JP2007086069A - テスト気体の存在を検出する装置および方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】テスト気体の存在を検出する装置および方法が開示されている。本装置は、電子電源ユニットを備えた真空ポンプに接続された真空室を含む。真空室の少なくとも一部分は、テスト気体に関して選択的に透過可能な膜により、周囲外部環境から分離されている。外部環境からの気体流は、取入ダクトと拡散部材と取出ダクトとを含む流れ搬送部材を介して、膜表面全体に強制的に案内される。テスト気体の存在は、電源から供給された真空ポンプへの電流の変化により検出される。
【選択図】図2
Description
漏れ検出分野における現在の検出器は一般的に、選択的に透過可能な膜を備えた真空室からなる検出器で形成されており、この選択的に透過可能な膜を介して所定の気体のみを、内部圧力が外部圧力よりも著しく低くなっている真空室内部へ通過させることができるよう構成されている。
近年、平面膜が開発されている。これらの膜は、テスト気体に対して選択的に透過可能な材質製の薄層を、テスト気体に対して非透過性であり構造的強度を確保する支持層と接合して形成された複合構造体を有していてもよい。支持層は開口または窓部を有しており、その開口または窓部に透過層が両面を露出させているとともにその開口または窓部を介してテスト気体が真空室内部へ通過することができる。この種の膜の一例は下記特許文献2に開示されている。
平面膜の使用が、毛細官形状膜に対してよりすぐれた技術的前進であるとしても、平面膜検出器も、テスト気体の最少量の存在を検出しなければならないような技術的に最も高度な分野での応用に関しては、完全に満足すべきものではない。これらの検出器は、この種の応用により要求される感度レベルに到達できていない。
さらに、上述したように、使用される膜は、高温(例えば、石英膜の場合300℃以上)の場合にのみテスト気体を透過可能である。さらに、一般的に、検出器は室温の包囲空間に設けられるので、周囲大気が膜を冷却する傾向にあり、これにより、その感度が低減される。したがって、膜の十分な感度を確保するために、膜に接合される加熱手段の電力が増大することになり、その結果、エネルギー消費が増大することになる。
したがって、本発明のさらなる目的は、エネルギー消費が少なく、その結果、従来技術に対して持久力の増大したテスト気体の存在を検出する装置および方法を提供することである。
上記問題に対応するため、本開示は、気体搬送部材を選択的に透過可能な膜に関連付けている装置および方法を提供する。その結果、装置の感度は、テスト気体を含有するテスト対象環境に存在する気体を前記膜へ直接案内する搬送部材の能力のために、極めて増大する。
本発明のさらに好ましい実施形態において、気体搬送部材は1つまたは複数のチャネルを含み、これらのチャネルは、外部環境から流入しテスト気体を含んでいる可能性のある気体を、特に、選択的に透過可能な膜の透過性の高い領域に向かわせ、これにより、検出器の感度を最適化することを可能にしているという点で有利である。
本装置は真空室を含み、その一端部は、例えばイオンポンプのような真空ポンプの吸引口に結合され、他端部は、テスト気体に関して選択的に透過可能な平面膜3により外部環境から分離されている。真空室と、それに結合されている真空ポンプとは周知のものでありかつ図1に示したものと類似しているので、簡略化のため、図2には示していない。
これにより、膜3の感度は、膜がテスト対象の環境に単に置かれる場合と比較して、増大されることになる。
図示する実施形態において、流れ搬送装置5は、ケーシング6内部に収容され、逆漏斗状の形状であり、円錐状部分5bの小径基部に結合した円筒状部分5aを含み、そしてねじ式カップリング12によりケーシング6に適切に固定されている。
搬送装置5の円錐状部分の大径基部5cにおいて、浅い中空空間が設けられており、取入ダクト7はその中空空間において終端しており、その中空空間は搬送装置5の大径基部5c全体にわたって延びている。中空空間は、搬送装置5の拡散部材9を形成している。これに関し、この拡散部材は取入ダクト7の軸に対して実質的に垂直な面内で延びているので、ダクトから流入する気体流は拡散部材9全体に均一に拡散され、その結果、その下の膜3の面3bにも均一に拡散される、ということに留意されたい。
搬送装置5の幾何学的な逆漏斗形状は特に有利である。それは、取入ダクト7に沿って流入する気体流の分散が回避されるとともに、膜3の表面全体に気体流を均一に配分することが可能になるからである。
膜3は、均質なディスク(円板)状本体を含み、これは全体的にテスト気体を選択的に透過可能な材料で形成されている。盲孔(凹所)15が、真空室に面するディスク状本体の面3aに形成されて、膜3に複数の厚みの薄い領域を区画している。厚みの薄い領域は、テスト気体に対して実際に透過可能であって、これにより気体の存在を検出するために利用可能な膜3の部分を形成しており、他方、膜3の残りの部分は、十分な構造的剛性を与える目的だけを有していて、該部分のテスト気体の透過性は無視されている。孔15は、膜3の外側環状部分が影響を受けない状態になるように形成されて、これにより、膜を、一方で真空室と結合させるとともに、他方で流れ搬送装置5と結合させることを可能にする。
図示する例の場合、加熱装置は、ダクト7の一部分の周囲に巻きつけられた電気的抵抗体13を、漏斗状搬送装置5の円筒状部分に沿って設けることが好ましい。
電気的抵抗体13,17のエネルギー消費を制限するために、取出ダクト11を介して流出する気体流を、取入ダクト7を介して流入する気体流を予備加熱するために有利に使用することができる。
上述したように、電気的抵抗体13,17により吸収される電力を低減することは、電池駆動式携帯型検出装置の場合、検出装置1の持続時間をより長くすることになるので、特に有利である。
上述の説明から、原則的に、流れ搬送装置5はいかなる材質でも製造することはできるが、熱放散を回避するために、例えばステンレススチールまたはセラミック材質のような熱伝導性の低い材質を使用すると有利であることは明白である。
第2実施形態において、流れ搬送装置5´はディスクを含んでおり、該ディスクは、選択的に透過可能な膜3と実質的に同一直径を有するとともに真空室に面する面3aと反対の膜の面3bに重ねあわされている。
第2実施形態において、拡散部材9´は、下方の膜3の表面全体にわたって延びてはおらず、複数のチャネル(流路)9´a、9´b、9´c….9´nを含み、これらのチャネルは取入ダクト7´の端部から始まり、下方の膜3の表面全体に延びるとともに取入ダクト7´の端部に対して直径方向反対側の取出ダクト11´の端部にて再び結合されている。
したがって、テスト気体を含んでいる可能性のある気体流は、テスト気体を実際に透過可能である膜3の部分に対してのみ向けられるので、検出装置の感度は著しく増大される。
第1実施形態に関して述べたことと同様に、周囲温度の気体流が外部環境から取り入れられ、取入ダクト7´を介して透過可能な膜3に向けられる(矢印F1´)。次に、気体流は拡散部材9´を通って、はるかに高い温度の、テスト気体を選択的に透過可能な膜の表面を流動する。最終的に、該気体は、取出ダクト11´に沿って流動して(矢印F2´)、外部環境へ排出される(矢印F3´)。
上述の検出装置は、選択的に透過可能な膜の感度を大幅に増大させることができるとともに、公知の検出装置と比較してエネルギー消費を大幅に低減させるので、所望の目的を達成することは明白である。
例えば、テスト気体の存在を検出する装置は、均質膜を参照して開示されているが、構造的強度を確実にもたらしかつ複数の窓部を有する支持層と、この支持層に重ねられている、テスト気体に対して選択的に透過可能な材質の薄層とを含む合成膜であってもよい。
Claims (20)
- 真空室と、
前記真空室に接続された真空ポンプと、
テスト気体に関して選択的に透過可能であるとともに、前記真空室の少なくとも一部分を外部環境から分離する膜(3)と、
前記真空ポンプに接続されて、前記真空室における前記テスト気体の存在を検出する電子電源ユニットと、
前記選択的に透過可能な膜(3)と関連付けられて、気体流を、外部環境から前記膜へ案内し、前記膜(3)の表面全体に対して拡散させ、そして外部環境へ排出させる流れ搬送部材(5、5´)と
を含むテスト気体の存在を検出する装置。 - 前記流れ搬送部材(5、5´)は、
前記気体流を外部環境から前記膜(3)へ案内する取入ダクト(7;7´)と、
前記取入ダクト(7;7´)と連通して、前記気体流を前記膜(3)の表面全体に拡散させる拡散部材(9;9´)と、
前記拡散部材(9;9´)と連通して、前記気体流を外部環境へ排出させる取出ダクト(11;11´)と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。 - 前記膜上に設けられてその透過性を増大させる加熱手段(17)と、前記取入ダクト(7;7´)内部に設けられて前記気体流を予備加熱する加熱装置(13)とをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の装置。
- 前記取出ダクト(11;11´)の少なくとも一部分は、前記取入ダクト(7;7´)の少なくとも一部分に隣接して形成されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
- 前記取出ダクト(11;11´)の前記少なくとも一部分と、前記取入ダクト(7;7´)の前記少なくとも一部分とは相互に平行であり、
前記取出ダクト(11;11´)の前記少なくとも一部分における前記気体流の方向は、前記取入ダクト(7;7´)の前記少なくとも一部分における前記気体流の方向と反対であることを特徴とする請求項4に記載の装置。 - 前記取出ダクト(11;11´)の少なくとも一部分は、前記取入ダクト(7;7´)の少なくとも一部分を包囲するとともに、それと同軸であり、
前記取出ダクト(11;11´)の前記少なくとも一部分における前記気体流の方向は、前記取入ダクト(7;7´)の前記少なくとも一部分における前記気体流の方向と反対であることを特徴とする請求項3に記載の装置。 - 取入ダクト(7;7´)と取出ダクト(11;11´)との間の前記流れ搬送部材(5、5´)の部分は、熱伝導性が限定された材料でできていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
- 前記拡散部材(9;9´)は、前記取入ダクト(7;7´)の軸に対して実質的に垂直な面内で延びていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
- 前記拡散部材(9;9´)は、前記膜(3)の一方の面を均一に覆っていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
- 前記拡散部材は複数のチャネル(9´a、9´b、9´c….9´n)を含み、これらのチャネルは、前記取入ダクト(7´)の一端部から始まり、前記膜(3)の表面全体に延びており、前記取出ダクト(11´)の一端部と結合して前記気体流を前記膜の前記表面に沿わせることを特徴とする請求項2に記載の装置。
- 前記膜(3)は、前記テスト気体を透過する材料で形成された厚みの薄い領域を複数個含み、そして、前記チャネル(9´a、9´b、9´c….9´n)は、前記厚みの薄い領域に重ねられていることを特徴とする請求項10に記載の装置。
- 前記流れ搬送部材(5)は、前記膜(3)の表面に結合された大径基部(5c)を有する円錐状部分(5b)と、前記円錐状部分(5b)の小径基部から延びており、それに結合した円筒状部分(5a)とを含むことを特徴とする請求項2に記載の装置。
- 前記取入ダクト(7)は、前記流れ搬送部材の前記円筒状部分(5a)と前記円錐状部分(5b)との軸に沿って延びており、
前記拡散部材(9)は前記円錐状部分(5b)の前記大径基部(5c)に形成され、
前記取出ダクト(11)は、前記流れ搬送部材(5)の前記円錐状部分(5b)の外表面に沿って、そして前記円筒状部分(5a)の外表面の一部分に沿って延びている
ことを特徴とする請求項9に記載の装置。 - 真空ポンプとポンプ電源とに関連付けられた真空室を設ける工程と、
前記真空室の少なくとも一部分を、テスト気体に関して選択的に透過可能な膜(3)により、外部環境から分離する工程と、
前記膜(3)と関連付けられているとともに、取入ダクトと、拡散部材と、取出ダクトとを含む流れ搬送部材を設ける工程と、
前記真空ポンプにより、前記真空室内の圧力を外部環境の圧力よりも低い圧力へ低減させる工程と、
外部環境からの気体流を、連続的に強制的に前記取入ダクトを介して前記拡散部材へ搬送し、前記気体流を前記膜表面全体に拡散させ、そして前記取出ダクトを介して排出させる工程と、
電源から供給された前記真空ポンプへの電流の変化を検出し、これにより、テスト気体の存在を示す工程と
を含むテスト気体の存在を検出する方法。 - 前記膜を通過した前記テスト気体の量を、前記電流の変化から取得する工程と、
前記膜を通過した前記テスト気体の前記量から、テスト対象の環境に存在する前記テスト気体の量を取得する工程と
をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。 - 前記膜は過熱されて、前記テスト気体に関するその透過性を増大させることを特徴とする請求項14に記載の方法。
- 前記膜(3)へ搬送される前に、前記気体流を予備加熱する工程をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
- 前記膜の前記表面全体を流れた後の流出する気体流から熱を少なくとも部分的に回収し、そして、それを流入する気体流に伝達する工程をさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
- 前記気体流は、前記膜(3)の表面全体へ均一に拡散されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
- 前記膜(3)は、前記テスト気体に対して高い透過性を有する領域と、前記テスト気体に対してほとんど透過性を有さない領域とを含み、前記気体流は、前記テスト気体に対して高い透過性を有する前記領域に選択的に搬送されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
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