JP2007090874A - ガスバリア性積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたガスバリア性を維持しつつ、製造直後から高いガスバリア性を示し、かつ優れた耐熱水性を有するフィルムを提供する。
【解決手段】基材フィルムの少なくとも一方の面に形成した無機薄膜面上に、(a)ポリビニルアルコール、(b)エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、及び(c)シリカ粒子を含有する水性分散液を塗布してなる樹脂層を有するガスバリア性積層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、各種の包装材として好適に使用できる、ガスバリア性に優れた積層フィルムに関する。
従来より、プラスチックフィルムを基材とし、その表面に酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機薄膜を形成したガスバリア性プラスチックフィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、例えば、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装に広く利用されている。また、このガスバリア性プラスチックフィルムについては、包装用途以外にも、近年、液晶表示素子、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル、EL用基板、カラーフィルター等で使用する透明導電シートや真空断熱材としての新しい用途にも注目されている。
このような無機薄膜を形成してなるガスバリア性プラスチックフィルムに関しては、ガスバリア性の低下防止あるいは更にガスバリア性を高めることを目的として種々の改良が検討されており、例えば、セラミックの蒸着層面に、ポリビニルアルコールと、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の水性分散液をコーティングする方法(特許文献1参照)、無機材料の蒸着膜上に、ポリビニルアルコールとポリカルボン酸またはその部分中和物を含有する混合物から形成された耐水性フィルムが積層された複合蒸着フィルム(特許文献2参照)、または、金属酸化物蒸着プラスチックフィルムの蒸着面上に、金属酸化物ゾルをコーティングし、更に該コーティング層上にシーラント層を積層した積層構造体(特許文献3参照)が開示されている。
しかしながら、上記方法やフィルム等においては、ガスバリア性はある程度改善されるものの、例えば、ボイル処理などに代表される過酷な処理条件の下でのガスバリア性や、接着強度あるいは機械的強度、特に易裂性などについては未だ不十分であり、その改善が望まれていた。
特開2003−49035号公報 特開平8−39716号公報 特開平5−9317号公報
本発明が解決しようとする課題は、優れたガスバリア性を維持しつつ、製造直後から高いガスバリア性を示し、かつ優れた耐熱水性を有するフィルムを提供することにある。
本発明の上記課題は、基材フィルムの少なくとも一方の面に形成した無機薄膜面上に、(a)ポリビニルアルコール,(b)エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、及び(c)シリカ粒子を含有する水性分散液を塗布してなる樹脂層を有するガスバリア性積層フィルム、によって解決される。
本発明は、優れたガスバリア性を維持しつつ、製造直後から高いガスバリア性を示し、かつ優れた耐熱水性を有することにより、例えばボイル後のガスバリア性、接着強度に優れるとともに、機械的強度、特に易裂性に優れたガスバリア性積層フィルムを提供する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のガスバリア性積層フィルムの基材フィルムとしては熱可塑性高分子フィルムが好ましく、その原料としては、通常の包装材料に使用しうる樹脂であれば特に制限なく用いることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体などのポリオレフィン、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物(EVOH)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、フッ素樹脂、アクリレート樹脂、生分解性樹脂などが挙げられる。これらの中では、フィルム強度、コストなどの点から、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコールが好ましい。
また、上記基材フィルムは、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等を含有することができる。
上記基材フィルムとしての熱可塑性高分子フィルムは、上記の原料を用いて成形してなるものであるが、基材として用いる際は、未延伸であってもよいし延伸したものであってもよい。また、他のプラスチック基材と積層されていてもよい。かかる基材フィルムは、従来公知の方法により製造することができ、例えば、原料樹脂を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押出して、急冷することにより実質的に無定型で配向していない未延伸フィルムを製造することができる。この未延伸フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、フィルムの流れ(縦軸)方向又はフィルムの流れ方向とそれに直角な(横軸)方向に延伸することにより、少なくとも一軸方向に延伸したフィルムを製造することができる。
基材フィルムの厚さは、本発明のガスバリア性積層フィルムの基材としての機械強度、可撓性、透明性等の点から、その用途に応じ、通常5〜500μm、好ましくは10〜200μmの範囲で選択され、厚さが大きいシート状のものも含む。また、フィルムの幅や長さについては特に制限はなく、適宜用途に応じて選択することができる。
なお、上記基材フィルムには、無機薄膜との密着性向上のため、アンカーコート剤を塗布することが好ましい。アンカーコート剤としては、溶剤性又は水性のポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、イソシアネート基含有樹脂、アルコキシル基含有樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂及びアルキルチタネート等を単独、あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。中でも、密着性、耐熱水性の点から、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、イソシアネート含有樹脂及びこれらの共重合体から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、更には、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂の1種類以上と、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、イソシアネート基含有樹脂の1種類以上を組み合わせたものが好ましい。
アンカーコート層の厚さは0.005〜5μm、更に0.01〜1μmであることが好ましい。上記範囲内であれば、滑り性が良好であり、アンカーコート層自体の内部応力による基材フィルムからの剥離もほとんどなく、また、均一な厚さを保つことができ好ましい。
また、基材フィルムへのアンカーコート剤の塗布性、接着性を改良するため、アンカーコート剤の塗布前にフィルムに通常の化学処理、放電処理などの表面処理を施してもよい。
基材フィルムの少なくとも一方の面に形成する無機薄膜を構成する無機物質としては、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン、炭化水素等、あるいはこれらの酸化物、炭化物、窒化物またはそれらの混合物が挙げられるが、好ましくは酸化珪素、酸化アルミニウム、炭化水素(例えば、ダイアモンドライクカーボンなどの炭化水素を主体とした物質)である。特に、酸化珪素、酸化アルミニウムは、高いガスバリア性が安定に維持できる点で好ましい。
無機薄膜の形成方法としては、蒸着法、コーティング法などの方法がいずれも使用できるが、ガスバリア性の高い均一な薄膜が得られるという点で蒸着法が好ましい。この蒸着法には、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングなどのPVD(物理的気相蒸着)、CVD(化学的気相蒸着)等の方法が含まれる。
無機薄膜の厚さは、一般に0.1〜500nmであるが、好ましくは0.5〜40nmである。上記範囲内であれば、十分なガスバリア性が得られ、また、無機薄膜に亀裂や剥離を発生させることなく、透明性にも優れている。
上記の無機薄膜に塗布する「(a)ポリビニルアルコール、(b)エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、及び(c)シリカ粒子を含有する水性分散液」(以下、「本発明の水性分散液」ということがある)について、以下に説明する。
(a)ポリビニルアルコール
ポリビニルアルコールは公知の方法で得ることができ、通常は、酢酸ビニルの重合体をケン化することで得ることができる。ケン化度は80%以上のものが使用でき、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上であることがガスバリア性の点から好ましい。
その平均重合度は、通常500〜3000であり、ガスバリア性、延伸性の点で、好ましくは500〜2000である。また、ポリビニルアルコールとして、40%以下の割合でエチレンを共重合したものも用いることができ、カルボキシル等の変性を行ったものも用いることができる。ケン化度、平均重合度は、JIS K 6726(ポリビニルアルコール試験方法)に従い測定することができる。ポリビニルアルコールの水性液は、例えば、ポリビニルアルコール樹脂を常温水中で攪拌しながら供給して昇温し、80〜95℃で30〜60分攪拌することで調製される。
(b)エチレン・不飽和カルボン酸共重合体
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸との共重合体であり、中でも汎用性の点からエチレンとアクリル酸またはメタクリル酸との共重合体が好ましい。このエチレン−不飽和カルボン酸共重合体は任意の他の単量体を含んでいてもよい。
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体における、エチレン成分は汎用性、柔軟性の点から好ましくは65〜90質量%、更に好ましくは70〜85質量%であり、不飽和カルボン酸成分は好ましくは10〜35質量%、更に好ましくは15〜30質量%である。上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の、JIS K 7210(プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト及びメルトボリュームフローレイトの試験方法)に規定される190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR)は、フィルムの耐屈曲性の点から、好ましくは30〜2000g/10分、更に好ましくは60〜1500g/10分である。数平均分子量は、2000〜250000の範囲が好ましい。
上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体に含まれていてもよい他の単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルなどの不飽和カルボン酸エステル、一酸化炭素、二酸化硫黄等を挙げることができ、これらの単量体は0〜50質量%の割合で含有することができる。このようなエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、公知の方法、例えば、高温、高圧下でのラジカル重合などの方法によって得ることができる。
本発明においては、ガスバリア性、層間密着性などの点から、上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、その部分中和物を含むことが好ましく、該部分中和物の中和度はガスバリア性の点から、好ましくは20〜100%、更に好ましくは40〜100%、特に好ましくは60〜100%である。なお、中和度は、下記の式により求めることができる。
中和度=(A/B)×100(%)
A:部分中和されたエチレン・不飽和カルボン酸共重合体1g中の中和されたカルボキシル基のモル数
B:部分中和する前のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体1g中のカルボキシル基のモル数
なお、水性分散液の場合は、簡便的に、上記Aを(溶媒中の金属イオン数)x(その金属イオンの価数)とし、Bを部分中和する前のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の数として、算出することができる。
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の部分中和物としては、ポリビニルアルコールやシリカ粒子への影響の点から、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属塩が好ましく、該アルカリ金属塩としては、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩などが挙げられる。
本発明のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、ガスバリア性の点から、上記共重合体とアンモニア、あるいは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物等を含む分散媒とからなる水性分散液として用いることが好ましく、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の有するカルボキシル基の全モル数に対して、上式中和度となるように上記分散媒を用いたものが好ましく用いられる。
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体と上記分散媒から水性分散液を製造するには、例えば、撹拌可能な容器に、所定量の水と上記両原料を供給し、90〜150℃の温度で10分ないし2時間程度攪拌することによって得ることができる。このようにして得られた水性分散液は、安定性に優れており、長期に保存しても粒径や粘度が大幅に変化することがない。
本発明においては、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、更に2価あるいは3価の金属を含有してもよい。このような2価あるいは3価の金属は分散媒と共に水性分散液を製造する際に酸化物として添加することで分散が可能である。また、酸化物以外に炭酸金属塩、硫酸金属塩の形で導入することもできる。その配合量は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基のモル数に対して0〜60モル%の割合で導入できる。
本発明においては、上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、1種で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
(c)シリカ粒子
本発明に使用するシリカ粒子には特に制限はなく、公知のものをいずれも使用することができるが、例えば、耐熱水性、ガスバリア性などの点から、ヒドロキシ基、アルコキシ基等の加水分解縮合可能な反応性官能基を有するものが好ましく、特に反応性官能基中、シラノール基を10〜100モル%、更に20〜100モル%含有するものが好ましく用いられる。
また、その粒子径は、耐熱水性、耐凝集破壊性、易裂性の点から、平均粒子径で好ましくは0.5〜200nm、より好ましくは1〜100nm、より好ましくは1〜20nm、更に好ましくは1〜10nmの,特に好ましくは1〜5nmである。上記シリカ粒子の粒子径は、例えば、窒素ガス吸着(BET)法、電子顕微鏡観察法、小角X線散乱分析法、動的光散乱法などの方法により測定することができるが、本発明においては、動的光散乱法により測定した値を用いる。
耐ボイル性と易裂性を持たせるには、樹脂との分子レベルの高い混和性、適度な凝集性が必要であり、そのためには、シリカ成分が粒子形状であり、かつ小粒子径であり、シラノール基を持つことが好ましい。
シリカ粒子の調製方法は特に限定はされないが、例えば、国際公開パンフレットWO95/17349号の第2頁16行〜10頁26行、あるいは特開平6−16414号公報の段落[0012]〜[0031]に記載された方法、具体的には、アルコキシシランを加水分解し熟成する方法や、水ガラスを溶解しイオン交換し濃縮するなどの方法により調製することができる。前者調製方法の場合の官能基比率の算出は、例えば上記国際公開パンフレットの第15頁19行〜16頁8行に記載された方法で行うことができ、後者調製方法の場合はシラノール基100モル%と見積もることができる。
一般に、アルコキシシランの使用については、樹脂にアルコキシシランまたはその加水分解物を混合した塗布液を無機薄膜フィルムに塗布することが知られているが、アルコキシシランやその加水分解物は、凝集応力が大変強いため、むしろ無機薄膜を損傷し、ガスバリア性を低下させてしまうと考えられている。特に熱水下においてはその傾向は甚だしい。本発明では、アルコキシシランを加水分解縮合し熟成させ部分架橋反応を十分進ませることにより、シリカを粒子形状とし且つ好ましくはシラノール基を含有させることにより、塗布層の樹脂成分との相互作用や凝集力を調整することが出来る。
本発明においては、上記シリカ粒子は、1種で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明においては、(a)ポリビニルアルコール,(b)エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、及び(c)シリカ粒子を含有する水性分散液を塗布してなる樹脂層を有するが、該樹脂層中、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の合計量に対し、ガスバリア性、耐印刷性の点から(a)ポリビニルアルコールを10〜95質量%含有することが好ましく、20〜90質量%含有することが更に好ましい。また、ガスバリア性、耐熱水密着性の点から、(b)エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を3〜80質量%含有することが好ましく、5〜40質量%含有することが更に好ましく、耐熱水性、易裂性の点から(c)シリカ粒子を2〜80質量%含有することが好ましく、2〜50質量%含有することが更に好ましい。
上記各成分は、樹脂層中に上記含有量となるように、水性分散液中に含有されることが好ましく、その含有量は、上記と同様である。
本発明の分散液においては、ポリビニルアルコールとエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の含有割合[(a)/(b)]を、固形分質量比で95/5ないし25/75、更に80/20ないし50/50とすることが好ましく、これによって、この水性分散液を無機薄膜蒸着面に塗布した際には、蒸着面の保護機能を有し、且つ製造直後から高いガスバリア性を発揮し、接着剤や、接着性樹脂層との接着性に優れる積層蒸着フィルムを得ることができる。
本発明の水性分散液には、必要に応じて、公知の各種添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール、水性エポキシ樹脂、シランカップリング剤、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノアセテート等のエステル類、酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、抗菌剤、滑剤、無機充填剤、ブロッキング防止剤、接着剤等を挙げることができる。
さらに、本発明の水性分散液は、他の重合体の水性分散液と混合して使用する事もできる。そのような重合体水性分散液としては、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、水溶性アクリル樹脂、アクリルアミド樹脂、メタクリルアミド樹脂、アクリロニトリル樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ハイインパクトポリスチレン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリエチレン樹脂、酸化ポリエチレン樹脂、プロピレン−エチレン共重合体、無水マレイン酸グラフト−プロピレン−エチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、EPDM、フェノール系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ系樹脂等の水性分散液の単独または2種以上を挙げることができる。
本発明の水性分散液の調製方法は特に限定はされないが、例えば、各ポリマーを水に溶解させて、これにシリカ粒子あるいはその水性液を添加する方法、各ポリマーの水性液及びシリカ粒子あるいはその水性液を混合する方法、ポリビニルアルコール水溶液中で各モノマーを重合させ、その後にシリカ粒子あるいはその水性液を添加する方法、ポリビニルアルコール水溶液中で各モノマーを重合させた後、アルカリで中和し、これにシリカ粒子あるいはその水性液を添加する方法などの方法により調製することができる。上記の場合においては、アルコール類などの水以外の溶剤を用いて混合物を調製してもよい。
無機薄膜面への本発明の水性分散液の塗布は、公知のコーティング方法が適宜採択される。例えば、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクタコーター、スプレイあるいは刷毛を用いたコーティング方法等の方法がいずれも使用できる。また、蒸着フィルムを本発明の水性分散体に浸漬して行ってもよい。塗布後は、80〜200℃程度の温度での熱風乾燥、熱ロール乾燥などの加熱乾燥や、赤外線乾燥などの公知の乾燥方法を用いて水分を蒸発させることができる。これにより、均一なコーティング層を有する積層フィルムが得られる。
本発明の積層フィルムにおいて、樹脂層の厚みは特に限定されるものではないが、通常、0.1〜20μmであるが、印刷諧調性、コストなどの点から、好ましくは0.1ないし10μmである。このコーティング層には、耐水性、耐久性を高めるために、電子線照射による架橋処理を行う事もできる。
本発明のガスバリア性積層フィルムとしては、上述の構成層に必要に応じ更に追加の構成層を積層した各種ガスバリア性積層フィルムあるいは積層体が用途に応じて使用できる。
通常の実施態様としては、上記樹脂層の塗布面及び/又は基材フィルム面上にプラスチックフィルムを設けたガスバリア性積層フィルムが各種用途に使用される。上記プラスチックフィルムの厚さは、積層フィルム又は積層体の基材としての機械強度、可撓性、透明性等の点から、通常5〜500μm、好ましくは10〜200μmの範囲で用途に応じて選択される。また、フィルムの幅や長さは特に制限はなく、適宜用途に応じて選択することができる。例えば、樹脂層の塗布面及び/又は基材フィルム面上にヒートシールが可能な樹脂を使用することにより、ヒートシールが可能となり、種々の容器として使用できる。ヒートシールが可能な樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂、生分解性樹脂等の公知の樹脂が例示される。
また、上記以外のガスバリア性積層フィルムの実施態様としては、樹脂層の塗布面上に印刷層を形成し、更にその上にヒートシール層やプラスチックフィルムを積層する積層体が挙げられる。印刷層を形成する印刷インクとしては、水性及び溶媒系の樹脂含有印刷インクが使用できる。ここで、印刷インクに使用される樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル共重合樹脂又はこれらの混合物が例示される。更に、印刷インクには、帯電防止剤、光線遮光剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、消泡剤、架橋剤、耐ブロッキング剤、酸化防止剤等の公知の添加剤を添加してもよい。
印刷層を設けるための印刷方法としては特に限定されないが、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の公知の印刷方法が使用できる。印刷後の溶媒の乾燥には、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線乾燥等の公知の乾燥方法が使用できる。
また、印刷層とヒートシール層やプラスチックフィルムとの間に紙又は他のプラスチックフィルムを少なくとも1層積層することが可能である。プラスチックフィルムとしては、本発明のガスバリア性積層フィルムに用いられる基材フィルムとしての熱可塑性高分子フィルムと同様のものが使用できる。中でも、十分な積層体の剛性及び強度を得る観点から、紙、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂又は生分解性樹脂が好ましい。
積層体構成の例としては、基材フィルムにポリエステルフィルムを用いた場合は、積層フィルムの樹脂層側にヒートシール層を積層した積層体などが挙げられ、その間に印刷層やポリアミドフィルム等を設ける態様も挙げられる。その場合、ポリアミドフィルムの127℃の熱水収縮率が15%以下であると、積層体の熱水処理時の寸法変化による応力が低く抑えられ、熱水処理後のガスバリア性が良好となる。
また、基材フィルムにポリアミドフィルム又はポリビニルアルコールフィルムを用いた場合は、積層フィルムの樹脂層側に印刷層やポリエステルフィルム、基材フィルム面側にヒートシール層を積層した積層体などが挙げられる。
本発明の積層体の具体的態様としては、(ア)基材フィルムに二軸延伸ポリエステルフィルムを用い、(ア−1)積層フィルムの樹脂層面に厚さ30〜200μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを積層してなる積層体、又は、(ア−2)積層フィルムの樹脂層面に厚さ5〜100μmの二軸延伸ナイロン6フィルムと厚さ30〜200μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを順次積層してなる積層体、又は、(イ)基材フィルムに二軸延伸ポリアミドフィルムを用い、積層フィルムの樹脂層面に厚さ5〜100μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを積層し、且つ積層フィルムの基材フィルム面に厚さ30〜200μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを積層して成る積層体であって、95℃30分間の熱水処理を行った後の積層体の酸素透過率が、好ましくは25cc/m2/24hr/MPa以下、より好ましくは20cc/m2/24hr/MPa以下、更に好ましくは10cc/m2/24hr/MPa以下のものが挙げられる。
本発明においては、無機薄膜を形成した後、或いは樹脂層を形成した後、又は該樹脂層上に、あるいは基材フィルム上に、更に印刷層、プラスチックフィルム及び/又は紙を積層した後に、ガスバリア性、膜質及び塗布層質の安定化等の点から加熱処理を施すことが好ましい。この加熱処理は、上記各段階のうち任意の2つ以上の段階で行ってもよい。
加熱処理は、ガスバリア性積層フィルム又は積層体を構成する要素の種類や厚さなどによりその条件が異なるが、必要な温度、時間を維持できる方法であれば特に限定されない。例えば、必要な温度に設定したオーブンや恒温室で保管する方法、熱風を吹き付ける方法、赤外線ヒーターで加熱する方法、ランプで光を照射する方法、熱ロールや熱版と接触させて直接的に熱を付与する方法、マイクロ波を照射する方法などが使用できる。また、取り扱いが容易な大きさにフィルムを切断してから加熱処理しても、フィルムロールのままで加熱処理してもよい。更に必要な時間と温度が得られる限りにおいては、コーター、スリッター等のフィルム製造装置の一部分に加熱装置を組み込み、製造過程で加熱を行うこともできる。
加熱処理の温度は、使用する基材、プラスチックフィルム等の融点以下の温度であれば特に限定されないが、加熱処理の効果が発現するために必要な処理時間を適度に設定できることから60℃以上であることが好ましく、更に70℃以上で行うことが好ましい。加熱処理温度の上限は、ガスバリア性積層フィルム又は積層体を構成する要素の熱分解によるガスバリア性の低下を防止する観点から、通常200℃、好ましくは160℃である。処理時間は、加熱処理温度に依存し、処理温度が高い程、短くすることが好ましい。例えば、加熱処理温度が60℃の場合、処理時間は3日〜6ヶ月程度、80℃の場合、処理時間は3時間〜10日程度、120℃の場合、処理時間は1時間から1日程度、150℃の場合、処理時間は3〜60分程度であるが、これらは単なる目安であって、ガスバリア性積層フィルム又は積層体を構成する要素の種類や厚さ等により適宜調整することができる。
本発明のガスバリア性積層フィルムの製造方法は、少なくとも、(A)基材フィルムの少なくとも一方の面に、蒸着法により無機薄膜を形成する工程、及び(B)該無機薄膜面上に、(a)ポリビニルアルコール、(b)エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、及び(c)シリカ粒子を混合して得られた水性分散液を塗布する工程、を有するものである。
(A)基材フィルムの少なくとも一方の面に蒸着法により無機薄膜を形成する工程により、前述のように、ガスバリア性の高い均一な薄膜が得ることができる。この蒸着法としては、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、CVD等の方法をいずれも使用することができる。
また、B)該無機薄膜面上に、(a)ポリビニルアルコール、(b)エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、及び(c)シリカ粒子を混合して得られた水性分散液を塗布する工程としては、前述の(a)成分、(b)成分、(c)成分の各成分を使用することができ、このような水性分散液を上述の方法により調製し、これを上記無機薄膜面上に塗布する。この際、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体とアンモニアまたはアルカリ金属水酸化物からなる分散媒とを含む水性分散液として用いることが好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。なお、以下の実施例におけるフィルムの評価方法は、次の通りである。
<ボイル処理>
積層体をオートクレーブにて、熱水95℃、30分間処理し、積層体の周りに付着した水を風乾させ、酸素透過率測定及びラミネート強度測定に供した。
<水蒸気透過率>
JIS Z0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z0208「防湿包装材量の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に準じ、次の手法で評価した。
透湿面積10.0cm×10.0cm角の各ガスバリア性積層体を2枚用い、吸湿剤として無水塩化カルシウム約20gを入れ四辺を封じた袋を作製し、その袋を温度40℃相対湿度90%の恒温恒湿装置に入れ、48時間以上間隔で重量増加がほぼ一定になる目安として14日間まで、重量測定(0.1mg単位)し、水蒸気透過率を下記式から算出した。なお、表1−1及び表1−2には、3日目における水蒸気透過率の値を示す。
水蒸気透過率(g/m2/24h)=(m/s)/t
m; 試験期間最後2回の秤量間隔の増加質量(g)
s; 透湿面積(m2
t; 試験期間最後2回の秤量間隔の時間(h)/24(h)
<酸素透過度>
酸素透過率測定装置(モダンコントロールズ社製「OX−TRN100型酸素透過率測定装置」)により、積層体について、温度25℃、湿度80%RHの条件下で酸素透過度(cc/m2/24hr/MPa)を測定した。
<ラミネート強度>
JIS Z1707に準じ、積層体を幅15mmの短冊状に切り出し、前述のように、試料を95℃でボイル処理したものの端部を一部剥離させ、剥離面に水を付着させながら剥離試験機(島津製作所製、製品名EZ−TEST)により100mm/分の速度でT型剥離を行い、ラミネート強度(g/15mm)を測定した。
<易裂性>
積層フィルム又は積層体に3mmのノッチを入れ、その両端を手で持ち前後に引き裂いた時に、積層フィルム又は積層体が伸びることなく、軽く引き裂けたか否かを○×評価した。
これらの評価を以下の実施例及び比較例について行った。結果を表1−1及び表1−2に示す。
なお、各水性液の調製方法は以下の通りである。
<ポリビニルアルコール(PVA)水性液(a)の調製>
ポリビニルアルコール(PVA、日本合成化学工業(株)製「ポバールN−300」、鹸化度98%以上)とイオン交換水を用い、固形分濃度10%水性液(a)を調製した。
<エチレン・不飽和カルボン酸共重合体水性液(b−1)の調製>
エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)(アクリル酸20重量%、MFR:300g/10分)、アンモニア及びイオン交換水を95℃2時間攪拌混合して、中和度75%、固形分20%水性液(b−1)を調製した。
<エチレン・不飽和カルボン酸共重合体水性液(b−2)の調製>
エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)(メタクリル酸20重量%、MFR:300g/10分)、水酸化ナトリウム、イオン交換水を95℃で2時間攪拌混合して、中和度80%、固形分20%水性液(b−2)を調製した。
<シリカ粒子水性液(c−1)の調製>
国際公開パンフレットWO95/17349号の第2頁16行〜10頁26行の記載に準じてシリカ粒子水性液(c−1)を調製した。すなわち、テトラメトキシシラン(TMOS)とメタノールと希塩酸を用い、加水分解縮合反応を行い、次いでメタノールを留去させ、部分加水分解縮合物、重合度10未満のオリゴマーを得た後、イナートガス吹込み法でオリゴマー中のモノマーを除去した。その後、該オリゴマーに、加水分解率113%に相当するエタノールとイオン交換水の混合液と、触媒としてマレイン酸を加え、室温下で攪拌1時間の後、更に水を加え、2週間保持し、反応性官能基のうちシラノール基含有割合40mol%、平均粒子径1nmのシリカ粒子水性液(c−1)を得た。なお、平均粒子径は、MALVERN社のHPPS装置を用いて測定した(以下同じ)。
<シリカ粒子水性液(c−2)の調製>
特開平6−16414号公報の段落〔0012〕〜〔0031〕の記載に準じてシリカ粒子水性液(c−2)を調製した。すなわち、ナトリウム水ガラスJIS3号を硝酸ナトリウム水溶液に溶解し、珪酸ナトリウム水溶液を作製し、水素型カチオン交換樹脂カラム、水酸基型アニオン交換樹脂カラム、再度水素型カチオン交換樹脂カラムと順に通した後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、珪酸水溶液を得た。次いで、該珪酸水溶液の5%量を減圧蒸留し蒸発水を除去すると共に、残りの珪酸水溶液を連続的に徐々に供給することにより、減圧蒸留を連続的に行い、コロイダルシリカゾルを作製した。更に、該コロイダルシリカゾルを水素型カチオン交換樹脂カラム、水酸基型アニオン交換樹脂カラム、再度水素型カチオン交換樹脂カラムと順に通し、その直後に特級アンモニア水を添加し、pH9、平均粒子径20nm、各種金属酸化物濃度が500ppm未満の水性シリカゾル(c−2)(反応性官能基はシラノール基割合:100モル%)を得た。
<シリカ粒子水性液(c−3)の調製>
上記シリカ粒子液(c−2)の作製において、珪酸水溶液の20%量を減圧蒸留し、残りの珪酸水溶液を連続的に供給しながら減圧蒸留を行うことにより、シリカ粒子径を調節した他は、同様にして水性シリカゾル(c−3)を得た。水性シリカゾル(c−3)は、pH9、平均粒子径4nm、各種金属酸化物濃度500ppm未満(反応性官能基はシラノール基割合:100モル%)であった。
<アルコキシシリカ加水分解物液(d)の調製>
テトラエトキシシランに希塩酸を加え、30分攪拌し、加水分解液を得た。粒子は計測されなかった。
実施例1〜5及び比較例1〜6
ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下PETと略す。三菱化学(株)製「ノバペックス」)を溶融押出してシートを形成し、延伸温度95℃、延伸比3.3で長手方向に延伸した後、延伸温度110℃、延伸比3.3で横方向に延伸することにより、厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムを得た。そのフィルムの片側表面に、イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業製「コロネートL」)と飽和ポリエステル(東洋紡績製「バイロン300」)とを1:1重量比で配合した混合物を塗布乾燥して厚さ0.1μmのアンカーコート層を形成した。
次いで、真空蒸着装置を使用して1×10-5Torrの真空下でSiOを高周波加熱方式で蒸発させ、アンカーコート層上に薄膜厚さ約20nmの無機薄膜フィルムを形成した。一方、上記調製した各水性液を表1−1、表1−2に示す配合割合で混合し、各種塗布液を調製した。
この塗布液を、得られた無機薄膜フィルムの無機薄膜面上に、バーコーターで乾燥厚0.1μmとなるように塗布し、80℃2分間送風乾燥させ、ガスバリア性フィルムを得た。透明性は、未塗布の無機薄膜フィルムと同等であった。
更に、該ガスバリア性フィルムの塗布面側に、ウレタン系接着剤(東洋モートン社製「AD900」と「CAT−RT85」とを10:1.5の割合で配合)を塗布、乾燥し、厚さ約3μmの接着樹脂層を形成し、この接着樹脂層上に、未延伸ポリプロピレンフィルム厚さ60μm(東洋紡績(株)製「パイレンフィルム−CT P1146」)をラミネートし、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムについて、前記の評価を行った。
実施例6
実施例1の無機薄膜フィルム形成において、酸化珪素(シリカ)を蒸着することに代えて、アルミニウムを蒸発させ、ガス流量制御装置を使用して酸素ガスを供給し、1×10-4Torrで蒸着を行い、厚さ約20nmの酸化アルミニウム(アルミナ)薄膜を形成させた以外は、同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムについて、前記の評価を行った。
実施例7及び8
ナイロン6(三菱化学(株)製「ノバミッド1020CA」)を280℃で押出機より押出し、冷却ドラムで急冷、固定してシートを得た。このシートを縦方向に50℃で3倍、横方向に80℃で3倍に延伸し、215℃で熱固定処理を行い、厚さ15μm の二軸延伸ナイロンフィルム(以下、ONYという)を得た。その後、実施例1と同様にアンカーコート層、無機薄膜フィルムを作製し、その上に表1−1に示す配合割合で調製した各水性液を塗布し、同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
続いて、該ガスバリア性フィルムの樹脂層面側に、実施例1と同様にして接着樹脂層を形成し、この接着樹脂層上に、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製「H100C」)をラミネートし、更に、該ナイロンフィルム面に上記と同様の接着樹脂層を形成し、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)製「パイレンフィルム−CT P1146」)をラミネートし、40℃で3日間エージングを行い積層体を得た。得られた積層体について、前記の評価を行った。
実施例9及び10
平均重合度2600、ケン化度99.5モル%のポリビニルアルコール樹脂を水で溶解し48質量%の含水ポリビニルアルコールを得た。この含水ポリビニルアルコールを押出機にて押出し、シートを得た。このシートを縦方向に90℃で3倍、横方向に110℃で3倍に延伸し、200℃で熱固定処理を行い、厚さ12μmの二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム(以下、OPVAという)を得た。その後、実施例1と同様にアンカーコート層、無機薄膜フィルムを作製し、その上に表1−2に示す配合割合で調製した各水性液を塗布し、同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
続いて、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製「 H100C」)に、ウレタン系接着剤(東洋モートン社製「AD900」と「CAT−RT85」とを質量比10:1.5の割合で配合)を塗布、80℃で1分乾燥し、厚さ約3μmの接着樹脂層を形成し、この接着樹脂層上に、上記ガスバリア性フィルムの樹脂層面側をラミネートし、更に、該ポリビニルアルコールフィルム面に接着樹脂層を形成し、厚さ50μmのエチレン酢酸ビニル共重合フィルム(タマポリ(株)製「SB−7」)をラミネートし、40℃で3日間エージングを行い積層体を得た。得られた積層体について、前記の評価を行った。
以上の実施例及び比較例の各々の結果について、表1−1及び表1−2に示す。
Figure 2007090874
Figure 2007090874
本発明のガスバリア性積層フィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、例えば、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装に広く利用される。また、包装用途以外にも、液晶表示素子、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル、EL用基板、カラーフィルター等で使用する透明導電シートや真空断熱材としても好適に使用できる。

Claims (14)

  1. 基材フィルムの少なくとも一方の面に形成した無機薄膜面上に、(a)ポリビニルアルコール、(b)エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、及び(c)シリカ粒子を含有する水性分散液を塗布してなる樹脂層を有するガスバリア性積層フィルム。
  2. エチレン・不飽和カルボン酸共重合体がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の部分中和物を含む、請求項1記載の積層フィルム。
  3. エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の中和度が20〜100モル%である、請求項2記載の積層フィルム。
  4. エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の部分中和物が、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属塩である、請求項3記載の積層フィルム。
  5. ポリビニルアルコールとエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の含有比が、質量比で95:5〜25:75である、請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 樹脂層中、シリカ粒子を、(a)成分と(b)成分と(c)成分の合計量に対し2〜80質量%含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. シリカ粒子の平均粒子径が1〜20nmである、請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. シリカ粒子がシラノール基を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
  9. ポリビニルアルコールの鹸化度が90%以上である、請求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルム。
  10. 水性分散液を塗布してなる樹脂層の厚さが0.05〜1μmである、請求項1〜9のいずれかに記載の積層フィルム。
  11. 無機薄膜が酸化珪素からなる、請求項1〜10のいずれかに記載の積層フィルム。
  12. 基材フィルムが、ポリエステル、ポリアミド及びポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも一種からなる、請求項1〜11のいずれかに記載の積層フィルム。
  13. 少なくとも、(A)基材フィルムの少なくとも一方の面に、蒸着法により無機薄膜を形成する工程、及び(B)該無機薄膜面上に、(a)ポリビニルアルコール、(b)エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、及び(c)シリカ粒子を混合して得られた水性分散液を塗布する工程、を有する、ガスバリア性積層フィルムの製造方法。
  14. エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体とアンモニアまたはアルカリ金属水酸化物からなる分散媒とを含む水性分散液として用いる、請求項13記載の製造方法。
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