JP2007079734A - 硬貨投入部の構造、及び金銭処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 金銭処理装置1に設けられ、一括投入された複数枚の硬貨を受け入れることが可能な硬貨投入部15であって、複数の硬貨を一括して受け入れる受皿20と、受皿内部に形成した硬貨排出口21と、硬貨排出口の対向する内壁間に差し渡された鎖部材30と、を備えた。
【選択図】 図1
Description
ところで、金銭処理装置において利用者が硬貨を投入する硬貨投入部が、硬貨を一個ずつしか受入れできないスリット状である場合には、複数枚の硬貨を投入するのに長時間を要するため、サービス提供に要する時間の長期化、装置の稼働率低下等という不具合をもたらす。このため、最近では一括投入された複数の硬貨を受入れることができる構造の硬貨投入部が種々提案されている。
例えば、実開平3−9069号公報(特許文献1)、特開2000−298749公報(特許文献2)に夫々開示された硬貨投入部の構造は、大きな開口面積を有した開口部と、開口部から底部に延びて硬貨を底部に導くためのスロープと、底部に設けられた排出口と、を備えた受皿により構成されている。これらの硬貨投入部にあっては、広い開口部から一括投入された複数枚の硬貨をスロープに沿って落下させながら落下順に排出口から装置内に導入してゆく。このため、排出口の形状は硬貨一枚だけを通過させ得るスリット状となっている。したがって、受皿の開口部に投入する段階では複数枚の硬貨を重ねたり整列させる手間を掛けることなくランダムに一括投入できるが、排出口を通過する段階では一枚ずつ順次排出されることとなるので、結果として上記従来例と同様に装置内に硬貨が受入れ完了するのに要する時間が長期化するという不具合を依然として有している。また、排出口が硬貨一枚のみの通過を許容するスリット状であるため、排出口の手前で硬貨詰まりが発生しやすい。例えば、特許文献1においては、受皿内に溜まった複数枚の硬貨を一枚ずつ排出口に導くために手動操作によるかき混ぜ棒状ピンを配置しているが、これはスリット状の排出口が硬貨詰まりを起こし易いことを前提としており、利用者の不利不便は改善されていない。これに対して、硬貨詰まりの発生を防止するために排出口の幅を拡大すると、異物が投入される虞が高くなる。
このような不具合に対処するために、特許文献1、2に開示された受皿底部の排出口の幅を広くしつつ、特許文献3、4に開示された異物投入防止片を幅広の排出口内に配置することも考えられるが、特許文献1、2における排出口を拡大したとしても、そこに異物投入防止片を配置するとすれば、結局、硬貨一枚分の幅を有したスリットを複数個並置した場合と同様の構成となり、異物の通過防止はできるものの、排出口手前での詰まり易さを改善することはできない。また、排出口が広くなると、硬貨を重ねた状態で保持した利用者の指が異物投入防止片に接触して指を傷つけたり、防止片を破損させる虞があり、これらの事態を未然に防ぐための構造を更に付加する必要が生じる。
鎖部材は線材であるため、リジッドな部材に比して変形、揺動が容易であり、しかも一旦上に乗った硬貨のバランスを崩して下方へ落下させやすい。従って、異物の侵入を防止しつつ複数の硬貨を一個一個に分離して落下させる機能に優れている。また、線材である鎖部材は利用者の指が触れた場合に揺動するため、指を傷つけることが少ない。
請求項2の発明は、請求項1において、前記鎖部材は、弛みを有して差し渡されていることを特徴とする。
鎖部材を十分な弛みを有して差し渡すことにより、鎖部材が硬貨が落下した衝撃で揺動、変形し易くなり、硬貨を鎖部材上に保持せずに落下させる硬貨が更に高くなる。人の指が触れた場合に大きく揺動、退避できるため、指を傷つけることがない。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記鎖部材は、ボールチェーンであることを特徴とする。
ボールチェーンは、小径の球体を互いに回動自在に連結しているため、ボールチェーン上に一旦落下した硬貨はボールチェーン上で静止し続けることが困難となり、バランスを崩して落下し易くなる。また、指を傷つける可能性が更に低くなる。
請求項4の発明は、請求項1乃至3において、前記硬貨排出口は、最大径硬貨の通過を全方向から許容する寸法、形状を有することを特徴とする。
通貨やコインのうち最大径のものがどのような姿勢で侵入してきたとしても、その通過を許容できるサイズ、形状の硬貨排出口とすることにより硬貨詰まりをより効果的に防止できる。
請求項5の発明は、請求項1乃至4において、硬貨排出口は、略円形又は略正方形であることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1乃至5において、前記受皿は、前記硬貨排出口の開口径よりも大きい開口部と、該開口部と該硬貨排出口とを連設するスロープ部と、を有していることを特徴とする。
請求項7の発明に係る金銭処理装置は、請求項1乃至6の何れか一項に記載の硬貨投入部を備えたことを特徴とする。
図1は本発明の一実施形態に係る金銭処理装置の一例としての診療費自動支払機の概観斜視図であり、図2(a)及び(b)は硬貨投入部の上部斜視図、及び縦断面図、図3(a)(b)及び(c)は硬貨排出口の断面図、斜視図、及び断面図、図4は異物侵入を阻止した状態を示す図である。
この診療費自動支払機1は、病院等の医療機関に設置され、診療、入院、処方箋の交付等に対する精算作業を患者等の利用者が行い得るようにした装置である。
診療費自動支払機1は、装置本体2の前面パネル3に操作部4を配置した構成を備えている。
操作部4は、領収書取出し口(シート発行部)11、バーコードリーダ12、カード挿入口13、硬貨払出口(金銭払出部)14、硬貨投入部(金銭投入部)15、紙幣挿入払出口(金銭投入部、及び金銭払出部)16、タッチパネルディスプレイ17、暗証番号テンキー18を備えている。
本発明の特徴的な構成は硬貨投入部15の構造にある。この硬貨投入部15は、ランダムに一括投入された複数枚の硬貨Cを受け入れることが可能な広口の受皿20と、受皿20の内部(底部)に形成した大口径の硬貨排出口21と、硬貨排出口21の対向する内壁間に差し渡された鎖部材30と、を備えた構成が特徴的である。
即ち、本発明の硬貨投入部15は、利用者の掌に保持した複数枚の硬貨Cを一括して投入することが可能となる程度に開口径の大きい受皿20を備えるため、投入に際して硬貨を揃えて重ねた上で指先で保持して慎重に投入する必要がなくなる。仮に、硬貨の総額を正確に計算せずに必要金額よりも多い硬貨を投入したとしても、装置内部で釣銭処理がなされて釣銭が硬貨払出口14から払い出されるため問題はない。
受皿20は、硬貨排出口21の開口径よりも大きい開口部20aと、開口部20aと硬貨排出口21とを連設するスロープ部20bと、を有している。このため、多数の硬貨を一括して受皿の開口部20aから投入することができると共に、投入された硬貨はスロープに沿って確実に硬貨排出口21内に移動することができる。
また、受皿20の底部に設けた硬貨排出口21は最大径の硬貨の通過を全方向から許容する寸法、形状を有する。換言すれ、最大径の硬貨をどのような姿勢、角度であっても通過させることができる縦横寸法、対角寸法を有するように硬貨排出口21の口径、形状を設定するので、受皿20に多量の硬貨が投入されたとしても硬貨詰まりが発生することがない。更に、硬貨排出口21内に鎖部材30を配設(張設)したので、鎖部材30が硬貨を仕分け、分離して一個ずつ排出口内部に導入することができる。
更に、鎖部材30は所定のテンションをかけて直線状に差し渡しても良いが、本実施形態では強いテンションをかけずに、むしろ弛ませた状態で対向する内壁間に差し渡している。このため、図3(b)(c)のように硬貨Cが鎖部材30上に横臥した状態で一旦載った場合であっても、鎖部材30が硬貨が落下した時の衝撃と硬貨Cの重量により揺動、変形、退避するため、硬貨Cは鎖部材30上から振り落とされる。つまり、本発明では硬貨排出口21の入口をリジッドな仕切り部材によって各幅が確定した複数のスリットに仕切るのではなく、揺動、変形自在に支持された線材である鎖部材30によって仕切るに過ぎないので、硬貨通過のためのスリットの幅Wは可変である。従って、1、又は複数の硬貨がどのような姿勢で鎖部材30上に落下してきて堆積しようとしたとしても、鎖部材30は静止することなく揺動、退避するため、鎖部材上に硬貨Cは静止し続けることができずに直ちにバランスをくずして鎖部材上から脱落し、何れかのスリットを経て排出口内部へ落下してゆく。仮に、鎖部材上に硬貨が堆積するようなことがあったとしても、指で軽くつつくだけで鎖が揺動し、堆積した複数の硬貨のバランスが崩れて硬貨を容易に落下させることができる。
また、鎖部材30を弛ませることにより、利用者の指が触れたとしても鎖部材の方が指に押されて退避し、鎖との接触による怪我を防止できる。
鎖部材30は、自重によって中央部を下方へ弛ませると共に、硬貨が落下してきたときに揺動し易いように、金属により構成することが好ましい。更に、鎖部材30としては、金属小球を連続して線状に構成したボールチェーンを使用することが好ましい。ボールチェーンの場合、個々の金属小球が回転自在に連結されているため、落下してきた硬貨がボールチェーン上に引っ掛かりにくく、硬貨がボールチェーン上で滑って下方に落下し易いからである。
また、個々の小球が球状であるため、利用者の指が触れたとしても傷つき難い。
また、硬貨排出口21は、略円形又は略正方形であるため、硬貨排出口の対向し合う内壁間に1本又は複数本の鎖部材を平行に配設した場合に、排出口と鎖部材との間に形成される硬貨通過用のスリットの形状を硬貨の通過に適した略長方形のスリットとすることができる。
硬貨投入部15は硬貨払出口14よりも高い位置となるように前面パネル3に配設されている。硬貨払出口14は第1搬送路(滑り台)41と連通しており、第1搬送路41の終端部は下方に配設された第2搬送路(滑り台)42と連通可能に構成されている。また、第1搬送路41の終端部の延長上には第3搬送路43(滑り台)が開放部45を介して配置されている。第3搬送路43は図示しない硬貨セレクタと連設されている。開放部45の直下には第2の搬送路42が配置されている。第1搬送路41の終端部と第3搬送路43の始端部との間には開閉自在な連結板46を配置し、連結板46が閉じている場合には第1搬送路41と第3搬送路43とが連通状態にあり、連結板46が図5(c)に示すように開放している場合には第1搬送路41と第3搬送路43との連通が遮断された状態となるように構成する。
第2搬送路42は、硬貨払出口14と連通しており、その奥方には図示しないコインホッパ(釣銭払出手段)が配設されている。従って、コインホッパから払い出された釣銭用の硬貨と、硬貨投入部15から投入されて第1搬送路41の終端部の開放部45から落下した硬貨は、何れも第2搬送路42を経て硬貨払出口14へ払い出される。
硬貨投入部15からの入金を受け付けるモードにある場合には、図示しない制御手段(CPU)は、連結板46により開放部45を閉じた状態とし、硬貨投入部15から投入された硬貨を第1搬送路41から第3搬送路43を経て硬貨セレクタへ搬送する。
具体的には例えば図1の診療費自動支払機1を利用して医師の診察を受け終わった患者が精算を行う場合、カード挿入口13に診察券が挿入されると図示しない制御手段は入金可能モードに移行させるために連結板46を閉じた状態とする。この状態において、硬貨投入部15から投入された硬貨は硬貨排出口21、第1搬送路41、連結板46、第3搬送路43の順で滑り落ちる。更に硬貨は硬貨セレクタに搬送されて真贋判定、金額判定等の処理を受け、投入された硬貨が真正硬貨であり、金額に不足がない場合には入金処理、精算処理が実行され、釣銭がある場合にはコインホッパから第2搬送路42を経由して硬貨払出口14へ釣銭硬貨が排出される。
入金、精算が完了して診察券がカード挿入口13から取り外されると、制御手段は連結板46を開放状態にするため、硬貨投入部から投入された硬貨は全てリジェクトされて硬貨払出口14へ排出される。
なお、連結板46はこの例では第3搬送路43の始端部に上下方向へ回動自在に支持されているが、これは一例に過ぎない。また、連結板46を開放する駆動源としてはソレノイド等が適している。
なお、本発明の金銭処理装置とは、病院等の医療機関に設置されて患者等が操作する診療費自動精算装置、公共機関に設置されて利用者、職員等が操作する証明書類自動発行機、金融機関に設置されるATM等の金銭処理装置、両替機、自動券売機、或いは自動販売機等を含む。
Claims (7)
- 金銭処理装置に設けられ、一括投入された複数枚の硬貨を受け入れることが可能な硬貨投入部であって、
前記複数の硬貨を一括して受け入れる受皿と、前記受皿内部に形成した硬貨排出口と、前記硬貨排出口の対向する内壁間に差し渡された鎖部材と、を備えたことを特徴とする硬貨投入部の構造。 - 前記鎖部材は、弛みを有して差し渡されていることを特徴とする請求項1に記載の硬貨投入部の構造。
- 前記鎖部材は、ボールチェーンであることを特徴とする請求項1、又は2に記載の硬貨投入部の構造。
- 前記硬貨排出口は、最大径硬貨の通過を全方向から許容する寸法、形状を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の硬貨投入部の構造。
- 前記硬貨排出口は、略円形又は略正方形であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の硬貨投入部の構造。
- 前記受皿は、前記硬貨排出口の開口径よりも大きい開口部と、該開口部と該硬貨排出口とを連設するスロープ部と、を有していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の硬貨投入部の構造。
- 請求項1乃至6の何れか一項に記載の硬貨投入部を備えたことを特徴とする金銭処理装置。
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