JP2007083530A - ポリオレフィン系積層フィルム及び粘着フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 引張り弾性率が100〜1200MPaのポリオレフィン系樹脂フィルムの片面側に、下記層(a)及び(b)がこの順に形成されてなるポリオレフィン系積層フィルム。
層(a) ポリカーボネートポリウレタン系樹脂及びアクリル変性ポリカーボネートポリウレタン系樹脂の少なくとも一方を含む組成物の硬化物からなる層
層(b) アクリル系共重合体、ポリカプロラクトンポリオール及びイソシアネート系架橋剤を含む組成物の硬化物からなる層
【選択図】 なし
Description
ポリオレフィン系樹脂を基材に用いたマーキングフィルム等の粘着フィルムは公知であり、適度な柔軟性のあるフィルムの要求に対し、基材にエラストマー成分をブレンドし、更に基材にアクリル変成ウレタン塗膜を積層することにより、耐傷付き性及び耐久性を向上させた粘着フィルムは公知である(特許文献1)。
しかしながら、該粘着フィルムは表面の耐傷付き性が充分でなく、三次元曲面に粘着フィルムを貼り付けフィルム表面をスキージー等で擦った場合に傷が付き易く、三次元曲面における耐傷付き性に劣り、特に高光沢のフィルムとしては満足できるものではなかった。
ポリオレフィン系基材の表面に電子線硬化型樹脂からなる保護層を設けた粘着シートも提案されているが(特許文献2)、該粘着シートは、粘着テープ貼り付けの際に、テープを少し伸ばすと塗膜層の割れや剥離、艶引けが起こるという問題があった。
(1)引張り弾性率が100〜1200MPaのポリオレフィン系樹脂フィルムの片面側に、下記層(a)及び(b)がこの順に形成されてなるポリオレフィン系積層フィルム、
層(a) ポリカーボネートポリウレタン系樹脂及びアクリル変性ポリカーボネートポリウレタン系樹脂の少なくとも一方を含む組成物の硬化物からなる層
層(b) アクリル系共重合体、ポリカプロラクトンポリオール及びイソシアネート系架橋剤を含む組成物の硬化物からなる層
(2)層(b)の引張り弾性率が5〜500MPaである上記(1)に記載のポリオレフィン系積層フィルム、
(3)ポリオレフィン系樹脂フィルムが、多段重合法により製造されたポリプロピレン系熱可塑性エラストマーを含む上記(1)または(2)のいずれかに記載のポリオレフィン系積層フィルム、
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリオレフィン系積層フィルムのポリオレフィン系樹脂フィルム側に粘着剤層が形成されてなる粘着フィルム
に存する。
本発明のポリオレフィン系積層フィルムは、引張り弾性率が100〜1200MPaのポリオレフィン系樹脂フィルムの片面側に、下記層(a)及び(b)がこの順に形成されてなるポリオレフィン系積層フィルムである。
層(a) ポリカーボネートポリウレタン系樹脂及びアクリル変性ポリカーボネートポリウレタン系樹脂の少なくとも一方を含む組成物の硬化物からなる層
層(b) アクリル系共重合体、ポリカプロラクトンポリオール及びイソシアネート系架橋剤を含む組成物の硬化物からなる層
基材フィルムの引張り弾性率が小さすぎると被着体へのポリオレフィン系積層フィルム(以下「積層フィルム」と記す)の貼付性や、被着体から積層フィルムを剥離する際、フィルムが伸びてしまって剥離が困難になる等取扱い性に劣る恐れがあり、更にフィルムがべたつき、ブロッキングし易くなる。また大きすぎると柔軟性に劣り曲面や折り曲げに対する施工性に劣る恐れがある。基材フィルムの引張り弾性率は150〜900MPaであるのが好ましく、更に150〜700Mpaがより好ましく、特に150〜400Mpaであるのが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。
前記プロピレンの共重合体としてはプロピレンとエチレンまたは他のα−オレフィンとのランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)やブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)、ゴム成分を含むブロック共重合体あるいはグラフト共重合体等が挙げられる。前記プロピレンと共重合可能な他のα−オレフィンとしては、炭素原子数が4〜12のものが好ましく、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン等が挙げられ、その1種または2種以上の混合物が用いられる。通常、α−オレフィンの混合割合はプロピレンに対して1〜10重量%程度である。
なお、結晶融解熱(ΔH)とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、樹脂を一度融解点以上にして溶融した後、10℃/分の速度で冷却した時のDSCチャート上の結晶ピーク面積より計算した値のことである。
また、本発明において、多段重合法とは、重合が1回で終了するのではなく、2段階以上の多段重合を行うことにより、複数の種類のポリマーを連続して製造することができる重合法を意味し、機械的な手法を用いて異種類のポリマーからなる混合樹脂を得るところの、所謂、通常のポリマーブレンド法とは全く異なる手法である。当該方法により、分子レベルでのブレンドタイプの共重合樹脂を生成することが可能である。このような重合法を採用すれば、例えばポリプロピレンに対して、第2成分を約80〜95重量%まで含有させることが可能となり、可塑化ポリ塩化ビニル樹脂と同等の物性を持たせることが初めて可能となる。通常の押出機等を用いたブレンド法では、分子量の高いゴム成分を用いると、溶融粘度が高いため、本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂のような微分散モルホロジーを有する樹脂は作成し得ないのである。
これらエラストマー成分は、ポリエチレン系樹脂及び/またはポリプロピレン系樹脂100〜40重量部に対し0〜60重量部配合することができる。
また、基材フィルムが少なくとも内層、中間層及び外層を有する多層である場合、中間層の厚さが該基材フィルム全体の厚さの50%以上であるものが好ましい。
なお、基材フィルムは、内層と中間層の間及び外層と中間層の間に、少なくとも1つの別の層を有していてもよい。この場合、該別の層は、ポリオレフィン系樹脂を含有していてもよいが、それ以外の樹脂、例えば、内層(及び/又は外層)と中間層との接着性を高めるような樹脂、を含有していてもよい。
紫外線吸収剤としては、例えばサリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系及びトリアジン系等の紫外線吸収剤が挙げられる。その中でも特に、トリアジン系紫外線吸収剤、分子量が400以上のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
具体的には、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤としては、サリチル酸フェニル、4−t−ブチル−フェニル−サリシレート等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等の2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホンベンゾフェノン等の2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス−(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等が挙げられる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、2−エチル−ヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オクチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−((ヘキシル)オキシ)−フェノール、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(オクチロキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(オクチロキシ)フェノール、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシロシキ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−((メチル)オキシ)フェノールが挙げられる。
配合量は、特に制限されるものではなく基材フィルムから吹き出さない範疇であれば良く、基材フィルム中の樹脂成分100重量部に対して0.01〜10重量部程度、好ましくは0.05〜5重量部である。
酸化防止剤としては、フェノール系、サルファイド系、リン系、イソシアヌレート系酸化防止剤等が挙げられる。中でも、フェノール系酸化防止剤が酸化防止効果に優れるので好ましく、更にフェノール系とリン系酸化防止剤を併用すると熱安定性が良好となるので特に好ましい。
リン系酸化防止剤としては、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、メチレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイト、2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフェスフェピン6−イル]オキシ]−N,N−ビス[2−[[2,4,810−テトラキス(1,1ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフェスフェピン−6−イル]オキシ]−エチル]エタナミン等が挙げられる。
イソシアヌレート系酸化防止剤としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート等が挙げられる。
酸化防止剤の添加量は通常基材フィルム中の樹脂成分100重量部当たり0.01〜5重量部である。
着色剤としては、一般的な有機及び無機顔料が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂の通常の成形温度である300℃前後の温度で耐熱性を有するものであればその目的に応じて適宜選択可能であり、例えば、(ポリ)アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系、キナクリドン系、ジオキサジン系などの各種有機顔料、酸化チタンなどの酸化物系、クロム酸モリブデン酸系、硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系、炭酸カルシウム、カーボンブラックなどの各種無機顔料が挙げられる。配合量は基材フィルム中の樹脂成分100重量部に対して通常1〜30重量部程度である。
また、基材フィルムが少なくとも内層、中間層及び外層を有する多層構造からなる場合は、着色剤を中間層に配合するのが、フィルム(基材フィルム)の成形加工時に着色剤がプレートアウトし難くフィルムの外観が損なわれることがなく、またフィルムの色相が安定するので好ましい。
充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、クレー、マイカ、硫酸バリウム、ウィスカー、水酸化マグネシウム等の無機充填材が一般に用いられるが、中でもタルクを用いることが好ましい。無機系充填材の平均粒子径は、特に制限がないが、0.1〜10μmが好ましい。また、基材フィルムが少なくとも内層、中間層及び外層を有する多層構造からなる場合は、無機系充填材は中間層のみに含有されていてもよい。
滑剤としては、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミドが挙げられる。中でもエルカ酸アミドが好ましい。
滑剤の添加量は通常基材フィルム中の樹脂成分100重量部当たり0.01〜10重量部である。
アンチブロッキング剤としては、ウレタン樹脂ビーズ、ポリアクリル樹脂ビーズ、ポリカーボネート樹脂ビーズ等の有機系粉末や、カーボンブラック等の顔料、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、シリカアルミナ、クレー、タルク、酸化チタン等の無機系粉末が挙げられる。
アンチブロッキング剤の添加量は通常基材フィルム中の樹脂成分100重量部当たり0.01〜10重量部である。
基材フィルムが内層、中間層及び外層を有する等、多層フィルムである場合、各層を積層する方法として、成形した個々のフィルム(層)をラミネーターで貼り合わせる方法やフィルム成形と同時に圧着ラミネートする方法を用いることが出来るが、多層Tダイ押出法によって成形と同時に積層フィルムを作成する方法が工程数も減らすことができて好ましい。
基材フィルムの厚さは、樹脂組成、隠蔽性及び曲面の追随性を考慮して適宜選択されるが、通常30〜500μm、好ましくは50〜300μmである。
本発明の基材フィルムは、層(a)等の塗膜層や粘着剤層、プライマー層等との密着性を高める為に、フィルムの表面に易接着処理を施すのが好ましい。
易接着処理としては、公知のコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、火炎処理等の方法が挙げられるが、処理条件は基材フィルム(A)の組成及びヌレ指数(JIS K 6768)の減衰率を考慮し適宜選択することが必要で、プライマー処理時の基材フィルムの易接着処理面のヌレ指数を最低でも37mN/mに確保する様調整すれば良い。
層(a)のポリカーボネートポリウレタン系樹脂としては、ポリカーボネートジオールとジイソシアネート化合物の反応物が挙げられ、該反応物としては、重量平均分子量が15,000〜150,000のものが好ましい。重量平均分子量が15,000未満だと、乾燥性を良くする為に過剰量の架橋剤が必要となる結果、架橋度が高くなり過ぎて柔軟な層(a)が得られ難くなり、また巻物状態での層(a)のブロッキング性が劣る傾向となる。一方、重量平均分子量が150,000を超えると層(a)形成時の溶液粘度が高くなり、作業性、乾燥性が悪くなる他、溶剤の過剰残存、気泡の発生頻度が高くなり、層(b)や基材フィルム等との密着性を低下する原因となるので好ましくない。
ポリカーボネートジオールは、下記一般式(p)で示されるものである。
(Rは脂肪族系、または脂環族系置換基;nは整数)
ポリカーボネートジオールは、例えばアルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートからなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物とジオール類及びポリエーテルポリオール類からなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物を反応させて得られる。
ジアリールカーボネートの例としては、ジフェニルカーボネート、フェニル−ナフチルカーボネート、ジナフチルカーボネート、4−メチルジフェニルカーボネート、4−エチルジフェニルカーボネート、4−プロピルジフェニルカーボネート、4,4'−ジメチル−ジフェニルカーボネート、4,4'−ジエチル−ジフェニルカーボネート、4,4'−ジプロピル−ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
ジアルキルカーボネートの例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジ−n−アミルカーボネート、ジイソアミルカーボネート等が挙げられる。
また、ポリエーテルポリオール類の例としては、例えばテトラヒドロフランの開環重合により得られるポリテトラメチレングリコール、ジオール類のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。ここで用いるジオール類の例として、たとえばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、異性体ペンタンジオール類、異性体ヘキサンジオール類またはオクタンジオール類例えば2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサノン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサノン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサノン、トリメチロールプロパン、グリセリン等をあげることができ、アルキレンオキサイドの例として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等が挙げられ、これらは2種以上混合して使用することも可能である。
ポリカーボネートジオールの重量平均分子量は500〜4000、好ましくは1000〜3000である。
ポリカーボネートジオールとジイソシアネート化合物の反応物は、ポリカーボネートジオールにジイソシアネート化合物をモル比でポリカーボネートジオール:ジイソシアネート化合物=1:0.7〜1:5程度の割合で反応させることにより、公知の方法で製造することができる。このような方法としては、予めプレポリマー化した後、架橋剤または鎖延長剤を用いて高分子量ポリウレタンを製造する方法、または全成分を一段で反応させて高分子量ポリウレタンを製造する方法等の公知の方法が挙げられる。
アクリル成分を構成するアクリル系ラジカル重合性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタアクリル酸(以下、併せて「(メタ)アクリル酸」と記す)、(メタ)アクリル酸の誘導体及びこれらの混合物等が挙げられ、具体的には(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル系モノマー等及びこれらの2種類以上の混合物が挙げられる。
本発明のアクリル変性ポリカーボネートポリウレタン系樹脂の製造は例えば、特開平4−159318、特公平5−43756、特公平7−78105、特開平9−268215等に例示されるようにラジカル重合性二重結合を有するウレタン樹脂にラジカル重合性不飽和単量体をグラフト共重合する方法、特開平5−262846、特開平5−262847に例示されるように活性水素を有するアクリル系マクロマーをウレタン樹脂に付加重合する方法、特開平2−229873に例示されるように分子中に少なくとも一個のジアゾ結合を有するウレタン樹脂の存在下でラジカル重合性不飽和単量体を重合する方法等によればよい。
組成物中のポリカーボネートポリウレタン系樹脂とアクリル変性ポリカーボネートポリウレタン系樹脂の量は合計で(どちらか一方のみ含有する場合は、その一方の量が)30〜100重量%であるのが好ましく、30重量%未満では層(b)の密着性が低下する傾向となるので好ましくない。
このようにして形成された層(a)の厚さは、0.2〜10μmであるのが好ましい。
厚さが薄すぎると十分な密着性が得られなくなるため好ましくない。また、厚すぎても積層フィルムのカール発生や、塗膜層のクラックの発生を生じるため好ましくない。
ポリカプロラクトンポリオールとしては、下記一般式(1)のような2官能ポリカプロラクトンジオール類や、下記一般式(2)のような3官能ポリカプロラクトントリオール類、その他4官能ポリカプロラクトンポリオール等を使用することができる。
組成物中のアクリル系共重合体の量は30〜90重量%であるのが好ましい。またアクリル系共重合体とポリカプロラクトンポリオールの重量比は、90/10〜30/70であるのが好ましい。ポリカプロラクトンポリオールの量が少ないと、層(b)の耐傷付き性が低下し、またポリカプロラクトンポリオールの量が多いと耐汚染性が低下する傾向となり、実用上好ましくない。
イソシアネート系架橋剤の量はアクリル系共重合体及びポリカプロラクトンポリオールの水酸基価により異なるが、通常OH基とイソシアネート系架橋剤中のNCO基の比(NCO/OH)がモル比で1.01〜10、更に1.5〜5であるのが好ましい。
層(a)上に層(b)を形成するには、基材フィルム上に層(a)を形成するのと同様に、上記組成物を公知の有機溶剤に溶解し、更に必要に応じ希釈剤等を用いて適当な濃度に調製し、バーコート、ナイフコート、ロールコート、ダイコートまたはグラビアロールコート等の公知の方法で塗工し、次いで熱風乾燥機等を用いて、通常50〜200℃で数秒間〜数分加熱して乾燥及び硬化させることにより行う。硬化速度が遅い場合は、離型性を付与したフィルム、例えばシリコン処理を施したポリエステルフィルムに層(b)を形成し、予め層(a)を形成した基材フィルムの層(a)面とラミネートすることで層(b)を層(a)上に形成することもできる。塗工乾燥等した後、更に例えば40〜50℃の室温下にて数日間硬化反応を促進させることが好ましい。
このようにして形成された層(b)の厚さは、0.2〜50μmであるのが好ましい。
帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン系帯電防止剤;アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤;第4級アンモニウムクロライド、第4級アンモニウムサルフェート、第4級アンモニウムナイトレート等のカチオン系帯電防止剤;アルキルベタイン型、アルキルイミダゾリン型、アルキルアラニン型等の両性系帯電防止剤およびポリビニルベンジル型カチオン、ポリアクリル酸型カチオン等の導電性樹脂が用いられる。また、帯電防止層としては、酸化錫系、酸化インジウム系、酸化亜鉛系等の導電性フィラーを有機化合物からなるバインダーに分散させたものや、電荷移動型ボロンポリマー系樹脂等からなる層が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−3’ラウリル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコールの縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体等が挙げられ、ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物等が挙げられる。
紫外線吸収剤またはヒンダードアミン系光安定剤の配合量は、各々単独または併用した場合でも、層中の樹脂成分100重量部に対し1〜70重量部添加することができ、層中1〜30重量%であるのが好ましい。紫外線吸収剤と光安定剤併用した場合、その添加割合は特に限定するものではないが、通常、紫外線吸収剤/ヒンダードアミン系光安定剤=1/3〜3/1(重量比)程度である。
紫外線吸収剤及び/またはヒンダードアミン系光安定剤の配合量が少ないと、耐候性が劣る恐れがある。一方、配合量が多すぎると耐溶剤性、耐傷付き性能が低下するので好ましくない。
その他、層(a)及び層(b)の少なくとも一方の層にはその性能を損なわない範囲で酸化防止剤、有機系及び無機系粉末の少なくともいずれかを添加してもよい。
粘着剤層に用いられる粘着剤としてはアクリル系、ゴム系の粘着剤いずれでもよいが、屋外での使用する場合は耐候性の高いアクリル系粘着剤が好ましい。アクリル系粘着剤を構成するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルモノマーが挙げられ、該(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては炭素原子数2〜12のアルキル基を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステル、好ましくは炭素原子数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが用いられ、具体的には、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル等を挙げることができる。これらは、単独、または組み合わせて用いることができる。粘着性と凝集性のバランス等から、通常ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が−50℃以下である(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、(メタ)アクリル酸エチル等の低級アルコールの(メタ)アクリル酸エステルを併用するのが好ましい。
粘着剤は、溶媒中で重合した溶剤型アクリル系粘着剤であっても、水中で重合したエマルジョン系粘着剤であっても、また、モノマー混合物に紫外線照射した塊状重合型粘着剤であってもよい。
粘着剤層の厚さは、粘着剤の組成により異なり、特に限定されるものではないが、通常20〜50μmである。
本発明の積層フィルムへの粘着剤層の形成は、上記の粘着剤等を公知の有機溶剤に溶解し、更に必要に応じ希釈剤等を用いて適当な濃度に調製し、セパレータ(例えばシリコン塗布を施した剥離紙等の剥離材)にバーコート、ナイフコート、ロールコート、ダイコートまたはグラビアロールコート等の公知の方法で塗工し、次いで熱風乾燥機等を用いて乾燥させた後、積層フィルムの基材フィルム側に粘着剤層を積層することにより行うことができる。
また、本発明の積層フィルム及び粘着フィルムは、基材フィルムと粘着剤層の間に、密着性を向上させるためにアクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するプライマー層を設けてもよい。
<評価>
(1)粘着テープの評価
A)スチールウー傷付き試験
粘着テープの塗膜層側表面をスチールウール#0000番で100g荷重にて50往復研磨を行い、表面の傷付き状態を目視で評価した。
◎ : 全く傷付きが見られない
○ : 極微小な傷付きが見られる
△ : 傷付きが見られる
× : 著しい傷付きが見られる
B)洗車ブラシ傷付き試験
粘着テープのセパレータを剥離し、軽自動車の車体表面の三次元曲面に貼り付け、一般のガソリンスタンドの洗車機にて洗車を実施したのち、粘着テープの塗膜層表面の傷付き状態を目視で評価した。
◎ : 全く傷付きが見られない
○ : 極微小な傷付きが見られる
△ : 傷付きが見られる
× : 著しい傷付きが見られる
粘着テープのセパレータをはがし、図1に示した金属製の三次元曲面の表面に貼り付け、5分経過後、剥離作業を実施し、その際の塗膜層の状態を目視観察した。
◎ : 塗膜層に変化が見られない
△ : 塗膜層に微小クラックが発生、もしくは光沢が若干低下する
× : 塗膜層が完全に割れ、光沢が著しく低下する
D)塗膜層と基材フィルムとの密着性
上記c)に記載の剥離作業を実施した後、粘着テープの塗膜層側表面と市販の粘着テープの粘着面とをローラーを用いて密着させ、180°剥離したときの塗膜層の剥離状態を目視評価した。なお、剥離は手動で行い、瞬時の高速度で実施した。
◎ : 全く剥離しない
○ : 僅かに塗膜層の剥離が見られる
△ : 部分的に塗膜層の剥離が見られる
× : 塗膜層が完全に市販の粘着テープ側に転写する
<実施例1〜4、比較例1,2>
(1)基材フィルムの製造
(A)ランダムポリプロピレン(グランドポリマー(株)製、グランドポリプロF327)100重量部及びヒンダードアミン系光安定剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)0.1重量部よりなる組成物を用いて、三菱重工(株)製押出成型機により、厚さ0.1mmのポリオレフィン系樹脂フィルムを作成した。得られたフィルムの引張り弾性率は、600MPaであった。次にフィルムの両面に、ヌレ指数が45mN/mになるようにコロナ処理を施し、基材フィルムとした。
(2)層(a)の形成
(2)−1 ポリカーボネートポリウレタン系樹脂塗膜液(X)の製造
攪拌器、環流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4ッ口フラスコ中にイソホロンジイソシアネート31.4重量部を仕込み、90℃に加熱し、攪拌しながら溶融したポリカーボネートグリコール(プラクセルCD220、水酸基価56.1KOHmg/g、重量平均分子量2000 ダイセル化学工業(株)製)128.4重量部、グリセリンモノメタクリレート(ブレンマーGLM、日本油脂(株)製)2.2重量部、メチルハイドロキノン0.02重量部を約1時間で滴下した。内温を90℃に保ち4時間反応させた後、メチルエチルケトン208.9重量部を添加し60℃で1時間攪拌して希釈した。次に攪拌下イソホロンジアミン8.7重量部、イソプロパノール52.2重量部の溶液を1時間で滴下し、更にジ−n−ブチルアミン3.3重量部を添加して末端を封鎖し、ポリカーボネートポリウレタン系樹脂の溶液を得た。得られたポリカーボネートポリウレタン系樹脂溶液100重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体溶液(固形分濃度75重量%、溶剤:酢酸エチル)7重量部、メトルエチルケトン200重量部、酢酸エチル45重量部を混合撹拌し、固形分濃度10重量%のポリカーボネートポリウレタン系樹脂塗膜液(X)を製造した。
攪拌器、環流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4ッ口フラスコ中にイソホロンジイソシアネート31.4重量部を仕込み、90℃に加熱し、攪拌しながら溶融したポリカーボネートグリコール(プラクセルCD220、水酸基価56.1KOHmg/g、重量平均分子量2000 ダイセル化学工業(株)製)128.4重量部、グリセリンモノメタクリレート(ブレンマーGLM、日本油脂(株)製)2.2重量部、メチルハイドロキノン0.02重量部を約1時間で滴下した。内温を90℃に保ち4時間反応させた後、メチルエチルケトン208.9重量部を添加し60℃で1時間攪拌して希釈した。次に攪拌下イソホロンジアミン8.7重量部、イソプロパノール52.2重量部の溶液を1時間で滴下し、更にジ−n−ブチルアミン3.3重量部を添加して末端を封鎖した。続いてメチルメタアクリレート157.9重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート16.1重量部、メチルエチルケトン385.4重量部を仕込み窒素気流下で70℃に加熱してアゾビスイソブチロニトリル5.2重量部を3分割して1時間間隔で添加し、更に10時間反応した。得られたアクリル変性ポリカーボネートポリウレタン系樹脂溶液100重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体溶液(固形分濃度35重量%、溶剤:酢酸エチル)7重量部、メチルエチルケトン250重量部、酢酸エチル46重量部を混合撹拌し、固形分濃度10重量%のアクリル変性ポリカーボネートポリウレタン系樹脂塗膜液(Y)を製造した。
攪拌器、環流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4ッ口フラスコ中にメチルメタアクリレート140重量部、2−エチルヘキシルアクリレート38重量部、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート20重量部、メタクリル酸2重量部、メチルエチルケトン335重量部を仕込み、窒素気流下で70℃に加熱してアゾビスイソブチロニトリル2.4重量部を添加し、10時間反応させた。得られたアクリル樹脂溶液100重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体溶液(固形分濃度35重量%、溶剤:酢酸エチル)5重量部、メチルエチルケトン240重量部、酢酸エチル42重量部を混合撹拌し、固形分濃度10重量%のアクリル樹脂溶液塗膜液(Z)を製造した。
(2)−1〜3で得られた塗膜液を(1)で得られた基材フィルムの片面に、グラビアロールコーターで塗工後、80℃の熱風乾燥機内で1分間加熱乾燥させ層(a)を形成した。なお、乾燥後の塗膜層の厚さは、0.5μmであった。
(3)層(b)の形成
(3)−1 アクリル系共重合体(I)の製造
攪拌器、環流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4ッ口フラスコ中にトルエン50重量部、メチルイソブチルケトン50重量部を仕込み、80℃まで昇温した。別に、メチルメタクリレート30重量部、ブチルメタクリレート26重量部、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート23重量部、メタクリル酸1重量部、メタクリル酸変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業株式会社製、X−22−174DX、分子量5000)20重量部、及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル(日本ヒドラジン工業株式会社製、ABN−E)1重量部を混合し、この混合物を上記トルエンとメチルイソブチルケトンの混合液に3時間かけて滴下し、その後6時間反応させて固形分濃度50重量%のアクリル系共重合体(I)溶液を得た。
(3)−2 アクリル系共重合体(II)の製造
攪拌器、環流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4ッ口フラスコ中にメチルメタアクリレート140重量部、2−エチルヘキシルアクリレート38重量部、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート20重量部、メタクリル酸2重量部、メチルエチルケトン335重量部を仕込み、窒素気流下で70℃に加熱してアゾビスイソブチロニトリル2.4重量部を添加し、10時間反応させ、固形分35重量%のアクリル系共重合体(II)溶液を得た。
(4)粘着剤層の形成
アクリル系粘着剤(綜研化学(株)製 SKダイン1502C)をセパレータ上にコンマコート法にて、乾燥後の粘着剤層の厚みが25μmになるように塗工し、80℃の熱風乾燥機にて5分間乾燥させた後、(3)で得られた積層フィルムの基材フィルム側の面とラミネートして粘着剤層を形成し、粘着テープ(セパレータ/粘着剤層/基材フィルム/層(a)/層(b))を得た。
得られた積層フィルム及び粘着テープについて評価をし、結果を表−2に示した。
Claims (4)
- 引張り弾性率が100〜1200MPaのポリオレフィン系樹脂フィルムの片面側に、下記層(a)及び(b)がこの順に形成されてなるポリオレフィン系積層フィルム。
層(a) ポリカーボネートポリウレタン系樹脂及びアクリル変性ポリカーボネートポリウレタン系樹脂の少なくとも一方を含む組成物の硬化物からなる層
層(b) アクリル系共重合体、ポリカプロラクトンポリオール及びイソシアネート系架橋剤を含む組成物の硬化物からなる層 - 層(b)の引張り弾性率が5〜500MPaである請求項1に記載のポリオレフィン系積層フィルム。
- ポリオレフィン系樹脂フィルムが、多段重合法により製造されたポリプロピレン系熱可塑性エラストマーを含む請求項1または2のいずれか1項に記載のポリオレフィン系積層フィルム。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオレフィン系積層フィルムのポリオレフィン系樹脂フィルム側に粘着剤層が形成されてなる粘着フィルム。
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