JP2007063325A - 防曇性被膜形成用カチオン重合性紫外線硬化型組成物及び該組成物の硬化被膜が表面に形成された成形物 - Google Patents

防曇性被膜形成用カチオン重合性紫外線硬化型組成物及び該組成物の硬化被膜が表面に形成された成形物 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリエチレングリコール鎖を有する重合性化合物を含有する組成物であって、長時間高温環境下に曝した場合であってもポリエチレングリコール鎖が酸化劣化し難く、優れた防曇性を長期間保持することができる硬化皮膜を形成可能な防曇性被膜形成用紫外線硬化型組成物を提供する。
【解決手段】 カチオン重合性単量体と光カチオン重合開始剤を含有する組成物であって、
前記カチオン重合性単量体が、式(1)
【0013】
【化1】
Figure 2007063325

(式中、Rは水素原子、分岐鎖を有していても良い炭素数6〜20のアルキル基又は分岐鎖を有していても良い炭素数6〜20のアルキル基で置換されたフェニル基、Rは水素原子又はグリシジル基を表し、nは2以上の整数を表すが、Rが水素原子である時は、Rは水素原子である。)で表される化合物を含有することを特徴とする防曇性被膜形成用カチオン重合性紫外線硬化型組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、プラスチックフイルム、プラスチックシート等の表面に良好に接着し、防曇性を付与し得る硬化被膜形成用紫外線硬化性組成物、及び高い耐久性のある防曇性表面を有する成形物に関する。
成形物の表面を親水性にし、防曇性被膜を得る方法としては、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの物理的表面処理、スルホン化などの化学的表面処理、界面活性剤や親水性物質の練り込み法、成形材料として親水基を有するポリマーの使用、親水性ポリマーによるコーティングなどが通常行われている。また、ポリマー成形物表面への親水性モノマーのグラフト重合法も知られている。
しかしながら、物理的表面処理法では、防曇性の程度、耐久性共に劣り、化学的表面処理法では、素材の限定や、施工法の限定など制約が多かった。また、練り込み法では、耐久性に劣る上、高い防曇性を付与するために多量の親水性物質を練り込むと物性の低下を招いていた。成形材料やコーティング材料として親水性のポリマーを使用する方法では、高い防曇性を付与するために親水基を多く導入すると、吸湿による寸法変化、湿潤状態での強度低下、湿潤状態での基材との剥離といった問題が生じていた。表面グラフト法では、優れた防曇性を付与できるが、耐久性にやや劣る上、素材や形状に制約があった。
この様な状況の中で、紫外線硬化性組成物を成形物の表面に被覆する方法は、短時間の紫外線照射により硬化塗膜が得られる為に、生産性の点で非常に優れていることが知られ、これまで種々の親水性皮膜形成可能な紫外線硬化性組成物の提案がされてきた。例えば、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート及びアルキレンオキシド結合を分子内に持つ反応性界面活性剤を含有してなる紫外線硬化性組成物(特許文献1)、分子内に2個以上の水酸基を持つ多官能(メタ)アクリレート及びアルキレンオキシド結合を分子内に持つ反応性界面活性剤を含有してなる紫外線硬化性組成物(特許文献2)、繰り返し数が6から20のポリエチレングリコール鎖を有する両親媒性の重合性化合物を含有してなるエネルギー線硬化性組成物(特許文献3)、ポリウレタン(メタ)アクリレート、環構造を有するジアクリレート及びポリアルキレングリコールアクリレートを含有してなる光硬化型組成物(特許文献4)等がある。
特開平11−116892号 特開平11−140109号 特開2000−319406号 特開2004−182914号
しかし、上記は、いずれもアルキレングリコール鎖を有する(メタ)アクリル性官能基を持つ重合性化合物を親水性付与成分として含有することにより、初期の防曇性は確保されるものの、高温環境下で空気に曝されることにより、アルキレングリコール鎖が酸化劣化し、初期の防曇性が劣化するという問題があった。
したがって、本発明の目的は、ポリエチレングリコール鎖を有する重合性化合物を含有する防曇性被膜形成用紫外線硬化型組成物であって、長時間高温環境下に曝した場合であってもポリエチレングリコール鎖が酸化劣化し難く、優れた防曇性を長期間保持することができる硬化皮膜を形成可能な防曇性被膜形成用紫外線硬化型組成物を提供することである。また、本発明の他の目的は、優れた防曇性を有する前記防曇性被膜形成用紫外線硬化型組成物の硬化被膜が表面に形成された成形体を提供することである。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリエチレングリコール鎖を有する特定の構造のカチオン重合性単量体と光カチオン重合開始剤を含有した防曇性被膜形成用カチオン重合性紫外線硬化型組成物を用いることにより上記課題が解決できることを見出した。
即ち、本発明は、カチオン重合性単量体と光カチオン重合開始剤を含有し、防曇性の被膜を形成するためのカチオン重合性紫外線硬化型組成物であって、
前記カチオン重合性単量体が、式(1)
Figure 2007063325
(式中、Rは水素原子、分岐鎖を有していても良い炭素数6〜20のアルキル基又は分岐鎖を有していても良い炭素数6〜20のアルキル基で置換されたフェニル基、Rは水素原子又はグリシジル基を表し、nは2以上の整数を表すが、Rが水素原子である時は、Rは水素原子である。)で表される化合物を含有することを特徴とする防曇性被膜形成用カチオン重合性紫外線硬化型組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記の防曇性被膜形成用カチオン重合性紫外線硬化型組成物の硬化被膜からなる防曇性の被膜が表面に形成された成形物を提供する。
アルキレングリコール鎖を有する(メタ)アクリル性官能基を持つラジカル重合性化合物を親水性付与成分として含有するラジカル重合性紫外線硬化型組成物は、組成物中のアルキレングリコール鎖が、ラジカル系光重合開始剤の光開裂により生成したラジカル(光重合により開裂し、主に、活性なベンゾイルラジカル)のアタックを受け、高温環境下での劣化が酸化性雰囲気下で、より促進される化学構造を形成するものと推察される。これは、水素引抜型のラジカル性の光重合開始剤を用いた場合でも同様である。これに対し、カチオン重合性紫外線硬化型組成物の場合には、光カチオン重合開始剤の光解裂により生成したラジカルによるラジカルアタックの強度が小さい(ラジカルアタックの強度が大きいベンゾイルラジカル等が存在しない)ことから高温環境下での劣化の進行がラジカル重合系より遅いため、上記課題が解決できるものと推察する。
本発明の防曇性被膜形成用カチオン重合性紫外線硬化型組成物によれば、長時間高温環境下に曝した場合であってもポリエチレングリコール鎖が酸化劣化し難く、優れた防曇性を長期間保持することができる硬化皮膜を得ることができる。また、優れた防曇性を有する前記防曇性被膜形成用カチオン重合性紫外線硬化型組成物の硬化被膜が表面に形成された成形体を得ることができる。
以下、本発明の防曇性被膜形成用カチオン重合性紫外線硬化型組成物(以下、本発明の紫外線硬化型組成物という)、その硬化被膜及びその硬化皮膜を表面に有する成形物を具体的に説明する。本発明の紫外線硬化性組成物は、防曇性付与成分(a)とその他のカチオン重合性単量体(b)からなるカチオン重合性単量体と、光カチオン重合開始剤(c)とを含有し、必要に応じてその他の成分(d)を含有する。
防曇性付与成分(a)は、皮膜に高い防曇性表面を付与する成分であり、式(1)で表される化合物である。式(1)中、nは2〜20であることが好ましい。
Figure 2007063325
(式中、Rは水素原子、分岐鎖を有していても良い炭素数7〜20のアルキル基又は分岐鎖を有していても良い炭素数7〜20のアルキル基で置換されたフェニル基、Rは水素原子又はグリシジル基を表し、nは2以上の整数を表すが、Rが水素原子である時は、Rは水素原子である。)
前記式(1)で表す化合物としては、ポリエチレングリコール又は式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2007063325
(式中、Rは分岐鎖を有していても良い炭素数8〜20のアルキル基又は分岐鎖を有していても良い炭素数8〜20のアルキル基で置換されたフェニル基、nは12〜20の整数を表す。)
ポリエチレングリコールとしては、前記式(1)中のnが7〜20であることが好ましく、n=9が特に好ましい。また、数平均分子量が300〜900であることが好ましい。数平均分子量は300〜800であることがより好ましい。式(2)で表される化合物としては、Rがオクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基の如き直鎖状の炭素原子数8〜20のアルキル基、又は直鎖状の炭素原子数8〜20のアルキル基で置換されたフェニル基であることが好ましく、ラウリル基であることがより好ましい。nは14〜16が好ましい。nが20を越えると結晶性が強くなり易く、nが12より小さいと防曇性の機能が小さくなり易く、好ましくない。ポリエチレングリコール又は式(2)で表される化合物は、単独又は併用して使用することが出来る。
ポリエチレングリコールを単独使用する場合には、本発明の紫外線硬化型組成物中に25質量%から40質量%含有することが好ましい。このような範囲であれば、防曇性が十分に得られ、また、十分な架橋構造及び紫外線硬化性を得ることが出来る。
また、式(2)で表される化合物を単独使用する場合には、本発明の紫外線硬化型組成物中に35質量%から45質量%含有することが好ましい。このような範囲であれば、防曇性が十分に得られ、また、十分な架橋構造及び紫外線硬化性を得ることが出来る。
ポリエチレングリコール及び式(2)で表される化合物を併用する場合には、ポリエチレングリコール及び式(2)で表される化合物の合計使用量としては、カチオン重合性紫外線硬化性組成物中に25質量%から45質量%含有することが好ましい。このような範囲であれば、防曇性が十分に得られ、また、十分な架橋構造及び紫外線硬化性を得ることが出来る。特に硬化膜表面の水に対する接触角を10°以下とするには、式(2)で表される化合物を25質量%以上含有させることが好ましい。
ポリエチレングリコールの市販品としては、例えば、第一工業製薬社のポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600等が挙げられる。
式(2)で表される化合物の市販品としては、例えば、ナガセケムテックス社のデナコールEX−171(エチレンオキシド15モル変性ラウリルアルコールグルシジルエーテル)等が挙げられる。
カチオン重合性単量体(b)は、防曇性成分と共重合可能な重合性官能基を有するものである。これには、グリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、オキセタン化合物等が挙げられる。グリシジルエーテル型エポキシ化合物の具体例としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ジグリシジルオルトフタレート、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル、ビフェニルポリグリシジルエーテル、ナフタレンポリグリシジルエーテル、水添ビスフェノールジグリシジルエーテル等の多官能グリシジルエーテル化合物が挙げられる。これらの中で、硬化収縮による塗膜内部応力の観点から、ジグリシジルエーテル化合物が好ましく、更に好ましくは、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ジグリシジルオルトフタレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールジグリシジルエーテルの様な中心に環状構造を持つジグリシジルエーテル化合物が好ましい。
脂環式エポキシ化合物の具体例としては、例えば、3,4‐エポキシシクロヘキシル‐3’,4’‐エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4‐エポキシ‐6‐メチルシクロヘキシルメチル‐3’,4’‐エポキシ‐6‐メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4‐エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、リモネンジエポキシド等が挙げられる。これらは、カチオン重合性単量体中の高反応性希釈剤として、グリシジルエーテル型エポキシ化合物と併用使用される。
オキセタン化合物の具体例としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキサタン、1,4−ビス{〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕メチル}ベンゼン、ビス〔1−エチル(3−オキセタニル)〕メチルエーテル、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(シクロヘキシル)メチルオキセタン等が挙げられる。これらは、脂環式エポキシ化合物と同様に、カチオン重合性単量体中の高反応性希釈剤として、グリシジルエーテル型エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物と併用使用される。
本発明で用いる光カチオン重合開始剤(c)としては、光カチオン重合開始剤として、紫外線照射によりブレンステッド酸を発生し、エポキシ化合物を重合することができる公知慣用のものが何れも使用できる。光カチオン重合開始剤としては、例えば、カチオン部分が、芳香族スルホニウム、芳香族ヨードニウムの何れかであり、アニオン部分が、BF4-、PF6-、SbF6-、[BX4]-(但し、Xは少なくとも2つ以上のフッ素又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基)の何れかで構成されるオニウム塩が挙げられる。
具体例としては、例えば、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニル)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニル)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニル)フェニル]スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニル)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(2−メチルプロピル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(2−メチルプロピル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(2−メチルプロピル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(2−メチルプロピル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。これら光カチオン重合開始剤のうち、芳香族ヨードニウム塩が、紫外線硬化性及び塗膜物性の点から特に好ましい。
本発明の紫外線硬化型組成物に添加する光カチオン重合開始剤(c)の使用量は、(a)+(b)に対して、1〜10質量%の範囲が好ましく、2〜5質量%の範囲が特に好ましい。
紫外線硬化性組成物には、必要に応じて、その他の成分を混合して使用することもできる。その他の成分(d)としては、溶剤、界面活性剤、着色剤、などが挙げられる。
本発明の紫外線硬化性組成物には、スプレィー塗装の様に、低粘度化・低固形分化することが必要な場合に溶剤を添加することが必要となる。用いる溶剤としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤が挙げられる。これらの中では、ポリカーボネート基板等のプラスチック基板を侵すことの少ないアルコール系溶剤、エーテルアルコール系溶剤、及びこれらの混合溶剤が好適に用いられる。
用いられる溶剤量は、使用するコーティング方式により異なる。コーティング方式で推奨される固形分、粘度で添加すべき溶剤量を決定する。
本発明の紫外線硬化性組成物に添加することができる界面活性剤としては、硬化膜の初期の防曇性・親水性を阻害しない範囲で使用され、例えば、非イオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレン高級アルコールエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノール、ポリオキシエチレンノニルフェノールなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレングリコールモノステアレートなどのポリオキシエチレンアシルエステル類、ポリエーテル変性シリコーンオイル等の非イオン系界面活性剤; ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンサルフェート塩等の陰イオン系界面活性剤が挙げられる。いずれも、ポリエチレンオキシド鎖を持つ界面活性剤であり、フッ素系界面活性剤の場合は、表面を低エネルギー化するので好ましくない。
本発明の紫外線硬化性組成物に添加することができる着色剤としては、酸性、塩基性を持つ染料、顔料、蛍光色素は紫外線硬化性を阻害するので、それ以外の染料、顔料、蛍光色素が挙げられる。
本発明の紫外線硬化性組成物を成形物に被覆する方法としては、ロールコート法、スプレィーコート法、浸漬コート法、スピンコート法、フローコート法、刷毛塗り法等の通常の塗布手段が挙げられる。
本発明の紫外線硬化性組成物の皮膜を硬化する方法に用いる活性エネルギー線としては、紫外線、エックス線、ガンマ線の如き電離放射線;電子線、イオンビーム、ベータ線、重粒子線の如き粒子線が挙げられるが、取り扱い性や硬化速度の面から、紫外線が特に好ましい。
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例の範囲に限定されるものではない。
(硬化皮膜の調製)
下記表1の組成物を500mlステンレスビーカーに配合し、加熱溶解により均一組成物を得た。次いで、これらの組成物をポリカーボネート基板(筒中プラスチック社製EC−100)上に滴下し、スピンコート法により回転塗布した。その後、60℃オーブン中で10分間溶剤を加熱除去し、紫外線にて約6μm厚の硬化塗膜を形成した。なお紫外線硬化は、空気中にて、120W/cm入力電力の高圧水銀灯(アイグラフィックッス社製H03−31)下、500mJ/cm(アイグラフィックス社製光量計UVPF−36にて)を3パス照射した。
〔試験評価方法〕実施例、比較例中の試験評価は次の方法により行った。
<呼気試験>
硬化塗膜を作製した試料を24℃、湿度50%に15時間静置した後、その環境下で硬化塗膜面に呼気を吹き付けた。その時、曇りが全く見られない場合をOKとした。一瞬曇りが見られるがすぐに曇りの消失が見られる場合をほぼOKとし、曇りが持続した場合をNGとした。
<接着性試験>
上記で作製した硬化皮膜付きポリカーボネート基板について、硬化後24℃、湿度50%に15時間静置した後、JIS K−5400に従い、1mm角の碁盤目を形成し、セロテープ(注:ニチバン社製登録商標)剥離試験を行った(碁盤目−セロテープ剥離試験)。100個の升目の残りの数をカウントして、全く剥離のないものは、100/100とし、全ての升目がセロテープと共に剥離した場合を0/100とした。
<耐久性試験>
上記硬化皮膜の調製で作製した試料を130℃、オーブン中に2日間放置した。耐久性試験後の試料は、24℃、湿度50%下に15時間静置した後、試験評価用試料とした。
光カチオン重合性組成物の配合及び評価試験結果を一覧として、表1に示す。
Figure 2007063325
なお、上表の実施例および比較例における略称にて示した化合物は下記のものを意味する。
PEG 200:ポリエチレングリコール(数平均分子量200)(第一工業製薬製)
PEG 400:ポリエチレングリコール(数平均分子量400)(第一工業製薬製)
PEG 600:ポリエチレングリコール(数平均分子量600)(第一工業製薬製)
PEG 1000:ポリエチレングリコール(数平均分子量1000)(第一工業製薬製)
EX−171:エチレンオキシド15モル変性ラウリルアルコールグルシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−171)
EMG108:エチレンオキシド8モル変性ラウリルアルコール(花王社製エマルゲン108;C12H25O-(CH2CH2O)8-OH)
ST−3000:水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル(東都化成社製)
2021P:脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学社製セロキサイド2021P)
Irg.250:ヨードニウム塩系光重合開始剤(チバスペシャルティケミカル社製Irgacure 250)
MFG:プロピレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤社製)
表1に見られる様に、防曇性成分として、数平均分子量300から800のポリエチレングリコールを30質量%含む実施例1,2は、初期及び耐久性試験後の防曇性(呼気試験による)も良好であり、ポリカーボネート基板に対する接着性も耐久試験後でも変化が見られなかった。また、防曇性成分として、それぞれ分子量200、400、1000のポリエチレングリコール10質量%とエチレンオキシド15モル変性ラウリルアルコールグルシジルエーテル30質量%を含有する実施例3、4、5もまたほぼ同様であった。一方防曇性成分として、分子量が約400のポリエチレングリコール片末端がラウリル基となったものを含有する比較例1は、初期の防曇性が良好ではなかった。
(比較例2)
防曇性成分として、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(n=17モル)アクリレート(第一工業製薬社製ニューフロンティアN−177E)50質量部、アクリル重合性成分として、カプロラクトン(3モル)変性エトキシ(3モル)化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製NKエステルA−9300−3CL)50質量部、ラジカル系光重合開始剤として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャルティケミカル社製イルガキュア184)8質量部、有機溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤社製MFG)58質量部より成るラジカル重合性紫外線硬化性組成物の紫外線硬化被膜を上記と同様に調製した。その後、上記と同様に外観及び呼気試験を評価した処、硬化塗膜外観OK、初期呼気試験OKであったが、耐久後呼気試験はNGであった。即ち、130℃高温試験2日での耐久性が、ラジカル系紫外線硬化性組成物では劣るものであった。
以上より、本発明の紫外線硬化性組成物による硬化皮膜は、耐久性に優れた高い防曇性を示し、耐久試験後も接着性にも優れ、剥離などの不都合が生じることが無い。
表面に防曇性被膜を形成した成形物として、プラスチック容器、ショーケース等に、また光学レンズ、自動車用ヘッドランプカバーの曇り止めとして、また、防曇性被膜を形成する為の組成物として好適に用いることが出来る。



Claims (5)

  1. カチオン重合性単量体と光カチオン重合開始剤を含有し、防曇性の被膜を形成するためのカチオン重合性紫外線硬化型組成物であって、
    前記カチオン重合性単量体が、式(1)
    Figure 2007063325
    (式中、Rは水素原子、分岐鎖を有していても良い炭素数6〜20のアルキル基又は分岐鎖を有していても良い炭素数6〜20のアルキル基で置換されたフェニル基、Rは水素原子又はグリシジル基を表し、nは2以上の整数を表すが、Rが水素原子である時は、Rは水素原子である。)で表される化合物を含有することを特徴とする防曇性被膜形成用カチオン重合性紫外線硬化型組成物。
  2. 前記式(1)で表す化合物が、数平均分子量300〜900のポリエチレングリコールである請求項1記載の防曇性被膜形成用カチオン重合性紫外線硬化型組成物。
  3. 前記式(1)で表す化合物が、式(2)
    Figure 2007063325
    (式中、Rは分岐鎖を有していても良い炭素数8〜20のアルキル基又は分岐鎖を有していても良い炭素数8〜20のアルキル基で置換されたフェニル基、nは12〜20の整数を表す。)で表される化合物である請求項1記載の防曇性被膜形成用カチオン重合性紫外線硬化型組成物。
  4. 前記カチオン重合性単量体が、数平均分子量300〜900のポリエチレングリコール及び前記式(2)で表される化合物を含有する請求項1記載の防曇性被膜形成用カチオン重合性紫外線硬化型組成物。
  5. 請求項1、2、3又は4のいずれかに記載の防曇性被膜形成用カチオン重合性紫外線硬化型組成物の硬化被膜からなる防曇性の被膜が表面に形成された成形物。

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