JP2007091705A - ジオキシノン構造を有する化合物並びに該化合物を用いた光学フィルター及び光学記録材料 - Google Patents

ジオキシノン構造を有する化合物並びに該化合物を用いた光学フィルター及び光学記録材料 Download PDF

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Abstract

【課題】特に、画像表示装置用の光学フィルター及び短波長レーザ光による光学記録材料に用いられる光学要素に適した光学特性を有する化合物を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるジオキシノン構造を有する化合物。
Figure 2007091705

(式中、Aは炭素環及び複素環から選ばれる構造を表し、R 及びR はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリールオキシ基又は置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリールアルキル基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なジオキシノン構造を有する化合物(以下、ジオキシノン化合物と呼ぶ)、並びに該ジオキシノン化合物を用いた光学フィルター及び光学記録材料に関する。該ジオキシノン化合物は、光学要素として有用なものである。該ジオキシノン化合物は、特に、画像表示装置用の光学フィルターに含有させる紫外線吸収剤として有用であり、また、可視及び近赤外領域の波長を有し且つ低エネルギーのレーザ等による高密度の光学記録及び再生が可能な光学記録媒体に使用される光学記録材料に有用である。
光学記録媒体は、一般に、記録容量が大きく、記録又は再生が非接触で行なわれること等の優れた特徴を有することから、広く普及している。WORM、CD−R、DVD−R等の追記型の光ディスクでは、光学記録層の微小面積にレーザを集光させ、光学記録層の性状を変えて記録し、記録部分と未記録部分との反射光量の違いによって再生を行なっている。
現在、上記の光ディスクにおいて、記録及び再生に用いる半導体レーザの波長は、CD−Rは750〜830nmであり、DVD−Rは620nm〜690nmであるが、更なる容量の増加を実現すべく、短波長レーザを使用する光ディスクが検討されており、例えば、記録光として380〜420nmの光を用いるものが検討されている。
短波長レーザ用の光学記録媒体において、光学記録層の形成には、各種化合物が使用されている。例えば、特許文献1にはアゾ化合物が報告されており、特許文献2にはポルフィリン化合物が報告されており、特許文献3にはトリアゾール化合物の金属錯体が報告されている。しかし、これらの化合物は、光学記録層の形成に用いられる光学記録材料としては、その吸収波長特性が必ずしも適合するものではなかった。
また、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ等の画像表示装置用の光学フィルターにおいて、300〜390nmの波長の光を吸収する化合物が、紫外線吸収剤として用いられている。
上記の紫外線吸収剤を用いた光学フィルターとして、例えば、特許文献4には、紫外線吸収剤を含有し、200〜410nmの光を遮断する有機ELディスプレイ素子用フィルターが報告されている。しかし、この有機ELディスプレイ素子用フィルターに用いられている紫外線吸収剤は、光学フィルター用の紫外線吸収剤としては、その吸収波長特性が必ずしも適合するものではなかった。
特開2004−209771号公報 特開2004−58365号公報 特開2004−174838号公報 特開2004−102223号公報
従って、本発明の目的は、特に、画像表示装置用の光学フィルター及び短波長レーザ光による光学記録材料に用いられる光学要素に適した光学特性を有する化合物を提供することにある。
本発明者は、検討を重ねた結果、ジオキシノン構造を有する特定の化合物が、上記光学要素として満足する吸収波長特性を持つことを見出し、本発明に到達した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、下記一般式(I)で表されるジオキシノン化合物、該ジオキシノン化合物を含有してなる光学フィルター、及び、基体上に光学記録層が形成された光学記録媒体における該光学記録層の形成材料として用いられる、該ジオキシノン化合物を含有してなる光学記録材料を提供するものである。
Figure 2007091705
(式中、Aは下記 [化2] に示す(イ)〜(ヘ)の群から選ばれる構造を表し、R1 及びR2 はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリールオキシ基又は置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリールアルキル基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
Figure 2007091705
(式中、R3 及びR4 はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリールアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基又は下記一般式(α)で表される基を表し、R6 〜R14は各々独立に水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基中のメチレン基は−O−又は−CO−で置換されていてもよく、Z1 は、直接結合又は置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキレン基を表し、該アルキレン基中のメチレン基は−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−S−、−SO2 −、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置換されていてもよく、Z2 は直接結合又は置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキレン基を表し、該アルキレン基中のメチレン基は−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2 −、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置換されていてもよく、X1 は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又は−NR5 −を表し、X2 は、窒素原子又は=CR5 を表し、R5 は水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数2〜10のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリールアルキル基、置換基を有してもよい複素環基又はハロゲン原子を表し、M1 はFe、Co、Ni、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Mo、Os、Mn、Ru、Sn、Pd、Rh、Pt又はIrを表し、m、p、q、tはそれぞれ独立に1〜4の整数を表し、r、b、cはそれぞれ独立に1〜3の整数を表し、sは1〜5の整数を表し、aは1又は2を表す。)
Figure 2007091705
(式中、R15〜R23は各々独立に水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基中のメチレン基は−O−又は−CO−で置換されていてもよく、Z3 は、直接結合又は置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキレン基を表し、該アルキレン基中のメチレン基は−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2 −、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置換されていてもよく、M2 はFe、Co、Ni、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Mo、Os、Mn、Ru、Sn、Pd、Rh、Pt又はIrを表す。)
本発明は、光学フィルターに含有させる紫外線吸収剤、光学記録材料に含有させる光学記録剤等の光学要素として適する新規ジオキシノン化合物を提供できる。また、該ジオキシノン化合物を用いた光学フィルターは、画像表示装置用光学フィルターとして好適であり、該ジオキシノン化合物を含有してなる光学記録材料は、分解時に低分子を放出するため畜熱性が低く熱干渉が抑えられ、また分解点が低いため感度が高く、光学記録媒体の光学記録層の形成に好適である。
以下、本発明のジオキシノン化合物、並びに該ジオキシノン化合物を含有してなる光学フィルター及び光学記録材料について、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
先ず、本発明のジオキシノン化合物について説明する。
上記一般式(I)におけるR1 、R2 、R3 、R4 及びR5 で表される、炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル等が挙げられ、炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、メチルオキシ、エチルオキシ、イソプロピルオキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ等が挙げられ、炭素原子数6〜30のアリール基としては、フェニル、ナフチル等が挙げられ、炭素原子数6〜30のアリールオキシ基としては、フェノキシ、ナフチルオキシ等が挙げられ、炭素原子数6〜30のアリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等が挙げられる。
上記一般式(I)におけるR3 、R4 及びR5 で表される、複素環基としては、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等が挙げられ、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
上記一般式(I)におけるR3 及びR4 で表される置換基を有してもよいアミノ基としては、アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、クロロフェニルアミノ、トルイジノ、アニシジノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ,ナフチルアミノ、2−ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、ホルミルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ等が挙げられる。
上記一般式(I)におけるR5 で表される炭素原子数2〜10のアルケニル基としては、ビニル、1−メチルエテニル、2−メチルエテニル、2−プロペニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、イソブテニル、3−ペンテニル、4−ヘキセニル、シクロヘキセニル、ビシクロヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル、ぺンタデセニル、エイコセニル、トリコセニル等が挙げられる。
1 、R2 、R3 、R4 及びR5 で表される上記の炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、炭素原子数6〜30のアリールアルキル基、並びにR3 、R4 及びR5 で表される複素環基、R3 及びR4 で表されるアミノ基、並びにR5 で表される炭素原子数2〜10のアルケニル基は、いずれも、置換基を有していてもよい。該置換基としては、以下のものが挙げられる。尚、R1 〜R5 が、上記の炭素原子数1〜10のアルキル基等の炭素原子を含有する基であり、且つ、それらの基が、以下の置換基の中でも、炭素原子を含有する置換基を有する場合は、該置換基を含めたR1 〜R5 全体の炭素原子数が、規定された範囲を満たすものとする。
上記置換基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、シクロペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、ビシクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル等のアルキル基;メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、第三アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、イソヘプチルオキシ、第三ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、第三オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ等のアルコキシ基;メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、第二ブチルチオ、第三ブチルチオ、イソブチルチオ、アミルチオ、イソアミルチオ、第三アミルチオ、ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、ヘプチルチオ、イソヘプチルチオ、第三ヘプチルチオ、n−オクチルチオ、イソオクチルチオ、第三オクチルチオ、2−エチルヘキシルチオ等のアルキルチオ基;ビニル、1−メチルエテニル、2−メチルエテニル、2−プロペニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、イソブテニル、3−ペンテニル、4−ヘキセニル、シクロヘキセニル、ビシクロヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル、ぺンタデセニル、エイコセニル、トリコセニル等のアルケニル基;ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等のアリールアルキル基;フェニル、ナフチル等のアリール基;フェノキシ、ナフチルオキシ等のアリールオキシ基;フェニルチオ、ナフチルチオ等のアリールチオ基;ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等の複素環基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;アセチル、2−クロロアセチル、プロピオニル、オクタノイル、アクリロイル、メタクリロイル、フェニルカルボニル(ベンゾイル)、フタロイル、4−トリフルオロメチルベンゾイル、ピバロイル、サリチロイル、オキザロイル、ステアロイル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル、カルバモイル等のアシル基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオキシ基;アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、クロロフェニルアミノ、トルイジノ、アニシジノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ,ナフチルアミノ、2−ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、ホルミルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ等の置換アミノ基;スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基等が挙げられ、これらの基は更に置換されていてもよい。また、カルボキシル基及びスルホ基は塩を形成していてもよい。
上記一般式(I)におけるR6 〜R14で表される炭素原子数1〜4のアルキル基及び上記一般式(α)におけるR15〜R23で表される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−O−で置換された基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、メトキシメチル、エトキシメチル、2−メトキシエチル等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−CO−で置換された基としては、アセチル、1−カルボニルエチル、アセチルメチル、1−カルボニルプロピル、2−オキソブチル、2−アセチルエチル、1−カルボニルイソプロピル等が挙げられる。
上記一般式(I)におけるZ1 及びZ2 で表される炭素原子数1〜8のアルキレン基並びに上記一般式(α)におけるZ3 で表される炭素原子数1〜8のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、メチルエチレン、ブチレン、1−メチルプロピレン、2−メチルプロピレン、1,2−ジメチルプロピレン、1,3−ジメチルプロピレン、1−メチルブチレン、2−メチルブチレン、3−メチルブチレン、4−メチルブチレン、2,4−ジメチルブチレン、1,3−ジメチルブチレン、ペンチレン、へキシレン、ヘプチレン、オクチレン、エタン−1,1−ジイル、プロパン−2,2−ジイル、エテニレン、プロペニレン等が挙げられる。
該アルキル基中のメチレン基が−CO−で置換された基としては、−CO−、1−オキソエチレン、1−オキソプロピレン、2−オキソプロピレン、1−オキソブチレン、2−オキソブチレン、2−メチル−1−オキソプロピレン等が挙げられ、該アルキレン基中のメチレン基が−COO−で置換された基としては、−COO−、メチレンカルボニルオキシ、エチレンカルボニルオキシ等が挙げられ、該アルキレン基中のメチレン基が−OCO−で置換された基としては、−OCO−、メチレンオキシカルボニル、エチレンオキシカルボニル等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−O−で置換された基としては、−O−、メチレンオキシ、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、イソプロピレンオキシ、メチレンオキシメチレン、メチレンオキシエチレン等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−S−で置換された基としては、−S−、メチレンチオ、エチレンチオ、プロピレンチオ、イソプロピレンチオ、メチレンチオメチレン、メチレンチオエチレン等が挙げられ、該アルキレン基中のメチレン基が−SO2 −で置換された基としては、−SO2 −、メチレンスルホニル、スルホニルエチレン等が挙げられ、該アルキレン基中のメチレン基が−NH−で置換された基としては、−NH−、アミノメチレン、エチレンアミノ等が挙げられ、該アルキレン基中のメチレン基が−CONH−で置換された基としては、−CONH−、メチレンカルボニルアミノ、カルボニルアミノエチレン等が挙げられ、該アルキレン基中のメチレン基が−NHCO−で置換された基としては、−NHCO−、メチレンアミノカルボニル、アミノカルボニルエチレン等が挙げられ、該アルキレン基中のメチレン基が−N=CH−で置換された基としては、−N=CH−、イミノメチレン、エチレンイミノ等が挙げられ、該アルキレン基中のメチレン基が−CH=CH−で置換された基としては、エテニレン、プロペニレン等が挙げられる。該アルキレン基中のメチレン基が上記−CO−、−COO−等の炭素原子を含む基で置き換えられる場合は、−CO−、−COO−等を含めた全体の炭素原子数が最大で8である。
本発明のジオキシノン化合物の好ましい例としては、下記一般式(II)〜(V)のいずれかで表されるものが挙げられる。
下記一般式(II)で表されるジオキシノン化合物は、上記一般式(I)において、nが1であり、Aが上記(イ)で表される構造であるものである。
下記一般式(III)で表されるジオキシノン化合物は、上記一般式(I)において、nが1であり、Aが上記(ニ)で表される構造であり、且つ、上記(ニ)において、X1 が硫黄原子であり、X2 が=CR5 −であり、R5 が水素原子であるものである。
下記一般式(IV)で表されるジオキシノン化合物は、上記一般式(I)において、nが2であり、Aが上記(イ) で表される構造であるものである。
下記一般式(V)で表されるジオキシノン化合物は、上記一般式(I)において、nが1であり、Aが上記(へ) で表される構造であるものである。
Figure 2007091705
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、m及びpは、上記一般式(I)と同じである。)
Figure 2007091705
(式中、R1 、R2 、R3 及びaは、上記一般式(I)と同じである。)
Figure 2007091705
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、m及びpは、上記一般式(I)と同じである。)
Figure 2007091705
(式中、R1 、R2 、R6 、R7 、R8 、R9 、R10、R11、R12、R13、R14、Z2 及びM1 は、上記一般式(I)と同じである。)
また、上記一般式(I)〜(V)において、R1 は置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、特にメチル基が好ましく;R2 は置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、特にメチル基が好ましく;R3 は水素原子が好ましく;R4 は水素原子が好ましく;nは1又は2が好ましい。
従って、本発明のジオキシノン化合物の具体例としては、下記化合物No.1〜22が挙げられる。
Figure 2007091705
Figure 2007091705
Figure 2007091705
上記一般式(I)で表される本発明のジオキシノン化合物は、その製造方法は特に限定されず、周知一般の反応を利用した方法で得ることができるが、例えば、n=1であるジオキシノン化合物を得る場合の製造方法としては、下記 [化11] に示されるルートの如く合成する方法が挙げられる。また、nが1以外のものも、下記 [化11] に示されるルートに準じて合成することができる。
Figure 2007091705
(式中、A,R1 及びR2 は、上記一般式(I)と同じであり、R6 及びR7 はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表す。)
本発明のジオキシノン化合物は、特定の波長、特に320〜420nmの波長の光を吸収することにより機能を発揮する光学要素として有用である。該光学要素の例としては、光学フィルターに含有させる紫外線吸収剤、光ディスク等の光学記録媒体の光学記録層の形成に用いられる光学記録剤等が挙げられる。
また、本発明のジオキシノン化合物は、光学要素の他に、医薬品、農薬、香料及び染料等の合成中間体、あるいは各種機能性材料等に用いることもできる。
次に、本発明の光学フィルターについて説明する。
本発明の光学フィルターは、本発明のジオキシノン化合物を含有する。本発明のジオキシノン化合物は、吸収極大波長を340〜390nmに持ち、410nm以下の紫外線及び一部の可視光線を吸収して遮断することができるので、本発明のジオキシノン化合物を含有する本発明の光学フィルターは、表示画像の高品質化に用いられる画像表示装置用の光学フィルターとして特に好適なものである。本発明の光学フィルターは、画像表示装置用の他に、分析装置用、半導体装置製造用、天文観測用、光通信用、眼鏡レンズ用等の各種用途にも用いることができる。
本発明の光学フィルターは、通常ディスプレイの前面に配置される。例えば、本発明の光学フィルターは、ディスプレイの表面に直接貼り付けてもよく、ディスプレイの前に前面板が設けられている場合は、前面板の表側(外側)又は裏側(ディスプレイ側)に貼り付けてもよい。
本発明の光学フィルターの代表的な構成としては、透明支持体に、必要に応じて、下塗り層、反射防止層、ハードコート層、潤滑層等の各層を設けたものが挙げられる。本発明のジオキシノン化合物や、本発明のジオキシノン化合物以外の色素化合物、各種安定剤等の任意成分を本発明の光学フィルターに含有させる方法としては、例えば、(1)透明支持体又は任意の各層に含有させる方法、(2)透明支持体又は任意の各層にコーティングする方法、(3)透明支持体及び任意の各層から選択される任意の隣り合う二者間に設けられる粘着剤層、又は光学フィルターをディスプレイに貼り付けるために最外層として設けられる粘着剤層に混入させる方法、(4)任意の各層とは別に本発明のジオキシノン化合物等の光吸収剤等を含有する光吸収層を設ける方法等が挙げられる。
本発明の光学フィルターにおいて、本発明のジオキシノン化合物の使用量は、光学フィルターの単位面積当たり、通常1〜1000mg/m2 、好ましくは5〜100mg/m2 であり、1mg/m2 未満の使用量では、光吸収効果を十分に発揮することができず、1000mg/m2 を超えて使用した場合には、フィルターの色目が強くなりすぎて表示品質等を低下させるおそれがあり、さらには、明度が低下するおそれもある。

本発明のジオキシノン化合物は、その使用量を、光学フィルターの単位面積当たり、上述の範囲にするには、通常、次のようにして使用される。例えば、粘着剤層に本発明のジオキシノン化合物を含有する光学フィルターを造る場合には、アクリル系粘着剤等の粘着剤100質量部に対し、本発明のジオキシノン化合物を好ましくは0.001〜0.05質量部及びメチルエチルケトン等の溶剤を好ましくは40〜500質量部添加してワニスを作成し、このワニスを、易密着処理をしたPETフィルム等の透明支持体に塗布した後、硬化させて、厚さ0.1〜10ミクロンの粘着剤層(硬化膜)を有する光学フィルターを得る。

本発明のジオキシノン化合物及び任意成分を本発明の光学フィルターに含有させる方法として、上述の(1)〜(4)のいずれの方法を採る場合も、各成分の配合割合は、上述の配合割合に準じればよい。
上記透明支持体の材料としては、例えば、ガラス等の無機材料;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂等の高分子材料が挙げられる。透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。ヘイズは、2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましい。透明支持体の厚みは、0.1〜200μmであることが好ましい。
これらの透明支持体中には、赤外線吸収剤、無機微粒子等を添加することができ、また、透明支持体には、各種の表面処理を施すことができる。
上記無機微粒子としては、例えば、層状粘土鉱物、二酸化珪素、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
上記各種表面処理としては、例えば、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理等が挙げられる。
上記下塗り層は、光吸収剤を含有する光吸収層を設ける場合に、透明支持体と光吸収層との間に用いる層である。上記下塗り層は、ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーを含む層、光吸収層側の表面が粗面である層、又は光吸収層のポリマーと親和性を有するポリマーを含む層として形成する。また、下塗り層は、光吸収層が設けられていない透明支持体の面に設けて、透明支持体とその上に設けられる層(例えば、反射防止層、ハードコート層)との接着力を改善するために設けてもよく、光学フィルターと画像表示装置とを接着するための接着剤と光学フィルターとの親和性を改善するために設けてもよい。下塗り層の厚みは、2nm〜20μmが好ましく、5nm〜5μmがより好ましく、20nm〜2μmがさらに好ましく、50nm〜1μmがさらにまた好ましく、80nm〜300nmが最も好ましい。ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーを含む下塗り層は、ポリマーの粘着性で、透明支持体とフィルター層とを接着する。ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーは、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ブタジエン、ネオプレン、スチレン、クロロプレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル又はメチルビニルエーテルの重合又はこれらの共重合により得ることができる。ガラス転移温度は、50℃以下であることが好ましく、40℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることがさらに好ましく、25℃以下であることがさらにまた好ましく、20℃以下であることが最も好ましい。下塗り層の25℃における弾性率は、1〜1000MPaであることが好ましく、5〜800MPaであることがさらに好ましく、10〜500MPaであることが最も好ましい。光吸収層側の表面が粗面である下塗り層は、粗面の上に光吸収層を形成することで、透明支持体と光吸収層とを接着する。光吸収層側の表面が粗面である下塗り層は、ポリマーラテックスの塗布により容易に形成することができる。ラテックスの平均粒径は、0.02〜3μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがさらに好ましい。光吸収層のバインダーポリマーと親和性を有するポリマーとしては、アクリル樹脂、セルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、ポリビニルアルコール、可溶性ナイロン及び高分子ラテックス等が挙げられる。また、本発明の光学フィルターには、二以上の下塗り層を設けてもよい。下塗り層には、透明支持体を膨潤させる溶剤、マット剤、界面活性剤、帯電防止剤、塗布助剤、硬膜剤等を添加してもよい。
上記反射防止層においては、低屈折率層が必須である。低屈折率層の屈折率は、上記透明支持体の屈折率よりも低い。低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.55であることが好ましく、1.30〜1.50であることがさらに好ましい。低屈折率層の厚さは、50〜400nmであることが好ましく、50〜200nmであることがさらに好ましい。低屈折率層は、屈折率の低い含フッ素ポリマーからなる層(特開昭57−34526号、特開平3−130103号、特開平6−115023号、特開平8−313702号、特開平7−168004号の各公報記載)、ゾルゲル法により得られる層(特開平5−208811号、特開平6−299091号、特開平7−168003号の各公報記載)、あるいは微粒子を含む層(特公昭60−59250号、特開平5−13021号、特開平6−56478号、特開平7−92306号、特開平9−288201号の各公報に記載)として形成することができる。微粒子を含む層では、微粒子間又は微粒子内のミクロボイドとして、低屈折率層に空隙を形成することができる。微粒子を含む層は、3〜50体積%の空隙率を有することが好ましく、5〜35体積%の空隙率を有することがさらに好ましい。
広い波長領域の反射を防止するためには、上記反射防止層において、低屈折率層に加えて、屈折率の高い層(中・高屈折率層)を積層することが好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.65〜2.40であることが好ましく、1.70〜2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.90であることが好ましく、1.55〜1.70であることがさらに好ましい。中・高屈折率層の厚さは、5nm〜100μmであることが好ましく、10nm〜10μmであることがさらに好ましく、30nm〜1μmであることが最も好ましい。中・高屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。中・高屈折率層は、比較的高い屈折率を有するポリマーバインダーを用いて形成することができる。屈折率が高いポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、環状(脂環式又は芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタン等が挙げられる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高い。二重結合を導入してラジカル硬化を可能にしたモノマーの重合反応により形成されたポリマーを用いてもよい。
さらに高い屈折率を得るため、上記ポリマーバインダー中に無機微粒子を分散してもよい。無機微粒子の屈折率は、1.80〜2.80であることが好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物又は硫化物から形成することが好ましい。金属の酸化物又は硫化物としては、酸化チタン(例えば、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛等が挙げられる。これらの中でも、酸化チタン、酸化錫及び酸化インジウムが特に好ましい。無機微粒子は、これらの金属の酸化物又は硫化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(重量%)が多い成分を意味する。他の元素としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S等が挙げられる。被膜形成性で溶剤に分散し得るか、それ自身が液状である無機材料、例えば、各種元素のアルコキシド、有機酸の塩、配位性化合物と結合した配位化合物(例えばキレート化合物)、活性無機ポリマーを用いて、中・高屈折率層を形成することもできる。
上記反射防止層の表面には、アンチグレア機能(入射光を表面で散乱させて、膜周囲の景色が膜表面に移るのを防止する機能)を付与することができる。例えば、透明フィルムの表面に微細な凹凸を形成してその表面に反射防止層を形成するか、あるいは、反射防止層を形成後、エンボスロールにより表面に凹凸を形成することにより、アンチグレア機能を有する反射防止層を得ることができる。アンチグレア機能を有する反射防止層は、一般に3〜30%のヘイズを有する。
上記ハードコート層は、上記透明支持体の硬度よりも高い高度を有する。ハードコート層は、架橋しているポリマーを含むことが好ましい。ハードコート層は、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系のポリマー、オリゴマー又はモノマー(例えば紫外線硬化型樹脂)等を用いて形成することができる。シリカ系材料からハードコート層を形成することもできる。
上記反射防止層(低屈折率層)の表面には、潤滑層を形成してもよい。潤滑層は、低屈折率層表面に滑り性を付与し、耐傷性を改善する機能を有する。潤滑層は、ポリオルガノシロキサン(例えばシリコンオイル)、天然ワックス、石油ワックス、高級脂肪酸金属塩、フッ素系潤滑剤又はその誘導体を用いて形成することができる。潤滑層の厚さは、2〜20nmであることが好ましい。
上述した各層とは別に光吸収層を設ける場合は、本発明のジオキシノン化合物をそのまま使用することもでき、バインダーを使用することもできる。バインダーとしては、例えば、ゼラチン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、アルギン酸等の天然高分子材料、あるいは、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア等の合成高分子材料が用いられる。
上記の下塗り層、反射防止層、ハードコート層、潤滑層、光吸収層、粘着剤層等は、一般的な塗布方法により形成することができる。塗布方法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ホッパーを使用するエクストルージョンコート法(米国特許第2681294号明細書記載)等が挙げられる。二以上の層を同時塗布により形成してもよい。同時塗布法については、例えば、米国特許第2761791号、米国特許第2941898号、米国特許第3508947号、米国特許第3526528号の各明細書及び原崎勇次著「コーティング工学」253頁(1973年朝倉書店発行)に記載がある。
次に、本発明の光学記録材料について説明する。
本発明の光学記録材料は、上記のジオキシノン化合物を含有し、光学記録媒体の光学記録層の形成に用いられるものであり、含有するジオキシノン化合物の光吸収特性に応じて各種の光学記録媒体に適用することができる。本発明の光学記録材料の中でも、波長が380nm〜420nmの短波長レーザ用の光ディスクに特に適合するのは、含有するジオキシノン化合物が、溶液状態での光吸収特性において、最大吸収波長λmaxを320〜420nmの範囲に有するものである。また、吸収強度については、λmaxでのεが1.0×104 より小さいと記録感度が低下するおそれがあるので、1.0×104 以上が好ましい。上記ジオキシノン化合物の溶液状態でのλmax及びεの測定は、常法に従って、試料溶液の濃度、測定に用いる溶媒等を選択して行なうことができる。
上記のジオキシノン化合物を含有する本発明の光学記録材料を用いて光学記録媒体の光学記録層を形成する方法については、特に制限を受けない。一般には、メタノール、エタノール等の低級アルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルジグリコール等のエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等のエステル類;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ化アルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;メチレンジクロライド、ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素類等の有機溶媒に、本発明のジオキシノン化合物及び必要に応じて後述の各種化合物を溶解した溶液である本発明の光学記録材料を、基体上に、スピンコート、スプレー、ディッピング等で塗布する湿式塗布法、蒸着法、スパッタリング法等が挙げられる。上記有機溶媒を使用する場合、その使用量は、本発明の光学記録材料中における上記ジオキシノン化合物の含有量が0.1〜10質量%となる量にするのが好ましい。
上記光学記録層は薄膜として形成され、その厚さは、通常、0.001〜10μmが適当であり、好ましくは0.01〜5μmの範囲である。
また、本発明の光学記録材料中における本発明のジオキシノン化合物の含有量は、本発明の光学記録材料に含まれる固形分中、10〜100質量%が好ましい。上記光学記録層は、光学記録層中に上記一般式(I)で表されるジオキシノン化合物を50〜100質量%含有するように形成されることが好ましく、このようなジオキシノン化合物含有量の光学記録層を形成するために、本発明の光学記録材料は、上記一般式(I)で表されるジオキシノン化合物を、本発明の光学記録材料に含まれる固形分基準で50〜100質量%含有するのがさらに好ましい。
本発明の光学記録材料は、本発明のジオキシノン化合物の他に、必要に応じて、シアニン系化合物、アゾ系化合物、フタロシアニン系化合物、オキソノール系化合物、スクアリリウム系化合物、インドール化合物、スチリル系化合物、ポルフィン系化合物、アズレニウム系化合物、クロコニックメチン系化合物、ピリリウム系化合物、チオピリリウム系化合物、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、テトラヒドロコリン系化合物、インドフェノール系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、キサンテン系化合物、チアジン系化合物、アクリジン系化合物、オキサジン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物、ローダミン系化合物等の、通常光学記録層に用いられる化合物;ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート等の樹脂類;界面活性剤;帯電防止剤;滑剤;難燃剤;ヒンダードアミン等のラジカル捕捉剤;フェロセン誘導体等のピット形成促進剤;分散剤;酸化防止剤;架橋剤;耐光性付与剤等を含有してもよい。さらに、本発明の光学記録材料は、一重項酸素等のクエンチャーとして芳香族ニトロソ化合物、アミニウム化合物、イミニウム化合物、ビスイミニウム化合物、遷移金属キレート化合物等を含有してもよく、クエンチャーアニオンを用いてもよい。本発明の光学記録材料において、これらの各種化合物は、本発明の光学記録材料に含まれる固形分中、0〜50質量%の範囲となる量で使用される。
このような光学記録層を設層する上記基体の材質は、書き込み(記録)光及び読み出し(再生)光に対して実質的に透明なものであれば特に制限はなく、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等の樹脂、ガラス等が用いられる。また、その形状は、用途に応じ、テープ、ドラム、ベルト、ディスク等の任意の形状のものを使用できる。
また、上記光学記録層上には、金、銀、アルミニウム、銅等を用いて、蒸着法あるいはスパッタリング法により反射膜を形成することもできるし、アクリル樹脂、紫外線硬化性樹脂等により保護層を形成することもできる。
以下、実施例及び比較例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
[実施例1] 化合物No.1の合成
窒素置換した反応フラスコに、 [(2,2−ジメチル−4−オキソ−4H−1,3−ジオキシン−6−イル)メチル] ジフェニルリン酸エステル0.75g(2.00mmol)及びテトラヒドロフラン(THF)5mlを仕込み、室温で(1,8−ジアザビシクロ [5.4.0] ウンデス−7−エン(DBU)0.45ml(2.86mmol)を滴下し、室温で20分間撹拌した。ベンズアルデヒド0.15g(1.43mmol)をTHF5mlに溶解したものを室温で滴下し、室温で18時間撹拌した。反応液から溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:3)により精製を行い、薄黄色透明油状物を得た。得られた薄黄色透明油状物は、E体及びZ体を1:0.7(前者:後者)の割合で含む異性体混合物であった。
得られた異性体混合物0.16g(0.69mmol)及びベンゼン10mlを混合し、ヨウ素46.1mg(182mmol)を加え、室温で2日間撹拌した。飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液30ml及び酢酸エチル30mlを加えて油層を分離し、油層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過、溶媒留去を行なった後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:3)により精製を行い、薄黄色固体として、化合物No.1の0.15g(収率93.7%)を得た。得られた薄黄色固体が目的物である化合物No.1であることは、下記の分析結果により確認した。得られた化合物No.1についての分析結果を以下に示す。
(1) 1H−NMR(ppm、CDCl3 溶媒)
1.78(s;6H)、5.44(s;1H)、6.55(d;1H;J=15.9Hz)、7.31(d;1H;J=15.9Hz)、7.34−7.40(m;3H)、7.45−7.55(m;2H)
(2)IR吸収(cm-1
2999、1718、1634、1591、1382、1374、1279、1197、1017、975、903、815、757、692
(3)UV吸収測定(クロロホルム溶媒)
λmax;345.0nm、ε;1.86×104 (濃度6.68×10-6mol/l)
(4)分解温度(TG−DTA:100ml/分窒素気流中、昇温10℃/分)
融点;81.2℃
第一質量減少開始点;143.3℃
第二質量減少開始点;331.2℃
[実施例2] 化合物No.2の合成
窒素置換した反応フラスコに、 [(2,2−ジメチル−4−オキソ−4H−1,3−ジオキシン−6−イル)メチル] ジフェニルリン酸エステル4.19g(11.2mmol)及びTHF56mlを仕込み、室温でDBU2.44ml(16.0mmol)を滴下し、室温で30分間撹拌した。2−チオフェンアルデヒド0.90g(8.00mmol)をTHF57mlに溶解したものを室温で滴下し、室温で22時間撹拌した。反応液から溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:4)により精製を行い、薄黄色透明油状物を得た。得られた薄黄色透明油状物は、E体及びZ体を1:1.6(前者:後者) の割合で含む異性体混合物であった。
得られた異性体混合物1.33g(5.62mmol)及びベンゼン100mlを混合し、ヨウ素0.5g(1.97mmol)を加え、室温で15時間撹拌した。更にヨウ素1.6g(6.30mmol)を加えて室温で3日間撹拌した。飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液100ml及び酢酸エチル100mlを加えて油層を分離し、油層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過、溶媒留去を行なった後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:4)により精製を行い、薄黄色透明油状物として、化合物No.2の1.15g(収率86.4%)を得た。得られた薄黄色透明油状物が目的物である化合物No.2であることは、下記の分析結果により確認した。得られた化合物No.2についての分析結果を以下に示す。
(1) 1H−NMR(ppm、CDCl3 溶媒)
1.75(s;6H)、5.39(s;1H)、6.33(d;1H;J=15.6Hz)、7.06(dd;1H;J=5.1、3.7Hz)、7.22(d;1H;J=3.7Hz)、7.38(d;1H;J=5.1)、7.41(d;1H;J=15.6)
(2)IR吸収(cm-1
2997、1718、1625、1388、1272、1249、1202、1018、959、707
(3)UV吸収測定(クロロホルム溶媒)
λmax;347.5nm、ε;3.00×104 (濃度2.07×10-5mol/l)
(4)分解温度(TG−DTA:100ml/分窒素気流中、昇温10℃/分)
第一質量減少開始点;131.7℃
第二質量減少開始点;288.2℃
[実施例3] 化合物No.4の合成
窒素置換した反応フラスコに、 [(2,2−ジメチル−4−オキソ−4H−1,3−ジオキシン−6−イル)メチル] ジフェニルリン酸エステル1.0g(2.67mmol)及びTHF14mlを仕込み、室温でDBU0.6ml(3.96mmol)を滴下し、室温で30分間撹拌した。1,4−ベンゼンジアルデヒド0.13g(0.97mmol)をTHF13mlに溶解したものを室温で滴下し、室温で18時間撹拌した。反応液から溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:3)により精製を行い、黄色固体を得た。得られた黄色個体は、E体及びZ体を1:1.2(前者:後者)の割合で含む異性体混合物であった。
得られた異性体混合物0.11g(0.24mmol)、ベンゼン20ml及びアセトニトリル30mlを混合し、ヨウ素0.69g(2.71mmol)を加え、室温で2日間撹拌した。反応液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液30ml及び酢酸エチル30mlを加えて油層を分離し、油層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過、溶媒留去を行なった後、酢酸エチル10mlを用いて洗浄し、薄黄色固体として、化合物No.4の50mg(収率45.4%)を得た。得られた薄黄色固体が目的物である化合物No.4であることは、下記の分析結果により確認した。得られた化合物No.4についての分析結果を以下に示す。
(1) 1H−NMR(ppm、CDCl3 溶媒)
1.78(s;12H)、5.47(s;2H)、6.59(d;2H;J=15.9Hz)、7.29(d;2H;J=16.1Hz)、7.53(s;4H)
(2)IR吸収(cm-1
3032、1718、1632、1589、1381、1271、1250、1201、1020、980、901、830
(3)UV吸収測定(クロロホルム溶媒)
λmax;373.0m、ε;6.32×104 (濃度3.18×10-6mol/l)
(4)分解温度(TG−DTA:100ml/分窒素気流中、昇温10℃/分)
質量減少開始点;105.5℃
[実施例4] 化合物No.20の合成
窒素置換した反応フラスコに、 [(2,2−ジメチル−4−オキソ−4H−1,3−ジオキシン−6−イル)メチル] ジフェニルリン酸エステル0.76g(2.03mmol)及びTHF10mlを仕込み、室温でDBU0.44g(2.90mmol)を滴下し、室温で30分間撹拌した。フェロセンアルデヒド0.31g(1.45mmol)をTHF10mlに溶解したものを室温で滴下し、室温で22時間撹拌した。反応液から溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:10)により精製を行い、薄黄色オイルを得た。得られた薄黄色オイルは、E体及びZ体を1:1.96(前者:後者)の割合で含む異性体混合物であった。
得られた異性体混合物0.68g(2.00mmol)にベンゼン10ml及びヨウ素194mg(0.76mmol)を加え、室温で3日間撹拌した。反応液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液30ml及び酢酸エチル30mlを加えて油層を分離し、油層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過、溶媒留去を行なった後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:4)により精製を行い、赤色固体として、化合物No.20の44.2mg(収率9.0%)を得た。得られた赤色固体が目的物である化合物No.20であることは、下記の分析結果により確認した。得られた化合物No.20についての分析結果を以下に示す。
(1) 1H−NMR(ppm、CDCl3 溶媒)
1.76(s;6H)、4.17(s;5H)、4.44(s;2H)、4.49(s;2H)、5.29(s;1H)、6.12(d;1H、J=15.4Hz)、7.15(d;1H、J=15.4Hz)
(2)IR吸収(cm-1
1708、1626、1381、1275、1252、1205、1022、963
(3)UV吸収測定(クロロホルム溶媒)
λmax;331.0m、ε;2.63×104 (濃度7.48×10-6mol/l)
(4)分解温度(TG−DTA:100ml/分窒素気流中、昇温10℃/分)
融点;84.3℃
質量減少開始点;138.6℃
[実施例5] 粘着剤層を含む光学フィルターの製造
下記の配合にて粘着剤溶液を調製し、易密着処理した188μm厚のPETフィルムに、該粘着剤溶液をバーコーター#9により塗布した後、100℃で10分間乾燥させ、PETフィルム上に厚さ約10μmの粘着剤層を有する光学フィルターを得た。この光学フィルターについて、日本分光(株)製紫外可視近赤外分光光度計V−570で測定したところ、λmaxが348.5nmであった。
(配合)
化合物No.2 2.0mg
アクリル系粘着剤(DB5541:ダイヤボンド社製) 20g
メチルエチルケトン 80g
[実施例6] 光学フィルターの製造
下記の配合にてUVワニスを作成し、易密着処理した188μm厚のPETフィルムに、該UVワニスをバーコーター#9により塗布した後、100℃で10分間乾燥させた。その後、赤外線カットフィルムフィルター付き高圧水銀灯にて紫外線を100mJ照射し、PETフィルム上に硬化膜厚約5μmのフィルム層を有する光学フィルターを得た。この光学フィルターについて、日本分光(株)製紫外可視近赤外分光光度計V−570で測定したところ、λmaxが369nmであった。
(配合)
アデカオプトマーKRX−571−65 100g
(旭電化工業社製UV硬化樹脂、樹脂分80質量%)
化合物No.4 2.0mg
メチルエチルケトン 60g
[実施例7] 光学記録材料及び光学記録媒体の製造並びに光学記録媒体の評価
上記実施例2で得た化合物No.2を、化合物No.2の濃度が1.0質量%となるように2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに溶解して、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液として光学記録材料を得た。チタンキレート化合物(T−50:日本曹達社製)を塗布、加水分解して下地層(0.01μm)を設けた直径12cmのポリカーボネートディスク基板上に、上記光学記録材料をスピンコーティング法にて塗布して、厚さ100nmの光学記録層を形成し光学記録媒体を得た。この光学記録媒体について、薄膜の吸収UVスペクトルと入射角5°の反射光のUVスペクトルを測定したところ、吸収λmaxは348.5nm、反射光λmaxは396.5nmであった。
[実施例8] 光学記録材料及び光学記録媒体の製造並びに光学記録媒体の評価
上記実施例2で得た化合物No.2に代えて、上記実施例3で得た化合物No.4を用いた以外は、実施例7と同様にして、光学記録媒体を得た。この光学記録媒体について、薄膜の吸収UVスペクトルと入射角5°の反射光のUVスペクトルを測定したところ、吸収λmaxは369nm、反射光λmaxは430nmであった。
[実施例9] 光学記録材料及び光学記録媒体の製造並びに光学記録媒体の評価
上記実施例2で得た化合物No.2に代えて、上記実施例4で得た化合物No.20を用いた以外は、実施例7と同様にして、光学記録媒体を得た。この光学記録媒体について、55000ルクスの光を100時間照射し、照射前のUV吸収スペクトルのλmaxにおける、照射前のUV吸収スペクトルのλmaxでの吸光度に対する照射後の吸光度残率を測定したところ、78%であった。
本発明のジオキシノン化合物を使用した光学フィルターは、特定の波長(340〜390nm)に吸収極大を有しており(実施例5及び6)、本発明のジオキシノン化合物は、光学フィルター用紫外線吸収剤として好適であることが確認できた。
また、本発明のジオキシノン化合物を含有する本発明の光学記録材料により形成された光学記録層を有する光学記録媒体は、特定の波長(340〜430nm)に反射光の吸収極大を有している(実施例7及び8)。光ディスクに代表される光学記録媒体の再生モードでは、レーザ光を光学記録媒体に反射させた反射光について、レーザ波長の光量の差で記録の有無を検出するので、光学記録媒体は、反射光の吸収スペクトルにおいて、レーザ光の波長に近いところで大きい吸収強度を示すものほど好ましい。従って、本発明のジオキシノン化合物を含有する本発明の光学記録材料は、短波長レーザ用光ディスク等の405nmのレーザ光を用いる光学記録媒体の光学記録層の形成に用いる光学記録材料として好適である。

Claims (8)

  1. 下記一般式(I)で表されるジオキシノン構造を有する化合物。
    Figure 2007091705
    (式中、Aは下記 [化2] に示す(イ)〜(ヘ)の群から選ばれる構造を表し、R1 及びR2 はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリールオキシ基又は置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリールアルキル基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
    Figure 2007091705
    (式中、R3 及びR4 はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリールアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基又は下記一般式(α)で表される基を表し、R6 〜R14は各々独立に水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基中のメチレン基は−O−又は−CO−で置換されていてもよく、Z1 は、直接結合又は置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキレン基を表し、該アルキレン基中のメチレン基は−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−S−、−SO2 −、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置換されていてもよく、Z2 は直接結合又は置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキレン基を表し、該アルキレン基中のメチレン基は−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2 −、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置換されていてもよく、X1 は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又は−NR5 −を表し、X2 は、窒素原子又は=CR5 を表し、R5 は水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数2〜10のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜30のアリールアルキル基、置換基を有してもよい複素環基又はハロゲン原子を表し、M1 はFe、Co、Ni、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Mo、Os、Mn、Ru、Sn、Pd、Rh、Pt又はIrを表し、m、p、q、tはそれぞれ独立に1〜4の整数を表し、r、b、cはそれぞれ独立に1〜3の整数を表し、sは1〜5の整数を表し、aは1又は2を表す。)
    Figure 2007091705
    (式中、R15〜R23は各々独立に水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基中のメチレン基は−O−又は−CO−で置換されていてもよく、Z3 は、直接結合又は置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキレン基を表し、該アルキレン基中のメチレン基は−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2 −、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置換されていてもよく、M2 はFe、Co、Ni、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Mo、Os、Mn、Ru、Sn、Pd、Rh、Pt又はIrを表す。)
  2. 上記一般式(I)が下記一般式(II)で表される請求項1記載のジオキシノン構造を有する化合物。
    Figure 2007091705
    (式中、R1 、R2 、R3 、R4 、m及びpは、上記一般式(I)と同じである。)
  3. 上記一般式(I)が下記一般式(III)で表される請求項1記載のジオキシノン構造を有する化合物。
    Figure 2007091705
    (式中、R1 、R2 、R3 及びaは、上記一般式(I)と同じである。)
  4. 上記一般式(I)が下記一般式(IV)で表される請求項1記載のジオキシノン構造を有する化合物。
    Figure 2007091705
    (式中、R1 、R2 、R3 、R4 、m及びpは、上記一般式(I)と同じである。)
  5. 上記一般式(I)が下記一般式(V)で表される請求項1記載のジオキシノン構造を有する化合物。
    Figure 2007091705
    (式中、R1 、R2 、R6 、R7 、R8 、R9 、R10、R11、R12、R13、R14、Z2 及びM1 は、上記一般式(I)と同じである。)
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のジオキシノン構造を有する化合物を含有してなる光学フィルター。
  7. 画像表示装置用である請求項6に記載の光学フィルター。
  8. 基体上に光学記録層が形成された光学記録媒体における該光学記録層の形成材料として用いられる、請求項1〜5のいずれかに記載のジオキシノン構造を有する化合物を含有してなる光学記録材料。
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