JP2007091955A - 熱硬化性樹脂組成物および熱硬化性樹脂成形材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】ボイドが生じにくく、硬化速度が速い熱硬化性樹脂組成物および熱硬化性樹脂成形材料を提供する。
【解決手段】ベンゾオキサジン樹脂(a)、および、層状構造中に存在するカチオンを、アルミニウム、スカンジウム、錫、クロム、鉄、銅、チタンおよび水素から選ばれる元素より構成されるカチオンの一種以上でイオン交換したスメクタイト(b)を必須成分とする熱硬化性樹脂組成物。前記熱硬化性樹脂組成物と充填材とを含んでなる熱硬化性樹脂成形材料。
【選択図】なし
【解決手段】ベンゾオキサジン樹脂(a)、および、層状構造中に存在するカチオンを、アルミニウム、スカンジウム、錫、クロム、鉄、銅、チタンおよび水素から選ばれる元素より構成されるカチオンの一種以上でイオン交換したスメクタイト(b)を必須成分とする熱硬化性樹脂組成物。前記熱硬化性樹脂組成物と充填材とを含んでなる熱硬化性樹脂成形材料。
【選択図】なし
Description
本発明は、熱硬化性樹脂組成物および熱硬化性樹脂成形材料に関するものである。
従来より、汎用の熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂がある。フェノール樹脂は、耐熱性、機械的強度および電気特性等の種々の優れた特性を有しており、成形材料、積層板および接着剤等の種々の用途に使用されている。
フェノール樹脂には、硬化方法の異なるノボラック型フェノール樹脂とレゾール型樹脂とがあるが、どちらのフェノール樹脂の硬化においても、硬化時にガスが発生するため、硬化物にボイドが生じやすいという問題があった。
フェノール樹脂には、硬化方法の異なるノボラック型フェノール樹脂とレゾール型樹脂とがあるが、どちらのフェノール樹脂の硬化においても、硬化時にガスが発生するため、硬化物にボイドが生じやすいという問題があった。
これに対して、硬化時にガス発生のない、フェノール樹脂に類似した樹脂として、ジヒドロベンゾオキサジン構造をもつ樹脂が提案された(例えば、特許文献1参照。)しかし、この樹脂は、フェノール樹脂と比較して、硬化速度が遅いという問題がある。その為、成形品や積層板の生産に時間がかかることから、硬化速度が速く、生産時間が短縮する方法が強く望まれている。
これまで、ベンゾオキサジン樹脂の硬化速度を速くする方法として、有機酸の添加が提案されているが、効果として充分ではなかった。
本発明は、硬化速度が速く、硬化物中にボイドの生じにくい熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた熱硬化性樹脂成形材料を提供することを目的としたものである。
本発明は、
(1) ベンゾオキサジン樹脂(a)、および、スメクタイト(b)を含む熱硬化性樹脂組成物、
(2) 前記スメクタイト(b)は、予め、その層状構造中の層間に存在するカチオンを、アルミニウム、スカンジウム、錫、クロム、鉄、銅、チタンおよび水素から選ばれる元素より構成されるカチオンの1種以上でイオン交換したものである第1項記載の熱硬化性樹脂組成物、
(3) 前記スメクタイト(b)は、モンモリロナイトである第1項または第2項記載の熱硬化性樹脂組成物、
(4) ベンゾオキサジン樹脂(a)100重量部に対して、スメクタイト(b)が0.01重量部以上30重量部以下の割合で含有してなる第1項〜第3項のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物、
(5) 第1項〜第4項のいずれかに記載された熱硬化性樹脂組成物と充填材とを含んでなる熱硬化性樹脂成形材料、
を提供するものである。
(1) ベンゾオキサジン樹脂(a)、および、スメクタイト(b)を含む熱硬化性樹脂組成物、
(2) 前記スメクタイト(b)は、予め、その層状構造中の層間に存在するカチオンを、アルミニウム、スカンジウム、錫、クロム、鉄、銅、チタンおよび水素から選ばれる元素より構成されるカチオンの1種以上でイオン交換したものである第1項記載の熱硬化性樹脂組成物、
(3) 前記スメクタイト(b)は、モンモリロナイトである第1項または第2項記載の熱硬化性樹脂組成物、
(4) ベンゾオキサジン樹脂(a)100重量部に対して、スメクタイト(b)が0.01重量部以上30重量部以下の割合で含有してなる第1項〜第3項のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物、
(5) 第1項〜第4項のいずれかに記載された熱硬化性樹脂組成物と充填材とを含んでなる熱硬化性樹脂成形材料、
を提供するものである。
本発明よれば、硬化速度が速く、硬化物中にボイドの生じにくい熱硬化性樹脂組成物、並びに熱硬化性樹脂成形材料が得られ、これらは、自動車用部品、機構部品、電機・電子部品等の用途に好適である。
本発明は、ベンゾオキサジン樹脂(a)、および、スメクタイト(b)を含む熱硬化性樹脂組成物であり、このような成分とすることにより、ベンゾオキサジン樹脂(a)の硬化において、オキサジン環の開環反応を、スメクタイト(b)が促進することにより、硬化速度が速く、硬化物中にボイドの生じにくい熱硬化性樹脂組成物が得られるものである。
本発明に用いるベンゾオキサジン樹脂(a)としては、ジヒドロベンゾオキサジン環またはジヒドロナフトオキサジン環を1個または2個以上有する化合物であればよく、オキサジンモノマーであっても、オキサジンモノマーの重合によって得られる化合物でも良い。このようなオキサジンモノマーとしては、ビスフェノールA−アニリン型ベンゾオキサジン、ビスフェノールA−メチルアミン型ベンゾオキサジン、フェノール−アニリン型ベンゾオキサジン、ヒドロキノン−メチルアミン型ベンゾオキサジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン−アニリン型ナフトオキサジンおよび2,6−ジヒドロキシナフタレン−メチルアミン型ナフトオキサジンなどが挙げられる。
前記ベンゾオキサジン樹脂は、炭素環上の水酸基に対してオルト位に少なくとも一つの水素を有するフェノール性水酸基を有する化合物、アミノ基を有する化合物、およびホルムアルデヒドを反応させて得ることができる。
前記フェノール性水酸基を有する化合物と、アミノ基を有する化合物と、ホルムアルデヒドとの反応モル比としては、前記フェノール性水酸基を有する化合物におけるフェノール水酸基と、前記アミノ基を有する化合物におけるアミノ基と、ホルムアルデヒドとが、1:0.9〜1.1:1.8〜2.2の比率であることが望ましい。
前記フェノール性水酸基を有する化合物と、アミノ基を有する化合物と、ホルムアルデヒドとの反応モル比としては、前記フェノール性水酸基を有する化合物におけるフェノール水酸基と、前記アミノ基を有する化合物におけるアミノ基と、ホルムアルデヒドとが、1:0.9〜1.1:1.8〜2.2の比率であることが望ましい。
前記炭素環上の水酸基に対してオルト位に少なくとも一つの水素を有するフェノール性水酸基を有する化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、ヒドロキシナフタレン、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、4,4−メチレンビスフェノール、2,4−メチレンビスフェノール、2,2−メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)およびビフェノールなどのフェノール化合物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノール樹脂、トリスフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、キシリレン変性ノボラック樹脂、テルペン変性ノボラック樹脂およびジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂などのフェノール樹脂などを例示することができるが、これらに限定されない。
前記アミノ基を有する化合物としては、メチルアミン等のアルキルアミン化合物、アニリンおよびアニリンの芳香核に置換基を有する芳香族アミン化合物、ベンジルアミン等の脂肪族アミンの一部が芳香環で置換されたアミン類、ヒドロキシルアミン等を例示することができるが、これらに限定されない。
前記ホルムアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド水溶液であるホルマリン、ホルムアルデヒドの重合物であるパラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
本発明に用いるベンゾオキサジン樹脂(a)の具体的な合成例としては、前記炭素環上の水酸基に対してオルト位に少なくとも一つの水素を有するフェノール性水酸基を有する化合物のフェノール性水酸基1モルに対して、前記アミノ基を有する化合物1モル、前記ホルムアルデヒド2モルを、無溶媒または溶媒中で、反応させて得ることができる。反応における反応温度としては、一般的に70〜110℃で、好ましくは、90〜100℃で、反応時間としては20分〜10時間反応させることができる。反応終了後は、溶媒を用いた場合、溶媒を留去し、必要に応じてアルカリ洗浄操作を行ない、未反応の前記成分を除去し、その後、120℃以下の温度で減圧乾燥することにより、ベンゾオキサジン樹脂(a)が得られる。このようにして得られるベンゾオキサジン樹脂としては、モノマー、オリゴマーおよびポリマーのいずれであっても良い。
本発明に用いられるスメクタイト(b)は、粘土鉱物群であり、その層状構造中の層間に、ナトリウムやカルシウム等を含むカチオンが含まれているものであれば、そのまま使用することができ、その具体例としては、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ヘクトライトおよびスチィブンサイト等を挙げることができる。中でも、モンモリロナイトが好ましい。前記モンモリロナイトとしては、合成品および天然品があり、どちらも使用することができる。工業的には安価に入手することができる天然品を使用することが好ましい。
通常、スメクタイトは、その層構造中の層間に含まれるナトリウムやカルシウム等を含むカチオンを、より触媒能力のあるカチオンにイオン交換することが好ましく、例えば、予め、アルミニウム、スカンジウム、錫、クロム、鉄、銅、チタンおよび水素から選ばれる元素より構成されるカチオンの1種以上でイオン交換してから用いることが、より好ましい。
前記イオン交換を行うカチオンの供給源としては、上記触媒能力を有するカチオンを含む種々の化合物を用いることができるが、イオン交換する際に使用する溶媒に溶解するものであれば何でもよい。通常は、上記イオン交換するカチオンを含む化合物としては、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、カルボン酸塩、ならびに硫酸、塩酸および硝酸等の無機酸を使用することができる。前記カルボン酸塩としては、ギ酸塩、酢酸塩およびプロピオン酸塩等の脂肪族カルボン酸塩、安息香酸塩等の芳香族カルボン酸塩を使用することができる。
通常、スメクタイトは、その層構造中の層間に含まれるナトリウムやカルシウム等を含むカチオンを、より触媒能力のあるカチオンにイオン交換することが好ましく、例えば、予め、アルミニウム、スカンジウム、錫、クロム、鉄、銅、チタンおよび水素から選ばれる元素より構成されるカチオンの1種以上でイオン交換してから用いることが、より好ましい。
前記イオン交換を行うカチオンの供給源としては、上記触媒能力を有するカチオンを含む種々の化合物を用いることができるが、イオン交換する際に使用する溶媒に溶解するものであれば何でもよい。通常は、上記イオン交換するカチオンを含む化合物としては、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、カルボン酸塩、ならびに硫酸、塩酸および硝酸等の無機酸を使用することができる。前記カルボン酸塩としては、ギ酸塩、酢酸塩およびプロピオン酸塩等の脂肪族カルボン酸塩、安息香酸塩等の芳香族カルボン酸塩を使用することができる。
前記スメクタイト層構造中の層間に存在するナトリウムやカルシウム等を含むカチオンをイオン交換する方法としては、通常のイオン交換方法を用いればよく、特に限定されないが、通常溶媒を用いた液相で行われる。
溶媒としては、イオン交換の際に使用する上記触媒能力を有するカチオンを含む化合物、より好ましくは、アルミニウム、スカンジウム、錫、クロム、鉄、銅、チタンおよび水素から選ばれる元素より構成されるカチオンを含む化合物を溶解するものであれば何でもよいが、通常は、水が使用され、有機溶媒と併用してもよい。
溶媒中における、アルミニウム、スカンジウム、錫、クロム、鉄、銅、チタンおよび水素から選ばれる元素の濃度としては、通常、スメクタイト層構造中の層間に存在するカチオンの陽イオン交換容量の当量以上のカチオンを、より好ましくは、該当量以上の、アルミニウム、スカンジウム、錫、クロム、鉄、銅、チタンおよび水素から選ばれる元素より構成されるカチオンを、含有する液量を用いれば、特に限定されないが、通常、その濃度は、0.01mol/L〜5mol/Lが好ましく、より好ましくは0.05mol/L〜2mol/Lである。0.01mol/Lよりも希薄な条件ではイオン交換速度が遅くなり過ぎることがあり、5mol/Lよりも濃厚な条件では過剰に使用することになる。
イオン交換における温度は、使用する溶媒の種類にもより、任意の温度で行われるが、例えば、溶媒が水の場合は、通常10〜95℃である。10℃より低いとイオン交換速度が遅くなり過ぎることがあり、95℃より高いと、使用する容器として、加圧容器が必要となる。また、イオン交換時間は、温度にもよるが、通常0.1時間〜100時間であり、好ましくは0.5時間〜24時間である。0.1時間よりも短いと十分なイオン交換が行われないことがある。さらに、イオン交換の回数は前記の濃度、温度、時間にもよるが、通常1回〜10回の範囲で行われる。
溶媒としては、イオン交換の際に使用する上記触媒能力を有するカチオンを含む化合物、より好ましくは、アルミニウム、スカンジウム、錫、クロム、鉄、銅、チタンおよび水素から選ばれる元素より構成されるカチオンを含む化合物を溶解するものであれば何でもよいが、通常は、水が使用され、有機溶媒と併用してもよい。
溶媒中における、アルミニウム、スカンジウム、錫、クロム、鉄、銅、チタンおよび水素から選ばれる元素の濃度としては、通常、スメクタイト層構造中の層間に存在するカチオンの陽イオン交換容量の当量以上のカチオンを、より好ましくは、該当量以上の、アルミニウム、スカンジウム、錫、クロム、鉄、銅、チタンおよび水素から選ばれる元素より構成されるカチオンを、含有する液量を用いれば、特に限定されないが、通常、その濃度は、0.01mol/L〜5mol/Lが好ましく、より好ましくは0.05mol/L〜2mol/Lである。0.01mol/Lよりも希薄な条件ではイオン交換速度が遅くなり過ぎることがあり、5mol/Lよりも濃厚な条件では過剰に使用することになる。
イオン交換における温度は、使用する溶媒の種類にもより、任意の温度で行われるが、例えば、溶媒が水の場合は、通常10〜95℃である。10℃より低いとイオン交換速度が遅くなり過ぎることがあり、95℃より高いと、使用する容器として、加圧容器が必要となる。また、イオン交換時間は、温度にもよるが、通常0.1時間〜100時間であり、好ましくは0.5時間〜24時間である。0.1時間よりも短いと十分なイオン交換が行われないことがある。さらに、イオン交換の回数は前記の濃度、温度、時間にもよるが、通常1回〜10回の範囲で行われる。
イオン交換後のスメクタイトは、溶媒と分離した後、洗浄、乾燥を行う。乾燥温度は、イオン交換の際に使用する触媒能力を有するカチオンを含む化合物の種類にもよるが、通常50℃〜250℃であり、好ましくは 70℃〜200℃である。50℃よりも低温の条件或いは250℃よりも高温の条件では十分な活性が得られないことがある。乾燥時間は特に限定されないが、通常0.1時間〜50時間である。また、乾燥の後、焼成を加えてもかまわないが、焼成後水に分散し、更に再乾燥する必要があり、操作が煩雑となる。
本発明に用いる充填材としては、有機充填材および無機充填材等のいずれでも用いることができるが、前記有機充填材としては、木粉、合板粉、熱硬化性樹脂硬化物粉末および粉砕布等が挙げられ、前記無機充填材としては、ガラスビーズ、ガラスパウダー、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、クレーおよびマイカ等の粉末状の充填材や、ガラス繊維およびカーボン繊維などの繊維状の充填材などが挙げられ、これらの1種以上が使用できるが、これらに限定されるものではない。
本発明におけるスメクタイト(b)の含有量としては、ベンゾオキサジン樹脂(a)100重量部に対して、好ましい下限値が0.01重量部で、好ましい上限値が30重量部である。前記範囲内においては、充分な硬化速度が得られると共に、硬化物において、耐熱性、耐薬性および機械強度などの特性を発現させることができる。
本発明の熱硬化性樹脂成形材料における充填材の含有量としては、熱硬化性樹脂組成物100重量部に対して、好ましい下限値が30重量部で、好ましい上限値が400重量部である。前記下限値以上では、前記成形材料の硬化物である成形品の機械的強度が充分であり、前記上限値以下では、成形時の流動性が良好で、成形時に金型内の充填性がより良好なものとなる。
本発明において、上記成分以外に、必要に応じて、シランカップリング剤、着色剤、難燃剤および離型剤などの熱硬化性樹脂および熱硬化性樹脂成形材料に用いられる各種添加剤を配合することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、製造方法は特に制限されることはなく、ベンゾオキサジン樹脂(a)、およびスメクタイト(b)、必要に応じて、各種添加剤を、公知のミキサーで混合することにより得ることができ、溶融混合しても良い。熱硬化性成形材料においても、製造方法は特に制限されず、前記熱硬化性樹脂組成物および充填材、必要に応じて、添加剤を混合し、例えば、加熱ロールなどにより溶融混合して得ることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化物中にボイドが生じにくく、かつ、硬化速度も速いため、成形材料、積層板、接着剤等の種々の用途に好適に使用される。
このようにして得られる本発明の熱硬化性組成物は、例えば、成形材料として、圧縮成形、移送成形または射出成形などの方法により、加熱することにより成形して成形品とすることができ、また、溶媒に溶解してワニスとして基材上に塗布して塗膜を形成し上記加熱温度により硬化させて樹脂層やフィルムとすることもできる。
このようにして得られる本発明の熱硬化性組成物は、例えば、成形材料として、圧縮成形、移送成形または射出成形などの方法により、加熱することにより成形して成形品とすることができ、また、溶媒に溶解してワニスとして基材上に塗布して塗膜を形成し上記加熱温度により硬化させて樹脂層やフィルムとすることもできる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制約されるものではない。
(合成例1)
フェノール100重量部、37%ホルマリン63重量部、蓚酸0.5重量部の混合物を、100℃で3時間反応後、メタノール10重量部と蒸留水20重量部を添加して混合し、2時間静置した。反応混合物の上澄み液を除去した後、反応混合物の温度が140℃になるまで、常圧蒸留で脱水し、更に、0.9kPaまで、徐々に減圧しながら、反応混合物の温度が230℃になるまで、減圧蒸留して、未反応フェノールを除去して、軟化点が80℃のノボラック型フェノール・ホルムアルデヒド樹脂を得た。HLCの測定による数平均分子量は800であった。
フェノール100重量部、37%ホルマリン63重量部、蓚酸0.5重量部の混合物を、100℃で3時間反応後、メタノール10重量部と蒸留水20重量部を添加して混合し、2時間静置した。反応混合物の上澄み液を除去した後、反応混合物の温度が140℃になるまで、常圧蒸留で脱水し、更に、0.9kPaまで、徐々に減圧しながら、反応混合物の温度が230℃になるまで、減圧蒸留して、未反応フェノールを除去して、軟化点が80℃のノボラック型フェノール・ホルムアルデヒド樹脂を得た。HLCの測定による数平均分子量は800であった。
(合成例2)
アニリン86重量部に37%ホルマリン150重量部を添加し、100℃に昇温したのち、合成例1で得られたノボラック型フェノール・ホルムアルデヒド樹脂100重量部を30分かけて添加した後、更に100℃で30分反応を進め、ベンゾオキサジン樹脂を得た。HLCの測定による数平均分子量は1300であった。
アニリン86重量部に37%ホルマリン150重量部を添加し、100℃に昇温したのち、合成例1で得られたノボラック型フェノール・ホルムアルデヒド樹脂100重量部を30分かけて添加した後、更に100℃で30分反応を進め、ベンゾオキサジン樹脂を得た。HLCの測定による数平均分子量は1300であった。
(合成例3)
ナトリウム型モンモリロナイト(クニミネ工業製クニピアF)を100メッシュの篩を通過する程度の粒径に粉砕したもの12gを、800mlの水/アセトン(1/1)の混合溶媒中に入れ、室温で一晩攪拌した。50℃まで昇温させた。Al(NO3)3・9H2O45g(0.12mol)を1200mlの水に溶かし、上記の混合物に加えた。50℃で24時間攪拌した。遠心分離によるデカンテーションをし、水で洗浄した。この洗浄をさらに5回繰り返した。その後、80℃で24時間乾燥した。得られたややクリーム色の固体を粉砕し、120℃で一晩乾燥させた。8.95gのアルミニウム置換モンモリロナイトが得られた。
上記操作において、Al(NO3)3・9H2O45g(0.12mol)の代わりに鉄硝酸塩、スカンジウムの硝酸塩を用いた以外は、同様にして、それぞれ、鉄置換モンモリロナイト、スカンジウム置換のモンモリロナイトを得た。
ナトリウム型モンモリロナイト(クニミネ工業製クニピアF)を100メッシュの篩を通過する程度の粒径に粉砕したもの12gを、800mlの水/アセトン(1/1)の混合溶媒中に入れ、室温で一晩攪拌した。50℃まで昇温させた。Al(NO3)3・9H2O45g(0.12mol)を1200mlの水に溶かし、上記の混合物に加えた。50℃で24時間攪拌した。遠心分離によるデカンテーションをし、水で洗浄した。この洗浄をさらに5回繰り返した。その後、80℃で24時間乾燥した。得られたややクリーム色の固体を粉砕し、120℃で一晩乾燥させた。8.95gのアルミニウム置換モンモリロナイトが得られた。
上記操作において、Al(NO3)3・9H2O45g(0.12mol)の代わりに鉄硝酸塩、スカンジウムの硝酸塩を用いた以外は、同様にして、それぞれ、鉄置換モンモリロナイト、スカンジウム置換のモンモリロナイトを得た。
(実施例1)
合成例2で得たベンゾオキサジン樹脂を100g、合成例3で得られたアルミニウム置換モンモリロナイトを5g採取し、乳鉢を用い粉砕混合し、熱硬化性樹脂組成物を得た。
合成例2で得たベンゾオキサジン樹脂を100g、合成例3で得られたアルミニウム置換モンモリロナイトを5g採取し、乳鉢を用い粉砕混合し、熱硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例2、3)
実施例1と同様にして、表1に示す割合で配合し、熱硬化性樹脂組成物を得た。
実施例1と同様にして、表1に示す割合で配合し、熱硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例4)
ベンゾオキサジン樹脂として、ビスフェノールAとアニリンより合成されたB−a型ベンゾオキサジン樹脂(四国化成製)を使用する以外は、実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物を得た。
ベンゾオキサジン樹脂として、ビスフェノールAとアニリンより合成されたB−a型ベンゾオキサジン樹脂(四国化成製)を使用する以外は、実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物を得た。
(比較例1)
表1に示す割合で配合した原料を、乳鉢で粉砕混合して、熱硬化性樹脂組成物を得た。
表1に示す割合で配合した原料を、乳鉢で粉砕混合して、熱硬化性樹脂組成物を得た。
[ゲルタイムの評価]
上記で得られた熱硬化性樹脂組成物を用いて、硬化速度の指標であるゲルタイムの評価を行った。ゲルタイムは、150℃に保った熱板上に0.5gの試料をのせ、スパチュラで、常時、かき混ぜながら、スパチュラを持ち上げても樹脂組成物が糸を引かなくなるまでの時間を測定した。結果を表1に示す。
[硬化物ボイドの評価]
アルミカップに熱硬化性樹脂組成物を入れ、乾燥機中150℃で30分加熱した。硬化物のボイドを目視により観察した。結果を表1に示す。
上記で得られた熱硬化性樹脂組成物を用いて、硬化速度の指標であるゲルタイムの評価を行った。ゲルタイムは、150℃に保った熱板上に0.5gの試料をのせ、スパチュラで、常時、かき混ぜながら、スパチュラを持ち上げても樹脂組成物が糸を引かなくなるまでの時間を測定した。結果を表1に示す。
[硬化物ボイドの評価]
アルミカップに熱硬化性樹脂組成物を入れ、乾燥機中150℃で30分加熱した。硬化物のボイドを目視により観察した。結果を表1に示す。
(実施例5,6及び比較例2)
表2に示す割合で配合した原料を、加熱ロールで混練し、更に冷却、粉砕して成形材料を得た。
表2に示す割合で配合した原料を、加熱ロールで混練し、更に冷却、粉砕して成形材料を得た。
得られた成形材料を用いて、硬化速度の指標であるバコール硬度の測定を行った。結果を表2に示す。
[バコール硬度の評価]
バコール硬度は、175℃に設定した移送成形用金型に、圧力20MPaで注入して50mmφ*3mm厚みの成形品を成形し、成形品のバコール硬度(No.935)が40以上になった時の硬化時間で表す。この時間が短いほど、硬化速度が速いことを示す。
[バコール硬度の評価]
バコール硬度は、175℃に設定した移送成形用金型に、圧力20MPaで注入して50mmφ*3mm厚みの成形品を成形し、成形品のバコール硬度(No.935)が40以上になった時の硬化時間で表す。この時間が短いほど、硬化速度が速いことを示す。
上記の表1、2の結果からも明らかな様に、本発明の熱硬化性樹脂組成物および熱硬化性樹脂成形材料は、硬化速度が速く、フェノール樹脂成形材料と同等の硬化性を有しており、ボイドが生じにくい。
本発明よれば、ボイドが生じにくく、硬化速度が速い熱硬化性樹脂組成物が得られ、成形材料、積層板、接着剤等の従来より熱硬化性フェノール樹脂組成物が用いられてきた用途に好適に用いられる。また、自動車用部品、機構部品、電機・電子部品等の用途にも好適である。
Claims (5)
- ベンゾオキサジン樹脂(a)、および、スメクタイト(b)を含む熱硬化性樹脂組成物。
- 前記スメクタイト(b)は、予め、その層状構造中の層間に存在するカチオンを、アルミニウム、スカンジウム、錫、クロム、鉄、銅、チタンおよび水素から選ばれる元素より構成されるカチオンの1種以上でイオン交換したものである請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記スメクタイト(b)は、モンモリロナイトである請求項1または2記載の熱硬化性樹脂組成物。
- ベンゾオキサジン樹脂(a)100重量部に対して、スメクタイト(b)が0.01重量部以上30重量部以下の割合で含有してなる請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載された熱硬化性樹脂組成物と充填材とを含んでなる熱硬化性樹脂成形材料。
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