JP4387896B2 - Qcmセンサおよびqcmセンサによる測定方法 - Google Patents

Qcmセンサおよびqcmセンサによる測定方法 Download PDF

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本発明は、水晶振動子の電極表面を試料ガスや試料溶液に晒したときの水晶振動子の共振周波数やインピーダンスあるいは発振周波数などの電気的特性の変化から試料成分の検知・定量等を行うQCM(Quartz Crystal Microbalance)センサ、およびQCMセンサによる測定方法に関する。
水晶振動子の振動部分を化学的あるいは物理的に処理して、その処理した表面が大気中あるいは溶液中に微量に存在する物質と化学的あるいは物理的に反応(吸脱着・化学反応等)することにより、水晶振動部分の表面処理物の重量が変化し、結果として水晶振動子の振動周波数あるいはインピーダンスが変化することにより、物質存在の有無あるいは存在物質の定量を行うセンサデバイスは種々提案されている。
例えば、水晶振動子と抗原抗体反応を組み合わせて、抗原と抗体が反応したとき、互いに結合して凝集し、その沈殿物が水晶振動子の表面に堆積することにより、水晶振動子の周波数が変化して硝化細菌の検出を行った研究がある。硝化細菌以外の菌体に対しては応答が認められず、目的の細菌を特異的に検出できたと報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
さらに、上記の抗原抗体反応を利用した水晶振動子バイオセンサとして、病原性微生物の検知および濃度を測定する方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この方法は、あらかじめ発振周波数を測定しておいた水晶振動子バイオセンサを微生物懸濁液に浸漬して、抗原抗体反応を行わせた後、再び周波数を測定し、この周波数の変化から、あらかじめ求めておいた検量に従い、微生物濃度を求める方法である。
他の、水晶振動子バイオセンサとして、水晶振動子表面に固定化した物質と個々の測定対象物間の吸着力の差を利用し、生体関連物質の成分を分析する方法が提案されている。さらに、複数の水晶振動子のうち、一つが固定化された物質を持たない水晶振動子をブランクにして溶液の伝導率や温度の影響による周波数のずれを取り除いている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
また、水晶振動子を用いた培養動物細胞の増殖モニタリングが報告されている。(例えば、非特許文献2参照)。この増殖モニタリングの培地を利用して、環境ホルモンの検出を行っている。水晶振動子上にMCF−7細胞を培養した培地を作り、17βエストラジオールおよびビスフェノールAを加えた場合と、何も加えないフリーの培地では、前者環境ホルモンを加えた培地の水晶振動子にはそれぞれ周波数変化が認められたが、フリーの培地を持つ水晶振動子は測定期間中大きな周波数変化は認められなかった。このように培養技術にも利用されている(例えば、非特許文献3参照)。
さらに、水晶振動子の振動部分に何もつけないで、振動部分の表面での分子の吸脱着をマイクロバランスとして使用するセンサデバイスも提案されている。この場合の主なる用途としては、溶液中での電気化学的挙動の解明に利用されており、たとえば電気鍍金液中における銅の析出溶解プロセスの解明、鍍金モニターへの応用、アルミ皮膜の生成過程の評価等に利用されている。
上記の技術は水晶振動子の周波数やインピーダンス変化量から化学反応を重量で捕えるマイクロバランスセンサデバイスとしての応用技術である。
一方、化学反応が生ずる場合、物質の状態変化に伴い熱の吸収あるいは熱の発生が起こることが知られている。この熱エネルギーを計測することにより、物質の状態変化あるいは反応エネルギーを算出する手法として利用されている。
熱エネルギーを計測して物質の状態変化あるいは化学反応を評価する手法には2つの方法がとられている。その一つとして熱測定がある。これは物理的、化学的状態変化に伴う熱量変化を定量的に評価する手法で、等温熱測定法であり、等温滴定型熱量計(ITC)がある。細胞や分子レベルでの生成熱を決定する場合やたんぱく質の変性評価等に利用されている。
もう一つの手法は、熱分析法で、熱の出入りを指標として物質変化あるいは化学反応による状態変化の性質を調べる手法である。具体的な測定方法としては示差走査熱量測定法(DSC)および定量示差熱分析法(DTA)がある。
いずれの測定手法にあっても温度センサを用いて温度を検出する手法である。温度センサとしてはベックマン温度計、熱電対、電気抵抗体、サーミスタが挙げられる。
遠藤英明等、平成11年度日本水産学会春季大会講演要旨集、1999,p.39 特開昭62−64934 特開昭63−11835 特開昭62−288546 特開昭62−288547 篠原寛明、Annual Report of the Okayama Foundation for Science and Technology,680(1997) 篠原寛明、Electrochemistry,67,No3(1999)
前記の従来技術に用いられている高周波用水晶振動子は主にATカット(1932年の古賀逸策氏、また1934年頃に、R.Bechmann氏などが発明)した水晶振動子であり、特に溶液に浸漬すると水晶振動子の周波数安定度は振動子と雰囲気の相互作用から溶液の粘度や温度の影響を受けて、周波数の安定性は低下する。そのため10-9(ナノオーダ)の微小質量の検出には測定雰囲気の温度制御をしなければならない。雰囲気(溶液)の温度制御系を具備した装置も市販されているが、高価で装置価格の大半がこの制御系で占めている。
また、従来使用されているATカット水晶振動子は周波数の温度特性が比較的優れており、電気化学・生化学分野でマイクロバランスとして多く使用されているが、そのQCM用のATカットの基本原理は(1)式に示すSauerbreyの理論に基づいたものである。
Figure 0004387896
f:水晶振動子の基本波の周波数、ρq:水晶の密度、d:水晶振動子の厚さ、S:水晶振動子の片方の主面の面積
しかし、電極厚みをパラメータとしたときの周波数−温度特性や溶液中の周波数−温度特性等は(1)式では説明が不十分であり、さらに、溶液中の周波数−温度特性や、面粗さを変えた湿度センサの研究においても(1)式では説明が不十分であることが実験によって証明されている。
本発明の目的は、上記の課題を解決したQCMセンサおよびQCMセンサによる測定方法を提供することにある。
本発明は、水晶振動子が試料の粘性雰囲気の媒質中で振動しており、その表面に微量物質が付着・結合することにより、前記水晶振動子中の弾性振動波が速度の変化と粘度の影響を受けることを考慮し、振動子に付着・結合する微量物質が水晶と一体化して振動を行うという仮定の下で、拡張された弾性理論と電気的等価回路理論を用いて、それぞれから水晶振動子に微量物質が付着・結合するときの周波数変化Δfの要因は、微量物質の吸着量変化率Δm/mの他に、微量物質が付着・結合したQCM用水晶板の平均密度ρ’、圧電項を考慮した弾性定数C66’、水晶振動子板とガス・溶液(媒質)との間の粘度η’等の各変化率によって変化するものであり、このことを理論的、実験的に解明し、これを基にして前記の課題を解決したQCMセンサおよびQCMセンサによる測定方法を提案するもので、以下、本発明の原理的な説明とその検証実験を説明する。
(原理的説明)
(A)水晶の拡張された弾性理論
水晶振動子は、機械的・電気的振動が共存しており、カットの仕方によりその振動モードも変わり、解析が非常に難しい。今回用いたATカットの水晶振動子は、無限平板で主面に対して垂直の厚さ方向に平面波動が往来し、水晶の電気軸(X軸)方向に純粋厚みすべりモードで圧電的に弾性振動をしている。同時に、その中にはMaxwell equationに従う電磁振動も発生している。
図2は右手系の直交座標系と微量物質が付着・結合したATカット水晶振動子の振動状態での断面図を示している。右手座標系(0−x,y,z)の原点は図に示すようにATカット水晶振動子中心にある。x軸は振動子の中心線である。水晶板の厚さをdとして薄い電極はy=d/2とy=−d/2のところにある。微量物質は振動子表面に一様に付着・結合しているであろう。上下の主たる面は外部の負荷から自由であり、すべり変位は図2に示すようになる。
この水晶振動子が試料のニュートン流体中に置かれたときの振動挙動について、周りとの相互作用を考慮し、さらに水晶振動子中の弾性波の速度の変化を考慮できるニュートン流体中の運動方程式を適用する。そして適用するにあたり、以下の4つの仮定をする。
水晶振動子に微量物質が付着・結合する場合に、
1)ATカット水晶振動子表面に微量物質が一様に付着・結合して、さらに水晶がこの付着・結合物質と一体化して複合体として振動する。というのは水晶振動子の表面が適当に粗いので微量物質が水晶振動子の表面中にしっかり固定されるからである。
2)この微量物質が付着・結合した水晶振動子について水晶の電気的等価回路理論が適応できる。
3)物質が付着・結合したことに影響を受けて水晶の平均弾性定数、平均密度が変化する。
4)微量物質が付着・結合することによって生じる水晶振動子の質量変化や媒質の温度変化が原因となって生じる水晶振動子板と媒質との前記粘性抵抗変化が、水晶内部の分子間や水晶と微量物質間との摩擦抵抗変化よりも大きい。そして、この粘性抵抗は水晶振動子の振動の弾性波の速度に影響を及ぼす。
このような仮定を根元にして圧電効果を考慮した微量物質が付着・結合した水晶振動子の波動方程式が次のように得られる。ここで、その弾性波の速度の変化は、微量物質がその振動子に付着・結合したときのその平均密度と圧電効果を考慮した平均弾性定数の変化として現れる。つまり、微分方程式(2)式左辺の第1項に現れていることがわかる。
Figure 0004387896
66’:付着・結合物質とATカット水晶板の複合体の圧電項を考慮した平均せん断弾性定数
ρ’:付着・結合物質とATカット水晶振動子板の複合体の平均密度
η’:付着・結合物質と.ATカット水晶板の複合体と周辺媒質の間の粘性抵抗
t:時間
y:ATカット水晶板中で振動している注目粒子のy座標
u:厚みすべり振動モードのX軸方向の変位成分(表面で応力ゼロの境界条件を考慮)
ここで、X軸方向の変位成分uを次の(3)式のように仮定する。
Figure 0004387896
t:時間
0:最大振幅
α:減衰定数
ω:角周波数(ω=2πf,f:周波数)
k:波数(k=πq/d’)
q:高調波次数(1,3,5、…)
λ:波長(λ=2d’/q)
d’:付着・結合物質とATカット水晶板の複合体の平均厚さ
i:虚数単位(i=√−1)
そして(3)式を(2)式に代入して、圧電項を入れ、そして周囲の物性との相互作用および弾性波の速度の変化を考慮した、新しい周波数方程式(4)が次のように得られる。
Figure 0004387896
(B)水晶の電気的等価回路理論
微量物質がATカット水晶振動子に付着・結合したときに、その共振周波数のみならず各電気的等価回路定数も変化することが実験的に判明した。この実験事実を考慮して微量物質が付着・結合したATカット水晶振動子の共振周波数へ反映させるため、微量物質が付着・結合したATカット水晶振動子複合弾性体に拡張された水晶振動子の電気的等価回路モデルを適用した。
その電気的等価回路モデルは図3に示すことができる(下記の参考文献参照)。ここで、Raは損失エネルギーと関係がある等価直列抵抗、Laは運動エネルギーと関係がある等価直列インダクタンス、Caは弾性エネルギーと関係がある等価直列キャパシタンスをそれぞれ示している。C0’はその振動子に対して誘電体としての並列キャパシタンスを示す。
参考文献「Mitsuo Nakazawa:Analysis of Film Thickness Dependence on Electrical Ewuivalent Model for AT −cut Resonators,Proceedings of 1998 IEEE Ultrasonics Symposium,Vol.1,pp.925-930,1998.」
ここで、微量物質が付着・結合したATカット水晶振動子について弾性振動エネルギーと電気振動エネルギーをエネルギーの保存則を使って関係付けることによって電気的等価回路定数の物理的・理論的に考えると、次の(5)〜(8)式になる。
Figure 0004387896
eθ:付着・結合物質と水晶の複合体の圧電定数
S:水晶板の面積
εθ:付着・結合物質とATカット水晶の複合体の厚さ方向の誘電率
そしてこれらの電気的等価回路定数を用いて,この微量物質が付着・結合した水晶振動子の複合弾性体が共振回路として共振すること、および付着・結合物質の影響によりエネルギーの損失は無視できないことを考慮して、La,Caの中にC0’の効果が入っている振動子の共振周波数を次の(9)式のように得ることができる。
Figure 0004387896
これが、微量物質が付着・結合したATカット水晶振動子について電気的等価回路理論から導いた周波数方程式である。
(C)水晶振動子センサのQ値
上記の電気的等価回路理論から求めた(5)〜(8)式と(9)式を用いて(4)式と比較すると、電気的等価回路のQ値(Quality Value)の式(10)として求まる。
Figure 0004387896
m:付着・結合物質とATカット水晶振動子の複合体の質量(m=ρ'Sd')
66,C44,C14:圧電項を考慮した、水晶板の基本弾性定数
θ:ATカット水晶板の板面法線方位と水晶の光軸とのなす角度(θ=54°45′ for AT−Cut)
この式は微量物質が付着・結合したATカット水晶振動子の複合弾性体が弾性振動を行うときのQ値が、水晶振動子の質量、平均密度、圧電項を考慮した平均弾性定数、粘度によって表されることを示している。
(D)水晶振動子の共振周波数の変化と物性の変化の対応(周波数方程式と等価回路定数の方程式の比較)
前記水晶振動子の等価回路定数の変化量から共振周波数の変化量を求める。式(9)からLa,Ca,Q値の変化量を用いて周波数の変化量の方程式が次の式(11)として得られる。
Figure 0004387896
ここで、各電気的等価回路定数の変化量は式(5)〜(8)、(11)式から、次の(12)〜(16)式のように得られる。ただし、Sとεθの変化は微小であり、無視した。
Figure 0004387896
このように、電気的等価回路定数とQ値の変化量は、微量物質が付着・結合した水晶振動子についてその複合弾性体の質量、平均密度、平均弾性定数(圧電効果を考慮した)の変化率の関数としてあらわすことができる。同様に、(12)〜(16)式と(9)式を使って次の(17)式のような周波数変化量の理論値を得ることができる。
Figure 0004387896
つまり(17)式から微量物質が付着・結合した水晶振動子の周波数変化量はその振動子について物質が付着・結合したことによって生じた物性の総合的な変化量をあらわしていることが確認できる。
ここで、従来の理論についてはこの(17)式に次のような仮定をおくことによって説明できる。従来のSauerbreyが考えた理論のように、密度・弾性定数の変化がなく、さらにQ値が大きいならば、(17)式の右辺の第2項以降は無視できるので、(17)式の右辺は第1項だけになる。これはSauerbrey の式に他ならない。よって、(17)式は、従来のSauerbreyの理論式を包括し、さらに拡張した新しい周波数変化量を与える式であることが判る。
以上の説明から明らかなように、ATカット水晶振動子の周波数変化Δfの要因は、微量物質の吸着量の変化率Δm/mの他に、微量物質が付着・結合したATカット水晶振動子の平均密度ρ’、圧電項を考えた弾性定数C66’、水晶振動子板と溶液の間の粘度η’の各変化率によって構成されていることが解明された。
(E)変換係数の決定
前記の式(9)と式(12)〜(16)の関係から求めた式(17)の各項目について、水晶振動子の等価回路定数から平均質量m、平均粘度η’、平均密度ρ’、平均弾性定数C66’の各変化率Δm/m、η'/η、ρ'/ρ、ΔC66'/C66’は水晶振動子の複合電気的等価回路モデルから厳密にはそれぞれ計算できるが、実際の測定値との比較を考えた場合、近似的に求め、それぞれに変換係数aijを付ける必要があり、それらを次に式(18)〜(21)で示す。
Figure 0004387896
ただし、
a11,a12,a21,a22,a23、a31,a32,a41,a42=変換係数(aij)
L11=前記QCMセンサによって測定された周囲の試料溶液、あるいは周囲の試料ガスと相互作用したときの前記センサの複合電気的等価回路モデルの直列インダクタンス変化率の温度特性関数。
L22=前記QCMセンサによって測定された周囲の試料溶液、あるいは周囲の試料ガスと相互作用したときの前記センサの複合電気的等価回路モデルの直列キャパシタンス変化率の温度特性関数。
L33=前記QCMセンサによって測定された周囲の試料溶液、あるいは周囲の試料ガスと相互作用したときの前記センサの複合電気的等価回路モデルの直列抵抗変化率の温度特性関数。
上記の変換係数aijは何に影響を受けるのか物理的、化学的、生化学的に検討して決定される。例えば、純水を試料溶液として使用した場合の測定結果についてそれぞれの係数を決めることができる。化学便覧のデータ集に比較するものが無い場合は数値計算を行って、前記の図3の複合電気的等価回路モデルの理論に従って、かつ式(17)に記載された周波数方程式で与えられた周波数の測定値に近いものを見つけ出すことができる。
これらの定数値と等価回路定数の測定値から温度25℃に対する変化率の近似曲線を求め、そこから得られた等価回路定数をそれぞれ(18)〜(21)式に代入して物性値を求めた。
それらの結果の一例として、図4に粘度の変化率の温度特性を示す。さらに、それらの物性値を代入して周波数変化を求めた結果を図5に示す。これらの図に示すように、(17)式から求めた周波数の理論値がより測定値に近いものを得ることができた。
(17)式は温度一定のみならず温度変化がある場合においても周波数特性を説明できる式になる。そして(17)式から得られる周波数が測定値と一致するためにはこれら前記の変換係数aijの決定がその決め手となる。
(検証実験)
前記の拡張された弾性理論と電気的等価回路理論を基にした水晶振動子のふるまいを検証するための実験を行った。
(A)サンプル
今回用いたのは公称共振周波数6MHzATカット水晶振動子である。形状を図6に示す。サイズは25mmφ、電極はAuをスパッタリングしてある。面粗さは#3000である。
(B)実験方法
・大気中の温度特性
水晶振動子を可変温槽の中に入れて、まず温度を−30℃または−20℃まで下げてから行なった。その後、温度を100℃まで上げていきそのときの共振周波数および電気的等価回路定数をネットワークアナライザで測定した。パソコンをコントローラとして可変温槽の温度とネットワークアナライザはGP−IBにより接続・制御した。温度と各測定データは自動的にパソコンに転送した。
・溶液中の温度特性。
図7に示すように、水晶振動子を純水を入れたビーカーの中に入れて固定し、そのまま恒温水槽の中に入れて常温から70℃くらいまで温度を上げていき、共振周波数および電気的等価回路をネットワークアナライザで測定した。温度測定にはディジタルサーモメータを用いた。測定システムはネットワークアテライザをコントローラとしたGP−IB接続・制御である。スクロース水溶液の場合も同様に行った。
(C)測定結果
共振周波数と各電気的等価回路定数の測定結果を図8〜図13に示す。それぞれ25℃の測定値を基準とした変化率であらわしてある。
図8は大気中と純水中での水晶振動子のfr(位相ゼロを与える直列共振周波数)の変化率の温度特性である。純水中では温度が上がるとfrも高くなること、大気中よりも変化が大きいことがわかる。
図9は同様に大気中と純水中と30wt%スクロース水溶液中のfs(水晶振動子のコンダクタンス最大Gmaxを与える共振周波数)の変化率の温度特性である。frと同様に温度が上がると高くなり、大気中に比べて純水中では変化率が大きくなった。そして、30wt%スクロース水溶液中では純水中よりも大きくなった。なお、frの30wt%スクロース水溶液中での値がないのはその溶液では35℃以下ではゼロ位相の測定が不可能だったためである。さらに、大気中ではfrもfsもよく重なる温度特性を示すが、水溶液中では明らかにfsの変化が大きくなった。
図10〜図13は大気中と純水中と30wt%スクロース水溶液中での水晶振動子の等価回路定数La,Ca,RaとQ値の変化率の各温度特性をそれぞれ示す。Ra,Q値の大気中での揺らぎは大きいが平均するとどれも大気中よりも溶液中の方が変化が大きかった。溶液中のQ値は温度に対して直線的に変化した。LaとRaは温度が高くなると減少し、Caは温度が高くなると増加した。そして、LaもCaもRaも変化率の変化が一番大きいのは30wt%スクロース水溶液であった。
(D)考察
従来の水晶振動子における質量負荷効果を表す(1)式は、溶液の温度が一定で微量質量Δmが付着・結合した場合において、さらに、Q値が大きく、水晶振動子の弾性波の速度が、付着・結合した微量物質に依存しないで一定であるという仮定のもとで成立する。しかし、溶液中で水晶振動子周辺の温度が微小に変化する場合、(1)式のΔmから周波数−温度特性を説明することができない。Δmが付着・結合すると水晶振動子の密度や弾性定数が影響を受け、さらには水晶振動子周辺媒質の粘度などにも影響を受ける。このことは各等価回路定数の温度特性の測定結果から推測されることである。それゆえこれらの温度効果も考慮しなければならないと考える。ここで求めた(9)、(12)〜(17)式は、上記の現象を説明する方程式である。
そこで、純水におけるLa,Ca,Ra,Q値の各測定値を周波数方程式(9)式に代入して計算した理論周波数fと従来の理論から測定されたfs,fm、frとの比較を行った。それを図14に示す。本理論周波数fと測定周波数fsは非常に近い値を示すことがわかった。さらに、30wt%スクロース水溶液についても等価回路定数の測定値を(9)式に代入して計算した本理論周波数fは従来の理論から推測された測定周波数fsと非常に近い値を示した。
このようにして溶液中での水晶振動子の共振周波数温度特性や各電気的等価回路定数温度特性の測定結果は前記の(9)、(12)〜(17)式の理論式による演算結果と非常に近い値が得られ、これら(9)、(12)〜(17)式の妥当性が証明された。また、これらの式が水晶振動子と付着・結合した微量物質の相互作用を表していることが確認された。
以上のことは水晶振動子化学センサを用いた微量質量検出のみならず、さらなる溶液物性のより深いセンシングの可能性を広げることができる。つまり、温度変化に対する純水と溶液のそれぞれに対する水晶振動子の特性の相対的変化を検証することにより、溶液固有の微細な温度特性を測定することが可能になる。さらに、溶液中のみならず、試料ガス中における物質のセンシングにも応用できる。 本発明は、上記の原理的な説明と検証等を基にして構成される、以下のQCMセンサ、およびこのQCMセンサによる測定方法を特徴とする。
(QCMセンサの発明)
(1)水晶振動子の主電極表面を試料ガス、あるいは試料溶液に晒したときに、水晶振動子の共振周波数やインピーダンスなどの電気的特性の変化から、あるいは水晶振動子の発振周波数の変化やインピーダンス等の電気的特性の変化から、試料ガス、あるいは試料溶液に含まれる試料成分や試料物性等を求めるQCMセンサであって、
前記水晶振動子の振動現象について、弾性力学的エネルギーと電気的等価回路モデルを基にした電気的エネルギーとの類推対応から、さらに力に対する電圧対応を基調にして、前記水晶振動子の弾性力学的損失エネルギーに対応する電気的損失エネルギーに関係する等価直列電気抵抗Raと、弾性力学的運動エネルギーに対応する電磁的エネルギーに関係する等価直列インダクタンスLaと、弾性力学的ポテンシャルエネルギーに対応する電気的静電エネルギーに関係する等価直列キャパシタンスCaと、さらにこれらの等価直列回路Ra,La,Caに並列に存在する誘電体としての等価並列キャパシタンスC0’からなる4素子を前記水晶振動子が前記試料ガスまたは試料溶液と相互作用した結果として発現された等価回路定数としておく手段と、
前記水晶振動子のRa,La,Ca,C0’と性能指数Q値が、前記試料ガス、または試料溶液との相互作用の結果、それぞれの変化率ΔRa/Ra、ΔLa/La、ΔCa/Ca、ΔC0’/C0’、ΔQ/Qが与えられたとき、これらを前記水晶振動子の粘度η’の変化率Δη’/η’、同様に前記水晶振動子の弾性力学的平均密度ρ’の変化率Δρ’/ρ’、同様に前記水晶振動子の弾性力学的質量mの変化率Δm/m、同様に前記水晶振動子の圧電項を考慮した弾性力学的弾性定数C66’の変化率ΔC66’/C66’等の関係で定めておく手段と、
前記水晶振動子の電気的等価回路定数とQ値の各変化率ΔRa/Ra、ΔLa/La、ΔCa/Ca、ΔC0’/C0’、ΔQ/Qの測定値と前記の関係から定まる変化率Δη’/η’および弾性力学的諸量の各変化率Δρ’/ρ’、Δm/m、ΔC66’/C66’の少なくとも一つを求める手段、または変化率Δη’/η’、Δρ’/ρ’、Δm/m、ΔC66’/C66’のすべてを同時に求める手段とを備えたことを特徴とする。
(2)前記水晶振動子の電気的等価回路定数とQ値と各変化率ΔRa/Ra、ΔLa/La、ΔCa/Ca、ΔC0’/C0’、ΔQ/Qの温度特性を求めておき、前記水晶振動子の変化率Δη’/η’および弾性力学的諸量の各変化率Δρ’/ρ’、Δm/m、ΔC66’/C66’の少なくとも一つを前記温度特性で補正して真値を求める手段、または前記各変化率Δη’/η’、Δρ’/ρ’、Δm/m、ΔC66’/C66’のすべてを前記温度特性で補正して真値を求める手段を備えたことを特徴とする。
(3)水晶振動子の主電極表面を試料ガス、あるいは試料溶液に晒したときの相互作用の結果、前記粘度η’の変化率Δη’/η’、同様に前記水晶振動子の弾性力学的平均密度ρ’の変化率Δρ’/ρ’、同様に前記水晶振動子の弾性力学的質量mの変化率Δm/m、同様に前記水晶振動子の圧電項を考慮した弾性力学的弾性定数C66’の変化率ΔC66’/C66’等の効果が発生した時、前記水晶振動子の共振周波数、あるいは発振周波数fの変化量Δfは、以下の演算式、
Δf=−f・Δm/m+f/2{Δρ’/ρ’+ΔC66’/C66’+1/(2Q2)・[(Δm/m−(Δρ’/ρ’)/2+(ΔC66’/C66’)/2−Δη’/η’]}
から求める手段を備えたことを特徴とする。
(4)前記水晶振動子の粘度変化率Δη’/η’、同様に弾性力学的諸量の平均密度変化率Δρ’/ρ’、同様に質量変化率Δm/m、同様に圧電項を考慮した弾性定数変化率ΔC66’/C66’等は過度現象として時間tの変化に従ってそれぞれの振幅Biと反応速度定数ki(i=1,2,3,4)として相異なる指数関数Bi(1−exp(−kit))で与え、または、前記振幅Biと反応速度定数kiの値は、それぞれ試料ガス、または試料溶液に固有な値で与え、これら振幅Biおよび反応速度定数kiを基に前記水晶振動子の各定数の変化率の時間変化に対する過渡現象的推移分を含めた測定を行うことを特徴とする。
(QCMセンサによる測定方法の発明)
(5)水晶振動子の主電極表面を試料ガス、あるいは試料溶液に晒したときに、水晶振動子の共振周波数やインピーダンス等の電気的特性の変化から前記試料ガス、あるいは試料溶液に含まれる試料成分あるいは試料物性を求めるQCMセンサによる測定方法であって、
前記水晶振動子の振動現象について、弾性力学的エネルギーと電気的等価回路モデルを基にした電気的エネルギーとの類推対応から、さらに力に対する電圧対応を基調にして、前記水晶振動子の弾性力学的損失エネルギーに対応する電気的損失エネルギーに関係する等価直列電気抵抗Raと、弾性力学的運動エネルギーに対応する電磁的エネルギーに関係する等価直列インダクタンスLaと、弾性力学的ポテンシャルエネルギーに対応する電気的静電エネルギーに関係する等価直列キャパシタンスCaと、さらにこれらの等価直列回路Ra,La,Caに並列に存在する誘電体としての等価並列キャパシタンスC0’からなる4素子を前記水晶振動子が前記試料ガスまたは試料溶液と相互作用した結果として発現された等価回路定数としておく過程と、
前記水晶振動子のRa,La,Ca,C0’と性能指数Q値が、前記試料ガス、または試料溶液との相互作用の結果、それぞれの変化率ΔRa/Ra、ΔLa/La、ΔCa/Ca、ΔC0’/C0’、ΔQ/Qが与えられたとき、これらを前記水晶振動子の粘度η’の変化率Δη’/η’、同様に前記水晶振動子の弾性力学的平均密度ρ’の変化率Δρ’/ρ’、同様に前記水晶振動子の弾性力学的質量mの変化率Δm/m、同様に前記水晶振動子の圧電項を考慮した弾性力学的弾性定数C66’の変化率ΔC66’/C66’等の関係で定めておく過程と、
前記水晶振動子の電気的等価回路定数とQ値と各変化率ΔRa/Ra、ΔLa/La、ΔCa/Ca、ΔC0’/C0’、ΔQ/Qの測定値と前記の関係から定まる変化率Δη’/η’および弾性力学的諸量の各変化率Δρ’/ρ’、Δm/m、ΔC66’/C66’の少なくとも一つを求める過程、または変化率Δη’/η’、Δρ’/ρ’、Δm/m、ΔC66’/C66’のすべてを同時に求める過程とを有することを特徴とする。
(6)前記水晶振動子の電気的等価回路定数とQ値と各変化率ΔRa/Ra、ΔLa/La、ΔCa/Ca、ΔC0’/C0’、ΔQ/Qの温度特性を求めておき、前記水晶振動子の各変化率Δη’/η’、Δρ’/ρ’、Δm/m、ΔC66’/C66’の少なくとも一つを前記温度特性で補正して真値を求める過程、または前記変化率Δη’/η’、Δρ’/ρ’、Δm/m、ΔC66’/C66’のすべてを前記温度特性で補正して真値を求める過程を有することを特徴とする。
以上のとおり、本発明によれば、拡張された弾性理論と電気的等価回路理論を用いてそれぞれから水晶振動子に微量物質が付着・結合するときの周波数変化Δfの要因は、微量物質の吸着量Δmの他に、微量物質が付着・結合したATカット水晶板の平均密度ρ’、圧電項を考慮した弾性定数C66’、水晶板と溶液との間の粘度η’等の各変化率から構成されていることが解明され、これを基にして微量物質等の検知・定量を行うようにしたため、測定精度を高め、さらに微量物質の測定に限らず、粘度や温度などに測定対象を拡張したQCMセンサを実現できる。
図1(a)は、本発明の実施形態を示すQCMセンサであり、溶液中におけるATカット水晶振動子の共振周波数の変化Δfから微量物質Δmを検出・定量するQCMセンサの場合である。
測定容器1は、底部から電極接触ピン2A,2Bを突出させて水晶振動子3と電気的接続とその支持ができ、内部に試料溶液を溜めることができる構造にされる。水晶振動子3は、測定容器1内に載置され、その表裏面に形成された電極3A,3Bのリード電極で電極接触ピン2A,2Bに電気的な接触を得る。測定容器1は、側部にディジタルサーモメータ4の感温素子(サーミスタなど)4Aを突出させ、試料溶液の温度Tを測定可能にする。また、測定容器1の底面には電極接触ピン2A,2Bの端子が引き出され、これら端子には発振器5が接続されて水晶振動子3の励起によって発振させ、発振周波数fの出力を得る。カウンタ6は、発振器5の発振周波数fを計数し、その周波数fに比例したディジタルデータ(発振周波数データ)を得る。
ディジタル演算器7は、ディジタル演算により微量質量Δmを求める制御用コンピュータとそのソフトウェアで構成し、入力データとしてはディジタルサーモメータ4の出力になる温度Tのディジタル信号と、カウンタ6でディジタルデータに変換した発振器5の発振周波数データfを取り込む。ディジタル演算器7は、これら計測入力を基に、前記の式(17)のディジタル演算を行い、微量質量Δmを求める。
このディジタル演算器7による式(17)のディジタル演算に必要な各定数は予め設定入力しておく。これら設定入力は、前記の(18)〜(21)式における変換係数aijと、図3の等価回路定数になる水晶振動子の共振周波数付近での直列インダクタンスLa、直列キャパシタンスCa、直列抵抗Ra、並列キャパシタンスC0’になる。
以上の構成による微量物質Δmの検知・定量には、測定容器1内に水晶振動子3を載置または固定し、試料溶液を流し込み又は滴下し、発振器5を発振動作させる。この発振動作による発振周波数fをカウンタ6で計数し、ディジタル演算器7はカウンタ6の計数値(ディジタルデータ)fおよびその入力が微量物質Δmの変化によってf1からf2に変化したときのΔfの演算と、(10)式のQ値の演算を含めて前記の(17)式の演算を行い、微量物質Δmを検知・定量する。
この検知・定量に際して、ディジタル演算器7は、ディジタルサーモメータ4の温度データTの入力から、温度による補正を行う。この補正は、前記の図4のような温度特性をデータとして予め入力しておく。
なお、本実施形態は、試料溶液に含まれる微量物質Δmを検知・定量する場合を示すが、測定容器1内に試料ガスを充填する装置構成とすることで、試料ガスに含まれる微量物質Δmを検知・定量するQCMセンサとして構成できる。この場合は、測定容器1を密閉型に構成し、容器内に試料ガスを注入する構造で済む。
また、(17)式でのパラメータになる粘度、密度、弾性定数、Q値、温度Tのいずれかを測定対象項目とし、他のパラメータを一定に保持する装置構成によって、粘度、密度、弾性定数、Q値、温度の変化量を基にした試料の粘度、密度、温度、面粗さなどを計測するQCMセンサとして置換構成できる。
図1(b)は、本発明の他の実施形態を示すQCMセンサであり、溶液中におけるATカット水晶振動子の共振周波数またはインピーダンスの変化から、水晶振動子の粘度η’の変化率Δη’/η’、水晶振動子の弾性力学的平均密度ρ’の変化率Δρ’/ρ’、水晶振動子の弾性力学的質量mの変化率Δm/m、水晶振動子の圧電項を考慮した弾性力学的弾性定数C66’の変化率ΔC66’/C66’、水晶振動子の周波数の変化率Δf/fのうちの、いずれか一つの変化率あるいは全ての変化率を求めるQCMセンサの構成図である。
図1(b)の構成は、図1(a)の発振器5に代えてネットワークアナライザ(またはインピーダンスアナライザ)8を使用し、水晶振動子3の周波数分析(またはインピーダンス分析)を行う。また、図1(a)のディジタル演算器7に代えたパソコン9は、ネットワークアナライザ8の分析結果とディジタルサーモメータ4の検出温度Tおよび水晶振動子の弾性力学的損失エネルギーに対応する等価直列電気抵抗Raと、弾性力学的運動エネルギーに対応する等価直列インダクタンスLaと、弾性力学的ポテンシャルエネルギーに対応する等価直列キャパシタンスCaと、さらにこの等価直列回路Ra,La,Caに並列に存在する誘電体としての等価並列キャパシタンスC0’が予め与えられ、変化率Δη’/η’、Δρ’/ρ’、Δm/m、ΔC66’/C66’、Δf/fのうちの、いずれか一つの変化率あるいは全ての変化率を求める。
本発明の実施形態例を示すQCMセンサの構成図。 本発明の他の実施形態例を示すQCMセンサの構成図。 微量物質が付着・結合して振動している状態の薄いATカット水晶振動子の断面図。 微量物質が付着・結合した薄いATカット水晶振動子の複合電気的等価回路モデル。 純水中の粘度変化率の温度特性の例。 純水中の周波数変化率−温度特性(理論値と測定値の比較)の例。 6MHzATカット水晶振動子の構成例。 測定システムの例。 位相ゼロの共振周波数変化率Δfr/frの温度特性の例。 直列共振周波数の変化率Δfs/fsの温度特性の例。 直列インダクタンスの変化率ΔLa/Laの温度特性の例。 直列キャパシタンスの変化率ΔCa/Caの温度特性の例。 直列抵抗の変化率ΔRa/Raの温度特性の例。 Q値の変化率ΔQ/Qの温度特性の例。 測定値fr,fm,fsに対する理論周波数fの温度特性の比較例。
符号の説明
1 測定容器
3 水晶振動子
3A,3B 電極
4 ディジタルサーモメータ
4A 感温素子
5 発振器
6 カウンタ
7 ディジタル演算器
8 ネットワークアナライザ(インピーダンスアナライザ)
9 パソコン

Claims (6)

  1. 水晶振動子の主電極表面を試料ガス、あるいは試料溶液に晒したときに、水晶振動子の共振周波数やインピーダンスなどの電気的特性の変化から、あるいは水晶振動子の発振周波数の変化やインピーダンス等の電気的特性の変化から、試料ガス、あるいは試料溶液に含まれる試料成分や試料物性等を求めるQCMセンサであって、
    前記水晶振動子の振動現象について、弾性力学的エネルギーと電気的等価回路モデルを基にした電気的エネルギーとの類推対応から、さらに力に対する電圧対応を基調にして、前記水晶振動子の弾性力学的損失エネルギーに対応する電気的損失エネルギーに関係する等価直列電気抵抗Raと、弾性力学的運動エネルギーに対応する電磁的エネルギーに関係する等価直列インダクタンスLaと、弾性力学的ポテンシャルエネルギーに対応する電気的静電エネルギーに関係する等価直列キャパシタンスCaと、さらにこれらの等価直列回路Ra,La,Caに並列に存在する誘電体としての等価並列キャパシタンスC0’からなる4素子を前記水晶振動子が前記試料ガスまたは試料溶液と相互作用した結果として発現された等価回路定数としておく手段と、
    前記水晶振動子のRa,La,Ca,C0’と性能指数Q値が、前記試料ガス、または試料溶液との相互作用の結果、それぞれの変化率ΔRa/Ra、ΔLa/La、ΔCa/Ca、ΔC0’/C0’、ΔQ/Qが与えられたとき、これらを前記水晶振動子の粘度η’の変化率Δη’/η’、同様に前記水晶振動子の弾性力学的平均密度ρ’の変化率Δρ’/ρ’、同様に前記水晶振動子の弾性力学的質量mの変化率Δm/m、同様に前記水晶振動子の圧電項を考慮した弾性力学的弾性定数C66’の変化率ΔC66’/C66’等の関係で定めておく手段と、
    前記水晶振動子の電気的等価回路定数とQ値の各変化率ΔRa/Ra、ΔLa/La、ΔCa/Ca、ΔC0’/C0’、ΔQ/Qの測定値と前記の関係から定まる変化率Δη’/η’および弾性力学的諸量の各変化率Δρ’/ρ’、Δm/m、ΔC66’/C66’の少なくとも一つを求める手段、または変化率Δη’/η’、Δρ’/ρ’、Δm/m、ΔC66’/C66’のすべてを同時に求める手段とを備えたことを特徴とするQCMセンサ。
  2. 前記水晶振動子の電気的等価回路定数とQ値と各変化率ΔRa/Ra、ΔLa/La、ΔCa/Ca、ΔC0’/C0’、ΔQ/Qの温度特性を求めておき、前記水晶振動子の変化率Δη’/η’および弾性力学的諸量の各変化率Δρ’/ρ’、Δm/m、ΔC66’/C66’の少なくとも一つを前記温度特性で補正して真値を求める手段、または前記各変化率Δη’/η’、Δρ’/ρ’、Δm/m、ΔC66’/C66’のすべてを前記温度特性で補正して真値を求める手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のQCMセンサ。
  3. 水晶振動子の主電極表面を試料ガス、あるいは試料溶液に晒したときの相互作用の結果、前記粘度η’の変化率Δη’/η’、同様に前記水晶振動子の弾性力学的平均密度ρ’の変化率Δρ’/ρ’、同様に前記水晶振動子の弾性力学的質量mの変化率Δm/m、同様に前記水晶振動子の圧電項を考慮した弾性力学的弾性定数C66’の変化率ΔC66’/C66’等の効果が発生した時、前記水晶振動子の共振周波数、あるいは発振周波数fの変化量Δfは、以下の演算式、
    Δf=−f・Δm/m+f/2{Δρ’/ρ’+ΔC66’/C66’+1/(2Q2)・[(Δm/m−(Δρ’/ρ’)/2+(ΔC66’/C66’)/2−Δη’/η’]}
    から求める手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のQCMセンサ。
  4. 前記水晶振動子の粘度変化率Δη’/η’、同様に弾性力学的諸量の平均密度変化率Δρ’/ρ’、同様に質量変化率Δm/m、同様に圧電項を考慮した弾性定数変化率ΔC66’/C66’等は過度現象として時間tの変化に従ってそれぞれの振幅Biと反応速度定数ki(i=1,2,3,4)として相異なる指数関数Bi(1−exp(−kit))で与え、または、前記振幅Biと反応速度定数kiの値は、それぞれ試料ガス、または試料溶液に固有な値で与え、これら振幅Biおよび反応速度定数kiを基に前記水晶振動子の各定数の変化率の時間変化に対する過渡現象的推移分を含めた測定を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のQCMセンサ。
  5. 水晶振動子の主電極表面を試料ガス、あるいは試料溶液に晒したときに、水晶振動子の共振周波数やインピーダンス等の電気的特性の変化から前記試料ガス、あるいは試料溶液に含まれる試料成分あるいは試料物性を求めるQCMセンサによる測定方法であって、
    前記水晶振動子の振動現象について、弾性力学的エネルギーと電気的等価回路モデルを基にした電気的エネルギーとの類推対応から、さらに力に対する電圧対応を基調にして、前記水晶振動子の弾性力学的損失エネルギーに対応する電気的損失エネルギーに関係する等価直列電気抵抗Raと、弾性力学的運動エネルギーに対応する電磁的エネルギーに関係する等価直列インダクタンスLaと、弾性力学的ポテンシャルエネルギーに対応する電気的静電エネルギーに関係する等価直列キャパシタンスCaと、さらにこれらの等価直列回路Ra,La,Caに並列に存在する誘電体としての等価並列キャパシタンスC0’からなる4素子を前記水晶振動子が前記試料ガスまたは試料溶液と相互作用した結果として発現された等価回路定数としておく過程と、
    前記水晶振動子のRa,La,Ca,C0’と性能指数Q値が、前記試料ガス、または試料溶液との相互作用の結果、それぞれの変化率ΔRa/Ra、ΔLa/La、ΔCa/Ca、ΔC0’/C0’、ΔQ/Qが与えられたとき、これらを前記水晶振動子の粘度η’の変化率Δη’/η’、同様に前記水晶振動子の弾性力学的平均密度ρ’の変化率Δρ’/ρ’、同様に前記水晶振動子の弾性力学的質量mの変化率Δm/m、同様に前記水晶振動子の圧電項を考慮した弾性力学的弾性定数C66’の変化率ΔC66’/C66’等の関係で定めておく過程と、
    前記水晶振動子の電気的等価回路定数とQ値と各変化率ΔRa/Ra、ΔLa/La、ΔCa/Ca、ΔC0’/C0’、ΔQ/Qの測定値と前記の関係から定まる変化率Δη’/η’および弾性力学的諸量の各変化率Δρ’/ρ’、Δm/m、ΔC66’/C66’の少なくとも一つを求める過程、または変化率Δη’/η’、Δρ’/ρ’、Δm/m、ΔC66’/C66’のすべてを同時に求める過程とを有することを特徴とするQCMセンサによる測定方法。
  6. 前記水晶振動子の電気的等価回路定数とQ値と各変化率ΔRa/Ra、ΔLa/La、ΔCa/Ca、ΔC0’/C0’、ΔQ/Qの温度特性を求めておき、前記水晶振動子の各変化率Δη’/η’、Δρ’/ρ’、Δm/m、ΔC66’/C66’の少なくとも一つを前記温度特性で補正して真値を求める過程、または前記変化率Δη’/η’、Δρ’/ρ’、Δm/m、ΔC66’/C66’のすべてを前記温度特性で補正して真値を求める過程を有することを特徴とする請求項5記載のQCMセンサによる測定方法。
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