JP2007079311A - 定着部用クリーニングシート、定着部用クリーニング材、及び定着部用クリーニング装置 - Google Patents

定着部用クリーニングシート、定着部用クリーニング材、及び定着部用クリーニング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 複写画像の画像抜け不具合や長期的な画像再現安定性を損ねることなくトナーを定着させることができるように、定着ロール等の定着部を傷つけることなく、トナーを払拭できるクリーニングシート、クリーニング材、及びクリーニング装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の定着部用クリーニングシートは、非接着繊維と接着繊維で構成された繊維接着不織布からなる定着部用クリーニングシートであり、前記繊維接着不織布は製造原料の非接着繊維として、扁平率が0.6以下の非接着偏平繊維を含んで製造されたものである。また、本発明のクリーニング材及びクリーニング装置は前記定着部用クリーニングシートを使用したものである。
【選択図】 なし

Description

本発明は定着部用クリーニングシート、定着部用クリーニング材、及び定着部用クリーニング装置に関する。
従来、複写機、レーザービームプリンター、又はファクシミリなどの電子写真装置においては、定着ロールと加圧ロールとの間に未定着トナー像を担持した複写シート(例えば、紙、フィルムなど)を供給し、熱及び圧力の作用により複写シート表面にトナー像を定着させていた。そのため、定着ロール及び/又は加圧ロール表面にトナーが転写され、その転写されたトナーが複写シートの後端部又は次に通過する複写シートに再度転写されて、複写シートを汚す(いわゆるオフセット)という問題があった。そのため、定着ロール表面にオイルを塗布してトナーの離型性を高めるとともに、トナーを払拭できるクリーニングシートが一般的に使用されている。
このようなクリーニングシートとしては、耐熱性に優れる全芳香族ポリアミド繊維を未延伸ポリエステル繊維で圧着固定した不織布が一般的であった。また、このようなクリーニングシートには優れた払拭性が要求されるため、本願出願人は「(a)軟化点が230℃を越える樹脂からなり、繊維横断面形状が非円形で、繊維径が10μm以下の第1極細繊維と、(b)軟化点が150℃〜230℃の範囲内にある樹脂からなり、繊維径が10μm以下の第2極細繊維とを含み、前記第2極細繊維が圧着変形されたクリーニングシート」、より具体的には「機械的作用により第1極細繊維と第2極細繊維に分割可能な分割性繊維からなる繊維ウエブを、水流により第1極細繊維と第2極細繊維とに分割するとともに絡合した後、発生させた第2極細繊維のみを圧着変形させたクリーニングシート」を提案した(特許文献1)。
特開2002−23545号公報(請求項1、実施例1など)
しかしながら、オフセットを抑制又は防止するために、通常、定着ロール表面にはフッ素系樹脂等がコーティングされているが、このフッ素系樹脂等の摩擦耐性が弱いため、上述のようなクリーニングシートを使用すると、初期又は長期にわたるクリーニングによって定着ロール表面が傷つけられ、この傷つきによって、複写画像の画像抜け不具合や長期的な画像再現安定性を損ねるという問題が発生した。このような問題点はカラー複写画像の場合に、特に問題であった。
本発明はこのような問題を解決するためになしたもので、複写画像の画像抜け不具合や長期的な画像再現安定性を損ねることなくトナーを定着させることができるように、定着ロール等の定着部を傷つけることなく、トナーを払拭できるクリーニングシート、クリーニング材、及びクリーニング装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1にかかる発明は、「非接着繊維と接着繊維で構成された繊維接着不織布からなる定着部用クリーニングシートであり、前記繊維接着不織布は製造原料の非接着繊維として、扁平率が0.6以下の非接着偏平繊維を含んで製造されたものであることを特徴とする、定着部用クリーニングシート。」である。
本発明の請求項2にかかる発明は、「繊維接着不織布が乾式法により製造されたものであることを特徴とする、請求項1記載の定着部用クリーニングシート。」である。
本発明の請求項3にかかる発明は、「見掛密度が0.2〜0.6g/cmであることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の定着部用クリーニングシート」である。
本発明の請求項4にかかる発明は、「非接着繊維が220℃以上の融点又は分解点をもつ樹脂からなる延伸繊維からなることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着部用クリーニングシート」である。
本発明の請求項5にかかる発明は、「非接着繊維としてポリフェニレンサルファイド繊維を含んでいることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の定着部用クリーニングシート」である。
本発明の請求項6にかかる発明は、「非接着繊維としてポリエチレンテレフタレート繊維を含んでいることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着部用クリーニングシート」である。
本発明の請求項7にかかる発明は、「非接着偏平繊維がポリエチレンテレフタレートからなる繊維であることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着部用クリーニングシート。
本発明の請求項8にかかる発明は、「接着繊維が220℃以上の融点をもつ樹脂からなる未延伸繊維からなることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の定着部用クリーニングシート」である。
本発明の請求項9にかかる発明は、「非接着繊維表面及び/又は接着繊維表面がシリコーン系樹脂で被覆されていることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の定着部用クリーニングシート」である。
本発明の請求項10にかかる発明は、「シリコーンオイルを含んでいることを特徴とする、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の定着部用クリーニングシート」である。
本発明の請求項11にかかる発明は、「請求項1〜請求項10のいずれかに記載の定着部用クリーニングシートが巻出しシャフトに巻回されており、その一端が巻取りシャフトに固定されていることを特徴とする定着部用クリーニング材。」である。
本発明の請求項12にかかる発明は、「請求項11に記載の定着部用クリーニング材の定着部用クリーニングシートの巻出し手段、定着部用クリーニングシートの巻取り手段、及び定着部用クリーニングシートを定着部へ押圧できる押圧手段とを備えていることを特徴とする、定着部用クリーニング装置」である。
本発明の請求項1にかかる発明によれば、非接着繊維として扁平率が0.6以下の非接着偏平繊維を含んでいるため、定着部用クリーニングシートの平滑性が高く、定着ロール等の定着部との摩擦を低くすることができるため、定着部を傷つけることなく、トナーを払拭することができる。つまり、従来のような分割性繊維を分割することによっても、偏平率が0.6以下の極細繊維を発生させることはできるが、分割性繊維を分割するために繊維ウエブに対して水流などの外力を作用させて分割しても、分割前の分割性繊維の分散状態に近い状態で極細繊維が偏在しやすく、定着部用クリーニングシートの平滑性が比較的低いものであったのに対して、本発明の定着部用クリーニングシートは元々偏平率が0.6以下の非接着偏平繊維を含む製造原料を使用して製造されたものであるため、非接着偏平繊維が定着部用クリーニングシート全体に均一に分散し、平滑性の高いものである。
本発明の請求項2にかかる発明によれば、繊維接着不織布、つまり定着部用クリーニングシートが乾式法により製造されたものであるため、繊維接着不織布構成繊維(特に非接着偏平繊維)が均一に分散しており、ムラがなく、密度の均一な定着部用クリーニングシートであることができる。
本発明の請求項3にかかる発明によれば、定着部用クリーニングシートの見掛密度が0.2〜0.6g/cmであるため、硬すぎず、しかも柔らか過ぎないため、定着部を傷つけず、しかもトナーの払拭性、つまりクリーニング性にも優れている。
本発明の請求項4にかかる発明によれば、非接着繊維が220℃以上の融点又は分解点をもつ樹脂からなる延伸繊維からなるため、定着部用クリーニングシートに耐熱性を付与することができ、具体的にはクリーニング時における定着部用クリーニングシートの熱寸法変化による巻き出し又は巻取り不具合や、定着部用クリーニングシートの破断といったトラブルを効果的に防止できる。
本発明の請求項5にかかる発明によれば、従来の全芳香族ポリアミド繊維よりもヤング率が低く、より柔らかいポリフェニレンサルファイド繊維を含んでいるため、更に定着部を傷つけにくい。
本発明の請求項6にかかる発明によれば、従来の全芳香族ポリアミド繊維よりもヤング率が低く、より柔らかいポリエチレンテレフタレート繊維を含んでいるため、更に定着部を傷つけにくい。
本発明の請求項7にかかる発明によれば、非接着偏平繊維がポリエチレンテレフタレートからなる繊維であるため、樹脂組成および断面形状の相乗効果により、更に定着部を傷つけにくい。
本発明の請求項8にかかる発明によれば、接着繊維が220℃以上の融点をもつ樹脂からなる未延伸繊維からなるため、定着部用クリーニングシートに耐熱性を付与することができ、具体的にはクリーニング時における定着部用クリーニングシートの熱寸法変化による巻き出し又は巻取り不具合や、定着部用クリーニングシートの破断といったトラブルを効果的に防止できる。
本発明の請求項9にかかる発明によれば、非接着繊維表面及び/又は接着繊維表面がシリコーン系樹脂で被覆されていることによって、定着ロール等の定着部との摩擦を更に低くすることができるため、更に定着部を傷つけにくい。
本発明の請求項10にかかる発明によれば、シリコーンオイルを含んでおり、シリコーンオイルを定着部に塗布してトナーの離型性を高めることができるため、トナーの払拭性(クリーニング性)により優れている。
本発明の請求項11にかかる発明によれば、前記定着部用クリーニングシートが巻出しシャフトに巻回されており、その一端が巻取りシャフトに固定されているため、巻出しシャフトから定着部用クリーニングシートを巻き出し、長期間にわたって定着部を傷つけることなく、クリーニングすることができる。
本発明の請求項12にかかる発明によれば、定着部用クリーニング材の定着部用クリーニングシートの巻出し手段、定着部用クリーニングシートの巻取り手段、及び定着部用クリーニングシートを定着部へ押圧できる押圧手段とを備えており、巻出しシャフトから定着部用クリーニングシートを巻き出し、押圧手段によって定着部へ押圧できるため、長期間にわたって定着部を傷つけることなく、クリーニングすることができる。
本発明の定着部用クリーニングシート(以下、単に「クリーニングシート」と表記することがある)は、非接着繊維と接着繊維で構成された繊維接着不織布からなるが、非接着繊維として偏平率が0.6以下の非接着偏平繊維を含んでいる点に特徴がある。このような非接着偏平繊維を含んでいることによって、従来よりもクリーニングシートの平滑性が高く、定着ロール等の定着部との摩擦を低くすることができるため、定着部を傷つけることなく、トナーを払拭できるようになった。非接着偏平繊維の偏平率が0.6を超えると、クリーニングシートの平滑性が不十分となり、定着部を傷つけやすい傾向があり、好ましい偏平率は0.5以下であり、より好ましい偏平率は0.4以下であり、更に好ましい偏平率は0.3以下である。なお、偏平率の下限は特に限定するものではないが、偏平率が極端に低すぎると、繊維ウエブの生産安定性を悪くしたり、クリーニングシートの見掛密度を均一にするのが困難となる傾向があるため、偏平率は0.2以上であるのが好ましい。
本発明における「偏平率」とは、繊維断面における(短径/長径)比を意味し、長径は繊維断面の中で最も長い部分の長さを意味し、短径は長径に対して直交し、かつ最も長い部分の長さを意味する。例えば、非接着偏平繊維の繊維断面が楕円形状であれば、偏平率は(短軸/長軸)比を意味する。
このような非接着偏平繊維の繊維断面形状はクリーニングシートの平滑性を高めることができるように、略長円状又は略長方形状であるのが好ましい。つまり、繊維断面形状が略三角形状や略Y形状などのように、角張った部分を有すると、その角張った部分によって定着部との摩擦が高くなり、定着部に傷をつけやすくなるため、略長円状又は略長方形状であるのが好ましい。
本発明の非接着偏平繊維は定着部と接触しても溶融したり、分解してクリーニングシートの引張り強度を著しく低下させることがないように、一般的な定着部の温度(180〜200℃)よりも高い220℃以上の融点又は分解点をもつ樹脂からなる延伸繊維であるのが好ましい。220℃以上の融点をもつ樹脂として、例えば、66ナイロン、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系、或はポリフェニレンサルファイドなどを挙げることができ、220℃以上の分解点をもつ樹脂として、例えば、メタ型又はパラ型の芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリテトラフルオロエチレン、芳香族ポリエーテルアミド、ポリベンズイミダゾールなどを挙げることができる。これらの中でも、より柔らかく、定着部に傷をよりつけにくい、ポリエチレンテレフタレート又はポリフェニレンサルファイドからなる非接着偏平繊維が好ましい。
なお、「延伸」されているとは、分子配向及び結晶化を高めるために紡糸工程とは別の延伸工程(例えば、流動延伸やネック延伸法等による延伸)により繊維の強度や熱的安定性を高めた状態をいう。
このような非接着偏平繊維の繊度は、クリーニングシートが硬すぎず、しかも柔らか過ぎず、定着部を傷つけないで、しかもクリーニング性にも優れているように、0.1dtex〜7dtexであるのが好ましく、0.5dtex〜4dtexであるのがより好ましい。また、繊維長は後述のようにクリーニングシートである繊維接着不織布は、乾式法により製造されるのが好ましいため、乾式法で繊維ウエブを製造するのに適している、30〜110mmであるのが好ましく、35〜70mmであるのがより好ましい。
本発明のクリーニングシートは上述のような非接着偏平繊維を含むものであるが、その量はクリーニングシートの平滑性に優れるように、クリーニングシート全体の10mass%以上を占めているのが好ましく、15mass%以上を占めているのがより好ましく、20mass%以上を占めているのが更に好ましい。一方で、非接着偏平繊維以外に接着繊維を含み、接着繊維の接着によってクリーニングシートの形態を維持する必要があるため、クリーニングシート全体の80mass%以下を占めているのが好ましく、70mass%以下を占めているのがより好ましく、65mass%以下を占めているのが更に好ましい。
本発明のクリーニングシートは上述のような非接着偏平繊維を含んでいることを特徴とするものであるが、非接着偏平繊維以外に偏平繊維ではない非接着繊維(以下、「非接着非偏平繊維」と表記することがある)を含んでいても良い。このような非接着非偏平繊維の一般的な繊維断面は円形であり、このような非接着非偏平繊維を含んでいることによって、硬すぎず、しかも柔らか過ぎず、定着部を傷つけないで、しかもクリーニング性にも優れている見掛密度のクリーニングシートとしやすい。
このように、本発明における非接着繊維とは、「非接着偏平繊維」と「非接着非偏平繊維」の両方を含む概念である。
本発明の非接着非偏平繊維は非接着偏平繊維と同様に、定着部と接触しても溶融したり、分解してクリーニングシートの引張り強度を著しく低下させることがないように、一般的な定着部の温度よりも高い220℃以上の融点又は分解点をもつ樹脂からなる延伸された繊維であるのが好ましい。このような樹脂としては非接着偏平繊維を構成できる樹脂と同様の樹脂を挙げることができ、より柔らかく、定着部に傷をつけにくい、ポリエチレンテレフタレート又はポリフェニレンサルファイドからなるのが好ましい。
このような非接着非偏平繊維の繊度は、非接着偏平繊維と同様に、クリーニングシートが硬すぎず、しかも柔らか過ぎず、定着部を傷つけないで、しかもクリーニング性にも優れているように、0.1dtex〜7dtexであるのが好ましく、0.5dtex〜5dtexであるのがより好ましい。また、繊維長は後述のようにクリーニングシートである繊維接着不織布は乾式法によりするのが好ましいため、乾式法で繊維ウエブを製造するのに適している、30〜110mmであるのが好ましく、35〜70mmであるのがより好ましい。
上述のような非接着非偏平繊維を含む場合、その量が多すぎると、クリーニングシート表面の平滑性が損なわれたり、クリーニングシートの見掛密度が低くなり過ぎる傾向があり、少なすぎるとクリーニングシートの見掛密度が高くなり過ぎる傾向があるため、クリーニングシート全体の10mass%以上を占めているのが好ましく、20mass%以上を占めているのがより好ましく、30mass%以上を占めているのが更に好ましい。一方で、非接着偏平繊維及び接着繊維量が少なくなり過ぎないように、クリーニングシート全体の70mass%以下を占めているのが好ましく、55mass%以下を占めているのがより好ましく、45mass%以下を占めているのが更に好ましい。
本発明のクリーニングシートは上述のような非接着偏平繊維、場合により含む非接着非偏平繊維に加えて、接着繊維を含み、接着繊維が接着した繊維接着不織布からなる。この接着繊維の接着固定により、クリーニングシートの形態を維持することができる。クリーニングシートは温度180〜200℃程度の定着部と接触してトナーを払拭する作用を奏するものであるため、定着部と接触してもクリーニングシートの形態を維持できるように、220℃以上の融点をもつ樹脂から構成されているのが好ましく、特に未延伸繊維であると、加熱に加えて加圧することにより、繊維構成樹脂が再配列して結晶化し、耐熱性が向上するため、特に好ましい。
このような接着繊維を構成するのに好ましい樹脂としては、非接着偏平繊維を構成できる220℃以上の融点をもつ樹脂と同様の樹脂を挙げることができ、より柔らかく、定着部に傷をつけにくい、ポリエチレンテレフタレート又はポリフェニレンサルファイドからなるのが好ましい。なお、本発明における「未延伸」とは、紡糸工程とは別の延伸工程(例えば、流動延伸やネック延伸法等による延伸)を行っていないか、行ったとしても延伸繊維ほどの延伸倍率では延伸していない、分子配向や結晶化度合が低い状態をいう。
このような接着繊維のクリーニングシートにおける繊維断面は、接着しているためランダムであり、好ましくは圧力により変形して非円形の状態にある。このように変形していることによって、クリーニングシートの平滑性を高めることができる。なお、接着前の接着繊維の繊維断面は接着により変形するため、特に限定するものではない。
このような接着前の接着繊維の繊度は、非接着繊維との接着力が高いように、1dtex〜7dtexであるのが好ましく、2dtex〜5dtexであるのがより好ましい。また、接着前の接着繊維の繊維長は後述のようにクリーニングシートである繊維接着不織布は乾式法により製造されるのが好ましいため、乾式法で繊維ウエブを製造するのに適している、30〜110mmであるのが好ましく、35〜70mmであるのがより好ましい。
このような接着繊維の量はクリーニングシートの形態維持性に優れるように、クリーニングシート全体の20mass%以上を占めているのが好ましく、30mass%以上を占めているのがより好ましく、35mass%以上を占めているのが更に好ましい。一方で、非接着偏平繊維量が少なくなり過ぎないように、クリーニングシート全体の90mass%以下を占めているのが好ましく、85mass%以下を占めているのがより好ましく、80mass%以下を占めているのが更に好ましい。
本発明のクリーニングシートである繊維接着不織布は上述のような非接着偏平繊維、接着繊維、場合により非接着非偏平繊維を含んでいるが、好ましい組み合わせとしては、(1)ポリフェニレンサルファイド非接着偏平繊維及び/又はポリエチレンテレフタレート非接着偏平繊維と、ポリフェニレンサルファイド未延伸接着繊維及び/又はポリエチレンテレフタレート未延伸接着繊維とからなる組み合わせ、(2)ポリフェニレンサルファイド非接着偏平繊維及び/又はポリエチレンテレフタレート非接着偏平繊維と、ポリフェニレンサルファイド非接着非偏平繊維及び/又はポリエチレンテレフタレート非接着非偏平繊維と、ポリフェニレンサルファイド未延伸接着繊維及び/又はポリエチレンテレフタレート未延伸接着繊維とからなる組み合わせ、を挙げることができる。
本発明のクリーニングシートは上述のような非接着偏平繊維、接着繊維、場合により非接着非偏平繊維を含んでいるが、非接着偏平繊維が均一に分散し、表面平滑性に優れるクリーニングシートであることができるように、非接着偏平繊維を含む製造原料をもとに製造されたものである。つまり、繊維ウエブを形成した後に繊維を分割するなどして非接着偏平繊維を発生させた場合には、非接着偏平繊維が偏在し、表面が平滑ではなくなり、定着部に傷をつけやすいが、本発明のように、元々偏平な非接着偏平繊維を含む製造原料をもとに製造したクリーニングシートは、非接着偏平繊維が均一に分散し、表面が平滑で、定着部に傷をつけにくいものである。
なお、クリーニングシートは定着部と接触しても形態を維持できるように、繊維接着不織布全体が加熱加圧され、接着繊維全体が変形し、平滑化した状態で接着繊維が接着しているのが好ましい。定着部に傷をよりつけにくいためである。
また、クリーニングシートである繊維接着不織布は、乾式法により製造した繊維ウエブを構成する接着繊維を接着させて製造した乾式不織布であるのが好ましい。繊維接着不織布を構成する繊維が均一に分散しており、ムラがなく、密度の均一なクリーニングシートであることができるためである。この「乾式法」とは繊維分散媒体として液体を使用しないで繊維を分散させ、繊維ウエブを形成する方法であり、具体的にはカード法、エアレイ法などを例示することができる。
更に、本発明のクリーニングシートは見掛密度が0.2〜0.6g/cmであるのが好ましい。見掛密度がこの範囲内にあれば、硬すぎず、しかも柔らか過ぎないため、定着部を傷つけず、しかもトナーの払拭性、つまりクリーニング性にも優れているためである。より好ましくは見掛密度が0.3g/cm以上であり、更に好ましくは0.4g/cm以上であり、他方で、より好ましくは見掛密度は0.55g/cm以下であり、更に好ましくは0.5g/cm以下である。本発明における「見掛密度(D)」は目付(M、単位:g/cm)を厚さ(T、単位:cm)で除した商、つまり、次の式から得られる値を意味する。なお、「目付」はJIS L 1096に規定する方法により測定された1cmあたりの質量をいい、「厚さ」はJIS B 7502に規定する方法による測定値、すなわち、5N荷重時の外側マイクロメーターによる測定値をいう。
D=M/T
なお、本発明のクリーニングシートの目付は5×10−4g/cm以上、70×10−4g/cm以下であるのが好ましく、15×10−4g/cm以上、30×10−4g/cm以下であるのがより好ましい。また、厚さは10×10−4cm以上、350×10−4cm以下であるのが好ましい。
また、本発明のクリーニングシートは一層構造である必要はなく、繊維配合の異なる二層以上の積層構造を有するものであっても良い。例えば、非接着偏平繊維量の多い層を表面層として備えていることによって、クリーニングシートの平滑性を高め、定着部との摩擦を更に低くするとともに、別の層によって強度を付与し、高温下における形態安定性を高めることができる。
本発明のクリーニングシートは前述のように非接着偏平繊維を含み、定着部との摩擦が小さく、定着部を傷つけにくいものであるが、更に定着部を傷つけにくいように、非接着繊維表面(非接着偏平繊維、非接着非偏平繊維)及び/又は接着繊維表面がシリコーン系樹脂で被覆されているのが好ましい。シリコーン系樹脂による被覆は少しでも効果があるため、その被覆量は特に限定するものではないが、繊維質量に対して0.5〜5mass%であるのが好ましい。また、シリコーン系樹脂としては、例えば、純シリコーン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、及び/又はメラミン樹脂等で変性した変性シリコーン樹脂などを挙げることができる。なお、繊維表面全体がシリコーン系樹脂で被覆されている必要はないし、シリコーン系樹脂で被覆された非接着繊維及び/又は接着繊維とシリコーン系樹脂で被覆されていない非接着繊維及び/又は接着繊維とが混在していても良い。
本発明のクリーニングシートはトナーの離型性を高め、トナーの払拭性(クリーニング性)に優れるように、シリコーンオイルを含んでいるのが好ましい。このシリコーンオイルの含有量はクリーニングシートの厚さなどによって異なるため、特に限定するものではないが、10〜40g/mであるのが好ましい。また、オイルの動粘度も特に限定するものではなく、10〜100,000mm/s<25℃>のものを使用できる。更に、シリコーンオイルの種類も特に限定されず、例えば、ストレートシリコーンオイル(ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等)、変性シリコーンオイル(アルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル等)などのシリコーンオイルを単独で、又は混合して使用できる。
本発明のクリーニングシートである繊維接着不織布は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、繊維接着不織布を構成する繊維、つまり非接着偏平繊維、接着繊維、必要により非接着非偏平繊維を用意する。これら繊維は従来公知の繊維であるため、容易に入手することができる。
次いで、これら繊維を用い、繊維接着不織布における含有比率に合わせて、混合し、開繊して繊維ウエブを形成する。繊維ウエブの形成方法は、前述の通り、乾式法により製造するのが好ましい。なお、カード法による一方向性の繊維ウエブに、この一方向性の繊維ウエブの配向方向と交差するように、クロスレイヤーなどによって交差繊維ウエブを積層した積層繊維ウエブは、全方向の強度に優れているとともに、この積層繊維ウエブの交差繊維ウエブ面が定着部と接触するようにすると、トナーを線的に払拭できるので、クリーニング性により優れている。また、繊維配合の異なる二つ以上の繊維ウエブを積層することによって、積層構造を有するクリーニングシートを製造することができる。
そして、繊維ウエブを構成する接着繊維を接着して繊維接着不織布、つまりクリーニングシートを製造できる。なお、前述の通り接着繊維は全体が変形し、平滑化した状態で接着して、定着部を傷つけない作用に貢献するのが好ましいため、繊維ウエブ全体を加熱加圧するのが好ましい。この加熱加圧条件は実験的に見い出すことができる。例えば、接着繊維が好適である未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維からなる場合には、温度170〜250℃、線圧力98〜980N/cmであるのが好ましい。このような加熱加圧は、例えば、熱カレンダーロール間を通すことにより実施できる。
なお、クリーニングシートの見掛密度は0.2〜0.6g/cmであるのが好ましいが、このような見掛密度は、非接着偏平繊維の繊度、非接着非偏平繊維を適量含ませること、及び/又は接着繊維の接着条件(特に、加熱加圧条件)を適宜調整して達成できる。
本発明のクリーニングシートを構成する非接着繊維(非接着偏平繊維、非接着非偏平繊維)及び/又は接着繊維表面は、前述の通り、シリコーン系樹脂で被覆されているのが好ましいが、このようなクリーニングシートは非接着繊維及び/又は接着繊維表面をシリコーン系樹脂で被覆した後に、上述と同様の方法によってクリーニングシートを製造することができるし、上述と同様の方法によって繊維接着不織布を形成した後に、非接着繊維表面及び/又は接着繊維表面をシリコーン系樹脂で被覆して製造することもできる。後者の方法によれば、接着繊維の接着性を損なわず、簡単な工程にて製造できるため好適である。なお、非接着繊維表面及び/又は接着繊維表面をシリコーン系樹脂で被覆するには、例えば、シリコーン系樹脂をディプニップ含浸、エマルジョン含浸、スプレー塗布、又はコーティング等を行った後に、熱硬化、紫外線硬化等により、シリコーン系樹脂を被覆固着させれば良い。
本発明のクリーニングシートは前述の通り、シリコーンオイルを含んでいるのが好ましいため、クリーニングシートにシリコーンオイルを含浸、塗布、又は散布してシリコーンオイルを含ませるのが好ましい。
本発明の定着部用クリーニング材(以下、「クリーニング材」と表記することがある)は、上述のようなクリーニングシートが巻出しシャフトに巻回され、その一端が巻取りシャフトに固定されているため、巻出しシャフトからクリーニングシートを巻き出し、長期間にわたって定着部を傷つけることなく、クリーニングすることができる。
なお、クリーニングシートの巻取りシャフトへの固定方法としては、例えば、(1)両面テープによる固定、(2)ホットメルト樹脂などの接着樹脂による固定、(3)シャフトが熱可塑性樹脂からなる場合にはクリーニングシートとの熱接着による固定、(4)シャフトにピンなどを設置し、クリーニングシートを差し込むことによる固定、(5)シャフトに溝を形成し、その溝にクリーニングシートを差し込むことによる固定、などがある。なお、上記(1)〜(3)の方法により固定する場合には、シャフトの全面に固定しても良いし、部分的に固定しても良い。また、巻出しシャフト側においては、巻取りシャフトと同様にしてクリーニングシートを固定しても良いし、巻出しシャフトに単に巻き込むだけでも良い。
本発明の定着部用クリーニング装置(以下、「クリーニング装置」と表記することがある)は、上記クリーニング材のクリーニングシートの巻出し手段、クリーニングシートの巻取り手段、及びクリーニングシートを定着部へ押圧できる押圧手段とを備えている。そのため、巻出しシャフトからクリーニングシートを巻き出し、押圧手段によって定着部へ押圧できるため、長期間にわたって定着部を傷つけることなく、クリーニングすることができる。
本発明のクリーニング装置を構成する巻取り手段としては、例えば、巻取りシャフトに接続した駆動モーターなどを挙げることができる。また、巻出し手段としては、例えば、巻出しシャフトに接続した駆動モ−ターなどを挙げることができ、場合によっては巻取り手段の作用によってクリーニングシートを巻き出すことができるため、特に設ける必要がない。
また、クリーニングシートの定着部への押圧手段としては、例えば、断面が円形状や多角形状(例えば、四角形、六角形など)の棒状体やR面を持つ板状体をバネ等によって定着部へ加圧する方法を挙げることができる。特に、クリーニングシートを定着部へ均一に押圧できる、断面が円形状の棒状体であるのが好ましい。この棒状体や板状体は弾性及び耐熱性に優れているのが好ましいため、例えば、発泡又は無発泡のシリコーンゴムなどからなるのが好ましい。なお、棒状体や板状体による押圧力はトナーの払拭性に優れるように、棒状体や板状体と定着部との作用幅(ニップ幅)が3mm以下となるような押圧力であるのが好ましい。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレートからなる非接着偏平延伸繊維(偏平率:0.27、断面形状:略長円状、繊度:2.8dtex、繊維長:51mm、融点:260℃)を20mass%、ポリフェニレンサルファイドからなる非接着非偏平延伸繊維(断面形状:円形、繊度:1dtex、繊維長:51mm、融点:285℃)35mass%、及びポリエチレンテレフタレートからなる接着未延伸繊維(断面形状:円形、繊度:4dtex、繊維長:38mm、融点:260℃)45mass%を、カード機により開繊して一方向性の繊維ウエブを得た。
次いで、この繊維ウエブを、温度200℃のスチールロールとコットンロールとの間(線圧:392N/cm)を通して、全面的に加熱加圧して圧着し、目付が20×10−4g/cmで、厚さが40×10−4cmで、見掛密度が0.5g/cmの繊維接着不織布(クリーニングシート)を製造した。この繊維接着不織布における接着未延伸繊維は、非接着偏平延伸繊維と非接着非偏平延伸繊維の間の空隙を変形して埋め、繊維接着不織布表面の平滑化に寄与していた。
その後、この繊維接着不織布にジメチルポリシロキサン(粘度:10,000mm/s<25℃>)をコーティング(量:10×10−4g/cm)して、シリコーンオイル含有クリーニングシートを得た。
(実施例2)
実施例1と同様にして製造した繊維接着不織布(クリーニングシート)を、アミノ変性シリコーン樹脂エマルジョンに含浸した後に、温度130℃で熱硬化させ、繊維表面をアミノ変性シリコーン樹脂で被覆固着(繊維接着不織布の目付量20×10−4g/cmに対し1mass%)し、シリコーン系樹脂被覆クリーニングシートを得た。
次いで、このシリコーン系樹脂被覆クリーニングシートにジメチルポリシロキサン(粘度:10,000mm/s<25℃>)をコーティング(量:10×10−4g/cm)して、シリコーンオイル含有シリコーン系樹脂被覆クリーニングシートを得た。
(実施例3)
ポリエチレンテレフタレートからなる非接着偏平延伸繊維(偏平率:0.27、断面形状:略長円状、繊度:2.8dtex、繊維長:51mm、融点:260℃)を20mass%、ポリエチレンテレフタレートからなる非接着非偏平延伸繊維(断面形状:円形、繊度:1dtex、繊維長:51mm、融点:260℃)35mass%、及びポリエチレンテレフタレートからなる接着未延伸繊維(断面形状:円形、繊度:4dtex、繊維長:38mm、融点:260℃)45mass%を、カード機により開繊して一方向性の繊維ウエブを得た。
次いで、この繊維ウエブを、温度190℃のスチールロールとコットンロールとの間(線圧:363N/cm)を通して、全面的に加熱加圧して圧着し、目付が20×10−4g/cmで、厚さが40×10−4cmで、見掛密度が0.5g/cmの繊維接着不織布(クリーニングシート)を製造した。この繊維接着不織布における接着未延伸繊維は、非接着偏平延伸繊維と非接着非偏平延伸繊維の間の空隙を変形して埋め、繊維接着不織布表面の平滑化に寄与していた。
その後、この繊維接着不織布にジメチルポリシロキサン(粘度:10,000mm/s<25℃>)をコーティング(量:10×10−4g/cm)して、シリコーンオイル含有クリーニングシートを得た。
(実施例4)
ポリエチレンテレフタレートからなる非接着偏平延伸繊維(偏平率:0.27、断面形状:略長円状、繊度:2.8dtex、繊維長:51mm、融点:260℃)を20mass%、ポリエチレンテレフタレートからなる非接着非偏平延伸繊維(断面形状:円形、繊度:1dtex、繊維長:51mm、融点:260℃)35mass%、及びポリフェニレンサルファイドからなる接着未延伸繊維(断面形状:円形、繊度:4dtex、繊維長:38mm、融点:285℃)45mass%を、カード機により開繊して一方向性の繊維ウエブを得た。
次いで、この繊維ウエブを、温度210℃のスチールロールとコットンロールとの間(線圧:421N/cm)を通して、全面的に加熱加圧して圧着し、目付が20×10−4g/cmで、厚さが40×10−4cmで、見掛密度が0.5g/cmの繊維接着不織布(クリーニングシート)を製造した。この繊維接着不織布における接着未延伸繊維は、非接着偏平延伸繊維と非接着非偏平延伸繊維の間の空隙を変形して埋め、繊維接着不織布表面の平滑化に寄与していた。
その後、この繊維接着不織布にジメチルポリシロキサン(粘度:10,000mm/s<25℃>)をコーティング(量:10×10−4g/cm)して、シリコーンオイル含有クリーニングシートを得た。
(実施例5)
ポリエチレンテレフタレートからなる非接着偏平延伸繊維(偏平率:0.27、断面形状:略長円状、繊度:2.8dtex、繊維長:51mm、融点:260℃)を20mass%、ポリフェニレンサルファイドからなる非接着非偏平延伸繊維(断面形状:円形、繊度:1dtex、繊維長:51mm、融点:285℃)35mass%、及びポリフェニレンサルファイドからなる接着未延伸繊維(断面形状:円形、繊度:4dtex、繊維長:38mm、融点:285℃)45mass%を、カード機により開繊して一方向性の繊維ウエブを得た。
次いで、この繊維ウエブを、温度210℃のスチールロールとコットンロールとの間(線圧:461N/cm)を通して、全面的に加熱加圧して圧着し、目付が20×10−4g/cmで、厚さが40×10−4cmで、見掛密度が0.5g/cmの繊維接着不織布(クリーニングシート)を製造した。この繊維接着不織布における接着未延伸繊維は、非接着偏平延伸繊維と非接着非偏平延伸繊維の間の空隙を変形して埋め、繊維接着不織布表面の平滑化に寄与していた。
その後、この繊維接着不織布にジメチルポリシロキサン(粘度:10,000mm/s<25℃>)をコーティング(量:10×10−4g/cm)して、シリコーンオイル含有クリーニングシートを得た。
(実施例6)
ポリフェニレンサルファイドからなる非接着偏平延伸繊維(偏平率:0.27、断面形状:略長円状、繊度:2.8dtex、繊維長:51mm、融点:285℃)を20mass%、ポリエチレンテレフタレートからなる非接着非偏平延伸繊維(断面形状:円形、繊度:1dtex、繊維長:51mm、融点:260℃)35mass%、及びポリエチレンテレフタレートからなる接着未延伸繊維(断面形状:円形、繊度:4dtex、繊維長:38mm、融点:260℃)45mass%を、カード機により開繊した一方向性の繊維ウエブを使用したこと以外は、実施例1と全く同様にして、目付が20×10−4g/cmで、厚さが40×10−4cmで、見掛密度が0.5g/cmの繊維接着不織布(クリーニングシート)を製造した。この繊維接着不織布における接着未延伸繊維は、非接着偏平延伸繊維と非接着非偏平延伸繊維の間の空隙を変形して埋め、繊維接着不織布表面の平滑化に寄与していた。
その後、この繊維接着不織布にジメチルポリシロキサン(粘度:10,000mm/s<25℃>)をコーティング(量:10×10−4g/cm)して、シリコーンオイル含有クリーニングシートを得た。
(実施例7)
ポリフェニレンサルファイドからなる非接着偏平延伸繊維(偏平率:0.27、断面形状:略長円状、繊度:2.8dtex、繊維長:51mm、融点:285℃)を20mass%、ポリエチレンテレフタレートからなる非接着非偏平延伸繊維(断面形状:円形、繊度:1dtex、繊維長:51mm、融点:260℃)35mass%、及びポリフェニレンサルファイドからなる接着未延伸繊維(断面形状:円形、繊度:4dtex、繊維長:38mm、融点:285℃)45mass%を、カード機により開繊して一方向性の繊維ウエブを得た。
次いで、この繊維ウエブを、温度210℃のスチールロールとコットンロールとの間(線圧:441N/cm)を通して、全面的に加熱加圧して圧着し、目付が20×10−4g/cmで、厚さが40×10−4cmで、見掛密度が0.5g/cmの繊維接着不織布(クリーニングシート)を製造した。この繊維接着不織布における接着未延伸繊維は、非接着偏平延伸繊維と非接着非偏平延伸繊維の間の空隙を変形して埋め、繊維接着不織布表面の平滑化に寄与していた。
その後、この繊維接着不織布にジメチルポリシロキサン(粘度:10,000mm/s<25℃>)をコーティング(量:10×10−4g/cm)して、シリコーンオイル含有クリーニングシートを得た。
(実施例8)
ポリフェニレンサルファイドからなる非接着偏平延伸繊維(偏平率:0.27、断面形状:略長円状、繊度:2.8dtex、繊維長:51mm、融点:285℃)を20mass%、ポリフェニレンサルファイドからなる非接着非偏平延伸繊維(断面形状:円形、繊度:1dtex、繊維長:51mm、融点:285℃)35mass%、及びポリエチレンテレフタレートからなる接着未延伸繊維(断面形状:円形、繊度:4dtex、繊維長:38mm、融点:260℃)45mass%を、カード機により開繊して一方向性の繊維ウエブを得た。
次いで、この繊維ウエブを、温度200℃のスチールロールとコットンロールとの間(線圧:421N/cm)を通して、全面的に加熱加圧して圧着し、目付が20×10−4g/cmで、厚さが40×10−4cmで、見掛密度が0.5g/cmの繊維接着不織布(クリーニングシート)を製造した。この繊維接着不織布における接着未延伸繊維は、非接着偏平延伸繊維と非接着非偏平延伸繊維の間の空隙を変形して埋め、繊維接着不織布表面の平滑化に寄与していた。
その後、この繊維接着不織布にジメチルポリシロキサン(粘度:10,000mm/s<25℃>)をコーティング(量:10×10−4g/cm)して、シリコーンオイル含有クリーニングシートを得た。
(実施例9)
ポリフェニレンサルファイドからなる非接着偏平延伸繊維(偏平率:0.27、断面形状:略長円状、繊度:2.8dtex、繊維長:51mm、融点:285℃)を20mass%、ポリフェニレンサルファイドからなる非接着非偏平延伸繊維(断面形状:円形、繊度:1dtex、繊維長:51mm、融点:285℃)35mass%、及びポリフェニレンサルファイドからなる接着未延伸繊維(断面形状:円形、繊度:4dtex、繊維長:38mm、融点:285℃)45mass%を、カード機により開繊して一方向性の繊維ウエブを得た。
次いで、この繊維ウエブを、温度215℃のスチールロールとコットンロールとの間(線圧:490N/cm)を通して、全面的に加熱加圧して圧着し、目付が20×10−4g/cmで、厚さが40×10−4cmで、見掛密度が0.5g/cmの繊維接着不織布(クリーニングシート)を製造した。この繊維接着不織布における接着未延伸繊維は、非接着偏平延伸繊維と非接着非偏平延伸繊維の間の空隙を変形して埋め、繊維接着不織布表面の平滑化に寄与していた。
その後、この繊維接着不織布にジメチルポリシロキサン(粘度:10,000mm/s<25℃>)をコーティング(量:10×10−4g/cm)して、シリコーンオイル含有クリーニングシートを得た。
(実施例10)
実施例1の非接着偏平繊維20mass%に替えて、ポリエチレンテレフタレートからなる非接着偏平延伸繊維(偏平率:0.55、断面形状:略長円状、繊度:2.8dtex、繊維長:51mm、融点:260℃)を20mass%使用したこと以外は、実施例1と全く同様にして、目付が20×10−4g/cmで、厚さが40×10−4cmで、見掛密度が0.5g/cmの繊維接着不織布(クリーニングシート)を製造した。この繊維接着不織布における接着未延伸繊維は、非接着偏平延伸繊維と非接着非偏平延伸繊維の間の空隙を変形して埋め、繊維接着不織布表面の平滑化に寄与していた。
その後、この繊維接着不織布にジメチルポリシロキサン(粘度:10,000mm/s<25℃>)をコーティング(量:10×10−4g/cm)して、シリコーンオイル含有クリーニングシートを得た。
(実施例11)
繊維接着不織布の目付が15×10-4g/cm2で、厚さが80×10-4cmで、見掛密度が0.19g/cmとなるように製造したこと以外は、実施例1と全く同様にして、シリコーンオイル含有クリーニングシートを得た。
(実施例12)
繊維接着不織布の目付が25×10-4g/cm2で、厚さが40×10-4cmで、見掛密度が0.63g/cmとなるように製造したこと以外は、実施例1と全く同様にして、シリコーンオイル含有クリーニングシートを得た。
(比較例1)
メタ型芳香族ポリアミド非接着非偏平繊維(断面形状:円状、繊度:1.7dtex、繊維長:38mm)を55mass%と、ポリエチレンテレフタレートからなる接着未延伸繊維(断面形状:円形、繊度:4dtex、繊維長:38mm、融点:260℃)を45mass%配合した繊維ウエブを、温度220℃のスチールロールとコットンロールとの間(線圧:470N/cm)を通して、全面的に加熱加圧して圧着し、目付が20×10−4g/cmで、厚さが40×10−4cmで、見掛密度が0.5g/cmの繊維接着不織布(クリーニングシート)を製造した。
その後、この繊維接着不織布にジメチルポリシロキサン(粘度:10,000mm/s<25℃>)をコーティング(量:10×10−4g/cm)して、シリコーンオイル含有クリーニングシートを得た。
(比較例2)
実施例1の非接着偏平延伸繊維20mass%に替えて、偏平率が0.7のポリエチレンテレフタレートからなる非接着偏平延伸繊維(断面形状:略長円状、繊度:2.2dtex、繊維長:51mm、融点:260℃)20mass%使用したこと以外は、実施例1と全く同様にして、目付が20×10−4g/cmで、厚さが40×10−4cmで、見掛密度が0.5g/cmの繊維接着不織布(クリーニングシート)を製造した。
その後、この繊維接着不織布にジメチルポリシロキサン(粘度:10,000000mm/s<25℃>)をコーティング(量:10×10−4g/cm)して、シリコーンオイル含有クリーニングシートを得た。
(比較例3)
ポリエチレンテレフタレート成分(融点260℃)及び6ナイロン成分(融点215℃)からなる、横断面形状がオレンジ型の分割性繊維(繊度:2.2dtex、繊維長:51mm、分割してポリエチレンテレフタレートからなる繊度が0.1dtexで、偏平率が0.4で、横断面形状が楔状の極細繊維8本と、6ナイロンからなる繊度が0.1dtexで、偏平率が0.4で、横断面形状が楔状の極細繊維8本を発生可能)20mass%、ポリフェニレンサルファイドからなる非接着非偏平延伸繊維(断面形状:円形、繊度:1dtex、繊維長:51mm、融点:285℃)35mass%、及びポリエチレンテレフタレートからなる接着未延伸繊維(断面形状:円形、繊度:4dtex、繊維長:38mm、融点:260℃)45mass%を、カード機により開繊して一方向性繊維ウエブAを形成した。
次いで、一方向性繊維ウエブAと同様にして製造した、同じ繊維配合からなる一方向性繊維ウエブBを、前記一方向性繊維ウエブA上に、クロスレイヤーにより一方向性繊維ウエブAの長さ方向と交差するように積層し、積層繊維ウエブ(一方向性繊維ウエブAの目付は20×10−4g/cm、交差した繊維ウエブの目付は20×10−4g/cm)を形成した。
次いで、前記積層繊維ウエブの交差した繊維ウエブ側に対して、直径が0.13mmのノズルをピッチ0.6mmで4列配列したノズルプレートから、圧力10MPaの水流を噴出し、分割性繊維を分割すると共に絡合させ、目付が40×10−4g/cmの絡合繊維ウエブを製造した。
更に、この絡合繊維ウエブを、温度200℃のスチールロールとコットンロールとの間(線圧:392N/cm)を通して、全面的に加熱加圧して圧着し、目付が40×10−4g/cmで、厚さが40×10−4cmで、見掛密度が0.5g/cmの繊維接着不織布(クリーニングシート)を製造した。
その後、この繊維接着不織布にジメチルポリシロキサン(動粘度:10,000mm/s<25℃>)をコーティング(量:10×10−4g/cm)して、シリコーンオイル含有クリーニングシートを得た。
<定着ロールの摩耗状態評価>
ヒートローラー方式の定着装置を備えた複写機を用意し、当該複写機の定着ロール(表面温度:190℃)に、実施例及び比較例のシリコーンオイル含有クリーニングシートを、発泡シリコーンゴムからなる円形状の棒状体にて押圧(ニップ幅:2mm、押圧力0.4N/cm)し、定着ローラに当接させた。
次に、A4サイズの紙を毎分20枚の速度で、A4サイズの紙1枚当りの画像定着率が90%のプログラムモードに設定し、クリーニングシートの巻き出し速度を0.004m/分として、連続通紙を5万枚行った。この時、通紙枚数が0〜1万枚は0.1万枚ごとに、通紙枚数1〜5万枚は1万枚ごとに定着ロールの表面摩耗状態を顕微鏡により観察した。この結果は表1に示す通りであった。
Figure 2007079311
<残留トナーの払拭性評価>
前述の(定着ロールの磨耗状態評価)方法にて、通紙枚数0.1万枚時の定着ロールの摩耗状態評価を行う前に、ベタ白モードでの複写を3枚行い、3枚目の通紙画像上におけるオフセットトナーの定着状態を目で観察した。この結果は表2に示す通りであった。
Figure 2007079311
表1及び表2から、本発明のクリーニングシートは払拭性に優れているばかりでなく、定着ロールを傷つけにくいものであったため、複写画像の画像抜け不具合や長期的な画像再現安定性を損ねにくいものであることがわかった。

Claims (12)

  1. 非接着繊維と接着繊維で構成された繊維接着不織布からなる定着部用クリーニングシートであり、前記繊維接着不織布は製造原料の非接着繊維として、扁平率が0.6以下の非接着偏平繊維を含んで製造されたものであることを特徴とする、定着部用クリーニングシート。
  2. 繊維接着不織布が乾式法により製造されたものであることを特徴とする、請求項1記載の定着部用クリーニングシート。
  3. 見掛密度が0.2〜0.6g/cmであることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の定着部用クリーニングシート。
  4. 非接着繊維が220℃以上の融点又は分解点をもつ樹脂からなる延伸繊維からなることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着部用クリーニングシート。
  5. 非接着繊維としてポリフェニレンサルファイド繊維を含んでいることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の定着部用クリーニングシート。
  6. 非接着繊維としてポリエチレンテレフタレート繊維を含んでいることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着部用クリーニングシート。
  7. 非接着偏平繊維がポリエチレンテレフタレートからなる繊維であることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着部用クリーニングシート。
  8. 接着繊維が220℃以上の融点をもつ樹脂からなる未延伸繊維からなることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の定着部用クリーニングシート。
  9. 非接着繊維表面及び/又は接着繊維表面がシリコーン系樹脂で被覆されていることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の定着部用クリーニングシート。
  10. シリコーンオイルを含んでいることを特徴とする、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の定着部用クリーニングシート。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれかに記載の定着部用クリーニングシートが巻出しシャフトに巻回されており、その一端が巻取りシャフトに固定されていることを特徴とする定着部用クリーニング材。
  12. 請求項11に記載の定着部用クリーニング材の定着部用クリーニングシートの巻出し手段、定着部用クリーニングシートの巻取り手段、及び定着部用クリーニングシートを定着部へ押圧できる押圧手段とを備えていることを特徴とする、定着部用クリーニング装置。
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