JP2007084602A - 活性エネルギー線硬化性組成物及び該組成物の硬化被膜で被覆されたアクリル樹脂成形物 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性組成物及び該組成物の硬化被膜で被覆されたアクリル樹脂成形物 Download PDF

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Abstract

【課題】 アクリルフイルム或いはアクリルシート等のアクリル樹脂製の成形体の表面に良好に接着する防曇性の塗膜を形成でき、且つ高温環境下に長期間放置された場合であっても、初期の接着性を維持することができる活性エネルギー線硬化性組成物を提供する。
【解決手段】 光重合性化合物と光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、
前記光重合性化合物が、式(1)
【化1】
Figure 2007084602

(式中、Rは、炭素数2〜8の炭化水素基又は炭素数2〜8の炭化水素基が酸素原子により連結された基、mは3〜6、nは3〜20を表す。)で表される化合物を第三ホスフィンの存在下で反応させることにより得られるオリゴマーAを含有し、
前記光重合開始剤がメチルフェニルグリオキシレートを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、アクリルフイルム或いはアクリルシート等の表面に良好に接着し、防曇性を有する塗膜を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
成形物の表面を親水性にする方法としては、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの物理的表面処理、スルホン化などの化学的表面処理、界面活性剤や親水性物質の練り込み法、成形材料として親水基を有するポリマーの使用、親水性ポリマーによるコーティングなどが通常行われている。また、ポリマー成形物表面への親水性モノマーのグラフト重合法も知られている。
しかしながら、物理的表面処理法では、親水化の程度、耐久性共に劣り、化学的表面処理法では、素材の限定や、施工法の限定など制約が多かった。また、練り込み法では、耐久性に劣る上、高い親水性を付与するために多量の親水性物質を練り込むと物性の低下を招いていた。成形材料やコーティング材料として親水性のポリマーを使用する方法では、高い親水性を付与するために親水基を多く導入すると、吸湿による寸法変化、湿潤状態での強度低下、湿潤状態での基材との剥離といった問題が生じていた。表面グラフト法では、優れた親水性を付与できるが、耐久性にやや劣る上、素材や形状に制約があった。
この様な状況の中で、紫外線硬化性組成物を成形物の表面に被覆する方法は、短時間の紫外線照射により硬化塗膜が得られる為に、生産性の点で非常に優れていることが知られ、これまで種々の親水性皮膜が形成可能な紫外線硬化性組成物の提案がされてきた。例えば、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート及びアルキレンオキシド結合を分子内に持つ反応性界面活性剤を含有してなる紫外線硬化性組成物(特許文献1)、分子内に2個以上の水酸基を持つ多官能(メタ)アクリレート及びアルキレンオキシド結合を分子内に持つ反応性界面活性剤を含有してなる紫外線硬化性組成物(特許文献2)、繰り返し数が6から20のポリエチレングリコール鎖を有する両親媒性の重合性化合物を含有してなるエネルギー線硬化性組成物(特許文献3)、ポリウレタン(メタ)アクリレート、環構造を有するジアクリレート及びポリアルキレングリコールアクリレートを含有してなる光硬化型組成物(特許文献4)等がある。
ところで、防曇性を有する塗膜を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物が使用される材料としては、種々のものがあるが、缶・ボトル飲料用自動販売機窓材、水中眼鏡、ゴーグル、サングラス、自動車用テールランプレンズ材、自動車用リフレクターレンズ材等の分野ではアクリルフイルム或いはアクリルシート等の表面に良好に接着する組成物が求められている。
上記の従来技術は、ポリカーボネートフイルム或いはポリカーボネートシート等の表面に塗膜を形成した場合、塗膜形成当初は防曇性及び接着性に特に問題を生ずるものではなかった。しかしながら、いずれもアクリルフイルム或いはアクリルシート等の表面に塗膜を形成した場合には接着性に問題があり、特に、高温環境下に置かれた場合に初期の接着性を維持することができないという問題があった。
また、第三ホスフィンの存在下で多官能アクリレートを反応させてオリゴマーを製造する技術が知られている(特許文献5)。当該文献では、トリメチロールプロパントリアクリレートをトリ−n−オクチルホスフィンの存在下で反応させる実施例が記載されている。しかしながら、防曇性を有する塗膜を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物に関する技術、特に、アクリルフイルム或いはアクリルシート等の表面に良好に接着する組成物に関する技術については何ら開示されていない。
特開平11−116892号 特開平11−140109号 特開2000−319406号 特開2004−182914号 特開2003−212926号
したがって、本発明の目的は、アクリルフイルム或いはアクリルシート等のアクリル樹脂製の成形体の表面に良好に接着する防曇性の塗膜を形成できる活性エネルギー線硬化性組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、且つ高温環境下に長期間放置された場合であっても、初期の接着性を維持することができる活性エネルギー線硬化性組成物を提供することにある。更に、本発明の他の目的は、上記課題を解決した活性エネルギー線硬化性組成物の硬化被膜が表面に形成されたアクリル樹脂製の成形物を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の光重合開始剤と多官能親水性モノマーをオリゴマー化したものを主成分とした組成物が、アクリル基材表面に良好に接着し、かつ良好な防曇性を保持することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、光重合性化合物と光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、
前記光重合性化合物が、式(1)
Figure 2007084602
(式中、Rは、炭素数2〜8の炭化水素基又は炭素数2〜8の炭化水素基が酸素原子により連結された基、mは3〜6、nは3〜20を表す。)で表される化合物を第三ホスフィンの存在下で反応させることにより得られるオリゴマーAを含有し、
前記光重合開始剤がメチルフェニルグリオキシレートを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物を提供する。
また、本発明は上記活性エネルギー線硬化性組成物を被膜として、活性エネルギー線照射による重合硬化をした表面を有するアクリル樹脂製の防曇性成形物を提供する。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化被膜は、アクリル樹脂製成形物の表面に良好に接着し、高温環境下に長期間放置された場合であっても、初期の接着性を維持することができる。
以下、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物、その硬化被膜及びその硬化皮膜を表面に有する成形物を具体的に説明する。本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、防曇性及び親水性を付与する化合物(a)を含有する光重合性化合物と光重合開始剤(c)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であり、防曇性及び親水性を付与する化合物(a)として、上記の式(1)で表される化合物を第三ホスフィンの存在下で反応させることにより得られるオリゴマーAを含有し、光重合開始剤(c)としてメチルフェニルグリオキシレートを含有する。更に、必要に応じて、その他の重合性化合物(b)、その他の光重合開始剤(c)及びその他の成分(d)を含有するものである。
オリゴマーAは、皮膜に高い防曇性を付与し、かつアクリル基板への良好な接着性を付与する成分であり、式(1)で表される水溶性又は親水性の3官能以上の多官能アクリレートを公知の方法(特許公開2003−212926号)で、オリゴマー化したものである。
式(1)で表される親水性又は水溶性の3官能以上の多官能アクリレートは、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールにエチレンオキシドを付加させたものをアクリレートしたものを指す。ここで、エチレンオキシドの付加モル数nは3〜20であるが、5から15モルが好ましい。この範囲であると親水性及び防曇性がより優れ、また、エチレンオキシドに起因する結晶性によるオリゴマーAの固体化を防ぐことができる。
式(1)で表される市販の多官能アクリレートとしては、グリセリンを中心骨格とするものとして、新中村化学社製NKエステルA−GLY−20Eが、トリメチロールプロパンを中心骨格とするものとして、サートマー社製SR−9035、SR−415、第一工業製薬社製TMP−15が、ペンタエリスリトールを中心骨格とするものとして、新中村化学社製NKエステルATM−35E等が挙げられる。
中でも、式(1)で表される化合物としては、式(3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2007084602
(式中、nは3〜20を表す。)
本発明で使用するオリゴマーAが生成する反応は以下の様に進行するものと推測している。まず、式(1)で表される化合物とは異なるが、単純な化合物の例としてエチルアクリレートが第三ホスフィンの存在下でオリゴマー化する反応式(4)を以下に示す。
Figure 2007084602
式(4)
上記反応が記載されている特許公開2003−212926号(第20〜23段落)では、式(4)における右辺の構造の化合物が生成していることがプロトンNMR及び13C−NMRにより確認されている。
また、式(1)で表される化合物とは異なるが、分子内に2個のアクリロイル基を有する化合物を同様に反応させた場合は以下の反応式(5)の通りである。
Figure 2007084602
式(5)
したがって、式(1)で表される化合物を第三ホスフィンの存在下でオリゴマー化した場合は、下記式(2)で表される部分構造を有するオリゴマーが生成する。式(2)は、式(1)で表される化合物のm個のアクリロイル基(n個のポリオキシエチレンが付加したアクリロイル基)の中のq個のアクリロイル基が他のアクリロイル基と反応して生成した部分の構造を示している。式(2)中で、q≦mであるので、式(1)で表される化合物がオリゴマー化して生成するオリゴマーA中にはアクリロイル基が存在する部分と存在しない部分があるが、オリゴマーAの末端部分の構造はq<mであり、必ず1個以上のアクリロイル基が存在する。
Figure 2007084602
(式中、Rは、炭素数2〜8の炭化水素基又は炭素数2〜8の炭化水素基が酸素原子により連結された基、mは3〜6、nは3〜20、qは1以上の整数を表すが、q≦mである。)
式(3)で表される化合物が反応した例を以下に示す。
Figure 2007084602
(式中、Rは-(CH2CH2O)n-であり、Rは-CH2CH3である。但し、nは3〜20の整数を表す。)
オリゴマーAを生成する上記の反応においては、メカニズムは明らかではないが、原料物質である式(1)で表される化合物が3以上のアクリロイル基を有していてもゲル化が起き難い。本発明で使用するオリゴマーAとしてはゲル分の含有率が極力低いものであることが好ましく、ゲル分を含まないものがより好ましい。なお、本発明におけるゲル分とは、THF等の溶剤に溶解しない成分を意味する。
本発明のオリゴマーAを製造するための第三ホスフィンは公知の化合物を使用することができる。例えば、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリ−ターシャリーブチルホスフィン、トリス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン(TOP)、トリ−ドデシルホスフィン、トリビニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン;ジフェニル(2−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィンに代表される、−OR又は−NR(ここでR=H、C1〜C12のアルキル基、又はC1〜C12のアリル基である)電子供与基で置換されたターシャリーアリールホスフィン、ヘキサメチレントリアミノフォスフィンやヘキサメチレントリアミノホスフィンに代表されるヘテロ原子に結合するリン原子を含むターシャリーアルキルホスフィン等が挙げられる。これらのなかでも特にC5〜C10のアルキル基を有するトリアルキルホスフィンが好ましい。
第三ホスフィンの添加量は使用原料及び当該第三ホスフィンの合計質量に対して0.1〜25質量%、好ましくは1.5〜10質量%である。反応は数分で終了する。このようにして得られるオリゴマーAの粘度は25℃で2000〜20,000mPasであることが好ましい。また、1000〜5000の数平均分子量(Mn)を有することが好ましい。この反応は30〜140℃の温度条件にて行うことが可能である。生成物は無色乃至僅かな黄色みを呈する。
前記オリゴマーの粘度及び分子量は触媒の量と、原料たるアクリレートの官能基数によって制御することができる。一般にアクリレートの平均官能基数が高くなる程、使用する触媒量も多くなり、高分子量化及び高粘度化する傾向にある。好ましい条件としては、系内の温度を30〜140℃の範囲、好ましくは60〜90℃の範囲の保持しながら触媒量を少量系内に加えること、望ましくは、継続的乃至断続的に滴下(drop by drop)することが好ましい。即ち、このように触媒を少量ずつ滴下することで、同じ量の触媒を一度に加えた場合に比べて、得られるオリゴマーの分子量は高いものとなる。
(メタ)アクリロイル基を有するその他の重合性化合物(b)は、オリゴマーAに起因するアクリル基板への接着性・防曇性を害しない範囲で、任意の(メタ)アクリレート化合物を使用することが出来る。二官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ビス(アクロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、N−メチレンビスアクリルアミドの如き2官能モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレートの如き3官能モノマー;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートの如き4官能モノマー;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの如き6官能モノマー等が挙げられる。
また、活性エネルギー線硬化性化合物として、重合性オリゴマー(プレポリマーとも呼ばれる)も用いることもでき、例えば、重量平均分子量が500〜50000のものが挙げられる。そのような重合性オリゴマーしては、例えば、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール或いはポリエステルジオールを中心構造とするウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、単官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アクリル酸ダイマー、燐酸エステル基を有する(メタ)アクリレート、スルホン酸エステル基を有する(メタ)アクリレート、((ジ)アルキル)アミノ基を有する(メタ)アクリレート、4級((ジ)アルキル)アンモニウム基を有する(メタ)アクリレート、(N−アルキル)アクリルアミド、(N、N−ジアルキル)アクリルアミド、アクリロイルモリホリン、などが挙げられる。
これらの(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることもでき、また、2種類以上を混合して用いることもできる。
オリゴマーAは、重合性化合物(b)と共重合可能な重合性官能基を有するものである。オリゴマーAは、硬化塗膜に親水性及び防曇性を付与する重合性成分であり、重合性化合物(b)は硬化塗膜に耐水性をもたらす重合性成分である。(a)/(b)の質量比は、100/0から70/30の割合が好ましい。(a)が70より少ないと、硬化膜の親水性・防曇性が不充分となり、アクリル基材表面への接着性が劣化する。
本発明で使用するメチルフェニルグリオキシレート以外の光重合開始剤(c)としては、例えば、4−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1の如きアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールの如きベンゾインエーテル類;メチルフェニルグリオキシレート等が挙げられる。一方、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル等のベンゾフェノン類、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンの如きチオキサンソン類の如く、水素引き抜き作用を持つ光重合開始剤の使用は、ポリエチレングリコール鎖を切断する作用があり、好ましくない。
本発明で使用するメチルフェニルグリオキシレートは、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化被膜が、アクリル樹脂製成形物の表面に対して良好な接着性を示す上で重要な成分である。
活性エネルギー線硬化性組成物に添加するメチルフェニルグリオキシレートの使用量は、オリゴマーAとその他の重合性化合物(b)の合計質量に対して、1〜15質量%の範囲が好ましく、2〜10質量%の範囲が特に好ましい。
その他の成分(d)としては、溶剤、界面活性剤、着色剤、などが挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、スプレィー塗装の様に、低粘度化・低固形分化することが必要な場合に溶剤を添加することが必要となる。用いる溶剤としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;ホルムアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤が挙げられる。これらの中では、ポリカーボネート基板等のプラスチック基板を侵すことの少ないアルコール系溶剤、エーテルアルコール系溶剤、及びこれらの混合溶剤が好適に用いられる。
用いられる溶剤量は、使用するコーティング方式により異なる。コーティング方式で推奨される固形分、粘度で添加すべき溶剤量を決定する。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に添加することができる界面活性剤としては、硬化膜の初期の親水性・防曇性を阻害しない範囲で使用され、例えば、非イオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレン高級アルコールエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノール、ポリオキシエチレンノニルフェノールなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレングリコールモノステアレートなどのポリオキシエチレンアシルエステル類、ポリエーテル変性シリコーンオイル等の非イオン系界面活性剤; ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンサルフェート塩等の陰イオン系界面活性剤が挙げられる。いずれも、ポリエチレンオキシド鎖を持つ界面活性剤であり、フッ素系界面活性剤の場合は、表面を低エネルギー化するので好ましくない。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に添加することができる着色剤としては、任意の染料や顔料、蛍光色素が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を成形物に被覆する方法としては、ロールコート法、スプレィーコート法、浸漬コート法、スピンコート法、フローコート法、刷毛塗り法等の通常の塗布手段が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の皮膜を硬化する方法に用いる活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤外線の如き光線;エックス線、ガンマ線の如き電離放射線;電子線、イオンビーム、ベータ線、重粒子線の如き粒子線が挙げられるが、取り扱い性や硬化速度の面から、紫外線、可視光、電子線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例の範囲に限定されるものではない。
(オリゴマーAの合成方法)
親水性多官能アクリレートとして、サートマー社製エチレンオキシド変性(15モル)トリメチロールプロパントリアクリレート(製品名:SR−9035;式(3)で表される化合物(n=5))150.0gを4つ口フラスコに入れ、重合防止として空気を入れながら、65℃まで加熱した。次いで、30秒間で4.4gのトリオクチルホスフィンを攪拌しながら添加した。加熱反応が収まった後、80℃で45分間攪拌を続け、室温まで冷却させた。得られたオリゴマーの粘度は、25℃で8320mPa・sであった。屈折率(D線、25℃)は、1.477であった。
(硬化皮膜の調製)
下記表1の組成物を500mlSUSステンレスビーカーに配合し、加熱溶解により均一組成物を得た。次いで、これらの組成物をアクリル基板(三菱レイヨン社製アクリライトL)上に滴下し、スピンコート法により回転塗布した。その後、60℃オーブン中で溶剤を加熱除去し、紫外線にて約6μm厚の硬化塗膜を形成した。
なお紫外線硬化は、空気中にて、120W/cm入力電力の高圧水銀灯(アイグラフィックッス社製H03−31)下、500mJ/cm(アイグラフィックス社製光量計UVPF−36にて)を3パス照射した。
〔試験評価方法〕実施例比較例中の試験評価は次の方法により行った。
<呼気試験>
硬化塗膜を作製した試料を24℃、湿度50%に15時間静置した後、その環境下で硬化塗膜面に呼気を吹き付けた。その時、曇りが全く見られない場合及び一瞬曇りが見られるがすぐに曇りの消失が見られる場合をOKとし、曇りが持続した場合をNGとした。
<接着性試験>
上記で作製した硬化皮膜付きアクリル基板について、硬化後24℃、湿度50%に15時間静置した後、JIS K−5400に従い、1mm角の碁盤目を形成し、セロテープ(注:ニチバン社製登録商標)剥離試験を行った(碁盤目−セロテープ剥離試験)。
100個の升目の残りの数をカウントして、全く剥離のないものは、100/100とし、全ての升目がセロテープと共に剥離した場合を0/100とした。
<塗膜黄色度>
硬化塗膜を作製した試料の黄色度に関して、日本電色工業社製測色計Σ80を使用して、透過モードにて測定した。
<耐久性試験>
上記硬化皮膜の調製で作製した試料を80℃、オーブン中に10日間放置した。耐久性試験後の試料は、24℃、湿度50%下に15時間静置した後、試験評価用試料とした。
組成物の配合及び評価試験結果を一覧として表1に示す。
Figure 2007084602
なお、上表の実施例および比較例における略称にて示した化合物は下記のものを意味する。
SR−9035: エチレンオキシド(15モル)変性トリメチロールプロパントリアクリレート(サートマー社製)
N−177E:ノニルフェノキシポリエチレングリコール(n=17)アクリレート(第一工業製薬株式会社製)
V−5530:ビスフェノールAエポキシ(エポキシ当量約190g/eq)のジアクリレート(大日本インキ化学工業社製)
A−9300−3CL: カプロラクトン(3モル)変性エトキシ(3モル)化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
IBXA:イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製)
M−101A:フェノキシポリエチレングリコール(n=2)アクリレート
V55:メチルフェニルグリオキシレート(アデカアーガス社製)
Irg.184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
MFG:プロピレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤社製)
表1に見られる様に、水溶性モノマーをオリゴマー化したオリゴマーAを含む実施例1,2,3は、初期の(呼気試験による)防曇性及びアクリル基板に対する接着性も良好であり、耐久試験後もこれらの特性に変化が見られず、塗膜の着色及び着色変化も少ない。一方、水溶性モノマーを主成分とした比較例1,2,3及び光重合開始剤をメチルフェニルグリオキシレートに代えて、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンにした場合は、初期及び耐久性試験後の(呼気試験による)防曇性は良好であるものの、アクリル基板への接着性が初期の段階から大幅に劣っていることが判る。
以上より、本発明の組成物によるアクリル基板上への硬化皮膜は、耐久性に優れた高い防曇性を示し、耐久試験後も接着性にも優れ、剥離などの不都合が生じることが無い。
表面に防曇被膜を形成した成形物として、プラスチック容器、ショーケース等に、また光学レンズ、自動車用バックランプカバーの曇り止めとして塗膜を形成する為の組成物として好適に用いることが出来る。


Claims (5)

  1. 光重合性化合物と光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、
    前記光重合性化合物が、式(1)
    Figure 2007084602
    (式中、Rは、炭素数2〜8の炭化水素基又は炭素数2〜8の炭化水素基が酸素原子により連結された基、mは3〜6、nは3〜20を表す。)で表される化合物を第三ホスフィンの存在下で反応させることにより得られるオリゴマーAを含有し、
    前記光重合開始剤がメチルフェニルグリオキシレートを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
  2. 前記オリゴマーAが、式(2)
    Figure 2007084602
    (式中、Rは、炭素数2〜8の炭化水素基又は炭素数2〜8の炭化水素基が酸素原子により連結された基、mは3〜6、nは3〜20、qは1以上の整数を表すが、q≦mである。)で表される部分構造を有するオリゴマーである請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  3. 前記式(1)で表される化合物が、式(3)
    Figure 2007084602
    (式中、nは3〜20を表す。)で表される化合物である請求項1又は2記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  4. 更に、有機溶剤を含有する請求項1乃至3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化被膜が表面に形成されたアクリル樹脂製の成形物。

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