図1は、第1の発明に係るゲートシステムの実施形態を示す概略構成図である。本システムは、通行を許可または禁止するゲート10と、ゲート10の出口付近の上方に配備された事後処理通信部20と、ゲート10および事後処理通信部20が接続されたサーバ30と、利用者Pが所持する無線端末40とから構成される。
ゲート10は、一対のゲート10a,10bからなり、それぞれには開閉自在な扉17が設けられている。扉17が開くことによって利用者Pの通行が許可され、扉17が閉じることによって利用者Pの通行が禁止される。ゲート10a,10bにより形成される通路Zには、ゲート内に設けられた後述するアンテナによって、第1の通信領域であるエリアAが形成されている。また、利用者Pの進行方向に向ってゲート10より前方には、事後処理通信部20に設けられた後述するアンテナによって、第2の通信領域であるエリアBが形成されている。エリアBは、エリアAよりも広い通信領域を構成している。サーバ30は、例えば駅の係員室に設置されている。無線端末40は、チケット機能専用の無線端末であってもよいし、携帯電話機などの既存の携帯端末にチケット機能を持たせたものであってもよい。
図2は、図1のゲートシステムの電気的構成を示したブロック図である。ゲート10には、サーバ30と接続するためのインターフェイス11と、各部の動作を制御するCPU12と、データの読み書きを行うためのリードライト部13と、エリアAの通信領域(第1の通信領域)を形成するアンテナ14と、ROM・RAM等のメモリからなる記憶部15と、扉17の開閉を制御する扉制御部16とが備わっている。なお、リードライト部13は、実際には読み取りだけを行い書込みは行わない。事後処理通信部20には、ROM・RAM等のメモリからなる記憶部21と、各部の動作を制御するCPU22と、データの読み書きを行うためのリードライト部23と、エリアBの通信領域(第2の通信領域)を形成するアンテナ24と、サーバ30と接続するためのインターフェイス25とが備わっている。サーバ30には、識別情報の照合や残額の演算などの処理を行うCPU31と、ROM・RAM等のメモリやハードディスクからなる記憶部32と、ゲート10および事後処理通信部20と接続するためのインターフェイス33とが備わっている。
以上において、ゲート10のアンテナ14は本発明における第1の通信手段の一実施形態を構成し、事後処理通信部20のアンテナ24は本発明における第2の通信手段の一実施形態を構成し、ゲート10のCPU12は本発明における判定手段の一実施形態を構成し、サーバ30の記憶部32は本発明における記憶手段の一実施形態を構成し、サーバ30のCPU31と、事後処理通信部20のCPU22、リードライト部23およびアンテナ24とは、本発明における更新手段の一実施形態を構成している。また、無線端末40は本発明における非接触媒体の一実施形態を構成している。
図3は、無線端末40の電気的構成を示したブロック図である。無線端末40は、各部の動作を制御するCPU41と、ROM・RAM等のメモリからなる記憶部42と、キーを有する操作部43と、通行可否の判定結果や残額等が表示される表示部44と、エリアAおよびエリアBの各通信領域においてそれぞれアンテナ14およびアンテナ24と通信を行うための通信部45とが備わっている。
図4は、無線端末40の記憶部42に記憶されているチケットデータと、各処理におけるデータへのアクセス権とを示した図である。チケット状態には、券種、開始年月日、終了年月日、発駅コード、着駅コードおよび残情報が含まれている。券種は普通券・定期券・プリペイドカード等のチケットの種類、開始年月日はチケットの利用開始年月日、終了年月日はチケットの利用終了年月日、発駅コードはチケット使用可能区間の始点駅コード、着駅コードはチケット使用可能区間の終点駅コードをそれぞれ表している。残情報は、普通券の場合は未使用/使用済の情報を表し、プリペイドカードの場合は残額の情報を表している。端末IDは無線端末40ごとに割り当てられた識別番号、利用年月日はゲートを通過した年月日、利用時刻はゲートを通過した時刻、利用駅コードは利用した駅のコード(線区、駅順コード)、コーナ・号機番号は利用したゲートのコーナおよび号機の番号、入出場情報は入場/出場の状態を示す情報、利用駅名は利用したゲートが設置されている駅名をそれぞれ表している。以上において、端末IDは本発明における識別情報の一実施形態をなし、端末ID以外のデータは本発明における改札情報の一実施形態をなしている。
アクセス権の欄のRは読み取りのアクセス権があることを示し、Wは書込みのアクセス権があることを示している。ゲート処理においてはすべてのデータが読み取られ、事後処理においては、端末IDが読み取られるとともに、残情報、利用年月日、利用時刻、利用駅コード、コーナ・号機番号、入出場情報および利用駅名の書込みが行われる。
図5は、図1のゲートシステムにおける基本的な処理手順を説明する図である。本システムでは、利用者P(図1)がゲート10を通過する時には、エリアAにおいてアンテナ14(図2)で無線端末40から識別情報(端末ID)と改札情報とを読み取る処理と、改札情報に基づいて通行可否を判定する処理とを行う。このとき、通行可と判定された無線端末40の識別情報と、当該無線端末40に書き込んで更新すべき改札情報(以下、「更新改札情報」という。)とは、互いに関連付けられてサーバ30の記憶部32(図2)に記憶される。そして、利用者Pがゲート10を通過した後、エリアBにおいてアンテナ24(図2)が無線端末40から識別情報を読み取り、読み取った識別情報がサーバ30に記憶されている識別情報と一致すれば、アンテナ24は、当該識別情報に対応する更新改札情報を無線端末40に書き込んで、無線端末40の改札情報を更新する。図4において、Wの付されている情報が更新改札情報に相当する。
改札情報の更新につき具体的に説明すると、ゲート10が入場用ゲートの場合は、図4のチケットデータのうち、利用年月日、利用時刻、利用駅コード、コーナ・号機番号、入出場情報および利用駅名が更新される。入出場情報は、入場ビットが記録されることで更新される。また、ゲート10が出場用ゲートの場合は、図4のチケットデータのうち、利用年月日、利用時刻、利用駅コード、コーナ・号機番号、入出場情報、利用駅名および残情報が更新される。入出場情報は、入場ビットがクリアされることで更新され、残情報は残額などが書き込まれることで更新される。
次に、図1のゲートシステムにおける更に詳細な処理手順を、図6および図7のフローチャートに従って説明する。
図6は、ゲート通過時の処理手順を示している。ステップS11では、ゲート10のアンテナ14が無線端末40と交信したか否かをCPU12で監視している。交信があった場合は(ステップS11:YES)、リードライト部13、アンテナ14を介して、無線端末40から図4のチケットデータを読み取り(ステップS12)、読み取ったチケットデータを記憶部15に格納する(ステップS13)。続いて、CPU12は、チケットデータに含まれている改札情報に基づいて、ゲート10における通行の可否を判定する(ステップS14)。そして、判定の結果、チケットの有効期間・区間・残額等が適正で通行可であれば(ステップS15:YES)、扉制御部16を介して扉17を開き、利用者Pの通行を許可する(ステップS16)。また、判定の結果、チケットの有効期間・区間・残額等が適正でなく通行不可であれば(ステップS15:NO)、扉制御部16を介して扉17を閉じ、利用者Pの通行を禁止する(ステップS18)。ステップS16で通行が許可された場合は、ステップS17へ進み、通行可と判定された無線端末40の端末IDおよび更新改札情報をサーバ30へ送信する。サーバ30は、この端末IDと更新改札情報とを互いに関連付けて(対応させて)記憶部32に記憶する。
図7は、ゲート通過後の処理手順を示している。ステップS21では、事後処理通信部20のアンテナ24が無線端末40と交信したか否かをCPU22で監視している。交信があった場合は(ステップS21:YES)、リードライト部23、アンテナ24を介して無線端末40から端末IDを読み取り(ステップS22)、読み取った端末IDをサーバ30へ送信する(ステップS23)。サーバ30では、受け取った端末IDが記憶部32に記憶されている端末IDと一致するか否かの照合を行う(ステップS24)。照合の結果、端末IDが一致すれば(ステップS25:YES)、リードライト部23、アンテナ24を介して、当該端末IDに対応する更新改札情報を無線端末40へ書き込み、無線端末40の記憶部42に記憶されている改札情報を更新する(ステップS26)。一方、ステップS24での照合の結果、端末IDが一致しなければ(ステップS25:NO)、ステップS21へ戻って、アンテナ24と無線端末40との交信有無の監視を継続する。したがって、ゲート10を通過した利用者Pが所持する無線端末40に対してのみ、改札情報の更新が行われる。
以上のように、図1のゲートシステムでは、ゲート通過時には、エリアAにおいてアンテナ14が読み取った無線端末40の改札情報に基づいてゲート10の通行可否だけを判定し、ゲート通過後に、エリアBにおいて当該無線端末40の端末IDをアンテナ24が読み取り、この端末IDがサーバ30に記憶されている端末IDと一致した場合に、改札情報の更新を行うようにしている。このため、エリアAにおいてゲート10を通過する意思のない利用者の無線端末と通信が行われたとしても、利用者がゲート10を通過しない限り改札情報の更新は行われないので、誤って改札情報が更新されるのを未然に防止することができる。
また、エリアBが、ゲート10を通過した複数の利用者の各無線端末40から端末IDを受信できるように、エリアAより広くなっているとともに、通行可と判定された無線端末40の端末IDと更新改札情報とが、サーバ30の記憶部32に関連付けて記憶されていることから、ゲート10の数が多くなってもアンテナ24は1つ(もしくは数個)設けるだけでよく、各ゲートにアンテナ24を個別に設ける必要がないので、コストを抑制して安価に実現することができる。さらに、改札情報の更新処理を待つことなく、ゲート10での通行許可または通行禁止の処理を前倒しで行えるので、迅速な処理が可能となる。
図8は、第1の発明に係るゲートシステムの他の実施形態を示す概略構成図である。図8では、図1と同一部分に同一符号を付してある。本システムは、通行を許可または禁止するゲート10と、ゲート10の一方の出口付近の上方に配備された事後処理通信部20と、ゲート10の他方の出口付近の上方に配備された事後処理通信部50と、ゲート10および事後処理通信部20,50が接続されたサーバ30と、利用者P1,P2が所持する無線端末40a,40bとから構成される。
ゲート10は、ゲート10a,10b,10cからなり、ゲート10a,10bは入場用ゲートを構成し、ゲート10b,10cは出場用ゲートを構成している。各ゲートには開閉自在な扉17が設けられている。扉17が開くことによって利用者P1,P2の通行が許可され、扉17が閉じることによって利用者P1,P2の通行が禁止される。ゲート10a,10bにより形成される入場用の通路Z1には、ゲート内に設けられた後述するアンテナによって、第1の通信領域であるエリアA1が形成されており、ゲート10b,10cにより形成される出場用の通路Z2には、ゲート内に設けられた後述するアンテナによって、第1の通信領域であるエリアA2が形成されている。また、利用者P1の進行方向に向って入場用ゲート10a,10bの前方には、事後処理通信部20に設けられた後述するアンテナによって、第2の通信領域であるエリアB1が形成されている。エリアB1は、エリアA1よりも広い通信領域を構成している。さらに、利用者P2の進行方向に向って出場用ゲート10b,10cの前方には、事後処理通信部50に設けられた後述するアンテナによって、第2の通信領域であるエリアB2が形成されている。エリアB2は、エリアA2よりも広い通信領域を構成している。サーバ30は、例えば駅の係員室に設置されている。無線端末40a,40bは、チケット機能専用の無線端末であってもよいし、携帯電話機などの既存の携帯端末にチケット機能を持たせたものであってもよい。
図9は、図8のゲートシステムの電気的構成を示したブロック図である。図9では、図2と同一部分に同一符号を付してある。なお、ここでは便宜上、入場用ゲートと出場用ゲートとをまとめて1つのゲート10として図示してある。したがって、実際には、アンテナ14は入場用通路Z1および出場用通路Z2のそれぞれに設けられる。
ゲート10には、サーバ30と接続するためのインターフェイス11と、各部の動作を制御するCPU12と、データの読み書きを行うためのリードライト部13と、エリアA1,A2の通信領域(第1の通信領域)を形成するアンテナ14と、ROM・RAM等のメモリからなる記憶部15と、扉17の開閉を制御する扉制御部16とが備わっている。なお、リードライト部13は、実際には読み取りだけを行い書込みは行わない。事後処理通信部20には、ROM・RAM等のメモリからなる記憶部21と、各部の動作を制御するCPU22と、データの読み書きを行うためのリードライト部23と、エリアB1の通信領域(第2の通信領域)を形成するアンテナ24と、サーバ30と接続するためのインターフェイス25とが備わっている。事後処理通信部50には、ROM・RAM等のメモリからなる記憶部51と、各部の動作を制御するCPU52と、データの読み書きを行うためのリードライト部53と、エリアB2の通信領域(第2の通信領域)を形成するアンテナ54と、サーバ30と接続するためのインターフェイス55とが備わっている。サーバ30には、識別情報の照合や残額の演算などの処理を行うCPU31と、ROM・RAM等のメモリやハードディスクからなる記憶部32と、ゲート10および事後処理通信部20,50と接続するためのインターフェイス33とが備わっている。なお、無線端末40a,40bの構成は図3と同じであり、記憶部42に記憶されているチケットデータやアクセス権は図4と同じであるので、これらについては説明は省略する。
以上において、ゲート10のアンテナ14は本発明における第1の通信手段の一実施形態を構成し、事後処理通信部20のアンテナ24および事後処理通信部50のアンテナ54は本発明における第2の通信手段の一実施形態を構成し、ゲート10のCPU12は本発明における判定手段の一実施形態を構成し、サーバ30の記憶部32は本発明における記憶手段の一実施形態を構成し、サーバ30のCPU31と、事後処理通信部20,50のCPU22,52、リードライト部23,53およびアンテナ24,54とは、本発明における更新手段の一実施形態を構成している。また、無線端末40a,40bは本発明における非接触媒体の一実施形態を構成している。
図10は、図8のゲートシステムにおける基本的な処理手順を説明する図である。本システムでは、利用者P1(図8)が入場用ゲート10a,10bを通過する時には、エリアA1においてアンテナ14(図9)で無線端末40aから識別情報(端末ID)と改札情報とを読み取る処理と、改札情報に基づいて通行可否を判定する処理とを行う。このとき、通行可と判定された無線端末40aの識別情報と、当該無線端末40aに書き込んで更新すべき改札情報(以下、「更新改札情報」という。)とは、互いに関連付けられてサーバ30の記憶部32(図9)に記憶される。そして、利用者P1が入場用ゲート10a,10bを通過した後、エリアB1においてアンテナ24(図9)が無線端末40aから識別情報を読み取り、読み取った識別情報がサーバ30に記憶されている識別情報と一致すれば、アンテナ24は、当該識別情報に対応する更新改札情報を無線端末40aに書き込んで、無線端末40aの改札情報を更新する。この更新においては、図4のチケットデータのうち、利用年月日、利用時刻、利用駅コード、コーナ・号機番号、入出場情報および利用駅名が更新される。入出場情報は、入場ビットが記録されることで更新される。
また、利用者P2(図8)が出場用ゲート10b,10cを通過する時には、エリアA2においてアンテナ14(図9)が無線端末40bから識別情報(端末ID)と改札情報とを読み取る処理と、改札情報に基づいて通行可否を判定する処理とを行う。このとき、通行可と判定された無線端末40bの識別情報と更新改札情報とは、互いに関連付けられてサーバ30の記憶部32(図9)に記憶される。そして、利用者P2が出場用ゲート10b,10cを通過した後、エリアB2においてアンテナ54(図9)が無線端末40bから識別情報を読み取り、読み取った識別情報がサーバ30の記憶部32に記憶されている識別情報と一致すれば、アンテナ54は、当該識別情報に対応する更新改札情報を無線端末40bに書き込んで、無線端末40bの改札情報を更新する。この更新においては、図4のチケットデータのうち、利用年月日、利用時刻、利用駅コード、コーナ・号機番号、入出場情報、利用駅名および残情報が更新される。入出場情報は、入場ビットがクリアされることで更新され、残情報は残額などが書き込まれることで更新される。
次に、図8のゲートシステムにおける更に詳細な処理手順を、図11および図12のフローチャートに従って説明する。図11および図12においては、図6および図7と同一の処理を行うステップに同一符号を付してある。
図11は、ゲート通過時の処理手順を示している。ステップS11では、ゲート10のアンテナ14が無線端末40a,40bと交信したか否かをCPU12で監視している。交信があった場合は(ステップS11:YES)、リードライト部13、アンテナ14を介して、無線端末40a,40bから図4のチケットデータを読み取り(ステップS12)、読み取ったチケットデータを記憶部15に格納する(ステップS13)。続いて、CPU12は、チケットデータに含まれている改札情報に基づいて、ゲート10における通行の可否を判定する(ステップS14)。そして、判定の結果、チケットの有効期間・区間・残額等が適正で通行可であれば(ステップS15:YES)、扉制御部16を介して扉17を開き、利用者P1,P2の通行を許可する(ステップS16)。また、判定の結果、チケットの有効期間・区間・残額等が適正でなく通行不可であれば(ステップS15:NO)、扉制御部16を介して扉17を閉じ、利用者P1,P2の通行を禁止する(ステップS18)。ステップS16で通行が許可された場合は、ステップS17へ進み、通行可と判定された無線端末40a,40bの端末IDおよび更新改札情報をサーバ30へ送信する。サーバ30は、この端末IDと更新改札情報とを互いに関連付けて(対応させて)記憶部32に記憶する。以上の一連の手順は、先に説明した図6の手順と同様である。
図12は、ゲート通過後の処理手順を示している。ステップS21では、事後処理通信部20,50のアンテナ24,54が無線端末40a,40bと交信したか否かをCPU22,52で監視している。交信があった場合は(ステップS21:YES)、リードライト部23,53、およびアンテナ24,54を介して無線端末40a,40bから端末IDを読み取り(ステップS22)、読み取った端末IDをサーバ30へ送信する(ステップS23)。サーバ30では、受け取った端末IDが記憶部32に記憶されている端末IDと一致するか否かの照合を行う(ステップS24)。ここまでの手順は、先に説明した図7の場合と同様である。
照合の結果、端末IDが一致すれば(ステップS25:YES)、次に、記憶部32の更新改札情報を参照して、当該端末IDに対応する無線端末の入場情報(入場ビット)の消込更新/書込更新を判定する(ステップS25a)。消込更新とは、無線端末に記録されている入場情報を消去することをいい、書込更新とは、無線端末に入場情報を記録することをいう。ステップS25aでの判定の結果、記憶部32に入場情報の消込更新が記録されておれば(ステップS25a:YES)、その無線端末には他の駅(乗車駅)のゲートを通過したことによる入場情報が記録されており、この入場情報を消込更新するものと判断して出場処理を行う。すなわち、事後処理通信部50のリードライト部53、アンテナ54を介して、当該端末IDに対応する更新改札情報を無線端末40bへ書き込み、無線端末40bの記憶部42に記憶されている改札情報を更新することによって出場処理を行う(ステップS26a)。一方、ステップS25aでの判定の結果、記憶部32に入場情報の書込更新が記録されておれば(ステップS25a:NO)、その無線端末には入場情報が記録されておらず、当駅からの乗車が予定されていて書込更新をするものと判断して、入場処理を行う。すなわち、事後処理通信部20のリードライト部23、アンテナ24を介して、当該端末IDに対応する更新改札情報を無線端末40aへ書き込み、無線端末40aの記憶部42に記憶されている改札情報を更新することによって入場処理を行う(ステップS26b)。また、ステップS24での照合の結果、端末IDが一致しなければ(ステップS25:NO)、ステップS21へ戻って、アンテナ24,54と無線端末40a,40bとの交信有無の監視を継続する。したがって、サーバ30の記憶部32の更新改札情報を参照して、当該端末IDに対応する無線端末の入場情報(入場ビット)の書込更新または消込更新を判定することにより、事後処理通信部20、50を使い分けることで、エリアB1においては、入場用ゲート10a,10bを通過した利用者P1が所持する無線端末40aに対してのみ改札情報の更新が行われ、エリアB2においては、出場用ゲート10b,10cを通過した利用者P2が所持する無線端末40bに対してのみ改札情報の更新が行われる。
以上のように、図8のゲートシステムでは、ゲート通過時には、エリアA1、A2においてアンテナ14が読み取った無線端末40a,40bの改札情報に基づいてゲート10の通行可否だけを判定し、ゲート通過後に、エリアB1,B2において当該無線端末40a,40bの端末IDをアンテナ24,54が読み取り、この端末IDがサーバ30に記憶されている端末IDと一致した場合に、改札情報の更新を行うようにしている。このため、エリアA1,A2においてゲート10を通過する意思のない利用者の無線端末と通信が行われたとしても、利用者がゲート10を通過しない限り改札情報の更新は行われないので、誤って改札情報が更新されるのを未然に防止することができる。
また、エリアB1,B2が、ゲート10を通過した複数の利用者の各無線端末40a,40bから端末IDを受信できるように、エリアA1,A2より広くなっているとともに、通行可と判定された無線端末40a,40bの端末IDと更新改札情報とが、サーバ30の記憶部32に関連付けて記憶されていることから、ゲート10の数が多くなってもアンテナ24,54はそれぞれ1つ(もしくは数個)設けるだけでよく、各ゲートにアンテナ24,54を個別に設ける必要がないので、コストを抑制して安価に実現することができる。さらに、改札情報の更新処理を待つことなく、ゲート10での通行許可または通行禁止の処理を前倒しで行えるので、迅速な処理が可能となる。なお、この実施形態においては、更新改札情報を判定して事後処理通信部20、50を使い分けることとしたが、事前にサーバ30の記憶部32にエリアB1で更新すべき端末IDと、エリアB2で更新すべき端末IDとをそれぞれ別に記憶しておき、一致した端末IDに対応する事後処理通信部20、50で更新処理を行うようにしてもよい。
図13は、第2の発明に係るゲートシステムの実施形態を示す概略構成図である。図13では、図1と同一部分に同一符号を付してある。本システムは、通行を許可または禁止するゲート10と、ゲート10の出口付近の上方に配備された事後処理通信部20と、ゲート10の入口付近の上方に配備された事前処理通信部60と、ゲート10・事後処理通信部20・事前処理通信部60が接続されたサーバ30と、利用者Pが所持する無線端末40とから構成される。
ゲート10は、一対のゲート10a,10bからなり、それぞれには開閉自在な扉17が設けられている。扉17が開くことによって利用者Pの通行が許可され、扉17が閉じることによって利用者Pの通行が禁止される。ゲート10a,10bにより形成される通路Zには、ゲート内に設けられた後述するアンテナによって、第1の通信領域であるエリアAが形成されている。また、利用者Pの進行方向に向ってゲート10より前方には、事後処理通信部20に設けられた後述するアンテナによって、第2の通信領域であるエリアB1が形成されている。エリアB1は、エリアAよりも広い通信領域を構成している。また、利用者Pの進行方向に向ってゲート10より手前には、事前処理通信部60に設けられた後述するアンテナによって、第3の通信領域であるエリアB3が形成されている。エリアB3も、エリアAより広い通信領域を構成している。サーバ30は、例えば駅の係員室に設置されている。無線端末40は、チケット機能専用の無線端末であってもよいし、携帯電話機などの既存の携帯端末にチケット機能を持たせたものであってもよい。
図14は、図13のゲートシステムの電気的構成を示したブロック図である。図14では、図2と同一部分に同一符号を付してある。ゲート10には、サーバ30と接続するためのインターフェイス11と、各部の動作を制御するCPU12と、データの読み書きを行うためのリードライト部13と、エリアAの通信領域(第1の通信領域)を形成するアンテナ14と、ROM・RAM等のメモリからなる記憶部15と、扉17の開閉を制御する扉制御部16とが備わっている。なお、リードライト部13は、実際には読み取りだけを行い書込みは行わない。事後処理通信部20には、ROM・RAM等のメモリからなる記憶部21と、各部の動作を制御するCPU22と、データの読み書きを行うためのリードライト部23と、エリアB1の通信領域(第2の通信領域)を形成するアンテナ24と、サーバ30と接続するためのインターフェイス25とが備わっている。事前処理通信部60には、ROM・RAM等のメモリからなる記憶部61と、各部の動作を制御するCPU62と、データの読み書きを行うためのリードライト部63と、エリアB3の通信領域(第3の通信領域)を形成するアンテナ64と、サーバ30と接続するためのインターフェイス65とが備わっている。サーバ30には、識別情報の照合、通行可否の判定、残額の演算などの処理を行うCPU31と、ROM・RAM等のメモリやハードディスクからなる記憶部32と、ゲート10・事後処理通信部20・事前処理通信部60と接続するためのインターフェイス33とが備わっている。なお、無線端末40の構成は図3に示したものと同じであるので、これについては説明を省略する。
以上において、ゲート10のアンテナ14は本発明における第1の通信手段の一実施形態を構成し、事後処理通信部20のアンテナ24は本発明における第2の通信手段の一実施形態を構成し、事前処理通信部60のアンテナ64は本発明における第3の通信手段の一実施形態を構成し、サーバ30のCPU31は本発明における判定手段の一実施形態を構成し、サーバ30の記憶部32は本発明における記憶手段の一実施形態を構成し、サーバ30のCPU31と、事後処理通信部20のCPU22、リードライト部23およびアンテナ24とは、本発明における更新手段の一実施形態を構成している。また、無線端末40は本発明における非接触媒体の一実施形態を構成している。
図15は、無線端末40の記憶部42に記憶されているチケットデータと、各処理におけるデータへのアクセス権とを示した図である。チケットデータについては、図4に示したものと全く同じであるので、ここでは説明を省略する。図4と同様に、アクセス権の欄のRは読み取りのアクセス権があることを示し、Wは書込みのアクセス権があることを示している。事前処理においては、すべてのデータが読み取られ、ゲート処理においては端末IDだけが読み取られ、事後処理においては、端末IDが読み取られるとともに、残情報、利用年月日、利用時刻、利用駅コード、コーナ・号機番号、入出場情報および利用駅名の書込みが行われる。以上において、端末IDは本発明における識別情報の一実施形態をなし、端末ID以外のデータは本発明における改札情報の一実施形態をなしている。
図16は、図13のゲートシステムにおける基本的な処理手順を説明する図である。本システムでは、利用者P(図13)がエリアB3に入ると、アンテナ64(図14)で無線端末40から識別情報(端末ID)と改札情報とを読み取り、改札情報に基づいてサーバ30で通行可否を判定する処理を行う。このとき、通行可と判定された無線端末40の識別情報と、当該無線端末40に書き込んで更新すべき改札情報(以下、「更新改札情報」という。)とは、互いに関連付けられてサーバ30の記憶部32(図14)に記憶される。そして、ゲート10を通過する時には、エリアAにおいてアンテナ14(図14)で無線端末40から識別情報(端末ID)のみを読み取り、読み取った識別情報に対する通行可否の判定結果をサーバ30から取得して扉17の開閉制御を行う。さらに、利用者Pがゲート10を通過した後、エリアB1においてアンテナ24(図14)が無線端末40から識別情報を読み取り、読み取った識別情報がサーバ30に記憶されている識別情報と一致すれば、アンテナ24は、当該識別情報に対応する更新改札情報を無線端末40に書き込んで、無線端末40の改札情報を更新する。図15において、Wの付されている情報が更新改札情報に相当する。
改札情報の更新につき具体的に説明すると、ゲート10が入場用ゲートの場合は、図15のチケットデータのうち、利用年月日、利用時刻、利用駅コード、コーナ・号機番号、入出場情報および利用駅名が更新される。入出場情報は、入場ビットが記録されることで更新される。また、ゲート10が出場用ゲートの場合は、図15のチケットデータのうち、利用年月日、利用時刻、利用駅コード、コーナ・号機番号、入出場情報、利用駅名および残情報が更新される。入出場情報は、入場ビットがクリアされることで更新され、残情報は残額などが書き込まれることで更新される。
次に、図13のゲートシステムにおける更に詳細な処理手順を、図17〜図19のフローチャートに従って説明する。
図17は、エリアB3における事前処理の手順を示している。ステップS31では、事前処理通信部60のアンテナ64が無線端末40と交信したか否かをCPU62で監視している。交信があった場合は(ステップS31:YES)、リードライト部63、アンテナ64を介して、無線端末40から図15のチケットデータを読み取り(ステップS32)、読み取ったチケットデータをサーバ30へ送信する(ステップS33)。サーバ30では、チケットデータに含まれている改札情報に基づいてゲート10における通行の可否を判定する(ステップS34)。チケットの有効期間・区間・残額等が適正であれば通行可と判定され、これらが適正でなければ通行不可と判定される。判定が終わると、チケットデータを判定結果とともに記憶部32に記憶する(ステップS35)。その後、リードライト部63およびアンテナ64を介して、判定結果を無線端末40へ送信する(ステップS36)。これにより、無線端末40の表示部44(図3)には、通行可否の判定結果が表示される。
図18は、ゲート通過時の処理手順を示している。ステップS41では、ゲート10のアンテナ14が無線端末40と交信したか否かをCPU12で監視している。交信があった場合は(ステップS41:YES)、リードライト部13、アンテナ14を介して、無線端末40から端末IDを読み取り(ステップS42)、読み取った端末IDをサーバ30へ送信する(ステップS43)。サーバ30では、受信した端末IDを記憶部32の端末ID(図17のステップS35で記憶した端末ID)と照合し、当該端末IDが通行の許可されている端末IDか否かを判定する(ステップS44)。そして、その判定結果をゲート10へ送信する(ステップS45)。ゲート10では、サーバ30から受け取った判定結果に基づいて通行の可否を判定し(ステップS46)、通行可であれば(ステップS46:YES)、扉制御部16を介して扉17を開き、利用者Pの通行を許可する(ステップS47)。その後、サーバ30は、記憶部32に関連付けて記憶されている通行可と判定された端末IDおよび更新改札情報を、事後処理通信部20へ送信する(ステップS48)。事後処理通信部20は、これらのデータを記憶部21に格納する。一方、ステップS46での判定結果が通行不可であれば(ステップS46:NO)、扉制御部16を介して扉17を閉じ、利用者Pの通行を禁止する(ステップS49)。
図19は、エリアB1における事後処理の手順を示している。ステップS51では、事後処理通信部20のアンテナ24が無線端末40と交信したか否かをCPU22で監視している。交信があった場合は(ステップS51:YES)、リードライト部23、アンテナ24を介して無線端末40から端末IDを読み取り(ステップS52)、読み取った端末IDが図18のステップS48でサーバ30から受信した端末IDと一致するか否かを照合する(ステップS53)。照合の結果、端末IDが一致すれば(ステップS53:YES)、リードライト部23、アンテナ24を介して、当該端末IDに対応する更新改札情報を無線端末40へ書き込み、無線端末40の記憶部42に記憶されている改札情報を更新する(ステップS54)。一方、ステップS53での照合の結果、端末IDが一致しなければ(ステップS53:NO)、ステップS51へ戻って、アンテナ24と無線端末40との交信有無の監視を継続する。したがって、ゲート10を通過した利用者Pが所持する無線端末40に対してのみ、改札情報の更新が行われる。
以上のように、図13のゲートシステムでは、ゲート10を通過する前にエリアB3においてアンテナ64が読み取った無線端末40の改札情報に基づいて、サーバ30でゲート10の通行可否を判定し、ゲート通過時には、エリアAにおいてアンテナ14で無線端末40の端末IDだけを読み取って、この端末IDが通行可と判定された無線端末40の端末IDであればゲート10での通行を許可し、ゲート通過後に、エリアB1において当該無線端末40の端末IDをアンテナ24が読み取り、この端末IDがサーバ30に記憶されている端末IDと一致した場合に、改札情報の更新を行うようにしている。このため、エリアB3においてゲート10を通過する意思のない利用者の無線端末と通信が行われたとしても、利用者がゲート10を通過しない限り改札情報の更新は行われないので、誤って改札情報が更新されるのを未然に防止することができる。
また、エリアB1が、ゲート10を通過した複数の利用者の各無線端末40から端末IDを受信できるように、エリアAより広くなっているとともに、エリアB3も、ゲート10へ進入する複数の利用者の各無線端末40から端末IDおよび改札情報を受信できるように、エリアAより広くなっており、かつ、通行可と判定された無線端末40の端末IDと更新改札情報とが、サーバ30の記憶部32に関連付けて記憶されていることから、ゲートの数が多くなってもアンテナ24,64はぞれぞれ1つ(もしくは数個)設けるだけでよく、各ゲートにアンテナ24,64を個別に設ける必要がないので、コストを抑制して安価に実現することができる。さらに、改札情報の更新処理を待つことなく、ゲート10での通行許可または通行禁止の処理を前倒しで行えるので、迅速な処理が可能となる。
なお、図示は省略するが、図13に示した第2の発明に係るゲートシステムの他の実施形態として、図8のような入場用ゲート10a,10bおよび出場用ゲート10b,10cを設け、入場用ゲートと出場用ゲートのそれぞれに対して、事後処理通信部20および事前処理通信部60を設けたゲートシステムが考えられる。
図20は、第3の発明に係るゲートシステムの実施形態を示す概略構成図である。図20では、図8と同一部分に同一符号を付してある。本システムは、通行を許可または禁止するゲート10と、ゲート10の一方側(右側)の出入口付近の上方に配備された事前/事後処理通信部70と、ゲート10の他方側(左側)の出入口付近の上方に配備された事前/事後処理通信部80と、ゲート10および事前/事後処理通信部70,80が接続されたサーバ30と、利用者P1,P2が所持する無線端末40a,40bとから構成される。
ゲート10は、ゲート10a,10b,10cからなり、ゲート10a,10bは入場用ゲートを構成し、ゲート10b,10cは出場用ゲートを構成している。各ゲートには開閉自在な扉17が設けられている。扉17が開くことによって利用者P1,P2の通行が許可され、扉17が閉じることによって利用者P1,P2の通行が禁止される。ゲート10a,10bにより形成される入場用の通路Z1には、ゲート内に設けられた後述するアンテナによって、第1の通信領域であるエリアA1が形成されており、ゲート10b,10cにより形成される出場用の通路Z2には、ゲート内に設けられた後述するアンテナによって、第1の通信領域であるエリアA2が形成されている。また、ゲート10の一方側(右側)の出入口付近には、事前/事後処理通信部70に設けられた後述するアンテナによって、第2の通信領域であるエリアB4が形成されている。このエリアB4は、入場用ゲート10a,10bを通過した複数の利用者の各無線端末40aから端末IDを受信できるように、かつ、出場用ゲート10b,10cへ進入する複数の利用者の各無線端末40bから端末IDおよび改札情報を受信できるように、入場用ゲート10a,10bの出口付近および出場用ゲート10b,10cの入口付近にまたがっており、エリアA1,A2よりも広い通信領域を構成している。さらに、ゲート10の他方側(左側)の出入口付近には、事前/事後処理通信部80に設けられた後述するアンテナによって、第3の通信領域であるエリアB5が形成されている。このエリアB5は、入場用ゲート10a,10bへ進入する複数の利用者の各無線端末40aから端末IDおよび改札情報を受信できるように、かつ、出場用ゲート10b,10cを通過した複数の利用者の各無線端末40bから端末IDを受信できるように、入場用ゲート10a,10bの入口付近および出場用ゲート10b,10cの出口付近にまたがっており、エリアA1,A2よりも広い通信領域を構成している。サーバ30は、例えば駅の係員室に設置されている。無線端末40a,40bは、チケット機能専用の無線端末であってもよいし、携帯電話機などの既存の携帯端末にチケット機能を持たせたものであってもよい。
図21は、図20のゲートシステムの電気的構成を示したブロック図である。図21では、図2と同一部分に同一符号を付してある。なお、ここでは便宜上、入場用ゲートと出場用ゲートとをまとめて1つのゲート10として図示してある。したがって、実際には、アンテナ14は入場用通路Z1および出場用通路Z2のそれぞれに設けられる。
ゲート10には、サーバ30と接続するためのインターフェイス11と、各部の動作を制御するCPU12と、データの読み書きを行うためのリードライト部13と、エリアA1,A2の通信領域(第1の通信領域)を形成するアンテナ14と、ROM・RAM等のメモリからなる記憶部15と、扉17の開閉を制御する扉制御部16とが備わっている。なお、リードライト部13は、実際には読み取りだけを行い書込みは行わない。事前/事後処理通信部70には、ROM・RAM等のメモリからなる記憶部71と、各部の動作を制御するCPU72と、データの読み書きを行うためのリードライト部73と、エリアB4の通信領域(第2の通信領域)を形成するアンテナ74と、サーバ30と接続するためのインターフェイス75とが備わっている。事前/事後処理通信部80には、ROM・RAM等のメモリからなる記憶部81と、各部の動作を制御するCPU82と、データの読み書きを行うためのリードライト部83と、エリアB5の通信領域(第3の通信領域)を形成するアンテナ84と、サーバ30と接続するためのインターフェイス85とが備わっている。サーバ30には、識別情報の照合、通行可否の判定、残額の演算などの処理を行うCPU31と、ROM・RAM等のメモリやハードディスクからなる記憶部32と、ゲート10および事前/事後処理通信部70,80と接続するためのインターフェイス33とが備わっている。なお、無線端末40a,40bの構成は図3と同じであり、記憶部42に記憶されているチケットデータやアクセス権は図15と同じであるので、これらについては説明は省略する。
以上において、ゲート10のアンテナ14は本発明における第1の通信手段の一実施形態を構成し、事前/事後処理通信部70のアンテナ74は本発明における第2の通信手段の一実施形態を構成し、事前/事後処理通信部80のアンテナ84は本発明における第3の通信手段の一実施形態を構成し、サーバ30のCPU31は本発明における判定手段の一実施形態を構成し、サーバ30の記憶部32は本発明における記憶手段の一実施形態を構成し、サーバ30のCPU31と、事前/事後処理通信部70,80のCPU72,82、リードライト部73,83およびアンテナ74,84とは、本発明における更新手段の一実施形態を構成している。また、無線端末40a,40bは本発明における非接触媒体の一実施形態を構成している。
図22は、図20のゲートシステムにおける基本的な処理手順を説明する図である。本システムでは、入場用ゲート10a,10bを通過しようとする利用者P1(図20)がエリアB5に入ると、アンテナ84(図21)で無線端末40aから識別情報(端末ID)と改札情報とを読み取り、改札情報に基づいてサーバ30で通行可否を判定する処理を行う。このとき、通行可と判定された無線端末40aの識別情報と、当該無線端末40aに書き込んで更新すべき改札情報(以下、「更新改札情報」という。)とは、互いに関連付けられてサーバ30の記憶部32(図21)に記憶される。そして、入場用ゲート10a,10bを通過する時には、エリアA1においてアンテナ14(図21)で無線端末40aから識別情報(端末ID)のみを読み取り、読み取った識別情報に対する通行可否の判定結果をサーバ30から取得して扉17の開閉制御を行う。さらに、利用者P1が入場用ゲート10a,10bを通過した後、エリアB4においてアンテナ74(図21)が無線端末40aから識別情報を読み取り、読み取った識別情報がサーバ30に記憶されている識別情報と一致すれば、アンテナ74は、当該識別情報に対応する更新改札情報を無線端末40aに書き込んで、無線端末40aの改札情報を更新する。この更新においては、図15のチケットデータのうち、利用年月日、利用時刻、利用駅コード、コーナ・号機番号、入出場情報および利用駅名が更新される。入出場情報は、入場ビットが記録されることで更新される。
また、出場用ゲート10b,10cを通過しようとする利用者P2(図20)がエリアB4に入ると、アンテナ74で無線端末40bから識別情報(端末ID)と改札情報とを読み取り、改札情報に基づいてサーバ30で通行可否を判定する処理を行う。このとき、通行可と判定された無線端末40bの識別情報と更新改札情報とは、互いに関連付けられてサーバ30の記憶部32に記憶される。そして、出場用ゲート10b,10cを通過する時には、エリアA2においてアンテナ14で無線端末40bから識別情報(端末ID)のみを読み取り、読み取った識別情報に対する通行可否の判定結果をサーバ30から取得して扉17の開閉制御を行う。さらに、利用者P2が出場用ゲート10b,10cを通過した後、エリアB5においてアンテナ84が無線端末40bから識別情報を読み取り、読み取った識別情報がサーバ30に記憶されている識別情報と一致すれば、アンテナ84は、当該識別情報に対応する更新改札情報を無線端末40bに書き込んで、無線端末40bの改札情報を更新する。この更新においては、図15のチケットデータのうち、利用年月日、利用時刻、利用駅コード、コーナ・号機番号、入出場情報、利用駅名および残情報が更新される。入出場情報は、入場ビットがクリアされることで更新され、残情報は残額などが書き込まれることで更新される。
次に、図20のゲートシステムにおける更に詳細な処理手順を、図23A〜図23Cおよび図24のフローチャートに従って説明する。図23A〜図23Cおよび図24においては、図17〜図19と同一の処理を行うステップに同一符号を付してある。
図23A〜図23Cは、エリアB4,B5における事前/事後処理の手順を示している。図23Aにおいて、ステップS31では、事前/事後処理通信部70,80のアンテナ74,84が無線端末40a,40bと交信したか否かをCPU72,82で監視している。交信があった場合は(ステップS31:YES)、リードライト部73,83およびアンテナ74,84を介して、無線端末40a,40bから図15のチケットデータを読み取り(ステップS32)、読み取ったチケットデータに基づいて事前処理と事後処理のいずれを行うかを判定する(ステップS32a)。例えば、駅構外にある事前/事後処理通信部80については、読取ったチケットデータに入場ビットがなければ事前処理、入場ビットがあれば事後処理を行うものと判定する。また、駅構内にある事前/事後処理通信部70については、読取ったチケットデータに入場ビットがあれば事前処理、入場ビットがなければ事後処理を行うものと判定する。なお、これ以外の判定方法として、事前/事後処理通信部70,80のいずれについても、読取った端末IDが記憶部32に記憶されていなければ事前処理を行い、記憶されていれば図12のステップS25aと同じ処理により、事前/事後処理通信部70による入場時の事後処理、または事前/事後処理通信部80による出場時の事後処理を行なうものと判定してもよい。
ステップS32aにおいて、事前処理を行うと判定した場合は、図23BのステップS33へ移行し、読み取ったチケットデータをサーバ30へ送信する。サーバ30では、受信したチケットデータを参照して、入場情報(入場ビット)の有無を判定する(ステップS33a)。入場情報が記録されておれば(ステップS33a:YES)、その無線端末は他の駅(乗車駅)のゲートを通過したものと判断して、改札情報に基づき出場用ゲート10b,10cでの出場可否の判定を行う(ステップS34a)。また、入場情報が記録されていなければ(ステップS33a:NO)、その無線端末は当駅からの乗車が予定されているものと判断して、改札情報に基づき入場用ゲート10a,10bでの入場可否の判定を行う(ステップS34b)。判定が終わると、チケットデータを判定結果とともに記憶部32に記憶する(ステップS35)。その後、リードライト部73,83およびアンテナ74,84を介して、判定結果を無線端末40a,40bへ送信する(ステップS36)。これにより、無線端末40a,40bの表示部44(図3)には、通行可否の判定結果が表示される。一方、ステップS32aにおいて、事後処理を行うと判定した場合は、図23Cの処理に移行するが、これについては後述する。
図24は、ゲート通過時の処理手順を示している。ステップS41では、ゲート10のアンテナ14が無線端末40a,40bと交信したか否かをCPU12で監視している。交信があった場合は(ステップS41:YES)、リードライト部13、アンテナ14を介して、無線端末40a,40bから端末IDを読み取り(ステップS42)、読み取った端末IDをサーバ30へ送信する(ステップS43)。サーバ30では、受信した端末IDを記憶部32の端末ID(図23のステップS35で記憶した端末ID)と照合し、当該端末IDが通行の許可されている端末IDか否かを判定する(ステップS44)。そして、その判定結果をゲート10へ送信する(ステップS45)。ゲート10では、サーバ30から受け取った判定結果に基づいて通行の可否を判定し(ステップS46)、通行可であれば(ステップS46:YES)、扉制御部16を介して入場用ゲート10a,10bまたは出場用ゲート10b,10cの扉17を開き、利用者P1,P2の通行(入場/出場)を許可する(ステップS47)。その後、サーバ30は、記憶部32に関連付けて記憶されている通行可と判定された端末IDおよび更新改札情報を、事前/事後処理通信部70,80へ送信する(ステップS48)。事前/事後処理通信部70,80は、これらのデータを記憶部71,81に格納する。一方、ステップS46での判定結果が通行不可であれば(ステップS46:NO)、扉制御部16を介して扉17を閉じ、利用者P1,P2の通行(入場/出場)を禁止する(ステップS49)。
次に、図23AのステップS32aの判定が事後処理の場合の手順を説明する。事後処理と判定されると、図23CのステップS52aへ移行し、読み取ったチケットデータから端末IDを抽出する。そして、この端末IDが図24のステップS48でサーバ30から受信した端末IDと一致するか否かを照合する(ステップS53)。照合の結果、端末IDが一致すれば(ステップS53:YES)、リードライト部73,83およびアンテナ74,84を介して、当該端末IDに対応する更新改札情報を無線端末40a,40bへ書き込み、無線端末40a,40bの記憶部42に記憶されている改札情報を更新する(ステップS54)。一方、ステップS53での照合の結果、端末IDが一致しなければ(ステップS53:NO)、図23AのステップS31へ戻って、アンテナ74,84と無線端末40a,40bとの交信有無の監視を継続する。したがって、ゲート10を通過した利用者P1,P2が所持する無線端末40a,40bに対してのみ、改札情報の更新が行われる。
以上のように、図20のゲートシステムでは、入場用ゲート10a,10bに対しては、ゲートを通過する前にエリアB5においてアンテナ84が読み取った無線端末40aの改札情報に基づいて、サーバ30で入場用ゲート10a,10bの通行可否を判定し、ゲート通過時には、エリアA1においてアンテナ14で無線端末40aの端末IDだけを読み取って、この端末IDが通行可と判定された無線端末40aの端末IDであれば入場用ゲート10a,10bでの通行を許可し、ゲート通過後に、エリアB4において当該無線端末40aの端末IDをアンテナ74が読み取り、この端末IDがサーバ30に記憶されている端末IDと一致した場合に、改札情報の更新を行うようにしている。また、出場用ゲート10b,10cに対しては、ゲートを通過する前にエリアB4においてアンテナ74が読み取った無線端末40bの改札情報に基づいて、サーバ30で出場用ゲート10b,10cの通行可否を判定し、ゲート通過時には、エリアA2においてアンテナ14で無線端末40bの端末IDだけを読み取って、この端末IDが通行可と判定された無線端末40bの端末IDであれば出場用ゲート10b,10cでの通行を許可し、ゲート通過後に、エリアB5において当該無線端末40bの端末IDをアンテナ84が読み取り、この端末IDがサーバ30に記憶されている端末IDと一致した場合に、改札情報の更新を行うようにしている。このため、入場・出場のいずれの場合も、エリアA1,A2やエリアB4,B5においてゲート10を通過する意思のない利用者の無線端末と通信が行われたとしても、利用者がゲート10を通過しない限り改札情報の更新は行われないので、誤って改札情報が更新されるのを未然に防止することができる。
また、エリアB4,B5が、ゲート10に出入する複数の利用者の各無線端末40a,40bから端末IDや改札情報を受信できるように、エリアA1,A2より広くなっているとともに、通行可と判定された無線端末40a,40bの端末IDと更新改札情報とが、サーバ30の記憶部32に関連付けて記憶されていることから、ゲートの数が多くなってもアンテナ74,84はぞれぞれ1つ(もしくは数個)設けるだけでよく、各ゲートにアンテナ74,84を個別に設ける必要がない。しかも、アンテナ74,84は、いずれも、入場用ゲート10a,10bと出場用ゲート10b,10cの出入口付近にまたがってエリアB4,B5を形成して、ゲート通過前の事前処理(通行可否判定)と、ゲート通過後の事後処理(改札情報更新)の両方を行うので、事前処理用の通信手段と事後処理用の通信手段とを別々に設ける必要もない。このため、コストを抑制して安価に実現することができる。さらに、改札情報の更新処理を待つことなく、ゲート10での通行許可または通行禁止の処理を前倒しで行えるので、迅速な処理が可能となる。
上述した実施形態では、独立したサーバ30を設けた例を示したが、事後処理通信部20,50、事前処理通信部60、あるいは事前/事後処理通信部70,80にサーバの機能を持たせることによって、サーバ30を省略することも可能である。
また、上記実施形態においては、非接触媒体として無線端末40,40a,40bを例に挙げたが、非接触媒体は無線端末に限らず、非接触カードのような媒体であってもよい。また、非接触媒体は電波による無線通信を行うものに限らず、例えば光による無線通信を行うものであってもよい。
さらに、上記実施形態においては、本発明を駅のゲートシステムに適用した例を挙げたが、本発明は、イベント会場のゲートシステムや、高速道路の料金徴収所におけるゲートシステムなどにも適用することができる。