JP2007095430A - 有機el表示パネルおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 有機EL表示パネル内に水分が浸入することを確実に防止して、水分による経時劣化を確実に防止することが可能な有機EL表示パネルおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 樹脂層11の中には金属層12が形成されている。金属層12は、有機EL表示パネルの周縁部に沿って延びる細長い突条であり、その厚み方向tで有機EL素子基板2と封止基板3にそれぞれ接している。金属層12は、柔軟でかつ、耐腐食性がある金属、例えば、Auから形成されていればよい。このような金属層12は、例えば、その断面形状の少なくとも一部が厚み方向tに対して傾斜していればよく、図2においてはその断面が台形を成している。
【選択図】 図2
【解決手段】 樹脂層11の中には金属層12が形成されている。金属層12は、有機EL表示パネルの周縁部に沿って延びる細長い突条であり、その厚み方向tで有機EL素子基板2と封止基板3にそれぞれ接している。金属層12は、柔軟でかつ、耐腐食性がある金属、例えば、Auから形成されていればよい。このような金属層12は、例えば、その断面形状の少なくとも一部が厚み方向tに対して傾斜していればよく、図2においてはその断面が台形を成している。
【選択図】 図2
Description
本発明は、有機EL表示パネルおよびその製造方法に関する。
有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示パネルとは、電極間に有機発光層を挟持してなる有機EL素子基板と、この有機EL素子基板に対向する封止基板とを、封止基板の外周部に配設した紫外線硬化型樹脂などのシール材により封止したものである。
この有機EL素子基板上に形成された有機発光層は、パネル内に水分が浸入すると特性劣化を起こし、ダークフレームと呼ばれる暗部を発生させ、輝度低下や画素の縮小、有機EL表示パネルの寿命低下を生じることが知られている。
このように、水分による有機EL表示パネルの劣化を防止ために、封止基板の外周部に配設したシール材として耐水性の樹脂材などを用いて有機EL素子基板と封止基板とを周縁部で封止するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−7452号公報
しかしながら、上述したような耐水性の樹脂材などで有機EL素子基板と封止基板とを封止したとしても、樹脂材はその素材の特性上、少しづつ水分を透過させてしまう。このため、僅かな水分の存在でもその表示特性が大きく劣化する有機EL表示パネルにあっては、こうした樹脂材を透過してくる僅かな水分による表示特性の劣化防止が課題であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、有機EL表示パネル内に水分が浸入することを確実に防止して、水分による経時劣化を確実に防止することが可能な有機EL表示パネルおよびその製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明によれば、電極間に有機発光層が挟持されてなる有機EL素子基板と、前記有機EL素子基板に対向して配される封止基板と、前記有機EL素子基板および前記封止基板の周縁部に配設され、前記有機EL素子基板および前記封止基板を封止するシール部とを有する有機EL表示パネルであって、前記シール部は、前記有機EL素子基板および前記封止基板の間に配される樹脂層と、前記樹脂層の中に形成され、前記有機EL素子基板および前記封止基板にそれぞれ接する金属層とを備えていることを特徴とする有機EL表示パネルが提供される。
前記樹脂層には、前記金属層および前記樹脂層の厚みを規定するスペーサが配されていればよい。また、この金属層は、その断面形状の少なくとも一部が厚み方向に対して傾斜していればよい。前記シール部は、前記有機EL素子基板の引出電極部を除いた部分に形成されていればよい。
また、本発明によれば、電極間に有機発光層が挟持されてなる有機EL素子基板の周縁部または/および前記有機EL素子基板に対向する封止基板の周縁部に金属突条を形成する工程と、前記有機EL素子基板の周縁部または/および前記封止基板の周縁部に樹脂材を配設する工程と、前記有機EL素子基板と前記封止基板とを対向させて互いに押し付け、前記金属突条を前記有機EL素子基板と前記封止基板の両方に密着させて金属層を形成するとともに、前記樹脂材を前記金属層の周囲に配しつつ前記有機EL素子基板と前記封止基板とを周縁部で互いに接着する樹脂層を形成する工程とを備えたことを特徴とする有機EL表示パネルの製造方法が提供される。
前記樹脂層には、前記金属層および前記樹脂層の最小厚みを規定するスペーサが配されていればよい。前記スペーサはその断面形状が略円形であればよい。前記金属突条は、その断面形状が略三角形状であればよい。
本発明の有機EL表示パネルによれば、シール部に金属層を形成したので、水分が樹脂層を介して少しづつ有機EL表示パネルの内部側に浸入して来ることがない。即ち、金属層は厚み方向の上下で有機EL素子基板および封止基板にそれぞれ接し、水分が浸入するのを遮断する。このように、シール部に金属層を設けて、樹脂層を介して浸入しようとする水分を完全に遮断することによって、有機EL表示パネルの内部側は常に水分の無い乾燥状態に保たれる。これにより、有機EL素子基板上に形成された有機発光層が水分によって特性劣化を起こし、輝度低下や画素の縮小、有機EL表示パネルの寿命低下といった不具合が発生することを防止することが可能になる。
以下、本発明に係る有機EL素子基板について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の有機EL素子基板の一例を示す外観斜視図である。本実施形態に係る有機EL表示パネル1は、有機EL素子基板2と、有機EL素子基板2に対向する封止基板3と、これら有機EL素子基板2と封止基板3とを周縁部で接合して封止するシール部4とから概略構成されている。
有機EL素子基板2は、例えば、厚さ0.4〜1.1mmの透明なガラス板からなり、その上にITO等の透明な陽極電極、ポリイミド樹脂等からなる絶縁層、自発光源となる有機発光層、アルミニウム等の金属材料からなる陰極電極が順次形成され、陽極電極と陰極電極とで有機発光層を挟み込んで電流を印加して発光させるようになっている。
有機発光層は、例えば、電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層など、周知の複層構成で形成されていれば良い。有機EL素子基板2を覆う封止基板3は、例えばガラス、アクリル系樹脂などから形成されていれば良い。有機EL素子基板2の一辺には、この有機EL表示パネル1を制御するドライバチップ(図示せず)が接続される引出電極部5が一体に形成されている。こうした引出電極部5には、透明導電膜等からなる複数の導電パターンが形成されている。
図2は、図1のY−Y線での断面図であり、シール部の構成を示した拡大断面図である。シール部4は、有機EL素子基板2と封止基板3との間に配されて、これら有機EL素子基板2と封止基板3とを接着する樹脂層11を備えている。こうした樹脂層11は、樹脂性の接着剤、例えば、UV硬化型のエポキシ系樹脂およびアクリル系樹脂や、2液硬化型のエポキシ系樹脂から形成されていればよい。
樹脂層11の中には、多数のスペーサ13が混入されている。スペーサ13は、断面が略円形の円筒状部材または球体状部材であればよく、例えばグラスファイバーやアクリル系樹脂から形成されていればよい。このようなスペーサ13は、後ほど詳述する本発明の有機EL表示パネルの製造方法において、有機EL素子基板2と封止基板3との間の最小厚み、即ち樹脂層11や後述する金属層12の厚みを規定するものである。
樹脂層11の中には金属層12が形成されている。金属層12は、有機EL表示パネル1における引出電極部5が形成された側辺D以外の3つの側辺A,B,C(図1参照)に沿って延びる細長い突条であり、その厚み方向tで有機EL素子基板2と封止基板3にそれぞれ接している。金属層12は、柔軟でかつ、耐腐食性がある金属、例えば、Auから形成されていればよい。このような金属層12は、例えば、その断面形状の少なくとも一部が厚み方向tに対して傾斜していればよく、図2においてはその断面が台形を成している。金属層12は、例えば高さHが10〜20μm程度に形成されれば良く、幅Wは、例えば高さHと同じかそれよりも狭く形成するのが好ましい。
以上のような構成の本発明の有機EL表示パネルの作用を説明する。図3に示すように、有機EL表示パネル1は、外気に晒される外部側Sと、製造段階で水分の無い環境で封止された乾燥した内部側Nとにシール部4を境にして区画されている。外部側Sと接する外気には、大気中の水蒸気等によって水分15が含まれている。こうした水分15は、製造後に時間が経つにつれてシール部4を構成する樹脂層11に浸入してくる。樹脂層11は、有機材料であるので、完全に水分を遮断することは難しく、大気中の水分15を内包してしまう。
従来はこうした樹脂層を介して有機EL表示パネルの内部側に水分が浸入することがあったが、本発明の有機EL表示パネル1では、シール部4に金属層12を形成したので、こうした水分15が樹脂層11を介して少しづつ内部側Nに浸入して来ることがない。即ち、金属層12は厚み方向tの上下で有機EL素子基板2および封止基板3にそれぞれ接し、水分15が内部側Nに浸入するのを遮断する。特に、耐腐食性に富み、密度の大きいAuなどで金属層12を構成すれば、金属層12の中を水分が透過することを完全に遮断できる。
このように、シール部4に金属層12を設けて、樹脂層11を介して内部側Nに浸入しようとする水分15を完全に遮断することによって、有機EL表示パネルの内部側Nは常に水分の無い乾燥状態に保たれる。これにより、有機EL素子基板上に形成された有機発光層が水分によって特性劣化を起こし、輝度低下や画素の縮小、有機EL表示パネルの寿命低下といった不具合が発生することを防止し、長期間にわたって鮮明な表示が可能な有機EL表示パネルを得ることができる。
なお、図1に示す引出電極部5が形成された有機EL表示パネル1の側辺Dは、導電性の金属を配置すると電気的に短絡するなどの問題があるが、例えば、図9に示すように、有機EL素子基板2に形成された導電パターン層8と封止基板3との間に絶縁体のガラスファイバ9を設け、樹脂層11で覆うことにより、引出電極部5における水分の浸入防止を図ることもできる。
図4は、本発明の有機EL表示パネルの第2の実施形態を示す拡大断面図である。この実施形態では、有機EL表示パネル20の周縁部を封止するシール部21に2つの金属層22a,22bが並列に設けられている。このように2つの金属層22a,22bを設けることによって、樹脂層23に浸透した水分が有機EL表示パネル20の内部に浸入することを、より確実に防止することができる。なお、製造時における封止工程の前には、こうした金属層22aは有機EL素子基板24側に形成され、金属層22bは封止基板25側に形成されていればよい。
図5は、本発明の有機EL表示パネルの第3の実施形態を示す拡大断面図である。この実施形態では、封止基板35がシール部31と接する部分に溝36が形成され、この溝36に捕水材37が設けられている。このように、金属層32の形成に加えて更に捕水材37を設置することにより、樹脂層33に浸透した水分がこの捕水材37で補足されるので、有機EL表示パネル30の内部に水分が浸入することを、より確実に防止することが可能になる。
次に、本発明の有機EL表示パネルの製造方法に関して、シール部の形成について説明する。有機EL表示パネルを製造するにあたって、封止工程では、図6(a)に示すように、まず、封止基板3にAuなどの金属膜42を積層する。こうしたAuの積層は、例えばメッキなどであればよい。次に、この金属膜42にレジスト43を形成し、エッチングを行う(図6(b)参照)。エッチングによってレジスト43の形成部以外の金属膜42を除去し、レジスト43の形成部分だけ金属膜42を残す(図6(c)参照)。
続いて、図6(d)に示すように、残された金属膜42の上面のレジスト43を除去し、更にこの金属膜42にスパッタリングやエッチングを行う。こうした金属膜42にスパッタリングやエッチングにより、封止基板3上に断面が三角形状の金属突条44が形成された状態となる(図6(e)参照)。なお、こうした金属突条44の形成は、気相成長法、アディティブ法、セミアディティブ法など各種メタルエッチング法が採用可能である。
図7(a)に示すように、断面を三角形状に形成した金属突条44を覆うように、封止基板3の周縁部にスペーサ13を含んだ樹脂材43を塗布する。そして、この封止基板3に向けて有機EL素子基板2を対面させる(図7(b)参照)。そして図7(c)に示すように、封止基板3に対して有機EL素子基板2を所定の押圧力で押し付ける。すると、金属突条44はスペーサ13の断面直径に相当する高さまで押しつぶされ、その上部が有機EL素子基板2と密着して金属層12が形成される。同時に樹脂材43も金属層12の周りに広がり(展開し)、樹脂層11が形成される。
この圧着時に、スペーサ13は封止基板3と有機EL素子基板2との隙間をスペーサ13の直径よりも小さくならないように規制し、金属層12および樹脂層11の最小厚みを規定する。これによって、金属層12および樹脂層11が薄くなりすぎて(潰れ過ぎて)シール部としての機能が低下することを防止する。
また、金属突条44を断面が三角形状になるように形成しておくことによって、封止基板3と有機EL素子基板2との圧着時に、樹脂材43に含まれる断面が略円形のスペーサ13が金属突条44の両側に回避されるようになり、金属突条44の中にスペーサ13がめり込んでしまい金属層12が変形するといった不具合を防止することができる。なお、こうした金属突条はその断面形状が三角形に形成される以外にも、矩形や円形など各種断面形状に形成されてもよく、限定されるものではない。
図8は、本発明の有機EL表示パネルの別な製造方法を示す説明図である。この製造方法では、前述した製造方法と同様に、封止基板3の周縁部に、断面を三角形状の金属突条54を形成し、この金属突条54を覆うようスペーサ13を含んだ樹脂材53を塗布する。一方、有機EL素子基板2の周縁部にも、例えば断面が矩形の金属突条55を形成する(図8(a)参照)。
そして、図8(b)に示すように、断面三角形の金属突条54と断面矩形の金属突条55とが重なり合うように封止基板3と有機EL素子基板2とを押圧して圧着することにより、金属突条54と金属突条55とが互いに変形してスペーサ13の断面直径まで潰れ、金属層56が形成される。このように、封止基板3と有機EL素子基板2の双方に金属突条54,55を形成することにより、圧着時により強固な金属層56を形成することができる。なお、金属突条だけでなく、樹脂材も封止基板3と有機EL素子基板2の双方に形成しておいてもよい。
1…有機EL表示パネル、2…有機EL素子基板、3…封止基板、4…シール部、11…樹脂層、12…金属層、13…スペーサ、43…樹脂材、44…金属突条。
Claims (8)
- 電極間に有機発光層が挟持されてなる有機EL素子基板と、前記有機EL素子基板に対向して配される封止基板と、前記有機EL素子基板および前記封止基板の周縁部に配設され、前記有機EL素子基板および前記封止基板を封止するシール部とを有する有機EL表示パネルであって、
前記シール部は、前記有機EL素子基板および前記封止基板の間に配される樹脂層と、前記樹脂層の中に形成され、前記有機EL素子基板および前記封止基板にそれぞれ接する金属層とを備えていることを特徴とする有機EL表示パネル。 - 前記樹脂層には、前記金属層および前記樹脂層の厚みを規定するスペーサが配されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示パネル。
- 前記金属層は、その断面形状の少なくとも一部が厚み方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL表示パネル。
- 前記シール部は、前記有機EL素子基板の引出電極部を除いた部分に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の有機EL表示パネル。
- 電極間に有機発光層が挟持されてなる有機EL素子基板の周縁部または/および前記有機EL素子基板に対向する封止基板の周縁部に金属突条を形成する工程と、前記有機EL素子基板の周縁部または/および前記封止基板の周縁部に樹脂材を配設する工程と、前記有機EL素子基板と前記封止基板とを互いに対向させて押し付け、前記金属突条を前記有機EL素子基板と前記封止基板の両方に密着させて金属層を形成するとともに、前記樹脂材を前記金属層の周囲に展開させて前記有機EL素子基板と前記封止基板とを周縁部で互いに接着する樹脂層を形成する工程とを備えたことを特徴とする有機EL表示パネルの製造方法。
- 前記樹脂層には、前記金属層および前記樹脂層の最小厚みを規定するスペーサが配されていることを特徴とする請求項5に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
- 前記スペーサはその断面形状が略円形であることを特徴とする請求項5または6に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
- 前記金属突条は、その断面形状が略三角形状であることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20081202 |