JP2007099632A - 歯牙の再石灰化促進方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、歯牙の再石灰化を促進するための方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る歯牙の再石灰化促進方法は、フッ化物イオン供給化合物を含む歯磨剤を用いて歯牙を洗浄するとともにフッ化物イオンを作用させた後、さらにカルシウムイオン供給化合物を含む口腔用液体組成物を作用させることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明に係る歯牙の再石灰化促進方法は、フッ化物イオン供給化合物を含む歯磨剤を用いて歯牙を洗浄するとともにフッ化物イオンを作用させた後、さらにカルシウムイオン供給化合物を含む口腔用液体組成物を作用させることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、歯牙の再石灰化を促進する方法に関するものである。
従来、う蝕のメカニズムはよく研究されており、口中に存在するストレプトコッカス・ミュータンス等の増殖による歯牙表面におけるpHの低下が、う蝕の引き金になるとされている。即ち、食物を摂取した場合、食物に含まれる糖類が歯牙表面に存在するストレプトコッカス・ミュータンス等により代謝されて酸類となり、これが歯牙表面のpHを低下させる。そして、歯牙表面を構成するエナメル質の主成分であるハイドロキシアパタイトが溶解し、カルシウムイオンとリン酸イオンとして溶出してしまう。この現象を脱灰といい、その結果、表層下脱灰状態といわれる初期う蝕が形成される。
この脱灰に対し、カルシウムイオンとリン酸イオンが歯牙表面と内部に結晶化することを再石灰化といい、脱灰により失われた歯牙のミネラル分は、この再石灰化により補われる。よって、再石灰化を促進することによりう蝕の可能性を低減できることになる。再石灰化の度合いは個人の口腔内環境の影響を受けるが、外部因子により再石灰化を促すことも可能である。例えば、フッ化物イオンが再石灰化を促進することは、古くから知られている。そこで従来、フッ化物イオンとカルシウムイオンを含み、再石灰化を促進するための組成物が開発されている。
特許文献1には、歯牙の再石灰化を目的とするものであって、カルシウムイオン源、カルシウム金属イオン封鎖剤等およびフッ化物イオン源からなる口腔衛生用製品が開示されている。この特許文献1では、当該製品の構成や使用方法について様々な記載がされており、カルシウム金属封鎖剤とカルシウムイオン源を含む組成物とフッ化物イオン源を含む組成物の2つの組成物を用いる態様も記載されている。しかしこれらは、フッ化カルシウム(CaF2)を歯エナメル質に付与するため、同時に使用することが好ましいとされている。
その他にも、可溶性カルシウム塩とフッ化物化合物を混合した後、歯牙表面へ迅速に適用する方法が特許文献2〜4に記載されている。また、特許文献5にも同様の2成分系組成物が開示されており、やはり歯牙に適用する直前に混合するとされている。
特開昭58−219107号公報([特許請求の範囲]、第42頁右下欄)
特開平4−506655号公報([特許請求の範囲])
米国特許第5,145,668号明細書(クレーム)
特表2005−112841号公報([特許請求の範囲]、第11頁26〜27頁)
特表平10−511956号公報([特許請求の範囲]、第11頁26〜27頁)
上述した様に、フッ化物イオンとカルシウムイオンをそれぞれ含む2つの組成物を使用直前に混合し、歯牙に適用するという技術はあった。この様に使用直前に混合するのは、歯牙にフッ化物イオンやフッ化カルシウムを作用させることによりう蝕を抑制したり再石灰化を促進することを意図している一方で、フッ化物イオンとカルシウムイオンが存在するとフッ化カルシウムの沈殿を生じ、斯かる沈殿はもはや歯牙に作用できないことによる。これら先行技術の存在にもかかわらず、近年の健康志向により、歯牙の再石灰化をより一層促進でき、う蝕を効果的に抑制できる技術が求められている。
そこで、本発明が解決すべき課題は、歯牙の再石灰化を促進するための方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、口腔用組成物の構成につき検討を進めた。その結果、フッ化物イオンを含む歯磨剤を用いて歯牙を洗浄した後に、カルシウムイオンを含む口腔用液体組成物を作用させることによって、再石灰化を効果的に促進でき、う蝕を顕著に抑制できることを見出して本発明を完成した。
即ち、本発明に係る歯牙の再石灰化促進方法は、フッ化物イオン供給化合物を含む歯磨剤を用いて歯牙を洗浄するとともにフッ化物イオンを作用させた後、さらにカルシウムイオン供給化合物を含む口腔用液体組成物を作用させることを特徴とする。
上記歯磨剤としては、フッ化物イオン供給化合物をフッ素換算で90〜6000ppm含むものが好適である。また、上記口腔用液体組成物としては、カルシウムイオン供給化合物をカルシウム換算で0.1〜2質量%含むものが好ましい。それぞれの作用を効果的に発揮せしめることができるからである。
また、上記口腔用液体組成物としては、実質的にエタノールを含まないか、またはエタノール含有量が3質量%以下のもの、およびそのpHが5.5〜8.0のものが好適である。遊離カルシウムイオンの量を維持するためである。
本発明に係る歯牙の再石灰化促進方法によれば、歯牙の再石灰化を効果的に促進でき、う蝕を顕著に抑制することが可能になる。よって本発明は、近年における健康志向に沿うものとして非常に有用である。
本発明に係る歯牙の再石灰化促進方法は、フッ化物イオン供給化合物を含む歯磨剤を用いて歯牙を洗浄するとともにフッ化物イオンを作用させた後、さらにカルシウムイオン供給化合物を含む口腔用液体組成物を作用させることを特徴とする。
本発明の再石灰化方法ではフッ化物イオン供給化合物を含む歯磨剤を使用して、先ずこの歯磨剤により歯牙を洗浄するとともにフッ化物イオンを作用させる。歯磨剤による洗浄でプラーク(歯垢)を除去し、脱灰の原因となる酸の産生を抑制するためである。
本発明の歯磨剤はフッ化物イオン供給化合物を含む。このフッ化物イオン供給化合物は、唾液に溶解することによりフッ化物イオンを放出できるものである。口腔内で放出されたフッ化物イオンは、歯磨剤による洗浄によりプラークが除去された後、唾液中のカルシウムイオンと結合して不溶性のフッ化カルシウムを形成し、歯牙表面に沈着して保護する。さらに歯牙表面の近傍におけるフッ化物イオンの濃度が維持され、このフッ化物イオンがその後における再石灰化(リン酸カルシウムの沈着)を触媒する。さらに、その一部が歯牙のアパタイトと緩やかに結合したり或いは取り込まれて化合物を形成し、酸に対する歯牙の抵抗力を高めることもできる。
本発明のフッ化物イオン供給化合物としては、N’−オクタデシルトリメチレンジアミン−N,N,N’−トリス(2−エタノール)−ジヒドロフロライドや9−オクタデセニルアミン−ヒドロフロライドなどアミノ基を有する有機化合物とフッ化物イオンの塩も考えられるが、好適にはフッ化物イオンの金属塩の形で含む。例えば、フッ化ナトリウム、フッ化スズ、フッ化ジアミン銀などである。また、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウムなどのフッ化ケイ素化合物やモノフルオロリン酸ナトリウムの様に、間接的にフッ化物イオンを放出するものであってもよい。その他に茶、海草、それらの抽出物など、フッ化物イオンを含み口腔内で放出できる天然物であってもよい。
フッ化物イオン供給化合物の含有量は、本発明の効果を発揮することができ且つ生体へ悪影響を与えない程度であれば特に制限されないが、例えば、歯磨剤全体に対するフッ素換算で90〜6000ppmが好ましい。90ppm未満であると効果が十分に発揮できないおそれがあり、6000ppmを超えると生体に悪影響が生じる可能性があり得る。より好ましくは500ppm以上、2000ppm以下である。
本発明の歯磨剤には、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、増粘剤、研磨剤、薬効成分、殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤、溶媒、甘味料、香料など一般的な添加成分を配合してよい。
本発明の歯磨剤の製造は、常法に従えばよい。例えば、溶媒に各成分を添加した後、機械を用いて煉合すればよい。
本発明方法ではカルシウムイオン供給化合物を含む口腔用液体組成物を使用し、歯磨剤で歯牙を洗浄した後に、この口腔用液体組成物を作用させる。上述した様に、本発明の歯磨剤により歯牙を洗浄すれば、プラークを除去できる上に歯牙表面にフッ化カルシウムが沈着し、さらにその近傍ではフッ化物イオンがフリーの状態で存在するか、或いはフッ化物イオンと歯牙が非常に緩やかに結合している。そこへ本発明の口腔用液体組成物を作用させれば、カルシウムイオンがそれらのフッ化物イオンと結合し、先に形成されたものに更に付加する形でフッ化カルシウムとして歯牙に沈着し、再石灰化が促進されることになる。
本発明の口腔用液体組成物は、口腔内へカルシウムイオンを放出できるカルシウムイオン供給化合物を含む。このカルシウムイオン供給化合物としては、例えば、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、酢酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、硫酸カルシウムを挙げることができる。これらのうち塩化カルシウム、グルコン酸カルシウムおよび乳酸カルシウムが好適であり、グルコン酸カルシウムおよび乳酸カルシウムがより好ましい。
カルシウムイオン供給化合物の含有量は特に制限されないが、例えば、口腔用液体組成物に対するカルシウム換算で0.1〜2質量%が好ましい。0.1質量%未満であると効果が十分に発揮できないおそれがある一方で、2質量%を超えると他の配合成分との兼ね合いで沈殿が生じる可能性があり得る。より好ましくは0.2質量%以上、1質量%以下である。
本発明の口腔用液体組成物には、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、増粘剤、薬効成分、殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤、溶媒、甘味料、香料など一般的な添加成分を配合してよい。
特に、還元パラチノースを0.005〜15質量%程度含むことが好ましい。還元パラチノースは、フッ化物イオンと同様に歯牙の再石灰化を促進する作用を有するからである。
但し、エタノールは実質的に含まないか、またはエタノール含有量を3質量%以下とすることが好ましい。エタノールは清涼感の向上や非水溶性成分の可溶化等のために口腔用組成物に添加されることがあるが、本発明の口腔用液体組成物へ過剰に添加するとカルシウムイオンの溶解度が低下し、組成物に濁りが生じたり、また、再石灰化に必要なカルシウムイオンの濃度を維持できなくなるおそれがある。
また、pHは5.5〜8.0が好適である。必要以上に低pHまたは高pHであると組成物の刺激が強くなると共に、pHが低くなり過ぎるとカルシウムイオンの溶解度が低下するからである。
歯牙の脱灰と再石灰化は、化学平衡として単純化してみることができる。つまり、脱灰と再石灰化は同時に生じており、脱灰が再石灰化より優勢になれば脱灰が進行し、逆であれば再石灰化が進む。この化学平衡の傾きは、歯牙の主要な構成成分であるハイドロキシアパタイトを構成するイオン種、即ちカルシウムイオン、リン酸イオンおよび水酸化物イオンの溶解度積による。よって、う蝕原因細菌の塊(プラーク)から酸が放出されると水酸化物イオンの濃度が大きく減少し、その結果、溶解度積が維持されるためカルシウムイオンとリン酸イオンが溶解度積を満たすまで歯牙から外部へ溶出し、脱灰が起こる。
本発明方法では、先ず歯磨剤を用いて歯牙を洗浄することによりプラークを除去して酸の発生を低減し、ハイドロキシアパタイトの溶解を抑制する。その上で、フッ化物イオンが唾液中のカルシウムイオンと塩を形成して歯牙表面に沈着して保護し、また、その近傍におけるフッ化物イオン自体の濃度も高まる。さらに本発明の口腔用液体組成物を作用させることによりカルシウムイオンを十分量供給すれば、フッ化物イオンと結合してフッ化カルシウムが形成される。このフッ化カルシウムより少しずつ放出されるフッ化物イオンが、カルシウムイオンとリン酸イオンによるリン酸カルシウム化合物の形成を触媒的に促進することで、再石灰化が促進される。さらに、フッ化物イオンの一部が歯牙のアパタイトと緩やかに結合したり或いは取り込まれて化合物を形成し、酸に対する歯牙の抵抗力を高めることもできる。
以上の通り本発明は、使用直前にフッ化物イオンとカルシウムイオンとを混合して単にフッ化カルシウムを歯牙表面に作用させる従来技術とは異なり、脱灰と再石灰化のメカニズムを考慮して歯牙に適用する組成物の順番と製剤の剤形を規定することにより再石灰化を顕著に促進できるものである。よって本発明方法は、再石灰化を促進してう蝕を効果的に抑制することができるものとして、非常に有用である。
本発明に係る歯牙の再石灰化方法は、本発明の条件を満たす歯磨剤と口腔用液体組成物により実施することができる。これら歯磨剤と口腔用液体組成物が、本発明方法を行なうためのキットとしてセット販売されていればそれを用いればよい。しかし、その様な製品が市販されていない場合には、各歯磨剤と口腔用液体組成物を個別に入手し、使用してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
製造例1 本発明に係る歯磨剤の調製
表1に示す各成分を煉合し、950ppmのフッ化物イオンを含有する歯磨剤を調製した。なお、表1中の値は全て質量%である。
表1に示す各成分を煉合し、950ppmのフッ化物イオンを含有する歯磨剤を調製した。なお、表1中の値は全て質量%である。
製造例2 本発明に係る液体組成物の調製
塩化カルシウム2水和物の0.55%水溶液(37.4mM)を調製した。pHを測定したところ、6.6だった。
塩化カルシウム2水和物の0.55%水溶液(37.4mM)を調製した。pHを測定したところ、6.6だった。
製造例3 本発明に係る液体組成物の調製
塩化カルシウム2水和物を0.55%(37.4mM)、還元パラチノースを10%含む水溶液を調製した。pHを測定したところ4.5であったため、水酸化カリウム粒を加えて6.7とした。
塩化カルシウム2水和物を0.55%(37.4mM)、還元パラチノースを10%含む水溶液を調製した。pHを測定したところ4.5であったため、水酸化カリウム粒を加えて6.7とした。
試験例1 再石灰化試験
牛歯から直径約6mmのエナメル質ブロックを切り出し、歯科用レジン(Orthofast社製、GC)に包埋した。表面を耐水研磨紙(Beuhler社製、#600)により研磨し、牛歯エナメル質の表面を露出させた。別途、60mL広口瓶へ脱灰液1(0.1mol/mL乳酸、0.2%Carbopol、50%飽和ハイドロキシアパタイト溶液)を50mLずつ入れ、そこへエナメル質ブロックを1個ずつ浸漬し、37℃で96時間インキュベートすることによって、表面を脱灰した。次いで蒸留水で十分に洗浄した。得られた脱灰エナメル質ブロックは、湿雰囲気下で冷蔵保存した。
牛歯から直径約6mmのエナメル質ブロックを切り出し、歯科用レジン(Orthofast社製、GC)に包埋した。表面を耐水研磨紙(Beuhler社製、#600)により研磨し、牛歯エナメル質の表面を露出させた。別途、60mL広口瓶へ脱灰液1(0.1mol/mL乳酸、0.2%Carbopol、50%飽和ハイドロキシアパタイト溶液)を50mLずつ入れ、そこへエナメル質ブロックを1個ずつ浸漬し、37℃で96時間インキュベートすることによって、表面を脱灰した。次いで蒸留水で十分に洗浄した。得られた脱灰エナメル質ブロックは、湿雰囲気下で冷蔵保存した。
上記脱灰エナメル質ブロックにつき下記各処理、脱灰液2(塩化カルシウム1.5mM、リン酸二水素カリウム0.9mM、酢酸50mM、pH5)への浸漬、再石灰化液(塩化カルシウム1.5mM、リン酸二水素カリウム0.9mM、塩化カリウム130mM、HEPES20mM、pH7)への浸漬を繰り返すことにより、ヒトの食事後における歯牙の脱灰、口腔内の洗浄および再石灰化を実験的に再現した。
即ち、毎日9時、11時、13時および16時に下記の処理I〜IVのいずれかを行なった後に蒸留水で十分に洗浄し、11時から13時までの約2時間は脱灰液2に、それ以外の約22時間は再石灰化液に37℃で浸漬した。この処理を12日間行なった。
処理I 未処理(略称:none)
処理II 製造例1の歯磨剤5gと蒸留水15mLを混和したスラリーをエナメル質表面へスポイトで滴下し、5分間静置(略称:FTP)
処理III 処理IIと同様の処理を行なった後、スラリーを産業用ワイパー(クレシア社製、キムワイプ)で拭取り、製造例2の液体組成物を滴下し、5分間静置(略称:FTP+CaMW)
処理IV 製造例2の液体組成物を滴下し、5分間静置(略称:CaMW)
処理V 処理IIIにおいて、製造例2の液体組成物の代わりに製造例3の液体組成物で処理(略称:FTP+CaPalMW)
処理VI 製造例3の液体組成物を滴下し、5分間静置(略称:CaPalMW)。
処理II 製造例1の歯磨剤5gと蒸留水15mLを混和したスラリーをエナメル質表面へスポイトで滴下し、5分間静置(略称:FTP)
処理III 処理IIと同様の処理を行なった後、スラリーを産業用ワイパー(クレシア社製、キムワイプ)で拭取り、製造例2の液体組成物を滴下し、5分間静置(略称:FTP+CaMW)
処理IV 製造例2の液体組成物を滴下し、5分間静置(略称:CaMW)
処理V 処理IIIにおいて、製造例2の液体組成物の代わりに製造例3の液体組成物で処理(略称:FTP+CaPalMW)
処理VI 製造例3の液体組成物を滴下し、5分間静置(略称:CaPalMW)。
その後、エナメル質ブロックから厚さ約100μmの薄切片を作成し、これを測定試料とした。この測定試料をハイレゾリューションプレート(Kodak社製、High resolution plate 1A)に圧着し、X線照射器(HITEX社製、HB50、管電圧:25kV、管電流:2.5mA)にてX線を10分間照射した。このプレートを現像液(Kodak社製、Developer D19)により20℃で5分間現像後、定着処理した。得られたプレートにつきコンピュータ画像処理することによって、横軸:表層からの深さ、縦軸:ミネラル量としたグラフで表されるミネラル分布を得た。このミネラル分布から、脱灰病巣深さ(単位:μm)と脱灰ミネラル量(単位:Vol%・μm)を算出した。ここでいう「脱灰病巣深さ」とは、健全部のミネラル量の95%に当たるミネラル量を有する部分の表層からの深さを意味する。また、「脱灰ミネラル量」とは、健全部のミネラル分布と脱灰後のミネラル分布との差の脱灰病巣深さまでの積分値をいう。脱灰病巣深さの結果を図1に、脱灰ミネラル量の結果を図2に示す。なお、図1と2中のDEMは、脱灰したのみで以降の処理を全く行なわなかった場合の結果である。
図1と2において、各図のY軸の脱灰病巣深さ(μm)と脱灰ミネラル量(Vol%・μm)の数値が小さいほど再石灰化が促進されたことを示す。よって図1と2より、本発明に従ってフッ化物イオンを含む歯磨剤を用いた後にカルシウムイオンを含む口腔用液体組成物を作用させた場合(処理IIIとV)では、脱灰による病巣深さとミネラルの減少量が顕著に抑制されていることが分かる。従って、本発明方法によれば、脱灰後における再石灰化を促進できることが実証された。
Claims (5)
- フッ化物イオン供給化合物を含む歯磨剤を用いて歯牙を洗浄するとともにフッ化物イオンを作用させた後、さらにカルシウムイオン供給化合物を含む口腔用液体組成物を作用させることを特徴とする歯牙の再石灰化促進方法。
- 上記歯磨剤がフッ化物イオン供給化合物をフッ素換算で90〜6000ppm含むものである請求項1に記載の歯牙の再石灰化促進方法。
- 上記口腔用液体組成物がカルシウムイオン供給化合物をカルシウム換算で0.1〜2質量%含むものである請求項1または2に記載の歯牙の再石灰化促進方法。
- 上記口腔用液体組成物が実質的にエタノールを含まないか、またはエタノール含有量が3質量%以下のものである請求項1〜3のいずれかに記載の歯牙の再石灰化促進方法。
- 上記口腔用液体組成物がpH5.5〜8.0のものである請求項1〜4のいずれかに記載の歯牙の再石灰化促進方法。
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