以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのカラーのプリンタについて説明する。また、明細書中において、所定の値をQmin、Qmaxとしたとき、値Qmin以上、かつ、値Qmax以下であることを、値Qmin〜Qmaxで表す。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図、図2は本発明の第1の実施の形態における現像装置の概略図、図3は本発明の第1の実施の形態における定着装置の概略図である。
図1において、101は、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像形成ユニットとしての現像装置13Bk、13Y、13M、13Cを備えるプリンタである。前記現像装置13Bk、13Y、13M、13Cは、各色の像担持体としての感光体ドラム31Bk、31Y、31M、31Cを備える。
また、前記プリンタ101は、記録媒体としての用紙14を収納する媒体収容部としての用紙カセット22、前記用紙14を搬送する用紙搬送ローラ15a〜15x、前記現像装置13Bk、13Y、13M、13Cにおいて形成された各色の現像剤像としてのトナー像をそれぞれ転写するための、第1の転写部材としての、かつ、搬送部材としての転写ベルト16、該転写ベルト16を介して感光体ドラム31Bk、31Y、31M、31Cと対向させて配設された第2の転写部材としての転写ローラ17Bk、17Y、17M、17C、転写ベルト16を走行させるドライブローラ18a、18b、用紙14を案内する可動式の媒体案内部材としての用紙走行ガイド19a、19b、転写ベルト16に付着したトナーを除去する転写ベルトクリーニングブレード20、該転写ベルトクリーニングブレード20によって除去されたトナーを貯める廃棄現像剤タンク21、用紙14上に形成された現像剤像としてのトナー像を定着させるオイルタンクレスの定着器23、前記感光体ドラム31Bk、31Y、31M、31Cと対向させて配設された各色の露光装置としてのLEDヘッド33Bk、33Y、33M、33C等を備える。この場合、ドライブローラ18a、18bを回転させることによって転写ベルト16が矢印f方向に走行させられる。
次に、前記現像装置13Bk、13Y、13M、13Cについて説明する。なお、この場合、現像装置13Bk、13Y、13M、13Cの構造は同じであり、各現像装置13Bk、13Y、13M、13Cに収容される各現像剤としてのトナー36Bk、36Y、36M、36Cの色だけが異なるので、現像装置13Bkについてだけ説明する。
図2において、現像装置13Bkは、有機系感光体を使用した感光体ドラム31Bkを備え、該感光体ドラム31Bkは、導電性支持体としてのアルミニウム製の金属パイプに、光導電層としての電荷発生層、及び電荷輸送層を順次積層することによって形成される。また、現像装置13Bkは、金属シャフト及び半導電性エピクロロヒドリンゴム層から成る帯電装置としての帯電ローラ32、金属シャフト及び半導電性ウレタンゴム層から成る現像剤担持体としての現像ローラ34、金属シャフト及び半導電性発泡シリコーンスポンジ層から成る現像剤供給回収体としての供給ローラ35、結着樹脂としてポリエステル樹脂が使用され、内部添加剤として帯電制御剤、離型剤、着色剤等が添加され、外部添加剤としてシリカ等が添加されたブラックのトナー36Bk、現像剤規制部材としてのステンレス製の現像ブレード37、クリーニング装置としてのウレタンゴム製のクリーニングブレード38等を備える。
なお、本実施の形態においては、前記結着樹脂として、ポリエステル樹脂を使用するようになっているが、ポリエステル樹脂に代えて、スチレン−アクリル系樹脂、エポキシ樹脂又はスチレン−ブタジエン系樹脂を使用することができる。
次に、前記定着器23について説明する。
図3において、14は用紙、23は定着器であり、該定着器23は、内径30〔mm〕の中空で肉厚5〔mm〕のアルミニウムから成る外径40〔mm〕の円筒状の芯金にシリコーンゴムの耐熱弾性層を被覆し、更にその上にPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブを被覆することによって外径60〔mm〕に形成された第1の回転部材としての発熱ローラ24、該発熱ローラ24の芯金内に配設され、ハロゲンランプから成る加熱部材としての加熱ヒータ25、アルミニウムから成る芯金にシリコーンゴムの耐熱弾性層を被覆し、更にその上にPFAチューブを被覆して外径60〔mm〕に形成され、発熱ローラ24との間に圧接部が形成される第2の回転部材としての加圧ローラ26、前記発熱ローラ24の表面の近傍に発熱ローラ24と非接触で配設され、発熱ローラ24の表面温度を検出する表面温度検出部としてのサーミスタ27等を備える。また、プリンタ101は、図示されない制御回路の温度制御処理部を備え、該温度制御処理部は、温度制御処理を行い、サーミスタ27の検出結果を読み込み、加熱ヒータ25の制御を行い、発熱ローラ24の温度を所定値に制御する。
すなわち、前記温度制御処理部は、サーミスタ27によって検出された発熱ローラ24の表面温度に基づいて加熱ヒータ25を選択的に通電し、発熱ローラ24の表面温度を制御して所定の温度に維持する。なお、本実施の形態においては、前記加熱部材として、ハロゲンランプ、セラミックヒータ等の加熱ヒータ25が使用されるようになっているが、熱を発生するものであれば、どのような加熱部材を使用することもできる。また、発熱ローラ24の表面及び加圧ローラ26の表面に、PFAチューブに代えて、フッ素ゴム、テフロン(登録商標)、ナイロン等を被覆することができる。
次に、前記構成のプリンタの動作について説明する。この場合、各現像装置13Bk、13Y、13M、13Cのうちの現像装置13Bkの動作について説明する。
まず、画像形成プロセスにおいて、感光体ドラム31Bk(図2)が図示されない駆動部としてのモータを駆動することによって矢印a方向に一定の周速度で回転させられる。次に、前記感光体ドラム31Bkと接触させて配設された帯電ローラ32が、矢印d方向に回転させられ、図示されない帯電ローラ用高圧電源が感光体ドラム31Bkに直流電圧を印加し、感光体ドラム31Bkの表面を一様に、かつ、均一に帯電させる。
そして、露光プロセスにおいては、LEDヘッド33Bkが、画像信号に対応した光を感光体ドラム31Bkに照射し、感光体ドラム31Bk上に静電潜像を形成する。
また、現像プロセスにおいては、供給ローラ35が矢印c方向に回転させられ、図示されない供給ローラ用高圧電源が供給ローラ35に所定の電圧を印加すると、トナー36Bkが現像ローラ34に供給される。該現像ローラ34は感光体ドラム31Bkと密着させて矢印b方向に回転させられ、図示されない現像ローラ用高圧電源が現像ローラ34に所定の電圧を印加すると、前記現像ローラ34は供給ローラ35から供給されたトナー36Bkを吸着する。そして、前記現像ローラ34の回転方向における供給ローラ35より下流側に、現像ローラ34と圧接させて現像ブレード37が配設され、該現像ブレード37は現像ローラ34上に均一な厚さのトナー層を形成する。さらに、現像ローラ34は感光体ドラム31Bk上の静電潜像にトナー36Bkを付着させ、反転現像を行い、ブラックのトナー像を形成する。
すなわち、図示されないトナー担持体用高圧電源が感光体ドラム31Bkの金属パイプと現像ローラ34との間にバイアス電圧を印加すると、感光体ドラム31Bkと現像ローラ34との間に、感光体ドラム31Bk上に形成された静電潜像に伴う電気力線が発生する。このため、現像ローラ34上の帯電したトナー36Bkが、静電気力によって感光体ドラム31Bk上に付着され、反転現像が行われ、トナー像が形成される。
また、用紙カセット22(図1)に収容された用紙14は、用紙搬送ローラ15a、15bによって矢印l方向に繰り出され、用紙搬送ローラ15c〜15fによって矢印e方向に搬送され、転写ベルト16に送られ、該転写ベルト16と共に矢印f方向に搬送される。
次に、転写プロセスにおいて、感光体ドラム31Bkが矢印g方向に回転させられ、図示されない転写ローラ用高圧電源が転写ローラ17Bkに所定の電圧を印加すると、感光体ドラム31Bk上に形成されたブラックのトナー像が用紙14に転写される。同様に、転写ローラ17Yによってイエローのトナー像が、転写ローラ17Mによってマゼンタのトナー像が、転写ローラ17Cによってシアンのトナー像が用紙14に重ねて転写され、カラーのトナー像が形成される。続いて、用紙14は矢印h方向に搬送され、定着器23に送られる。
次に、定着プロセスにおいて、トナー像が転写された用紙14は、矢印i方向に回転する発熱ローラ24と矢印j方向に回転する加圧ローラ26との間に搬送される。そこで、発熱ローラ24の熱が用紙14上のトナー像を溶融させ、発熱ローラ24と加圧ローラ26との圧接部でトナー像を加圧することによって用紙14に定着させる。その結果、カラー画像が形成される。
続いて、用紙14は、用紙搬送ローラ15g〜15jによって排出路を矢印k方向に搬送され、プリンタ外のスタッカに排出される。
なお、転写後の感光体ドラム31Bkにはわずかな量のトナー36Bkが残留する場合があるが、残留したトナー36Bkは感光体ドラム31Bkに当接させて配設されたクリーニングブレード38によって除去される。このようにして、感光体ドラム31Bkは繰り返し利用される。
また、連続通紙時の紙間等においては、各現像装置13Bk、13Y、13M、13Cから帯電不良の各トナー36Bk、36Y、36M、36Cが転写ベルト16に転写される場合があるが、該転写ベルト16は矢印f方向に走行するので、帯電不良の各トナー36Bk、36Y、36M、36Cは、転写ベルトクリーニングブレード20によって転写ベルト16から除去され、廃棄現像剤タンク21に溜められる。このようにして、転写ベルト16は繰り返し利用される。
次に、両面印刷工程におけるプリンタの動作について説明する。
この場合、用紙14の片面にカラー画像を形成するまでの動作については前述された工程と同様に行われる。
すなわち、用紙14の片面にカラー画像が形成されると、用紙14は、用紙走行ガイド19a及び用紙搬送ローラ15k、15l、15w、15xによって矢印m方向に搬送され、用紙14の後端が用紙走行ガイド19bを通過した後、用紙搬送ローラ15w、15xに掛かったところで用紙搬送ローラ15w、15xはそれまでとは逆方向に回転させられ、用紙14の後端が前端となって搬送される。その際、選択部としての用紙走行ガイド19bが切り換えられ、用紙14は矢印n方向に送られる。
続いて、用紙14は、用紙搬送ローラ15n〜15vによって反転搬送路を矢印o、p、q方向に搬送され、用紙搬送ローラ15c、15dによって矢印e方向に搬送される。その後、用紙14は矢印f、h方向に搬送され、用紙14の裏面に画像が形成される。そして、用紙走行ガイド19aの切換えに伴って、用紙搬送ローラ15g〜15jによって排出路を矢印k方向に搬送され、プリンタ外のスタッカに排出される。
次に、本発明に使用される各トナー36Bk、36Y、36M、36Cについて説明する。
まず、ブラックのトナー36Bkについては、結着樹脂(ポリエステル樹脂、数平均分子量Mn=3700、ガラス転移温度Tg=62〔℃〕)を100重量部に、帯電制御剤としてサリチル酸錯体(オリエント化学工業社製、ボントロンE−84)を1.0重量部と、着色剤としてカーボンブラック(MOGUL−L、Cabot社製)を4.0重量部と、離型剤としてカルナウバワックス(加藤洋行社製、カルナウバワックス1号粉末)を5.0重量部とを加えて、ヘンシェルミキサーを使用して混合した後、二軸押出機によって溶融混練し、衝突版式粉砕機「ディスパージョンセパレーター」(日本ニューマチック工業(株)製)を用いて、粉砕及び分級を行い粉体を得た。該粉体の体積平均粒径については、細胞計数分析装置(コールター社製、コールターマルチサイザー)において、アパチャー径100〔μm〕によって30000カウント測定することにより求められ、この粉体の体積平均粒径は6.5〔μm〕であった。そして、得られた粉体から100重量部を取り出し、疎水性シリカR972(日本アエロジル社製、平均一次粒径16〔nm〕)2.0重量部を添加し、10リットル容量のヘンシェルミキサーで3200回転/分の回転速度で3分間攪拌し、ブラックのトナー36Bkを得ることができる。
次に、イエローのトナー36Yについては、ブラックのトナー36Bkの着色剤であるカーボンブラックに代えて、ピグメント・イエロー17「ECY−215」(大日精化社製)4.0重量部を使用した以外は、ブラックのトナー36Bkの製造方法と同様にして、体積平均粒径6.5〔μm〕の粉体を得た後、得られた粉体から100重量部を取り出し、それに疎水性シリカR972(日本アエロジル社製、平均一次粒径16〔nm〕)を2.0重量部添加し、10リットル容量のヘンシェルミキサーで3200回転/分の回転速度で3分間攪拌することによって混合すると、イエローのトナー36Yを得ることができる。
次に、マゼンタのトナー36Mについては、ブラックのトナー36Bkの着色剤であるカーボンブラックに代えて、ピグメント・レッド57:1「ECR−101」(大日精化社製)4.0重量部を使用した以外は、ブラックのトナー36の製造方法と同様にして、体積平均粒径6.5〔μm〕の粉体を得た後、得られた粉体から100重量部を取り出し、疎水性シリカR972(日本アエロジル社製、平均一次粒径16〔nm〕)を2.0重量部添加し、10リットル容量のヘンシェルミキサーで3200回転/分の回転速度で3分間攪拌することによって混合すると、マゼンタのトナー36Mを得ることができる。
次に、シアンのトナー36Cについては、ブラックのトナー36Bkの着色剤であるカーボンブラックに代えて、ピグメント・ブルー15:3「ECB−301」(大日精化社製)4.0重量部を使用した以外は、ブラックのトナー36Bkの製造方法と同様にして、体積平均粒径6.5〔μm〕の粉体を得た後、得られた粉体から100重量部を取り出し、疎水性シリカR972(日本アエロジル社製、平均一次粒径16〔nm〕)を2.0重量部添加し、10リットル容量のヘンシェルミキサーで3200回転/分の回転速度で3分間攪拌することによって混合すると、シアンのトナー36Cを得ることができる。
次に、前記発熱ローラ24への離型剤としてのオイルの塗布方法について説明する。
図4は本発明の第1の実施の形態におけるオイルの塗布方法を示す斜視図、図5は本発明の第1の実施の形態におけるオイル塗布ローラの断面図である。
この場合、発熱ローラ24を定着器23(図3)に組み付ける前に図4の状態に組み、発熱ローラ24の表面にオイルとしてシリコーンオイル、本実施の形態においては、ジメチルシリコーンオイル(信越化学製、KF96SS−100CS、25〔℃〕動粘度100〔cSt〕)を塗布ローラとしての離型剤塗布ローラ28によってあらかじめ塗布した。
図5に示されるように、離型剤塗布ローラ28は、直径10〔mm〕の金属シャフト28aを芯金にして、オイルを蓄えておく耐熱性アルミノシリケートを有する直径26〔mm〕の離型剤保持部材としての円筒状成形体28bを使用し、該円筒状成形体28bの表面に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質膜等のオイル塗布量制御層28cをチューブ状に加工して被覆し、加熱収縮させて直径30〔mm〕に形成される。
また、離型剤塗布ローラ28の発熱ローラ24と接触する部分の長手方向の長さは、発熱ローラ24と等しくされる。
そして、前記離型剤塗布ローラ28にオイルを含浸させる前の乾燥重量をあらかじめ測定し、離型剤塗布ローラ28にオイルを所定量含浸させるために、オイルを充填した容器内に投入する際の離型剤塗布ローラ28の重量、及びオイルを充填した容器から引き上げた後の離型剤塗布ローラ28の重量の測定を繰り返し、離型剤塗布ローラ28のオイル含浸後の重量から乾燥重量を減算して差重量を求め、該差重量から算出されるオイル量が所望の値になるように、容器内への投入及び容器からの引き上げを繰り返した。
このようにして、離型剤塗布ローラ28に所望のオイル量のオイルを含浸させた後、図4に示されるように、オイル塗布前の発熱ローラ24上に離型剤塗布ローラ28を配設し、該離型剤塗布ローラ28を自重によって発熱ローラ24に接触させた。
続いて、発熱ローラ24の中央に加熱ヒータ25を配設するとともに、発熱ローラ24と、該発熱ローラ24を回転させるための図示されない駆動源とを接続した。そして、加熱ヒータ25によって発熱ローラ24を加熱して、離型剤塗布ローラ28の発熱ローラ24との接触部の温度が100〔℃〕に到達した後、前記駆動源を駆動し、前記接触部の周速度が50〔mm/sec〕となるように、発熱ローラ24及び離型剤塗布ローラ28を回転させ、発熱ローラ24にオイルを塗布した。
なお、実施例1においては、前記ジメチルシリコーンオイルを含浸させた、直径が30〔mm〕の離型剤塗布ローラ28を100〔℃〕に加熱し、図4に示されるように、発熱ローラ24と接触させて回転させ、円筒状の形状を有する発熱ローラ24の外周面の全体にジメチルシリコーンオイルを一定時間塗布した。
次に、画像形成の回数を表す印刷枚数と、発熱ローラ24上のジメチルシリコーンオイルの付着量、すなわち、オイル付着量との関係、発熱ローラ24の表面に塗布されたジメチルシリコーンオイルの量、すなわち、オイル塗布量との関係について説明する。なお、この場合、オイル付着量及びオイル塗布量を指数で表すに当たり、例えば、0.5E−6は、
0.5E−6=5E−7
=0.5×10-6
=5×10-7
である。
図6は本発明の第1の実施の形態における印刷枚数と発熱ローラ上のオイル付着量との関係を示す図、図7は本発明の第1の実施の形態におけるオイル塗布量と定着マージンとの関係を示す図、図8は本発明の第1の実施の形態におけるオイル塗布量と光沢度との関係を示す図である。なお、図6において、横軸に印刷枚数を、縦軸にオイル付着量を、図7において、横軸にオイル塗布量を、縦軸に定着マージンを、図8において、横軸にオイル塗布量を、縦軸に光沢度を採ってある。
〔実施例1−1〕
ジメチルシリコーンオイルを80〔g〕含浸させた離型剤塗布ローラ28(図4)を、300〔sec〕の間、発熱ローラ24と接触させて回転させ、発熱ローラ24の表面にジメチルシリコーンオイルを塗布し、オイル塗布量を1×10-6〔g/cm2 〕にした。そして、得られた発熱ローラ24を定着器23(図1)に組み込み、該定着器23を図1に示されるプリンタに装着した。
次に、該プリンタによって、ブラックの単色で100〔%〕の全面べた(100〔%〕duty)印刷を行い、現像ローラ34(図2)及び供給ローラ35に印加される電圧を調整し、用紙14へのトナー36Bkの付着量を0.50〔mg/cm2 〕になるように設定し、その設定でブラックの単色での5〔%〕duty(全面べた面積を100〔%〕としたときの5〔%〕の面積)パターンの連続印刷を行った。そして、用紙14としてA4判の標準紙(例えば、OKIエクセレントホワイト紙、坪量=80〔g/cm2 〕紙)を使用し、通紙速度100〔mm/sec〕で縦方向の通紙を行い、印刷枚数を変化させたときの発熱ローラ24上のオイル付着量を計測した。
図6におけるオイル付着量は、当初、発熱ローラ24に塗布されたジメチルシリコーンオイルによるオイル付着量と、トナー像の定着に伴って、トナー36Bkから滲み出て発熱ローラ24に付着したジメチルシリコーンオイルによるオイル付着量との和である。この場合、発熱ローラ24上のオイル付着量の最小値は0.5×10-6〔g/cm2 〕であった。
前記発熱ローラ24上のオイル付着量の最小値が0.5×10-6〔g/cm2 〕であるとき、イエロー、マゼンタ及びシアンの現像装置13Y、13M、13Cにおいて、現像ローラ34及び供給ローラ35に印加される電圧を調整し、各色ごとに100〔%〕dutyでトナー像を重ねて転写し、300〔%〕dutyの3色のカラーのトナー像を形成し、このときの用紙14上の各色のトナー36Bk、36Y、36M、36Cの付着量を1.50〔mg/cm2 〕になるように設定した。この状態で、発熱ローラ24の表面温度が150〔℃〕になるように温度制御を行い、安定して印刷を行うことができる印刷枚数、本実施の形態においては、5枚の印刷を行った。その結果、定着不良のない良好な画像が得られた。
次に、発熱ローラ24の表面温度が160〔℃〕及び170〔℃〕になるように温度制御を行ったところ、いずれの場合も、定着不良のない良好な画像が得られた。続いて、発熱ローラ24の表面温度が180〔℃〕になるように温度制御を行ったところ、用紙14が発熱ローラ24に巻き付いてしまい、定着不良となり、用紙14がプリンタから正常に搬出されず、画像を得ることができなかった。また、発熱ローラ24の表面温度が140〔℃〕になるように温度制御を行ったところ、トナー像の各所が用紙14から剥がれていて、良好な画像を得ることができなかった。
したがって、定着不良のない良好な画像が得られる表面温度の範囲(以下「定着マージン」という。)は、
170〔℃〕−150〔℃〕=20〔℃〕
になる。該定着マージンが20〔℃〕あれば、プリンタの使用環境内である高温高湿環境(28〔℃〕、80〔%〕)から低温低湿環境(10〔℃〕、20〔%〕)までの範囲において、定着時の用紙14の放熱等の温度変化があっても、定着マージンの変動は20〔℃〕を超えることがないことは実験を行って既に確認されているので、プリンタを使用して良好に画像を形成することができ、画像品位を向上させることができる。
〔実施例1−2〕
ジメチルシリコーンオイルを80〔g〕含浸させた離型剤塗布ローラ28を、400〔sec〕の間、発熱ローラ24と接触させて回転させ、発熱ローラ24の表面のオイル塗布量を1×10-5〔g/cm2 〕にした。
次に、前記実施例1−1と同様の条件で、単色の連続印刷を行ったところ、発熱ローラ24上のオイル付着量の最小値は0.5×10-5〔g/cm2 〕であった。そして、オイル付着量の最小値は0.5×10-5〔g/cm2 〕になる条件で、3色のカラーの印刷を行ったところ、定着が良好な温度範囲は150〜180〔℃〕であり、定着マージンは30〔℃〕であった。
また、発熱ローラ24の表面温度が190〔℃〕になるように温度制御を行ったところ、用紙14が発熱ローラ24に巻き付いてしまい、定着不良が発生し、用紙14がプリンタから正常に排出されず、画像を得ることができなかった。発熱ローラ24の表面温度が140〔℃〕になるように温度制御を行ったところ、トナー像の各所が用紙14から剥がれてしまい、良好な画像を得ることができなかった。
〔実施例1−3〕
ジメチルシリコーンオイルを80〔g〕含浸させた離型剤塗布ローラ28を、500〔sec〕の間、発熱ローラ24と接触させて回転させ、発熱ローラ24の表面のオイル塗布量を1×10-3〔g/cm2 〕にした。
次に、前記実施例1−1と同様の条件で、単色の連続印刷を行ったところ、発熱ローラ24上のオイル付着量の最小値は0.5×10-3〔g/cm2 〕であった。そして、オイル付着量の最小値は0.5×10-3〔g/cm2 〕になる条件で、3色のカラーの印刷を行ったところ、定着が良好な温度範囲は150〜190〔℃〕であり、定着マージンは40〔℃〕であった。
また、発熱ローラ24の表面温度が200〔℃〕になるように温度制御を行ったところ、用紙14が発熱ローラ24に巻き付いてしまい、定着不良が発生し、用紙14がプリンタから正常に排出されず、画像を得ることができなかった。発熱ローラ24の表面温度が140〔℃〕になるように温度制御を行ったところ、トナー像の各所が用紙14から剥がれてしまい、良好な画像を得ることができなかった。
〔実施例1−4〕
ジメチルシリコーンオイルを80〔g〕含浸させた離型剤塗布ローラ28を、600〔sec〕の間、発熱ローラ24と接触させて回転させ、発熱ローラ24の表面のオイル塗布量を1×10-2〔g/cm2 〕にした。
次に、前記実施例1−1と同様の条件で、単色の連続印刷を行ったところ、発熱ローラ24上のオイル付着量の最小値は0.5×10-2〔g/cm2 〕であった。そして、オイル付着量の最小値は0.5×10-2〔g/cm2 〕になる条件で、3色のカラーの印刷を行ったところ、定着が良好な温度範囲は150〜190〔℃〕であり、定着マージンは40〔℃〕であった。
また、発熱ローラ24の表面温度が200〔℃〕になるように温度制御を行ったところ、用紙14が発熱ローラ24に巻き付いてしまい、定着不良が発生し、用紙14がプリンタから正常に排出されず、画像を得ることができなかった。発熱ローラ24の表面温度が140〔℃〕になるように温度制御を行ったところ、トナー像の各所が用紙14から剥がれてしまい、良好な画像を得ることができなかった。
〔比較例1−1〕
発熱ローラ24の表面にジメチルシリコーンオイルが塗布されていない発熱ローラ24を使用し、3色のカラーの印刷を行ったところ、定着が良好な温度範囲は150〜160〔℃〕であり、定着マージンは10〔℃〕であった。
定着マージンが10〔℃〕であるときに、室温で普通紙を使用して印刷を行う場合には問題はないが、例えば、発熱ローラ24の温度が変化したり、プリンタの使用環境、用紙14の状態等が変化したりすると、定着不良が発生する可能性があり、定着マージンは不十分である。
また、発熱ローラ24の表面温度が170〔℃〕になるように温度制御を行ったところ、用紙14が発熱ローラ24に巻き付いてしまい、定着不良が発生し、用紙14がプリンタから正常に排出されず、画像を得ることができなかった。発熱ローラ24の表面温度が140〔℃〕になるように温度制御を行ったところ、トナー像の各所が用紙14から剥がれてしまい、良好な画像を得ることができなかった。
〔比較例1−2〕
ジメチルシリコーンオイルを50〔g〕含浸させた離型剤塗布ローラ28を、120〔sec〕の間、発熱ローラ24と接触させて回転させ、発熱ローラ24の表面のオイル塗布量を1×10-7〔g/cm2 〕にした。
次に、前記実施例1−1と同様の条件で、単色の連続印刷を行うと、発熱ローラ24の表面からジメチルシリコーンオイルがなくなると考えられるので、初期状態のオイル付着量が1×10-7〔g/cm2 〕の状態で、3色のカラーの印刷を行ったところ、定着が良好な温度範囲は150〜160〔℃〕であり、定着マージンは10〔℃〕であった。
また、発熱ローラ24の表面温度が170〔℃〕になるように温度制御を行ったところ、用紙14が発熱ローラ24に巻き付いてしまい、定着不良が発生し、用紙14がプリンタから正常に排出されず、画像を得ることができなかった。発熱ローラ24の表面温度が140〔℃〕になるように温度制御を行ったところ、トナー像の各所が用紙14から剥がれてしまい、良好な画像を得ることができなかった。
したがって、比較例1−1と同様に定着マージンは不十分であると考えられる。
〔比較例1−3〕
ジメチルシリコーンオイルを80〔g〕含浸させた離型剤塗布ローラ28を、800〔sec〕の間、発熱ローラ24と接触させて回転させ、発熱ローラ24の表面のオイル塗布量を1×10-1〔g/cm2 〕にした。
次に、前記実施例1−1と同様の条件で、前記プリンタ101によって、ブラックの単色で100〔%〕の片面全面べた(100〔%〕duty) 印刷を行い、現象ローラ34(図2)及び供給ローラ35に印加される電圧を調整し、用紙14へのブラックのトナー36Bkの付着料を0.50〔mg/cm2 〕になるように設定し、その設定でブラックの単色での5〔%〕dutyパターンの連続印刷を行った。そして、用紙14としてA4判の標準紙を使用して縦方向の通紙を行い、印刷枚数を変化させたときの発熱ローラ24上のオイル付着量を計測したところ、前記発熱ローラ24上のオイル付着量の最小値は0.5×10-2〔g/cm2 〕であった。このことから、実施例1−4と比較して、発熱ローラ24上の初期オイル塗布量を増加させても、ブラックのトナー36Bkに含有されたワックスを発熱ローラ24に思うように付着させることができず、発熱ローラ24上のオイル付着量の最小値は、単純に増加しないことが分かる。
そして、前記発熱ローラ24上のオイル付着量の最小値が0.5×10-2〔g/cm2 〕になる条件で、イエロー、マゼンタ及びシアンの現像装置13Y、13M、13Cにおいて、現像ローラ34及び供給ローラ35に印加される電圧を調整し、各色ごとに100〔%〕dutyでトナー像を重ねて転写し、300〔%〕dutyの3色のカラーのトナー像を形成し、このときの用紙14上の各色トナー36Y、36M、36Cの合計付着量を1.50〔mg/cm2 〕になるように設定し、3色のカラーの印刷を行ったところ、定着が良好な温度範囲は150〜190〔℃〕であり、定着マージンは40〔℃〕であった。
また、発熱ローラ24の表面温度が200〔℃〕になるように温度制御を行ったところ、用紙14が発熱ローラ24に巻きついてしまい、定着不良が発生し、用紙14がプリンタから正常に排出されず、画像を得ることができなかった。発熱ローラ24の表面温度が140〔℃〕になるように温度制御を行ったところ、トナー像の各所が用紙14から剥がれてしまい、良好な画像を得ることができなかった。
以上の実施例1−1〜1−4、及び比較例1−1〜1−3の結果を表1に示す。
この結果から、発熱ローラ24の初期状態において、オイル塗布量を1×10-6〔g/cm2 〕以上にし、オイル付着量の最小値を0.5×10-6〔g/cm2 〕にすることによって良好な定着マージンを得ることができる。
次に、実施例1−1の300〔%〕dutyの3色のカラーの印刷に代えて、100〔%〕dutyのイエローの単色の印刷を、定着温度150〔℃〕で行い、得られた用紙14の光沢度を測定した。光沢度の測定は光沢度計GM−26D(村上色彩技術研究所製)を使用し、75〔℃〕の測定条件で測定を行った。このとき、光沢度は30であった。
同様に実施例1−2、1−3及び比較例1−1〜1−3についても光沢度を測定した。測定結果を表1及び図8に示す。
単色の印刷を行ったときに光沢度が25以上ある場合、フルカラーの印刷を行うのに好適とされる。そこで、図8の結果から、光沢度を25以上にするために、発熱ローラ24のオイル付着量の最小値を0.5×10-6〜0.5×10-2〔g/cm2 〕にし、初期状態のオイル塗布量を1×10-6〜1×10-2〔g/cm2 〕にすることが好ましいと考えられる。
なお、同様の試験を懸濁重合トナー及び乳化重合トナーについて行ったところ、同様の結果を得ることができた。
以上のことから、定着器23の発熱ローラ24の初期状態において、オイル塗布量を1×10-6〔g/cm2 〕以上にすることによって定着マージンを良好にすることができ、好ましくは、初期状態のオイル塗布量を1×10-6〜1×10-2〔g/cm2 〕にすることによって、光沢の良い画像を形成することができる。
なお、本実施の形態においては、発熱ローラ24に塗布する離型剤として、シリコーンオイルのうちのジメチルシリコーンオイルが使用されるようになっているが、ジメチルシリコーンオイルに代えて、フルオロシリコーンオイル、フェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、メルカプト変性等の各種の変性シリコーンオイル等を単独で、又は混合物で使用することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、その説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
本実施の形態においては、実施例1−1〜1−4と同様に、塗布ローラとしての離型剤塗布ローラ28に離型剤を付与する前の離型剤塗布ローラ28の乾燥重量を計量し、離型剤塗布ローラ28に離型剤を所定量含浸させるために、表2〜4に示される離型剤A〜Eの少なくとも1種類を加熱し、溶融させて充填した容器内に投入する際の離型剤塗布ローラ28の重量、及びオイルを充填した容器から引き上げた後の離型剤塗布ローラ28の重量の測定を繰り返し、離型剤塗布ローラ28のオイル含浸後の重量から乾燥重量を減算して差重量を求め、該差重量から算出されるオイル量が所望の値になるように、容器内への投入及び容器からの引き上げを繰り返した。
このようにして、離型剤塗布ローラ28に所望のオイル量のオイルを含浸させた後、図4に示されるように、オイル塗布前の第1の回転部材としての発熱ローラ24上に離型剤塗布ローラ28を配設し、該離型剤塗布ローラ28を自重によって発熱ローラ24と接触させて回転させ、円筒状の形状を有する発熱ローラ24の外周面の全域に塗布した。
続いて、発熱ローラ24の中央に加熱部材としての加熱ヒータ25を配設するとともに、発熱ローラ24と、該発熱ローラ24を回転させるための図示されない駆動源とを接続した。そして、加熱ヒータ25によって発熱ローラ24を加熱して、離型剤塗布ローラ28の発熱ローラ24との接触部の温度が100〔℃〕に到達した後、前記駆動源を駆動し、前記接触部の周速度が50〔mm/sec〕となるように、発熱ローラ24及び離型剤塗布ローラ28を回転させ、発熱ローラ24にオイルを塗布した。
離型剤Aとしてはカルナウバワックス(加藤洋行社製、カルナウバワックス1号粉末)を、離型剤Bとしてはパラフィンワックス(日本精蝋製、HNP−9)を、離型剤Cとしてはポリエチレンワックス(クラリアント社製、Licowax PE130)を、離型剤Dとしてはポリプロピレンワックス(三井化学社製、NP056)を、離型剤Eとしてはジメチルシリコーンオイル(信越化学製、KF96SS−100CS)を使用した。
また、現像剤としての各トナー36Bk、36Y、36M、36C中に添加する離型剤としても前記離型剤A〜Eを使用し、他は第1の実施の形態と同様の手順でトナー36Bk、36Y、36M、36Cを得た。
そして、発熱ローラ24の表面温度が高くなり、記録媒体としての用紙14が発熱ローラ24に巻き付いてしまい画像を得ることができなかった場合の用紙巻付き発生温度、及び発熱ローラ24の表面温度が低すぎてトナー像の各所が用紙14から剥がれてしまい、良好な画像を得ることができないトナー剥がれ発生温度を表す。
そして、各トナー36Bk、36Y、36M、36C中に添加する離型剤(トナー添加離型剤)、及び前記発熱ローラ24(図3)の表面に塗布する離型剤(発熱ローラ塗布離型剤)を選択し、定着マージンを確認した。また、発熱ローラ24の表面温度を160〔℃〕に設定したままイエローの単色で100〔%〕dutyの連続印刷を両面印刷で3000枚行い、用紙14の非画像部に各トナー36Bk、36Y、36M、36Cが付着したかどうかを確認した。さらに、1枚目の第1面(両面印刷のうちの始めに印刷される面)、及び3000枚印刷後の3000枚目の第1面の光沢度をGM−26D(条件75〔℃〕)で測定した。実験結果を表2〜4に示す。なお、表2において、定着が良好な表面温度の範囲は、定着良好温度下限及び定着良好温度上限で表す。
〔実施例2−1〕
離型剤Aが添加された各トナー36Bk、36Y、36M、36Cを使用し、前記発熱ローラ24に離型剤Aを1×10-3〔g/cm2 〕塗布した定着器23を使用した。発熱ローラ24の表面温度が150〜200〔℃〕まで定着が良好であり、定着マージンは50〔℃〕であり、良好な結果が得られた。
また、連続印刷を行ったところ、用紙14への各トナー36Bk、36Y、36M、36Cの付着はなく、画像が良好であった。そして、1枚目の光沢度は50であり、3000枚目の光沢度は50であり、連続印刷の開始時と終了時との光沢度差は0(零) であり、連続印刷を通して画像が良好であった。
〔実施例2−2〕
離型剤Bが添加された各トナー36Bk、36Y、36M、36Cを使用し、前記発熱ローラ24に離型剤Bを1×10-3〔g/cm2 〕塗布した定着器23を使用した。発熱ローラ24の表面温度が150〜210〔℃〕まで定着が良好であり、定着マージンは60〔℃〕であり、良好な結果が得られた。
また、連続印刷を行ったところ、用紙14への各トナー36Bk、36Y、36M、36Cの付着はなく、画像が良好であった。そして、1枚目の光沢度は60であり、3000枚目の光沢度は60であり、連続印刷の開始時と終了時との光沢度差は0であり、連続印刷を通して画像が良好であった。
〔実施例2−3〕
離型剤Cが添加された各トナー36Bk、36Y、36M、36Cを使用し、前記発熱ローラ24に離型剤Cを1×10-3〔g/cm2 〕塗布した定着器23を使用した。発熱ローラ24の表面温度が150〜210〔℃〕まで定着が良好であり、定着マージンは60〔℃〕であり、良好な結果が得られた。
また、連続印刷を行ったところ、用紙14への各トナー36Bk、36Y、36M、36Cの付着はなく、画像が良好であった。そして、1枚目の光沢度は60であり、3000枚目の光沢度は60であり、連続印刷の開始時と終了時との光沢度差は0であり、連続印刷を通して画像が良好であった。
〔実施例2−4〕
離型剤Dが添加された各トナー36Bk、36Y、36M、36Cを使用し、前記発熱ローラ24に離型剤Dを1×10-3〔g/cm2 〕塗布した定着器23を使用した。発熱ローラ24の表面温度が150〜200〔℃〕まで定着が良好であり、定着マージンは50〔℃〕であり、良好な結果が得られた。
また、連続印刷を行ったところ、用紙14への各トナー36Bk、36Y、36M、36Cの付着はなく、画像が良好であった。そして、1枚目の光沢度は50であり、3000枚目の光沢度は50であり、連続印刷の開始時と終了時との光沢度差は0であり、連続印刷を通して画像が良好であった。
〔実施例2−5〕
離型剤Bが添加された各トナー36Bk、36Y、36M、36Cを使用し、前記発熱ローラ24に離型剤Dを1×10-3〔g/cm2 〕塗布した定着器23を使用した。発熱ローラ24の表面温度が150〜190〔℃〕まで定着が良好であり、定着マージンは40〔℃〕であり、良好な結果が得られた。
また、連続印刷を行ったところ、用紙14への各トナー36Bk、36Y、36M、36Cの付着はなく、画像が良好であった。そして、1枚目の光沢度は50であり、3000枚目の光沢度は60であり、連続印刷の開始時と終了時との光沢度差は10であり、目視ではほとんど判別できない程度であり、連続印刷を通して画像が良好であった。
〔実施例2−6〕
離型剤Dが添加された各トナー36Bk、36Y、36M、36Cを使用し、前記発熱ローラ24に離型剤Bを1×10-3〔g/cm2 〕塗布した定着器23を使用した。発熱ローラ24の表面温度が150〜200〔℃〕まで定着が良好であり、定着マージンは50〔℃〕であり、良好な結果が得られた。
また、連続印刷を行ったところ、用紙14への各トナー36Bk、36Y、36M、36Cの付着はなく、画像が良好であった。そして、1枚目の光沢度は60であり、3000枚目の光沢度は50であり、連続印刷の開始時と終了時との光沢度差は10であり、目視ではほとんど判別できない程度であり、連続印刷を通して画像が良好であった。
〔比較例2−1〕
離型剤Aが添加された各トナー36Bk、36Y、36M、36Cを使用し、前記発熱ローラ24に離型剤Eを1×10-3〔g/cm2 〕塗布した定着器23を使用した。発熱ローラ24の表面温度が150〜190〔℃〕まで定着が良好であり、定着マージンは40〔℃〕であり、良好な結果が得られた。
また、連続印刷を行ったところ、用紙14の非画像形成部へのブラックのトナー36Bkの付着があり、画像が不良であった。そして、1枚目の光沢度は30であり、3000枚目の光沢度は50であり、連続印刷の開始時と終了時との光沢度差は20であり、初期の印刷結果と連続印刷後の印刷結果とで光沢度に大きく差が発生する結果となり、画像が不安定であることがわかった。
なお、連続印刷を行った後の画像を見ると、第1面及び第2面の非画像部に各トナー36Bk、36Y、36M、36Cが付着し、画像を乱していた。このとき、現像装置13Bkを確認すると、像担持体としての感光体ドラム31Bk上の所々にブラックのトナー36Bkが付着していた。すなわち、両面印刷において用紙14の第1面に印刷が行われるのに伴って、第1面に離型剤Eが付着すると、離型剤Eは、第1面の印刷後の第1の転写部材としての、かつ、搬送部材としての転写ベルト16上に付着し、さらに、感光体ドラム31Bkの表面に付着することになる。現像プロセス時に離型剤Eは、常温で液体であるので、離型剤Eの粘着性によって、感光体ドラム31Bkの表面の静電潜像が形成されていない部分にも、ブラックのトナー36Bkが付着し、非画像部にもトナー36Bkが付着し、画像を乱したものと考えられる。
これに対して、実施例2−1〜2−6の発熱ローラ24に塗布される離型剤A〜Dは、常温で固体であり、粘着性がないので、トナー36Bkが感光体ドラム31Bkの表面の静電潜像が形成されていない部分に付着することがなく、非画像部にトナー36Bkが付着することがなく、画像を乱すことがなかったと考えられる。
〔比較例2−2〕
離型剤Bが添加された各トナー36Bk、36Y、36M、36Cを使用し、前記発熱ローラ24に離型剤Eを1×10-3〔g/cm2 〕塗布した定着器23を使用した。発熱ローラ24の表面温度が150〜190〔℃〕まで定着が良好であり、定着マージンは40〔℃〕であり、良好な結果が得られた。
また、連続印刷を行ったところ、用紙14の非画像部へのブラックのトナー36Bkの付着があり、画像が不良であった。そして、1枚目の光沢度は30であり、3000枚目の光沢度は60であり、連続印刷の開始時と終了時との光沢度差は30であり、初期の印刷結果と連続印刷後の印刷結果とで光沢度に大きく差が発生する結果となり、画像が不安定であることがわかった。
〔比較例2−3〕
離型剤Dが添加された各トナー36Bk、36Y、36M、36Cを使用し、前記発熱ローラ24に離型剤Eを1×10-3〔g/cm2 〕塗布した定着器23を使用した。発熱ローラ24の表面温度が150〜190〔℃〕まで定着が良好であり、定着マージンは40〔℃〕であり、良好な結果が得られた。
また、連続印刷を行ったところ、用紙14の非画像部へのブラックのトナー36Bkの付着があり、画像が不良であった。そして、1枚目の光沢度は30であり、3000枚目の光沢度は50であり、連続印刷の開始時と終了時との光沢度差は20であり、初期の印刷結果と連続印刷後の印刷結果で光沢度に大きく差が発生する結果となり、画像が不安定であることがわかった。
以上の結果から、発熱ローラ24にあらかじめカルナウバワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、及びパラフィンワックスのうちの少なくともいずれかを塗布しておくことによって、良好な定着マージンを得ることができ、両面の連続印刷を行う際に、良好な画像を得ることができる。好ましくは、各トナー36Bk、36Y、36M、36Cに添加される離型剤と、発熱ローラ24に塗布される離型剤とを同じにすることによって、連続印刷を通して光沢度に変化がない良好な画像を得ることができる。したがって、画像品位を向上させることができる。
なお、前記各実施の形態においては、カラーの着色剤として、例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ピグメントブルー15:3、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等を使用することができる。
また、発熱ローラ24に塗布される離型剤として、エステル系ワックス、オレフィン系ワックス及び炭化水素系ワックスのうちのいずれかを使用することができる。
さらに、本発明の各トナー36Bk、36Y、36M、36Cは、混練粉砕法、スプレイドライ法、重合法等の公知の方法によって製造され、重量平均粒子径を4〜15〔μm〕にするのが好ましい。そして、前記各トナー36Bk、36Y、36M、36Cに、荷電制御剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を適宜添加するのが好ましい。さらに、環境安定性、帯電安定性、現像性、流動性、保存性等を向上させるために、無機微粉体が混合されるのが好ましい。なお、前記無機微粉体は、疎水性無機微粉体であり、各トナー36Bk、36Y、36M、36Cに外添されるのが好ましい。前記無機微粉体としては、例えば、シリカ微粉末、酸化チタン微粉末、又はそれらの疎水化物が挙げられる。それらは、単独で又は混合させて使用するのが好ましい。
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。