JP2007082323A - フライホイール・エネルギ蓄積駆動の制御方法 - Google Patents
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Abstract
動力源である熱機関からの動力を負荷の要求動力に従って効率良く動力伝達すること。
【解決手段】
間歇的に作動させる熱機関1は、要求動力とは無関係にその作動時に経済燃費特性線の最良となる範囲のみを作動させながら直接、機械的にフライホイール6へ回転エネルギを蓄積させ、発電機2はフライホイール6から要求動力に相当した電力を取り出し、その電力の全てを出力軸5aを駆動する電動機5へ供給し、熱機関がフライホイールへ回転エネルギを供給し始める時点のその熱機関の最低回転速度は、経済燃費特性線上の作動において上記要求動力以上の動力を出力する回転速度に設定する。
【選択図】 図1
Description
図6において、ガソリン・エンジン1(以降、単にエンジン1と呼ぶ)の駆動軸1aは発電機2へ連動し、発電機2が発電した電力は制御器3を介して電動機5へ供給している。
又、制御器3と電源4との間は制御器3から電源4へ電力を充電しあるいは電源4から制御器3へ電力を放電する機構になっている。
図5は、縦軸がエンジン1の出力トルクTeを示し、横軸がエンジン1の回転速度Neを示している。
Pem、Pei、PelおよびPexのそれぞれはエンジン1の出力動力一定の特性を示し、Pemはエンジン1の最大出力動力時の値であり、Pem、PelおよびPexの順に出力動力が小さくなっている。
その1の方法は、運転者が出力軸5aに駆動トルクT2を指示すると、制御器3は、その時点における出力軸5aにおける必要動力すなわち駆動トルクT2と回転角速度ω2との積(T2×ω2)を求める。
すなわち、制御器3は、エンジン1のスロットル開度をθiに設定し、発電機2に駆動軸1aの負荷トルクがTeiあるいは駆動軸1aの回転速度がNeiになるように設定する。
電動機5はその電力を機械動力に変換し、その動力はデフ6aおよび駆動軸6b、6bを介して駆動輪6,6に伝動する。
この方法においては、エンジン1は間歇的に出力軸5aへの要求動力以上の動力によって発電機2に発電をさせ、そのエンジン1の作動時において出力軸5aへの要求動力以上の余剰電力は一旦、制御器3を介して2次電池等の電源4へ貯蔵しておく。
その貯蔵している電力が所定の充電レベル状態に達すると、制御器3はエンジン1への燃料供給を停止し且つ出力軸5aへの要求動力に見合った電力を電源4から電動機5に供給する。
野元他:NE Trainの開発. EVSフォーラム2005、日本自動車研究所。
特に、このPl〜Nidl間の動力は、市街地走行時の車両走行動力に相当し、その燃費の悪さは燃料満タンから次の燃料満タンまでの燃費を悪くするものである。
本発明の目的は、エンジン1を経済燃費特性線Fec上の燃費の優れたPl〜Pm間を作動させ、常時は発電機2において発電した電力が電池等へ充放電することなく全て電動機5へ供給して燃費を改善できるフライホイール・エネルギ蓄積駆動の制御方法を提供することにある。
前記所定の高出力作動点(Pm)において前記熱機関が出力する動力をPemとし、前記出力軸への要求動力を指示するアクセルペダル踏込み量Accが0≦Acc≦1.0において、前記フライホイールの有する回転エネルギによって前記発電機に発電させる発電入力動力P1は、P1 = Acc×Pemの関係に制御する。
したがって、特別の加速時を除き、発電機2から電源4への充電および電源4からの電動機5への放電によるエネルギ損失が存在せず、その分、燃費を改善出来る。
その際、フライホイール6の回転速度Nfがその新たなアクセルペダル踏込み量に対応した限界回転速度Nfmin以上になるまで、発電機3における発電入力動力P1を、エンジン1の駆動によってフライホイール6の回転速度が上昇してゆくレベルに減少させ、その減少させている間、その減少させた発電入力動力分に相当した電力を電源4から電動機5に補給する。
その結果、電動機5は出力軸5aへの要求動力どおりの駆動を可能にし、且つエンジン1はフライホイール6を失速させずにフライホイール6へ回転エネルギを供給出来る。
前記所定の高出力作動点(Pm)において前記熱機関が出力する動力をPemとし、前記出力軸への要求動力を指示するアクセルペダル踏込み量Accが0≦Acc≦1.0において、前記フライホイールの有する回転エネルギによって前記発電機に発電させる発電入力動力P1は、P1 = Acc×Pemの関係に制御し、前記熱機関が前記フライホイールへ回転エネルギを供給し始めるときの前記アクセルペダル踏込み量Accにおけるその熱機関の回転速度は、前記発電入力動力P1以上の動力を出力する前記経済燃費特性線上における作動点Pjの回転速度Nejとなっており、前記フライホイールの回転速度が前記アクセルペダル踏込み量に対応した前記回転速度Nejに等しい値の限界回転速度Nfminに低下したことによって、前記熱機関は、前記経済燃費特性線上における前記作動点Pjから所定の最高回転速度Nemaxとなる作動点Pk迄の間を作動して、前記フライホイールへ回転エネルギを供給し、前記フライホイールの回転速度が、前記アクセルペダル踏込み量に対応した前記所定の最高回転速度Nemaxに等しい値の所定の最高回転速度Nfmaxに達した後であって、そのフライホイール回転速度が前記限界回転速度Nfminに達するまで低下してゆく間にあるときは、前記熱機関への燃料供給を停止させる。
図1においてエンジン1は駆動軸1a 、クラッチ1b 及びフライホイール6を介して発電機2に連動している。
2次電池あるいはキャパシタ等の電源4と制御器3との間は配線4aによって接続している。
図1の車両を発進させるときは、運転者がキーを入れてスイッチ・オンにすると、制御器3はクラッチ1bを係合させ且つ電源4からの電力を配線4a 、制御器3及び配線3aを介して発電機2にモータ作用をさせる。
そのモータ作用によって、発電機2は入力軸6a ,フライホイール6、クラッチ1b及び駆動軸1aを介してエンジン1を始動させ車両の発進態勢となる。
そのことによって、エンジン1からの動力は駆動軸1a 及びクラッチ1bを介してフライホイール6を所定の回転速度まで回転加速させると共に入力軸6aを介して発電機2を駆動する。
その際、発電機2が発電する電力はアクセルペダルの踏込み量に応じた動力に相当している。
上記エンジン1への燃料供給を停止した後、制御器3は、フライホイール6に蓄積した回転エネルギによって発電機2に発電させ、その発電させる電力は上記エンジン1の作動時と同じくアクセルペダルの踏込み量に応じた動力に相当している。
入力軸6aの回転角速度ω1と入力軸6aのトルクT1との積T1×ω1は発電機2への入力機械動力P1であり、電動機5が出力軸5aへ出力する動力は出力軸5aの回転角速度ω2と出力軸5aのトルクT2との積T2×ω2=P2である。
ここで、入力軸6aの機械動力P1が発電機2において電力に変換しその電力が全て電動機5へ供給し、その電力が出力軸5aの機械動力P2に変換するまでの動力伝達効率をηとすると、
(T1×ω1)×η=(T2×ω2) (1)
の関係にあり、ここで入力軸6aの回転速度をN1とし、出力軸5aの回転速度をN2とすると、ω2/ω1=N2 / N1であるから、(1)式は、
(T1×N1)×η=(T2×N2) (2)
となる。
但し、図2の0≦N2≦N2oの範囲におけるT2m =T2max一定の特性は、電動機5の最大可能出力トルクによって限定されたトルクである。
T2 = Acc×T2mi (3)
の関係式からその時点において出力軸5aに出力すべきトルクT2を算出する。
ここで、(3)式におけるT2miは、図2におけるように、エンジン1が最大動力Pemを出力し、その動力がフライホイール6へ何らエネルギ供給することなく出力軸5aへ伝達している場合であって、その時点における出力軸5aの回転速度がN2iになっている状態の出力軸トルクT2miである。
T2×ω2= Acc×(T2mi×ω2) (4)
となる。
すなわち、アクセルペダルの踏込み量Accによって出力軸5aへトルクT2を要求することは、出力軸5aにエンジン最大動力時の出力軸動力P2mのAcc(0≦Acc≦1.0)倍に相当した動力を出力させることになる。
T1 ={T2×(ω2 / ω1)}/ η
であり、上記のようにω2 / ω1=N2 / N1であるから、
T1={T2×(N2 / N1)}/η (5)
となる。
(5)式において、N1はフライホイール6の回転速度であり、N2は出力軸5aの回転速度であるから、N1およびN2は検出可能である。
又、動力伝達効率ηは実験的に求めておき、制御器3へ記憶させておけばよい。
その発電トルクT1に設定して発電した発電機2からの電力は、配線3a ,制御器3および配線3bを介して電動機5に供給することは上述のとおりである。
その「常時」とは、一時的のみならず常にフライホイール6から発電機2へ動力を出し続けることが出来るように、フライホイール6へは回転エネルギの蓄積が可能になっていなければならないと言うことである。
それは、フライホイール6には常に(4)式の関係を充たすエネルギがエンジン1から補給されていなければならないことになる。
エンジン1を作動させてフライホイール6へ回転エネルギを供給するときは、クラッチ1bを係合し、その際におけるエンジン1の出力トルクをTeおよびフライホイール6の慣性モーメントをIfとすると、
Te ={I×(dω1/dt)}+ T1
のトルク平衡式を得る。
なお、dω1/dtはフライホイール6の回転角加速度である。
上式を書き換えると、
dω1/dt = (Te - T1) / I (6)
となる。
ここで、図1においてクラッチ1bが係合状態においては、エンジン1の回転角速度ωeも入力軸6aの回転角速度ω1も同じ、すなわちωe = ω1であるから、(6)式における(Te< T1)の比較は、動力の大きさの比較(Te×ω1)<(T1×ω1)と同じである。
Te×ωe > T1×ω1
の関係になければならないことを意味している。
上式において、Te×ωeはエンジン1が出力する任意の出力動力Pejであるから、上記フライホイール6を失速させずにエンジン1を駆動するエンジン1の出力動力Pejは、
Pej > T1×ω1 (7)
の関係にあることを必要とする。
T1×ω1×η=Acc×(T2mi×ω2)
あるいは
T1×ω1=Acc×(T2mi×ω2)/ η
の関係が有り、上式における(T2mi×ω2)/ηは、上述した図2の説明から理解出来るように、エンジン1の最大出力動力Pemである。
したがって、上式は
T1×ω1= Acc×Pem (8)
の関係にある。
したがって、(7)および(8)式から、フライホイール6を失速させずにエンジン1が出力する動力Pejの大きさは、
Pej > Acc×Pem (9)
の関係になければならない。
そこで、本実施例においては、エンジン1の作動時において、(9)式を満足させるアクセルペダル踏込み量Accとエンジン1の出力との関係を下記のように設定している。
それは、各アクセルペダル踏込み量Accごとにおいて(9)式右辺の関係に従って求めた動力値Acc×Pem一定の特性曲線Peiを図5上に描き、その描いた特性Pei曲線と経済燃費特性線Fecとの交点(作動点)Piを求め、その求めた作動点Piにおけるエンジン1の回転速度Neiを求める。
すなわち、エンジン1が非作動状態であって、発電機2がフライホイール6からエネルギを取り出して車両を走行させていることによって、フライホイール6の回転速度Nfが低下してゆく過程において、フライホイール6の回転速度Nfが上記求めたNeiの回転速度に等しい値の回転速度となる「直前」まで低下したとき、エンジン1を経済燃費特性線Fec上の作動であってその回転速度をそのNeiの「直前」の回転速度から作動し始めれば、フライホイール6を失速させずにエンジン1からフライホイール6へ回転エネルギを補充出来ることになる。
図5において、エンジン1の回転速度NeがNe = Nei + dNeであって、その作動が経済燃費特性線Fec上の作動点Pjに作動させると、その作動点Pjにおけるエンジン1の出力動力は、図5から理解出来るようにPeiの動力より僅かに大きなPei + dPeの値になる。
図3におけるフライホイール6の限界回転速度特性Nfminは下記のように求めている。
(9)式において、各Accごとに、右辺のAcc×Pem = Peiを求め、その動力Peiを出力する作動点Piを図5の経済燃費特性線Fec上に求め、その作動点Piにおけるエンジン1の回転速度Neiを求め、各Acc(横軸)に対応させてその求めた回転速度NeiにdNeを付加した回転速度Nej(縦軸)をプロットしたものである。
且つ、エンジン1はその最大出力動力Pemを出力する作動点Pmの回転速度Nem以上には回転しない制御としている。
したがって、(9)式の関係においてAcc = 1.0の場合は、エンジン1が駆動中であってもエンジン1の回転速度はそれ以上上昇させない制御になるから、その場合、フライホイール6を更に増速させることは無く、エンジン1のその動力Pemは全て入力軸6aへ与え続けることになる。
すなわち、(9)式におけるAcc = 1.0の場合は、(9)式における不等号を等号に置き換えてPej = Pemとし、その作用はエンジン1の最大出力動力Pemが全て入力軸6aへ出力し続けることになる。
上述のように、本発明においてエンジン1がフライホイール6へ回転エネルギを補充する作動は、エンジン1の燃費を最良に保つため、経済燃費特性線Fec上の所定の低出力作動点Plから所定の高出力作動点Pmの間において作動させる制御を行うことにしている。
又、上述のように、そのエンジン1の作動はフライホイール6の回転速度Nfを失速させない(9)式の条件を充たすものでなければならない。
そこで、エンジン1が上記所定の低出力作動点Plにおいて作動する状態での(9)式の条件を充たす関係が制御上必要になる。
Pej = Pel > Acc×Pem
となり、これを整理し、
Acc < Pel / Pem (10)
を得る。
すなわち、エンジン1の作動点を所定の低出力作動点Plとする状態におけるアクセルペダル踏込み量Accの値は、(10)式の関係を充たす範囲のアクセルペダル踏込み量Accであれば、全て、エンジン1の作動中においてフライホイール6を失速させることはないことになる。
したがって、(10)式におけるAccの値は零であっても良い。
Acci = Pel / Pem
の値のAcciを求め、そのAcciから僅かな量のdAcc(dAcc = 0.01程度の値)を差し引いたアクセルペダル踏込み量Acco = Acci - dAccを(10)式に代入しても、(10)式は成立する。
すなわち、アクセルペダル踏込み量Accが0<Acc≦ Accoとなる範囲のアクセルペダル踏込み量Accは全て(10)式を満足する。
又、図3におけるl点に対応した縦軸のNf = Nelの値は、上記(10)式における動力値Pelが経済燃費特性線Fec(図5)上の作動点Plであって且つその状態におけるエンジン1の回転速度NeがNe = Nelになることに対応している。
すなわち、アクセルペダル踏込み量Accが0<Acc≦ Accoとなる範囲にあるときであって、発電機2がフライホイール6のみから(8)式の動力(T1×ω1)を取り出していることによってフライホイール6の回転速度が低下してゆき、そのフライホイール回転速度NfがNf = Nel(図3の関係)に達したとき、制御器3はエンジン1を上記所定の低出力作動点Plから経済燃費特性線Fec上をNf = Nfmaxとなるまで上述のように作動させてゆく。
しかし、運転者がアクセルペダル踏込みを小さくして車両を走行させている場合においても、エンジン1の作動回転速度が最大動力を出力する状態になることは、従来における車両の走行感覚と異なり違和感を生ずることになる。
したがって、エンジン1の作動によって達するエンジン1の最高回転速度Nemaxは、図3におけるフライホイール6の最高回転速度特性Nfmax(=Nemax)のように、アクセルペダル踏込み量Accの低下に応じて低くなる特性とすることが望ましい。
上記説明から理解出来るように、図3に設定した限界回転速度である特性Nfminと最高回転速度である特性Nfmaxに従ってエンジン1を経済燃費特性線Fec上において作動させていることは、(6)式における右辺の(Te - T1)を正の値に設定していることになり、そのことは(6)式左辺のdω1/ dt ( = dωe / dt )が正になって、フライホイール6の回転と共にエンジン1の回転速度Neが常に増速し続けることを意味している。
但し、アクセルペダル踏込み量AccがAcc = 1.0なるときは、上述のようにエンジン1の回転速度NeがNe = Nem一定のまま作動し続ける。
その燃料供給量増大によってエンジン1の回転速度Neを増大させてゆく関係は、その燃料供給量の増大速度が、各時点において、その時点の燃料供給量θi(図5)とその時点におけるエンジン1の回転速度Neiとが経済燃費特性線Fec上の作動点Piに一致する速度をもって増大させる制御を行っている。
図4は、縦軸がフライホイール6の回転速度Nfを示し、横軸が経過時間tを示している。
図4のアクセルペダル踏込み量AccがAcc = 0.4及びAcc = 0.8の両者において、フライホイール回転速度Nfが上昇している間は、エンジン1がフライホイール6を回転加速させながら且つ発電機2がフライホイール6からアクセルペダル踏込み量Accに対応した(8)式の関係のエネルギを取り出している状態を示している。
又、図4においてフライホイール回転速度Nfが下降している間は、エンジン1への燃料供給を停止し、発電機2がフライホイール6のみからアクセルペダル踏込み量Accに対応した(8)式の関係のエネルギを取り出している状態を示している。
それは、アクセルペダル踏込み量Acc = 0.4の場合、図3において設定しているフライホイール6の限界回転速度Nfminと最高回転速度Nfmaxの特性に基づいて、そのa点とb点との間でその回転上昇と回転下降を繰り返すように制御しているからである。
この場合も、アクセルペダル踏込み量Acc = 0.8の場合、図3において設定しているフライホイール6の限界回転速度Nfminと最高回転速度Nfmaxの特性に基づいて、そのc点とd点との間でその回転上昇と回転下降を繰り返すように制御しているからである。
例えば、アクセルペダル踏込み量AccがAcc = 0.4であってフライホイール6の回転速度Nfが下降してゆき、その現時点における作動点がe点(図4)であったとする。
その次の瞬間に、アクセルペダル踏込み量AccをAcc = 0.8へ踏込んだ場合、その踏込んだ瞬間におけるフライホイール6の回転速度Nfは、図3におけるAcc = 0.8に対応した限界回転速度Nfminと最高回転速度Nfmaxの特性におけるc点からd点の範囲を外れてしまう。
それは、今迄、アクセルペダル踏込み量がAcc = 0.4であった状態においてエンジン1の出力動力Peiは、(9)式にAcc = 0.4を代入した
Pej > 0.4×Pem
の動力Pejで良かった。
ところが、次の現時点に至りアクセルペダル踏込み量がAcc = 0.8に増大した「瞬間」において、エンジン1の出力動力Pejは、新たに(9)式へAcc = 0.8を代入した
Pej > 0.8×Pem
の大きな動力Pejとなっていなければならないからである。
ここで、上記(9)式左辺Acc×Pemは(8)式に示すように、
Acc×Pem = T1×ω1
であるから、(9)式左辺Acc×Pemの値を一時的に小さくすることは、上記式左辺のT1を小さくすれば良いことになる。
図4において、アクセルペダル踏込み量がAcc = 0.4であってその作動点がe点に至ったとき、新たにアクセルペダル踏込み量がAcc = 0.8へと増大した場合、制御器3は、エンジン1へ経済燃費特性線Fec上の作動条件を充たしながら、(6)式に従って入力軸6aの回転角加速度dω1/dt(dNf /dtに比例)が正の値になるまで発電機2の発電トルクT1をT1iの値に小さくしてゆく。
そのe点からf点までの制御においては、上記T1をT1iの値に小さくした分、発電機2において発電する電力が小さくなっている。
しかし、アクセルペダル踏込み量が急速に増大した場合において上記のように、入力軸6aの入力トルクをT1からT1iに減じている状態においては、本来の入力動力T1×ω1に対して、
(T1 - T1i)×ω1=dP1
の入力動力が減じている。
この動力伝達の関係を式によって表現すると、
dP1×η=dP2 (11)
となる。
但し、ηは、発電機2への入力動力dP1が電動機5の出力動力dP2となるまでの動力伝達効率である。
このようなことから、制御装置3は、図4の上記e点からf点までの制御においては、そのdP2が出力する分の電力を電源4から制御装置3を介して電動機5へ補充する。
その結果、上記e点からf点までの制御においても、アクセルペダル踏込み量Accに対応して出力軸5aに要求どおりの動力を出力することが可能になる。
又、図3において、フライホイール回転速度Nfがアクセルペダル踏込み量Accに対応して限界回転速度Nfmin以上になることは、エンジン1の作動が再び(9)式の条件を充たす領域に入ったことを意味している。
それは、熱機関はその広い作動回転速度範囲において必ず燃費の良くなる経済燃費特性線が存在するから、上述の説明のように、熱機関がフライホイール6へ回転エネルギを供給する際、熱機関がその経済燃費特性線上の好ましい範囲で間歇的に作動するように制御すれば良いことになる。
唯、クラッチ1bを設けていると、エンジン1の非作動時においてクラッチ1bを開放状態にすることによって、フライホイール6側からエンジン1を駆動することが無くなり、非作動状態におけるエンジン1を駆動するトルク損失が存在しない利点がある。
しかし、エンジン1の非作動中において、エンジン1がフライホイール6と連動していても、上述の制御と図1の装置の駆動は十分に可能である。
Claims (3)
- 熱機関(1)の駆動軸(1a)はフライホイール(6)を介して発電機(2)に連動し、前記発電機の発電した全ての電力は制御器(3)を介して出力軸(5a)を駆動する電動機(5)に供給し、
前記熱機関が作動するときは、その熱機関の経済燃費特性線(Fec)上における所定の低出力作動点(Pl)から所定の高出力作動点(Pm)の間において作動させ、
前記所定の高出力作動点(Pm)において前記熱機関が出力する動力をPemとし、前記出力軸への要求動力を指示するアクセルペダル踏込み量Accが0≦Acc≦1.0において、前記フライホイールの有する回転エネルギによって前記発電機に発電させる発電入力動力P1は、P1 = Acc×Pemの関係に制御し、
前記熱機関が前記フライホイールへ回転エネルギを供給し始めるときの前記アクセルペダル踏込み量Accにおけるその熱機関の回転速度は、前記発電入力動力P1以上の動力を出力する前記経済燃費特性線上における作動点Pjの回転速度Nejとなっており、
前記フライホイールの回転速度が前記アクセルペダル踏込み量に対応した前記回転速度Nejに等しい値の限界回転速度Nfminに低下したことによって、前記熱機関は、前記経済燃費特性線上における前記作動点Pjから所定の最高回転速度Nemaxとなる作動点Pk迄の間を作動して、前記フライホイールへ回転エネルギを供給し、
前記フライホイールの回転速度が、前記アクセルペダル踏込み量に対応した前記所定の最高回転速度Nemaxに等しい値の所定の最高回転速度Nfmaxに達した後であって、そのフライホイール回転速度が前記限界回転速度Nfminに達するまで低下してゆく間にあるときは、前記熱機関への燃料供給を停止させるフライホイール・エネルギ蓄積駆動の制御方法。 - 請求項1記載の制御方法において、
所定の最高回転速度Nemaxは、アクセルペダル踏込み量Accの低下に応じて低下してゆく特性になっているフライホイール・エネルギ蓄積駆動の制御方法。 - 請求項1記載の制御方法において、
アクセルペダル踏込み量が増大したことによって、フライホイール(6)の回転速度がその新たなアクセルペダル踏込み量に対応した限界回転速度Nfmin 以下になったときは、熱機関(1)によって前記フライホイール(6)を駆動し、前記フライホイールの回転速度がその新たなアクセルペダル踏込み量に対応した前記限界回転速度Nfmin以上になるまで、発電機(3)における発電入力動力P1を、前記エンジンによる前記フライホイールの駆動によって前記フライホイールの回転速度が上昇してゆくレベルに減少させ、その減少させている間、その減少させた発電入力動力dP1に前記発電機から電動機(5)の間の動力伝達効率ηを掛けたdP1×η=dP2に相当した電力を電源(4)から前記電動機(5)に補給するフライホイール・エネルギ蓄積駆動の制御方法。
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