JP2007097297A - スイッチング電源回路 - Google Patents

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Shoji Haneda
正二 羽田
Hidehiro Takakusa
英博 高草
Minoru Okada
實 岡田
Haruki Wada
晴樹 和田
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Abstract

【課題】チョークコイルを排除したシンプルな構成のスイッチング電源回路を提供する。
【解決手段】一次コイルと、疎結合の二次コイルとを具備するトランスと、一次コイルに対する直流電圧オンオフを切り替えるスイッチング素子と、オフ時に一次コイルに流れる電流を導通させる一次側整流デバイスと、オン時及びオフ時に二次コイルに流れる電流を導通させかつ逆方向電流を阻止する二次側整流デバイスとを有し、オン時に二次コイルに生じる磁気誘導により流れる電流を出力し、オフ時に一次コイルに流れる電流により二次コイルに生じる磁気誘導がオン時と同方向の電流を出力するように生じる。
【選択図】図1

Description

本発明は、スイッチング電源回路に関する。
図9は、フォワード方式のスイッチング電源回路の基本構成を示す回路図である(例えば、非特許文献1)。一次コイルL11と二次コイルL12を具備するトランスT10を有する。一次コイルL11に接続されたスイッチング素子Q11をオンオフ駆動することにより、一次コイルL11の巻き始め端子(黒丸で示す)に対する直流電圧Vinの印加、停止のスイッチングが行われる。二次コイルL12から流れ出る電流に対して順方向となるように二次コイルL12の巻き始め端子にダイオードD11のアノードが直列接続される。ダイオードD11のカソードと出力端子Voとの間にはチョークコイルL13が接続される。さらに、もう1つのダイオードD12のカソードがダイオードD11とチョークコイルL13との接続点に接続され、ダイオードD12のアノードは二次コイルの巻き終わり端子(接地点)に接続される。出力端子と接地点間には平滑コンデンサCが接続されている。
スイッチング素子Q11がオンになると一次コイルL11に直流電圧Vinが印加されて一次側電流i11が流れ、これに伴って二次コイルL12を二次側電流i21が流れ、ダイオードD11及びチョークコイルL13を通ってコンデンサCを充電し出力端子Voから負荷へ電流を供給する。スイッチング素子Q11がオフになると、一次コイルL11及び二次コイルL12に電流は流れず、チョークコイルL13に蓄積されたエネルギーによりダイオードD12を通って電流i22が流れ、負荷へ供給される。スイッチング素子Q11の制御端子にはパルス幅変調信号が入力され、負荷の変動に対してオン期間を調整することにより電源回路の出力電圧を一定に保持する帰還制御を行っている。
コーセル株式会社、「電源について」、p36、平成17年7月20日検索、<URL:http://www.cosel.co.jp/jp/products/img/technotes.pdf>
しかしながら、図9のフォワード方式のスイッチング電源回路には次のような問題点がある。
・スイッチング素子Q11がオフになり一次コイルL11への直流電圧の印加が停止すると二次コイルL12を流れる電流が消失するため、負荷へ電流を供給し続けるにはチョークコイルL13とダイオードD12を設けることが必要である。また、チョークコイルL13は、オン時に二次コイルL12に激しいピーク電流が流れることを防止するためにも必要である。チョークコイルL13は嵩張る上に重いため、スイッチング電源の小型化を妨げる。
・スイッチング素子Q11がオフするときに一次コイルL11との接続点(FETではドレイン、バイポーラトランジスタではコレクタ)に大きなスパイク電圧が発生するため、スイッチング素子Q11を高耐圧とする必要がある。あるいは、スナバ回路を用いる。しかしながら、スナバ回路はスパイク電圧の抑制ではなくダイオードやコンデンサ等の素子に吸収させるものであるから電力損失となり、スイッチング電源回路の電力変換効率を低下させることとなる。
以上述べた従来のフォワード方式のスイッチング電源回路の問題点に鑑み、本発明は、次のことを目的とする。
本発明は、フォワード方式のスイッチング電源回路におけるチョークコイルを排除し、スイッチングのオン期間及びオフ期間の双方において負荷へ電流を供給できるシンプルな構成のスイッチング電源回路を提供することを目的とする。
また本発明は、高耐圧のスイッチング素子やスナバ回路を用いることなくオフ時に一次コイルに生じるスパイク電圧を解消することができるスイッチング電源回路を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するべく、本発明は以下の構成を提供する。
(1)請求項1に係るスイッチング電源回路は、(a)一次コイルと、該一次コイルに対し疎に磁気結合された二次コイルとを具備するトランスと、
(b)前記一次コイルに印加する直流電圧のオンオフを切り替えるスイッチング素子と、
(c)前記一次コイルに対して並列接続された第1電流路を具備し、該第1電流路が前記スイッチング素子のオン時には遮断されかつ該スイッチング素子のオフ時には該一次コイルを流れる電流を導通させる一次側素子と、
(d)前記二次コイルに対して直列接続された第2電流路を具備し、該第2電流路が前記スイッチング素子のオン時には該二次コイルを流れる電流を導通させ、かつ該スイッチング素子のオフ時には該スイッチング素子のオン時と同方向に該二次コイルを流れる電流を導通させると共に逆方向に流れる電流に対して遮断される二次側素子とを有し、
(e)前記スイッチング素子のオン時に、前記直流電圧により前記一次コイルに第1電流が流れ、該第1電流に起因して前記二次コイルに生じる磁気誘導により該二次コイルに流れる第2電流を前記二次側素子を通して出力し、かつ、
(f)前記スイッチング素子のオフ時に、前記一次コイルに発生する逆起電力により前記一次側素子を通して該一次コイルに第3電流が流れ、該第3電流に起因して前記二次コイルに生じる磁気誘導により該二次コイルに流れる第4電流を前記二次側素子を通して出力することを特徴とする。
(2)請求項2に係るスイッチング電源回路は、請求項1において、前記一次側素子が、前記直流電圧の印加された前記一次コイルの両端電圧に対して逆方向となるべく接続された一次側整流デバイスであることを特徴とする。
(3)請求項3に係るスイッチング電源回路は、請求項1において、前記一次側素子が、前記スイッチング素子のオンオフと逆相にてオフオン制御される一次側スイッチング素子であることを特徴とする。
(4)請求項4に係るスイッチング電源回路は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記二次側素子が、二次側整流デバイスであることを特徴とする。
(5)請求項5に係るスイッチング電源回路は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記二次側素子が、前記スイッチング素子のオンオフと同相にてオンオフ制御される二次側スイッチング素子であることを特徴とする。
(6)請求項6に係るスイッチング電源回路は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記トランスが、対向する一対のヨークと、両ヨークの中央部同士を連結する中央脚と、両ヨークの対向する第1端部同士及び第2端部同士の間にそれぞれ延在する一対の外側脚とから構成されるコアを有し、
前記一次コイルが前記中央脚に巻装され、かつ前記二次コイルが前記一対の外側脚の各々に巻装され、
前記中央脚から前記外側脚へ向かう磁束の一部が該一次コイルと該二次コイルとの間の空隙を通るよう構成され、
前記一次コイルを流れる前記第1電流に起因して前記中央脚から前記一対の外側脚へそれぞれ流れる磁束が、各々の外側脚内で増加することにより、逆方向磁束を発生するべく前記二次コイルに前記第2電流が流れ、かつ、
前記一次コイルを流れる前記第3電流に起因して前記中央脚から前記一対の外側脚へそれぞれ流れる磁束が、前記第1電流に起因する磁束と同方向でありかつ各々の外側脚内で増加することにより、逆方向磁束を発生するべく前記二次コイルに前記第4電流が流れることを特徴とする。
(7)請求項7に係るスイッチング電源回路は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記トランスが、対向する一対のヨークと、両ヨークの中央部同士を連結する中央脚と、両ヨークの対向する第1端部同士及び第2端部同士の間にそれぞれ延在する一対の外側脚とから構成されるコアを有し、
前記一次コイルが前記中央脚に巻装され、前記二次コイルが前記一対の外側脚のいずれか一方に巻装され、かつ少なくとも前記二次コイルを巻装されない方の外側脚の中間位置に磁気ギャップが設けられ、
前記中央脚から前記外側脚へ向かう磁束の一部が該一次コイルと該二次コイルとの間の空隙及び前記二次コイルを巻装されない方の外側脚を通るよう構成され、
前記一次コイルを流れる前記第1電流に起因して前記中央脚から前記二次コイルが巻装された外側脚へ流れる磁束が、該外側脚内で増加することにより、逆方向磁束を発生するべく前記二次コイルに前記第2電流が流れ、かつ、
前記一次コイルを流れる前記第3電流に起因して前記中央脚から前記二次コイルが巻装された外側脚へ流れる磁束が、前記第1電流に起因する磁束と同方向でありかつ該外側脚内で増加することにより、逆方向磁束を発生するべく前記二次コイルに前記第4電流が流れることを特徴とする。
(8)請求項8に係るスイッチング電源回路は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記トランスが、対向する一対のヨークと、両ヨークの中央部同士を連結する中央脚と、両ヨークの対向する第1端部同士及び第2端部同士の間にそれぞれ延在する一対の外側脚とから構成されるコアを有し、
前記一次コイルが前記中央脚に巻装され、かつ前記二次コイルが前記一次コイルから離隔しかつ該一次コイルと同心状に前記一対の外側脚の内側に巻装され、
前記中央脚から前記外側脚へ向かう磁束の一部が該一次コイルと該二次コイルとの間の空隙を通るよう構成され、
前記一次コイルを流れる前記第1電流に起因して前記中央脚に流れる磁束が増加することにより、逆方向磁束を発生するべく前記二次コイルに前記第2電流が流れ、かつ、
前記一次コイルを流れる前記第3電流に起因して前記中央脚から前記一対の外側脚へそれぞれ流れる磁束が、前記第1電流に起因する磁束と同方向でありかつ各々の外側脚内で増加することにより、逆方向磁束を発生するべく前記二次コイルに前記第4電流が流れることを特徴とする。
(9)請求項9に係るスイッチング電源回路は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記トランスが、対向する一対のヨークと、両ヨークの中央部同士を連結する中央脚と、両ヨークの対向する第1端部同士及び第2端部同士の間にそれぞれ延在する一対の外側脚とから構成されるコアを有し、
前記一次コイルが前記中央脚に巻装され、前記二次コイルが該一次コイルの外側に配置された磁性体片を介して該一次コイルと同心状に巻装され、
前記中央脚から前記外側脚へ向かう磁束の一部が前記磁性体片を通るよう構成され、
前記一次コイルを流れる前記第1電流に起因して前記中央脚に流れる磁束が増加することにより、逆方向磁束を発生するべく前記二次コイルに前記第2電流が流れ、かつ、
前記一次コイルを流れる前記第3電流に起因して前記中央脚から前記一対の外側脚へそれぞれ流れる磁束が、前記第1電流に起因する磁束と同方向でありかつ各々の外側脚内で増加することにより、逆方向磁束を発生するべく前記二次コイルに前記第4電流が流れることを特徴とする。
(10)請求項10に係るスイッチング電源回路は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記トランスが、前記一次コイルにより形成される第1磁気回路と、該一次コイルに疎に磁気結合された前記二次コイルにより形成される第2磁気回路と、前記一次コイルの発生する磁束の一部が前記二次コイルを通過しないで漏洩する漏洩磁気回路とを有し、
前記一次コイルに直流電圧が印加されたとき前記二次コイルに電圧を誘起させると共に前記第1磁気回路内に存在する磁束の磁束密度を前記第2磁気回路内に存在する磁束の磁束密度より大として不均衡状態で保持し、
前記一次コイルへの直流電圧の印加が停止され該一次コイルに発生する逆起電力による電流が該一次コイルに流れるとき、前記第1磁気回路内の磁束密度が前記第2磁気回路の磁束密度より大きい不均衡状態であることに起因して前記二次コイルに前記一次コイルに直流電圧が印加されたときと同極性の電圧を誘起させることを特徴とする。
(11)請求項11に係るスイッチング電源回路は、請求項1〜5のいずれかにおける前記トランスにおいて、前記一次コイルへの直流電圧の印加が停止され該一次コイルに発生する逆起電力による電流が該一次コイルに流れるとき、前記第1磁気回路内の磁束密度が前記第2磁気回路の磁束密度より大きい不均衡状態であることに起因して前記第1磁気回路から前記第2磁気回路へ磁束が流れ込むことを特徴とする。
・請求項1に記載のスイッチング電源回路では、疎に磁気結合された一次コイルと二次コイルとを具備するトランスを用い、一次コイルに対してスイッチング素子によりオンオフする直流電圧を印加することにより、極めてシンプルな回路構成でスイッチング素子のオン期間及びオフ期間の双方において二次コイルから出力を得ることができる。
オン期間においては、一次コイルに直流電圧が印加されると一次コイルに電流が流れ始め増加する(第1電流)。一方、二次コイルは一次コイルとトランス結合されているため、一次コイルに第1電流が流れることにより一次コイルに生じた磁束が二次コイルを通りこれに抗する相互誘導の起磁力が二次コイルに生じ、対応する起電力が発生する。この起電力による誘導電流(第2電流)は、二次コイルに接続された二次側素子の電流路を通して出力され負荷に供給される。
一次コイルと二次コイルとはトランス結合ではあっても疎結合である。「疎結合」とは、一次コイルの磁気回路に発生する磁束の全てを二次コイルの磁気回路に通さず、その一部を意図的に設けた漏洩磁気回路に漏らすことにより二次コイルの磁気回路を通る磁束を少なくするようにトランスが構成されていることを意味する。これにより、オン時に二次コイルに激しいピーク電流を生じることはないため、負荷への激しいピーク電流が抑制できる。この結果、回路の配線等から電磁波として放出されるノイズレベルが低減される。また、従来は必要であったチョークコイルが不要となる。これによりスイッチング電源の小型化に寄与する。
本発明においては、漏洩磁気回路を磁束が通ることによって一次コイルに電力損を生じることはなく、一次コイルの磁気回路の磁束密度は従来のトランスと同様に大きくなっていく。一方、漏洩磁気回路に流れる磁束の分だけ二次コイルの磁気回路を通る磁束は少なくなるため、二次コイルの磁気回路では磁束密度の増加が従来よりも少なくなる。
一次コイルの磁気回路に生じた磁束の全てを二次コイルの磁気回路に通さず、その一部を漏らすトランス構成により、オン期間の終わりの時点では、一次コイルの磁気回路には大量の磁束が蓄積されて磁束密度が高い状態となる一方、二次コイルの磁気回路の磁束密度は低い状態のままである、両コイルの磁気回路の磁束密度が不均衡状態となることを実現できる。この磁束密度の不均衡状態は、以下に説明するオフ期間に二次コイルに流れる電流の要因となる。
次に、オフ期間においては、一次コイルへの直流電圧の印加が停止されることで一次コイルには自己誘導による逆起電力が発生する。本回路ではこのとき、一次コイル→一次側素子→一次コイルの閉回路が形成されるため、一次側素子の電流路を通して一次コイルに逆起電力による電流が流れる(第3電流)。
この一次コイルに流れる第3電流は、オン期間に一次コイルの磁気回路に蓄積された磁束を保持する(かしめる)働きがある。このため、一次コイルの磁気回路の磁束は瞬時に消滅することなく緩やかに減少し、その結果、一次コイルと二次コイルの磁束密度の不均衡状態はオフ期間に入ってもしばらく持続する。この両コイルの磁気回路における磁束の不均衡状態が存在することにより、一次コイルの磁気回路の磁束は減少傾向であるにも拘わらず一次コイルから生じて二次コイルを通過する磁束は増加を続ける。
そして、この増加する磁束に抗する起磁力が二次コイルの磁気回路に発生する。すなわち、この起磁力に対応して二次コイルにはオン期間と同じ方向の起電力が生じることとなる。本回路ではこのとき二次コイル→二次側素子→負荷→二次コイルの閉回路が形成されるため、二次コイルの起電力によりオン期間と同じ方向で二次側素子の電流路を通して負荷へ電流が流れる(第4電流)。
よって、本回路における二次コイルでは、オン期間もオフ期間も同方向すなわちフォワード方向に電流が流れて負荷に供給することができる。
尚、オフ期間において一次コイルの磁気回路の磁束が減少する一方、二次コイルの磁気回路の磁束が増加していくと、両者が均衡した時点で一次コイルから二次コイルへの磁束の流れが停止し、次回のオン期間までには両コイルを流れる電流が停止し両コイルの磁気回路とも磁束がリセット(磁束ゼロ)される。このとき、磁束が急減する二次コイルには逆起電力が生じるが、オフ期間には二次側素子の電流路が逆方向電流に対して遮断されるため逆方向電流は流れない。
さらに、一次コイルに第3電流が流れてその磁束がかしめられることで、一次コイルにオフ時のスパイク電圧が発生しない。これにより、スイッチング素子のスパイク電圧に対する耐圧性が不要となり低耐圧のものを使用できる。当然、スナバ回路も不要となり回路が簡素化され、スナバ回路による電力損失の問題も解消される。
・請求項2では、請求項1における一次側素子を、直流電圧の印加された前記一次コイルの両端電圧に対して逆方向となるように接続された一次側整流デバイスとする。これにより、スイッチング素子のオン期間には直流電圧に対して逆方向となり電流が流れず、オフ期間には一次コイルに生じる逆起電力に対して順方向となるために第3電流が流れることができる。一次側整流デバイスとして例えばダイオードを用いれば、回路を簡単に構成できる。
・請求項3では、請求項1における一次側素子を、一次コイルに対する直流電圧のオンオフと逆相でオフオン制御される一次側スイッチング素子とする。これにより、一次コイルに直流電圧が印加されるオン期間には、一次側スイッチング素子がオフすることにより直流電圧が接地されることを確実に防止する。オフ期間には、一次側スイッチング素子がオンすることにより第3電流が流れることができる。
・請求項4では、請求項1〜3のいずれかにおける二次側素子を、二次側整流デバイスとすることにより、スイッチング素子のオン期間もオフ期間も二次コイルに生じる一方向の電流(第2電流及び第4電流)のみを導通させ、逆方向の電流は遮断することができる。二次側整流デバイスとして例えばダイオードを用いれば、回路を簡単に構成できる。
・請求項5では、請求項1〜3のいずれかにおける二次側素子を、一次コイルに対する直流電圧のオンオフと同相でオンオフ制御される二次側スイッチング素子とする。そして、オン期間においては二次側スイッチング素子もオンすることにより二次コイルに生じる第2電流を流すことができる。オフ期間においては、負荷と並列の平滑コンデンサから二次コイル側へ放電される逆電流を阻止し、また二次コイルの磁束リセット時の逆電圧を阻止すると共に、二次側スイッチング素子に寄生するダイオード要素を利用してオン期間の第2電流と同じ方向に第4電流が流れることができる。さらに、ダイオード等の整流デバイスを用いる場合に比べてダイオードの順方向電圧降下がない分だけ負荷への出力電圧が大きくなる。
・請求項6〜9においては、請求項1〜5のスイッチング電源回路におけるトランスのコアが、対向する一対のヨークとこれらを連結する中央脚及び一対の外側脚とで構成されている。そして、中央脚に一次コイルが巻装される。二次コイルは外側脚の双方(請求項6)若しくはいずれか一方(請求項7)に巻装されるか、一次コイルと同心状に両外側脚の内側に巻装(請求項8)されるか若しくは磁性体片を介して一次コイルの上に重ねて巻装(請求項9)されている。本トランスでは、一次コイルと二次コイルとの間に空隙が形成されるように二次コイルを巻装するか、または、磁性体片を介して二次コイルを巻装することにより、一次コイルと二次コイルとを離隔させている。
斯かるトランスでは、スイッチング素子がオンのとき、一次コイルにより中央脚に生じた磁束が二次コイルの磁気回路へ流れ込むことにより二次コイルにはこれに抗する起磁力が瞬時に生じ、これに対応する起電力による電流が二次コイルに流れる。
また、斯かるトランスでは、一次コイルと二次コイルが空隙または磁性体片を介して離隔しているため、一次コイルに生じて中央脚から外側脚へ向かう磁束の一部は、漏洩磁気回路となる両コイル間の空隙または磁性体片を通る漏れ磁束となり、二次コイルと鎖交する磁束が減少する。この漏洩磁気回路を通る磁束によるエネルギー損失はほとんどなく一次コイルの磁束の増加を促進する。一方、二次コイルを通る磁束が少なくなることで二次コイルの磁束の増加を遅くする。これにより、両コイルの磁束密度に大きな差を生じさせることができる。
従って、オン期間の終わりの時点では一次コイルの磁気回路に磁束が蓄積されて磁束密度が高い状態となる一方、二次コイルの磁気回路の磁束密度は低い状態のままであり、両コイルの磁束密度が不均衡状態となっている。この不均衡状態のままオフ期間となり一次コイルに逆起電力による電流が流れると、一次コイルの磁気回路の磁束はかしめられてその減少が緩慢となる一方、二次コイルの磁気回路の磁束は増加を続ける。この増加する磁束に抗するように、オン期間と同方向の起磁力が二次コイルの磁気回路に生じ、これに対応する起電力による電流がオン期間と同方向に流れる。
・尚、請求項7において、外側脚の片側のみに二次コイルを巻装した場合は、少なくとも巻装されていない方の外側脚に磁気ギャップを設ける。これにより、巻装されていない方の外側脚へ過度に磁束が流れることを防止すると共に、この外側脚もまた漏洩磁気回路となる。こうして磁気飽和を防止し、十分な大きさの二次コイル出力電流を確保することが可能となる。片側のみに二次コイルを巻装することは製造コスト上、有利である。
・請求項10及び11のトランスは、一次コイルに生じる磁束の一部が二次コイルを通過しないで漏洩する漏洩磁気回路を設けたので、一次コイルに電圧を印加したときに生じる磁束の全てが二次コイルに与えられずに一次コイルに蓄積され、一次コイルの磁束密度が二次コイルの磁束密度に対して相対的に大となって不均衡状態で保持される。このような磁束密度の差が生じた状態で一次コイルへの電圧印加を停止すると、一次コイルには逆起電力による電流が流れる。これにより二次コイルにも起電力が生じるが、その起電力は、上記磁束密度の差が存在することに起因して、一次コイルに電圧印加したときと同方向に電流を流すように生じる。そして、磁束密度の差が存在することにより、一次コイルの磁気回路から二次コイルの磁気回路への磁束の流れ込みが持続し、その結果、二次コイルの磁気回路の磁束密度は増加し続ける。よって、本トランスでは、一次コイルへの電圧印加時も非印加時も、二次コイルから同方向(フォワード方向)の出力電流を得ることができる。
(1)スイッチング電源回路の第1の実施形態
(1−1)回路構成
図1は、本発明によるスイッチング電源回路の第1の実施形態の基本構成回路である。本回路は一次コイルL1と二次コイルL2とを具備するトランスTを有する。一次コイルL1と二次コイルL2の巻き始め端子は黒丸で示している。一次コイルL1と二次コイルL2とはトランス結合であるが、後述するトランスTの特徴的構成(図4及び図6〜8にて説明)により疎結合である。疎結合とは、一次コイルから二次コイルへ向かう磁束の一部を積極的に漏洩磁気回路に漏洩させるトランス結合であることをいう。このため、従来のトランスと異なり、本発明のトランスTでは出力電圧が巻数比のみによっては決定されず、漏洩する磁束量にも依存する。しかしながら一般的な設定と同様に、降圧型の場合には、二次コイルL2のインダクタンスが一次コイルL1のインダクタンスより小さくなるように巻き数が設定される。
一次コイルL1の巻き始め端子は、直流電圧の入力端子Vinと接続され、巻き終わり端子はスイッチング素子Q1であるNチャネルFET(field effect transistor)のドレインと接続されている。スイッチング素子Q1のソースは入力側接地点に接続される。スイッチング素子Q1のゲートG1に対しては、制御信号であるパルス電圧信号が入力される。
スイッチング素子Q1の別の実施例として、PチャネルFETを用いる場合は、ソースを一次コイルL1の巻き終わり端子に接続し、ドレインを入力側接地点に接続する。ゲートに対しては同様に制御信号であるパルス電圧信号(但し、負電圧がオン)を入力する。
また、スイッチング素子Q1のさらに別の実施例として、バイポーラトランジスタを用いることもできる。
以下の本発明の他の実施形態においても、直流電圧Vinのスイッチング素子Q1としてFETまたはバイポーラトランジスタのいずれも用いることができる。
また、一次コイルL1に対して並列接続される一次側素子としてダイオードD1が設けられる。ダイオードD1のアノードが一次コイルL1の巻き終わり端子に、カソードが巻き始め端子に接続される。
さらに、二次コイルL2に対して直列接続される二次側素子としてダイオードD2が設けられる。ダイオードD2のアノードが二次コイルL2の巻き始め端子に、カソードが出力端子Voに接続される。ダイオードD2の順方向電圧降下により負荷への供給電圧の低下を小さくするため、ダイオードD2として電圧降下が0.2V程度のショットキーバリアダイオードを用いることが好適である。
ダイオードD1及びダイオードD2の替わりに、その他の整流素子、整流回路等の整流デバイスを用いてもよい。
出力端子Voと出力側接地点との間には平滑コンデンサCが接続されている。図示しないが負荷も出力端子Voと出力側接地点との間に接続される。
尚、図1に示したスイッチング電源回路は、正の入力電圧から正の出力電圧を得る回路であるが、負の入力電圧から負の出力電圧を得るには、図1の回路構成を、極性のみ異なる全く同じ構成の回路とすればよいことは、当業者には自明のことである。その場合は、各構成要素(ダイオード及びスイッチング素子)及びオンオフ制御信号の極性を必要に応じて入れ替えればよく、正負の極性が逆となるだけで実質的に同じ動作が実現される。
(1−2)動作説明
<オン期間の動作>
スイッチング素子Q1のゲートに入力されるパルス電圧信号は、負荷の変動に対して入力直流電圧のオン期間を調整することにより電源回路の出力電圧を一定に保持する帰還制御を行うことも可能である。
スイッチング素子Q1のゲートに印加されるパルス電圧信号がオンとなると、ドレイン・ソース間の電流路が導通して直流電圧Vinが一次コイルL1に印加される。このとき一次コイルL1は、直流電圧Vinの負荷として働く。一次コイルL1の巻き始め端子が正電位、巻き終わり端子が負電位となる。
このときダイオードD1は逆バイアスとなるため電流は流れない。すなわち、オン期間においては、ダイオードD1の電流路は遮断されている。従って、直流電源Vin→一次コイルL1→スイッチング素子Q1、という経路で電流が流れる。このオン期間に一次コイルL1を流れる電流を「第1電流(i1)」と称することとする。
一方、一次コイルL1に第1電流が流れると一次コイルL1の磁気回路に磁束が発生する。そしてこの磁束が、トランス結合された二次コイルL2の磁気回路を通ることにより、これに抗する相互誘導による起磁力が二次コイルL2の磁気回路に瞬時に発生する。このとき二次コイルL2の巻き始め端子が正電位、巻き終わり端子が負電位となり、ダイオードD2は順バイアスとなる。この相互誘導による起電力により、二次コイルL2→ダイオードD2→C及び負荷、という経路で電流が流れる。このオン期間に二次コイルL2を流れダイオードD2を通して出力される電流を「第2電流(i2)」と称することとする。
一次コイルL1と二次コイルL2はトランス構造上疎結合であるので、オン時に一次コイルL1に生じる磁束によって二次コイルL2に激しいピーク電流が流れることはない。
また、一次コイルL1と二次コイルL2はトランス構造上疎結合であるので、一次コイルL1に生じた磁束の一部のみが二次コイルL2の磁気回路を通る。この結果、オン期間の終了時点では、一次コイルL1の磁気回路には大量の磁束が蓄積されて磁束密度が高い状態となる一方、二次コイルL2の磁気回路の磁束密度は低い状態のままであり、両コイルの磁気回路の磁束密度が不均衡状態となっている。この不均衡状態は以下のオフ期間における電流の要因となる。
<オフ期間の動作>
スイッチング素子Q1のゲートに印加されるパルス電圧信号がオフとなると、ドレイン・ソース間の電流路が遮断して直流電圧Vinの一次コイルL1への印加が停止される。印加電圧が急に停止されることで一次コイルL1には、自己誘導に基づく逆起電力が発生する。このとき一次コイルL1は電源として働き、巻き始め端子が負電位、巻き終わり端子が正電位となる。よってダイオードD1は順バイアスとなる。この結果、一次コイルL1→ダイオードD1→一次コイルL1、という閉回路に電流が流れる。これは準短絡状態である。このオフ期間に一次コイルL1からダイオードD1を通して流れる電流を「第3電流(i3)」と称することとする。
一次コイルL1の磁気回路の磁束は、スイッチング素子Q1がオフとなる時点で最大となっている。一次コイルL1に流れる第3電流は、オン期間に一次コイルL1の磁気回路に蓄積された磁束を保持する(かしめる)働きがあり、磁束の減少を緩慢とする。つまり、オフ期間になって一次コイルL1のの磁気回路の磁束は減少しつつも、一次コイルL1の磁気回路の方が二次コイルL2の磁気回路よりも相対的に磁束密度の高い状態がしばらく持続する。この両コイルの磁気回路の磁束密度の不均衡状態が持続する限り、一次コイルL1の磁気回路にかしめられた磁束により二次コイルL2の磁気回路を通過する磁束は増加を続け、これに抗する起磁力が二次コイルL2の磁気回路に生じる。
従って、オフ期間に二次コイルL2に生じる起磁力の方向はオン期間と同じである。よって二次コイルL2には、オン期間と同じ方向の起電力が生じ、フォワード動作を行う。すなわち、オフ期間においても一次コイルL1の磁気回路が磁束発生源となり二次コイルL2の磁気回路が磁束受領源となり、二次コイルL2の磁気回路は一次コイルL1の磁気回路の磁束を受け続け、しかもその増加率は正である。従って二次コイルL2は、オン期間と同じく巻き始め端子が正電位、巻き終わり端子が負電位となり、ダイオードD2は順バイアスとなる。この結果、二次コイルL2→ダイオードD2→C及び負荷→二次コイル、という閉回路に電流が流れる。このオフ期間に二次コイルL2からダイオードD2を通して出力される電流を「第4電流(i4)」と称することとする。
このように、本回路における二次コイルL2では、オン期間もオフ期間も同方向(フォワード方向)に電流が流れて負荷に供給することができる。
その後、オフ期間における時間経過と共に、磁束発生源である一次コイルL1の磁気回路の保持磁束量が減少し、磁束密度が低下していくと、二次コイルL2の磁気回路の磁束密度と均衡する点に達する。両コイルの磁気回路の磁束密度が均衡すると磁束の流れがなくなる。この磁束が均衡する近傍領域または少なくとも次のオン期間までの間に一次コイルL1を流れる第3電流及び二次コイルL2を流れる第4電流はゼロとなり、両コイルの磁束がゼロにリセットされる。尚、通常、二次コイルL2の磁気回路の磁束は一次コイルL1の磁気回路の磁束よりも早く急激にリセットされる。それにより二次コイルL2には逆起電力が発生するが、ダイオードD2が逆バイアスとなるため逆方向電流は流れない。その後、次の周期のオン期間を迎える。これらの動作については、後に図4〜8においてトランスTの構成との関係と共にさらに詳細に述べる。
(1−3)波形計測結果
図2は、図1に示した回路図の各測定点X1〜X3における電圧または電流の計測波形である。横軸は時間軸(s)、縦軸は電流または電圧(AまたはV)である。
図2(A)は、一次コイルL1の巻き終わり端子である計測点X1における電圧波形である。スイッチング素子Q1のオフ期間には直流電圧Vinが巻き終わり端子にそのまま現れているが、スイッチング素子Q1のオン期間には一次コイルL1の両端に直流電圧Vinが印加され、巻き終わり端子はほぼ接地電位まで降下する。スイッチング素子Q1が再びオフすると直流電圧Vinが現れる。
図2(B)は、二次コイルL2の巻き始め端子である計測点X2における電圧波形である。スイッチング素子Q1がオンすると二次コイルL2に生じる起電力により巻き始め端子は正電位となる。スイッチング素子Q1がオフしても二次コイルL2は、その磁気回路における磁束の増加傾向が続いて同方向の起電力が維持されるため、巻き始め端子は正電位のままである。そして、一次コイルL1と二次コイルL2の双方の磁気回路の磁束が均衡する近傍領域で両コイルの磁気回路の磁束がリセットされ、二次コイルL2に逆起電力が発生する。
図2(C)は、計測点X3における電流波形、すなわちスイッチング素子Q1の電流路に流れる電流の波形である。これは、スイッチング素子Q1のオン期間に一次コイルL1を流れる第1電流i1の波形である。スイッチング素子Q1がオンして一次コイルL1に直流電圧Vinが印加されると第1電流i1は次第に増加する。スイッチング素子Q1がオフすると、スイッチング素子Q1の電流路が遮断されるため電流はゼロになる。オフ期間にはスイッチング素子Q1を流れる電流はゼロであるが、一次コイルL1にはオフとなったとき直ちに逆起電力が生じるため、第1電流i1と同方向に第3電流i3が流れることとなる。
図2(D)は、二次コイルL2の巻き始め端子である計測点X2における電流波形である。スイッチング素子Q1がオンすると相互誘導による起電力により二次コイルL2に第2電流i2が流れ始め次第に増加する。スイッチング素子Q1がオフしても二次コイルL2には同方向の起電力が維持されるため、第2電流i2と同方向の第4電流はi4が流れ続ける。一次コイルL1と二次コイルL2の双方の磁気回路の磁束密度の差が次第に小さくなるにつれて二次コイルL2における起電力も小さくなり第4電流i4は減少していく。第4電流i4がゼロとなる時点は、図2(B)において二次コイルL2に逆起電力が発生する時点(両コイルの磁束リセット動作領域)と一致する。このように、スイッチング素子Q1がオフの時も二次コイルL2にはフォワード方向に電流が流れることが、計測により確認された。
(2)スイッチング電源回路の第2の実施形態
(2−1)回路構成
図3は、本発明によるスイッチング電源回路の第2の実施形態の基本構成回路である。本回路は、上記の第1の実施形態においてダイオードD1に替えて一次側スイッチング素子Q2を接続し、ダイオードD2に替えて二次側スイッチング素子Q3を接続している点が異なる。他の構成要素については第1の実施形態と同様である。
一次コイルL1に対して並列接続される一次側素子として用いる一次側スイッチング素子Q2はnチャネルFETである(pチャネルFETも用いることができる)。一次側スイッチング素子Q2は、ドレインを一次コイルL1の巻き始め端子に接続し、ソースを巻き終わり端子に接続している。一次側スイッチング素子Q2のゲートG2には、スイッチング素子Q1のゲートG1に入力するパルス電圧信号と逆相の信号を入力する。そのために、パルス電圧信号を反転回路INVを介してQ2のゲートG2に入力している。従って、一次側スイッチング素子Q2は、スイッチング素子Q1のオンオフと逆のタイミングでオフオン制御されることとなる。
一次側スイッチング素子Q2をFETとする場合は、そのオフ期間(スイッチング素子Q1のオン期間)に寄生ダイオードによる電流が流れないような方向で接続する。
一次側スイッチング素子Q2は、バイポーラトランジスタでもよい。
二次コイルL2に対して直列接続される二次側素子として用いる二次側スイッチング素子Q3はnチャネルFETである(pチャネルFETも用いることができる)。二次側スイッチング素子Q3は、ソースを二次側コイルL2の巻き始め端子に接続し、ドレインを出力端子Voに接続している。二次側スイッチング素子Q3の制御端子であるゲートG3に対しては、スイッチング素子Q1のゲートG1に入力するパルス電圧信号と同じ信号を入力する。従って、二次側スイッチング素子Q3は、スイッチング素子Q1のオンオフと同じタイミングでオンオフ制御されることとなる。
二次側スイッチング素子Q3のFETは、オン期間にはドレイン・ソース間のいずれの方向にも電流が流れることができる。オフ期間にはドレインからソースへ(出力端子Voから二次コイルL2の巻き始め端子へ)の電流は遮断されるが、寄生ダイオードによりソースからドレインへ(二次コイルL2の巻き始め端子から出力端子Voへ)は電流が流れることができる。二次側スイッチング素子Q3は、電流の流れに関して第1の実施形態のダイオードD2と同様に動作するため、オンオフいずれの期間にもソースからドレインへ電流が流れることとなる。大電流出力を得る場合には、二次側スイッチング素子Q3のFETは、スイッチング素子Q1のFETよりも大電流用とすることが好適である。
このように二次側スイッチング素子Q3をFETとする場合は、そのオフ期間(スイッチング素子Q1のオフ期間)に寄生ダイオードにより電流が流れる方向で接続する。しかしながら、寄生ダイオードは逆回復時間が長く高速動作に適さない。そこで、オフ期間の電流路を確保するために図3のようにダイオードD3を設けることが好適である。ダイオードD3は、アノードを二次コイルL2の巻始め端子へカソードを出力端子Voに接続され、二次コイルL2の巻始め端子が正電位のときに順バイアスとなる。順方向電圧降下の小さいショットキーバリアダイオードが好適である。
二次側スイッチング素子Q3はバイポーラトランジスタでもよく、その場合も、オフ期間の電流路確保のためにダイオードD3を設ける。
(2−2)動作説明
<オン期間の動作>
第2の実施形態の回路動作は、一次側スイッチング素子Q2及び二次側スイッチング素子Q2の動作を除いて、第1の実施形態の回路動作と同じであり、オン期間に流れる第1電流及び第2電流、並びにオフ期間に流れる第3電流及び第4電流の発生原理は同じである。すなわち、トランスTの構造に基づく一次コイルL1と二次コイルL2の磁気回路の動作は同じであるので、簡略的に説明する。
スイッチング素子Q1のゲートに印加されるパルス電圧信号がオンとなると、ドレイン・ソース間の電流路が導通して直流電圧Vinが一次コイルL1に印加される。このとき一次コイルL1の巻き始め端子が正電位、巻き終わり端子が負電位となる。このとき一次側スイッチング素子Q2はオフとなりドレイン・ソース間は遮断され電流は流れない。従って、第1の実施形態と同様に、直流電源Vin→一次コイルL1→スイッチング素子Q1、という経路で第1電流i1が流れる。
一方、一次コイルL1に流れる第1電流i1による磁束に起因して、トランス結合された二次コイルL2に生じる相互誘導による起電力により、二次コイルL2→二次側スイッチング素子Q3→C及び負荷→二次コイルL2、という経路で第2電流i2が流れる。このとき二次側スイッチング素子Q3はオンでありドレイン・ソース間は導通している。
<オフ期間の動作>
スイッチング素子Q1のゲートに印加されるパルス電圧信号がオフとなると、ドレイン・ソース間の電流路が直ちに遮断して直流電圧Vinの一次コイルL1への印加が停止される。一次コイルL1には自己誘導に基づく逆起電力が発生する。このとき一次側スイッチング素子Q2はオンとなりドレイン・ソース間が導通するため、一次コイルL1→一次側スイッチング素子Q2→一次コイルL1、という閉回路に第3電流i3が流れる。
一次コイルL1に流れる第3電流i3は、オン期間に一次コイルL1に蓄積された磁束をかしめる。そして一次コイルL1の磁気回路にかしめられた磁束が二次コイルL2の磁気回路の磁束密度を増加させつつ通過することにより、二次コイルL2にはオン期間と同じ方向の起電力が生じる。二次側スイッチング素子Q3のゲートG3へのパルス電圧信号は、スイッチング素子Q1のゲートG1と同時にオフとなるが、二次側スイッチング素子Q3はオフとなっても寄生ダイオード(またはダイオードD3)によりソースからドレインへ電流が流れることができる。よって、二次コイルL2→二次側スイッチング素子Q3(またはダイオードD3)→負荷及びC→二次コイルL2、という閉回路に電流が流れる。
(3)スイッチング電源回路の第3の実施形態
本発明によるスイッチング電源回路の第3の実施形態は、図示しないが、第1の実施形態の回路におけるダイオードD1を、第2の実施形態の一次側スイッチング素子Q2に置き換えた形態である。この第3の実施形態における一次側スイッチング素子Q2の接続及び動作は第2の実施形態と同様である。第3の実施形態では、二次側素子として第1の実施形態と同様にダイオードD2等の整流デバイスを用いる。
(4)スイッチング電源回路の第4の実施形態
本発明によるスイッチング電源回路の第4の実施形態は、図示しないが、第1の実施形態の回路において二次側ダイオードD2を、第2の実施形態の二次側スイッチング素子Q3(または、二次側スイッチング素子Q3とダイオードD3との組合せ)に置き換えた形態である。この第4の実施形態における二次側スイッチング素子Q3(またはダイオードD3)の接続及び動作は第2の実施形態と同様である。第4の実施形態では、一次側素子として第1の実施形態と同様にダイオードD1等の整流デバイスを用いる。
(5)トランスの第1の実施形態
(5−1)トランスの構成
図4は、上記のスイッチング電源回路の第1〜第4の実施形態に好適に用いられるトランスTの第1の実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
トランスTのコアは、対向する上下一対のヨーク21a、21bと、両ヨークの中央部同士を連結する中央脚22と、両ヨークの対向する第1端部同士及び第2端部同士の間にそれぞれ延在する一対の外側脚23a、23bとから構成され、さらに両ヨーク間の中間位置にて外側脚23a、23bに磁気ギャップ24a、24bをそれぞれ設けている。中央脚22と各外側脚23a、23bとはそれぞれ窓空間25a、25bにより隔てられている。
一次コイルL1は中央脚22に巻装されている。一次コイルL1の巻き始め端子は、図1の入力端子Vin及びダイオードD1のカソードと接続される。
二次コイルL2は、第1の二次コイルL2aと第2の二次コイルL2bに分割されて双方の外側脚23a、23bにそれぞれ巻装されている。第1の二次コイルL2aの巻き終わりと第2の二次コイルL2bの巻き始めは接続される。第1の二次コイルL2aの巻き始め端子は、図1のダイオードD2のアノードと接続される。第2の二次コイルL2bの巻き終わり端子は、図1の出力側接地点へ接続される。
一次コイルL1と二次コイルL2a、L2bとは、窓空間25a、25b内においてそれぞれ離隔して(当然であるが、コイルを巻装した厚み分は減じられる)巻装されており、これにより疎のトランス結合が実現される。以下、第1及び第2の二次コイルL2a、L2bはまとめて「二次コイルL2」と称する。
(5−2)トランスの動作説明
図5を参照しつつ、磁気回路と電気回路との関係を含めて図4に示したトランスTの動作を説明する。
図4のトランス内部に示した各矢印は、各コイルの磁気回路に生じる磁束の向きを概略的に示している。「φ1」は一次コイルL1の磁気回路に生じる磁束であり、「φ1a」はφ1のうち二次コイルL2の磁気回路に流れ込む磁束であり、「φ1b」はφ1のうち二次コイルL2の磁気回路に流れ込まずに漏れる磁束であり、「φ2」はφ1aに抗して二次コイルL2の磁気回路に生じる磁束である。
図5(A)は、中央脚22の磁気回路(以下「中心磁極磁気回路」と称する)の磁束φ1(破線)と、外側脚23a、23bの各磁気回路(以下「両脚磁気回路」と称する)に流れ込む磁束φ1a(実線)の各々の磁束密度の時間変化を模式的に示した図である。
図5(B)は、図5(A)と時間軸を揃えた二次コイルL2の第2電流i2及び第4電流i4の時間変化(実線)と、参考のために一次コイルL1の逆起電力による電流である第3電流i3の時間変化(破線)を模式的に示した図である。
<オン期間の動作>
一次コイルL1に直流電圧が印加されて第1電流i1が流れると、中心磁極磁気回路に磁束φ1が発生する。第1電流i1は、図4のトランスTの底面からみて一次コイルL1を時計回りに流れる。
磁束φ1の一部である磁束φ1aが、両脚磁気回路へ流れ込むことにより、二次コイルL2には相互誘導により磁束φ1aに抗する起磁力による磁束φ2が生じる。二次コイルL2の第2電流i2は、この磁束φ2を生じる方向に流れる。よって、第2電流i2は、トランスTの底面からみて二次コイルL2を時計回りに流れ、出力端子へ出力される。
トランスTでは、中心磁極磁気回路に生じた磁束φ1の一部である磁束φ1b(図4の二点破線)が、一次コイルL1と二次コイルL2の間の空隙である漏洩磁気回路を通ることにより、両脚磁気回路を通る磁束φ1aは少なくなっている。漏洩磁気回路は磁束φ1の迂回路である。
図5(A)の破線に示すように、直流電圧が一次コイルL1に印加されると中心磁極磁気回路の磁束密度は急速に増加する。このとき、両脚磁気回路の磁束密度も実線で示すように中心磁極磁気回路の磁束φ1の影響により増加するが、この増加は中心磁極磁気回路のそれよりも少ない。これは、次のように説明される。
中心磁極磁気回路に生じた磁束φ1は、本来、二次コイルL2が巻装された両脚磁気回路を通り難く、従来のトランスではこの通り難い磁束をできるだけ漏れなく通すことを理想としている。これに対し、本発明のトランスでは中心磁極磁気回路に生じた磁束φ1の一部φ1bを積極的に漏洩磁気回路へ迂回させることにより、二次コイルL2と鎖交する磁束φ1aを減少させている。そして、漏洩磁気回路に迂回させられる磁束φ1bは、そのエネルギー損失がほとんどないことから中心磁極磁気回路の磁束密度の増加を促進することに寄与する。一方、鎖交する磁束φ1aが相対的に減少した両脚磁気回路の磁束密度の増加は低く抑えられることとなる。この結果、中心磁極磁気回路と両脚磁気回路の磁束密度に大きな差が生じる。
本発明のトランスにおいては、漏洩磁気回路へ迂回させられる磁束φ1bによって一次コイルL1に電力損は生じない。これは、例えば、従来のトランスにおいて一次コイルに電流を流し二次コイルを開放してオープン状態としたときに一次コイルに電力損を生じないことに相当する。
従来のトランスであれば中心磁極磁気回路から両脚磁気回路へ与えられるべき磁束が、本トランスにおいては、両脚磁気回路へ与えられず中心磁極磁気回路に蓄積するが、この中心磁極磁気回路に蓄積されたエネルギーは、後述するオフ期間になってから両脚磁気回路へと放出されるので、エネルギーの損失はない。
尚、両脚磁気回路の磁束密度の増加自体は少ないが、これに抗して生じる起磁力φ2の変化率は二次コイルL2に瞬時に電流を流すために十分な大きさであるので、図5(B)に示すように十分な第2電流i2が流れる。
こうして、図5(A)の通り、オン期間の終了時点t1では、中心磁極磁気回路に大量の磁束が蓄積されて磁束密度が最大となる一方、両脚磁気回路の磁束密度は相対的に低く、両者の磁束密度は不均衡状態となっている。
尚、外側脚23a、23bに磁気ギャップ24a、24bを設けたのは、磁気抵抗を大きくして磁気飽和を防止するために好適だからであり、必要に応じて設けても設けなくともよい。
<オフ期間の動作>
一次コイルL1への直流電圧印加が停止され第1電流i1が遮断されると、通常であれば磁束φ1は瞬時に消失するが、一次コイルL1に生じる逆起電力により即座に外部との閉回路(L1は準短絡状態)に第3電流i3が流れる(図5(B)の破線)。そして第3電流i3が一次コイルL1に流れ始めることで磁束φ1は強固に保持され(かしめられ)、図5(A)の通り、φ1の磁束密度は最大値から比較的緩やかに減少していく。従って、オフ期間になっても、中心磁極磁気回路と両脚磁気回路の磁束密度の不均衡状態は持続し、この不均衡状態が持続する限り、中心磁極磁気回路から両脚磁気回路へ流れ込む磁束φ1aは増加傾向を維持する。
図5(A)の実線に示すように、中心磁極磁気回路から両脚磁気回路へ供給される磁束φ1aの単位時間あたりの増加率は、オン期間に比べれば小さくはなるが、オン期間と同様に正である。この結果、オフ期間においても磁束φ1aに抗する起磁力φ2の方向はオン期間と同じであり、よって、二次コイルL2にはオン期間と同じ方向に起電力が誘起され続け、同じ方向に第4電流i4が流れ、出力端子へ出力される。
因みに、従来のトランスであれば、オフとなった時点で中心磁極磁気回路と両脚磁気回路に磁束密度の不均衡状態は生じていない。そして、通常は、次回のオン期間に備えて中心磁極磁気回路の磁束を直ちにリセットする。このため従来のトランスでは、オフとなった時点で両脚磁気回路の磁束密度も直ちにゼロにリセットされ、二次コイルL2にはフライバック電圧のみが生じてオン期間とは逆方向に電流を流そうとする。本発明では、これと全く逆の動作を実現している。
やがて、図5(A)のt2の時点で、中心磁極磁気回路のφ1の磁束密度と両脚磁気回路のφ1aの磁束密度とが均衡し、磁束の流れが停止する。その後、図5(B)に示すように、磁束リセット動作領域(t2近傍)において二次コイルL2の第4電流i4はゼロとなり、やがて一次コイルL1の磁気回路の磁束も消失して第3電流i3も停止する。こうして、両コイルがオープン状態となる。そして次回のオン期間を迎える。
ここで、図5(A)に示すように、磁束リセット動作領域(t2近傍)においては両脚磁気回路へ与えられる磁束φ1aがそれまでの増加傾向から急激にゼロとなるために、その磁束変化率は負の最大値となる。この結果、それまでと逆方向に大きな起磁力が生じ、二次コイルL2に逆起電力が発生する。図2でも述べた通り、図2(D)の第4電流i4がゼロとなった時点で図2(B)の二次コイルL2の電圧に逆起電力が発生している。図2(B)及び(D)の波形観測結果は、オフ期間においても中心磁極磁気回路から両脚磁気回路への磁束の供給が増加傾向を維持していることを証明するものである。尚、ダイオードD2が逆バイアスとなるために、この二次コイルL2の逆起電力による電流は流れない。
(6)トランスの第2の実施形態
図6は、トランスTの第2の実施形態の構成を模式的に示す断面図である。図4の構成との相違点は、二次コイルL2が片側の外側脚23bにのみ巻装されている点である。
図6のトランスTでは、二次コイルL2を巻装された外側脚23bには、一次コイルL1に生じた磁束φ1が通り難く、巻装されていない外側脚23aには通り易い。この結果、二次コイルL2から必要な大きさの出力電流が得られない虞がある。そこで、二次コイルL2から十分な出力電流を得るためには、巻装されない外側脚23aの磁気ギャップ24aを広くするか、あるいは巻装された外側脚23bに図示のように磁気ギャップを設けないことが有効である。巻装されていない外側脚23aは、一次コイルL1と二次コイルL2の間の空隙と同様に、磁束の迂回路となる漏洩磁気回路として働く。このように、片側のみに二次コイルL2を巻装することは、製造コストを低減できる利点がある。
(7)トランスの第3の実施形態
図7は、トランスTの第3の実施形態の構成を模式的に示す断面図である。図4の構成との相違点は、二次コイルL2が一次コイルL1と同心状に巻装される点である。図7はその一例であり、二次コイルL2が両外側脚23a、23bの内壁に密着して巻装されているがこれに限定されず、両外側脚23a、23bの内側であれば両外側脚から離れていてもよい。本発明のトランスでは二次コイルL2を一次コイルL1に密着させないで、一次コイルL1と二次コイルL2を離隔して巻装し、この離隔空隙に漏洩磁気回路を形成させることが特徴である。よって、二次コイルL2を両外側脚23a、23bの内壁に密着して巻装する必要はない。
図7のトランスTでは、二次コイルL2が一次コイルL1と同心状に巻装されている。一次コイルL1に生じた磁束φ1に抗する起磁力φ2が外側脚23a、23bの磁気回路に生じ、これに対応する電流が二次コイルL2に流れる。この場合、図7のトランスTの底面からみて、第1電流i1及び第3電流i3は一次コイルL1を時計回りに流れ、第2電流i2及び第4電流i4は二次コイルL2を反時計回りに流れる。但し、結線は同じであるので電気回路の動作は同じである。すなわち、図4におけるトランスTの二次コイルL2に流れる電流と、図7におけるトランスTの二次コイルL2に流れる電流の向きは反対であるが、両者の外側脚の磁気回路に生じる起磁力φ2の向きと二次コイルL2に流れる電流方向の関係は同一である。また上記と同様に、一次コイルL1による磁束φ1の一部φ1bが、一次コイルL1と二次コイルL2の間の空隙を漏洩磁気回路として漏れる。
(8)トランスの第4の実施形態
図8は、トランスTの第4の実施形態の構成を模式的に示す断面図である。図4の構成との相違点は、二次コイルL2が、一次コイルL1の外側に配置された一対の磁性体片26a、26bを介して一次コイルL1と同心状に巻装されている点である。磁性体片26a、26bはトランスTの底面側から見てそれぞれ円弧状断面を有する。
図8のトランスTでは、二次コイルL2が一次コイルL1と同心状に巻装されている。一次コイルL1に生じた磁束φ1に抗する起磁力φ2が外側脚23a、23bの磁気回路に生じ、これに対応する電流が二次コイルL2に流れる。この場合、図8のトランスTの底面からみて、第1電流i1及び第3電流i3は一次コイルL1を時計回りに流れ、第2電流i2及び第4電流i4は二次コイルL2を反時計回りに流れる。但し、結線は同じであるので電気回路の動作は同じである。すなわち、図4におけるトランスTの二次コイルL2に流れる電流と、図8におけるトランスTの二次コイルL2に流れる電流の向きは反対であるが、両者の外側脚の磁気回路に生じる起磁力φ2の向きと二次コイルL2に流れる電流方向の関係は同一である。また、一次コイルL1による磁束φ1の一部φ1bが双方の磁性体片26a、26bを通り漏れる。この場合、双方の磁性体片26a、26bが漏洩磁気回路として作用する。
(9)トランスの特徴のまとめ
本発明のスイッチング電源回路で用いるトランスは、一次コイルL1と二次コイルL2との間に漏洩磁気回路を形成するように、空隙または磁性体片を介して両コイルが巻装されている。そして、漏洩磁束の量をどの程度にするかによって、一次コイルL1と二次コイルL2を離隔する距離を決定する。この点において本発明のトランスは、従来のトランスが一次コイルと二次コイルの結合率を限りなく100%(結合度=1)になるように一次コイルと二次コイルを密着して巻装する点と大きく相違する。
本発明によるスイッチング電源回路の第1の実施形態の基本構成回路である。 図1に示した回路図の各測定点における電圧または電流の計測波形である。 本発明によるスイッチング電源回路の第2の実施形態の基本構成回路である。 本発明によるスイッチング電源回路に好適に用いられるトランスTの第1の実施形態の構成を模式的に示す断面図である。 (A)は、中心磁極磁気回路及び両脚磁気回路の磁束密度の時間変化を模式的に示した図である。(B)は、二次コイルL2と一次コイルL1の電流の時間変化を模式的に示した図である。 本発明によるスイッチング電源回路に好適に用いられるトランスTの第2の実施形態の構成を模式的に示す断面図である。 本発明によるスイッチング電源回路に好適に用いられるトランスTの第3の実施形態の構成を模式的に示す断面図である。 本発明によるスイッチング電源回路に好適に用いられるトランスTの第4の実施形態の構成を模式的に示す断面図である。 従来のフォワード方式のスイッチング電源回路の基本例を示す回路図である。
符号の説明
T トランス
Q1 スイッチング素子
Q2 一次側スイッチング素子
Q3 二次側スイッチング素子
D1 一次側ダイオード
D2 二次側ダイオード
L1 一次コイル
L2 二次コイル

Claims (11)

  1. (a)一次コイルと、該一次コイルに対し疎に磁気結合された二次コイルとを具備するトランスと、
    (b)前記一次コイルに印加する直流電圧のオンオフを切り替えるスイッチング素子と、
    (c)前記一次コイルに対して並列接続された第1電流路を具備し、該第1電流路が前記スイッチング素子のオン時には遮断されかつ該スイッチング素子のオフ時には該一次コイルを流れる電流を導通させる一次側素子と、
    (d)前記二次コイルに対して直列接続された第2電流路を具備し、該第2電流路が前記スイッチング素子のオン時には該二次コイルを流れる電流を導通させ、かつ該スイッチング素子のオフ時には該スイッチング素子のオン時と同方向に該二次コイルを流れる電流を導通させると共に逆方向に流れる電流に対して遮断される二次側素子とを有し、
    (e)前記スイッチング素子のオン時に、前記直流電圧により前記一次コイルに第1電流が流れ、該第1電流に起因して前記二次コイルに生じる磁気誘導により該二次コイルに流れる第2電流を前記二次側素子を通して出力し、かつ、
    (f)前記スイッチング素子のオフ時に、前記一次コイルに発生する逆起電力により前記一次側素子を通して該一次コイルに第3電流が流れ、該第3電流に起因して前記二次コイルに生じる磁気誘導により該二次コイルに流れる第4電流を前記二次側素子を通して出力することを特徴とするスイッチング電源回路。
  2. 前記一次側素子が、前記直流電圧の印加された前記一次コイルの両端電圧に対して逆方向となるべく接続された一次側整流デバイスであることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  3. 前記一次側素子が、前記スイッチング素子のオンオフと逆相にてオフオン制御される一次側スイッチング素子であることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  4. 前記二次側素子が、二次側整流デバイスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
  5. 前記二次側素子が、前記スイッチング素子のオンオフと同相にてオンオフ制御される二次側スイッチング素子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
  6. 前記トランスが、対向する一対のヨークと、両ヨークの中央部同士を連結する中央脚と、両ヨークの対向する第1端部同士及び第2端部同士の間にそれぞれ延在する一対の外側脚とから構成されるコアを有し、
    前記一次コイルが前記中央脚に巻装され、かつ前記二次コイルが前記一対の外側脚の各々に巻装され、
    前記中央脚から前記外側脚へ向かう磁束の一部が該一次コイルと該二次コイルとの間の空隙を通るよう構成され、
    前記一次コイルを流れる前記第1電流に起因して前記中央脚から前記一対の外側脚へそれぞれ流れる磁束が、各々の外側脚内で増加することにより、逆方向磁束を発生するべく前記二次コイルに前記第2電流が流れ、かつ、
    前記一次コイルを流れる前記第3電流に起因して前記中央脚から前記一対の外側脚へそれぞれ流れる磁束が、前記第1電流に起因する磁束と同方向でありかつ各々の外側脚内で増加することにより、逆方向磁束を発生するべく前記二次コイルに前記第4電流が流れることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
  7. 前記トランスが、対向する一対のヨークと、両ヨークの中央部同士を連結する中央脚と、両ヨークの対向する第1端部同士及び第2端部同士の間にそれぞれ延在する一対の外側脚とから構成されるコアを有し、
    前記一次コイルが前記中央脚に巻装され、前記二次コイルが前記一対の外側脚のいずれか一方に巻装され、かつ少なくとも前記二次コイルを巻装されない方の外側脚の中間位置に磁気ギャップが設けられ、
    前記中央脚から前記外側脚へ向かう磁束の一部が該一次コイルと該二次コイルとの間の空隙及び前記二次コイルを巻装されない方の外側脚を通るよう構成され、
    前記一次コイルを流れる前記第1電流に起因して前記中央脚から前記二次コイルが巻装された外側脚へ流れる磁束が、該外側脚内で増加することにより、逆方向磁束を発生するべく前記二次コイルに前記第2電流が流れ、かつ、
    前記一次コイルを流れる前記第3電流に起因して前記中央脚から前記二次コイルが巻装された外側脚へ流れる磁束が、前記第1電流に起因する磁束と同方向でありかつ該外側脚内で増加することにより、逆方向磁束を発生するべく前記二次コイルに前記第4電流が流れることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
  8. 前記トランスが、対向する一対のヨークと、両ヨークの中央部同士を連結する中央脚と、両ヨークの対向する第1端部同士及び第2端部同士の間にそれぞれ延在する一対の外側脚とから構成されるコアを有し、
    前記一次コイルが前記中央脚に巻装され、かつ前記二次コイルが前記一次コイルから離隔しかつ該一次コイルと同心状に前記一対の外側脚の内側に巻装され、
    前記中央脚から前記外側脚へ向かう磁束の一部が該一次コイルと該二次コイルとの間の空隙を通るよう構成され、
    前記一次コイルを流れる前記第1電流に起因して前記中央脚に流れる磁束が増加することにより、逆方向磁束を発生するべく前記二次コイルに前記第2電流が流れ、かつ、
    前記一次コイルを流れる前記第3電流に起因して前記中央脚から前記一対の外側脚へそれぞれ流れる磁束が、前記第1電流に起因する磁束と同方向でありかつ各々の外側脚内で増加することにより、逆方向磁束を発生するべく前記二次コイルに前記第4電流が流れることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
  9. 前記トランスが、対向する一対のヨークと、両ヨークの中央部同士を連結する中央脚と、両ヨークの対向する第1端部同士及び第2端部同士の間にそれぞれ延在する一対の外側脚とから構成されるコアを有し、
    前記一次コイルが前記中央脚に巻装され、前記二次コイルが該一次コイルの外側に配置された磁性体片を介して該一次コイルと同心状に巻装され、
    前記中央脚から前記外側脚へ向かう磁束の一部が前記磁性体片を通るよう構成され、
    前記一次コイルを流れる前記第1電流に起因して前記中央脚に流れる磁束が増加することにより、逆方向磁束を発生するべく前記二次コイルに前記第2電流が流れ、かつ、
    前記一次コイルを流れる前記第3電流に起因して前記中央脚から前記一対の外側脚へそれぞれ流れる磁束が、前記第1電流に起因する磁束と同方向でありかつ各々の外側脚内で増加することにより、逆方向磁束を発生するべく前記二次コイルに前記第4電流が流れることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
  10. 前記トランスが、前記一次コイルにより形成される第1磁気回路と、該一次コイルに疎に磁気結合された前記二次コイルにより形成される第2磁気回路と、前記一次コイルの発生する磁束の一部が前記二次コイルを通過しないで漏洩する漏洩磁気回路とを有し、
    前記一次コイルに直流電圧が印加されたとき前記二次コイルに電圧を誘起させると共に前記第1磁気回路内に存在する磁束の磁束密度を前記第2磁気回路内に存在する磁束の磁束密度より大として不均衡状態で保持し、
    前記一次コイルへの直流電圧の印加が停止され該一次コイルに発生する逆起電力による電流が該一次コイルに流れるとき、前記第1磁気回路内の磁束密度が前記第2磁気回路の磁束密度より大きい不均衡状態であることに起因して前記二次コイルに前記一次コイルに直流電圧が印加されたときと同極性の電圧を誘起させることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
  11. 前記トランスにおいて、前記一次コイルへの直流電圧の印加が停止され該一次コイルに発生する逆起電力による電流が該一次コイルに流れるとき、前記第1磁気回路内の磁束密度が前記第2磁気回路の磁束密度より大きい不均衡状態であることに起因して前記第1磁気回路から前記第2磁気回路へ磁束が流れ込むことを特徴とする請求項10に記載のスイッチング電源回路。
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