるのがさらに好ましい。
本発明によれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる母材とDLC皮膜などの硬質皮膜との密着性が良好な硬質皮膜被覆部材を製造することができる。
本発明による硬質皮膜被覆部材の製造方法の実施の形態では、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる母材の表面を処理することにより、母材の最大表面粗さを3μm以下にし、好ましくは、表面のビッカース硬度Hvを80〜200にして、その母材上に窒素含有クロム皮膜を形成した後、この窒素含有クロム皮膜上にDLC皮膜などの硬質皮膜を形成する。この硬質皮膜として、DLC皮膜の他に、ビッカース硬度Hv2000〜2200の窒化クロム(CrN)皮膜、Hv2000〜2500の窒化チタン(TiN)皮膜、Hv3000前後の炭化チタン(TiC)皮膜、Hv2300〜2800のTiAlN皮膜などの硬い皮膜を使用することができる。
母材と皮膜との密着強度は、母材の表面粗さによって変わり、最大表面粗さRmaxを3μm以下にするのが好ましく、1μm以下にするのがさらに好ましい。最大表面粗さRmaxが3μmを超えると、母材と皮膜との密着強度が著しく低下し、最大表面粗さRmaxが1μmの場合と比べて、スクラッチ試験において半分以下の強度になる(半分以下の荷重で剥離する)場合がある。窒素含有クロム皮膜やDLC皮膜などの硬質皮膜は、母材の表面の凹凸などの形状に追従して形成され易く、母材の表面粗さがほぼそのまま硬質皮膜の表面粗さに現れる。しかし、母材がアルミニウムまたはアルミニウム合金のような柔らかい金属からなる場合には、研磨紙などによって母材の最大表面粗さRmaxを3μm以下にするのが難しく、また、研磨材が母材に食い込んで母材と皮膜の密着性が低下する可能性があるので、ラッピングや電解研磨などによって母材の最大表面粗さRmaxを3μm以下にするのが好ましい。
また、一般に、アルミニウムまたはアルミニウム合金のビッカース硬度Hvは20〜200程度であり、機械部材の材料として使用されている工具鋼や低炭素鋼などの金属のビッカース硬度Hv(500〜700で程度)と比べて著しく硬度が低い。特に、純アルミニウム(JIS1000系)のビッカース硬度Hvは20〜120程度、(Al−Cu系、Al−Mn−Cu系、Al−Si系、Al−Mg系などの)アルミニウム合金のビッカース硬度Hvは70〜200程度であり、ビッカース硬度Hvは組成や加工履歴により異なっている。一般に、母材に形成する皮膜が比較的薄い場合には、皮膜の特性は母材の硬度(強度)に大きく影響され、母材のビッカース硬度Hvが高いほど母材と皮膜の密着性が向上する。特に、機械部材の母材としてアルミウムまたはアルミニウム合金を使用する場合には、そのビッカース硬度Hvが80以上であることが必要であり、100〜200であるのが好ましい。
本発明による硬質皮膜被覆部材の実施の形態は、図1に示す処理装置10を使用して製造することができる。この処理装置10は、真空処理室12と、この真空処理室12内を減圧して真空にするための真空ポンプ14と、真空処理室12内の底部の中心部に配設された回転テーブル16と、この回転テーブル16上に治具18を介して載置された被処理部材としてのアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる母材20と、この母材20を取り囲むように配置された蒸発源としてのターゲット22と、これらのターゲット22の各々に接続された直流のスパッタ電源24と、回転テーブル16に接続された直流のイオンボンバードおよびバイアス電源26と、真空処理室12内にアルゴンガスおよび窒素ガスを導入するためのガス導入パイプ28とを備えている。
この処理装置10のターゲット22としてクロムターゲットを使用して母材20を窒素含有クロム皮膜で被覆した後、ターゲット22を変えて硬質皮膜で被覆する。この硬質皮膜としてDLC皮膜を形成する場合には、ターゲット22としてカーボンターゲットを使用する。窒素含有クロム皮膜としては、クロム皮膜中に窒素または窒化クロムがほぼ均一に分散した皮膜(以下、「窒素含有クロム皮膜I」という)でもよいし、クロム皮膜中の膜厚方向中央部の窒素濃度がその両側の部分の窒素濃度より高い皮膜(以下、「窒素含有クロム皮膜II」という)でもよい。以下、窒素含有クロム皮膜および硬質皮膜の形成方法について詳細に説明する。
(窒素含有クロム皮膜Iの形成方法)
まず、処理装置10のターゲット22としてクロムターゲットを使用し、真空ポンプ14を作動させて真空処理室12内の真空排気を行った後、ガス導入パイプ28を介して真空処理室12内にアルゴンガスと窒素ガスを導入して真空処理室12内をスパッタリング雰囲気にする。なお、必要に応じて、スパッタリングを行う前にイオンボンバード処理を行って、母材20の表面を活性化しておくのが好ましい。
次に、ターゲット22にスパッタ電源22の高電圧を印加して、ターゲット22の近傍にグロー放電(低温プラズマ)を生じさせる。これにより、放電領域内のアルゴンガスがイオン化してターゲット22に高速で衝突し、この衝突によってターゲット22からクロム原子が叩き出され、このクロム原子が真空処理室12内の雰囲気中の窒素原子とともに母材20の表面に叩き付けられて、母材20の表面に窒素を含有するクロム皮膜として100原子当たり50〜99のクロム原子および50〜1の窒素原子を含むCr結晶が点在した皮膜が形成される。このスパッタリングでは、皮膜の厚さを均一にするために且つ母材20の温度をその焼戻し温度以下に維持するために、ターゲット22と母材20の間隔を、例えば、70mmに保持するのが好ましい。
なお、窒素ガスを導入しないでスパッタリングを行って母材20上に厚さ3μm以下、好ましくは1μm以下のクロム皮膜を形成した後に、窒素ガスを導入してスパッタリングを行って窒素含有クロム皮膜Iを形成してもよい。このようにクロム皮膜を介して窒素含有クロム皮膜を形成すれば、母材20とDLC皮膜などの硬質皮膜との間の密着性をさらに向上させることができる。
(窒素含有クロム皮膜IIの形成方法)
まず、処理装置10のターゲット22としてクロムターゲットを使用し、真空ポンプ14を作動させて真空処理室12内の真空排気を行った後、ガス導入パイプ28を介して真空処理室12内にアルゴンガスを導入して真空処理室12内をスパッタリング雰囲気にする。なお、必要に応じて、スパッタリングを行う前にアルゴンガス雰囲気中でイオンボンバード処理を行って、母材20の表面をアルゴンイオンで活性化しておくのが好ましい。
次に、ターゲット22にスパッタ電源24の高電圧を印加して、ターゲット22の近傍にグロー放電(低温プラズマ)を生じさせる。これにより、放電領域内のアルゴンガスがイオン化してターゲット22に高速で衝突し、この衝突によってターゲット22からクロム原子が叩き出される。
このスパッタリングの開始から所定時間を経過した後、あるいはスパッタリングの開始時点から、ガス導入パイプ28を介して真空処理室12内に窒素ガスの導入を開始すると、ターゲット22から叩き出されたクロム原子は、真空処理室12内の雰囲気中の窒素濃度がゼロの間はクロム単独で、真空処理室12内の雰囲気中に窒素ガスが導入された後には雰囲気中の窒素原子とともに、母材20の表面に叩きつけられて堆積する。
この窒素含有クロム皮膜IIは、クロム中に窒素が固溶されている組織、クロム中に窒化クロムが分散している組織、あるいはクロム中に窒素が固溶され且つ窒化クロムが分散している組織を有するが、この組織の調整は、スパッタリングの際に真空処理室12内の雰囲気中の窒素濃度を制御することによって行うことができ、この雰囲気中の窒素濃度の制御は、ガス導入パイプ28を介して真空処理室12内に導入する窒素ガスの供給量を制御することによって行うことができる。窒素ガスの供給量を増加して雰囲気中の窒素濃度を高くすれば、ターゲット22から叩き出されたクロム原子と結合して母材20の表面に堆積する窒素の量が多くなり、逆に、窒素ガスの供給量を減少させて雰囲気中の窒素濃度を低くすれば、窒素含有クロム皮膜IIに含まれる窒素の量が減少する。したがって、スパッタリングの中間時点における雰囲気中の窒素濃度が他の時点に比べて高くなり且つスパッタリングの開始時点および終了時点における雰囲気中の窒素濃度が中間時点の窒素濃度より低くなるように窒素ガスの供給量を制御すれば、クロム皮膜中の膜厚方向中央部の窒素濃度がその両側の部分の窒素濃度より高い窒素含有クロム皮膜IIを形成することができる。具体的には、スパッタリングの開始時点からスパッタリングの中間時点までは、雰囲気中の窒素濃度を逓増させ、スパッタリングの中間時点からスパッタリングの終了時点までは、雰囲気中の窒素濃度を逓減させるのが好ましい。なお、スパッタリングの開始時点では窒素ガスを供給しなくてもよい。
このようにして、クロム皮膜中の膜厚方向中央部の窒素濃度がその両側の部分の窒素濃度より高い窒素含有クロム皮膜IIが母材20上に形成される。スパッタリング時間は、母材20の種類や必要とする膜厚に応じて適宜設定することができ、例えば、0.5〜15時間に設定することができる。
また、窒素含有クロム皮膜IIでは、膜厚方向の窒素含有量の相違により、膜厚方向中央部で最も硬度が高く、例えば、Hv800〜2000、好ましくはHv1700程度であり、母材20側および表面側で硬度が低く、例えば、母材20側でHv500〜1000、好ましくはHvが500程度、表面側でHv1000〜1900、好ましくはHv1000程度である。したがって、皮膜全体としての硬度を最高硬度の部分よりも低くし、また、セラミックスである窒化クロム(CrN)の生成を抑制することにより、皮膜の靭性が良好になると考えられる。
さらに、窒素含有クロム皮膜IIの母材20側では、窒素含有量が膜厚方向中央部より低い分だけクロム含有量が高いので、皮膜と母材20との密着性も良好になる。また、窒素含有クロム皮膜IIの母材20との界面の熱膨張率と母材20の熱膨張率の差を小さくすることにより、すなわち、窒素含有クロム皮膜IIの母材20との界面のクロム含有量を高くして膜厚方向中央部に向かって徐々に窒素含有量を増加させることにより、熱応力の発生を減少させて密着強度を増大させることができると考えられる。
また、皮膜形成時に窒素濃度を緩やかに変化させて母材20との接触面における熱膨張率と皮膜内部の熱膨張率との差による応力を小さく(緩和)することにより、耐摩耗性を保持しつつ、耐熱衝撃性も向上させることができると考えられる。
さらに、窒素含有クロム皮膜IIでは、表面の窒素含有量が母材20との接触面における窒素含有量より高くなっているので、皮膜表面側の硬度が母材20側の硬度よりも高くなる。
例えば、真空処理室12内の雰囲気中のアルゴンガスの分圧を1.2×10−3torr程度にし、窒素ガスの分圧を0〜0.5×10−3torr程度になるように雰囲気中の窒素濃度(窒素ガス供給量)を変化させることにより、スパッタリングの初期において、窒素濃度0〜0.6原子%、Hv500〜1000の母材20側の層を形成することができ、スパッタリングの中期において、窒素濃度0.5〜6.0原子%、Hv800〜2000の膜厚方向中央部の層を形成することができ、スパッタリングの終期において、窒素濃度0.3〜5.0原子%、Hv1000〜1900の表面側の層を形成することができる。このようにして形成された窒素含有クロム皮膜II中の窒素濃度の測定は、通常の物理分析法を適用して行うことができ、例えば、グロー放電発光表面分析(GDS)を利用し、皮膜の表面から膜厚方向にアルゴンでスパッタリングして膜厚方向の窒素含有量を測定することにより行うことができる。
また、窒素含有クロム皮膜IIの厚さは、窒素含有量がゼロの部分がある場合はその部分も含めて、数μm程度から最大100μmにすることができる。しかし、窒素含有クロム皮膜IIが厚過ぎると、皮膜の応力によって皮膜にクラックが入り易くなる傾向があり、母材との熱膨張率の差によって熱応力が増大する場合があるので、実際には膜厚の上限を25μm程度にするのが好ましい。良好な耐摩耗性を必要とする機械部材の場合には、膜厚5〜25μm、好ましくは10〜15μm程度であり、さらに好ましくは10μm程度である。
また、窒素含有クロム皮膜IIの膜厚方向中央部(ビッカース硬度Hvが1700程度(Hv1700±150)の部分)の厚さは、1.0〜4.5μmであるのが好ましく、1.5〜3μmであるのがさらに好ましい。また、窒素含有クロム皮膜IIの母材との界面の部分(ビッカース硬度Hvが500〜600の部分)の厚さは、0.3μm〜2μmであるのが好ましく、0.5〜1.5μmであるのがさらに好ましい。さらに、窒素含有クロム皮膜IIの表面側の部分(ビッカース硬度Hvが1000±150の部分)の厚さは、3〜5μmであるのが好ましい。窒素含有クロム皮膜IIのこれらの部分の間には、ビッカース硬度が逓増または逓減する部分があるのが好ましい。
(硬質皮膜の形成)
上述したように母材20を窒素含有クロム皮膜IまたはIIで被覆した後、イオンエッチングを行う。次に、硬質皮膜としてDLC皮膜を形成する場合には、処理装置10のクロムターゲット22としてカーボンターゲットを使用し、真空ポンプ14を作動させて真空処理室12内の真空排気を行った後、ガス導入パイプ28を介して真空処理室12内にアルゴンガス(またはアルゴンガスと窒素ガス)を導入して真空処理室12内をスパッタリング雰囲気にする。
次に、ターゲット22にスパッタ電源22の高電圧を印加して、ターゲット22の近傍にグロー放電(低温プラズマ)を生じさせる。これにより、放電領域内のアルゴンガスがイオン化してターゲット22に高速で衝突し、この衝突によってターゲット22からカーボン原子が叩き出され、このカーボン原子が(真空処理室12内にアルゴンガスと窒素ガスを導入する場合には雰囲気中の窒素原子とともに)母材20上の窒素含有クロム皮膜の表面に叩き付けられて、母材20上の窒素含有クロム皮膜の表面に窒素を含有するDLC皮膜が形成される。
このようにして、母材20が窒素含有クロム皮膜で被覆され、この窒素含有クロム皮膜がDLC皮膜で被覆された硬質皮膜被覆部材を製造することができる。なお、バイアス電圧の調整によりDLC皮膜の硬さを調整して、窒素含有クロム皮膜との界面の硬さを窒素含有クロム皮膜と同等にするのが好ましい。例えば、窒素含有クロム皮膜の表面の硬さをHv800〜1300とし、その上にHv1000〜1300のDLC皮膜を形成するのが好ましい。
DLC皮膜中の炭素の同定は、ラマン分光法によって行うことができる。また、皮膜のマイクロビッカース硬度は、皮膜の断面を研磨した後、その断面に圧子を押し付けて通常の方法で測定することができる。皮膜が薄くて皮膜の断面の硬度を測定することができない場合には、同じ条件で成膜時間を長くして測定可能な程度の厚さにした皮膜の断面の硬度を測定すればよい。
なお、硬質皮膜としてCrN皮膜を形成する場合には、真空処理室12内に導入する窒素ガスの流量を変える以外は、上述した窒素含有クロム皮膜Iの形成方法と同様の方法により、CrN皮膜を形成することができる。この場合、最初に真空処理室12内にアルゴンガスのみを導入してスパッタリングによりクロム皮膜を形成した後、その後、窒素を導入してCrN皮膜を形成するのが好ましい。
また、硬質皮膜としてTiN皮膜を形成する場合には、チタンターゲットを使用する以外は、上述した窒素含有クロム皮膜Iの形成方法と同様の方法により、TiN皮膜を形成することができる。この場合、最初に真空処理室12内にアルゴンガスのみを導入してスパッタリングにより0.5〜1μm程度の厚さのチタン皮膜を形成し、その後、窒素を導入して1.5〜5μm程度の厚さのTiN皮膜を形成するのが好ましい。
また、硬質皮膜としてTiC皮膜を形成する場合には、TiN皮膜と同様にチタンターゲットを使用し、窒素の代わりにアセチレン(C)やメタンなどの炭化水素系ガスを導入する以外は、上述したTiN皮膜の形成方法と同様の方法により、TiC皮膜を形成することができる。
また、硬質皮膜としてTiAlN皮膜を形成する場合には、TiAlターゲットを使用する以外は、上述した窒素含有クロム皮膜Iの形成方法と同様の方法により、TiAlN皮膜を形成することができる。この場合、最初に真空処理室12内にアルゴンガスのみを導入してTiAl皮膜を形成し、その後、窒素を導入してTiAlN皮膜を形成し、TiAl皮膜とTiAlN皮膜の合計の膜厚を2〜5μmにするのが好ましい。
なお、母材上に様々な厚さの窒素含有クロム皮膜IIを形成した上に厚さ5μmのDLC皮膜を形成して、これらの皮膜と母材との密着強度をスクラッチ試験により調べるとともに、摺動特性を調べたところ、窒素含有クロム皮膜IIの厚さが5〜25μmでは、密着強度はほとんど変わらないが、摺動特性に大きな違いがあることがわかった。すなわち、母材がアルミニウムまたはアルミニウム合金のように柔らい金属からなる場合、密着性および摺動性は、窒素含有クロム皮膜IIの膜厚が5〜15μmのときに優れており、8.5〜11.5μmのときにさらに優れており、10μm程度のときに最も優れているのがわかった。すなわち、母材が工具鋼や低炭素鋼からなる場合には、窒素含有クロム皮膜IIの厚さが比較的厚い20〜30μm程度であるのが好ましいが、母材がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる場合には、窒素含有クロム皮膜IIの厚さが比較的薄い10μm程度であるのが好ましい。
なお、皮膜のビッカース硬度Hvは、マイクロビッカース硬度計を使用して、研磨した皮膜の断面に荷重25g程度で圧子を押し付け、通常の方法により測定することができる。皮膜が薄くて断面の硬度を測定することができない場合には、その部分と同じ成膜条件で成膜時間を長くして測定可能な程度まで厚くした皮膜の断面の硬度を測定すればよい。
以下、本発明による硬質皮膜被覆部材およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
[実施例1]
まず、アルミニウムからなる母材20の表面をラッピング処理して最大表面粗さを1.1μmにした。このラッピング処理後の母材20の表面のビッカース硬度Hvは約110であった。このようにラッピング処理したアルミニウムからなる母材20を用意し、ターゲット22としてクロムターゲットを使用する処理装置10の真空処理室12に母材20を入れ、この真空処理室12内を2×10−2torrのアルゴンガス雰囲気中として1250V×0.01mAでイオンボンバード処理を約40分間施して、母材20の表面を活性化した。
次に、真空処理室12内を排気して真空にした後、真空処理室12内の雰囲気中のアルゴンガスの分圧を1.2×10−3torr、バイアス電圧を−100Vとして、スパッタリングを約7分間行って、母材20上に硬度Hv700程度、厚さ1μm弱のクロム皮膜を形成した。
続いて、真空処理室12内に窒素ガスを導入して、真空処理室12内の雰囲気中のアルゴンガスの分圧を1.2×10−3torr、窒素ガスの分圧を0.2×10−3torr、バイアス電圧を−100Vとして、スパッタリングを約93分間行って、クロム皮膜上に硬度Hv1700程度、厚さ15μmの窒素含有クロム皮膜Iを形成した。
このように窒素含有クロム皮膜Iを形成した母材20を、ターゲット22としてカーボンターゲットを使用する処理装置10に入れ、真空処理室12内を排気して8×10−3Paまで減圧した後、−1000V×0.1Aで3時間イオンボンバード処理を施した。
最後に、真空処理室12内のアルゴンガスの分圧を1.2×10−3torr、窒素ガスの分圧を0.6×10−3torr、バイアス電圧を−150Vとして、DC放電(1.4kW)によりターゲット22に生成したプラズマを使用してスパッタリング処理を4時間施すことにより、窒素含有クロム皮膜I上に厚さ5μmのDLC皮膜を形成した。
[比較例1]
窒素含有クロム皮膜Iを形成しなかった以外は、実施例1と同様の方法により、母材20上に厚さ5μmのDLC皮膜を形成した。
[実施例2]
実施例1と同様に母材20の表面を活性化した後、ターゲット22としてクロムターゲットを使用する処理装置10の真空処理室12内の雰囲気中のアルゴンガスの分圧を1.2×10−3torr、バイアス電圧を−100Vとして、スパッタリングを約7分間行って、母材20上に硬度Hv700程度、厚さ1μm弱のクロム皮膜を形成した。
続いて、真空処理室12内の雰囲気中のアルゴンガスの分圧を1.2×10−3torrとし、窒素ガスの分圧を0〜0.5×10−3torrに変化させた後に0.15×10−3torrに変化させて、バイアス電圧−100Vでスパッタリングを約180分間行って、母材側の層の硬度Hv700、中間層の硬度Hv1700、表面側の層の硬度1000、厚さ20μmの窒素含有クロム皮膜IIを母材20上に形成した。すなわち、最初に窒素ガスの分圧を0torrとして母材との界面側にCr皮膜を形成した後、88分後までに窒素ガスの分圧を0.5×10−3torrまで逓増させることにより、窒素含有クロム皮膜IIの硬度を徐々に高めて、窒素含有クロム皮膜IIの中間層を形成し、その後、88分間で窒素ガスの分圧を0.15×10−3torrまで逓減させることにより、窒素含有クロム皮膜IIの硬度を徐々に低くして、窒素含有クロム皮膜IIの表面側の層を形成した。
次に、真空処理室12内を排気して真空にした後、真空処理室12内の雰囲気中のアルゴンガスの分圧を1.2×10−3torr、バイアス電圧を−100Vとして、スパッタリングを約7分間行って、母材20上に硬度Hv700程度、厚さ1μm弱のクロム皮膜を形成した。
続いて、真空処理室12内に窒素ガスを導入して、真空処理室12内の雰囲気中のアルゴンガスの分圧を1.2×10−3torrとし、窒素ガスの分圧を0〜2.2×10−3torrに変えながら、バイアス電圧を−100Vとして、スパッタリングを約75分間行って、クロム皮膜上に厚さ5μmの窒化クロム(CrN)皮膜を形成した。すなわち、最初の10分間で窒素ガスの分圧を0〜1.0×10−3torrとしてCrN皮膜の母材との界面側の層を形成した後、20分間で窒素ガスの分圧を1.5×10−3torrまで増大させることにより、CrN皮膜の中間層を形成し、その後、45分間で窒素ガスの分圧を2.2×10−3torrまで増大させることにより、CrN皮膜の表面側の層を形成した。
[比較例2]
窒素含有クロム皮膜IIを形成しなかった以外は、実施例2と同様の方法により、母材20上に厚さ5μmのCrN皮膜を形成した。
[実施例3]
実施例2と同様の方法により、母材20上に厚さ20μmの窒素含有クロム皮膜IIを形成した後に、実施例1と同様の方法により、厚さ5μmのDLC皮膜を形成した。
[実施例4]
アルミニウム合金(Al−Cu系)からなる母材20の表面をラッピング処理し、最大表面粗さを0.9μm(表面のビッカース硬度Hvは180)とした後、実施例3と同様の方法により、母材20上に厚さ20μmの窒素含有クロム皮膜IIおよび厚さ5μmのDLC皮膜を形成した。
[実施例5]
窒素含有クロム皮膜IIの成膜時間を1/2にして窒素含有クロム皮膜IIの膜厚を10μmにした以外は、実施例3と同様の方法により、窒素含有クロム皮膜IIおよびDLC皮膜を形成した。
[比較例3]
ラッピング処理を行わなかった以外は実施例1と同様の母材(最大表面粗さ5μm)を使用し、実施例3と同様の方法により、窒素含有クロム皮膜IIおよびDLC皮膜を形成した。
このようにして製造した実施例1〜5および比較例1〜3の硬質皮膜被覆部材の密着性を評価した。この密着性は、スクラッチ試験機を使用し、ダイヤモンド圧子(0.2mmR)によって、荷重速度100N/分、スクラッチ速度10mm/分で皮膜のスクラッチを行うことによって評価した。その結果、実施例1では、50Nまで母材からの皮膜の剥がれやスクラッチ周辺の皮膜のめくれ(破壊)がなく、実施例2〜5では、100N以上でも母材からの皮膜の剥がれや皮膜のめくれがなかったが、比較例1〜3では、それぞれ25N、28Nおよび48Nで母材からの皮膜の剥がれや皮膜のめくれがあった。
本発明によれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる母材とDLC皮膜などの硬質皮膜との間の硬さや熱膨張係数の差よりも母材との硬さや熱膨張係数の差が小さく且つ窒素は含有しているが基本的には金属からなる窒素含有クロム皮膜を、母材上に形成した後、その上にDLC皮膜などの硬質皮膜を形成することによって、母材と硬質皮膜の密着性を向上させることができる。また、母材と窒素含有クロム皮膜の間に窒素含有クロム皮膜より軟らかいクロム皮膜を形成すれば、窒素含有クロム皮膜と硬質皮膜との間の硬さや熱膨張係数の差が小さいため、母材と硬質皮膜の密着性をさらに向上させることができる。また、窒素含有クロム皮膜中の窒素濃度や硬質皮膜の硬度を調整することによって、母材と硬質皮膜の密着性をさらに向上させることができる。
本発明による硬質皮膜被覆部材は、軽量であり、優れた耐磨耗性、摺動性および密着性などの特性を有することから、自動車用部品やエアコンなどのコンプレッサの部品などの材料として使用することができる。
本発明による硬質皮膜被覆部材の実施の形態を製造するための処理装置の概略図である。
符号の説明
10 処理装置
12 真空処理室
14 真空ポンプ
16 回転テーブル
18 治具
20 母材
22 ターゲット
24 スパッタ電源
26 イオンボンバードおよびバイアス電源
28 ガス導入パイプ

Claims (15)

  1. アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる母材の表面を処理して最大表面粗さを3μm以下にし、その母材上に窒素含有クロム皮膜を形成した後、この窒素含有クロム皮膜上に硬質皮膜を形成することを特徴とする、硬質皮膜被覆部材の製造方法。
  2. 前記母材の表面を処理した後の表面のビッカース硬度Hvが80〜200であることを特徴とする、請求項1に記載の硬質皮膜被覆部材の製造方法。
  3. 前記硬質皮膜が、ダイヤモンドライクカーボン皮膜、窒化クロム皮膜、炭化クロム皮膜またはTiAlN皮膜であることを特徴とする、請求項1または2に記載の硬質皮膜被覆部材の製造方法。
  4. 前記ダイヤモンドライクカーボン皮膜が、カーボンターゲットを使用してスパッタリングすることによって形成されることを特徴とする、請求項3に記載の硬質皮膜被覆部材の製造方法。
  5. 前記窒素含有クロム皮膜が、クロムターゲットを使用してアルゴンと窒素を含む雰囲気中でスパッタリングすることによって形成されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の硬質皮膜被覆部材の製造方法。
  6. 前記母材上に窒素含有クロム皮膜を形成する前に、前記母材上にクロム皮膜を形成し、その後、前記窒素含有クロム皮膜を形成することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の硬質皮膜被覆部材の製造方法。
  7. 前記窒素含有クロム皮膜が、窒素および窒化クロムの少なくとも一方がクロム皮膜中に略均一に分散した皮膜であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の硬質皮膜被覆部材の製造方法。
  8. 前記窒素含有クロム皮膜が、クロム皮膜中の膜厚方向中央部の窒素濃度がその両側の部分の窒素濃度より高い皮膜であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の硬質皮膜被覆部材の製造方法。
  9. 最大表面粗さが3μm以下であるアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる母材上に、窒素含有クロム皮膜が形成され、この窒素含有クロム皮膜上に硬質皮膜が形成されていることを特徴とする、硬質皮膜被覆部材。
  10. 前記母材の表面のビッカース硬度Hvが80〜200であることを特徴とする、請求項9に記載の硬質皮膜被覆部材。
  11. 前記硬質皮膜が、ダイヤモンドライクカーボン皮膜、窒化クロム皮膜、炭化クロム皮膜またはTiAlN皮膜であることを特徴とする、請求項9または10に記載の硬質皮膜被覆部材。
  12. 前記母材と前記窒素含有クロム皮膜の間にクロム皮膜が形成されていることを特徴とする、請求項9乃至11のいずれかに記載の硬質皮膜被覆部材。
  13. 前記窒素含有クロム皮膜が、窒素および窒化クロムの少なくとも一方がクロム皮膜中に略均一に分散した皮膜であることを特徴とする、請求項9乃至12のいずれかに記載の硬質皮膜被覆部材。
  14. 前記窒素含有クロム皮膜が、クロム皮膜中の膜厚方向中央部の窒素濃度がその両側の部分の窒素濃度より高い皮膜であることを特徴とする、請求項9乃至12のいずれかに記載の硬質皮膜被覆部材。
  15. 前記窒素含有クロム皮膜の厚さが25μm以下であることを特徴とする、請求項9乃至14のいずれかに記載の硬質皮膜被覆部材。

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