JP2007093573A - バイオセンサ計測システム、粘性率測定方法、および微量質量測定方法 - Google Patents

バイオセンサ計測システム、粘性率測定方法、および微量質量測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 自励振回路を用いた場合であっても高精度な検出が可能なバイオセンサ計測システム、粘性率測定方法、および微量質量測定方法を提供する。
【解決手段】 本発明に係るバイオセンサ計測システム、粘性率測定方法、および微量質量測定方法は、溶液中に浸漬した滑り波型圧電共振子を用いて構成される自励振回路を間欠駆動させる事によって、その自励振動の振幅起動特性から起動時間を測定し、この起動時間より圧電振動子の電気的等価抵抗値を検出し、また飽和周波数値を測定する事により、浸漬溶液の粘性率と共振子の電極表面に吸着する微小質量を検出する事を特徴とするものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、試料溶液中における滑り波型圧電共振子の自励振時の電気的特性の変化から、溶液の粘性率および、共振子の電極表面等に吸着する化学物質の微量な吸着質量を測定するバイオセンサ計測システム、粘性率測定方法、および微量質量測定方法に関する。
近年、Lab−on−a−Chipと呼ばれる、バイオ検査チップの開発が盛んに行なわれている。これは、流路や反応槽、バルブ、センサ等の要素構造を小さな基板に集積した構成であり、この内部に流れる液体に対して分析処理を行うものである。このようなバイオ検査チップは、コンパクトで安価なため、例えば家庭で健康状態を少量の検体で定期的に検査したり、屋外での環境測定に応用することが可能である。
このバイオ検査チップの構成要素の一つであるセンサ部には、様々な原理を利用したセンサが提案されている。中でも、小型で板状の構成が可能であり、バイオ検査チップへの搭載が容易と想定される滑り波型圧電共振子を使用した滑り波型圧電共振子センサが注目されている。
固体振動における滑り波とは、固体のせん断応力に起因する波動である。この滑り波は、水等の液体に対して、他の振動モードに比較して振動エネルギーを放射しにくいという性質を持っている。それゆえ、滑り波型圧電共振子は液体中にても、電気的自励振動を発生させやすいという大きな特徴がある。この特徴を利用したのが滑り波型圧電共振子センサである。すなわち、この滑り波型圧電共振子センサは、溶液中において、圧電共振子表面に付着した試料の微小な質量や、溶液の粘性率を共振子の電気的特性変化として検出できるという大きな特徴を持っている。この滑り波型圧電共振子センサの代表例が水晶単結晶を用いたATカット水晶振動子センサであって、QCM(Quartz Crystal Microbalance)型バイオセンサとして認知されているセンサである(例えば、非特許文献1参照。)。ちなみに、このATカット水晶振動子は、その固有振動数として、振動子厚みに依存した厚み滑り振動を持っており、前述の滑り波型圧電共振子としては広く認知されている水晶振動子である。
以下、ATカット水晶振動子をQCM型バイオセンサとして用いる場合について詳細に説明する。図12−(a)、(b)はATカット水晶振動子を用いたQCM型バイオセンサの概略図であって、ATカット水晶振動子片1201の表面上には対向する一対の励振電極1202が構成されている。また励振電極1202にはリード電極1203が一体形成されている。この励振電極1202の配置において、このATカット水晶振動子は固有周波数として厚み滑り振動1204を誘発する。さらに、一側面の表面に分析対象のみを捕獲する感応膜1205が固定化されている。この時、ATカット水晶基板の機械的固有周波数Frは、分析対象が感応膜により捕獲される微小質量によって変化する。この時、感応膜によって捕獲された微小質量をΔmとすると、ATカット水晶振動子の固有周波数の変化量ΔF1は、Δmに比例する事が知られている。この関係式は、Sauerbrey(G.Sauerbrey,Z. Phys.155,1959,206、非特許文献2)により導かれており、次式で与えられる。
Figure 2007093573
ここで、Frは水晶振動子の固有周波数、Aeは励振電極1202の面積、C66はATカット水晶振動子片1201のせん断弾性係数、ρqは水晶の密度である。したがって、固有周波数Frを高くするほど質量センサとしての感度が高くなることが判明している。
また、液体中でQCM型バイオセンサを動作させる場合、分析対象などを含む溶液中でATカット水晶振動子振動させると、溶液の粘性率の影響によって、その固有周波数は、減少する。この関係は次式で与えられる。
Figure 2007093573
ここで、ηsは水晶振動子が浸漬される溶液の粘性率、ρsは同じく試料溶液の密度である。この固有周波数の変動ΔF2についても、固有周波数Frが高いほど大きく影響されることが判明している。よって、溶液浸漬による固有周波数の変化量ΔFtは(1)式と(2)式より、
Figure 2007093573
となる。
さらに、浸漬溶液の粘性率によって、ATカット水晶振動子の電気的等価定数のひとつである等価直列抵抗(詳細は後述する)が増加する事が判明している。このとき、電気的等価抵抗値の増加量をΔRmとすると、次式で与えられる。
Figure 2007093573
ここで、Aqは、ATカット水晶振動子片1201の表面積、KはATカット水晶振動子の電気機械結合係数である。
以上の関係式から、QCM型バイオセンサを用いると、固有周波数及び、電気的等価直列抵抗の変化量から、微小質量、粘性率が検出できる事が判明する。すなわち、粘性率には(4)式を用いて、等価抵抗値の変化量から粘性率が検出できる。また微小質量は、観測された固有周波数の変化量、(4)式より決定された粘性率および(3)式を用いて決定される。
実際に、このQCM型バイオセンサを使用したセンサシステムにおいては、試料溶液にATカット水晶振動子を浸漬した状態で、その固有周波数及び電気的等価抵抗値を測定する必要がある。そのためには、通常二種類の方法がある。
図13は第一の測定方法を示す概略図であって、試料溶液1302に浸漬されたQCM型バイオセンサ1301に対して、インピーダンスアナライザに代表される周波数掃引機能とインピーダンス測定機能をもった周波数応答特性測定装置1303が接続されており、この周波数応答特性測定装置1303からQCM型バイオセンサ1301に高周波信号が印加される。その結果、QCM型バイオセンサ1301の試料溶液1302中での周波数応答特性が検出される。この検出された周波数応答特性より、QCM型バイオセンサの固有周波数と電気的等価抵抗値がそれぞれ、固有周波数演算処理装置1304及び電気的等価定数演算処理装置1305にて検出される。
この電気的等価定数演算処理装置1305にて測定された電気的等価定数はさらに試料溶液粘性率演算処理装置1306に入力され、前述の(4)式を基にして、試料溶液の粘性率が検出される。さらに、この検出された試料溶液の粘性率と先に固有周波数演算処理装置1304にて検出された固有周波数は微小質量演算処理装置1307に入力され、前述の(1)〜(3)式を基にして微小質量が検出され、最終的にこの微小質量と試料溶液の粘性率は出力装置1308にて主力される。この測定方法は、圧電振動子の周波数応答特性を測定する方法を基にした測定方法であって、外部より入力された高周波信号で励振させるという意味で他励振法と呼ばれている測定方法である。
図14は第二の測定方法を示す概略図であって、図13と同様に試料溶液1302に浸漬されたQCM型バイオセンサ1301に対して、反転増幅回路1401が接続されている。通常圧電振動子にこの反転増幅回路1401が接続されると、自発的に圧電振動子は電気的固有周波数で励振信号を誘発し、発振周波数として観測できる事が知られている。すなわち、図13において、反転増幅回路1401とQCM型バイオセンサ1301にて自励振回路1402が構成されている。また、ATカット水晶振動子を用いた自励振回路より発生するその発振周波数は、ATカット水晶振動子の持つ機械的固有周波数とほぼ等しい事が知られている。
この自励振回路1402から出力される発振信号から、自励振周波数演算処理装置1403に入力され電気的固有周波数が検出される。同様に発振信号の振幅成分が自励振信号振幅演算処理装置1404にて検出される。この自励振信号振幅演算処理装置1404にて検出された振幅成分が、電気的等価抵抗演算処理装置1405にて入力され、電気的等価抵抗値が検出される。この電気的等価抵抗値が試料溶液粘性率演算処理装置1406に入力され、前述の(4)式を基にして、試料溶液の粘性率が検出される。最終的に、この粘性率と先に検出された電気的固有周波数が、微小質量演算処理装置1407に入力され、(1)〜(3)式を基にして微小質量が検出され、最終的に出力装置1408にて出力される。この方法は圧電振動子の自励振現象を応用していることから、自励振法と呼ばれている。以上がATカット水晶振動子を用いたQCM型バイオセンサの従来のセンシングシステムの概要である。
H.Muramatsu,J.M.Dicks,E.Tamiya and I.Karube Anal.Chem.59(1987), 2760−2763 G.Sauerbrey,Z. Phys.155(1959),206
ATカット水晶振動子を用いたQCM型バイオセンサシステムは、比較的容易に微小な質量や、溶液の粘性率が測定できる。さらにセンサ自体がコンパクトで安価なために、バイオ検査チップとして、家庭で健康状態を少量の検体で定期的に検査したり、屋外での環境測定等に応用することが可能である事から、近年、非常に注目されているセンサシステムである。
家庭や屋外の測定においては、先に説明した他励振法にては、装置が高価でしかも大規模、さらには消費電力が大きい等の問題点から、家庭用ならびに屋外用には不向きであるので、図14にて説明したセンサの自励振法が検討されている。ところが、この自励振法においは、自励振の振幅値から粘性率を検出する際の検出精度が悪く、その結果、微小質量の検出精度も悪いという問題があり、産業上大きな問題となっている。すなわち、本発明が解決しようとする課題とは、粘性率の検出精度の向上である。
本発明に係るバイオセンサ計測システム、粘性率測定方法、および微量質量測定方法は、溶液中に浸漬した滑り波型圧電共振子を用いて構成される自励振回路を間欠駆動させる事によって、その自励振動の振幅起動特性から起動時間を測定し、この起動時間より圧電振動子の電気的等価抵抗値を検出し、また飽和周波数値を測定する事により、浸漬溶液の粘性率と共振子の電極表面に吸着する微小質量を検出する事を特徴とするものである。
図11は、本発明の効果を示す特性図であって、滑り波型圧電共振子としてATカット水晶振動子を用いた本発明に基づく間欠駆動型自励振回路における起動時間と浸漬溶液の粘性率の相関を示した相関図である。図11において縦軸は、本発明の係る自励振の起動時間Tr、横軸は浸漬溶液の粘性率ηsである。
この図11において縦軸の原点に近いほうがTr値は小さく、原点から離れるほどTr値は大きくなる。詳細については後述するが、Tr値が大きいということは自励振回路における振幅起動時間が長く、溶液中に浸漬された滑り波型圧電共振子の電気的等価抵抗値が大きいという事を意味している。一方、横軸の浸漬溶液の粘性率ηsが大きいということは粘性率が大きいという事を意味している。すなわち粘性率が大きいという事は、Tr値が大きいという事であり、これらの関係を考慮して図11を見た場合、Tr値と粘性率ηsは、高度な相関関係を有していると見なす事が可能である。従って、この図11からわかる通り、本発明は、精度よく浸漬溶液の粘性率を測定する事が可能となるので、簡便、高精度及び小型のバイオセンサ計測システムが供給でき、その結果、家庭で健康状態を定期的に検査したり、屋外での環境測定等に応用することが可能となる。
図1に、本発明に係るバイオセンサ計測システムの構成を示すブロック図を示す。滑り波型圧電共振子101は試料溶液102が満たされた溶液槽103に浸漬されている。この滑り波型圧電共振子101は、反転増幅回路104に接続されており、この反転増幅回路104と厚み滑り型共振子101によって自励振回路105が構成されている。電源106は、間欠駆動回路107を通して、反転増幅回路104に供給される。この間欠駆動回路107によって自励振回路105が間欠駆動される。この時、間欠駆動回路107は、所望の駆動間隔で電源電圧を間欠供給させる機能をもっている。また、負性抵抗可変装置108が反転増幅回路104に接続されている。この負性抵抗可変装置108によって、浸漬溶液102の粘性率に見合った負性抵抗値が選択される。
自励振回路105を間欠駆動させる事によって、自励振回路105にて誘発される自励振信号の起動特性が、起動特性測定装置109にて検出される。この起動特性測定装置109で検出された起動特性は、本発明に係る粘性率演算処理装置110に入力される。粘性率演算処理装置110は、飽和振幅値演算処理装置111、起動時間演算処理装置112、等価抵抗値演算処理装置113及び粘性率演算装置114より構成されている。この時、飽和振幅値演算処理装置111では、自励振動の飽和振幅値と共に該飽和振幅値に対応する振幅飽和時間が決定される。
飽和周波数演算処理装置115には、先に起動特性測定装置109にて測定された自励振動の起動特性と、飽和振幅値演算処理装置111にて演算処理された振幅飽和時間が入力され、この両者から飽和周波数が検出される。粘性率演算処理装置110より検出された浸漬溶液の粘性率は粘性率出力装置116にて出力されると共に、吸着質量演算処理装置117に入力される。この吸着質量演算処理処置117には、飽和周波数演算処理装置115にて検出された飽和周波数も入力される。この吸着質量演算処理装置117は、飽和周波数と粘性率から厚み滑り方圧電共振子の電極部に形成された感応膜に吸着した付加質量が演算処理され、付加質量出力装置118にて出力される。以上が本発明に係る本発明に係るバイオセンサ計測システムの構成である。
次に本発明に係る粘性率演算処理装置110で行われる演算処理の原理的説明を行う。
図2(a)及び図2(b)は、圧電共振子を用いた自励振回路に関する電気的等価回路を示す回路図である。図2(a)は、滑り波型圧電共振子101と反転増幅回路104にて構成された図1に記載の自励振回路105の等価回路図である。この図において、反転増幅回路104は、負性抵抗201、能動容量202及び固定容量203で構成されている。ここで、負性抵抗201は通常の抵抗値とは違い、等価的に負の値をもち、さらに誘発される自励振電流204の振幅値に大きく依存する事が知られている。それゆえ、図中の表記として−ρ(i0)の表記を用いている。ここで自励振電流204の振幅値がi0である。同様に、能動容量202の値も自励振電流の振幅値i0によって変化する。しかし、その影響は本発明に係る演算処理に対して、無視できるので固定値と見なして問題ない。
次に図2(b)は、厚み滑り型共振子101の電気的等価定数を説明する回路図である。滑り波型圧電共振子101は、電気的には4個の構成要素から成り立っている。すなわち、等価抵抗205、等価容量206、等価インダクタンス207及び電極間容量208であって、それぞれRm、Cm、Lm及びC0の記号を用いている。この電気的等価定数をもちいて、滑り波型圧電共振子の固有周波数Frは、次式で近似的に決定できる。
Figure 2007093573
また、浸漬溶液中における等価抵抗Rmは、溶液浸漬前の等価抵抗値をR0とすると、(4)式を考慮して、次式で与えられる。
Figure 2007093573
図3は図2(a)で説明した反転増幅回路104の負性抵抗201と自励振電流204の振幅値i0の関係を示した特性図であって、縦軸は負性抵抗値ρ、横軸は自励振回路105にて誘発される自励振電流204の振幅値i0である。ちなみに縦軸の値は負性抵抗値の絶対値という意味でρとしてあり、実際は負の値を持っている。ρの値は、自励振電流の増加に従って、減少する傾向にあり、自励振電流が0の時に最大値を持っている。この最大値が図3に記載のρmである。
以下、図2及び図3を用いて、厚み滑り型圧電振動子の自励振動の起動特性について説明する。図2において、厚み滑り型圧電振動子101に生じる自励振電流204をi、その振幅値を前述の様にi0、さらに時間をtとすると、
Figure 2007093573
と書ける。ここでFは周波数である。この自励振電流の振幅i0、周波数F共に時間tの関数である。まず自励振電流204の電流振幅i0は、詳細な理論的説明は省略するが、以下の時間tに関する微分方程式に従って変化する事が判明している。
Figure 2007093573
ここで、Lm、C0、Rmは図2(b)に記載の厚み滑り型圧電振動子101の電気的等価定数であって、それぞれ等価インダクタンス207、電極間容量208及び等価抵抗208である。また、ρ(i0)は図2(a)及び図3に記載の負性抵抗201である。さらにCLは自励振回路105の負荷容量であって、図2(a)に記載の能動容量202と固定容量203の合成容量であって、
Figure 2007093573
で決定される。この(8)式が厚み滑り型圧電振動子の自励振電流の振幅の起動特性を決定する微分方程式である。自励振電流が時間と共に増大する条件、すなわち、自励振動が誘発される条件は、図3の特性図と(8)式を考慮すれば、
Figure 2007093573
である。また、自励振動が安定な状態に到達すると自励振電流204の振幅値i0は飽和し、一定値になる。この飽和振幅値をimとすると、imは次式で決定される。
Figure 2007093573
図3及び(8)式を考慮すると、振幅値i0が小さい時は、(8)式で与えられる振幅値の時間変化率は大きいので、振幅は急激に立ち上がり、振幅が飽和値imに近くなると振幅値の時間変化率は小さくなるので、振幅の立ち上がりは小さくなり、十分な時間が経過すると飽和値imに収斂するという傾向がわかる。
次に、(5)式の周波数Fに関しては、振幅値と同様に詳細な理論的説明は省略するが、飽和する振幅に連動して、Fも一定値に飽和する。この飽和値をFmとすると
Figure 2007093573
となる。このFmが自励振回路における飽和周波数であり、一般に、自励振周波数または発振周波数として認知されている物理量である。(1)から(3)式で決定される微少質量や粘性による固有周波数Frの変化は、この自励振回路の飽和周波数Fmの変化として検出できる。
試料溶液102に浸漬された滑り波型圧電共振子101の等価抵抗値Rmは、(4)式にて示した様に、その粘性の影響によって増加する。この等価抵抗の増加は、(8)式で決定される起動特性に変化を与える。それゆえ、この起動特性を検出する事で、粘性率を検出できる事になる。
図4は、(8)式で決定される本発明に係る起動特性の定性的な特性図であって、図4(a)
における縦軸は励振電流の振幅i0、横軸は時間Tである。時間が十分に長くなると振幅値は飽和し、その値が図記載のimである。また、図4(b)は、図4(a)記載の起動特性より演算処理された特性図であって、その縦軸は(8)式にて与えられる励振電流の振幅i0の時間微分値di0/dTである。これらの特性図において、起動特性を代表する起動時間Trは、図4(a)においては、前記im値の半分の値を示す時間τA、図4(b)においては、励振電流の振幅振幅i0の時間微分値di0/dTが最大値となる時間τB、である。本発明に係る粘性率を計測するための起動時間は、前記時間τA、τBは、本発明に係る粘性率と高度の相関を持つ事が判明している。
図6は、前記起動時間Trと等価抵抗値Rmの関係を示す特性図であって、(8)式より計算された計算値である。なお、計算にあたり、表1に記載した電気的等価定数値をもつ固有周波数19.2MHzのATカット水晶振動子を想定している。また、図6は、図4(b)記載の起動時間τBを基に作成してものであるが、図4(a)記載の起動時間τAを基に作成しても、まったく同様な傾向を持つ特性図が得られる事は言うまでもない。
Figure 2007093573
自励振回路の負性抵抗は、図5にて示すようにρmを代表値として1KΩと2KΩの二種類を用いた。さらにCL値は100pFの値である。さらに図7は、前記imと等価抵抗値Rmの関係を示す特性図であって、図6と同様の条件下で計算された計算値である。ちなみに、図7は、図14で説明した自励振の振幅値より、試料溶液の粘性率を検出する方法に対応している。
図6において、起動時間Trと等価抵抗Rmの関係は、特性曲線601及び特性曲線602にて示すように、ρmの値で大きく異なっている。ここでρm=1KΩに対応する曲線が特性曲線601、ρm=2KΩに対応する曲線が特性曲線602である。さらに、Rm値がρm値に接近した領域、すなわち、特性曲線601では領域I、特性曲線602では領域IIで、その勾配が非常に大きくなっている。ちなみに、その勾配は、領域Iでは40μS/Ω、領域IIでは15μS/Ω、であって、計測できる通常の時間分解能に比較して十分に大きな値と見なす事ができ、十分な等価抵抗値の検出精度を持っている事が判明した。さらに、想定される試料溶液の粘性率にたいして、適切な負性抵抗値を選択する事によって、検出感度が自由に選択できる事も判明した。
それに対して、図7にて示す、飽和電流振幅値imと等価抵抗Rmの関係は、特性曲線701及び特性曲線702にて示すように、双方ともほぼ直線とみなせる。ここでρm=1KΩに対応する曲線が特性曲線701、ρm=2KΩに対応する曲線が特性曲線702である。さらに、両特性曲線の勾配は3μA/Ω〜8μA/Ωとなっている。通常の高周波信号に関する計測分解能から比較するとこの数値では、十分な検出精度が得られない事が判明している。すなわち、図6と図7を比較する事によって、本発明に係る自励振回路によって誘発される自励振電流の起動特性を検出する事によって、従来の方法に比較した高精度な粘性率計測ができる事が判明した。以上が、粘性率演算処理装置110で行われる演算処理の原理的説明とその原理的特徴である。
以下で、図1に記載の本発明に係るバイオセンサ計測システムの構成における主要部分の説明を行う。まず第一番目に、図1に記載の自励振回路105とその周辺装置について説明する。図8は反転増幅回路と滑り波型圧電共振子にて構成された自励振回路の実施例であって、この実施例を参考にして図1に記載の自励振回路105とその周辺装置について、より具体的に説明する。図8に記載の自励振回路801(図1に記載の自励振回路105に相当。)はトランジスタを用いた反転増幅回路と滑り波型圧電共振子101にて構成された自励振回路の実施例である。本発明に係る起動特性測定装置803(図1に記載の起動特性測定装置109に相当。)は滑り波型圧電共振子に誘発される自励振電流を測定するために、基準抵抗802の両端に接続されている。また、各トランジスタを駆動させるためのバイアス電圧は間欠駆動回路804(図1に記載の間欠駆動回路107に相当。)を介在して電源106と接続されており、この間欠駆動回路804によって、バイアス電圧が間欠駆動され、その結果、自励振回路801が間欠駆動される。負性抵抗可変装置805(図1に記載の負性抵抗可変装置108に相当。)は、本図記載の自励振回路を構成する抵抗及び容量値等を変化させる事で、自励振回路801の負性抵抗を可変させる事が可能である。
図9は反転増幅回路と滑り波型圧電共振子にて構成された他の自励振回路の実施例であって、図9に記載の自励振回路901(図1に記載の自励振回路105に相当。)はCMOSインバーターを用いた反転増幅回路と滑り波型圧電共振子101にて構成された自励振回路の実施例である。本発明に係る起動特性測定装置903(図1に記載の起動特性測定装置109に相当。)は滑り波型圧電共振子に誘発される自励振電流を測定するために、基準抵抗902の両端に接続されている。また、各CMOSを駆動させるための駆動電圧は間欠駆動回路904(図1に記載の間欠駆動回路107に相当。)を介在して電源106と接続されており、この間欠駆動回路904によって、バイアス電圧が間欠駆動され、その結果、自励振回路901が間欠駆動される。負性抵抗可変装置905(図1に記載の負性抵抗可変装置108に相当。)は、本図記載の自励振回路を構成する抵抗及び容量値等を変化させる事で、自励振回路901の負性抵抗を可変させる事が可能である。
図8及び図9記載の自励振回路の構成は、使用する試料溶液の粘性率、圧電共振子の周波数等によって便宜変更可能である事はいうまでもなく、単なる設計事項にすぎない。第二番目として、図1に記載の起動特性測定装置109から出力される起動出力波形について説明する。図10は、本発明に係る起動特性測定装置109によって測定された自励振波形と間欠駆動回路107によって変化する駆動電圧波形について説明する図である。縦軸は出力強度、横軸は時間である。間欠動作は時刻T1とT2を開始時刻として、双方共に時間間隔ΔTで駆動電圧が自励振回路105に供給される。駆動電圧波形1001の内、第一回目の駆動状態が駆動状態1002であり、第二回目の駆動状態が駆動状態1003である。この時、駆動状態1002に対応して出力される自励振波形が自励振波形1004、駆動状態1003に対応して出力される自励振波形が自励振波形1008である。この時、駆動状態1002は、時刻T1における浸漬溶液102と滑り波型圧電共振子101との反応状態、駆動状態1003は時刻T2における両者の反応状態を反映している。
本発明に係る図1に記載の起動特性測定装置109から出力される起動出力波形が、この図10記載の駆動電圧波形1001、自励振波形1004及び自励振波形1008に代表される駆動電圧波形と自励振波形である。この図10は、時刻T1と時刻T2において、浸漬溶液の粘性率及び吸着する微小質量の変化を測定するための模式図である。
第三番目として、本発明に係る粘性率演算処理装置110を構成する各構成装置について説明する。まず、第一の構成装置である飽和振幅値演算処理装置111では、図10に記載の自励振波形の包絡線が決定される。すなわち、図10に記載の包絡線1005と包絡線1009であって、前者は駆動状態1002に対応し、後者は駆動状態1003に対応している。さらに、この包絡線の情報に基づき、十分に励振振幅が飽和する領域を検出する。すなわち、図10に記載の飽和領域1006及び飽和領域1010である。この決定された飽和領域にて、飽和振幅値が決定される。この飽和振幅値が図10に記載の飽和振幅値1007及び飽和振幅値1011である。
第二の構成装置である起動時間演算処理装置112は、前記の包絡線1005、包絡線1010及び駆動電圧波形1001を用いて、起動時間を求めるための演算処理を行う装置である。起動時間Trは、励振電流の振幅i0の時間微分値di0/dTが最大値となる時間と定義される。すなわち、図10記載の包絡線1005と包絡線1010を時間に対して微分し、その値が最大値となる時刻である。この時刻が図記載の時刻Ta、時刻Tbである。この二つの時刻を用いて、駆動状態1002における起動時間Tr1は、
Figure 2007093573
となる。同様に、駆動状態1003における起動時間Tr2
Figure 2007093573
となる。
以上は、図4(b)で説明した起動時間τBを基に構成された演算処理であるが、図4(a)記載の起動時間τAを基にする場合は、図10記載の飽和振幅値1007、飽和振幅値1011より、両者の半値幅に対応する時刻から、起動時間Tr1、Tr2を求めてもよい。この両者の優劣を決定する判断基準は、起動時間と本発明に係る粘性率の相関性であって、その相関性が高い方を採用すべきである。この相関性は、演算処理部を構成する装置、さらには、図8及び図9記載の回路構成に依存するので、単なる設計事項にすぎない。
第三の構成装置である等価抵抗演算処理装置113は、前記起動時間Tr1及びTr2を用いて、駆動状態1002及び駆動状態1003における等価抵抗値を求めるための演算処理を行う装置である。等価抵抗値Rmを決定するために、(8)式を基にする。すなわち、負性抵抗可変装置108にて設定された自励振回路105の負性抵抗曲線及び負荷容量値CL、及びあらかじめ記録されている滑り波型圧電共振子101の等価インダクタンス207及び電極間容量208の値(すなわち、LmとC0の値)を基に、(8)式を数値的に解く事により等価抵抗Rmが決定される。この決定された等価抵抗値は、駆動状態1002においてはRm1、駆動状態1001においてはRm2である。
第四の構成装置である粘性率演算装置114は、前記等価抵抗値Rm1及びRm2を用いて、浸漬溶液の粘性率を求めるための演算処理を行う装置である。あらかじめ記録されている滑り波型圧電共振子101の溶液浸漬前の等価抵抗値R0、固有周波数Fr、共振子形状、電気機械結合係数及び浸漬溶液の密度と(6)式を用いて、浸漬溶液の粘性率が決定される。この決定された粘性率が、駆動状態1002においてはηS1、駆動状態1001においてはηS2である。この時、ηS1とηS2に差があれば、浸漬溶液の化学的成分と滑り波型圧電共振子101の感応膜が反応する事によって、浸漬溶液の粘性率が変化した事にほかならない。この決定された粘性率または粘性率の変化量が、粘性率出力装置116によって出力される。
第四番目として、本発明に係る飽和周波数演算処理装置115について説明する。この飽和周波数演算処理装置115は、図10に記載の飽和領域における自励振周波数、すなわち飽和周波数を決定するための演算処理装置である。飽和領域における自励振周波数を決定するために、飽和振幅値演算処理装置111にて決定された飽和領域1006と飽和領域1010に基づいて、飽和周波数が計測される。この決定された飽和周波数が駆動状態1002においてはF1、駆動状態1003においてはF2である。
第五番目として吸着質量演算処理装置117について説明する。この吸着質量演算処理装置117は、滑り波型圧電共振子101の感応膜に吸着する微少質量を決定するための装置である。吸着する微少質量を決定するために、粘性率演算装置114にて決定された駆動状態1002での粘性率ηS1、駆動状態1003での粘性率ηS2と、(1)式と(2)式をもちいて、吸着質量が決定される。この決定された吸着質量が駆動状態1002においてはΔm1、駆動状態1003においてはΔm2である。この時、粘性率と同様にΔm1とΔm2に差があれば、浸漬溶液と滑り波型圧電共振子101の感応膜が反応する事によって、吸着量が変化した事にほかならない。この決定された吸着量または粘性量の変化量が、吸着質量出力装置118によって出力される。
以上の演算処理は時刻T1と時刻T2の二時点で間欠駆動を行う演算処理を中心に説明したが、二時点ではなく、さらに数多くの時点で間欠駆動を行う事によって、吸着質量及び粘性率の時系列的変化が測定できる事はいうまでもない。通常、図10における自励振波形の振幅及び周波数が飽和する時間は数10mS(ミリ秒)以下である。それゆえ間欠駆動の時間間隔は数百mS程度まで短縮する事は可能である。さらに、滑り波型圧電共振子の感応膜と浸漬溶液との反応時間(吸着時間)はこの間欠駆動の時間間隔に比較して非常におそい。それゆえ、間欠駆動の時間間隔をある程度狭める事によって、ほぼ連続的な変化が測定できる。また、負性抵抗曲線を負性抵抗可変装置108にて変化させる機能を付加させる事によって、自由に粘性率の検出感度を選択できるので、浸漬溶液の種類によらず高感度の粘性率の検出ができ、その結果、吸着する微小質量の高感度検出が実現できる。
本発明の効果を示す図11は前述のとおり、ATカット水晶振動子を用いたQCM型バイオセンサを用いた結果であるが、より、自励振周波数が高い水晶単結晶を用いた滑り波型弾性表面波共振子(SH波水晶SAW共振子)を用いる事によって、さらに高感度なセンサシステムが実現できる事になる。このSH波水晶SAW共振子を用いる場合、その振動モードが水晶表面に局在する滑り波モードとなる事で、先に説明した(1)〜(4)式をそのまま用いる事はできないが、間欠駆動型自励振回路から得られる起動時間を用いる事によって、高精度、高感度の粘性率が測定できる事に変わりはない。
本発明に係るバイオセンサ計測システムの構成を示すブロック図 圧電共振子を用いた自励振回路に関する電気的等価回路を示す回路図 本発明に係る負性抵抗と自励振電流の振幅値i0の関係を示した特性図 本発明に係る起動特性の定性的な特性図 本発明に係る起動特性を計算するための負性抵抗曲線図 本発明に係る起動時間Trと等価抵抗値Rmの関係を示す特性図 振幅飽和値imと等価抵抗値Rmの関係を示す特性図 本発明に係る自励振回路の実施例 本発明に係る自励振回路の他の実施例 本発明に係る起動特性測定装置にて測定された自励振波形と駆動電圧波形 の特性図 本発明の効果を示す特性図 ATカット水晶振動子を用いたQCM型バイオセンサに概略図 従来の他励振法によるセンシングシステムを説明するための概念図 従来の自励振によるセンシングシステムを説明するための概念図
符号の説明
101:滑り波型圧電共振子
102:試料溶液
103:溶液層
104:反転増幅回路
105:自励振回路
106:電源
107:間欠駆動回路
108:負性抵抗可変装置
109:起動特性測定装置
110:粘性率演算処理装置
111:飽和振幅値演算処理装置
112:起動時間演算処理装置
113:等価抵抗値演算処理装置
114:粘性率演算装置
115:飽和周波数演算処理装置
116:粘性率出力装置
117:吸着質量演算処理装置
118:吸着質量出力装置

Claims (10)

  1. 試料溶液中の特定物質を吸着する感応膜が形成された励振電極を有する滑り波型圧電共振子と、該滑り波型圧電共振子に接続された反転増幅回路とからなる自励振回路を用いて、前記感応膜に吸着される微量質量を測定するバイオセンサ計測システムにおいて、
    前記自励振回路を間欠駆動させて自励振動の振幅値と周波数値に係わる起動特性を測定する起動特性測定部と、
    測定された前記起動特性のうちの振幅特性から前記自励振回路が起動してから所定の振幅値に達するまでの起動時間を算出し、算出した値を用いて前記試料溶液の粘性率を演算する粘性率演算処理部と、
    測定された前記起動特性のうちの周波数特性から前記自励振回路の波形振幅が飽和する時点での周波数値を検出し、検出した前記周波数値と演算して得られた前記粘性率とを用いて前記感応膜に吸着される前記微量質量値を算出する吸着質量演算処理部と、
    からなることを特徴とするバイオセンサ計測システム。
  2. 前記粘性率演算処理部は、測定された前記起動特性のうちの振幅特性から前記振幅が飽和した時点での飽和振幅値を算出する飽和振幅値演算処理部と、前記自励振回路が起動してから該飽和振幅値よりも小さい所定の振幅値に達するまでの起動時間を算出する起動時間演算処理部と、算出された前記起動時間の値を用いて前記滑り波型圧電共振子の等価抵抗値を算出する等価抵抗値演算処理部と、算出された前記等価抵抗値を用いて前記試料溶液の粘性率を演算する粘性率演算部と、からなることを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ計測システム。
  3. 前記所定の振幅値は、振幅値の時間微分値が最大値となる振幅値である事を特徴とする請求項2に記載のバイオセンサ計測システム。
  4. 前記所定の振幅値は、前記飽和振幅値の半分の値となる振幅値である事を特徴とする請求項2に記載のバイオセンサ計測システム。
  5. 前記自励振回路に接続され、前記試料溶液の前記粘性率に対応するように負性抵抗値が変化する負性抵抗可変装置を更に有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のバイオセンサ計測システム。
  6. 前記滑り波型圧電共振子は、水晶単結晶を用いたATカット型共振子であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のバイオセンサ計測システム。
  7. 前記滑り波型圧電共振子は、水晶単結晶を用いた滑り波型弾性表面波共振子であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のバイオセンサ計測システム。
  8. 試料溶液の粘性率を測定する粘性率測定方法であって、
    滑り波型圧電共振子を試料溶液中で自励振動させ、間欠駆動させて得られる前記自励振動の振幅値と周波数値に係わる起動特性を測定する第1のステップと、
    測定された前記起動特性のうちの振幅特性から前記自励振動が起動してから所定の振幅値に達するまでの起動時間を測定する第2のステップと、
    測定された前記起動時間の値と、事前に求めた前記滑り波型圧電共振子の等価抵抗値とを用いて演算することにより前記試料溶液の粘性率を算出して測定する第3のステップと、
    からなることを特徴とする粘性率測定方法。
  9. 試料溶液中の特定物質を吸着する感応膜が形成された励振電極を有する滑り波型圧電共振子の前記感応膜に吸着される微量質量を測定する微量質量測定方法であって、
    滑り波型圧電共振子を前記試料溶液中で自励振動させ、間欠駆動させて得られる前記自励振動の振幅値と周波数値に係わる起動特性を測定するステップと、
    測定された前記起動特性のうちの振幅特性から前記自励振動が起動してから所定の振幅値に達するまでの起動時間を測定し、測定した前記起動時間の値を用いて前記試料溶液の粘性率を演算するステップと、
    測定された前記起動特性のうちの周波数特性から前記自励振動の波形振幅が飽和する時点での周波数値を検出し、検出した前記周波数値と演算して得られた前記粘性率とを用いて前記感応膜に吸着される前記微量質量値を算出して測定するステップと、
    からなることを特徴とする微量質量測定方法。
  10. 試料溶液の粘性率を演算する前記ステップは、測定された前記起動特性のうちの振幅特性から前記自励振動が起動してから所定の振幅値に達するまでの起動時間を測定する第1のステップと、測定された前記起動時間の値と、事前に求めた前記滑り波型圧電共振子の等価抵抗値とを用いて演算することにより前記試料溶液の粘性率を算出して測定する第2のステップと、からなることを特徴とする請求項9に記載の微量質量測定方法。
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