JP2007090877A - 熱収縮性積層フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル及び容器 - Google Patents

熱収縮性積層フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル及び容器 Download PDF

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Abstract

【課題】フィルムの腰(常温での剛性)、収縮仕上がり性、再生添加時の透明性に優れ、自然収縮が小さく、層間剥離が十分に抑制された熱収縮性積層フィルム、熱収縮性ラベル及び該ラベルを装着した容器を提供する。
【解決手段】 ポリ乳酸系樹脂とアクリル系樹脂とを主成分とする(I)層と、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする(II)層の少なくとも2層を有する積層フィルムにおいて、80℃の温水中に10秒間浸漬したときの熱収縮率を少なくとも一方向において20%以上とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱収縮性積層フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル及びこれらを装着した容器に関する。より詳しくは、本発明は、フィルムの腰(常温での剛性)があり、熱収縮特性に優れ、自然収縮が小さく、かつ再生添加時の透明性に優れた、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品及び容器に関する。
現在、ジュース等の清涼飲料、ビール等のアルコール飲料等は、瓶、ペットボトル等の容器に充填された状態で販売されている。その際、他商品との差別化や商品の視認性を向上させるために、容器の外側に印刷を施した熱収縮性ラベルを装着していることが多い。この熱収縮性ラベルの素材としては、通常、ポリ塩化ビニル(以下「PVC」という。)、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン等が用いられている。
上記の用途に対し、室温において剛性であり、低温収縮性を有し、かつ自然収縮性が非常に良好なポリエステル系熱収縮性フィルムが主として使用されている。しかしながら、ポリエステル系熱収縮フィルムは、PVC系熱収縮性フィルムと比較すると加熱収縮時に収縮斑やしわが発生しやすいという問題があった。
また、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂を主成分とするポリオレフィン系熱収縮フィルムも開発されているが、十分な低温熱収縮性が得られないほか、自然収縮性が劣る等の問題があった(特許文献1参照)。
上記問題に対し、ポリオレフィン系樹脂を芯層とし、その両面に接着樹脂層を介して酸成分とジオール成分からなるポリエステル系樹脂を積層した熱収縮性フィルムが報告されている(特許文献2参照)。しかしながら、該フィルムは両面層のポリエステル系樹脂と芯層のポリオレフィン樹脂との相溶性が劣るため、フィルムの耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル可能な樹脂を添加(以下、「再生添加」と称する)した際に、フィルム全体の透明性が極端に低下する問題があった。
ところで、ポリオレフィン系樹脂とポリ乳酸系樹脂とを組み合わせた積層フィルムも報告されている(特許文献3参照)。しかしながら、このフィルムは、充填材を35質量%以上80質量%以下の範囲で含有させた外層を有するため、延伸後のフィルムが透明性、機械強度に劣ってしまうという問題があった。さらに、特許文献3に記載のフィルムは、フィルムの表面に多数の微細孔が存在していたため、印刷性、すべり性などに劣り、ラベル用途として用いることは困難であった。
また、粘度平均分子量が1,000以上7,000以下であるポリオレフィン樹脂をポリ乳酸基材フィルムにエマルジョンコーティングした、ポリオレフィン系樹脂とポリ乳酸系樹脂とを組み合わせた積層フィルムが報告されている(特許文献4参照)。しかしながら、このフィルムは易接着を目的としており、またポリオレフィンの分子量が低すぎるため、機械的強度と耐熱性が低く、本発明のような熱収縮フィルムとしては到底使用することはできない。
また、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする層とポリ乳酸系樹脂を主成分とする層とを有する収縮シートが例示されている(特許文献5参照)。しかしながら、このシートはコンビニエンスストアなどで販売される弁当、惣菜などの収縮包装用フィルムを作製することを目的としインフレーション法による収縮シート成形を試みたものであり、低温高収縮が必要とされるボトル用ラベルとして使用した場合には、十分な低温収縮特性が得られなかった。
また、ポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂やエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)との積層フィルムも例示されている(特許文献6及び7参照)。しかしながら、これらの発明は、ヒートシール性を与える目的でEVA層をフィルムの表裏層として導入するものであり、本発明の目的とする効果(すなわち収縮仕上がり性、透明性など)は得られない。
特開2003−118041号公報 特開平6−27885号公報 特開2002−347184号公報 特開2003−276144号公報 特開2002−019053号公報 特開2000−108202号公報 特開2004−262029号公報
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、フィルムの腰があり、優れた熱収縮特性を有し、自然収縮が小さく、かつ再生添加後も優れた透明性を有する収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルムを提供することにある。
本発明のもう一つの課題は、収縮包装、収縮結束包装、収縮ラベル等の用途に適した前記フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、及び容器を提供することにある。
本発明者は、積層フィルムを形成する各層における組成を鋭意検討した結果、上記従来技術の問題点を解消し得るフィルムを得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、以下の熱収縮性積層フィルムにより達成される。
(1)(I)層と(II)層の少なくとも2層を有する積層フィルムであって、各層が下記樹脂を主成分としてなり、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの熱収縮率が少なくとも一方向において20%以上であることを特徴とする熱収縮性フィルム。
(I)層:ポリ乳酸系樹脂(A)とアクリル系樹脂(B)との混合樹脂
(II)層:ポリオレフィン系樹脂
(2)前記(I)層のポリ乳酸系樹脂(A)とアクリル系樹脂(B)との質量比が(A)/(B)=95/5乃至50/50の範囲である(1)に記載の熱収縮性積層フィルム。
(3)JIS K7142に準拠して測定された前記(I)層と(II)層との屈折率の差が±0.05以内である(1)又は(2)に記載の熱収縮性積層フィルム。
(4)フィルム全体に対する(I)層の厚み比が10%以上50%以下である(1)乃至(3)のいずれかに記載の熱収縮性フィルム
(5)(I)層と(II)層との間に接着性樹脂を主成分としてなる(III)層をさらに有する(1)乃至(4)のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
(6)(II)層がリサイクルされた前記フィルムを含有し、該フィルムの含有量が(II)層を構成する樹脂100質量部に対し、1質量部以上50質量部以下であり、かつJIS K7105に準拠して測定されるフィルムのヘーズ値が10%以下である(1)乃至(5)のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
本発明のもう一つの目的は、以下の成形品、熱収縮性ラベル、及び容器により達成される。
(7)前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた成形品。
(8)前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた熱収縮性ラベル。
(9)(7)に記載の成形品又は(8)に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
本発明によれば、腰があり、優れた熱収縮特性を有し、自然収縮が小さく、かつ再生添加後も優れた透明性を有する収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルムを提供することができる。
さらに、本発明によれば、腰があり、優れた収縮仕上がり性と優れた透明性を兼ね備えた成形品、熱収縮性ラベル、及び前記成形品又はラベルを装着した容器を提供することができる。
以下、発明の熱収縮性積層フィルム、成形品、熱収縮性ラベル、及び該成形品又は熱収縮性ラベルを装着した容器について詳細に説明する。
なお、本明細書において、「主成分とする」とは、各層を構成する樹脂の作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。さらに、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、各層の構成成分全体の70質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、かつ100質量%以下を占める成分である。
[熱収縮性積層フィルム]
本発明の熱収縮性積層フィルム(以下「本発明のフィルム」ともいう。)は、ポリ乳酸系樹脂とアクリル系樹脂の混合樹脂を主成分とする(I)層と、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする(II)層、あるいは(I)層と(II)層との間に接着性樹脂を主成分としてなる(III)層を設けることを特徴とする。
<(I)層>
本発明において、(I)層はポリ乳酸系樹脂(A)とアクリル系樹脂(B)との混合樹脂を主成分とする。(I)層で使用されるポリ乳酸系樹脂(A)は、D−乳酸若しくはL−乳酸の単独重合体又はそれらの共重合体であり、これらの混合物も含まれる。より具体的には、構造単位がd−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、L−乳酸とD−乳酸との共重合体であるポリ(DL−乳酸)、又はこれらの混合物である。
本発明で用いられるポリ乳酸系樹脂(A)がD−乳酸とL−乳酸との共重合体である場合、D−乳酸とL−乳酸との共重合比はD−乳酸:L−乳酸=99.8:0.2乃至75:25であるか、又はD−乳酸:L−乳酸=0.2:99.8乃至25:75であることが好ましく、D−乳酸:L−乳酸=99.5:0.5乃至80:20又はD−乳酸:L−乳酸=0.5:99.5乃至20:80であることがより好ましく、D−乳酸:L−乳酸=99:1乃至85:15であるか、又はD−乳酸:L−乳酸=1:99乃至15:85であることがさらに好ましい。
D−乳酸単独又はL−乳酸単独からなるポリ乳酸は、非常に高い結晶性を示し、融点が高く、耐熱性及び機械的物性に優れる傾向がある。しかしながら、熱収縮性フィルムとして使用する場合は、通常、印刷工程及び溶剤を用いた製袋工程が伴うため、印刷適性及び溶剤シール性を向上させるために構成材料自体の結晶性を適度に下げることが必要となる。また、結晶性が過度に高い場合、延伸時に配向結晶化が進行し、収縮特性が低下する傾向がある。このような観点からは、本発明に用いられるポリ乳酸系樹脂はD−乳酸:L−乳酸=99.8:0.2乃至75:25、又はD−乳酸:L−乳酸=0.2:99.8乃至25:75の範囲である混合物が好ましい。
本発明において、ポリ乳酸系樹脂(A)は、異なる共重合比を有するD−乳酸とL−乳酸とを使用することもできる。その場合には、複数の乳酸系重合体のD−乳酸とL−乳酸との共重合比の平均値が上記範囲内に入るようにすればよい。使用用途に合わせて、D−乳酸とL−乳酸との共重合体比の異なるポリ乳酸系樹脂を二種以上混合し、結晶性を調整することにより、耐熱性と熱収縮特性のバランスをとることができる。
上記ポリ乳酸系樹脂(A)は、乳酸と、α−ヒドロキシカルボン酸や脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸との共重合体であってもよい。ここで、乳酸系樹脂に共重合される「α−ヒドロキシカルボン酸」としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸をそれぞれ指す)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒロドキシ3−メチル酪酸、2−メチル酪酸、2−ヒドロキシカプロラクトン酸などの2官能脂肪族ヒドロキシ−カルボン酸、及びカプロラクトン、ブチルラクトン、バレロラクトンなどのラクトン類が挙げられる。また、乳酸系樹脂に共重合される「脂肪族ジオール」としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。また共重合される「脂肪族ジカルボン酸」としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸及びドデカン二酸などが挙げられる。
上記ポリ乳酸系樹脂(A)のビカット軟化点は、50℃以上、好ましくは55℃以上であり、95℃以下、好ましくは85℃以下であることが望ましい。ポリ乳酸系樹脂(A)のビカット軟化点が50℃以上であれば、得られる熱収縮性積層フィルムを常温よりやや高い温度(例えば夏場の室内温度)で放置しても自然収縮を抑制できる。またポリ乳酸系樹脂(A)のビカット軟化点が95℃以下であれば、フィルムの延伸時に低温延伸を実現でき、得られるフィルムに良好な収縮特性を与えることができる。
上記ポリ乳酸系樹脂(A)は、縮合重合法、開環重合法などの公知の重合法により作製することができる。例えば、縮合重合法であれば、D−乳酸、L−乳酸、又はこれらの混合物を直接脱水縮合重合して任意の組成を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状2量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤などを用いながら、所定の触媒の存在下で開環重合することにより任意の組成を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。上記ラクチドには、L−乳酸の二量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより、任意の組成、結晶性を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。さらには、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、ジエポキシ化合物、酸無水物、酸クロライドなどを使用しても構わない。
上記ポリ乳酸系樹脂(A)の重量(質量)平均分子量は、20,000以上、好ましくは40,000以上、さらに好ましくは60,000以上であり、上限が400,000以下、好ましくは350,000以下、さらに好ましくは300,000以下である。ポリ乳酸系樹脂の重量(質量)平均分子量が20,000以上であれば、適度な樹脂凝集力が得られ、フィルムの強伸度が不足したり、脆化したりすることを抑えることができる。一方、ポリ乳酸系樹脂の重量(質量)平均分子量が400,000以下であれば、溶融粘度を下げることができ、製造、生産性向上の観点からは好ましい。
上記ポリ乳酸系樹脂(A)の市販品としては、例えば、「NatureWorks」(Nature WorksLLC社製)、「LACEA」(三井化学社製)などが挙げられる。
次に、(I)層で用いられるアクリル系樹脂(B)について説明する。本発明で用いるアクリル系樹脂(B)とは、メタクリル酸メチル単独重合体、又はメタクリル酸メチルと他のビニル単量体との共重合体である。該ビニル単量体としては、例えばメタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸、アクリル酸などの不飽和酸類;スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。また、メタクリル酸メチルと他のビニル単量体との共重合体には、ポリブタジエン又はブタジエン/アクリル酸ブチル共重合体、ポリアクリル酸ブチル共重合体などのエラストマー成分や無水グルタル酸単位、グルタルイミド単位をさらに含んでいてもよい。中でも、剛性、成形性の観点から、メタクリル酸メチルの単独重合体であるポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、及びメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸、メタクリル酸から選ばれる2種以上からなる共重合体が好適に用いられる。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(B)の重量(質量)平均分子量は、20,000以上、好ましくは40,000以上、さらに好ましくは60,000以上であり、上限が400,000以下、好ましくは350,000以下、さらに好ましくは300,000以下である。重量(質量)平均分子量が20,000以上であれば、フィルムの強伸度が不足したり、脆化したりすることを抑えることができる。一方、重量(質量)平均分子量が400,000以下であれば、溶融粘度を下げることができ、製造、生産性向上の観点から好ましい。
上記アクリル系樹脂(B)の市販品としては、例えば、「スミペックス」(住友化学社製)、「アクリペット」(三菱レイヨン社製)、「パラペット」(クラレ社製)、「アルテュグラス」(アトフィナ・ジャパン社製)、「デルペット」(旭化成社製)などが挙げられる。
本発明のフィルムにおいて、(I)層の主成分をなす樹脂は、上述したポリ乳酸系樹脂(A)とアクリル系樹脂(B)との混合樹脂であり、両樹脂の混合量を質量比で(A)/(B)=95/5乃至50/50の範囲内とすることが重要である。(I)層におけるアクリル系樹脂(B)の含有量がポリ乳酸系樹脂(A)とアクリル系樹脂(B)の合計の質量に対して5質量%以上であれば、フィルムの収縮特性、収縮仕上がり性、透明性を向上させる効果を十分得ることができる。一方、アクリル系樹脂(B)の含有量が両樹脂の合計質量に対して50質量%以下であれば、フィルムの耐衝撃性が顕著に低下せず、低温での延伸性を維持することができ、実用温度域(70〜90℃程度)の熱収縮率を充分に得られる。これらのことから、(I)層における混合樹脂は、前記したポリ乳酸系樹脂(A)とアクリル系樹脂(B)とを質量比で(A)/(B)=90/10乃至60/40の範囲内で混合することがより好ましい。
また上記(I)層にはフィルムの耐衝撃性を向上させるために、熱収縮性及びフィルムの剛性を損なわない範囲内で、ポリ乳酸系樹脂(A)以外の他のゴム成分を添加することが好ましい。ゴム成分は特に限定されるものではないが、ポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステル、芳香族−脂肪族ポリエステル、ジオールとジカルボン酸と乳酸系樹脂との共重合体やコアシェル構造ゴム、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(EMA)、エチレン−メチル(メタ)アクリル酸共重合体(EMMA)などを好適に使用できる。
上記ポリ乳酸系樹脂(A)以外の脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリヒロドキシカルボン酸、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮合して得られる脂肪族ポリエステル、環状ラクトン類を開環重合して得られる脂肪族ポリエステル、合成系脂肪族ポリエステルなどが挙げられる。前記ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロラクロン酸などのヒドロキシカルボン酸の単独重合体や共重合体が挙げられる。
脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮合して得られる脂肪族ポリエステルとしては、次に説明する脂肪族ジオール及び脂肪族ジカルボン酸の中からそれぞれ一種類又は二種類以上を選んで縮合するか、あるいは必要に応じてイソシアネート化合物などで分子量をジャンプアップして所望の高分子として得ることができる重合体が挙げられる。ここで、脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられ、脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などが挙げられる。
また、環状ラクトン類を開環縮合した脂肪族ポリエステルとしては、例えば環状モノマーであるε−カプロラクトン、σ−バレロラクトン、β−メチル−σ−バレロラクトンなどの開環重合体が挙げられる。これらの環状モノマーは一種だけでなく、複数種を選択して共重合することもできる。
また、合成系脂肪族ポリエステルとしては、例えば、環状酸無水物とオキシラン類との共重合体、例えば、無水コハク酸とエチレンオキサイドとの共重合体、プロピオンオキサイドなどとの共重合体などが挙げられる。
これらポリ乳酸系樹脂(A)以外の脂肪族ポリエステルの代表的なものとしては、コハク酸と1,4−ブタンジオールとアジピン酸とを重合して得られる「ビオノーレ」(昭和高分子社製)を商業的に入手することができる。また、ε−カプロラクトンを開環縮合して得られるものとしては、「セルグリーン」(ダイセル化学工業社製)が挙げられる。
次に、芳香族−脂肪族ポリエステルとしては、脂肪族鎖の間に芳香環を導入することによって結晶性を低下させたものを用いることができる。芳香族−脂肪族ポリエステルは、例えば、芳香族ジカルボン酸と、脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオールとを縮合して得られる。
ここで、上記芳香族ジカルボン酸としては、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、テレフタル酸が最も好適に用いられる。また、脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などが挙げられ、アジピン酸が最も好適に用いられる。なお、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸あるいは脂肪族ジオールは、それぞれ二種類以上を用いてもよい。
芳香族脂肪族ポリエステルの代表的なものとしては、テトラメチレンアジペートとテレフタレートの共重合体、ポリブチレンアジペートとテレフタレートの共重合体などが挙げられる。テトラメチレンアジペートとテレフタレートの共重合体としてEasterBio(Eastman Chemicals社製)、またポリブチレンアジペートとテレフタレートの共重合体として、Ecoflex(BASF社製)を商業的に入手することができる。
ポリ乳酸系樹脂とジオールとジカルボン酸の共重合体の構造としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体が挙げられ、いずれの構造でもよい。但し、フィルムの耐衝撃性及び透明性の観点から、ブロック共重合体又はグラフト共重合体が好ましい。ランダム共重合体の具体例としては「GS−ポリ乳酸」(三菱化学社製)が挙げられ、ブロック共重合体又はグラフト共重合体の具体例としては「プラメート」(大日本インキ化学工業社製)が挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂とジオールとジカルボン酸の共重合体の製造方法は、特に限定されないがジオールとジカルボン酸とを脱水縮合した構造を持つポリエステルまたはポリエーテルポリオールを、ラクチドと開環重合あるいはエステル交換反応させて得る方法が挙げられる。また、ジオールとジカルボン酸とを脱水縮合した構造を持つポリエステルまたはポリエーテルポリオールを、ポリ乳酸系樹脂と脱水・脱グリコール縮合あるいはエステル交換反応させて得る方法がある。
ポリ乳酸系樹脂とジオールとジカルボン酸の共重合体は、イソシアネート化合物やカルボン酸無水物を用い手所定の分子量に調整することが可能である。但し、加工性、機械的特性の観点から、重量(質量)平均分子量は50,000以上、好ましくは100,000以上であり、かつ300,000以下、好ましくは250,000以下のものが望ましい。
次に、(I)層に添加可能なコアシェル構造ゴムとは、(メタ)アクリル酸−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などのジエン系コアシェル型重合体、(メタ)アクリル酸−スチレン−アクリロニトリル共重合体などのアクリル系コアシェル型重合体、シリコーン−(メタ)アクリル酸−メチル(メタ)アクリル酸共重合体、シリコーン−(メタ)アクリル酸−アクリロニトリル−スチレン共重合体などのシリコーン系コアシェル型共重合体が挙げられる。この中でもポリ乳酸系樹脂との相溶性が良好であり、フィルムの耐衝撃性、透明性のバランスのとれるシリコーン−(メタ)アクリル酸−メチル(メタ)アクリル酸共重合体がより好適に用いられる。
具体的には、「メタブレン」(三菱レイヨン社製)、「カネエース」(カネカ社製)などが商業的に入手できる。
次に、(I)層に添加可能なエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(EMA)、エチレン−メチル(メタ)アクリル酸エステル共重合体(EMMA)としては、エチレン含有率が30モル%以上、好ましくは40モル%以上であり、かつ90モル%以下、好ましくは80モル%以下であるものが好適に使用される。エチレン含有率が30モル%以上であれば、フィルム全体の剛性、耐熱性を良好に維持でき、またエチレン単位の含有率が90モル%以下であれば、フィルムの耐衝撃性に対する効果が十分に得られるほか、透明性も維持できるため好ましい。これらの中でも、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)をより好適に使用できる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)の市販品としては、例えば、「EVAFLEX」(三井デュポンポリケミカル社製)、「ノバテックEVA」(三菱化学社製)、「エバスレン」(大日本インキ化学工業社製)、「エバテート」(住友化学社製)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)としては「ノバテックEAA」(三菱化学社製)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EMA)やエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(EMA)としては「ノアフロイAC」(三井デュポンポリケミカル社製)、エチレン−メチル(メタ)アクリル酸共重合体(EMMA)としては「アクリフト」(住友化学社製)などが挙げられる。
上記ゴム成分の添加量は、(I)層に含まれるポリ乳酸系樹脂とアクリル系樹脂との混合樹脂100質量部に対し、100質量部以下、好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下であることが好ましい。ゴム成分の添加量を100質量部以下とすることにより、フィルムの剛性、透明性を損なわず、熱収縮ラベルとして好適に使用することができる。また、ゴム成分の添加量を10質量部以上とすることにより、フィルムに良好な耐衝撃性を付与することができる。
<(II)層>
本発明のフィルムにおいて、(II)層はポリオレフィン系樹脂を主成分として構成される。(II)層で用いられるポリオレフィン系樹脂は特に限定されないが、熱収縮特性、機械的物性及び成形性の観点からは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、又はこれらの混合物であることが好ましい。ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂は、重合方法や共重合成分などにより多様な種類が存在するため、好ましい種類を以下に示すが、その範囲に限定されるものではない。
(II)層で用いられるポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂である場合、ポリエチレン系樹脂としては、通常、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)などが挙げられる。延伸性、フィルムの耐衝撃性、透明性等の観点からは、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)が特に好適に用いられる。
上記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)としては、エチレンと炭素数3乃至20、好ましくは炭素数4乃至12のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が例示される。中でも1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好適に用いられる。また、共重合するα−オレフィンは1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いても構わない。
上記ポリエチレン系樹脂の密度は0.80g/cm3以上、より好ましくは0.85g/cm3以上、さらに好ましくは0.90g/cm3以上であり、かつ0.945g/cm3以下、好ましくは0.935g/cm3以下、さらに好ましくは0.925g/cm3以下の範囲である。密度が0.80g/cm3以上であればフィルム全体の腰(常温での剛性)や耐熱性を著しく低下させないため、実用上好ましい。一方、密度が0.945g/cm3以下であれば、低温での延伸性が維持され、実用温度域(70℃以上90℃以下程度)の熱収縮率が充分得ることができる点で好ましい。
また、ポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.18N)が、0.5g/10分以上、好ましくは1.0g/10分以上であり、15g/10分以下、好ましくは10g/10分以下であることが望ましい。ここで、ポリエチレン系樹脂のMFRは均一な厚みのフィルムを得るために(I)層と(II)層の溶融時の粘度に類似したものを選択することが好ましい。
(II)層で用いられるポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂である場合、ポリプロピレン系樹脂としては、ホモプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、プロピレン−エチレンゴム、プロピレン−ブテンゴム、プロピレン−ジエンゴム等が挙げられる。中でも延伸性、透明性、剛性などの観点からランダムポリプロピレン樹脂が特に好適に使用される。
上記ランダムポリプロピレン樹脂において、プロピレンと共重合させるα−オレフィンとしては、好ましくは炭素数2乃至20、より好ましくは炭素数4乃至12のものが挙げられ、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどを例示できる。本発明においては、延伸性、熱収縮特性、フィルムの耐衝撃性や透明性、剛性等の観点から、α−オレフィンとしてエチレン単位の含有率が2質量%以上10質量%以下のランダムポリプロピレンが特に好適に用いられる。また、共重合するα−オレフィンは1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いても構わない。
また、ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:230℃、荷重:21.18N)が、0.5g/10分以上15g/10分以下が好ましく、1.0g/10分以上10g/10分以下であるものが用いられる。ここで、MFRは、均一な厚みのフィルムを得るために(I)層及び(II)層の溶融時の粘度に類似したものを選択することが好ましい。
上記(II)層で用いられるポリオレフィン系樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えばチーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。
具体的には、ポリエチレン系樹脂として商品名「ノバテックHD、LD、LL」「カーネル」「タフマーA,P」(日本ポリエチ社製)、「サンテックHD,LD」(旭化成社製)、「HIZEX」「ULTZEX」「EVOLUE」(三井化学社製)、「モアテック」(出光興産社製)、「UBEポリエチレン」「UMERIT」(宇部興産社製)、「NUCポリエチレン」「ナックフレックス」(日本ユニカー社製)、「Engage」(ダウケミカル社製)などが市販されている。またポリプロピレン系樹脂としては、商品名「ノバテックPP」「WINTEC」「タフマーXR」(日本ポリプロ社製)、「三井ポリプロ」(三井化学社製)、「住友ノーブレン」「タフセレン」「エクセレンEPX」(住友化学社製)、「IDEMITSU PP」「IDEMITSU Tポリオレフィン」(出光興産社製)、「Adflex」「Adsyl」(サンアロマー社製)などが市販されている。これらの共重合体は、各々単独に、又は2種以上を混合して使用することができる。
また、本発明において(II)層には、必要に応じて、炭化水素樹脂類を添加してもよい。炭化水素樹脂類を添加することにより、低温での延伸性が維持でき、熱収縮特性の向上が期待できる。
上記炭化水素樹脂類のうち、石油樹脂としては、シクロペンタジエン又はその二量体からの脂環式石油樹脂やC成分からの芳香族石油樹脂があり、テルペン樹脂としてはβ−ピネンからのテルペン樹脂やテルペン−フェノール樹脂が、また、ロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトール等で変性したエステル化ロジン樹脂等が例示できる。該炭化水素樹脂類は、ポリオレフィン系樹脂等に混合した場合に比較的良好な相溶性を示すことが知られているが、色調、熱安定性及び、相溶性から水素添加誘導体を用いることが好ましい。
具体的には、三井化学(株)の商品名「ハイレッツ」、「ペトロジン」、荒川化学工業(株)の商品名「アルコン」、ヤスハラケミカル(株)の商品名「クリアロン」、出光石油化学(株)の商品名「アイマーブ」、トーネックス(株)の商品名「エスコレッツ」等の市販品を用いることができる。
炭化水素樹脂類は、主に分子量に応じて種々の軟化温度を有するものがあるが、本発明においては、軟化温度が100℃以上150℃以下、好ましくは110℃以上140℃以下のものが好適に用いられる。ここで、軟化温度が100℃以上であれば、ポリオレフィン系樹脂に混合した際に、シート表面にブリードし、ブロッキングを招いたり、シート全体の機械的強度が低下して破れやすくなったりすることがなく、実用的好ましい。一方、150℃以下であれば、ポリオレフィン系樹脂との相溶性が良好に維持され、経時的にフィルム表面にブリードし、ブロッキングや透明性の低下を招いたりすることがなく、好ましい。
(II)層に添加する炭化水素樹脂類の混合量は、(II)層を構成する樹脂100質量部に対し、5質量部以上80質量部以下であることが好ましい。ここで、炭化水素樹脂類の混合量が5質量部以上であれば、フィルム表面の光沢度や収縮特性を向上する効果が顕著である。一方、前記樹脂の混合量が80質量部以下であれば、経時的に表面にブリードし、フィルム同士がブロッキングしやすくなったり、耐衝撃性が低下したりするなどの問題が発生し難く好ましい。これらのことから(II)層に添加する炭化水素樹脂類の混合量は、(II)層を構成する樹脂100質量部に対し、10質量部以上60質量部以下であることがより好ましい。
<(III)層>
本発明のフィルムは、(I)層と(II)層との層間接着性を向上させる目的で、両層の間に接着樹脂を主成分としてなる(III)層を設けることもできる。接着樹脂としては、下記(a)、(b)、及び(c)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合体又は樹脂を主成分とすることが好ましい。
(a)エチレンと、酢酸ビニル、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エチル、メチル(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、及びメタクリル酸グリシジルからなる群から選ばれる1種の単位とからなる共重合体(以下「エチレン系共重合体」ともいう。)
(b)軟質の芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はこれらの水素添加誘導体
(c)変性ポリオレフィン系樹脂
先ず(a)のエチレン系共重合体について説明する。上記エチレン系共重合体としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸グリシジル三元共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−メタクリル酸グリシジル三元共重合体が挙げられる。中でも、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリル酸共重合体を好適に使用できる。
上記エチレン系共重合体は、エチレン単位の含有率が30質量%以上90質量%以下、好ましくは40質量%以上80質量%以下で有ることが望ましい。エチレン単位の含有率が30質量%以上であれば、フィルム全体の剛性を良好に維持できるため、好ましい。一方、エチレン単位の含有率が90質量%以下であれば、柔軟性を十分に維持でき、フィルムに応力が加わった場合に、(I)層と(II)層の間に生じる応力への緩衝作用が働くため、層間剥離を抑えることができる。
上記エチレン系共重合体は、MFR(JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.18N)が0.1g/10分以上、好ましくは0.5g/10分以上であり、10g/10分以下、好ましくは8.0g/10分以下のものが好適に用いられる。MFRが0.1g/10分以上であれば、押出加工性を良好に維持でき、一方、MFRが10g/10分以下であれば積層フィルムの厚み斑や力学強度の低下を起こしにくく、好ましい。
上記エチレン系共重合体は、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸三元共重合体として「ボンダイン」(住友化学社製)、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸グリシジル三元共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−メタクリル酸グリシジル三元共重合体として「ボンドファースト」(住友化学社製)などが商業的に入手できる。
次に、上記(b)の共重合体及びその水素添加誘導体について説明する。軟質の芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体を構成する芳香族系炭化水素としては、スチレン系炭化水素が好適に用いられ、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α―メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等のスチレン同族体なども用いることができる。また、共役ジエン系炭化水素としては、1対の共役二重結合を有する時オレフィンであり、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,2−イソプレン、1,4−イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられ、これらは水素添加誘導体であってもよい。これらは単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。
上記芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はその水素添加誘導体は、芳香族系炭化水素の含有率(好ましくはスチレン系炭化水素の含有率)が共重合体の総量の5質量%以上、好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、かつ50質量%以下、好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である軟質な共重合体であることが望ましい。芳香族系炭化水素の含有率が5質量%以上であれば、リサイクルされたフィルムを(I)層、(II)層、及び(III)層のいずれかの層(好ましくは(II)層)に再生添加した場合に、良好な相溶性が得られ、フィルムの白濁化を抑えることができる。一方、芳香族系炭化水素の含有率が50質量%以下であれば、(III)層の柔軟性を低下させることなく、フィルムに応力が加わった場合に、(I)層又は(II)層との間に生じる応力への緩衝作用が働くため、層間剥離を抑えることができる。
芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体の水素添加誘導体としては、スチレン−共役ジエン系ランダム共重合体の水素添加誘導体を好ましく用いることができる。スチレン−共役ジエン系ランダム共重合体の水素添加誘導体の詳細な内容及びその製造方法については、特開平2−158643号、特開平2−305814号及び特開平3−72512号の各公報に開示されている。
芳香族系炭化水素−共役ジエン系炭化水素共重合体は、上記例示した各々の共重合体を単独に、又は2種以上を混合して使用することができる。
芳香族系炭化水素−共役ジエン系炭化水素共重合体の市販品としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体エラストマーとして商品名「タフプレン」(旭化成社製)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加誘導体として商品名「タフテックH」(旭化成ケミカルズ社製)、商品名「クレイトンG」(クレイトンジャパン社製)、スチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加誘導体として商品名「ダイナロン」(JSR社製)、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添加誘導体として商品名「セプトン」(クラレ)、スチレン−ビニルイソプレンブロック共重合体エラストマーとして商品名「ハイブラー」(クラレ社製)等が挙げられる。
また、上記芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はその水素添加誘導体は、極性基を導入することで、ポリ乳酸系樹脂を主成分とする(I)層との層間接着性を一層向上させることができる。導入する極性基としては、酸無水物基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、カルボン酸塩化物基、カルボン酸アミド基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、スルホン酸塩化物基、スルホン酸アミド基、スルホン酸塩基、エポキシ基、アミノ基、イミド基、オキサゾリン基、水酸基などが挙げられる。極性基を導入した芳香族炭化水素(好ましくはスチレン系炭化水素)と共役ジエンの共重合体又はその水素添加誘導体としては、無水マレイン酸変性SEBS、無水マレイン酸変性SEPS、エポキシ変性SEBS、エポキシ変性SEPSなどが代表的に挙げられる。無水マレイン酸等のカルボン酸で変性する場合、カルボン酸の含有率は0.5質量%以上、好ましくは0.8質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上であって、3質量%以下、好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは2.0質量%以下であり、かつ芳香族系炭化水素の含有率が5質量%以上、好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であって、50質量%以下、好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下であることが望ましい。変性するカルボン酸の含有率が上記範囲であれば、安定した接着樹脂が得られるほか、(I)層と(II)層との層間強度を高めることができる。また芳香族炭化水素の含有率が上記範囲内であれば、リサイクルされたフィルムを再生添加した場合においても、良好な相溶性が得られ、フィルムの白濁化を抑えることができ、また(III)層の柔軟性を低下させることなく、フィルムに応力が加わった場合に、(I)層又は(II)層との間に生じる応力への緩衝作用が働くため、層間剥離を抑えることができる。これらの共重合体は、各々単独に又は2種以上を混合して使用することができる。
具体的には、商品名「タフテックM」(旭化成ケミカルズ社製)、「エポフレンド」(ダイセル化学社製)などが市販されている。
次に、上記(c)の変性ポリオレフィン樹脂について説明する。本発明において、(III)層を構成し得る変性ポリオレフィン樹脂とは、不飽和カルボン酸又はその無水物、あるいはシラン系カップリング剤で変性されたポリオレフィンを主成分とする樹脂をいう。不飽和カルボン酸又はその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸あるいはこれらの誘導体のモノエポキシ化合物と上記酸とのエステル化合物、分子内にこれらの酸と反応し得る基を有する重合体と酸との反応生成物などが挙げられる。また、これらの金属塩も使用することができる。これらの中でも、無水マレイン酸がより好ましく用いられる。また、これらの共重合体は、各々単独に、又は2種以上を混合して使用することができる。
また、シラン系カップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、メタクロイルオキシトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアセチルオキシシランなどを挙げることができる。
変性ポリオレフィン樹脂を製造するには、例えば、予めポリマーを重合する段階でこれらの変性モノマーを共重合させることもできるし、一旦重合したポリマーにこれらの変性モノマーをグラフト共重合させることもできる。また変性はこれらの変性モノマーを単独で又は複数を併用し、その含有率が0.1質量%以上5質量%以下の範囲のものが好適に使用される。この中でもグラフト変性したものが好適に用いられる。
具体的には、商品名「アドマー」(三井化学社製)、「モディック」(三菱化学社製)などが市販されている。
本発明では、(I)層、(II)層、及び(III)層のいずれか一層又は二層以上に対して、上述した成分のほか、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、成形加工性、生産性及び熱収縮性フィルムの諸物性を改良・調整する目的で、フィルムの耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂やシリカ、タルク、カオリン等の無機粒子、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤などの添加剤を適宜添加できる。
本発明のフィルムは、JIS K7142に準拠して測定された前記(I)層と(II)層の屈折率の差が±0.05以下、好ましくは±0.04以下、さらに好ましくは±0.03以下であることが望ましい。屈折率差を±0.05以下とすることで、フィルムの製造工程で生じる切断片などを(I)層及び/又は(II)層、好ましくは(II)層へリサイクルした際にもフィルムの透明性の低下を抑えることが可能である。一般に樹脂の屈折率を所定範囲に調整することは容易ではない。本発明では(I)層のポリ乳酸系樹脂(A)に比較的相溶性の良いアクリル系樹脂(B)の質量比率を調整することによって、この困難性を解決した。
また、本発明のフィルムは、(I)層、(II)層及び(III)層から選ばれる少なくとも1層(好ましくは(II)層)にリサイクルされた本発明のフィルム樹脂(以下「リサイクル樹脂」ともいう。)を含有することができる。リサイクル樹脂の含有量は、含有すべき層を構成する樹脂100質量部に対し、50質量部以下、好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下であることが望ましい。リサイクル樹脂の含有量が50質量部以下であれば、添加後においてもフィルムの良好な透明性を維持することができる。
(II)層にリサイクル樹脂を含有させる場合、(II)層中に含有されるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量は(II)層を構成するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1質量部以上70質量部以下、好ましくは5質量部以上50質量部以下、さらに好ましくは10質量部以上30質量部以下であることが望ましい。また(II)層に含有されるアクリル系樹脂(B)の含有量は(II)層を構成するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、1質量部以上70質量部以下、好ましくは5質量部以上50質量部以下、さらに好ましくは10質量部以上30質量部以下であることが望ましい。同様に、(II)層に含有される接着樹脂の含有量は(II)層を構成するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下、好ましくは1質量部以上20質量部以下、さらに好ましくは1質量部以上10質量部以下であることが望ましい。リサイクル樹脂が上記範囲内であれば、添加後においてもフィルムの良好な透明性を維持することができる。
<フィルムの層構成>
本発明のフィルムは、(I)層と(II)層を有する少なくとも2層構成のものであれば、層構成は特に限定されるものではない。例として、(I)層/(II)層、(I)層/(II)層/(I)層、また接着層である(III)層を導入した構成として(I)層/(III)層/(II)層、(I)層/(III)層/(II)層/(III)層/(I)層、(II)層/(III)層/(I)層/(III)層/(II)層などの構成が挙げられる。中でもより効果的な積層構成としては、(I)層/(III)層/(II)層/(III)層/(I)層である。この層構成を採用することにより、本発明の目的である熱収縮特性に優れ、自然収縮が小さく、再生添加時の透明性に優れた、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルムを生産性、経済性よく得ることができる。
次に、本発明の好適な実施形態の一つである(I)層/(III)層/(II)層/(III)層/(I)層の5層構成のフィルムについて説明する。
各層の厚み比は、上述した作用効果を考慮して設定すればよく、特に限定されるものではない。(I)層のフィルム全体の厚みに対する厚み比は10%以上、好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%であり、前記厚み比の上限は70%以下、好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下である。また中間層(II)層のフィルム全体の厚みに対する厚み比は、20%以上、好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上であり、上限は80%以下、好ましくは75%以下、さらに好ましくは70%以下である。さらに接着層(III)層はその機能から、0.5μm以上、好ましくは0.75μm以上、さらに好ましくは1μm以上であり、上限は6μm以下、好ましくは5μm以下の範囲であることが望ましい。各層の厚み比が上記範囲内であれば、フィルムの腰(常温での剛性)、収縮仕上がり性、再生添加時の透明性、自然収縮に優れ、かつフィルムの層間剥離が抑制された、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルムがバランスよく得ることができる。
本発明のフィルムの総厚みは特に限定されるものではないが、透明性、収縮加工性、原料コスト等の観点からは薄い方が好ましい。具体的には延伸後のフィルムの総厚みが80μm以下であり、好ましくは70μm以下であり、さらに好ましくは50μm以下である。また、フィルムの総厚みの下限は特に限定されないが、フィルムのハンドリング性を考慮すると、20μm以上であることが好ましい。
<物理的・機械的特性>
本発明のフィルムの腰(常温での剛性)は、フィルムの主収縮方向と直交する方向の引張弾性率が1,200MPa以上であることが好ましく、1,400MPaであることがより好ましく、1,600MPa以上であることがさらに好ましい。また、通常使用される熱収縮性フィルムの引張弾性率の上限値は3,000MPa程度であり、好ましくは2,900MPa程度であり、さらに好ましは2,800MPa程度である。フィルムの主収縮方向と直交する方向の引張弾性率が1,200MPa以上あれば、フィルム全体としての腰(常温での剛性)を高くすることができ、特にフィルムの厚みを薄くした場合においても、ペットボトルなどの容器に製袋したフィルムをラベリングマシン等で被せる際に、斜めに被ったり、フィルムの腰折れなどで歩留まりが低下したりしやすいなどの問題点が発生し難く、好ましい。
なお、本明細書において主収縮方向とは、縦方向と横方向のうち延伸方向の大きい方を意味し、例えば、ボトルに装着する場合にはその外周方向に相当する方向である。
次に、本発明のフィルムは、80℃温水中に10秒浸漬したときの熱収縮率が少なくとも一方向において20%以上であることが重要である。
これは、ペットボトルの収縮ラベル用途等の比較的短時間(数秒〜十数秒程度)での収縮加工工程への適応性を判断する指標となる。例えばペットボトルの収縮ラベル用途に適用される熱収縮性フィルムに要求される必要収縮率はその形状によって様々であるが一般に20%乃至70%程度である。
また、現在ペットボトルのラベル装着用途に工業的に最も多く用いられている収縮加工機としては、収縮加工を行う加熱媒体として水蒸気を用いる蒸気シュリンカーと一般に呼ばれているものである。熱収縮性フィルムは被覆対象物への熱の影響などの点からできるだけ低い温度で十分熱収縮することが必要である。さらに、近年のラベリング工程の高速化に伴い、より低温で素早く収縮する要求が高くなってきた。このような工業生産性も考慮して、上記条件における熱収縮率が20%以上のフィルムであれば、収縮加工時間内に十分に被覆対象物に密着することができるため好ましい。これらのことから、80℃の温水中に10秒浸漬したときの熱収縮率は、少なくとも一方向、通常主収縮方向に20%以上、好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上であり、上限は85%以下、好ましくは80%以下、さらに好ましくは75%以下であることが望ましい。
また、本発明のフィルムが熱収縮性ラベルとして用いられる場合、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率は、80℃の温水中で10秒間浸漬したときは10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が10%以下のフィルムであれば、収縮後の主収縮方向と直交する方向の寸法自体が短くなったり、収縮後の印刷柄や文字の歪み等が生じやすかったり、角型ボトルの場合においては縦ひけ等のトラブルが発生し難く、好ましい。
本発明のフィルムは、70℃の温水中で10秒間浸漬したときのフィルム主収縮方向の熱収縮率が5%以上、好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上であり、上限は35%以下、好ましくは30%以下、さらに好ましくは25%以下である。70℃におけるフィルム主収縮方向の熱収縮率を5%以上とすることにより、蒸気シュリンカーでボトル装着を行う際に、局部的に発生し得る収縮ムラを抑え、結果的にシワ、アバタ等の形成を抑えることができる。また、熱収縮率の上限を35%以下とすることにより、低温における極端な収縮を抑えることができ、例えば、夏場などの高温環境下においても自然収縮を小さく維持することができる。また70℃温水中で10秒間浸漬したときのフィルムの主収縮方向と直交する方向の熱収縮率は10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。
本発明において、主収縮方向の熱収縮率を80℃で40%以上85%以下、70℃で5%以上35%以下、直交方向の熱収縮率を80℃で10%以下とするためには、各層の樹脂組成を本発明で規定する範囲とすることが重要であるが、特に(I)層のフィルム全体の厚みに対する厚み比を10%以上70%以下とすること、(II)層の厚み比を20%以上80%以下とすること、及び延伸倍率を2倍以上10倍以下、延伸温度を60以上130℃以下の範囲で制御するとよい。
本発明のフィルムの自然収縮率はできるだけ小さいほうが望ましいが、一般的に熱収縮性フィルムの自然収縮率は、例えば、30℃50%RHで30日保存後の自然収縮率が3.0%未満であることが好ましく、より好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.5%以下であることが望ましい。上記条件下における自然収縮率が3.0%未満であれば作製したフィルムを長期保存する場合であっても容器等に安定して装着することができ、実用上問題を生じにくい。上記フィルムの自然収縮率を調整する手段としては、各層の樹脂組成を本発明で規定する範囲とすることが重要であるが、特に(I)層のフィルム全体の厚みに対する厚み比を10%以上とすることが好ましい。
本発明のフィルムの透明性は、例えば、厚み40μmのフィルムをJIS K7105に準拠して測定した場合、フィルムのヘーズ値は10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。フィルムのヘーズ値が10%以下であれば、フィルムの透明性が得られ、ディスプレー効果を奏することができる。
また、本発明のフィルムは、リサイクル樹脂を含む場合においても、厚み40μmのフィルムをJIS K7105に準拠して測定した場合におけるフィルムのヘーズ値が10%以下、好ましくは7%以下、さらに好ましくは5%以下である。リサイクル樹脂を再生添加した後のフィルムのヘーズ値が10%以下であれば、再利用時においても良好な透明性を維持することができる。これにより、本発明のフィルムは、フィルムの製造工程において発生したフィルム両端部(耳)等を原料として再利用でき、かつ得られたフィルムにおける透明性を良好に維持することができる。再生添加後のフィルムのヘーズ値は、再生添加時の添加量を増減させることによりヘーズ値を調整することができる。例えば、(II)層への耳のフィルム添加量を50質量部以下とすることによりフィルムのヘーズ値を10%以下にすることができる。
本発明のフィルムの耐衝撃性は、低温引張破断伸度により評価され、0℃環境下の低温引張試験において、特にラベル用途ではフィルムの引き取り(流れ)方向(MD)で伸び率が150%以上、好ましくは200%以上、さらに好ましくは250%以上ある。0℃環境下での低温引張破断伸度が100%以上あれば印刷・製袋などの工程時にフィルムが破断するなどの不具合を生じにくくなり、好ましい。また、印刷・製袋などの工程のスピードアップにともなってフィルムに対してかかる張力が増加するような際にも、低温引張破断伸度が150%以上あれば破断しづらく、好ましい。
本発明のフィルムは、公知の方法によって製造することができる。フィルムの形態としては平面状、チューブ状の何れであってもよいが、生産性(原反フィルムの幅方向に製品として数丁取りが可能)や内面に印刷が可能という点から平面状が好ましい。平面状のフィルムの製造方法としては、例えば、複数の押出機を用いて樹脂を溶融し、Tダイから共押出し、チルドロールで冷却固化し、縦方向にロール延伸をし、横方向にテンター延伸をし、アニールし、冷却し、(印刷が施される場合にはその面にコロナ放電処理をして、)巻取機にて巻き取ることによりフィルムを得る方法が例示できる。また、チューブラー法により製造したフィルムを切り開いて平面状とする方法も適用できる。
延伸倍率はオーバーラップ用等、二方向に収縮させる用途では、縦方向が2倍以上10倍以下、横方向が2倍以上10倍以下、好ましくは縦方向が3倍以上6倍以下、横方向が3倍以上6倍以下程度である。一方、熱収縮性ラベル用等、主として一方向に収縮させる用途では、主収縮方向に相当する方向が2倍以上10倍以下、好ましくは4倍以上8倍以下、それと直交する方向が1倍以上2倍以下(1倍とは延伸していな場合を指す)、好ましくは1.1倍以上1.5倍以下の、実質的には一軸延伸の範疇にある倍率比を選定するのことが望ましい。上記範囲内の延伸倍率で延伸した二軸延伸フィルムは、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が大きくなりすぎることはなく、例えば、収縮ラベルとして用いる場合、容器に装着するとき容器の高さ方向にもフィルムが熱収縮する、いわゆる縦引け現象を抑えることができるため好ましい。
延伸温度は、用いる樹脂のガラス転移温度や熱収縮性フィルムに要求される特性によって変える必要があるが、概ね60℃以上、好ましくは70℃以上であり、上限が130℃以下、好ましくは110℃以下の範囲で制御される。また、延伸倍率は、用いる樹脂の特性、延伸手段、延伸温度、目的の製品形態等に応じて、主収縮方向には1.5倍以上10倍以下、好ましくは3倍以上7倍以下、さらに好ましくは3倍以上5倍以下の範囲で1軸又は2軸方向に適宜決定される。また、横方向に1軸延伸の場合でもフィルムの機械物性改良等の目的で縦方向に1.05倍以上1.8倍以下程度の弱延伸を付与することも効果的である。次いで、延伸したフィルムは、必要に応じて、自然収縮率の低減や熱収縮特性の改良等を目的として、50℃以上100℃以下程度の温度で熱処理や弛緩処理を行った後、分子配向が緩和しない時間内に速やかに冷却され、熱収縮性フィルムとなる。
また本発明のフィルムは、必要に応じてコロナ処理、印刷、コーティング、蒸着等の表面処理や表面加工、さらには、各種溶剤やヒートシールによる製袋加工やミシン目加工などを施すことができる。
本発明のフィルムは、被包装物によってフラット状から円筒状等に加工して包装に供される。ペットボトル等の円筒状の容器で印刷を要するものの場合、まずロールに巻き取られた広幅のフラットフィルムの一面に必要な画像を印刷し、そしてこれを必要な幅にカットしつつ印刷面が内側になるように折り畳んでセンターシール(シール部の形状はいわゆる封筒貼り)して円筒状とすれば良い。センターシール方法としては、有機溶剤による接着方法、ヒートシールによる方法、接着剤による方法、インパルスシーラーによる方法が考えられる。この中でも、生産性、見栄えの観点から有機溶剤による接着方法が好適に使用される。
[成形品、熱収縮性ラベル及び容器]
本発明のフィルムは、フィルムの低温収縮性、収縮仕上がり性、透明性、自然収縮等に優れているため、その用途が特に制限されるものではないが、必要に応じて印刷層、蒸着層その他機能層を形成することにより、ボトル(ブローボトル)、トレー、弁当箱、総菜容器、乳製品容器等の様々な成形品として用いることができる。特に本発明のフィルムを食品容器(例えば清涼飲料水用または食品用のPETボトル、ガラス瓶、好ましくはPETボトル)用熱収縮性ラベルとして用いる場合、複雑な形状(例えば、中心がくびれた円柱、角のある四角柱、五角柱、六角柱など)であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗なラベルが装着された容器が得られる。本発明の成形品および容器は、通常の成形法を用いることにより作製することができる。
本発明のフィルムは、優れた低温収縮性、収縮仕上がり性を有するため、高温に加熱すると変形を生じるようなプラスチック成形品の熱収縮性ラベル素材のほか、熱膨張率や吸水性等が本発明の熱収縮性フィルムとは極めて異なる材質、例えば金属、磁器、ガラス、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも1種を構成素材として用いた包装体(容器)の熱収縮性ラベル素材として好適に利用できる。
本発明のフィルムが利用できるプラスチック包装体を構成する材質としては、上記の樹脂の他、ポリスチレン、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、(メタ)アクリル酸−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。これらのプラスチック包装体は2種以上の樹脂類の混合物でも、積層体であってもよい。
以下に本発明について実施例を用いて説明する。
なお、実施例に示す測定値及び評価は次のように行った。実施例では、積層フィルムの引き取り(流れ)方向を「縦」方向、その直角方向を「横」方向と記載する。
(1)熱収縮率
フィルムを縦100mm、横100mmの大きさに切り取り、70℃、80℃及び90℃の温水バスに10秒間それぞれ浸漬し、収縮量を測定した。熱収縮率は、縦方向及び横方向について、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示した。
(2)自然収縮率
フィルムを縦100mm、横1000mmの大きさに切り取り、30℃の雰囲気の恒温槽に30日間放置し、横方向について、収縮前の原寸に対する収縮量を測定し、その比率を%値で表示した。
(3)引張弾性率
JIS K7127に準じて、1号形試験片、温度23℃でフィルムの主収縮方向と直交する方向(縦方向)について測定した。
(4)ヘーズ値
JIS K7105に準拠してフィルム厚み40μmのフィルムのヘーズ値を測定した。
(5)低温引張破断伸度
JIS K7127に準じて、1号形試験片、温度0℃、試験速度100mm/分の条件でフィルムの縦方向について測定した。
(6)収縮仕上がり性
10mm間隔の格子目を印刷したフィルムを縦100mm×横298mmの大きさに切り取り、TDの両端を10mm重ねてテトロヒドロフラン(THF)溶剤で接着し、円筒状フィルムを作製した。この円筒状フィルムを、容量1.5Lの円筒型ペットボトルに装着し、蒸気加熱方式の長さ3.2m(3ゾーン)の収縮トンネル中を回転させずに、約4秒間で通過させた。各ゾーンでのトンネル内雰囲気温度は、蒸気量を蒸気バルブで調整し、70〜85℃の範囲とした。フィルム被覆後は下記基準で評価した。
◎:収縮が十分でシワ、アバタ、格子目の歪みが全く生じない。
○:収縮が十分でシワ、アバタ、格子目の歪みがごく僅かに生じる
×:収縮は十分だがシワ、アバタ、格子目の歪みが顕著に生じる
(7)再生添加後のヘーズ値
得られた熱収縮性積層フィルムを粉砕器を用いて粉砕し、再生ペレット化した後、(II)層を構成する樹脂100質量部に対して30質量部に相当する量を(II)層にリターンして、各実施例と同様、再生添加フィルムを得た。得られた厚み40μmのフィルムを用いて、JIS K7105に準拠してヘーズ値を測定した。また、下記の基準で評価した結果も併記した。
◎:ヘーズ値が7%未満
○:ヘーズ値が7%以上10%未満
×:ヘーズ値が10%以上
(実施例1)
表1に示すように、(I)層を構成する樹脂として、Nature WorksLLC社製ポリ乳酸樹脂 商品名『NatureWorks NW4060』(以下「PLA1」と略称する。)70質量%と、住友化学社製アクリル樹脂 商品名『スミペック LG21』(以下「PMMA」と略称する。)20質量%と、三菱レイヨン社製アクリルゴム 商品名『メタブレン S2001』(以下「アクリルゴム」と略称する)10質量%との混合樹脂を用い、また中間層(II)層を構成する樹脂として、日本ポリプロ社製ランダムポリプロピレン樹脂 商品名『WINTEC WFX6』(プロピレン/エチレン=97/3、MFR2.0g/10分、融点125℃、密度0.90g/cm)(以下「PP」と略称する。)40質量%と、三菱化学社製 ポリエチレン樹脂 商品名『カーネルKF360』(MFR3.5g/10分、融点97℃、密度0.898g/cm)(以下「PE」と略称する。)30質量%と、荒川化学社製 水添石油樹脂 商品名『アルコンP140』(以下「石油樹脂」と略称する。)30質量%とからなる混合樹脂を用い、さらに接着層(III)層を構成する樹脂として、旭化成ケミカルズ社製 酸変性SEBS 商品名『タフテック M1913』(以下「SEBS」と略称する。)を用い、それぞれの樹脂を別個の三菱重工業株式会社製単軸押出機に投入し、設定温度200℃で溶融混合後、各層の厚みが(I)層/(III)層/(II)層/(III)層/(I)層=30μm/10μm/120μm/10μm/30μmとなるよう3種5層ダイスより共押出し、50℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて幅300mm、厚さ200μmの未延伸積層シートを得た。次いで、京都機械株式会社製フィルムテンターにて、予熱温度90℃、延伸温度80℃で横一軸方向に5.0倍に延伸を行い、厚さ40μmの熱収縮性フィルムを得た。評価項目の全てが◎であったフィルムを(◎)、○が含まれるフィルムを(○)、1つでも×があったフィルムを(×)として総合評価した。評価した結果を表2に示す。
(実施例2)
表1に示すように、(I)層を構成する樹脂の組成比をPLA1:70質量%、PMMA:30質量%とし、(II)層を構成する樹脂の組成比をPP:60質量%、石油樹脂:40質量%とし、(III)層を構成する樹脂を三井化学社製 変性ポリオレフィン 商品名『アドマー SE800』(以下「変性PO」と略称する。)とした以外は、実施例1と同様に熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
(実施例3)
表1に示すように、(I)層を構成する樹脂の組成比をPLA1:65質量%、PMMA:25質量%、アクリルゴム10質量%とし、(II)層を構成する樹脂の組成比をPP:40質量%、PE:60質量%とし、それぞれの樹脂を別個の三菱重工業株式会社製単軸押出機に投入し、設定温度200℃で溶融混合後、各層の厚みが(I)層/(III)層/(I)層=30μm/140μm/30μmとなるよう2種3層ダイスより共押出し、50℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて幅300mm、厚さ200μmの未延伸積層シートを得た。次いで、予熱温度90℃、延伸温度80℃で横一軸方向に5.0倍に延伸を行い、厚さ40μmの熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
(実施例4)
表1に示すように、実施例1において、(I)層を構成する樹脂の組成比をPLA1:35質量%、Nature WorksLLC社製 ポリ乳酸樹脂 商品名『NatureWorks NW4050』(L体/D体量=95/5、以下「PLA2」と略称する。):35質量%、PMMA:20質量%、アクリルゴム:10質量%に変更した以外は、実施例1と同様に熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
(実施例5)
表1に示すように、実施例1において、(I)層の組成比をPLA1:50質量%、PMMA:40質量%、アクリルゴム:10質量%に変更した以外は、実施例1と同様に熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
(実施例6)
表1に示すように、実施例1において、(III)層を構成する樹脂を三井・デュポンポリケミカル社製 エチレン−酢酸ビニル共重合体 商品名『エバフレックス EV45LX』(以下「EVA」と略称する。)とした以外は、実施例1と同様に熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
(比較例1)
表1に示すように、(I)層及び(III)層を有さず、(II)層のみの未延伸単層シートを200μmで採取し予熱温度90℃、延伸温度80℃で横一軸方向に5.0倍に延伸を行い、厚さ40μmの熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
(比較例2)
表1に示すように、(II)層及び(III)層を有さず、(I)層のみの未延伸単層シートを200μmで採取し、予熱温度90℃、延伸温度80℃で横一軸方向に5.0倍に延伸を行い、厚さ40μmの熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
(比較例3)
表1に示すように、実施例1において、(I)層を構成する樹脂の組成比をPLA1:90質量%、アクリルゴム:10質量%に変更した以外は、実施例1と同様に熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
Figure 2007090877
Figure 2007090877
表1及び2より、本発明で規定する範囲内の層で構成された実施例1乃至6のフィルムは、引張弾性率が1,200MPa以上であり、80℃の熱収縮率が20%以上であり、自然収縮率が1%未満であり、再生添加後のフィルムの透明性が10%以下であり、収縮仕上がりが良好であった。
これに対し、(I)層及び(III)層を有しない場合(比較例1)には、熱収縮特性や収縮仕上がり性に劣り、また(II)層及び(III)層を有しない場合(比較例2)には、収縮仕上がり性に劣る結果となった。また(I)層がPMMAを含まない場合(比較例3)には、再生添加時の透明性が劣る(10%超)結果となった。
これより、本発明のフィルムは、熱収縮特性に優れ、自然収縮が小さく、収縮仕上がり性、再生添加時の透明性に優れた、収縮包装、収縮結束包装や熱収縮性ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルムであることが分かる。
本発明のフィルムは、フィルムの腰、熱収縮特性、再生添加時の透明性に優れた自然収縮の小さいフィルムであるため、各種の収縮包装、収縮結束、収縮ラベル等の各種の用途に利用できる。

Claims (9)

  1. (I)層と(II)層の少なくとも2層を有する積層フィルムであって、各層が下記樹脂を主成分としてなり、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの熱収縮率が少なくとも一方向において20%以上であることを特徴とする熱収縮性積層フィルム。
    (I)層:ポリ乳酸系樹脂(A)とアクリル系樹脂(B)との混合樹脂
    (II)層:ポリオレフィン系樹脂
  2. 前記(I)層のポリ乳酸系樹脂(A)とアクリル系樹脂(B)との質量比が(A)/(B)=95/5乃至50/50の範囲である請求項1に記載の熱収縮性積層フィルム。
  3. JIS K7142に準拠して測定された前記(I)層と(II)層との屈折率の差が±0.05以内である請求項1又は2に熱収縮性積層フィルム
  4. フィルム全体の厚みに対する(I)層の厚み比が10%以上50%以下である請求項1乃至3のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
  5. (I)層と(II)層との間に接着性樹脂を主成分としてなる(III)層をさらに有する請求項1乃至4のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
  6. (II)層がリサイクルされた前記フィルムを含有し、該フィルムの含有量が(II)層を構成する樹脂100質量部に対し、1質量部以上50質量部以下であり、かつJIS K7105に準拠して測定されるフィルムのヘーズ値が10%以下である請求項1乃至5のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを用いた成形品。
  8. 請求項1乃至6のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを用いた熱収縮性ラベル。
  9. 請求項7に記載の成形品又は請求項8に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
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