JP2007096255A - 有機電界発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光特性及び耐久性が良好な金属錯体化合物及びそれを含有する有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】一対の電極間に少なくとも一層の有機化合物層を有する有機電界発光素子であって、特定の構造を有する白金錯体を有機化合物層に含有する有機電界発光素子。
【選択図】なし

Description

本発明は金属錯体化合物及びそれを含有する有機電界発光素子に関する。
これまでのところ、フェニルピリジン白金錯体やフェノキシピリジン白金錯体等の4座配位白金錯体(例えば特許文献1)、オクタエチルポルフィリン白金錯体等の4座配位白金錯体(例えば特許文献2、3)等の材料を含有する有機電界発光素子(以下、「有機EL素子」ともいう)が開示されているが、発光波長の短波化等の発光特性及び耐久性の点でさらなる改良が求められていた。
国際公開特許第04/108857号パンフレット 米国特許第6,303,238B1号明細書 米国特許第6,653,654B1号明細書
本発明の目的は、発光特性(発光波長、輝度、量子収率、駆動電圧等)及び耐久性が良好な有機電界発光素子の提供にある。
この課題は下記手段によって達成された。
(1)一対の電極間に、発光層を有する有機化合物層を有する有機電界発光素子であって、下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を有機化合物層に含有する有機電界発光素子。
一般式(I)
Figure 2007096255
式中、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7及びZ8は、各々独立に炭素、窒素、酸素、硫黄、珪素から選択される原子を表す。Z1、Z2、Z3、Z4及びN原子、並びにZ5、Z6、Z7、Z8及びN原子から形成される5員環における原子間の結合は単結合又は二重結合を表す。Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7及びZ8が、さらに置換可能な場合、置換基を有していてもよい。A1は二価の連結基を表す。B1及びB2は、各々独立に単結合又は二価の連結基を表す。X1及びX2は白金原子と結合する原子を有する部分構造を表す。ただしX1及びX2が結合して環を形成することはない。
(2)前記一般式(I)が下記一般式(II)又は(III)で表されることを特徴とする上記(1)に記載の有機電界発光素子。
一般式(II)
Figure 2007096255
式中、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、A1、B1、及びB2は、一般式(I)のそれらと同義である。Z11、Z12、Z13、Z14、Z15、Z16、Z17、Z18、Z19、及びZ20は、各々独立に炭素、窒素、酸素、硫黄、珪素から選択される原子を表し、さらに置換可能な場合、置換基を有していてもよい。Y1及びY2は各々独立に、酸素原子、硫黄原子、置換あるいは無置換の窒素原子、又は単結合を表す。
一般式(III)
Figure 2007096255
式中、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、A1、B1、及びB2は一般式(I)のそれらと同義である。Z31、Z32、Z33、Z34、Z35、Z36、Z37、及びZ38は、各々独立に炭素、窒素、酸素、硫黄、珪素から選択される原子を表し、さらに置換可能な場合、置換基を有していてもよい。Y1及びY2は各々独立に、酸素原子、硫黄原子、置換あるいは無置換の窒素原子、又は単結合を表す。
(3)前記一般式(II)が下記一般式(IIA)で表されることを特徴とする上記(2)に記載の有機電界発光素子。
一般式(IIA)
Figure 2007096255
式中、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、A1、B1、B2、Y1及びY2は一般式(II)のそれらと同義である。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。
(4)前記一般式(IIA)が下記一般式(IIB)で表されることを特徴とする上記(3)に記載の有機電界発光素子。
一般式(IIB)
Figure 2007096255
式中、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、A1、Y1、Y2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、一般式(IIA)のそれらと同義である。
(5)前記一般式(IIB)が下記一般式(IIB1)で表されることを特徴とする上記(4)に記載の有機電界発光素子。
一般式(IIB1)
Figure 2007096255
式中、A1、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、一般式(IIB)のそれらと同義である。R11、R12、R13及びR14は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。
(6)前記一般式(IIB)が下記一般式(IIB2)で表されることを特徴とする上記(4)に記載の有機電界発光素子。
一般式(IIB2)
Figure 2007096255
式中、A1、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、一般式(IIB)のそれらと同義である。R11、R12、R13及びR14は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。
(7)前記一般式(III)が下記一般式(IIIA)で表されることを特徴とする上記(2)に記載の有機電界発光素子。
一般式(IIIA)
Figure 2007096255
式中、Z1、Z2、Z3、Z5、Z6、Z7、A1、Z32、Z33、Z34、Z36、Z37、Z38、Y1及びY2は一般式(III)のそれらと同義である。
(8)R2及びR6がともに水素原子であることを特徴とする上記(3)〜(6)のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
(9)前記一般式(I)乃至一般式(IIIA)において、A1が−C(R25)(R26)−、−C(R27)(R28)C(R29)(R30)−、−Si(R31)(R32)−、−N(R35)−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−(R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、及びR35はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。)から選択される基である上記(1)〜(8)のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
本発明にかかる特定の構造を有する白金錯体化合物を有機化合物層に含む有機電界発光素子は、発光特性(発光波長、輝度、量子収率、駆動電圧等)および耐久性に優れる。また、該白金錯体化合物は有機配位子を含む錯体であるために蒸着性に優れる。
本明細書において、一般式(I)、(II)、(III)、(IIA)、(IIB)、(IIB1)、(IIB2)及び(IIIA)(一般式(I)乃至一般式(IIIA)と同義である)で表される化合物は「本発明の化合物」と同義で用いる。また本発明の化合物を含有する有機化合物層を有する有機電界発光素子は「本発明の(発光)素子」と同義で用いる。本明細書において置換基群Aとは以下のように定義される。
(置換基群A)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシルなどが挙げられる)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数3〜20、特に好ましくは炭素数3〜10であり、例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、
ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、
スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、
ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくはフッ素原子が挙げられる)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子が挙げられ、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
一般式(I)について説明する。Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7及びZ8は、各々独立に、炭素、窒素、酸素、硫黄、珪素から選択される原子を表す。Z1、Z2、Z3、Z4及びN原子、並びにZ5、Z6、Z7、Z8及びN原子から形成される5員環における原子間の結合は、特に限定されないが、単結合、二重結合のいかなる組み合わせでもよい。Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7及びZ8は、好ましくは炭素又は窒素原子である。
一般式(I)において、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7及びZ8は、さらに置換可能な場合、置換基群Aから選ばれる置換基を有していてもよい。その好ましい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、スルフィノ基、ヘテロ環基、シリル基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環基であり、さらにこれらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基で置換されていることが好ましい。
一般式(I)において、A1は二価の連結基を表す。二価の連結基としては特に限定されないが、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、またはリン原子を含む二価の連結基が特に好ましく、下記の連結基群Aより選択される基が特に好ましい。
連結基群A
Figure 2007096255
連結基群Aにおいて、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35及びR36(R25乃至R36)はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R25乃至R36が置換基を表す場合、該置換基は置換基群Aから選ばれる置換基と同義である。R25乃至R36が置換可能な場合、さらに置換基を有していてもよく、R25とR26、R27とR28、R29とR30、R27とR29、R27とR30、R28とR30、R28とR29、R31とR32あるいはR33とR34がそれぞれ互いに結合し環を形成してもよい。
1は好ましくは水素原子又は連結基群Aより選択される置換基であり、このうち−C(R25)(R26)−、−C(R27)(R28)C(R29)(R30)−、−Si(R31)(R32)−、−N(R35)−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−又は−CO−が好ましく、−C(R25)(R26)−、−C(R27)(R28)C(R29)(R30)−、−Si(R31)(R32)−、−O−、又は−S−がより好ましく、−C(R25)(R26)−、又は−C(R27)(R28)C(R29)(R30)−がさらに好ましい。
前記C(R25)(R26)−において、R25及びR26は、好ましくは水素原子又は下記置換基群Bから選ばれる置換基である。
(置換基群B)
置換基群Bは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基であり、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基であり、さらに好ましくはアルキル基、アリール基である。
前記−C(R27)(R28)C(R29)(R30)−において、R27、R28、R29及びR30は好ましくは水素原子又は置換基群Bから選ばれる置換基である。
前記−Si(R31)(R32)−において、R31及びR32は好ましくは水素原子又は置換基群Bから選ばれる置換基である。
前記−Ge(R33)(R34)−において、R33及びR34は好ましくは水素原子又は置換基群Bから選ばれる置換基である。
前記−N(R35)−において、R35は好ましくは水素原子又はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基であり、さらに好ましくはアリール基である。
前記−P(R36)−において、R36はR35の好ましい範囲と同義である。
一般式(I)において、B1、B2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表す。連結基としては特に限定されないが、単結合、又は、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子あるいはリン原子を含む二価の連結基が好ましく、単結合又は前記連結基群Aより選択される基がより好ましく、単結合、−C(R25)(R26)−、−C(R27)(R28)C(R29)(R30)−、−Si(R31)(R32)−、−N(R35)−、−O−、−S−、又は−CO−がさらに好ましく、単結合、−C(R25)(R26)−又は−O−が特に好ましい。B1が−C(R25)(R26)−、−C(R27)(R28)C(R29)(R30)−、−Si(R31)(R32)−、−Ge(R33)(R34)−、−N(R35)−及びP(R36)−を表す場合、その好ましい範囲は、前記A1で説明した好ましい範囲と同義である。
一般式(I)において、X1、X2は白金原子と結合する原子を有する部分構造を表す。X1の部分構造としては、炭素原子で結合する基、窒素原子で結合する基、珪素原子で結合する基、リン原子で結合する基、酸素原子で結合する基、硫黄原子で結合する基が好ましく、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子で結合する基がより好ましく、炭素原子あるいは酸素原子で結合する基が特に好ましい。ただしX1及びX2が結合して環を形成することはない。
前記炭素原子で結合する基としては、炭素原子で結合する置換又は無置換のアリール基、炭素原子で結合する置換又は無置換の五員環へテロアリール基、炭素原子で結合する置換又は無置換の六員環へテロアリール基が好ましく、炭素原子で結合する置換又は無置換のアリール基、炭素原子で結合する置換又は無置換の含窒素五員環へテロアリール基、炭素原子で結合する含窒素六員環へテロアリール基がより好ましく、炭素原子で結合する置換アリール基が特に好ましい。
前記酸素原子で結合する基としては、置換又は無置換の水酸基、置換又は無置換のカルボキシル基が好ましく、置換又は無置換のカルボキシル基がより好ましい。
前記窒素原子で結合する基としては、置換アミノ基、窒素原子で結合する含窒素五員環へテロアリール基が好ましく、窒素原子で結合する含窒素五員環へテロアリール基がより好ましく、置換カルバゾール、置換ピロール、置換インドールなどが特に好ましい。
前記リン原子で結合する基としては、置換ホスフィノ基が好ましい。珪素原子で結合する基としては、置換シリル基が好ましい。硫黄原子で結合する基としてはチオール基又は置換チオール基が好ましい。
一般式(I)は好ましくは一般式(II)または(III)で表わされる。
以下、一般式(II)について説明する。一般式(II)において、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、A1、B1、及びB2は一般式(I)のそれらと同義である。Z11、Z12、Z13、Z14、Z15、Z16、Z17、Z18、Z19、及びZ20(Z11乃至Z20)は、各々独立に炭素、窒素、酸素、硫黄、珪素から選択される原子を表し、炭素又は窒素原子が好ましく、炭素原子がより好ましく、Z11乃至Z20全てが炭素原子であること((無)置換ベンゼン環)がさらに好ましい。Z11乃至Z20はさらに置換可能な場合置換基を有していてもよい。Y1及びY2は各々独立に、酸素原子、硫黄原子、置換あるいは無置換の窒素原子、又は単結合を表し、好ましくは酸素原子又は硫黄原子であり、さらに好ましくは酸素原子である。Y1及びY2が置換の窒素原子を表す場合、その置換基の例としては、置換基群Aから選ばれる置換基が好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基がより好ましく、炭素数1〜7のアルキル基又は炭素数6〜12(環員数1〜2)のアリール基がさらに好ましい。
次に、一般式(III)について説明する。一般式(III)において、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、A1、B1、及びB2は一般式(I)のそれらと同義である。Z31、Z32、Z33、Z34、Z35、Z36、Z37、及びZ38(Z31乃至Z38)は、各々独立に炭素、窒素、酸素、硫黄、珪素から選択される原子を表し、炭素、窒素、又は硫黄原子が好ましく、炭素又は窒素原子がより好ましい。Z31乃至Z38は、さらに置換可能な場合置換基を有していてもよく、その置換基の例としては、置換基群Aから選ばれる置換基である。Y1及びY2は各々独立に、酸素原子、硫黄原子、置換あるいは無置換の窒素原子、又は単結合を表し、一般式(II)におけるY1及びY2と同義である。
一般式(II)は好ましくは一般式(IIA)で表わされる。
以下、一般式(IIA)について説明する。一般式(IIA)において、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、A1、B1、B2、Y1及びY2は一般式(II)のそれらと同義である。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8(R1乃至R8)は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。該置換基は置換基群Aから選ばれる置換基と同義である。R1乃至R8の好ましい基としては、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、スルフィノ基、ヘテロ環基、シリル基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、スルホニル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、最も好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基である。R1乃至R8がさらに置換可能である場合、置換基を有していてもよい。同一ベンゼン環上にある、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R1とR3、R2とR4、R1とR4、R5とR6、R6とR7、R7とR8、R5とR7、R6とR8、及びR5とR8は互いに結合して環を形成してもよい。R2及びR6が共に水素原子であることが好ましい。特に、Y1またはY2が単結合の場合、R2及びR6が共に水素原子であることが好ましい。
一般式(IIA)は好ましくは一般式(IIB)で表わされる。
以下、一般式(IIB)について説明する。一般式(IIB)において、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、A1、Y1、Y2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、一般式(IIA)のそれらと同義である。
一般式(IIB)は好ましくは一般式(IIB1)又は(IIB2)で表わされる。
以下、一般式(IIB1)について説明する。一般式(IIB1)において、A1、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、一般式(IIB)のそれらと同義である。R11、R12、R13及びR14(R11乃至R14)は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。該置換基は置換基群Aから選ばれる置換基と同義である。R11乃至R14の好ましい基としては、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、スルフィノ基、ヘテロ環基、シリル基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基である。R11乃至R14がさらに置換可能である場合、置換基を有していてもよい。
次に、一般式(IIB2)について説明する。一般式(IIB2)において、A1、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8は一般式(IIB)のそれらと同義であり、R11、R12、R13及びR14は、一般式(IIB1)のそれらと同義である。
一般式(III)は好ましくは一般式(IIIA)で表わされる。
以下、一般式(IIIA)について説明する。一般式(IIIA)において、Z1 、Z2、Z3、Z5、Z6、Z7、A1、Z32、Z33、Z34、Z36、Z37、Z38、Y1及びY2は一般式(III)のそれらと同義である。
本発明の化合物は、低分子化合物であっても良く、また、オリゴマー化合物、ポリマー化合物(重量平均分子量(ポリスチレン換算)は好ましくは1000〜5000000、より好ましくは2000〜1000000、さらに好ましくは3000〜100000である。)であっても良い。オリゴマー化合物又はポリマー化合物の場合、一般式で表される構造がポリマー主鎖中に含まれても良く、またポリマー側鎖に含まれていても良い。該ポリマー化合物はホモポリマー化合物であっても良く、共重合体であっても良い。本発明の化合物は低分子化合物が好ましい。
本発明の化合物の具体例を示すが本発明はこれらに限定されない。
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<本発明の化合物の合成方法>
本発明の化合物は種々の手法で合成することができる。例えば、配位子、又はその解離体と白金イオンを含有する化合物を溶媒(例えば、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキサイド系溶媒、水などが挙げられる)の存在下、又は溶媒非存在下、塩基の存在下(無機、有機の種々の塩基、例えば、ナトリウムメトキサイド、t−ブトキシカリウム、トリエチルアミン、炭酸カリウムなどが挙げられる)、もしくは、塩基非存在下、室温以下、もしくは加熱し(通常の加熱以外にも、マントルヒーターを使用する方法、マイクロウェーブで加熱する手法なども有効である)得ることができる。
本発明の化合物は、例えば、Synthesis, 5, 409−411,(1986)に記載の方法等を参照として対応するジカルボニル化合物とヒドラジン水和物と反応させることでフェニルピラゾール体を合成し、さらにハロゲン化アルキルあるいはホスゲン等と反応せしめることにより、対応する配位子を合成したのち、得られた有機配位子を前述したような適当な白金源を前述したような溶媒下で反応せしめることにより合成することができるが、ここで挙げた方法に限定されるものではない。
本発明の化合物を合成する際の反応時間は反応の活性により異なり、特に限定されないが、1分以上5日以下が好ましく、5分以上3日以下がより好ましく、10分以上24時間以下がさらに好ましい。
本発明の化合物を合成する際の反応温度は反応の活性により異なり、特に限定されないが、0℃以上300℃以下が好ましく、5℃以上250℃以下がより好ましく、10℃以上200℃以下がさらに好ましい。
本発明の化合物、目的とする錯体の部分構造を形成している配位子を白金化合物に対し、好ましくは0.1当量〜10当量、より好ましくは0.3当量〜6当量、さらに好ましくは0.5当量〜4当量加えて合成することができる。前記の白金化合物としては、ハロゲン化物(例えば、塩化白金、塩化白金酸カリウム等)、カルボン酸塩類(例えば、酢酸白金等)、ジケトナート類(例えば、白金アセチルアセトナート等)、有機配位子を含有する白金化合物(例えばジクロロシクロオクタジエニル白金等)又はそれらの水和物などがあげられる。
次に、本発明の前記一般式(I)で表される化合物のうち、例示化合物(1)、(101)、(102)および(114)の具体的な合成例を示すが、この方法に限定されるものではない。
Figure 2007096255
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<本発明の例示化合物(1)の合成>
窒素雰囲気下、100mLの三口フラスコに、3,3−ジメチル−2,4−ペンタンジオン(A)10g(78mmol)、ジメチルホルムアミド−ジメチルアセタール27.6mL、ジメチルホルムアミド60mLを仕込み、18時間、150℃で反応させた。反応液を減圧下で、濃縮した後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開液:酢酸エチル/メタノール=9/1)で精製し、化合物(B)を4.83g得た(収率26%)。
1H−NMR(400MHz,in CDCl3):δ(ppm)=7.57(d,J=12.6Hz,2H),5.05(d,J=12.6Hz,2H),3.01(broad s,6H),2.78(broad s,6H),1.32(s,6H).
窒素雰囲気下、300mLの三口フラスコに、化合物(B)2.70g(21.0mmol)、ヒドラジン一水和物1.19g(23.8mmol)、エタノール200mLを仕込み、7時間加熱還流させた。反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開液:酢酸エチル/エタノール=8/2)で精製し、化合物(C)を1.77g得た(収率89%)。
1H−NMR(400MHz,in CDCl3):δ(ppm)=7.49(d,J=2.1Hz,2H),6.19(d,J=2.1Hz,2H),1.74(s,6H).
窒素雰囲気下、200mLの三口フラスコに、化合物(C)1.00g(4.20mmol)、ヨードベンゼン11.57g(56.4mmol)、酸化銅81.1mg(0.567mmol)、サリチルアルドキシム311mg(2.27mmol)、炭酸セシウム7.39g(38.3mmol)、ブチロニトリル100mLを仕込み、140℃で16時間反応させた。反応液を濾過し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)で精製し、化合物(D)を1.43g得た(収率77%)。
1H−NMR(400MHz,in CDCl3):δ(ppm)=7.80(d,J=2.7Hz,2H),7.71−7.68(m,4H),7.45−7.39(m,4H),7.25−7.20(m,2H),6.32(d,J=2.4Hz,2H),1.85(s,6H).
窒素雰囲気下、50mLのナスフラスコに、化合物(D)50mg(0.152mmol)、塩化第一白金40.5mg(0.152mmol)、ベンゾニトリル3mLを仕込み、200℃で5時間、加熱した。室温まで冷却後、反応液にヘキサン40mLを加え、析出した茶褐色の固体をシリカゲルクロマトグラフィー(展開液:クロロホルム)で精製し、本発明の例示化合物(1)を17.6mg得た。収率22%。本発明の例示化合物(1)は、ジクロロメタン溶液において、室温下で460nmに発光した。
1H−NMR(400MHz,in CDCl3):δ(ppm)= 8.15(dd,J=1.2,7.2Hz,3Pt-H=56.8Hz,2H),7.95(d,J=2.8Hz,2H),7.33(dd,J=1.2,7.6Hz,2H),7.24−7.14(m,4H),6.59(d,J=2.4Hz,2H),1.80(s,6H).
<本発明の例示化合物(101)の合成>
窒素雰囲気下、200mLの3ツ口フラスコに、化合物(C)0.30g(1.70 mmol)、3−ヨードベンゾトリフルオリド4.63g(17.0 mmol)、酸化銅24mg(0.17 mmol)、サリチルアルドキシム93mg(0.11 mmol)、炭酸セシウム2.21g(11.5 mmol)、ブチロニトリル20mLを仕込み、140℃で18時間反応させた。反応終了後、反応液を濾過し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=5/1)で精製し、化合物(E)を635mg得た(収率80%)。
1H-NMR (400 MHz in CDCl3):δ(ppm)=7.97 (brs, 2H), 7.90-7.84 (m, 4H), 7.58-7.46 (m, 4H), 6.37(d, J = 2.4 Hz, 2H), 1.85 (s, 6H).
窒素雰囲気下、50mLのナスフラスコに、化合物(E)50mg(0.11 mmol)、塩化白金(II)ベンゾニトリル錯体50.5mg(0.11 mmol)、ベンゾニトリル3mLを仕込み、200℃で9時間、加熱した。室温まで冷却後、減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開液:クロロホルム)で精製した。得られた粗結晶をメタノールから再結晶して、本発明の例示化合物(101)4mgを白色紛体として得た(収率5.6%)。本発明の例示化合物(101)はジクロロメタン溶液において、室温下で453nmに弱く発光した。
1H-NMR(400 MHz in CDCl3):δ(ppm)=8.20 (d, J = 8.0 Hz, 3JPt-H=54.8 Hz, 2H), 8.04 (d, J = 2.8 Hz, 2H), 7.55-7.23 (m, 4H), 6.68 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 1.80 (s, 6H).
<本発明の化合物(102)の合成>
窒素気流下、化合物(C)1.0g(5.7 mmol)、m-ヨウドベンゾニトリル12.8g(55.9 mmol)、酸化第一銅80mg(0.56 mmol)、サリチルアルドキシム0.30g(2.2 mmol)、炭酸セシウム7.16g(37.1 mmol)をn−ブチロニトリル100mlに懸濁させ、撹拌しながら還流させた。加熱下で17.5時間撹拌したのち、室温まで冷却した。不溶部をセライトろ過で除き、濾液の溶媒を留去した。シリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製することにより化合物(F)を結晶として1.6g(収率75%)得た。
1H-NMR(400 MHz in CDCl3)400MHz:δ 1.84 (s,6H), 6.39 (d, J = 2.4Hz, 2H), 7.48−7.56 (m,4H), 7.84 (d, J= 2.8Hz,2H), 7.91 (dt, J = 2.0 and 7.6 Hz,2H), 8.05 (br, 2H).
窒素雰囲気下、50mLのナスフラスコに、化合物(F)50mg(0.13 mmol)、塩化第一白金35.1mg(0.13 mmol)、ベンゾニトリル3mLを仕込み、200℃で5時間、加熱した。室温まで冷却後、反応液にヘキサン40mLを加え、析出した茶褐色の固体をシリカゲルクロマトグラフィー(展開液:塩化メチレン→塩化メチレン/メタノール=10/1)で精製し、本発明の例示化合物(102)10.1mgを白色紛体として得た(収率18%)。本発明の例示化合物(102)はジクロロメタン溶液において、室温下で460nmに弱く発光した。
1H-NMR(400 MHz in CDCl3):δ(ppm)=8.18 (d, J = 7.6 Hz, 3JPt-H = 56.8 Hz, 2H), 8.03 (d, J = 2.8 Hz, 2H), 7.55 (d, J = 1.6 Hz, 2H), 7.49 (dd, J = 1.6, 7.6 Hz 4H), 6.71 (d, J =2.8 Hz, 2H), 1.84 (s, 6H).
<本発明の化合物(114)の合成>
窒素雰囲気下、500mLの3ツ口フラスコに、3−フェニル−2,4−ペンタンジオン(東京化成工業より購入)20.0g(114 mmol)、ジメチルホルムアミド200mLを仕込み、氷浴で内温5度まで冷却した。内温5〜15℃の範囲で、tert−ブトキシカリウム19.1g(8.91 mmol)を少しずつ加え、室温に戻し、1時間攪拌した。再び冷却し、内温5〜10℃の範囲でヨードメタン14.1mL(226 mmol)を滴下した。室温まで昇温後、80℃で6時間攪拌した。この反応混合物を塩酸水溶液(35%塩酸水溶液17g、水400mLより調製)に滴下し、酢酸エチル500mLで抽出、有機層を合わせて飽和食塩水500mLで2回洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過し、更に濃縮した後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)で精製し、化合物(H)を11.1g得た(収率51%)。
1H-NMR(CDCl3):δ(ppm)=7.50-7.20(m, 5H), 2.12(s, 6H), 1.77(s, 3H)
窒素雰囲気下、100mLの3ツ口フラスコに、化合物(H) 5.00g(26.3 mmol)、ジメチルホルムアミド−ジメチルアセタール8.9mL、ジメチルホルムアミド30mLを仕込み、14時間、150℃で反応させた。反応液を減圧下で、濃縮した後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開液:酢酸エチル/エタノール=8/2)で精製し、化合物(I)を3.86g得た(収率48.8%)。
1H-NMR (CDCl3):δ(ppm)=7.62 (d, J = 12.3 Hz, 2H),7.40-7.10 (m, 5H), 5.15 (d, J = 12.3 Hz, 2H), 3.05 (broad s, 6H), 2.73 (broad s, 6H), 1.72 (s, 3H).
窒素雰囲気下、300mLの3ツ口フラスコに、化合物(I)3.86g(12.8 mmol)、ヒドラジン1水和物1.3mL、エタノール230mLを仕込み、5時間加熱還流させた。反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開液:酢酸エチル/エタノール=8/2)で精製し、化合物(J)を2.88g得た(収率94.1%)。
1H-NMR (CDCl3):δ(ppm)=7.46 (d, J = 2.1 Hz, 2H), 7.30-7.00 (m, 5H), 6.18 (d, J = 2.1 Hz, 2H), 2.07(s, 3H).
窒素雰囲気下、200mLの3ツ口フラスコに、化合物(J) 0.50g(2.1 mmol)、3−ヨードベンゾトリフルオリド5.71g(21.0 mmol)、酸化銅30mg(0.21 mmol)、サリチルアルドキシム115mg(0.84 mmol)、炭酸セシウム2.73g(14.2 mmol)、ブチロニトリル30mLを仕込み、140℃で18時間反応させた。反応液を濾過し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)で精製し、化合物(K)を795mg得た(収率72%)。
1H-NMR (CDCl3):δ(ppm)=7.97-7.82 (m, 6H), 7.57-7.47 (m, 4H), 7.58-7.46 (m, 4H), 6.39 (d, J = 2.7 Hz, 2H), 2.29 (s, 3H).
窒素雰囲気下、50mLのナスフラスコに、化合物(K)393mg(0.746 mmol)、塩化白金(II)199mg(0.748 mmol)、ベンゾニトリル15mLを仕込み、200℃で17時間、加熱した。室温まで冷却後、減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開液:クロロホルム)で精製し、クロロホルム−メタノール−ヘキサンから再結晶して、本発明の例示化合物(114)を180mg得た(収率33%)。本発明の例示化合物(114)はジクロロメタン溶液において、室温下で460nmに発光した。
1H-NMR(CDCl3):δ(ppm)=8.24 (d, J = 7.5 Hz, 3JPt-H = 55.5 Hz, 2H), 7.97(d, J = 2.7 Hz, 2H), 7.55-7.23 (m, 9H), 6.27 (d, J = 2.7 Hz, 2H), 2.22(s, 3H).
次に、本発明の化合物を含有する発光素子に関して説明する。
本発明の発光素子は、本発明の化合物を利用する素子である点以外は通常の発光システム、駆動方法、利用形態などに用いることができるが、代表的な発光素子として有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子に用いられることが好ましい。
本発明の化合物は、発光材料、ホスト材料、励起子ブロック材料、電荷ブロック材料あるいは電荷輸送材料として利用する場合が好ましく、ホスト材料、発光材料、電荷輸送材料として利用する場合がさらに好ましく、発光材料あるいはホスト材料として利用する場合がより好ましい。発光材料として用いる場合は、紫外発光であっても赤外発光であっても良く、また蛍光発光であってもりん光発光であっても良い。電荷輸送材料として利用する場合、正孔輸送性であっても電子輸送性であってもよい。
本発明の化合物を発光層中の発光材料として使用する場合には、発光層中に0.1〜40質量%含まれることが好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、0.5〜20質量%が特に好ましい。
また、発光層中の発光材料以外のホスト材料として使用する場合には、発光層中に60〜99.9質量%含まれることが好ましく、70〜99.5質量%がより好ましく、80〜99.5質量%が特に好ましい。
また、発光層以外の層に含まれる場合は、該層中に0.1〜100質量%含まれることが好ましく、0.5〜100質量%がより好ましく、10〜100質量%が特に好ましい。
<有機電界発光素子>
本発明の有機電界発光素子について詳細に説明する。本発明の素子は基板上に陰極と陽極を有し、両電極の間に発光層を含む少なくとも一層の有機化合物層(有機化合物層が一層である場合には発光層)を有する。発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明であることが好ましい。
本発明の素子において、該有機化合物層の機能は、特に限定されないが、発光層の他に正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、励起子ブロック層、保護層などであってもよい。またこれらの各層は、それぞれ他の機能を兼備していても良い。
本発明において、層の積層の態様としては、陽極側から、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の順に積層されている態様が好ましい。更に、正孔輸送層と発光層との間、又は、発光層と電子輸送層との間には、電荷ブロック層等を有していてもよい。陽極と正孔輸送層との間に、正孔注入層を有してもよく、陰極と電子輸送層との間には、電子注入層を有してもよい。尚、各層は複数の二次層に分かれていてもよい。
<基板>
本発明で使用する基板としては、有機化合物層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。その具体例としては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料が挙げられる。
例えば、基板としてガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合には、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、基板の形状としては、板状であることが好ましい。基板の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
基板は、無色透明であっても、有色透明であってもよいが、発光層から発せられる光を散乱又は減衰等させることがない点で、無色透明であることが好ましい。
基板には、その表面又は裏面に透湿防止層(ガスバリア層)を設けることができる。
透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。熱可塑性基板を用いる場合には、更に必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
<陽極>
陽極は、通常、有機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
陽極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物が好適に挙げられる。陽極材料の具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫
(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。この中で好ましいのは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からはITOが好ましい。
陽極は、例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、陽極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って、前記基板上に形成することができる。例えば、陽極の材料として、ITOを選択する場合には、陽極の形成は、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行うことができる。
本発明の素子において、陽極の形成位置としては特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができる。が、前記基板上に構成されるのが好ましい。この場合、陽極は、基板における一方の表面の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
なお、陽極を形成する際のパターニングとしては、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
陽極の厚みとしては、陽極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常、10nm〜50μm程度であり、50nm〜20μmが好ましい。
陽極の抵抗値としては、103Ω/□以下が好ましく、102Ω/□以下がより好ましい。陽極が透明である場合は、無色透明であっても、有色透明であってもよい。透明陽極側から発光を取り出すためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。
なお、透明陽極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述があり、ここに記載される事項を本発明に適用することができる。耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITO又はIZOを使用し、150℃以下の低温で成膜した透明陽極が好ましい。
<陰極>
陰極は、通常、有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
陰極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられる。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
これらの中でも、陰極を構成する材料としては、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
なお、陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されており、これらの広報に記載の材料は、本発明においても適用することができる。
陰極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、前記した陰極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って形成することができる。例えば、陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
陰極を形成するに際してのパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
本発明において、陰極形成位置は特に制限はなく、有機化合物層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、陰極と前記有機化合物層との間に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、一種の電子注入層と見ることもできる。誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
陰極の厚みは、陰極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μm程度であり、50nm〜1μmが好ましい。
また、陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、陰極の材料を1〜10nmの厚さに薄く成膜し、更にITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
<有機化合物層>
本発明における有機化合物層について説明する。
本発明の有機電界発光素子は、発光層を含む少なくとも一層の有機化合物層を有しており、発光層以外の他の有機化合物層としては、前述したごとく、正孔輸送層、電子輸送層、電荷ブロック層、正孔注入層、電子注入層等の各層が挙げられる。
−有機化合物層の形成−
本発明の有機電界発光素子において、有機化合物層を構成する各層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等いずれによっても好適に形成することができる。
−発光層−
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
本発明における発光層は、発光材料のみで構成されていても良く、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でも良い。発光材料は蛍光発光材料でも燐光発光材料であっても良く、ドーパントは1種であっても2種以上であっても良い。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は1種であっても2種以上であっても良く、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。さらに、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいても良い。
また、発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。
本発明の化合物と合わせて使用できる蛍光発光材料の例としては、例えば、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、縮合芳香族化合物、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジン誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、スチリルアミン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体やピロメテン誘導体の金属錯体に代表される各種金属錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体などの化合物等が挙げられる。
錯体の配位子としては、例えば、G.Wilkinson等著,Comprehensive Coordination Chemistry, Pergamon Press社1987年発行、H.Yersin著,「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer−Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社1982年発行等に記載の配位子などが挙げられる。
具体的な配位子としては、好ましくは、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、フェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトンなど)、カルボン酸配位子(例えば、酢酸配位子など)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子であり、より好ましくは、含窒素ヘテロ環配位子である。上記錯体は、化合物中に遷移金属原子を一つ有してもよいし、また、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。異種の金属原子を同時に含有していてもよい。
また、使用できる燐光発光材料としては、国際公開特許第04/099339号パンフレット、同04/006498号パンフレット、同04/108857号パンフレットに記載の金属錯体が好ましく、本発明の化合物は上記燐光発光材料と組み合わせて適用することが好ましい。
燐光発光材料は、発光層中に、0.1〜40質量%含有されることが好ましく、0.5〜20質量%含有されることがより好ましい。
また、本発明における発光層に含有されるホスト材料としては、例えば、カルバゾール骨格を有するもの、ジアリールアミン骨格を有するもの、ピリジン骨格を有するもの、ピラジン骨格を有するもの、トリアジン骨格を有するもの及びアリールシラン骨格を有するものや、後述の正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層の項で例示されている材料が挙げられる。
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
−正孔注入層、正孔輸送層−
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。正孔注入層、正孔輸送層は、具体的には、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、有機シラン誘導体、カーボン、等を含有する層であることが好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
正孔輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、正孔注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.5nm〜100nmであるのがより好ましく、1nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
−電子注入層、電子輸送層−
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。電子注入層、電子輸送層は、具体的には、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体、等を含有する層であることが好ましい。
電子注入層、電子輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
電子輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、電子注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.2nm〜100nmであるのがより好ましく、0.5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
−正孔ブロック層−
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機化合物層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、BAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、BCP等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。正孔ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔ブロック層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
<保護層>
本発明において素子は保護層によって保護されていてもよい。保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。
その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al23、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe23、Y23、TiO2等の金属酸化物、SiNx、SiNxy等の金属窒化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
保護層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、転写法を適用できる。
<封止>
本発明の有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
また、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を通電することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書、等に記載の駆動方法を適用することができる。
以下に本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明の実施の態様はこれらに限定されない。
Figure 2007096255

(比較例)
洗浄したITO基板を蒸着装置に入れ、NPDを50nm蒸着し、この上にCBP及びCompound(1)(国際公開特許2004/108857号に記載の化合物)を10:1の質量比で40nm蒸着し、さらにこの上にBAlqを10nm、さらにこの上にAlqを30nm蒸着した。得られた有機薄膜上にパターニングしたマスク(発光面積が4mm×5mmとなる)を設置し、フッ化リチウムを3nm蒸着した後アルミニウムを60nm蒸着して比較例1の有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子に直流定電圧
(5V)を印加したところ、発光が観測された。輝度300cd/m2で10時間発光させた。
(実施例1)
比較例1において、Compound(1)の代わりに、本発明の化合物(1)を用いた以外は比較例1と同様にして実施例1の有機EL素子を作成した。得られた有機EL素子に直流定電圧(5V)を印加したところ、発光が観測された。輝度300cd/m2で10時間発光させたところ、比較例と比較して発光波長が短波であった。
(実施例2)
比較例1において、Compound(1)の代わりに、本発明の化合物(101)を用いた以外は比較例1と同様にして実施例2の有機EL素子を作成した。得られた有機EL素子に直流定電圧(5V)を印加したところ、発光が観測された。輝度300cd/mで10時間発光させたところ、比較例と比較して発光波長が短波であった。また実施例1に記載の素子と比較して外部量子効率は低かった。
(比較例2)
洗浄したITO基板を蒸着装置に入れ、NPDを50nm蒸着し、この上にCBP及びCompound(79)(国際公開特許2004/108857号に記載の化合物)を10:1の質量比で40nm蒸着し、さらにこの上にBAlqを3nm、さらにこの上にAlqを30nm蒸着した。得られた有機薄膜上にパターニングしたマスク(発光面積が4mm×5mmとなる)を設置し、フッ化リチウムを3nm蒸着した後アルミニウムを60nm蒸着して比較例2の有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子に電流密度500A/mの直流定電流を通電したところ、発光が観測された。輝度200cd/m2で10時間発光させた。
(実施例3)
比較例1において、BAlqの代わりに、本発明の化合物(114)を用いた以外は比較例1と同様にして実施例3の有機EL素子を作成した。得られた有機EL素子に電流密度500A/mの直流定電流を通電したところ、発光が観測された。輝度200cd/m2で10時間発光させたところ、比較例2と比較して駆動電圧が低く、電圧の上昇幅も小さかった。
同様に、他の本発明の化合物を用いても、発光性能が優れた発光素子を作製することができる。本発明の化合物は青〜緑の燐光発光が可能であり、該化合物を用いれば青〜緑の有機電界発光素子を作製することができる。
本発明の有機電界発光素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信等の分野に好適に使用できる。また本発明の化合物は、医療用途、蛍光増白剤、写真用材料、UV吸収材料、レーザー色素、記録メディア用材料、インクジェット用顔料、カラーフィルター用染料、色変換フィルター、分析用途等にも適用可能である。

Claims (9)

  1. 一対の電極間に、発光層を含む有機化合物層を有する有機電界発光素子であって、下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を有機化合物層に含有することを特徴とする有機電界発光素子。
    一般式(I)
    Figure 2007096255

    式中、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7及びZ8は、各々独立に炭素、窒素、酸素、硫黄、珪素から選択される原子を表す。Z1、Z2、Z3、Z4及びN原子、並びにZ5、Z6、Z7、Z8及びN原子から形成される5員環における原子間の結合は単結合又は二重結合を表す。Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7及びZ8が、さらに置換可能な場合、置換基を有していてもよい。A1は二価の連結基を表す。B1及びB2は、各々独立に単結合又は二価の連結基を表す。X1及びX2は白金原子と結合する原子を有する部分構造を表す。ただしX1及びX2が結合して環を形成することはない。
  2. 前記一般式(I)が下記一般式(II)又は(III)で表されることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
    一般式(II)
    Figure 2007096255

    式中、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、A1、B1、及びB2は、一般式(I)のそれらと同義である。Z11、Z12、Z13、Z14、Z15、Z16、Z17、Z18、Z19、及びZ20は、各々独立に炭素、窒素、酸素、硫黄、珪素から選択される原子を表し、さらに置換可能な場合、置換基を有していてもよい。Y1及びY2は各々独立に、酸素原子、硫黄原子、置換あるいは無置換の窒素原子、又は単結合を表す。
    一般式(III)
    Figure 2007096255

    式中、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、A1、B1、及びB2は一般式(I)のそれらと同義である。Z31、Z32、Z33、Z34、Z35、Z36、Z37、及びZ38は、各々独立に炭素、窒素、酸素、硫黄、珪素から選択される原子を表し、さらに置換可能な場合、置換基を有していてもよい。Y1及びY2は各々独立に、酸素原子、硫黄原子、置換あるいは無置換の窒素原子、又は単結合を表す。
  3. 前記一般式(II)が下記一般式(IIA)で表されることを特徴とする請求項2に記載の有機電界発光素子。
    一般式(IIA)
    Figure 2007096255

    式中、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、A1、B1、B2、Y1及びY2は一般式(II)のそれらと同義である。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。
  4. 前記一般式(IIA)が下記一般式(IIB)で表されることを特徴とする請求項3に記載の有機電界発光素子。
    一般式(IIB)
    Figure 2007096255

    式中、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、A1、Y1、Y2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、一般式(IIA)のそれらと同義である。
  5. 前記一般式(IIB)が下記一般式(IIB1)で表されることを特徴とする請求項4に記載の有機電界発光素子。
    一般式(IIB1)
    Figure 2007096255

    式中、A1、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、一般式(IIB)のそれらと同義である。R11、R12、R13及びR14は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。
  6. 前記一般式(IIB)が下記一般式(IIB2)で表されることを特徴とする請求項4に記載の有機電界発光素子。
    一般式(IIB2)
    Figure 2007096255

    式中、A1、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8は、一般式(IIB)のそれらと同義である。R11、R12、R13及びR14は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。
  7. 前記一般式(III)が下記一般式(IIIA)で表されることを特徴とする請求項2に記載の有機電界発光素子。
    一般式(IIIA)
    Figure 2007096255

    式中、Z1、Z2、Z3、Z5、Z6、Z7、A1、Z32、Z33、Z34、Z36、Z37、Z38、Y1及びY2は一般式(III)のそれらと同義である。
  8. 2及びR6がともに水素原子であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
  9. 前記一般式(I)乃至一般式(IIIA)において、A1が−C(R25)(R26)−、−C(R27)(R28)C(R29)(R30)−、−Si(R31)(R32)−、−N(R35)−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−(R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、及びR35はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。)から選択される基であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
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