JP2007087759A - ゲル電解質電池、電池ユニット、および電池用ゲル電解質層の製造方法 - Google Patents

ゲル電解質電池、電池ユニット、および電池用ゲル電解質層の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高出力型のゲル電解質電池において、異常時の信頼性をより一層向上させうる手段を提供する。
【解決手段】 正極活物質層、ゲル電解質層、および負極活物質層がこの順に積層されてなる少なくとも1つの単電池層を有するゲル電解質電池において、ゲル電解質として、2気圧の圧力条件下における電気抵抗が、1気圧の圧力条件下における電気抵抗の10%以下であるものを用いる。
【選択図】図3

Description

本発明は、ゲル電解質電池、これを有する電池ユニット、およびその使用方法等に関する。特に本発明は、ゲル電解質電池の破損時の信頼性を向上させるための改良に関する。
近年、大気汚染や地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、全ての電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。リチウムイオン二次電池は、一般に、バインダを用いて正極活物質等を正極集電体の両面に塗布した正極と、バインダを用いて負極活物質等を負極集電体の両面に塗布した負極とが、電解質層を介して接続され、電池ケースに収納される構成を有している。
電解質層を構成する電解質としては、一般的に、真性ポリマー電解質、液体電解質、ゲル電解質が知られている。なかでもゲル電解質は、リチウムイオン伝導性に優れ、しかも液体電解質における液漏れの心配も低減されうるため、有望な電解質であり、多くの研究がなされている。ゲル電解質は、一般に、非水溶媒にリチウム含有電解質塩が溶解されてなる非水電解液がマトリックスポリマーによってゲル状とされる構成を有する(例えば、特許文献1を参照)。
特開2001−313075号公報
上述したように、リチウムイオン二次電池は、自動車等への車載を念頭に開発が進められている。一方、自動車等が関与する事故もまた、ある程度存在するのが事実である。従って、車載用のリチウムイオン二次電池を開発するにあたっては、かような事故などの異常時において危険を誘発する可能性を極力低減することが求められる。
ところで、上述したような異常時において電池が破損すると短絡(ショート)現象が発生し、電池に大電流が流れる事態が生じる。また、ゲル電解質電池は電解質層に電解液を含むが、異常時に流れる大電流に伴う電池の温度上昇によって、電解液中の溶媒が気化し、引火の虞もまた生じる。
従来のゲル電解質リチウムイオン二次電池においても、上記のような問題を解決すべく、電解液中の溶媒として沸点の高い溶媒を採用する技術が提案されている。一方、かような信頼性向上のための研究と並行して、車載を念頭に置いた電池の高出力化の研究もまた、鋭意進められているのが現状である。特に、双極型リチウムイオン二次電池は、高出力型電池として注目を集めている。このような高出力型電池では、異常時において流れる異常電流も極めて大きいものになるものと予想される。
しかしながら、現在研究が進められている高出力型電池の異常時信頼性を充分に確保することは、従来の技術では困難である。
そこで本発明は、高出力型のゲル電解質電池において、異常時の信頼性をより一層向上させうる手段を提供することを目的とする。
本発明は、正極活物質層、ゲル電解質層、および負極活物質層がこの順に積層されてなる少なくとも1つの単電池層を有するゲル電解質電池であって、2気圧の圧力条件下における前記ゲル電解質層の電気抵抗が、1気圧の圧力条件下における電気抵抗の10%以下であることを特徴とする、ゲル電解質電池である。
また本発明は、上記のゲル電解質電池を有する電池ユニット等である。
本発明によれば、高出力型のゲル電解質電池における異常時の信頼性がより一層向上しうる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみには制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
(第1実施形態)
(構成)
本発明は、正極活物質層、ゲル電解質層、および負極活物質層がこの順に積層されてなる少なくとも1つの単電池層を有するゲル電解質電池であって、2気圧の圧力条件下における前記ゲル電解質層の電気抵抗が、1気圧の圧力条件下における電気抵抗の10%以下であることを特徴とする、ゲル電解質電池である。なお、本明細書においては、双極型のリチウムイオン二次電池(以下、「双極型電池」とも称する)を例に挙げて詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はかような形態のみに制限されない。また、以下の説明では、集電体、電極活物質層、およびゲル電解質層の平面形状がいずれも同一の矩形である形態を例に挙げて説明するが、本発明の技術的範囲がこの形態のみに制限されるわけではない。
まず、双極型電池の概要を説明する。
図1は、本実施形態に係る双極型のゲル電解質電池(双極型電池)の概略断面図である。
図1に示す本実施形態の双極型電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の電池要素21が、外装であるラミネートシート29の内部に封止された構造を有する。
図1に示すように、本実施形態の双極型電池10の電池要素21は、集電体11の一方の面に正極活物質層13が形成され他方の面に負極活物質層15が形成された複数の双極型電極を有する。各双極型電極は、ゲル電解質層17を介して積層されて電池要素21を形成する。この際、一の双極型電極の正極活物質層13と前記一の双極型電極に隣接する他の双極型電極の負極活物質層15とがゲル電解質層17を介して向き合うように、各双極型電極およびゲル電解質層17が積層されている。
そして、隣接する正極活物質層13、ゲル電解質層17、および負極活物質層15は、一つの単電池層19を構成する。従って、双極型電池10は、単電池層19が積層されてなる構成を有するともいえる。また、単電池層19の外周には、隣接する集電体11間を絶縁するための絶縁層31が設けられている。なお、電池要素21の最外層に位置する集電体(最外層集電体)(11a、11b)には、片面のみに、正極活物質層13(正極側最外層集電体11a)または負極活物質層15(負極側最外層集電体11b)のいずれか一方が形成されている。
さらに、図1に示す双極型電池10では、正極側最外層集電体11aが延長されて正極タブ25とされており、この正極タブ25は、外装であるラミネートシート29から導出している。一方、負極側最外層集電体11bが延長されて負極タブ27とされており、この負極タブ27も同様に、ラミネートシート29から導出している。
以下、本実施形態の双極型電池10を構成する部材について説明するが、下記の形態のみに制限されることはなく、ゲル電解質層以外の部材については、従来公知の形態が同様に採用されうる。
[集電体(最外層集電体を含む)]
集電体11および最外層集電体(11a、11b)は、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス(SUS)箔など、導電性の材料から構成される。最外層集電体以外の集電体の一般的な厚さは、1〜30μmである。ただし、この範囲を外れる厚さの集電体を用いてもよい。
集電体の大きさは、双極型電池10の使用用途に応じて決定される。大型の電池に用いられる大型の電極を作製するのであれば、面積の大きな集電体が用いられる。小型の電極を作製するのであれば、面積の小さな集電体が用いられる。
[活物質層]
正極活物質層13は、正極活物質を含む。正極活物質としては、リチウム−遷移金属複合酸化物が好ましく、例えば、LiMnなどのLi−Mn系複合酸化物やLiNiOなどのLi−Ni系複合酸化物が挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。
負極活物質層15は、負極活物質を含む。負極活物質としては、上記のリチウム遷移金属−複合酸化物や、カーボンが好ましい。カーボンとしては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛系炭素材料、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、ハードカーボン等が挙げられる。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。
正極活物質層13および負極活物質層15には、必要であれば、その他の物質が含まれてもよい。例えば、バインダ、導電助剤が含まれてもよい。
バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、合成ゴム系バインダ等が挙げられる。
導電助剤とは、正極活物質層13または負極活物質層15の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、グラファイトなどのカーボン粉末が挙げられる。
正極活物質層13および負極活物質層15中に含まれる成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、リチウムイオン二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。
[ゲル電解質層]
ゲル電解質層17は、ゲル電解質から構成される。ゲル電解質とは、一般的にイオン伝導性を有する固体高分子電解質をマトリックスポリマーとして、それに液体電解質を含ませたものであるが、さらに、リチウムイオン伝導性を持たない高分子をマトリックスポリマーとして、同様の電解液を保持させたものも含まれる。
イオン伝導性を有する固体高分子電解質としては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、これらの共重合体のような公知の固体高分子電解質が挙げられる。これらは真性(全固体)ポリマー電解質に使用されうる。
高分子ゲル電解質に用いられるリチウムイオン伝導性を持たない高分子としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。なお、PAN、PMMAなどは、どちらかというとイオン伝導性がほとんどない部類に入るものであるため、上記イオン伝導性を有する高分子とすることもできるが、ここでは高分子ゲル電解質に用いられるリチウムイオン伝導性を持たない高分子として例示したものである。
液体電解質は、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。種類としては特に制限されるべきものではなく、従来既知の各種電解液を適宜使用することができるものである。例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩の中から選ばれる、少なくとも1種類のリチウム塩(電解質塩)を含み、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のエーテル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトニトリル等のニトリル類;プロピオン酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;酢酸メチル、蟻酸メチルの中から選ばれる少なくともから1種類または2種以上を混合した、非プロトン性溶媒等の可塑剤(有機溶媒)を用いたものなどが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
ゲル電解質17を構成するマトリックスポリマーと電解液との配合比についても特に制限はないが、マトリックスポリマー:電解液の質量比は、好ましくは1.5:8.5〜0.7:9.3であり、より好ましくは1:9〜0.7:9.3である。
本発明においては、電極特性をより向上させるために、ゲル電解質が正極活物質層13および負極活物質層15の双方にも含まれることが好ましい。
本発明において、ゲル電解質層17は、上述したゲル電解質のみからなってもよいが、セパレータにゲル電解質が保持されてなる形態もまた、採用されうる。
セパレータとしては、特に制限されず、微多孔膜セパレータおよび不織布セパレータなどが用いられうる。
上記微多孔膜セパレータとしては、例えば、上記電解質を吸収保持するポリマーからなる多孔性シート(例えば、ポリオレフィン系微多孔膜セパレータなど)などを用いることができる。有機溶媒に対して化学的に安定であるという性質を持つ上記ポリオレフィン系微多孔質セパレータは、電解質(電解液)との反応性を低く抑えることができるという優れた効果を有する。
かような多孔性シートの構成材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、PP/PE/PPの3層構造をした積層体、ポリイミドなどが挙げられる。
上記微多孔膜セパレータの微細孔の径は、最大で1μm以下(通常、数十nm程度の孔径である)であることが望ましい。微多孔膜セパレータの微細孔の平均径が上記範囲であると、熱によって微多孔膜セパレータが溶融して微細孔が閉じる「シャットダウン現象」が速やかに起こり、本発明のゲル電解質電池の異常時の信頼性をより一層向上させることが可能となる。
上記微多孔膜セパレータの空隙率は30〜70%であることが好ましい。微多孔膜セパレータの空隙率が上記範囲であると、電解質(電解液)の抵抗による出力低下の防止と、活物質等の微粒子がセパレータの空孔(微細孔)を貫くことによる短絡の防止という複合的な効果が得られるため、好ましい。なお、微多孔膜セパレータの空隙率は、原材料樹脂の密度と最終製品の微多孔膜セパレータの密度との体積比の値から算出されうる。
上記微多孔膜セパレータへの電解質の含浸量は特に制限されず、微多孔膜セパレータの保持能力範囲まで含浸させてもよいし、当該保持能力範囲を超えて含浸させてもよい。
一方、不織布セパレータとしても、セパレータ機能を有し、高分子ゲル電解質を保持させることができるものであれば特に制限されず、繊維を絡めてシート化されてなるものが用いられうる。また、加熱によって繊維同士を融着することにより得られるスパンボンド等も用いることができる。すなわち、繊維を適当な方法でウェブ(薄綿)状またはマット状に配列させ、適当な接着剤あるいは繊維自身の融着力により接合して作ったシート状のものであればよい。また、使用繊維としては、特に制限されるものではなく、例えば、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリイミド、アラミドなど従来公知のものを用いることができる。これらは、使用目的(電解質層に要求される機械強度など)に応じて、単独または混合して用いられる。
以下、本発明の特徴であるゲル電解質層17の好ましい構成について詳細に説明するが、下記の形態のみには制限されない。
本発明のゲル電解質電池は、電解質層を構成するゲル電解質層として、当該ゲル電解質層の厚さ方向の圧力の変化に伴って電気抵抗が変化するものを採用する点に特徴を有する。具体的には、本発明のゲル電解質電池においては、2気圧の圧力条件下における前記ゲル電解質層の電気抵抗が、1気圧の圧力条件下における電気抵抗の10%以下である。ここでいう「圧力」とは、ゲル電解質層に対して、その厚さ方向(図1でいう単電池層19の積層方向)にかかる圧力を意味する。また、「ゲル電解質層の電気抵抗」としては、後述する実施例に記載の手法により測定された値を採用するものとする。
本発明のゲル電解質電池において、ゲル電解質層の電気抵抗は、2気圧の圧力条件下においては1気圧の圧力条件下の10%以下である。ここで、上述した異常時の信頼性をより一層向上させるという観点から、2気圧の圧力条件下におけるゲル電解質層の電気抵抗は、1気圧の圧力条件下の、好ましくは5%以下であり、より好ましくは2%以下である。
なお、本発明のゲル電解質電池を構成するゲル電解質層17の電気抵抗が、加圧状態では大気圧(1気圧)状態と比較して急激に低下するメカニズムは必ずしも明らかとはなっていないが、以下のメカニズムが推定されている。すなわち、ゲル電解質を作製して電池に組みこむ際には、ゲル電解質表面近傍は乾いた状態になっており、電気抵抗が高い。しかしながら、電池に組み込まれた後に圧力をかけると電解質全体が若干縮み、これによりゲル電解質に含まれている電解液が表面近傍に染み出し、表面近傍の電気抵抗も低下しうるのである。ただし、上記のメカニズムはあくまでも推測に基づくものであり、たとえ異なるメカニズムにより本発明の作用効果が得られていたとしても、本発明の技術的範囲は何ら影響を受けることはない。
ゲル電解質層の示す電気抵抗の絶対値についても特に制限はなく、所望の電池性能や電解質層の製造方法等を考慮して適宜決定すればよい。ただし、上述した異常時の信頼性を充分に確保するという観点からは、1気圧の圧力条件下におけるゲル電解質層の電気抵抗は、好ましくは20Ω・cm以上であり、より好ましくは30Ω・cmであり、さらに好ましくは50Ω・cmである。ただし、かような形態のみには制限されず、これらの範囲を外れる形態のゲル電解質層もまた、採用されうる。
上述したように、本発明のゲル電解質電池は加圧条件下において用いられることが好ましい。ただし、かような形態のみには制限されず、場合によっては、大気圧条件下において用いられても、勿論よい。
本発明のゲル電解質電池が加圧条件下において用いられると、上述したように、加圧の開放時にはゲル電解質層の電気抵抗が急激に増大する。どの程度増大するかについては特に制限はないが、上述した異常時の信頼性を充分に確保するという観点からは、10倍以上、より好ましくは20倍以上、さらに好ましくは50倍以上に増大することが好ましい。
[絶縁層]
双極型電池10においては、通常、各単電池層19の周囲に絶縁層31が設けられる。この絶縁層31は、電池内で隣り合う集電体11どうしが接触したり、電池要素21における単電池層19の端部の僅かな不ぞろいなどによる短絡が起こったりするのを防止する目的で設けられる。かような絶縁層31の設置により、長期間の信頼性および安全性が確保され、高品質の双極型電池10が提供されうる。
絶縁層31としては、絶縁性、電解質の脱落に対するシール性や外部からの水分の透湿に対するシール性(密封性)、電池動作温度下での耐熱性などを有するものであればよく、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ゴムなどが用いられうる。なかでも、耐蝕性、耐薬品性、作り易さ(製膜性)、経済性などの観点から、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
[タブ]
双極型電池10においては、電池外部に電流を取出す目的で、タブ(正極タブ25および負極タブ27)が最外層集電体(11a、11b)に接続される。具体的には、正極タブ25が正極用最外層集電体11aに接続され、負極タブ27が負極用最外層集電体11bに接続される。
タブ(正極タブ25および負極タブ27)の材質は、特に制限されず、双極型電池用のタブとして従来用いられている公知の材質が用いられうる。例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等が例示される。なお、正極タブ25と負極タブ27とでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。また、場合によっては、最外層集電体(11a、11b)を延長することによりタブ(25、27)としてもよいし、別途準備したタブを最外層集電体に接続してもよい。
[外装]
双極型電池10においては、使用時の外部からの衝撃や環境劣化を防止するために、電池要素21は、好ましくはラミネートシート29などの外装内に収容される。外装の形態は特に制限されず、従来公知の形態が採用されうる。自動車の熱源から効率よく熱を伝え、電池内部を迅速に電池動作温度まで加熱しうる点で、好ましくは、熱伝導性に優れた高分子−金属複合ラミネートシート等が用いられうる。
(製造方法)
続いて、本実施形態の双極型電池10の製造方法の好ましい形態について説明するが、下記の形態のみには制限されない。
本実施形態の双極型電池10を製造する際には、まず、集電体11の一方の面に正極活物質層13を形成し、他方の面に負極活物質層15を形成して、双極型電極を作製する。最外層集電体については、正極側最外層集電体11aの一方の面に正極活物質層13のみを形成し、負極側最外層集電体11bの一方の面に負極活物質層15のみを形成する。集電体11の面上に活物質層を形成する手法は特に制限されず、電池の製造分野において従来公知の手法が適宜採用されうる。
一方、ゲル電解質層17を作製する。ゲル電解質層17を作製する手法は特に制限されず、従来公知の知見を参照しながら、上述した所定の機能を発揮するように各種条件を適宜制御するとよい。以下に、ゲル電解質がセパレータに保持されてなる場合を例に挙げて、ゲル電解質層17の作製方法の好ましい一形態を示す。
まず、マトリックスポリマー溶液と比較的沸点の低い溶媒を含む電解液とを混合して、プレゲル溶液を調製する。プレゲル溶液は流動性が高く、後述するようにセパレータ中に容易に含浸される。含浸後、プレゲル溶液中の低沸点溶媒を揮発させる物理架橋、または重合開始剤を用いた架橋処理による化学架橋により、ゲル電解質が得られる。
マトリックスポリマー溶液は、適当な溶媒中にマトリックスポリマーを添加し、均一に分散させることにより、調製される。この際に添加されるマトリックスポリマーの具体的な形態については上述した通りであるため、ここでは説明を省略する。一方、低沸点溶媒としては、例えばジメチルカーボネート(DMC)や、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)などがある。なお、マトリックスポリマー溶液中のマトリックスポリマー濃度は特に制限されないが、通常は7〜15質量%程度である。
一方、電解液は、溶媒である可塑剤(有機溶媒)中に電解質塩であるリチウム塩を添加し、溶解させることにより、調製される。この際に用いられる可塑剤(有機溶媒)およびリチウム塩の具体的な形態については上述した通りであるため、ここでは説明を省略する。また、電解液中の電解質塩濃度も特に制限されないが、通常は1.0〜2.0M程度である。
上記のようにして得られたプレゲル溶液を、準備したセパレータに含浸させる。この際に用いられるセパレータの具体的な形態についても上述した通りであるため、ここでは説明を省略する。プレゲル溶液をセパレータに含浸させる具体的な手法は特に制限されず、電池の製造分野において従来公知の知見が適宜参照されうるが、例えば、ダイコータ塗布法、スプレー塗布法、インクジェットプリント法などが用いられうる。これらの方法はプレゲル溶液の塗布量を厳密に制御することができるため好ましい。そして、均一にプレゲル溶液を塗布することで、電池の電流密度分布が均一になる。
プレゲルの塗布後、セパレータを減圧乾燥させる。これにより、プレゲル溶液中の低沸点溶媒の一部が揮発するとともに、プレゲル溶液がセパレータ内部にまで充分に含浸されうる。プレゲル溶液が重合開始剤を含まない場合、すなわちゲル電解質が物理架橋ゲルから構成される場合には、この溶媒の一部の揮発によりゲル電解質層が完成する。
減圧乾燥時の具体的な条件は特に制限されず、電解質に用いられる溶媒の物性、プレゲルの粘度などに応じて適宜決定されうる。一例を挙げると、減圧乾燥時の圧力は好ましくは1〜10000Pa程度である。また、減圧乾燥時の温度条件は、好ましくは23〜60℃程度である。さらに乾燥時間は、好ましくは5分〜5時間程度、より好ましくは5分〜2時間である。
本発明の特徴的な構成であるゲル電解質を得るためには、減圧乾燥時の乾燥温度および乾燥時間の関係を適切に調節するとよい。すなわち、室温程度の温度条件下で減圧乾燥を行う場合には、乾燥時間を2〜5時間程度、好ましくは3〜5時間とするとよい。この際、乾燥時間が短すぎると、1気圧の圧力条件下での抵抗が低すぎるという理由により、本発明の機能を有するゲル電解質の製造が困難である。一方、乾燥時間が長すぎても、電解質を加圧しても電気抵抗が低下しにくいという理由から、同様に本発明の機能を有するゲル電解質の製造が困難である。また、40〜60℃と比較的高温で減圧乾燥を行う場合には、乾燥時間を30分〜2時間程度とするとよい。なお、この乾燥時間の臨界的意義については上記と同様である。
プレゲル溶液が重合開始剤を含む場合には、開始剤の作用要因に応じてプレゲル溶液中のマトリックスポリマーを化学架橋させることで、ゲル電解質層が完成する。化学架橋ポリマーは保液性がよく、得られるゲル電解質層の液漏れの心配を低減しうる。
続いて、上記で作製した双極型電極を、同じく上記で作製したゲル電解質層17を介して複数積層して、電池要素21を形成する。この際、正極活物質層13がゲル電解質層17を介して他の双極型電極に形成された負極活物質層15と向き合う向きに、各双極型電極を積層する。また、電池要素21の最上面および最下面には、活物質層が形成されていない面が露出するように最外層集電体(11a、11b)を積層する。なお、最外層集電体(11a、11b)の1辺は延長されており、後述する封入時にタブ(25、27)としてラミネートシート29から導出される。場合によっては、別途準備したタブ(25、27)を最外層集電体(11a、11b)に接合してもよい。最外層集電体とタブとを接合する手法は特に制限されず従来公知の溶接方法などが用いられうる。溶接方法としては、例えば、超音波溶接、スポット溶接などが例示される。なかでも、低温での接合が可能であることから、超音波溶接が好ましく用いられる。
電池要素21の積層中には、正極活物質層13、ゲル電解質層17および負極活物質層15からなる単電池層19を包囲するように、隣接する集電体11の間に絶縁層31を挟み込む。積層後、積層体の縁部をホットプレスして絶縁層31を集電体11と熱融着させることにより、積層された状態の双極型電池の電池要素21が完成する。
その後、正極タブ25および負極タブ27が導出するように電池要素21をラミネートシート29により封止する。ラミネートシート29は、例えば、ヒートシール、インパルスシール、超音波融着、高周波融着などによって、封止されうる。
以上の工程により、少なくとも1つの単電池層19を有する本実施形態の双極型電池10が完成する。
(作用)
次に、本実施形態の双極型電池10の作用について説明する。
本実施形態の双極型電池10の電池としての作用については、一般的な双極型電池の作用と同様であるため、ここでは説明を省略する。以下では、所定の機能を示すゲル電解質層17を採用することに基づく作用について、主に説明する。
上述したように、本発明のゲル電解質電池は、加圧条件下(例えば、2気圧の圧力条件下)に置かれると、大気圧(1気圧)条件下と比較して電気抵抗が急激に減少する。換言すれば、加圧条件下で用いられると電気抵抗が小さいために高出力を発揮することが可能であるのに対し、事故等による破損によってゲル電解質層に対する圧力が大気圧程度となった場合にはゲル電解質層の電気抵抗が急激に(例えば、10倍以上に)増大する。従って、本発明のゲル電解質電池は、破損により短絡が生じた場合であっても電池内で大電流が流れることが効果的に抑制され、電池の急激な温度上昇や電解液の揮発に伴う引火の危険性などの問題の発生が防止されうる。すなわち、本発明のゲル電解質電池はシャットダウン機能を有し、異常時の信頼性が極めて高いものである。
(第2実施形態)
第2実施形態では、本発明の第1のゲル電解質電池である上記の第1実施形態の双極型電池を用いて、電池ユニットを構成する。
図2は、本実施形態の電池ユニットを示す平面図である。図3は、図2に示すIII−III線に沿った断面図である。図4は、図2に示すIV−IV線に沿った断面図である。
図2および図3に示すように、本実施形態の電池ユニット40は、上記の第1実施形態の双極型電池10と、前記双極型電池10の上面に配置された上面支持板41と、下面に配置された下面支持板42と、を有する。
前記2枚の支持板(41、42)は、四隅がボルト43およびナット44により締結されている。さらに、前記ナット44は下面支持板42に固定されており、前記ボルト43の頭部の周囲には、当該ボルト43を回転させるためのボルト回転手段45が設置されている。これらの支持板(41、42)、並びにボルト43、ナット44、およびボルト回転手段45は、双極型電池10をその積層方向に加圧するための加圧手段として機能する。また、ボルト回転手段45は電子制御ユニット(ECU)50により電子的に制御されており、当該ECU50による制御によってボルト43を回転させ、ボルト43およびナット44による締結力(すなわち、双極型電池10の積層方向の加圧力(以下、単に「加圧力」とも称する))を制御する。すなわち、ボルト回転手段45およびECU50は、加圧力を制御するための加圧力制御手段として機能する。
さらに、図2および図4に示すように、本実施形態の電池ユニット40において、双極型電池10には、温度センサ46が設置されており、当該温度センサ46により測定される測定温度は前記ECU50に電子的に入力されている。この温度センサ46は、双極型電池10の温度を測定するための温度測定手段として機能する。温度センサ46の具体的な形態について特に制限はなく、K熱電対などの一般的な温度センサが用いられうる。温度測定手段の設置箇所についても特に制限はない。図4に示すように電池10の内部に温度測定手段を直接挿入してもよいが、支持板41の中心部付近に温度測定手段が嵌合しうる孔を設け、当該孔に温度測定手段を嵌合させる形態もまた、採用されうる。かような孔を設けるのは1箇所のみでもよいし、複数箇所でもよい。ただし、本発明の電池ユニットの技術的範囲はかような温度測定手段を具備する形態のみには制限されない。
続いて、本実施形態の電池ユニットの動作について説明する。
電池ユニット40の作動時には、まず、ECU50が加圧力制御手段であるボルト回転手段45を作動させ、加圧力が上昇する方向にボルト43が回転する。そして、加圧力が所定の値に達すると、ECU50はボルト回転手段45を停止させ、双極型電池10はその積層方向に一定の圧力(加圧力)で加圧される。この際の加圧力は特に制限されず、双極型電池10の作動時のゲル電解質層17の電気抵抗の所望の値を考慮して適宜設定されうる。ただし、上述した通り、加圧力を2気圧とすれば、第1実施形態の双極型電池10を構成するゲル電解質層17の電気抵抗を加圧前(通常は1気圧程度)の10%以下とすることができる。かような観点から、電池ユニット40作動時の加圧力は、通常は2〜3気圧程度であり、好ましくは2.5〜3気圧である。ただし、加圧力がこれらの範囲を外れる形態が採用されても、勿論よい。
双極型電池10が所定の加圧力で加圧されたら、双極型電池10を外部負荷と接続し、電源としての機能を発揮させる。上述した通り、第1実施形態の双極型電池10は加圧状態ではゲル電解質層17における電気抵抗が低減されている。従って、本実施形態によれば、大電流を流すことが可能な高出力の電池ユニット40が提供される。
一方、電池ユニット40の破損時には、ゲル電解質層17への加圧力が大気圧(1気圧)程度となるため、ゲル電解質層17の電気抵抗は急激に上昇し、電池内での短絡に伴う大電流の発生や温度上昇に起因する電解液の気化、引火の虞などが効果的に抑制されうる。この際ECU50は、可能であればボルト回転手段45を作動させ、加圧力が低下する方向にボルト43を回転させるとよい。かような形態によれば、より効果的にゲル電解質層17の電気抵抗を上昇させることが可能である。
このように、本実施形態の電池ユニット40もまた、異常時の信頼性に優れる。
本実施形態の電池ユニット40は、電池ユニット40の破損以外の原因によって双極型電池10内部の温度が異常に上昇した場合(例えば、内部短絡が発生した場合)の信頼性にも優れる。すなわち、本実施形態においては、上述したように、双極型電池10に温度センサ46が接続されており、当該温度センサ46により測定される測定温度がECU50に入力されている。従って、好ましい形態において、加圧力制御手段(ECU50およびボルト回転手段45)は、前記測定温度に基づいて、加圧手段の加圧力を制御する。具体的には、許容できる双極型電池10の温度の上限値を予め設定しておき、温度センサ46による測定温度が当該上限値を上回った場合には、ECU50はボルト回転手段45を作動させ、加圧力が低下する方向にボルト43を回転させる。これにより、上記と同様にゲル電解質層17の電気抵抗が上昇し、双極型電池10におけるさらなる温度上昇が抑制され、電解液の揮発やそれに伴う引火の危険性を低減させうる。なお、許容できる双極型電池10の上限温度は、双極型電池10の具体的な形態に応じて変動しうるため、一義的には決定されず、適宜設定されうる。ただし、双極型電池10の上限温度は、120〜150℃に設定されることが好ましい。
この際、加圧力制御手段(ECU50およびボルト回転手段45)は、加圧手段による加圧を開放可能であることが好ましい。具体的には、ECU50は、上述した双極型電池10の許容上限温度以上への温度上昇を感知すると、双極型電池10の積層方向への加圧が開放されるように、すなわち、加圧手段である支持板(41、42)が双極型電池10をその積層方向に加圧しなくなるように、ボルト回転手段45を回転させて、加圧を開放しうることが好ましい。
(第3実施形態)
第3実施形態においても、第2実施形態と同様に、本発明の第1のゲル電解質電池を用いて電池ユニットを構成する点では、上記の第2実施形態と同様である。しかしながら、本実施形態では、加圧手段および加圧力制御手段の形態が、第2実施形態とは異なる。
図5は、本実施形態の電池ユニットを示す概略図である。
図5に示すように、本実施形態の電池ユニット40は、上記の第1実施形態の双極型電池10が圧力容器60内に載置されてなる構造を有する。圧力容器の材質などの具体的な形態は特に制限されず、後述する加圧手段による加圧に耐えうるものであればよい。
圧力容器60には、配管61を介して、当該圧力容器60内を加圧するためのガスが入っているガスボンベ62が接続されている。ガスの種類は特に制限されないが、双極型電池10への影響がほとんどないという観点から、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスが好ましく用いられうる。配管61の途中には、ガスに圧力を付与するためのポンプ63および、圧力容器60内の圧力を調整するためのバルブ64が設置されている。さらに、圧力容器60には、圧力容器60内のガスを開放するための、配管65および圧力開放弁66が設置されている。なお、ポンプ63、バルブ64、および圧力開放弁66は、ECU50により電子的に制御されている。
本実施形態の電池ユニット40において、圧力容器60、ポンプ63、ガスボンベ62から供給されるガス、およびバルブ64は、協働して双極型電池10をその積層方向に加圧するための加圧手段として機能する。また、ECU50、バルブ64、および圧力開放弁66は、加圧力を制御するための加圧力制御手段として機能する。
続いて、本実施形態の電池ユニットの動作について説明する。
電池ユニット40の作動時には、まず、ECU50が加圧手段であるポンプ63およびバルブ64を作動させ、ガスボンベ62から圧力容器60内へガスを供給する。この際、ガスの供給は、圧力容器60内が所定の圧力になるまで、すなわち、双極型電池10の積層方向の加圧力が所定の値に達するまで行われる。そして、加圧力が所定の値に達すると、ECU50はポンプ63およびバルブ64を停止させ、双極型電池10はその積層方向に一定の圧力(加圧力)で加圧される。この際の加圧力の具体的な形態については、上記の第2実施形態で説明した通りであるため、ここでは説明を省略する。
双極型電池10が所定の加圧力で加圧されたら、双極型電池10を外部負荷と接続し、電源としての機能を発揮させる。上述した通り、第1実施形態の双極型電池10は加圧状態ではゲル電解質層17における電気抵抗が低減されている。従って、本実施形態によっても、大電流を流すことが可能な高出力の電池ユニット40が提供される。
一方、電池ユニット40の破損時には、圧力容器60の破損によりゲル電解質層17への加圧力が大気圧(1気圧)程度となるため、ゲル電解質層17の電気抵抗は急激に上昇し、電池内での短絡に伴う大電流の発生や温度上昇に起因する電解液の気化、引火の虞などが効果的に抑制されうる。
このように、本実施形態の電池ユニット40もまた、異常時の信頼性に優れる。
本実施形態において、加圧力制御手段(ECU50、バルブ64、および圧力開放弁66)は、加圧手段による加圧を開放可能である。具体的には、ECU50は、双極型電池10の急激な温度上昇などの異常を感知すると、バルブ64または圧力開放弁66を作動させることにより圧力容器60内の圧力を低下させ、双極型電池10の積層方向への加圧を開放する。
なお、本実施形態においても、上記の第2実施形態と同様に、双極型電池10に温度センサ(図示せず)を設置し、当該温度センサによる測定温度に基づいて、加圧力を制御してもよい。すなわち、加圧力制御手段(ECU50およびバルブ64)は、温度センサによる測定温度に基づいて、加圧手段の加圧力を制御する。具体的には、許容できる双極型電池10の温度の上限値を予め設定しておき、温度センサ46による測定温度が当該上限値を上回った場合には、ECU50はバルブ64または圧力開放弁66を作動させ、圧力容器60内の圧力を低下させる。これにより、上記と同様にゲル電解質層17の電気抵抗が上昇し、双極型電池10におけるさらなる温度上昇が抑制され、電解液の揮発やそれに伴う引火の危険性を低減させうる。
(第4実施形態)
第4実施形態では、上記の第1実施形態の双極型電池、または上記の第2実施形態もしくは第3実施形態の電池ユニットを複数個、並列および/または直列に接続して、組電池を構成する。
組電池は、上記の第1実施形態に記載の双極型電池、または上記の第2実施形態もしくは第3実施形態の電池ユニットが複数個接続されることにより構成される。各双極型電池10の正極タブ25および負極タブ27がバスバーを用いて接続されることにより、各双極型電池10が接続される。この際、組電池の一の側面には、組電池全体の電極として、電極ターミナルが設けるとよい。
組電池を構成する複数個の双極型電池または電池ユニットを接続する際の接続方法は特に制限されず、従来公知の手法が適宜採用されうる。例えば、超音波溶接、スポット溶接などの溶接を用いる手法や、リベット、カシメなどを用いて固定する手法が採用されうる。かような接続方法によれば、組電池の長期信頼性が向上しうる。
本実施形態の組電池によれば、上記の第1実施形態の双極型電池10、または第2実施形態もしくは第3実施形態の電池ユニット40を用いて組電池化することにより、異常時の信頼性に優れる電池が提供されうる。
なお、組電池を構成する双極型電池10または電池ユニット40の接続は、複数個全て並列に接続してもよく、また、複数個全て直列に接続してもよく、さらに、直列接続と並列接続とを組み合わせてもよい。
(第5実施形態)
第5実施形態では、上記の第1実施形態の双極型電池10、第2実施形態もしくは第3実施形態の電池ユニット、または第4実施形態の組電池40をモータ駆動用電源として搭載して、車両を構成する。適用可能な車両としては、例えば、ガソリンを用いない完全電気自動車、シリーズハイブリッド自動車やパラレルハイブリッド自動車などのハイブリッド自動車、および燃料電池自動車などの、車輪をモータによって駆動する自動車が挙げられる。
本実施形態において、車両に搭載される双極型電池10、電池ユニット40、または組電池は、上記で説明したような特性を有する。このため、本実施形態の車両は異常時の信頼性に優れる。
以上のように、本発明の幾つかの好適な実施形態について示したが、本発明は、以上の実施形態に限られるものではなく、当業者によって種々の変更、省略、および追加が可能である。例えば、以上の説明では双極型のリチウムイオン二次電池(双極型電池)を例に挙げて説明したが、本発明のゲル電解質電池の技術的範囲が双極型電池のみに制限されることはなく、例えば、双極型でないリチウムイオン二次電池であってもよい。参考までに、図6に、双極型でないリチウムイオン二次電池70の概要を示す断面図を示す。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
<ゲル電解質層の作製>
以下の手法により、リチウムイオン二次電池用のゲル電解質層を作製した。
まず、マトリックスポリマー溶液として、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を5質量%含有するジメチルカーボネート(DMC)溶液を準備した。
一方、電解液として、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)との等体積混合液にリチウム塩であるLiPFを1Mの濃度で溶解させた溶液を準備した。
上記で準備したマトリックスポリマー溶液および電解液を、70℃にて、10:4.5の質量比で混合し、撹拌して、プレゲル溶液を調製した。
また、セパレータとして、ポリオレフィン製微多孔膜(厚さ:25μm)を準備した。そして、準備したセパレータに、上記で調製したプレゲル溶液を染み込ませ、1000Paの圧力条件および下記の表1に示す条件(乾燥温度および乾燥時間)にて減圧乾燥させて、ゲル電解質層を作製した。
<ゲル電解質層の電気抵抗値の圧力依存性評価>
上記で作製した各ゲル電解質層の電気抵抗値を以下の手法により測定した。
セル冶具にゲル電解質層を載置し、ゲル電解質層の厚さ方向の圧力を変化させて、その際のセルの電気抵抗値を交流インピーダンス法により測定した。なお、前記セル冶具はゲル電解質層を厚さ方向に加圧可能であり、さらに当該セル冶具の使用によりゲル電解質層の厚さおよび面積のぶれによる電気抵抗値のぶれを規格化可能である。
具体的には、100Hz〜10kHzの範囲で周波数を掃引し、コールコールプロットの虚数軸の値が0となる2点間の差を電気抵抗値として採用した。
まず、ゲル電解質層作製直後に、大気圧(1気圧)条件下での電気抵抗値(表1中の「初期抵抗値A」)を測定した。続いて、セル冶具によりゲル電解質層を厚さ方向に2気圧に加圧し、加圧状態での電気抵抗値(表1中の「加圧時抵抗値B」)を測定した。さらには、セル冶具による加圧を開放し、再度、大気圧(1気圧)条件下での電気抵抗値(表1中の「加圧後抵抗値C」)を測定した。さらに、加圧時抵抗値Bの加圧後抵抗値Cに対する百分率([B/C]×100(%))を算出した。これらの結果を下記の表1に示す。
Figure 2007087759
以上の結果から、本願によれば、2気圧の圧力条件下における電気抵抗が、1気圧の圧力条件下における電気抵抗の10%以下となるゲル電解質層を製造することが可能であることが示される。従って、かようなゲル電解質層を用いて電池を構成することにより、異常時の信頼性に優れる電池が提供されうる。
第1実施形態のゲル電解質電池の概要を示す断面図である。 第2実施形態の電池ユニットを示す平面図である。 図2に示すIII−III線に沿った断面図である。 図2に示すIV−IV線に沿った断面図である。 第3実施形態の電池ユニットを示す概略図である。 双極型でないリチウムイオン二次電池であるゲル電解質電池の概要を示す断面図である。
符号の説明
10 双極型電池、
11 集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
17 ゲル電解質層、
19 単電池層、
21 電池要素、
25 正極タブ、
27 負極タブ、
29 ラミネートシート、
31 絶縁層、
33 正極集電体、
35 負極集電体、
40 電池ユニット、
41 上面支持板、
42 下面支持板、
43 ボルト、
44 ナット、
45 ボルト回転手段、
46 温度センサ、
50 電子制御ユニット(ECU)、
60 圧力容器、
61 配管、
62 ガスボンベ、
63 ポンプ、
64 バルブ、
65 配管、
66 圧力開放弁、
70 双極型でないリチウムイオン二次電池。

Claims (11)

  1. 正極活物質層、ゲル電解質層、および負極活物質層がこの順に積層されてなる少なくとも1つの単電池層を有するゲル電解質電池であって、
    2気圧の圧力条件下における前記ゲル電解質層の電気抵抗が、1気圧の圧力条件下における電気抵抗の10%以下であることを特徴とする、ゲル電解質電池。
  2. 1気圧の圧力条件下における前記電気抵抗が20Ω・cm以上である、請求項1に記載のゲル電解質電池。
  3. 双極型リチウムイオン二次電池である、請求項1または2に記載のゲル電解質電池。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のゲル電解質電池と、
    前記ゲル電解質電池を前記単電池層の積層方向に加圧するための加圧手段と、
    前記加圧手段の加圧力を制御するための加圧力制御手段と、
    を有する、電池ユニット。
  5. 前記ゲル電解質電池の作動時に、前記加圧手段が前記ゲル電解質電池を前記単電池層の積層方向に2気圧以上に加圧する、請求項4に記載の電池ユニット。
  6. 前記ゲル電解質電池の温度を測定するための温度測定手段をさらに有し、
    前記加圧力制御手段が、前記温度測定手段により測定された温度に基づいて前記加圧手段の加圧力を制御する、請求項4または5に記載の電池ユニット。
  7. 前記加圧力制御手段が、温度測定手段により測定された温度が120〜150℃に設定された上限温度以上となった場合に前記ゲル電解質に対する加圧力を低下させる、請求項6に記載の電池ユニット。
  8. 前記加圧力制御手段が、前記ゲル電解質に対する加圧を開放可能である、請求項4〜7のいずれか1項に記載の電池ユニット。
  9. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のゲル電解質電池、または請求項4〜6のいずれか1項に記載の電池ユニットを用いた組電池。
  10. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のゲル電解質電池、請求項4〜6のいずれか1項に記載の電池ユニット、または請求項9に記載の組電池を搭載した車両。
  11. 溶媒に、マトリックスポリマーおよび電解質塩を添加することにより、プレゲル溶液を調製する工程と、
    前記プレゲル溶液をセパレータに含浸させる工程と、
    前記プレゲル溶液が含浸したセパレータを、1〜10000Paの圧力条件下で、23〜60℃にて5分〜5時間減圧乾燥させる工程と、
    を有する、電池用ゲル電解質層の製造方法。
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